JPH09288195A - 放射性炭素および放射性ヨウ素の同時分離方法 - Google Patents

放射性炭素および放射性ヨウ素の同時分離方法

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JPH09288195A
JPH09288195A JP8100129A JP10012996A JPH09288195A JP H09288195 A JPH09288195 A JP H09288195A JP 8100129 A JP8100129 A JP 8100129A JP 10012996 A JP10012996 A JP 10012996A JP H09288195 A JPH09288195 A JP H09288195A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】各種放射性核種を含む放射性廃液から放射性炭
素と放射性ヨウ素を同時に分離することができ、作業の
省力化、迅速化を図ることができる方法を提供する。 【解決手段】 放射性炭素と放射性ヨウ素を他の放射性
核種とともに含む放射性廃液を反応管1に採取しこれに
硝酸を添加して酸性化したのち加熱することにより、放
射性炭素はCO2 として、放射性ヨウ素はI2 として放
射性廃液から同時に気化分離させる。この気化物を亜硫
酸ナトリウム水溶液を収容した1段目吸収管2に通して
2 を亜硫酸ナトリウム水溶液に吸収させてNaIとし
て回収し、1段目吸収管を通過した気化物を引き続き水
酸化ナトリウム水溶液を収容した2段目吸収管3に通し
てCO2 を水酸化ナトリウム水溶液に吸収させてNa2
CO3 として回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、放射性炭素と放
射性ヨウ素を他の放射性核種とともに含む放射性溶液、
例えば使用済核燃料の再処理施設や放射性同位元素使用
施設から発生する放射性廃液等から、放射性炭素
14C)および放射性ヨウ素( 129I)を同時にかつ効
率よく他の放射性核種から分離することができる方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】使用済核燃料の再処理施設や原子力発電
所等の原子力施設から発生する放射性廃液、さらには放
射性同位元素を取扱う各種施設から発生する放射性廃液
には、放射性炭素および放射性ヨウ素が核分裂生成物等
の他の放射性核種と共に含まれている。
【0003】かような放射性廃液から放射性炭素および
放射性ヨウ素を分離する方法は、それぞれを単一成分と
して沈殿生成法あるいは溶媒抽出法により他の放射性核
種から分離する方法が従来から採用されている。
【0004】すなわち、本願出願人である動力炉・核燃
料開発事業団で従来から行なわれている放射性炭素の分
離方法においては、放射性廃液中に水酸化バリウム(B
a(OH)2 )飽和水溶液を添加して廃液中に炭酸イオ
ンとして存在する14Cを、炭酸バリウム(BaCO3
として沈澱させる。この沈殿をデカンテーションにより
洗浄して 129I等の他の放射性核種の大部分を除去した
後、硝酸を添加することにより炭酸バリウムを分解して
CO2 ガスを発生させる。反応管に窒素ガスを流すこと
により、反応管中のCO2 ガスと置換させ、このCO2
ガスを水酸化ナトリウムに吸収させて炭酸ナトリウム
(Na2 CO3 )として他の放射性核種から分離する。
一方、放射性ヨウ素を分離するには、放射性廃液中に亜
硫酸ナトリウム(Na2 SO3 )を添加して廃液中に含
まれるヨウ素酸イオン(IO3 - )をヨウ素イオン(I
- )に還元した後、さらに過酸化水素(H2 2 )を添
加してヨウ素(I2 )に酸化する。かくして得られたI
2 を含む水相に、四塩化炭素(CCl4 )を加えてI2
を四塩化炭素に抽出せしめたのち四塩化炭素相を分取
し、これに亜硫酸ナトリウムを添加してI2 をI- とし
て亜硫酸ナトリウム中に逆抽出させることにより、放射
性ヨウ素を分離する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】放射性炭素と放射性ヨ
ウ素の両核種をそれぞれ単一成分で放射性廃液から分離
する上述したような従来の方法は、以下のような欠点が
あった。 1)試料の前処理等の他の放射性核種との分離操作が複
雑で、所要時間が長く、手間が掛かって作業者の負担が
大きい。 2)決められた短時間内に両核種の分離回収を行ない、
分析を行なうためには、グローブポックスが2台必要と
なり、作業者も最低2名必要となる。 3)四塩化炭素等の有害な薬品を使用しなければならな
い。 4)抽出剤や沈殿剤等の薬品が数種類必要となる。
【0006】そこでこの発明は、上述したごとき従来の
方法における欠点を解消し、作業の省力化、迅速化を図
ることができる放射性廃液から放射性炭素と放射性ヨウ
素を同時に分離することができる方法を提供することを
目的としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、放射性廃
液中の放射性炭素および放射性ヨウ素が酸性領域下で選
択的に熱により分解されて気化する特性を利用すること
により、これらをガスとして他の放射性核種から同時に
分離できることを見出し、この発明を完成させたもので
ある。
【0008】すなわちこの発明による放射性炭素および
放射性ヨウ素の同時分離方法は、放射性炭素と放射性ヨ
ウ素を他の放射性核種とともに含む放射性廃液に硝酸を
添加して酸性化したのち加熱することにより、放射性炭
素はCO2 として、放射性ヨウ素はI2 として放射性廃
液から同時に気化分離させ、この気化物を亜硫酸ナトリ
ウム水溶液を収容した1段目吸収管に通してI2 を亜硫
酸ナトリウム水溶液に吸収させてNaIとして回収し、
1段目吸収管を通過した気化物を引き続き水酸化ナトリ
ウム水溶液を収容した2段目吸収管に通してCO2 を水
酸化ナトリウム水溶液に吸収させてNa2 CO3 として
回収することを特徴とするものである。
【0009】前記の放射性廃液中の放射性ヨウ素は、廃
液組成によってはヨウ素イオン(I- )とヨウ素酸イオ
ン(IO3 - )の形態で1:1の割合で存在している場
合がある。この場合には、放射性廃液に亜硝酸ナトリウ
ムを添加してIO3 - をI-に還元した後、この放射性
廃液に硝酸を添加して酸性化し、I2 に酸化して気化さ
せる。
【0010】放射性ヨウ素( 129I)の気化反応は、下
記の通りである。 2IO3 - 129I)+2H+ +5HNO2→ 5HN
3 +2H2 O+I2 129I)↑ 2I- 129I)+2H+ +HNO3→ HNO2 +H
2 O+I2 129I)↑ 2I- 129I)+2H+ +2HNO2→ 2NO+2
2 O+I2 129I)↑
【0011】一方、放射性廃液中の放射性炭素は、炭酸
塩の形態で存在するので、硝酸で酸性にしてCO2 とし
て気化させる。放射性炭素(14C)の気化反応は、下記
の通りである。 Na2 CO3 14C)+2HNO3→ 2NaNO3
2 O+CO2 14C)↑
【0012】かくして放射性廃液から分離したI2 およ
びCO2 からなる気化物を亜硫酸ナトリウム(Na2
3 )水溶液を収容した1段目吸収管に通すことによ
り、下記吸収反応に従って気化物中のI2 をNaIとし
て亜硫酸ナトリウム水溶液に吸収させて分離回収するこ
とができる。 I2 129I)↑+Na2 SO3 +H2 O→ 2NaI
129I)+SO4 2-+2H+
【0013】かくしてI2 を分離除去した気化物を、次
いで水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を収容した2
段目吸収管に通すことにより、下記吸収反応に従ってC
2をNa2 CO3 として水酸化ナトリウム水溶液に吸
収させて分離回収することができる。 CO2 14C)↑+NaOH→Na2 CO3 14C)+
2
【0014】1段目でI2 を吸収させ、2段目でCO2
を吸収させる理由は、分離回収した14Cを定量する際
に、 129Iのβ線スペクトルが14Cのβ線スペクトルと
重なってしまい正確な定量ができなくなるため、1段目
の吸収管で 129Iを完全に吸収除去する必要があるから
である。
【0015】
【発明の実施の形態】図1はこの発明を実施するに際し
て好ましく使用できる装置を示している。この装置は、
反応管1と、1段目吸収管2と、2段目吸収管3とから
構成されている。反応管1には三方コック4を備えた注
入管が挿入されており、この三方コックには硝酸注入用
の注射器5と流量バルブ6を備えた窒素ガス注入管7と
が接続されている。この反応管1は、水をいれたビーカ
ー8に浸漬されていて、ビーカーは加熱器9で所望の温
度に加熱できるようにされている。また反応管1と1段
目吸収管2、および1段目吸収管2と2段目吸収管3
は、連結管10、11によりそれぞれ連結されている。
【0016】この装置を用いてこの発明を実施する際の
操作を以下に図面を参照して説明する。先ず、放射性廃
液の試料を反応管1に採取して亜硝酸ナトリウム水溶液
を添加した後、この反応管をビーカ−8内に図示のよう
にセットする。次いで、l段目吸収管2に亜硫酸ナトリ
ウム水溶液を、2段目吸収管3に水酸化ナトリウム水溶
液をそれぞれ採取して図示のようにセットする。硝酸を
採取した注射器5を反応管1の三方コック4にセット
し、窒素ガス注入管7から窒素ガスを反応管1内に流
す。この状態で、注射器5から硝酸を滴下して試料中の
放射性ヨウ素および放射性炭素を選択的に分解、気化さ
せる。この反応は、硝酸添加の初期に激しく起きて発泡
するため、反応を見ながら徐々に硝酸を滴下する。硝酸
滴下が終了した後、加熱器9のスイッチを入れて約90
℃になるまで30分間加熱する。発生した気化物は窒素
ガスで置換することにより、連結管10を介して反応管
1から1段目吸収管2へ、さらには連結管11を介して
2段目吸収管3へ導入させる。気化物中の放射性ヨウ素
は1段目吸収管2で亜硫酸ナトリウム水溶液に吸収され
て分離回収される。次いで、放射性ヨウ素が分離除去さ
れた気化物はさらに2段目吸収管3へ導入され、ここで
放射性炭素が水酸化ナトリウム水溶液に吸収されて分離
回収される。
【0017】放射性ヨウ素の分離回収率は、1段目吸収
管2の亜硫酸ナトリウム水溶液中のヨウ素イオン濃度と
当初試料中のヨウ素イオン濃度をイオンクロマト装置で
測定することにより算出することができる。同様に、放
射性炭素の分離回収率は、2段目吸収管3の水酸化ナト
リウム水溶液中の炭酸イオン濃度と当初試料中の炭酸イ
オン濃度をイオンクロマト装置で測定することにより算
出できる。また、分離回収した亜硫酸ナトリウム水溶液
中の 129I放射能濃度(Bq/ml)は、γ核種分析装置
を用いて測定することができ、一方、分離回収した水酸
化ナトリウム水溶液中の14C放射能濃度は液体シンチレ
ーションカウンタを使用して測定できる。
【0018】
【実施例】図1に示した分離回収装置を用いて、使用済
核燃料再処理施設から発生した放射性濃縮廃液中の 129
Iおよび14Cを分離回収した。反応管1は直径16.5
mm×長さ100mmのガラス製とし、吸収管2、3は直径
10mm×長さl00mmのガラス製とし、連絡管10、1
1は直径0.8mmのテフロン(登録商標)製チューブか
ら作製した。
【0019】廃液試料の1mlを反応管1に採取し、さら
にこの反応管1に亜硝酸ナトリウム水溶液(50g/
l)0.1mlを添加した後、ビーカー8内にセットし
た。また1段目吸収管2に亜硫酸ナトリウム水溶液
(0.5M)を6.0ml採取し、2段目吸収管3に水酸
化ナトリウム水溶液(2N)を6.0ml採取して、それ
ぞれ装置にセットし、窒素ガス注入管7から窒素ガスを
流した。次いで、注射器5に硝酸を2ml採取して三方コ
ック4にセットし、硝酸をゆっくり反応管1内に滴下し
た後、加熱器9で90℃になるまで30分間加熱して試
料中の 129Iおよび14CをそれぞれI2 ガスおよびCO
2 ガスとして気化させた。この気化物を窒素ガスと置換
させることにより気化物を1段目吸収管2さらには2段
目吸収管3へ導入し、1段目吸収管2では亜硫酸ナトリ
ウム水溶液にI2 ガスを吸収させ、2段目吸収管3では
水酸化ナトリウム水溶液にCO2 ガスを吸収させること
により、 1 29Iおよび14Cをそれぞれ分離回収した。
【0020】1段目吸収管2中の亜硫酸ナトリウム水溶
液の約2mlを試料ビンに採取してγ核種分析装置で 129
I放射能を測定した。また、残りの亜硫酸ナトリウム水
溶液を用いてイオンクロマト装置によりヨウ素イオン濃
度を測定し、当初試料中のヨウ素イオン濃度に対する割
合から 129I分離回収率を算出した。
【0021】一方、2段目吸収管3中の水酸化ナトリウ
ム水溶液の約2mlを試料ビンに採取して液体シンチレー
ションカウンタで14C放射能を測定した。また、残りの
水酸化ナトリウム水溶液を用いてイオンクロマト装置に
より炭酸イオン濃度を測定し、当初試料中の炭酸イオン
濃度に対する割合から14C分離回収率を算出した。
【0022】試料である放射性濃縮廃液として、中レベ
ル放射性濃縮廃液(MAW)と低レベル放射性濃縮廃液
(LAW)を使用し、それぞれにつき上記の操作を5回
繰り返して放射能濃度および分離回収率の平均値を求め
た。結果を表1に示す。
【0023】
【0024】なお表1中の変動率(%)は、5回の試験
で得られた放射能濃度平均値と標準偏差をもとに、標準
偏差(1σ)を放射能濃度平均値で除して百分率で示し
たものであり、測定される放射能濃度に対する相対的な
誤差(%)を表わしている。
【0025】
【発明の効果】以上の説明からわかるようにこの発明に
よれば、核分裂生成物等の各種の放射性核種を含む放射
性廃液から簡単な操作で放射性炭素と放射性ヨウ素の2
成分を他の放射性核種からの妨害なく同時に気化、分離
でき、この気化物を別個の吸収液に吸収させることによ
りそれぞれの成分を効率よく分離回収することができ
る。
【0026】また放射性炭素と放射性ヨウ素の気化物を
吸収液に吸収させるに際して、1段目の吸収管で放射性
ヨウ素気化物を吸収分離することによって、2段目の吸
収管で放射性炭素気化物を吸収した水酸化ナトリウム水
溶液の放射性炭素のβ線(156 Kev)を測定する際
に、ヨウ素のβ線(154 Kev)の妨害を受けることな
く正確な測定が可能となる。
【0027】上述したようにこの発明の方法は、簡単な
操作で効率よく実施できるため、放射性炭素および放射
性ヨウ素の分離回収操作をそれぞれ別個に行なっていた
従来の方法に比べて、分析所要時間が例えば180分か
ら45分に短縮でき、グローブボックス内操作時間も例
えば165分から15分に短縮できた。また、従来の方
法では2名の分析作業員と2台のグローブボックスが必
要であったが、この発明の方法では1名の作業員と1台
のグローブボックスで行なうことができる。
【0028】さらにまた、従来の方法では四塩化炭素を
抽出溶媒に使用して有害で処理困難な二次廃液を発生さ
せていたが、この発明の方法ではかような二次廃液が発
生することがない。またこの発明の方法は、単純な器具
構成の分離回収装置を使用して実施できるため、グロー
ブボックス以外に遠隔での操作にも適用することが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の方法を実施するために好ましく使
用できる装置の1例を示す説明図である。
【符号の説明】
1: 反応管 2: 1段目吸収管 3: 2段目吸収管 4: 三方コック 5: 注射器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C02F 1/72 ZAB C02F 1/72 ZABZ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射性炭素と放射性ヨウ素を他の放射性
    核種とともに含む放射性溶液に硝酸を添加して酸性化し
    たのち加熱することにより、放射性炭素はCO2 とし
    て、放射性ヨウ素はI2 として放射性溶液から同時に気
    化分離させ、この気化物を亜硫酸ナトリウム水溶液を収
    容した1段目吸収管に通してI2 を亜硫酸ナトリウム水
    溶液に吸収させてNaIとして回収し、1段目吸収管を
    通過した気化物を引き続き水酸化ナトリウム水溶液を収
    容した2段目吸収管に通してCO2を水酸化ナトリウム
    水溶液に吸収させてNa2 CO3 として回収することを
    特徴とする放射性炭素および放射性ヨウ素の同時分離方
    法。
  2. 【請求項2】 前記放射性溶液に亜硝酸ナトリウムを添
    加してIO3 - として含まれる放射性ヨウ素をI- に還
    元した後、この放射性溶液に硝酸を添加して酸性化する
    ことを特徴とする請求項1記載の放射性炭素および放射
    性ヨウ素の同時分離方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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