JPH09292392A - 検査用採便容器及び糞便懸濁液調製方法 - Google Patents

検査用採便容器及び糞便懸濁液調製方法

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JPH09292392A
JPH09292392A JP8105475A JP10547596A JPH09292392A JP H09292392 A JPH09292392 A JP H09292392A JP 8105475 A JP8105475 A JP 8105475A JP 10547596 A JP10547596 A JP 10547596A JP H09292392 A JPH09292392 A JP H09292392A
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stool
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dropping
container body
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JP8105475A
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Sukehito Nishimaki
祐人 西間木
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Eiken Chemical Co Ltd
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Eiken Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】便試料を家庭等で採取し検査機関へ郵送するた
めの容器について、検査の際に該容器を装着する空間部
に寸法的制約のある自動検査機に適するように、便試料
の定量分取機構と容器から該検査機へ移液する検体の滴
下部の不溶物による目詰まりを防止する機構とをコンパ
クトに配設した採便容器を提供し、また検体滴下部の目
詰まりを防止する便懸濁液調製方法を提供する。 【解決手段】採便容器本体2を扁平形状に作り、採便棒
3の挿入軸方向の正対面から外した器壁面に検体滴下部
6を配することにより容器全体を小型化し、且つ検体滴
下部6を設ける器壁面を平面状または凸面状に形成した
堆積面5を形設することにより大部分の不溶物の沈殿を
堆積させて検体滴下部の目詰まりを防止するように構
成。また、上記堆積面を有する容器を用いて便懸濁液を
調製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、臨床検査に供する
便試料を家庭や診療所などで採取し、検査機関に輸送す
るための採便容器に関する。
【0002】
【従来の技術】糞便中潜血の検査は潰瘍や癌等の消化器
官の出血性疾患の診断に有用である。最近は、糞便中潜
血の検査法として、抗ヒトヘモグロビン抗体を利用して
赤血球に由来するヘモグロビンを特異的に検出する免疫
学的検査法が行われている。この免疫学的検査に使用す
る検査試料として採取した便を収容し、これを検査機関
へ輸送し、検体を調製して検査に供する機能を備えた容
器が入用であり、従来から種々の採便容器が提案されて
いる。
【0003】例えば、特開平6−148178号公報に
は、家庭等で採取した検査用糞便試料を検査機関に定形
郵便物として郵送するため、定形郵便封筒に収納できる
ように採便容器を扁平形状とすることが開示されてい
る。この従来技術では、容器の扁平化及びコンパクト化
は達成しているものの、試料を懸濁用液体に混合するた
めに定量的に分取する機構が欠けているので、ティッシ
ュペーパー等で余剰の便を拭き取らねばならず不衛生で
ある点、及び便懸濁液またはその濾過液を検体として検
査機器へ滴下する検体滴下部を備えていないので、検査
の際に容器本体の蓋を開放して検体を分取しなければな
らず、悪臭の発散や検体の飛散のおそれがある点等が問
題である。
【0004】一方、この問題点を解決する従来技術とし
ては、例えば実公平5−17652号及び実公平5−1
7653号公報には、上記の試料定量分取の手段とし
て、先端部分に周溝等の凹部を有する採便棒、容器内部
を2室に区画する分離壁、この分離壁に採便棒を挿通さ
せる際に採便棒の周溝から溢れる余剰の便を摺り切るた
めの挿通孔、及び摺り切りした余剰の便を収容するため
にこの分離壁と採便棒とにより形成されたストッカー部
を備え、また上記の悪臭発散や検体飛散防止の手段とし
て、便懸濁液を濾過しつつ検体として分析機器に移液す
るための検体滴下部を具備した採便容器が開示されてい
る。しかし、この従来技術では郵送上の便宜については
特別な工夫が加えられていない。
【0005】従来技術で郵送の便宜が考慮され且つ試料
定量分取の機構、便懸濁液の濾過手段及び検体滴下部を
備えた採便容器は、例えば特開平6−186227号、
特開平6−317583号、特開平6−331623
号、及び特開平7−12808号公報に開示されてい
る。しかしこれ等従来技術の採便容器は、郵送を考慮し
て細長い円筒形の一端または採便棒の挿入軸方向に延び
た扁平体の先端に滴下部を設けている。このような構成
では、便懸濁液をこの滴下部から分取する際に、便懸濁
液から沈殿した不溶物が滴下部に集約的に堆積し、検体
中へ不溶物が混入し易い。不溶物を濾過するために滴下
部入口にフィルターを設けることは可能であるが、前述
の通り容器本体が郵送の便宜のために細長い円筒形に構
成されていることからフィルターの大きさが制約され、
濾過面積を充分にとることができず、便試料によっては
不溶物によるフィルターの目詰まりを起こすことがあ
り、所要量の検体を円滑に滴下する上で問題がある。
【0006】第二の問題点として、これ等従来技術によ
る採便容器では、多数の検体を効率よく且つ操作誤差な
く検査するための自動検査機を使用する際に問題があ
る。すなわち、従来技術の容器では、採便棒挿入部にお
ける採便棒を挿入する軸方向と検体滴下部の軸方向とが
方向的に一致するように設けられているため、自動検査
機において容器の滴下部を収納するための空間部に比べ
て、容器の全長が過大となる。
【0007】従って採便容器を自動検査機に装着する際
に、滴下部が鉛直になるような、すなわち重力方向に一
致するような適正な装着が妨げられることが屡々起こ
る。その結果、自動検査機に移液される検体の滴下量の
ばらつきが大きくなり、測定精度に悪影響を及ぼすこと
となる。
【0008】また、自動検査機ではラベルに印刷された
バーコードや文字をバーコードリーダーや光学式文字読
取装置で読み取って検体や検査項目を識別することもで
きるが、従来技術の採便容器のうち円筒形のものは、自
動識別に適したように平面状にラベルを貼るためのスペ
ースが充分とは言い難い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、免疫
学的検査法に使用するために採取した便を収容する際の
操作が便利であり、便を収容したままの容器を検査機関
へ輸送する便宜のために定形郵便物として郵送でき且つ
便を収容した容器において検体を調製できるという既存
の採便容器の長所を全て活かしつつ、更に、容器の滴下
部を収納すべき空間部が狭い自動検査機の寸法制限の中
で、試料定量分取機構並びに検体を容器から移液する検
体滴下部を不溶物により目詰まりさせることなく検査機
器へ円滑に滴下して移送させる機構をコンパクトに配設
するとともに、検体識別の自動化に適したラベルを貼る
ためのスペースを確保した採便容器を提供することを課
題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために研究を重ね、従来の円筒形容器とは異な
る新たな概念に想到し、本発明を完成した。つまり、採
便容器の全体的形状を扁平に作り、且つ容器に採便棒を
挿入する挿入軸方向と検体滴下部の軸線方向とが一致せ
ずに交差するような位置に滴下部を設けることにより、
容器の全長を自動検査機に適正に装着できる大きさに小
型化することを可能にした。
【0011】これに加えて、滴下部を設ける器壁部分を
相当広い平面状または容器内部へ向かって凸面状に形成
し、大部分の不溶物の沈殿を堆積させて検体滴下部に不
溶物が集合することを防ぎ、不溶物による滴下部の目詰
まりを防止するように容器を構成した。
【0012】すなわち本発明は、分散媒1を収容できる
容器本体2、採便棒3、採便棒挿入部4及び検体滴下部
6により構成される容器であって、 (ア)上記容器本体2が扁平形状であること (イ)上記容器本体2を形成する器壁のうち扁平面を除
く器壁に上記滴下部6が設けてあること (ウ)上記滴下部6の周囲の容器本体器壁に平面または
該滴下部を中心に容器内へ向かう凸面により構成する沈
殿物の堆積部位が形設してあること を特徴とする検査用採便容器の発明であり、また、容器
本体2を形成する器壁のうち採便棒挿入部4の挿入軸方
向の正対面と扁平面とを除く部分に、検体滴下部6を設
けてある上記検査用採便容器の発明である。
【0013】更に、本発明は、以下の工程1−4を含む
糞便懸濁液の調製方法であって、調製に用いる容器に設
けた滴下部6の周囲の容器本体器壁に、平面または該滴
下部を中心に容器内部に向かう凸面により構成する堆積
部位を設け、該堆積部位に沈殿物を堆積させることによ
って滴下部6への沈殿物の集中を防ぐことを特徴とする
糞便懸濁液の調製方法、(1)採便棒3により糞便試料
を採取する工程、(2)分散媒1を収容した容器本体2
の採便棒挿入部4に上記採便棒を挿入する工程、(3)
採取した糞便を前記分散媒に分散させて糞便懸濁液を得
る工程、(4)容器本体2に設けた滴下部6に容器内部
へ連絡する孔を設けて該糞便懸濁液或はその濾過液を取
り出す工程、の発明である。
【0014】本発明による採便容器の一例を図1に示
し、これに沿って容器に係る本発明の構成を説明する。
本発明の容器本体2は、容器を定形郵便物として郵送す
ることと検体識別用のラベルを貼るスペースの確保のた
めに、全体として扁平であることが必須条件である。容
器本体の扁平面間の外法、すなわち容器の厚手方向(図
1では紙面と垂直の方向)の外法が10mm以内、正確
には定形郵便封筒用紙の厚みを含めた寸法として10m
m以内であることが好ましい。
【0015】次に、容器本体2の長手方向(図1では採
便棒の挿入方向)及び幅方向の寸法については、容器を
自動検査機に装着する際に、検体滴下部6の軸線9が正
しく重力の方向に一致するように適正に装着できる範囲
であれば充分であり、自動検査機の形式にもよるので、
寸法を数値で限定することはできない。
【0016】しかし、容器を自動検査機に適正に装着す
ることを可能にさせる要件として、本発明の採便容器で
は採便棒挿入部4に対する検体滴下部6の相対的位置関
係を規定する。まず郵送上の便宜から、本発明では検体
滴下部6を容器本体2の扁平面(図1に表れている面)
に設けることは除外する。また、採便容器の長手方向の
全長をできるだけ短く形成するため、本発明の一実施態
様では採便棒挿入部4の挿入軸方向の正対面に滴下部6
を設けることを除外する。つまり採便棒の挿入軸方向と
検体滴下部の軸線方向とが方向的に平行ではなく、交差
するような位置関係に滴下部6を設ける。軸線9自体が
挿入軸と交わる必要はなく、両者が平面交差或いは立体
交差する方向であれば良い。
【0017】次に、滴下部6を設ける容器本体2の器壁
部分を平面状または容器内へ向かう凸面状に形成して沈
殿物の堆積部位(以下堆積面5と略称)を形設すること
が本発明の必須条件である。堆積面5は、採便容器を自
動検査機に適正に装着して検体を検査機に移液する際
に、便懸濁液中の不溶物を受け止め、堆積させ、且つ検
体が検査機へ滴下される間に不溶物を滴下部へなるべく
流入させないように、該堆積面の傾斜に沿って堆積を滴
下部から遠ざけ、或いは保持する作用がある。
【0018】堆積面5を採便棒挿入部4の挿入軸方向の
正対面から外して形設することにより、堆積面5の面積
を正対面の面積より大きくすることが可能である。その
結果として、従来技術の円筒形容器の場合よりもフィル
ターの大きさに制限が少なくなり、必要に応じて大きな
フィルターを滴下部6の容器内開口に設けることができ
る。
【0019】但し、堆積面5の適正な面積については、
容器本体2の容積及び分散媒1の体積に応じて調節され
るべきものであり、堆積面5の大きさを数値的に限定す
ることは困難である。
【0020】本発明の容器本体2の材質は、分析対象成
分(例えばヒトヘモグロビン)や免疫学的試薬を変質さ
せる成分を便懸濁液中に溶出しない不活性なものでなけ
ればならない。また、容器内部の検体を視認できるよう
に、透明または半透明であることが好ましい。なお、容
器の扁平面を圧迫して検体を滴下するので、ある程度弾
力性を具えた材料であることも必要である。通常、輸送
中の耐久性、軽量性、経済性から熱可塑性合成樹脂が好
ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル等
を使用するが、これに限定されるものではない。更に、
合成樹脂製容器本体の内壁面に、水濡れ性を改善するた
めのコロナ放電処理等の物理的処理、或は防曇剤や水酸
化リチウム等による化学的処理を加えることもできる。
【0021】本発明の容器本体2に設ける採便棒挿入部
4は、採取した便が付着した採便棒を容器内部に挿入す
るための入口部分である。容器内部を密閉する蓋体及び
採便棒を固定する公知の手段を備えると実用上好まし
い。また、場合により採便は、便の表面部分からの採便
用と便内部からの採便用と都合2本の採便棒を使用して
行うこともある。これに対応するため、1個の容器本体
2に2個の採便棒挿入部4を設ければ好都合である。
【0022】上記採便棒挿入部4に隣接するストッカー
部8を設けると実用上便利である。ストッカー部8は、
容器本体2の内部を2室に区画する分離壁7と採便棒
3、及び通常採便棒と一体に構成される蓋体とによって
形成される。ストッカー部8の役割は、検体調製に必要
な量以上の余剰便を収容することである。
【0023】ストッカー部8の一部分を構成する分離壁
7には、採便棒3を挿通させるための挿通孔11を設け
てある。挿通孔11は採便棒3と嵌合するように形成さ
れ、採便棒3の凹部等から溢れる余剰の便を摺り切る作
用がある。
【0024】本発明に用いる採便棒3は、採取した便か
ら一定量を分散媒1と混合するために、挿通孔11との
摺り切り作用によって一定量の便を付着させて分取する
機構10を備えると実用上便利である。例えば、先端付
近に切欠部、ラセン型溝や周溝等の凹部、1個以上の貫
通孔、網目状の凹凸加工等の加工を施したもの、または
目の粗い多孔質体を先端付近に備えたもの等を例示する
ことができる。
【0025】本発明の容器本体2の器壁の一部である堆
積面5に設ける検体滴下部6は、検体を容器外部に滴下
するためのものであり、円筒型、円錐型など、公知の全
ての形態が使用できる。通常は、滴下部6の容器内開口
部分に、不溶物を濾過するためにポリウレタンスポンジ
や濾紙等の多孔性物質、或いはガラス繊維や脱脂綿等の
繊維物質からなるフィルターを設ける。しかし本発明
は、免疫クロマトグラフィーのように不溶物が測定結果
に影響しない検査にも使用する採便容器に関するもので
あり、フィルターは必ずしも備える必要がない。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は本発明の採便容器の基本的
構成を概念的に示すものであり、実施態様の一例であ
る。但し、ストッカー部やフィルターは必須構成要素で
はない。
【0027】図2の実施態様では、採便棒挿入部4を2
個備え、滴下部6の軸線と採便棒挿入軸方向とは直角に
交差している。その結果、堆積面5は最大限に確保さ
れ、フィルターは省略されている。また容器本体2の扁
平面を利用してラベルを貼付しているので、従来技術の
円筒形容器に比べると、たとい同じ大きさのラベルを使
用しても視認性に富んだ使用ができる。
【0028】図3の実施態様では、滴下部6の軸線と採
便棒とが直交して最もコンパクトな形に構成され、堆積
面5も必要最小限確保され、滴下部6の容器内開口部分
に濾過面積の大きなフィルター部材を備えることも可能
である。
【0029】また、方法に係る本発明の糞便懸濁液の調
製は、次のようにして行われる。 (1)採便棒3により糞便試料を採取する工程において
は、採便棒3で糞便表面をまんべんなくなぞって、先端
に糞便試料を付着させる。 (2)分散媒1を収容した容器本体2の採便棒挿入部4
に上記採便棒を挿入する工程においては、挿入により採
便棒3が分離壁7に設けられた挿通孔11を挿通する際
に余剰の便は掻き取られ、採便棒3先端に定量分取機構
10を備えている場合には常に一定量の便が採取され
る。また、採便棒挿入部4に隣接してストッカー部8が
設けてあれば、余剰の便を収容することができ、衛生的
である。 (3)採取した糞便を分散媒1に分散させて糞便懸濁液
を得る工程では、上記のように挿入された採便棒3に付
着していた便を、容器本体2を振蘯することにより、前
記分散媒に懸濁させる。 (4)容器本体2に設けた滴下部6に容器内部へ連絡す
る孔を設けて該糞便懸濁液或はその濾過液を取り出す工
程では、先ず滴下部6の先端に針などで孔を開ける。そ
の際、もし容器本体2の扁平面に力が加わるような態様
で容器全体を保持していると容器内部に圧力がかかり、
上記の孔から糞便懸濁液が漏れるおそれがあるので、扁
平面以外の部分を保持するのが望ましい。
【0030】次いで、滴下部の軸線9が鉛直になるよう
に、滴下部6を下に向けて容器本体2を保持し、扁平面
を手または機械により圧迫して糞便懸濁液を滴下する。
もし滴下部の軸線9が重力に対して一定の角度に保たれ
ていないと滴下量にばらつきが生じて検査精度に悪影響
を及ぼすが、実用的に常に容易に一定角度を再現するに
は滴下部の軸線9を鉛直に保つのが良い。また、糞便懸
濁液中の不溶物は、滴下部6の周囲の堆積面5つまり沈
殿堆積部位に沈殿するので、検体として滴下する糞便懸
濁液中に不溶物が混入するおそれは殆どない。検査方法
としてラテックス凝集法のように不溶物が検査結果に影
響を及ぼすと考えられる方法を用いる場合には、必要に
応じて滴下部の容器内側に一種類または複数種のフィル
ターを設けて不溶物を濾過することも可能である。この
場合にも、沈殿の大部分は沈殿堆積部位に堆積するの
で、フィルターの目詰まりを防ぐことができる。なお、
ここに説明した(4)工程は、自動検査機等により自動
化することも可能である。
【0031】
【発明の効果】本発明の採便容器では、検体滴下部6が
堆積面5に設けられているので、便懸濁液中の不溶物の
沈殿は該面に堆積し、且つ堆積基盤となる堆積面5が平
面状であるが故に不溶物の堆積は保持され、検体の流出
速度を適正に抑えれば滴下部6から沈殿が同伴流出する
ことを殆ど抑制できる。また、滴下部6を容器本体2の
器壁が容器内へ向かう凸面状の面(例えば球面、角錐
面)に設ければ、沈殿は該面の傾斜に沿って滴下部から
遠ざかる方向に堆積するので、一層この抑制作用が著し
くなる。その結果、不溶物によるフィルターや滴下部の
検体流路の目詰まり等の不調を防止することができる。
また、上記のように滴下部の周囲に沈殿の堆積面を設け
た容器を用いて糞便懸濁液の調製を行えば、滴下部に沈
殿が集まることを防止でき、上記のような効果が得られ
る。
【0032】更に、堆積面5を採便棒挿入軸方向と正対
させない位置に設けることにより、滴下部6の容器内開
口部面積に対する堆積面5の面積の倍率を従来技術の場
合に比べて格段に大きく設けることができる。その結
果、滴下部6へ流入する不溶物の割合は上記倍率に逆比
例して極めて少なくなり、例えばラテックス凝集法のよ
うに不溶物の濾過が必要な検査法にこの容器を使用する
場合であっても、敢えて滴下部6の開口部分にフィルタ
ーを設ける必要がなくなる。フィルターの省略または簡
略化は、容器構成の簡素化及び容器全体の大きさの小型
化を可能にし、経済性向上、検査誤操作の防止、検査精
度の向上をもたらすことになり産業上の価値が高い。
【0033】本発明で、採便棒挿入部4の挿入軸方向と
検体滴下部6の軸線とが交差するような相互位置にそれ
ぞれを設けてある態様の採便容器では、容器全体がコン
パクトであり、容器全長が従来技術の容器に比べて顕著
に短く、容器装着空間部の寸法が制約されている狭い型
の自動検査機に適正に装着することができる。その結
果、検査の操作ミスを防止することができ、また検体滴
下の精度向上により検査誤差を著しく改善できる。
【0034】本発明の採便容器は全体形状が扁平であ
り、採便後に例えば家庭から検査機関へ定形郵便物とし
て郵送するのに便利である。また、容器を扁平形状に形
成することの副次的効果として、扁平面に大きなラベル
を貼付することができるので、従来技術の円筒形容器の
場合にラベルを巻き付けた状態に貼付していたのと比べ
て著しく見易く、肉眼による試料の照合等に便利であ
る。更に必要に応じ、ラベルに記載する検体コード、検
査項目などをバーコード化しておけば、扁平面に貼付す
ることにより光学的読取りができ、著しく便利である。
【0035】本発明は、次に記載する実施態様を含む。 [実施態様1]検体滴下部6の容器内開口部に1種類ま
たは機能の異なる複数種類の濾材からなるフィルター1
2を備えている請求項1または2記載の検査用採便容
器。 [実施態様2]検体滴下部6の外部先端に捻じ切りによ
り開口する機構を備えている請求項1または2記載の検
査用採便容器。 [実施態様3]容器本体2が扁平楕円柱体形状を用いて
なることを特徴とする請求項1または2記載の検査用採
便容器。 [実施態様4]複数個の採便棒挿入部4を有する請求項
1または2記載の検査用採便容器。
【0036】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の採便容器の基本的構成を概念的に示す
一実施態様の断面図。
【図2】本発明の一実施態様を示す部分断面図。
【図3】本発明の最も小型化された一実施態様を示す平
面図。
【0037】
【符号の説明】
1.・・・分散媒 2.・・・採便容器本体 3.・・・採便棒 4.・・・採便棒挿入部 5.・・・堆積面 6.・・・検体滴下部 7.・・・分離壁 8.・・・ストッカー部 9.・・・滴下部軸線 10.・・採便棒の定量分取機構 11.・・挿通孔 12.・・フィルター 13.・・ラベル

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散媒1を収容できる容器本体2、採便
    棒3、採便棒挿入部4及び検体滴下部6により構成され
    る容器であって、(ア)上記容器本体2が扁平形状であ
    ること(イ)上記容器本体2を形成する器壁のうち扁平
    面を除く器壁に上記滴下部6が設けてあること(ウ)上
    記滴下部6の周囲の容器本体器壁に平面または該滴下部
    を中心に容器内へ向かう凸面により構成する沈殿物の堆
    積部位が形設してあることを特徴とする検査用採便容
    器。
  2. 【請求項2】 容器本体2を形成する器壁のうち採便棒
    挿入部4の挿入軸方向の正対面を除く部分に、検体滴下
    部6を設けてある請求項1記載の検査用採便容器。
  3. 【請求項3】 以下の工程1−4を含む糞便懸濁液の調
    製方法であって、調製に用いる容器に設けた滴下部6の
    周囲の容器本体器壁に、平面または該滴下部を中心に容
    器内部に向かう凸面により構成する堆積部位を設け、該
    堆積部位に沈殿物を堆積させることによって滴下部6へ
    の沈殿物の集中を防ぐことを特徴とする糞便懸濁液の調
    製方法。 (1)採便棒3により糞便試料を採取する工程 (2)分散媒1を収容した容器本体2の採便棒挿入部4
    に上記採便棒を挿入する工程 (3)採取した糞便を前記分散媒に分散させて糞便懸濁
    液を得る工程 (4)容器本体2に設けた滴下部6に容器内部へ連絡す
    る孔を設けて該糞便懸濁液を取り出す工程
  4. 【請求項4】 糞便懸濁液を滴下部6に設けた孔から濾
    過材を通して濾液として得る請求項3記載の糞便懸濁液
    の調製方法。
JP8105475A 1996-04-25 1996-04-25 検査用採便容器及び糞便懸濁液調製方法 Pending JPH09292392A (ja)

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