JPH092888A

JPH092888A - 堆肥

Info

Publication number: JPH092888A
Application number: JP17956295A
Authority: JP
Inventors: Kozo Nomura; 幸三野村
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1995-06-21
Filing date: 1995-06-21
Publication date: 1997-01-07

Abstract

(57)【要約】【目的】ウッド・チップ、やしの実の殻または籾殻を
主原料とする非常に肥効性の高い良質の堆肥を提供す
る。【構成】ウッド・チップを粉砕し、それに醗酵促進剤
として米糠を混入して醗酵させた堆肥を提供する。ま
た、やしの実の殻を粉砕し、それに醗酵促進剤として米
糠を混入して醗酵させた堆肥を提供する。さらに、籾殻
を粉砕し、それに醗酵促進剤として米糠を混入して醗酵
させた堆肥を提供する。そして、上記の各堆肥におい
て、醗酵温度がほゞ頂点に近い温度に達した時点で鶏
糞、牛糞、豚糞等の糞を混入した時には、さらに目的達
成に有効である。【効果】土壌に有機質を供給できるばかりでなく、肥
料三要素のバランスの取れた自然肥料であるので、それ
自体であっても肥効性が非常に高く、また、他の肥料と
の併用によりさらに高い肥効性を示し、さらに、米糠を
醗酵促進剤として使用するので、製造上安価に提供で
き、たとえ、価格的に高くても高い肥効性から特殊作
物、例えば園芸作物等への経済的利用に適する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ウッド・チップ、や
しの実の殻、または籾殻をそれぞれ主原料とする堆肥に
関する。

【０００２】

【従来の技術】ウッド・チップ、やしの実の殻、籾殻
は、それぞれ木製品の製造、やしの実の飲用、米の製造
において生じるものであるが、その適当な用途を見出せ
ないままに、多くが廃棄処分や焼却処分されている。一
方、省資源の観点から、燃料や肥料、きのこの床材等に
使用することも試みられている。

【０００３】肥料として考えると、次のような問題があ
る。それは、炭素率が高いことである。即ち、これを土
壌に施した場合、微生物による分解が起こるが、資材中
に炭素が多く、窒素が少ないことから、元来土壌中にあ
る窒素を横取りし、そこに生育する作物は一般に窒素不
足を起こす現象が見られる。炭素率をどこまで下げるか
については、一般に３０以下で許容されるが、例えば、
やしの実の殻の場合であると、分析結果は次の通りで、
その限界点にある。

【０００４】炭素（Ｃ）５９．８８％窒素（Ｎ）１．９５％炭素率（Ｃ／Ｎ）３０．７１

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】そこで、肥料として使
用する場合には、予め分解して炭素率の低い堆肥として
使用する必要があるが、これら素材が分解しがたいリグ
ニン等を主成分とするため、分解に非常に時間が掛かっ
てしまい、コスト的に到底利用することはできなかっ
た。きのこの床材として使用済の残渣についても同様の
問題があって、完全に分解されていないために、それを
肥料として使用することはできなかった。

【０００６】また、たとえ完全に分解した堆肥であって
も、ウッド・チップ、やしの実の殻、籾殻の成分から見
て、その肥料要素としては余り期待できなく、原則とし
て土壌への有機物の補給が主目的として使用され、肥料
養分の補給は二義的となるものであった。

【０００７】この発明は、上記のような実情に鑑みて、
ウッド・チップ、やしの実の殻または籾殻を主原料とす
る非常に肥効性の高い良質の堆肥を提供することを目的
とした。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明は、ウッド・チップを粉砕し、それに醗
酵促進剤として米糠を混入して醗酵させた堆肥を提供す
る。

【０００９】また、この発明は、やしの実の殻を粉砕
し、それに醗酵促進剤として米糠を混入して醗酵させた
堆肥を提供する。

【００１０】さらに、この発明は、籾殻を粉砕し、それ
に醗酵促進剤として米糠を混入して醗酵させた堆肥を提
供する。

【００１１】そして、上記の各堆肥において、醗酵温度
がほゞ頂点に近い温度に達した時点で鶏糞、牛糞、豚糞
等の糞を混入した時には、さらに目的達成に有効であ
る。

【００１２】

【作用】上記の各堆肥の製造において、水分調整をし
ながら時々撹拌すれば、醗酵促進剤としての米糠が有効
に作用して、ウッド・チップ、やしの実の殻、籾殻がそ
れぞれ極めて早く堆肥化される。殊に、夏季において糞
を混入した場合には早く、また、米糠を良く擦り込むよ
うに同時に粉砕し、或いは掻き混ぜると、醗酵菌が隙間
に広く入り込むので、その効果が大きく、２〜３週間で
堆肥化される。

【００１３】糞の混入は主に堆肥化のためであるが、そ
れを混入してから、８〜１２時間後には、糞の臭いがな
くなる。それは、バクテリアが糞の臭いを分解するため
と考えられる。また、堆肥化により肥効性が非常に高く
なり、例えば、やしの実の殻の場合であると、鶏糞等の
混入により、鶏糞肥料に比して、肥料三要素の窒素、燐
酸、加里の各要素において、ほゞ３倍の能力を備える。

【００１４】

【実施例】次に、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。

【００１５】ウッド・チップ、やしの実の殻、籾殻は、
それぞれ後記するように微細に粉砕し、粉砕体を醗酵促
進装置Ｆに掛ける。醗酵促進装置Ｆは、図１に示すよう
に、タンク１の下に機械室２を設けることにより、撹拌
装置３および空気混入装置４を備え、また、タンク１に
は、蓋５が開閉可能に取り付けられ、撹拌装置３は、撹
拌翼１６とその駆動装置２１とからなり、空気混入装置
４は、散気管２０とブロア２２とからなっている。

【００１６】タンク１は、ＦＲＰの内外壁１０，１１に
より二重壁に形成すると共に、その内外壁１０，１１間
にウレタンフォームの断熱材１２を充填してある。そし
て、全体的に円筒形に形成し、一側下端部に扉付き排出
口８を設けてある。

【００１７】タンク１には、底壁の中心に軸受１５を固
着することにより、撹拌翼１６を立設し、撹拌翼１６
は、軸受１５に支持されるシャフト１７に羽根１８，１
８，・・を段々に螺旋状に突設して構成される。また、
タンク１の底壁上には、散気管２０が渦巻状に配管さ
れ、散気管２０の上面には等間隔おきに散気ノズルが設
けられる。機械室２には、撹拌翼１６の駆動装置２１
と、散気管２０への空気を圧送するブロア２２が内装さ
れ、駆動装置２１は、モータ２３と減速機２４とからな
っている。

【００１８】蓋５は、タンク１と同じように内外壁１
０，１１により二重壁に形成され、内部にウレタンフォ
ームの断熱材１２が充填されている。そして、蓋５の中
央には塔２５を設け、塔２５には排気口２６と吸水口２
７を設け、吸水管２８が接続されている。

【００１９】図２は、予め粗く粉砕されたウッド・チッ
プややしの実の殻を微細化する粉砕機を示したもので、
その粉砕機Ｓは、ケース３１の上にホッパー３２を設
け、ケース３１に原料を細かく粉砕する一対の段ロール
３３ａ，３３ｂを設け、ホッパー３２の出口３４には繰
り込み用の羽根車３５が設けられている。

【００２０】図３は、籾殻を細かく微細化する粉砕機を
示したもので、その粉砕機Ｔは、台４１の上に粉砕器４
２とそれを駆動するモータ４９を固定し、粉砕器４２の
上に籾殻を供給するホッパー４３を設けてある。そし
て、粉砕器４２は、ケース４４に、籾殻を押し出すスク
リュー４５と、目皿４６と、羽根刃車４７と、押蓋４８
とを備えて構成される。羽根刃車４７は、スクリュー４
５とは迎え角と逆刃となっているので、スクリュー４５
の押付けに抗して籾殻を切り刻み、同時に目皿４６との
間でも切り刻むために、籾殻が細かく粉砕される。

【００２１】次に、このように粉砕された材料（ウッド
・チップ、やしの実の殻、籾殻のそれぞれについて）の
醗酵促進装置Ｆにおける醗酵工程を説明する。

【００２２】タンク１に絶乾量で１８０ｋｇの材料を投
入する。また、醗酵促進剤として６０ｋｇの米糠を投入
する。米糠には３０％の水分が含まれている。このよう
に、タンク１に材料と米糠を所定量投入してから撹拌
し、水を供給しながら水分を約５０％程度に調整する。

【００２３】そして、材料の撹拌と空気の混入とを行
う。そのうち、撹拌については、一日一回、約２０分
間、モータ２３の作動により撹拌翼１６を回転させる。
また、空気の混入については、常時ブロア２２を作動さ
せることにより行う。これで、温度６０℃程度に上がっ
たところで肥料要素として鶏糞を７５ｋｇ投入する。こ
れには、約５０％の水分が含まれている。これで鶏糞は
材料の上で最適温度および水分条件において急速に分解
されるので、投入後２４時間後に撹拌混合する。

【００２４】この後も、一日一回約２０分間撹拌する。
これで温度が約７０℃程に上がった時に最高に分解して
いるので、それから温度が徐々に低下してくるから、平
穏に戻った時に、排出口８を開き、熟成した堆肥を取り
出す。堆肥を取り出すまで、空気の混入を続行させる。
そうすることによって、分解がさらに完全になされる
し、乾燥も進行する。

【００２５】タンク１から取り出した堆肥は、黒褐色の
粉末であって、その分析値は表１の通りである。

【表１】

【００２６】次に、このように製造した堆肥の肥効試験
を説明する。

【００２７】小松菜による栽培肥効試験１．試験の目的当該資材の小松菜における生育・収
量に及ぼす影響を検討する。２．試験場所富山県立技術短期大学富山県射
水郡小杉町黒河３．試験期間平成６年７月〜８月４．試験の方法（１）試験の種類１／５０００アールワグナーポット
による土耕法、二連制とした。（２）供試土壌の概要富山県中新川郡立山町日中上野
洪積層転換畑土壌ポット当り２．９ｋｇ充填した。

【００２８】土壌の理化学性については表２の通りであ
る。

【表２】

【００２９】（３）供試作物の種類小松菜（品種；お
はな）ポット当り３本立（４）試験区の名称は表３の通りである。

【表３】

【００３０】（５）施肥の設計ア．三要素窒素、りん酸、加里は、各成分（Ｎ，Ｐ₂Ｏ₅，Ｋ₂Ｏ）
でポット当り０．５ｇを施用した。つまり、硫安２．４
ｇ、過石２．９ｇ、塩加０．８ｇイ．各堆肥の施肥量０．５％区ポット当り１５ｇ１０ｇ当り換算５００ｋｇ１．５％区〃３０ｇ〃１，０００ｋｇ２．０％区〃６０ｇ〃２，０００ｋｇ３．０％区〃９０ｇ〃３，０００ｋｇウ．石灰及び苦土全区に苦土炭カルをポット当り１．０ｇ（５０ｋｇ／１
０ａ）施した。エ．施用法上記肥料及び資材を全層に混合した。

【００３１】（６）栽培管理の概要ア．土壌の充填７月１３日イ．施肥、播種７月１３日ウ．間曳き７月２１日及び７月２５日エ．収穫８月１７日

【００３２】５．試験の成績（１）生育調査成績（８月１６日）については、表４の
通りである。

【表４】

【００３３】（２）収量調査成績については、表５の通
りである。

【表５】

【００３４】６．考察ア．供試土壌については、一般的な畑土壌に近いものと
考えられる。

【００３５】イ．生育状況について発芽及びその後の生育は順調に経過した。若干、虫害に
遇ったがその影響は少ないと思われる。三要素肥料無施
用区の場合では、当該資材を施した区は生育初期で若
干、堆肥無施用区と比べて生育が遅れたが、その後もり
返し、後半の生育は堆肥施用区が良くなった。従って、
堆肥施用による作物の窒素不足の影響は殆ど少ないと見
て良い。次に、三要素施用区では、初期生育から外観的
にあまり差が認められなかった。しかし、後半に到り幾
分堆肥施用区が良いように思われた。

【００３６】ウ．収量調査について、まず、三要素無施用の場合は、堆肥中の肥料養分が分解
して出て来るので、その効果が認められる。ただ、有機
質を土壌に補給することによる効果はなかなか判断し難
いが、根張りは良いように思われた。次に、三要素を補
給した場合であるが、結論から先に言えば、堆肥の効果
は若干認められるように思われる。さて、前述したよう
に堆肥の効果を考える場合、一つは土壌を改良してくれ
る効果と、もう一つは資材中に含まれる主として窒素養
分の効果がある。窒素については、やしの実の殻の場
合、乾物当たり１．９５％のＮを含むので、例えば１．
０％の施用区では、ポット当り堆肥３０ｇを施用してい
るので、次の施用量となる（水分は３０％）。

【式１】

【００３７】この窒素が肥料養分として全部発現するこ
とはないが、幾らかの肥効発現が予想される。従って、
同じくやしの実の殻の場合、堆肥１％即ち３０ｇの肥効
を見ると、（ムー１．０区の収量）−（ムー０区の収
量）＝３．９−１．８＝２．１ｇ（肥ー１．０区の収量）−（肥ー０区の収量）＝１１．
２−９．８＝１．４ｇ即ち、ポット当たり１．４ｇ〜２．１ｇの収量増になっ
ている。これは勿論、窒素養分の効果と土壌に有機物が
加わった結果の総合結果と見て良いが、今のところ土壌
改良効果は、直ぐに現れるものでないことから、殆ど窒
素を主とする肥料養分の効果として良いように思われ
る。

【００３８】〔まとめ〕当初、原料に起因する炭素率
（Ｃ／Ｎ）が高いことによる被害については、資材の分
析及び栽培試験で影響がないと判断して良い。このこと
は、当資材が堆肥化のかなり進んだものであることを示
している。

【００３９】また、有機物施用による効果は、今回の試
験では判断できないが、資材中に含まれている肥料養分
（主として窒素）の効果は若干ではあるが認められる。
これは多分堆肥以外の堆肥化促進物質によるものと思わ
れる。

【００４０】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、土壌に有機質を供給できるばかりでなく、肥料三要
素のバランスの取れた自然肥料であるので、それ自体で
あっても肥効性が非常に高く、また、他の肥料との併用
によりさらに高い肥効性を示し、さらに、米糠を醗酵促
進剤として使用するので、製造上安価に提供でき、たと
え、価格的に高くても高い肥効性から特殊作物、例えば
園芸作物等への経済的利用に適する。

【００４１】醗酵途中で鶏糞を混入した場合には（請求
項４）、さらに肥効性が高まるばかりでなく、醗酵を著
しく高めることができ、さらに効果が顕著となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の肥料の製造に使用する醗酵促進装置
の断面説明図である。

【図２】ウッド・チップ及びやしの実の殻の粉砕機を示
す断面説明図である。

【図３】籾殻の粉砕機を示す断面説明図である。

【化１】

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ウッド・チップを粉砕し、それに醗酵促
進剤として米糠を混入して醗酵させたことを特徴とする
堆肥。
【請求項２】やしの実の殻を粉砕し、それに醗酵促進
剤として米糠を混入して醗酵させたことを特徴とする堆
肥。
【請求項３】籾殻を粉砕し、それに醗酵促進剤として
米糠を混入して醗酵させたことを特徴とする堆肥。
【請求項４】醗酵温度がほゞ頂点に近い温度に達した
時点で鶏糞、牛糞、豚糞等の糞を混入したことを特徴と
する請求項１，２または３記載の堆肥。