JPH09284774A - 符号化装置、復号化装置及び伝送システム - Google Patents

符号化装置、復号化装置及び伝送システム

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JPH09284774A
JPH09284774A JP8851396A JP8851396A JPH09284774A JP H09284774 A JPH09284774 A JP H09284774A JP 8851396 A JP8851396 A JP 8851396A JP 8851396 A JP8851396 A JP 8851396A JP H09284774 A JPH09284774 A JP H09284774A
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茂 福永
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 復号化装置の受信能力によって、符号化効率
にばらつきがあった。 【解決手段】 復号化装置から通知される、符号化デー
タについての各時点の受信結果に基づいて、復号化装置
の受信能力を推定し、当該推定結果に基づいて、予測符
号化の際に基準とする参照データを適応的に更新するよ
うにする。これにより、各復号化装置の受信能力に応じ
て参照データを更新することができるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像伝送システム、
画像符号化装置及び画像復号化装置に関し、例えば、画
像伝送におけるフレーム欠落やコマ落としなどによる画
像品質低下に対する改善に適用し得るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、テレビ電話システム、テレビ会議
システム又は、ビデオオンデマンド(VOD:Video On
Demand)システムなどといった、ネットワークを伝送
路とする画像信号の伝送システムが普及しつつあり、こ
れに伴い、画像符号化方法の国際標準化作業が進められ
ている。
【0003】画像符号化方法は、フレーム内符号化とフ
レーム間符号化とを併用するものと、フレーム内符号化
のみを使用するものの2種類に分類することができる。
【0004】このうち、フレーム内符号化方式とフレー
ム間符号化方式とを併用するものは、ITU−T勧告
H.261やMPEG(Moving Picture Experts Group)な
どの動画像通信/蓄積用の符号化方式に適用されてい
る。図2は時間順に並べたフレームの例を示すものであ
る。ITU−T勧告H.261では、図2のように、定期的
にフレーム内符号化(Iフレームa、i)を行うが、そ
の間のPフレーム(フレーム間符号化フレーム)(b〜
h、j〜)に対する前フレームを参照画像としたフレー
ム間符号化を行うことにより、時間的変化に関わる冗長
度を除いている。以下、フレーム内符号化したフレーム
をIフレームと呼び、フレーム間符号化したフレームを
Pフレームと呼ぶことにする。
【0005】一方、フレーム内符号化のみを使用するも
のは、JPEG(Joint Photographic Coding Experts
Group )などの静止画用符号化方式を連続利用し、図3
のように、全フレームに対してフレーム内符号化を行
う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】H.261は、前フレーム
を参照してフレーム間符号化を行うため、全フレームが
確実に順序良く伝送される必要がある。電話回線やIS
DN回線のように相手との回線を確立してからデータ伝
送を行う場合には、データが途中で欠落することなく順
次相手に届くので問題はないが、イーサネットなどのL
ANやATMでは回線を確立せず、小さなデータ単位
(パケットやセル)に分割して伝送するため、パケット
が途中で欠落したり、経路の違いから順序が入れ替わっ
たりすることがある。
【0007】一般的にはこれを解決するために、送信側
でパケットに通し番号を付加して伝送し、受信側で順番
を並べ変えたり、到着確認や、届かなかったパケットの
再送要求を送信側に返送したりするプロトコル(TC
P:Transmission Control Protocol 等)を用いてネッ
トワークの信頼性を向上させている。
【0008】しかしながら、ネットワークの動作が不安
定でパケットが頻繁に欠落するような場合には、上記プ
ロトコルを用いて再送処理を行うと遅延が蓄積されるの
で、動画像のリアルタイム伝送には不適切である。特に
新しい画像データが表示可能であるのなら、古いデータ
をわざわざ再送して表示するよりも、コマ落としになっ
ても新しいデータを表示した方が良い場合もある。
【0009】また、多地点へデータを伝送する際に使用
するブロードキャストやマルチキャストは、1回のパケ
ット送信で複数地点へデータを伝送するための仕組みで
ある。ところが、この仕組みにおいて、1地点へのパケ
ット伝送時に欠落が生じた場合に、上述のプロトコルの
ような再送処理を行うと、他地点のネットワークについ
ては、最初のパケットが正常に到着しているにも関わら
ず、同じパケットを再送しなければならないので、ネッ
トワークの負荷が著しく上昇してしまう。そこで、ブロ
ードキャストやマルチキャストでは再送処理を行わない
プロトコル(UDP:User Datagram Protocol等)を使
用するのが普通であり、パケットの欠落が発生する確率
が高くなっている。
【0010】また、無線ネットワークを利用する場合に
は、パケット分割して伝送する場合だけでなく、回線を
確立して伝送する場合であってもデータの誤り率や欠落
率が高くなる傾向にある。特に、受信側で誤りを検出し
ても、誤り訂正能力以上の誤りがのっている場合は、他
の部分を正常に処理するためにある区間のデータを廃棄
する方法も採られるため、データ欠落は有線ネットワー
クと比較して大きい。
【0011】この他、送受信端末間の処理速度は必ずし
も一致しないという問題もある。例えば、受信端末の処
理速度の方が遅い場合、全画像フレームを復号処理して
表示すると、処理待ちのフレームデータが蓄積され、遅
延が大きくなる。そこで、このような場合には、受信側
が適応的にコマ落としをする必要がある。ところが、従
来の手法でフレームをフレーム間符号化すると、前フレ
ームの復号データがない場合には、現フレームを復号で
きず、コマ落しが自由に行えないという問題があった。
【0012】図4にH.261の場合のフレーム欠落の例を
示す。ここで、フレームeが途中で欠落したり、処理が
間に合わずに復号できなかった場合、次のIフレームi
が到着するまでは、その間のPフレーム(f、g、h)
は復号できない。
【0013】そこで、従来はこのようなフレームの欠落
やコマ落しが頻繁に発生するネットワークにおいて全フ
レームを確実に伝送するには、フレーム間符号化を用い
ず、全フレームをフレーム内符号化だけで伝送するJP
EGのような方法を採用していた。例えば、図5に示す
JPEGによる符号化方法の場合には、フレームeが欠
落しても、次のフレームから正常に復号が可能である。
しかしながら、この場合に、フレーム間符号化をしない
ので、時間的な変化の冗長度が除かれず、符号化効率が
悪く伝送データ量が大きいという問題があった。
【0014】以上のようなことから、フレームの欠落や
コマ落としの発生が見込まれる環境下でも、後に送られ
てくるIフレームを待つことなくPフレームを復号する
ことができ、加えて、マルチポイント伝送時においても
符号化効率の低下を抑えることのできる符号化・復号化
装置の実現が求められている。
【0015】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め、本発明においては、ある時点における被伝送データ
を基準に、それ以降に伝送する各時点の被伝送データを
予測符号化し、当該符号化データを復号化装置へ伝送す
る符号化装置において、以下のようにしたことを特徴と
する。
【0016】すなわち、復号化装置から通知される、符
号化データについての各時点の受信結果に基づいて、復
号化装置の受信能力を推定する推定手段と、当該推定手
段による推定結果に基づいて、予測符号化の際に基準と
する参照データを適応的に更新する参照データ更新手段
とを設けたことを特徴とする。
【0017】本発明の符号化装置においては、各復号化
装置の受信能力に応じて参照データを更新することにな
るので、伝送対象である被伝送データに比して適切な参
照データを常に選択することが可能となり、伝送対象に
応じた符号化が実現できる。また、不適切なデータが参
照データとして選択される機会を低減できるので、符号
化効率を高く保つことができる。
【0018】また、本発明においては、伝送路を介して
受信された符号化データを順次復号化する復号化装置に
おいて、以下のようにしたことを特徴とする。
【0019】すなわち、自己の受信能力について変更要
求があったとき又は、受信能力に変更があったとき、符
号化データを送出する符号化装置に対して、自己に生じ
る又は生じた受信能力の変更を通知する送信手段を設け
るようにする。
【0020】本発明の復号化装置においては、符号化装
置側に対して、自己の受信能力の変更を通知できるた
め、符号化装置における適応的な符号化処理を実現する
ことができるようになる。
【0021】そして、これら符号化装置や復号化装置を
用いて伝送システムを構築し、符号化効率の高いシステ
ムを実現する。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、動画像のマルチ
ポイント伝送に適用する場合についての第1の実施形態
を、図面を参照しながら説明する。
【0023】(A)第1の実施形態 本実施形態に係る伝送システムの送信端末は、マルチポ
イント伝送の際、フレームが正常に受信できた(又は異
常である)ことを送信端末側に知らせるため各受信端末
が送信する復号異常有無信号(以下、確認信号という)
を利用して各受信端末の受信能力を推定し、受信能力に
差がある場合には、次フレームを受信するであろう対象
端末を限定し、これに応じた参照フレームの選定及び更
新を行う機能を設けた点を特徴とする。
【0024】また、本実施形態に係る伝送システムの受
信端末は、自端末を対象としない符号化データに対して
は復号処理を行わないようにする機能と、ユーザから自
端末の受信能力の変更要求を受けた場合にそれを送信端
末側に送信する機能とを設けた点を特徴とする。
【0025】すなわち、本実施形態に係る伝送システム
は、受信端末の能力に応じて参照フレームを適応的に更
新する機能を備えたことを特徴とする。
【0026】続いて、伝送システムを構成する送信端末
と受信端末の構成を説明する。
【0027】(A−1)動画像符号化装置100の構成 図1は、本実施形態に係る伝送システムを構成する送信
端末の一例としての動画像符号化装置100の構成例を
示す機能ブロック図である。
【0028】動画像入力部101は、カメラ等から入力
された動画像データをフレーム毎に符号化部102へ渡
す手段である。
【0029】符号化部102は、入力されたフレームデ
ータを符号化する手段であり、復号化部103と符号デ
ータ送信部107に送る。符号化に際しては、Intra/I
nter判断部106の指示に従って、フレーム内符号化と
フレーム間符号化とを切り替えて行う。ここで、Intra
はフレーム内符号化を表し、Interはフレーム間符号化
を表す。フレーム間符号化時には、参照フレームメモリ
105にあるフレームデータを参照して符号化する。
【0030】復号化部103は、符号化データを再度復
号化し、復号したフレームデータをフレームメモリ10
4にフレーム番号と共に書き込む手段である。
【0031】フレームメモリ104は、毎フレームデー
タを記憶する媒体であり、参照フレーム更新部113に
よって参照フレームが更新されるごとに不要になったデ
ータが消去される。
【0032】参照フレームメモリ105は、フレーム間
符号化に使用する参照フレームデータを記憶する媒体で
あり、参照フレーム更新部113によって更新される。
【0033】Intra/Inter判断部106は、フレーム内
符号化を行うか、フレーム間符号化を行うかを判断する
手段である。通常は、定期的(例えば、30フレームご
と)にフレーム内符号化を行い、その他の期間はフレー
ム間符号化を行うが、受信側(後述する動画像復号化装
置200)からリフレッシュ信号を受信した場合は、強
制的にフレーム内符号化を行う。フレーム内符号化と判
断した場合は、符号化部102と参照フレーム更新部1
13へその旨を通知する。
【0034】符号データ送信部107は、符号化された
動画像データを受信側(動画像復号装置200)へ送信
する手段である。データにはIntra/Interを表すフラグ
や参照フレーム番号などを多重する。また、必要に応じ
て送信元情報や送信先情報なども多重して伝送する。マ
ルチポイント伝送を行っている場合は、全受信端末へ全
データを送信する。対象端末限定部111から一部の端
末に限定された場合は、その端末にのみ送信しても良
い。また、対象端末情報を多重して送信しても良い。
【0035】確認信号受信部108は、受信側(動画像
復号化装置200)がどのフレームを復号できたかの確
認信号を受信する手段であり、確認されたフレーム番号
を参照フレーム更新部113へ渡す。また、マルチポイ
ント伝送を行っている場合は、多地点受信記録部109
へ渡す。
【0036】多地点受信記録部109は、各受信端末が
現在までどのフレームを受信しているかや、符号化デー
タを送信して確認信号を受信するまでの伝搬遅延などの
過去の受信実績を各端末別に記録する手段であり、記録
されたデータを受信能力推定部110、対象端末限定部
111、参照フレーム選定部112へ渡す。なお、参照
フレーム選定部112が全受信端末が受信しているフレ
ームを参照フレームとして選定した場合は、それ以前の
古いデータは消去しても良いし、ある期間を決めて保存
しておいても良い。
【0037】受信能力推定部110は、多地点受信記録
部109に記録された過去の受信実績をもとに、各受信
端末の平均フレーム欠落の確率を算出し、受信能力(フ
レームレートやネットワークの伝搬遅延など)を推定す
る手段であり、推定結果を対象端末限定部111に渡
す。能力推定は、通信開始一定時間後に一度だけ行って
も良く、受信能力やネットワークの状態に変化のある場
合は、一定時間ごとに実行するようにしても良い。ま
た、受信側(動画像復号化装置200)から受信能力変
更要求があった場合は、その指示に伴い、受信能力推定
を行う。ただし、受信側からの受信能力変更要求が実現
困難と推定される場合は、その旨を受信側へ通知し、能
力変更を行わないようにしても良い。
【0038】対象端末限定部111は、受信能力推定部
110で推定された各端末の受信能力を基に、多地点受
信記録部109に記録された受信実績から次のフレーム
を受信する端末を限定する手段である。通常は、全端末
を受信対象とするが、明らかに受信能力に差があり、次
フレームは受信しないと予想される端末がある場合は対
象端末の限定を行ない、限定した対象端末データを参照
フレーム選定部112へ渡すと同時に、符号データ送信
部107へ渡す。
【0039】参照フレーム選定部112は、対象端末限
定部111で限定された端末の受信実績をもとに、最も
共通に受信しているフレームを参照フレームに選定する
手段であり、選定したフレーム番号を参照フレーム更新
部113へ渡す。
【0040】参照フレーム更新部113は、Intra/Int
er判断部106や確認信号受信部108、参照フレーム
選定部112からの指示に従い、参照フレームを更新す
る手段である。Intra/Inter判断部106からフレーム
内符号化の指示を受けた場合は、現フレームのデータを
フレームメモリ104から参照フレームメモリ105へ
コピーし、フレームメモリ104の全フレームデータを
消去する。また、確認信号受信部108からフレーム番
号を受けた場合は、その番号のフレームデータをフレー
ムメモリ104から参照フレームメモリ105へコピー
し、その番号以前のフレームデータをフレームメモリ1
04から消去する。マルチポイント伝送を行っている場
合は、参照フレーム選定部112からの指示に従い、そ
の番号のフレームデータをフレームメモリ104から参
照フレームメモリ105へコピーする。この時、対象端
末を限定されていない場合のみ、その番号以前のフレー
ムデータをフレームメモリ104から消去する。
【0041】(A−2)動画像復号化装置200の構成 図6は、本実施形態に係る伝送システムを構成する受信
端末の一例としての動画像復号化装置200の構成例を
示す機能ブロック図である。
【0042】符号データ限定受信部201は、符号化さ
れた動画像データを送信側(動画像符号化装置100)
から受信する手段である。符号化データとデータに多重
されているIntra/Interを表すフラグや参照フレーム番
号などを復号化部206へ渡し、必要に応じて多重され
ている送信元情報なども復号化部206に渡す。また、
参照フレーム番号を参照フレーム比較部202へ渡す。
さらに、マルチポイント伝送時に、対象端末情報が多重
されている場合は、その情報も参照フレーム比較部20
2へ渡す。ここで、自端末が対象とされていない場合
は、受信した符号化データを廃棄し、そのフレームに対
して復号化処理は行わない。
【0043】参照フレーム比較部202は、受信した参
照フレーム番号と参照フレームメモリ204に記憶され
ている自端末の参照フレーム番号とを比較し、参照フレ
ーム番号が異なる場合には、参照フレーム更新部203
へ参照フレーム更新要求を通知し、新しい参照フレーム
番号を渡す。また、対象端末情報がある場合はそれも渡
す。
【0044】参照フレーム更新部203は、参照フレー
ム比較部202から更新要求を受けると、フレームメモ
リ205から新しい参照フレーム番号のデータを読み込
み、参照フレームメモリ204へフレーム番号と共に書
き込み更新する。この時、対象端末が限定されていない
場合は、フレームメモリ上の古いフレームデータを消去
する。
【0045】参照フレームメモリ204は、フレーム間
復号に使用する参照フレームデータを記憶する媒体であ
り、参照フレーム更新部203と復号化部206によっ
て更新される。
【0046】フレームメモリ205は、復号したフレー
ムデータを記憶する媒体である。
【0047】復号化部206は、入力された符号化デー
タを復号化する手段であり、復号化データ動画像出力部
208に送る。復号に際して、Iフレームの場合は、復
号化データをフレーム番号と共に参照フレームメモリ2
04へ書き込み参照フレームを更新する。また、Pフレ
ームの場合は、参照フレームメモリ205のデータを参
照して復号し、復号データをフレーム番号と共にフレー
ムメモリ205へ書き込む。また、復号に成功した場合
は、フレーム番号を確認信号送信部207へ渡す。
【0048】確認信号送信部207は、どのフレームを
復号できたかの確認信号を送信側(動画像符号化装置1
00)へ送信する手段であり、復号化部206から受け
たフレーム番号も合わせて送信する。
【0049】動画像出力部208は、復号化部206か
ら受けた復号データをモニタなどに出力する手段であ
る。
【0050】リフレッシュ信号送信部209は、ユーザ
からのリフレッシュ要求に従い、送信側(動画像符号化
装置100)へリフレッシュ信号を送信する手段であ
る。
【0051】受信能力変更要求手段210は、送信側で
推定された当受信端末の受信能力に対して、ユーザから
変更の要求がある場合、送信側(動画像符号化装置10
0)へ受信能力変更要求を送る手段である。ここで、ユ
ーザからの要求が受信端末の能力を越える場合は、ユー
ザへその旨通知し、変更要求を送らないようにしても良
い。
【0052】(A−3)マルチポイント伝送時の動作 次に、マルチポイント伝送時における動画像符号化装置
100と、動画像復号化装置200との動作例を説明す
る。ここでは、これら両装置100及び200の動作状
態を、通信開始からしばらくの期間と、その後の期間と
の2つの期間に分けて説明する。なお、この説明では、
動画像符号化装置100に接続されている動画像復号化
装置200の台数は2台であるものとし、それぞれを受
信端末A及びBとして表すものとする。
【0053】まず、通信開始からしばらくの間における
動作例を説明する。なお、この時期における動画像符号
化装置100は、同装置に接続されている受信端末の能
力を未だ把握していない。このとき、動画像符号化装置
100は、各受信端末A及びBのそれぞれについて伝送
されてくる確認信号(又は、リフレッシュ信号)を基
に、受信端末A及びBの両方について画像が正常に受信
されたことが通知された場合のみ参照フレームを更新す
るように動作する。
【0054】すなわち、図7に示すように、フレーム
a、e、iについてのみ参照フレームの更新を行い、他
のフレームb、c、d、f、g、h、j、kのそれぞれ
については、各時点で参照フレームとして記憶されてい
るフレームを基準に符号化する。図7の例で言えば、フ
レームb、c、dについてはフレームaを基準に、フレ
ームf、g、hについてはフレームeを基準に……、と
言った具合である。
【0055】従って、この期間においては、受信能力が
相対的に低い受信端末Bに合わせて参照フレームが更新
され、各フレームの符号化が行われる。
【0056】これにより、フレームの欠落等に備えて全
フレームをフレーム内符号化する必要をなくし得ると共
に、後続するIフレームを待たずにPフレームを復号す
ることが可能になるので、従来システムに比して高い伝
送効率が得られる。ただし、両受信端末A及びBが共に
正常に受信できるタイミングが著しくずれている場合
や、両受信端末の受信能力の差が大きい場合には、参照
フレームの更新回数が少なくなることが見込まれるの
で、いつまでもこの手法で符号化することは、符号化効
率を思ったほど向上できない場合がある。
【0057】そこで、用いられるのが、この通信開始か
らしばらくの間の期間に蓄積された過去の受信実績であ
り、この実績に基づいた各受信端末A及びBの受信能力
の推定によりフレームの符号化方法に修正を加える。
【0058】この受信能力の推定には、受信能力推定部
110が用いられる。この図7の場合、受信能力推定部
110は、受信端末Aについてはほぼ毎フレーム受信で
きるのに対し、受信端末Bについては平均的に4フレー
ムに1回しか受信できる能力しか有していないと推定す
る。
【0059】この結果に基づき、対象端末限定部111
は、受信端末Bについては、例えば、フレームeを受信
した後は4フレーム先のフレームiまで受信できないと
判断し、その間のフレームf,g,hは端末Aに対して
のみ符号化を行なうよう対象端末を限定する。
【0060】すなわち、受信端末Aは毎フレーム受信し
ているので、図8に示すように、参照フレームの更新も
毎フレーム行ない、両端末が共に受信し得ると判断した
フレームiを符号化するときだけ、両端末が共通に受信
しているフレームeに参照フレームを戻すように動作す
る。
【0061】これにより、受信端末Aに対する符号化効
率は、1対1通信時よりは落ちるものの、受信端末Bの
能力ほど悪くはならないため、通信開始からしばらくの
間の期間よりも一層、符号化効率が向上する。
【0062】さて、この符号化の途中で、フレーム欠落
が生じた場合を図9に示す。欠落が発生した場合(図中
のフレームc、e、i)、確認信号を受信した確認信号
受信部108がこれを検出し、参照フレームの更新を行
なうことなく次フレームの符号化を行わせる。これによ
り、欠落したフレームについても画質の劣化はあまり生
じない。
【0063】また、両受信端末の受信タイミングが合わ
ない時の場合を図10に示す。この場合、それぞれのフ
レームについて相手端末が限定されるため、それぞれの
受信端末に適した参照フレームの更新が実現されてお
り、両端末が共通に受信できるフレームのみを参照フレ
ームとする場合(図11の場合)に比して、符号化効率
の向上を実現できる。
【0064】(A−4)第1実施形態の効果 以上の構成によれば、各受信端末の受信結果に応じて参
照フレームの更新を制御し次フレームを符号化するた
め、受信端末側では次のIフレームが伝送されてくるの
を待たずに全フレームを復号でき、符号化効率を向上さ
せることができる。
【0065】また、送信端末に、受信端末毎の受信能力
を推定する機能を設けたことにより、受信端末の数が増
えても、各受信端末に適したフレームの符号化とデータ
の伝送を実現できる。
【0066】このことは、マルチポイント伝送時に効果
を発揮し、受信能力の異なる受信端末が1つの回線に接
続されていても、能力の低い受信端末の影響が少なく、
能力の高い受信端末については高い符号化効率を維持す
ることができる。
【0067】また、マルチポイント伝送時において、複
数の受信端末間の受信タイミングがずれた場合でも、そ
れぞれの端末に適した参照フレームの更新が可能であ
り、高い符号化効率を維持することができる。
【0068】(B)第2の実施形態 続いて、第2の実施形態を説明する。この第2の実施形
態と、第1の実施形態との違いは、送信端末側に、当該
送信端末から画像の伝送を受ける複数台の受信端末につ
いて、同等の受信能力を有する受信端末同士をグループ
化する手段と、同じグループに分類された受信端末に対
しては同じタイミングでフレームを送信するよう限定す
る手段とを加えた点であり、送信処理の負荷を軽減する
ことを特徴とする。
【0069】(B−1)動画像符号化装置300の構成 図12は、第2実施形態に係る動画像符号化装置300
の構成例を示す機能ブロック図である。なお、図12の
うち、図1との同一、対応部分には、同一、対応符号を
付して示し、説明は省略する。
【0070】受信能力推定部301は、第1の実施形態
において説明した受信能力推定部110と同等の機能を
有し、推定結果を対象端末限定部303へ渡すと同時
に、受信端末分類部302に渡す。
【0071】受信端末分類部302は、受信能力推定部
301で推定された受信能力をもとに、各受信端末を能
力別にグループ化する手段であり、分類結果を対象端末
限定部303へ渡す。
【0072】対象端末限定部303は、第1の実施形態
において説明した対象端末限定部111と同等の機能を
有し、さらに受信端末分類部302の分類結果をもと
に、同じグループに分類された受信端末に対しては常に
同じタイミングで限定する。これにより、同じグループ
に分類された受信端末に対しては、常に同時に符号化デ
ータの送信が保証される。
【0073】なお、受信端末側、すなわち、動画像復号
化装置の構成は、第1の実施形態のものと同じである。
【0074】(B−2)マルチポイント伝送時の動作 2つの受信端末の受信タイミングが合わないことによる
符号化効率の低下は、第1の実施形態に係る動画像符号
化装置100によっても回避できているが、この動画像
符号化装置100の場合には、同じタイミングで交互に
符号化と送信とが繰り返されるため、無駄が含まれる。
【0075】そこで、第2の実施形態における動画像符
号化装置300では、図13のように、同等の能力を有
する受信端末AとBとをグループ化し、同じタイミング
に合わせて送信するようにする。
【0076】このようにすると、送信端末側の無駄な処
理を省くことができ、処理効率を向上させることができ
る。
【0077】この例で、フレームの欠落が生じた場合を
図14に示す。この場合も、欠落が発生した場合は、参
照フレームの更新を行なわずにフレームの符号化を行な
うため、欠落による画質劣化はあまり生じない。また、
本実施形態では、同じグループに分類された受信端末に
ついては全く同じに扱われる。
【0078】(B−3)第2実施形態の効果 以上のように、本実施形態の場合にも、第1の実施形態
の場合と同様の効果が得られ、さらに加えて、第2の実
施形態に独自の効果として、次の2つが得られる。一つ
は、受信能力が同程度の受信端末は同じ様に扱うので、
符号化と送信処理のタイミングがずれるおそれがなくな
り、処理の無駄がないことであり、もう一つは、受信能
力が同程度の端末は同じ様に扱うので、対象端末限定処
理において、発生する端末の組み合わせが大幅に減り、
処理の簡素化を実現できることである。
【0079】(C)第3の実施形態 さらに、第3の実施形態を説明する。第3の実施形態
と、第1の実施形態との違いは、送信端末側に、当該送
信端末が記憶しているフレームデータに対して、過去に
おいてどの受信端末を対象として参照フレームに選定し
たかを記録する手段と、同受信端末の組合せを対象とし
ている古いフレームを不要なフレームとして選定する手
段と、選定したフレームデータをフレームメモリから消
去する手段と、不要フレーム番号を受信側へ送信する手
段とを備えた点と、受信端末側に、不要フレーム番号を
受信する手段と、不要フレームを消去する手段とを備え
た点である。以上の点で、本実施形態では、受信端末の
能力に応じて、参照フレームの候補となるフレームデー
タのうち不要なものを適応的に消去できるようにしたこ
とを特徴とする。
【0080】(C−1)動画像符号化装置400の構成 図15は、第3実施形態に係る動画像符号化装置400
の構成例を示す機能ブロック図である。なお、図15の
うち、図1との同一、対応部分には、同一、対応符号を
付して示し、説明は省略する。
【0081】受信能力推定部401は、第1の実施形態
で説明した受信能力推定部110と同等の機能を有し、
推定した受信能力を対象端末限定部402へ渡すと同時
に、不要フレーム選定部404へも渡す。
【0082】対象端末限定部402は、第1の実施形態
で説明した対象端末限定部111と同等の機能を有し、
限定した対象端末データを参照フレーム選定部112へ
渡すと同時に、対象端末記録部403へも渡す。
【0083】対象端末記録部403は、フレームメモリ
104に記録されたフレームデータが過去においてどの
端末を対象として参照フレームに選定されたかを記録す
る手段であり、記録したデータを不要フレーム選定部4
04へ渡す。なお、対象端末の記録には、専用のテープ
ルを用意しても良いし、フレームメモリ104のヘッダ
情報に追加するようにしても良い。
【0084】不要フレーム選定部404は、受信能力に
基づいて、記録されたフレームデータの中から、今後参
照フレームに選定されることのない、不要なフレームを
選定する手段であり、選定したフレーム番号を不要フレ
ーム消去部405へ渡す。また、受信側も対応している
場合は、不要フレーム番号送信部406へも渡す。
【0085】不要フレーム消去部405は、不要フレー
ム選定部404の指示に従って、フレームメモリ104
上の不要なフレームデータを消去する手段である。
【0086】不要フレーム番号送信部406は、必要に
応じて、受信側へ不要フレーム番号を送信する手段であ
る。
【0087】(C−2)動画像復号化装置500の構成 図16は、第3実施形態に係る動画像復号化装置500
の構成例を示す機能ブロック図である。なお、図16の
うち、図6との同一、対応部分には、同一、対応符号を
付して示し、説明は省略する。
【0088】不要フレーム番号受信部501は、必要に
応じて、送信側から不要フレーム番号を送信する手段で
あり、受信した番号を不要フレーム消去部502へ渡
す。
【0089】不要フレーム消去部502は、送信側の指
示に従って、フレームメモリ205上の不要なフレーム
データを消去する手段である。
【0090】(C−3)マルチポイント伝送時の動作 ここでは、第1の実施形態の動作説明に用いた図8の場
合を例に、第3実施形態に係る動作例を説明する。
【0091】対象端末記録部403では、図17のよう
に、各フレームがどの受信端末を対象として参照フレー
ムに採用されたかを記録する。この対象端末テープルを
もとに不要なフレームを不要フレーム選定部404で選
定する。
【0092】例えば、フレームaは受信端末AとBに参
照されているので、次に受信端末Aと受信端末Bの両方
に参照されるフレームeを符号化するまでは消去するこ
とができない。一方、フレームbは受信端末Aにだけ参
照されているので、同じく受信端末Aにだけ参照された
フレームcを符号化した後は消去しても良い。
【0093】このように、過去の限定端末を記録してお
くと、同じ端末を対象としているフレームは逐次、消去
することが可能となる。
【0094】ところが、単純にフレームbを消去する
と、次のような問題が生じることがある。例えば、受信
端末Bとの間の伝搬遅延が大きく、フレームbを受信し
たという受信端末Bからの確認信号がフレームdを符号
化処理する直前に遅れて届いたとする。このとき、フレ
ームデータを消去せずに残している場合は、図18のよ
うに、フレームbを参照してフレームdを符号化でき
る。しかし、上述のようにフレームcを符号化した時点
でフレームbを消去してしまった場合には、受信端末A
と受信端末Bがともにフレームbを受信しているにも関
わらず、図19のように、フレームaまで参照フレーム
を戻して符号化しなければならない。
【0095】そこで、本実施形態に係る不要フレーム選
定部404では、このような問題が生じないために、対
象端末テープルだけでなく、受信能力も参照して不要フ
レームを選定する。すなわち、受信端末Bの受信能力を
考慮してフレームbを消去するかどうかを決定する。
【0096】例えば、図8のように、受信端末Bは4フ
レームに1回しか受信しないことが推定されている場合
には、フレームbをすぐに消去する。一方、受信端末B
の確認信号の伝搬運延が大きいと推定されている場合に
は、最大伝搬遅延時間は待機して、フレームbを消去す
る。
【0097】(C−4)第3実施形態の効果 以上のように、本実施形態の場合にも、第1の実施形態
の場合と同様の効果が得られ、さらに加えて、第3の実
施形態に独自の効果として、次の2つが得られる。一つ
は、対象端末を限定された参照フレームを逐次消去する
ことができるので、メモリ容量を節約できることであ
り、もう一つは、受信能力を考慮して消去フレームを決
定するので、消去が早過ぎることがないとういうことで
ある。
【0098】(D)第4の実施形態 さらに、第4の実施形態を説明する。なお、ここでは、
第4の実施形態と第3の実施形態との相違点から当該第
4の実施形態を説明する。第4の実施形態と第3の実施
形態との違いは、送信端末側に、対象端末によってフレ
ームデータに重み付けを行なう手段と、重み付けに従っ
てフレームデータをフレームメモリから消去する手段と
を加えた点である。以上の点で、本実施形態では、メモ
リ容量の小さいシステムなどで、必要なフレームを消去
しなければならない場合に、重要なフレームデータほど
最後まで残すようにメモリ消去を制御できるという特徴
を有する。
【0099】(D−1)動画像符号化装置600の構成 図20は、第4実施形態に係る動画像符号化装置600
の構成例を示す機能ブロック図である。なお、図20の
うち、図15との同一、対応部分には、同一、対応符号
を付して示し、説明は省略する。
【0100】受信能力推定部601は、第3の実施形態
で説明した受信能力推定部401と同等の機能を有し、
推定した受信能力を対象端末限定部602と、不要フレ
ーム選定部404へ渡すのと同時に、フレーム重み付け
部603へも渡す。
【0101】対象端末限定部602は、第3の実施形態
で説明した対象端末限定部402と同等の機能を有し、
限定した対象端末データを参照フレーム選定部112
と、重み付け記録部604へ渡すと同時に、フレーム重
み付け部603へも渡す。
【0102】フレーム重み付け部603は、限定されて
いる対象端末の数や能力によって、フレームデータの重
要度を示す重みを算出する手段であり、算出した重みを
重み付け記録部604へ記録する。
【0103】重み付け記録部604は、第3の実施形態
で説明した対象端末記録部404と同等の機能を有する
とともに、フレーム重み付け部603で決定された各フ
レームの重みも記録する手段である。記録したデータを
不要フレーム選定部404へ渡すと同時に、必要フレー
ム消去部605へも渡す。
【0104】必要フレーム消去部605は、やむを得ず
必要なフレームデータの中からいずれかを消去する必要
がある時に、重み付け記録部604に記録してあるフレ
ームの重みに従って、フレームメモリ104上のフレー
ムデータを消去する手段である。また、受信側も対応し
ている場合は、不要フレーム番号送信部406へも渡
す。
【0105】なお、受信端末側、すなわち、動画像復号
化装置の構成については、第3の実施形態で説明した動
画像復号化装置16と同じである。
【0106】(D−2)マルチポイント伝送時の動作 さて、本実施形態に係る動画像符号化装置600では、
フレームメモリ容量が十分でないシステムなどにおい
て、やむを得ず必要なフレームデータを消去しなければ
ならない際に、重要でないフレームから効率良く消去で
きる機能に特徴があるので、この点を中心に説明する。
【0107】図21に、各フレームの重み付け例を示
す。なお、図21における受信端末Aでは毎フレームの
受信が行われており、受信端末Bでは1フレームおきの
受信が行われており、受信端末Cでは2フレームおきの
受信が行われている。
【0108】このとき、動画像符号化装置600は、第
3の実施形態の場合と同様、受信実績に基づいて対象端
末テープルを作成し、これに基づいて参照フレームを消
去するよう動作する。図21では、斜線部のフレームデ
ータが既に不要であるとして消去されている。
【0109】以上を前提として、動画像符号化装置60
0の動作を説明する。動画像符号化装置600は、ま
ず、各受信端末の重み付けを行なう。このとき、受信能
力の最も高い受信端末に重み1が付され、能力差やフレ
ームレートの割合いによって能力の低い端末ほど大きな
重みが付加される。図21の例では、受信端末Aを1と
し、受信端末Bを2、受信端未Cを3とする。
【0110】次に、各フレームで受信端末の重みの合計
を算出する。これがフレームの重みとなる。多くの受信
端末を対象としているフレームほど重みが大きく、また
能力の低い端末を対象としているほど重みが大きくな
る。これは、能力の高い端末ほど他のフレームで代用で
きるからである。
【0111】消去時には、重みの小さいフレームから順
に消去していく。同じ重みの場合は時間的に古いフレー
ムを消去する。
【0112】この規則でフレームの消去を管理すると、
時問的に古くても重要なフレームは最後まで消去される
ことがない。例えば、重みを考慮しないで時間だけを考
慮した場合は、図21の中において、最初に受信端末
A,B,Cの3つを対象としたフレームが消去されてし
まう。このような事態が生じると、後に受信端末A,
B,Cを対象として符号化を行なう際に、参照できなく
なる。
【0113】これに対して、本実施形態で示した規則に
従って、受信端末A,Bを対象としたフレームや、受信
端末A,Cを対象としたフレームを先に消去したとして
も、受信端末A,B,Cを対象としたフレームで代用で
きるので、影響が少ない。
【0114】(D−3)第4実施形態の効果 以上のように、本実施形態の場合にも、第1、第3の実
施形態の場合と同様の効果が得られ、さらに加えて、第
4の実施形態に独自の効果として、次の2つが得られ
る。一つは、重要度の低いフレームから消去するので、
フレームメモリ容量にスケーラブルな符号化効率が実現
でき、システムに合わせた画質を提供できるようになる
ことであり、もう一つは、全受信端末が受信している最
も重要なフレームは最後まで残るので、符号化に破綻が
生じ難いということである。
【0115】(E)他の実施形態 (E-1) なお、上述の第3及び第4の実施形態において
は、それぞれ第1の実施形態で説明したシステム構成を
基本構成とし、その相違点について説明したが、第2の
実施形態で説明したシステムを基本構成とする場合にも
応用可能であり、それぞれ、第2の実施形態で得られた
のと同様の効果を得ることができる。
【0116】(E-2) また、第3及び第4の実施形態にお
いては、送信端末側で不要と判断したフレーム番号を伝
送して受信端末側で消去する構成を示したが、これに限
定するものではない。すなわち、受信端末側で、送信端
末側と同様の処理を行ない不要フレームを選定しても良
い。
【0117】(E-3) さらに、これまでの説明では、フレ
ーム欠落を例にとり、フレーム毎に参照フレームを切替
える例を示したが、これに限定されるものではない。例
えば、フレームを複数のブロックに分割し、それぞれの
ブロック毎に欠落したかどうかを判定し、それぞれブロ
ック毎に参照フレームを切替えるようにしても良い。ブ
ロックを小さくするほど、欠落したり誤る割合いが減少
するので参照フレームの更新率が向上し、符号化効率も
向上する。
【0118】(E-4) また、これまでの説明では、フレー
ム内符号化時には参照フレーム更新部113がフレーム
メモリ104からフレームデータを参照フレームメモリ
105へコピーするように説明したが、これに限定する
ものではない。例えぱ、Intra/Inter判断部106から
のフレーム内符号化要求信号を復号化部103へ渡すよ
うにし、フレーム内符号化時には復号化部103から参
照フレームメモリ105へフレームデータを直接書き込
むようにしても良い。この場合、コピーする処理を省略
できる。
【0119】(E-5) また、これまでの説明では、参照フ
レームメモリとフレームメモリを別々に分けて記述、説
明したがこれに限定するものではない。1つのメモリ上
にフレームデータを書き込み、参照フレームはメモリ位
置を示すポインタなどで表すようにしても良い。この場
合、参照フレーム更新時にフレームメモリから参照フレ
ームメモリヘデータをコピーするする必要がなく、ポイ
ンタを移動させるだけで良い。
【0120】(E-6) さらに、これまでの説明では、確認
信号は、フレームを受信したことを通知する信号として
動作例を示したが、これに限定するものではない。すな
わち、確認信号は、フレームが受信できなかった時に受
信端末側から送信端末側に通知されるようにしても良
い。この場合、通常は確認信号は伝送されないので、送
信側では確認を待たずに次々と符号化を行なうことがで
きる。ここで、不受信信号を受けた時は、参照フレーム
を不受信フレームの1つ前に戻して符号化する。これに
より、受信側では受信できなかったフレームから数フレ
ームは復号不可能であるが、すぐに受信できているフレ
ームを参照したデータに切り替わるので、復号可能とな
る。
【0121】(E-7) また、これまでの受信端末側、すな
わち、動画像復号化装置の説明では、復号動作が終了し
てから確認信号を送信するような構成を説明したが、こ
れに限定するものではない。すなわち、符号データを受
信した時に、データが正常かどうか検査し、正常な場合
は確認信号を送信するようにしても良い。これにより、
確認信号を送信するタイミングが早くなり、確認信号の
伝搬遅延が縮小される。
【0122】(E-8) さらに、これまでの説明では、送信
端末1台に対して受信端末が複数台接続されたシステム
構成、すなわち、マルチポイント伝送を例に伝送動作を
説明したが、1対1の接続でも、ネットワークが込んで
いて受信確認に遅延が発生し参照フレームを毎フレーム
ごと更新できない場合にも適用できる。
【0123】(E-9) また、動画像符号化装置及び動画像
復号化装置のそれぞれを機能ブロックで表したが、かか
る機能を有すれば、ハードウェアによって実現しても、
ソフトウェアによって実現しても良い。
【0124】(E-10)さらに、これまでの説明では、被伝
送データを動画像データとして説明したが、これに限ら
ず、音声データでも、2値データでも良い。
【0125】(E-11)また、これまでの説明では、動画像
符号化装置と動画像復号化装置とで構成される伝送シス
テム一般について説明したが、勿論、蓄積媒体系の符号
化装置として用いても、復号化装置として用いても良
い。
【0126】
【発明の効果】上述のように、本発明の符号化装置によ
れば、復号化装置から通知される、符号化データについ
ての各時点の受信結果に基づいて、復号化装置の受信能
力を推定し、当該推定結果に基づいて、予測符号化の際
に基準とする参照データを適応的に更新するようにした
ので、各復号化装置の受信能力に応じて参照データを更
新することができるようになり、伝送対象である被伝送
データに比して適切な参照データを選択できるようにす
ることができる。これにより、符号化効率を高く保つこ
とができる。
【0127】また、本発明の復号化装置によれば、自己
の受信能力について変更要求があったとき又は、受信能
力に変更があったとき、符号化データを送出する符号化
装置に対して、自己に生じる又は生じた受信能力の変更
を通知できるので、符号化装置における適応的な符号化
処理を実現できるようになった。
【0128】従って、これら符号化装置や復号化装置を
用いて伝送システムを構築すれば、従来に比して符号化
効率の高いシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る動画像符号化装置を示す
機能ブロック図である。
【図2】勧告H.261に基づく符号化方式の説明図であ
る。
【図3】JPEGに基づく符号化方式の説明図である。
【図4】勧告H.261に基づく符号化時にフレーム欠落が
あった場合の説明図である。
【図5】JPEGに基づく符号化時にフレーム欠落があ
った場合の説明図である。
【図6】第1の実施形態に係る動画像復号化装置を示す
機能ブロック図である。
【図7】マルチポイント伝送開始直後の画像符号化例を
示す説明図である。
【図8】マルチポイント伝送開始から所定時間経過後に
おける画像符号化例を示す説明図である。
【図9】マルチポイント伝送時においてフレーム欠落が
あった場合の説明図である。
【図10】マルチポイント伝送時において受信タイミン
グにバラツキがあった場合の説明図である。
【図11】マルチポイント伝送時において受信タイミン
グにバラツキがあった場合の比較例を示す説明図であ
る。
【図12】第2の実施形態に係る動画像符号化装置を示
す機能ブロック図である。
【図13】マルチポイント伝送時の画像符号化例を示す
説明図である。
【図14】マルチポイント伝送時においてフレーム欠落
があった場合の説明図である。
【図15】第3の実施形態に係る動画像符号化装置を示
す機能ブロック図である。
【図16】第3の実施形態に係る動画像復号化装置を示
す機能ブロック図である。
【図17】対象端末テーブルを示す説明図である。
【図18】伝搬遅延が大きい場合の画像符号化例を示す
説明図である。
【図19】フレーム消去が早すぎる場合の画像符号化例
を示す説明図である。
【図20】第4の実施形態に係る動画像符号化装置を示
す機能ブロック図である。
【図21】対象端末テーブルの重み付け例を示す説明図
である。
【符号の説明】
100、300、400、600……動画像符号化装
置、101……動画像入力部、102……符号化部、1
03、206……復号化部、104、205……フレー
ムメモリ、105、204……参照フレームメモリ、1
06……Intra/Inter判断部、107……符号データ送
信部、108……確認信号受信部、109……多地点受
信記録部、110……受信能力推定部、111……対象
端末限定部、112……参照フレーム選定部、113、
203……参照フレーム更新部、200、500……動
画像復号化装置、201……符号データ限定受信部、2
02……参照フレーム比較部、207……確認信号送信
部、208……動画像出力部、209……リフレッシュ
信号送信部、210……受信能力変更要求手段、30
1、401、601……受信能力推定部、302……受
信端末分類部、303、402、602……対象端末限
定部、403……対象端末記録部、404……不要フレ
ーム選定部、405……不要フレーム消去部、406…
…不要フレーム番号送信部、501……不要フレーム番
号受信部、502……不要フレーム消去部、603……
フレーム重み付け部、604……重み付け記録部、60
5……必要フレーム消去部。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ある時点における被伝送データを基準
    に、それ以降に伝送する各時点の被伝送データを予測符
    号化し、当該符号化データを復号化装置へ伝送する符号
    化装置において、 前記復号化装置から通知される、前記符号化データにつ
    いての各時点の受信結果に基づいて、前記復号化装置の
    受信能力を推定する推定手段と、 前記推定手段による推定結果に基づいて、予測符号化の
    際に基準とする参照データを適応的に更新する参照デー
    タ更新手段とを備えたことを特徴とする符号化装置。
  2. 【請求項2】 前記参照データ更新手段は、 前記推定手段による推定結果に基づいて、次の時点で伝
    送される符号化データを復号する復号化装置を複数の中
    から限定する伝送対象限定手段と、 前記伝送対象限定手段が限定した復号化装置に適した参
    照データを選択する選択手段とを備え、前記選択手段に
    よる選択結果に応じて、前記参照データを適応的に更新
    することを特徴とする請求項1に記載の符号化装置。
  3. 【請求項3】 前記推定手段による推定結果に基づい
    て、同等の受信能力を有する復号化装置を分類し、同じ
    分類に属する復号化装置に対しては、同じタイミングで
    前記符号化データが伝送されるように前記参照データ更
    新手段における更新動作を制御する分類手段を備えたこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の符号化装
    置。
  4. 【請求項4】 参照データに選択される場合に備えて記
    憶されている被伝送データのそれぞれに対して、当該被
    伝送データが、過去において、どの復号化装置を伝送対
    象とするときに参照データとして選定されたかを記録す
    る記憶手段と、 前記記憶手段を検索し、復号化装置の組み合わせが同一
    の被伝送データが複数存在する場合には、これらのうち
    古い被伝送データを不要なデータであると選定する選定
    手段と、 選定された不要な被伝送データを、当該データを保持す
    る記憶手段より消去する消去手段とを備えたことを特徴
    とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の符号化
    装置。
  5. 【請求項5】 前記選定手段は、前記復号化装置の組み
    合わせが同一である古い被伝送データのうち、伝送対象
    である復号化装置に対する最大伝搬遅延時間を経過した
    データを、不要なデータであると選定することを特徴と
    する請求項4に記載の符号化装置。
  6. 【請求項6】 参照データに選択される場合に備えて記
    憶されている被伝送データのそれぞれに対して、当該被
    伝送データが、過去において、どの復号化装置を伝送対
    象とするときに参照データとして選定されたかを記録す
    る記憶手段と、 前記記憶手段に記憶されている各被伝送データについ
    て、重要度に応じて重みを付する重付手段と、 前記記憶手段から前記被伝送データを消去する必要が生
    じた場合、大きな重みが付されている被伝送データの順
    に消去する消去手段とを備えたことを特徴とする請求項
    1、請求項2又は請求項3に記載の符号化装置。
  7. 【請求項7】 前記重付手段は、各復号化装置のそれぞ
    れを、前記推定手段によって推定された受信能力に応じ
    て重み付け、各被伝送データの重みを、当該被伝送デー
    タを参照データとした符号化データを受信した復号化装
    置の重みの合計値で定義することを特徴とする請求項6
    に記載の符号化装置。
  8. 【請求項8】 伝送路を介して受信された符号化データ
    を順次復号化する復号化装置において、 自己の受信能力について変更要求があったとき又は、受
    信能力に変更があったとき、前記符号化データを送出す
    る符号化装置に対して、自己に生じる又は生じた受信能
    力の変更を通知する送信手段を備えたことを特徴とする
    復号化装置。
  9. 【請求項9】 請求項1〜請求項7のいずれかに記載し
    た符号化装置と、 請求項8に記載した復号化装置とを備えたことを特徴と
    する伝送システム。
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