JPH09283013A - 電子放出素子と電子放出素子用収束電極およびその製造方法 - Google Patents

電子放出素子と電子放出素子用収束電極およびその製造方法

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JPH09283013A
JPH09283013A JP11954696A JP11954696A JPH09283013A JP H09283013 A JPH09283013 A JP H09283013A JP 11954696 A JP11954696 A JP 11954696A JP 11954696 A JP11954696 A JP 11954696A JP H09283013 A JPH09283013 A JP H09283013A
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electron
electrode
emitting device
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focusing electrode
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JP11954696A
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Morio Hosoya
守男 細谷
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面伝導型電子放出素子の電子ビームの
収束性を高めることを課題とする。 【解決手段】 表面伝導型電子放出素子のカソード、ア
ノード基板間に、電子ビームが通過する開口を形成した
金属板を基板と平行に設け、これに負電圧を与えて電子
ビームが開口を通過する際に、開口の内側に電子を収束
させることにより、カソード側電子放出膜から放出され
た電子ビームを効率よく収束させることができる。収束
電極を一枚の共通の金属板に形成したので、アノード側
基板あるいはカソード側基板と一体にすることができる
とともに、素子毎のばらつきをなくすことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子と電
子放出素子用収束電極およびその製造方法に関する。特
に、表面伝導型の電子放出素子の収束電極に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】フラットパネルディスプレイの一種とし
て、FED(Field Emission Display)が精力的に研究
されている。このFEDは、カソード基板とアノード基
板とを対向させ、カソード基板上に針状の電子放出素子
を多数配置し、この電子放出素子からアノード基板に向
けて電子を放出させ、アノード基板上の蛍光体層を発光
させるものである。カソード基板上に形成される電子放
出素子は、個々の画素に対応することになる。これまで
利用されている電子放出素子は、電子放出に適した針状
の突起構造を有するものが一般的であり、たとえば、先
端部が尖った円錐状の金属からなる電子放出素子が広く
利用されている。
【0003】これに対して、近年、表面伝導型の電子放
出素子が注目を浴びている。これは、基板上に形成され
た小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより
電子放出が生じる現象を利用した電子放出素子である。
このような電子放出現象は、1965年に「ラジオエン
ジニアリングエレクトロフィジックス(Radio Eng.Elec
tron. Phys. )第10巻、1290〜1296頁」に、
エム・アイ・エリンソン(M.I.Elinson )らによって報
告されて以来、今日に至るまで種々の報告がなされてい
る。具体的には、エリンソンらによって開発されたSn
2 (Sb)薄膜をはじめ、Au薄膜、ITO薄膜、カ
ーボン薄膜などで、この表面伝導型の電子放出現象が報
告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、表面
伝導型の電子放出素子は、FEDなどのフラットパネル
ディスプレイへの利用が期待されている素子であり、こ
のようなディスプレイへ応用する場合、基板上に多数の
素子を行列状に配置し、各素子からの電子放出をそれぞ
れ独立して制御して、対応するアノード側蛍光基板を発
光させている。しかし、カソード電極から放出された電
子が飛翔中に拡散して目的とするアノード側蛍光基板へ
収束しないという問題がある。
【0005】またこれとは別に、従来の表面伝導型電子
放出素子を配列したマトリックス基板では、基板上に平
行に向かい合う画素電極間に電子放出物質が存在するた
めに、電子が横方向に飛翔する傾向を除去できないとい
う問題がある。これらが原因で、FEDパネルではいわ
ゆる「クロストーク」が生じ、蛍光体と対応する画素電
極側とのアライメント(すなわち位置合わせ)が製造上
困難になり、その結果、コントラストが低下するという
問題を生じている。さらに対向基板がカラー基板であり
異なる蛍光体が塗り分けられて構成されている場合に
は、色純度も低下することになる。そこで本発明は、電
子ビームが拡散しないように、表面伝導型電子放出素子
においてカソード基板とアノード基板間に収束電極を設
けて電子ビームの流れを制御しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の電子放出素子の態様は、電子放出素子か
ら放出された電子の収束電極が設けられた電子放出素子
であって、当該収束電極が、電子放出素子のカソード基
板とアノード基板間に設けられた金属板に形成されてい
ることを特徴とする表面伝導型電子放出素子、にある。
この電子放出素子によれば、金属板からなる収束用電極
が電子放出素子に設けられているので、電子放出素子か
ら放出された電子を効果的に収束することができる。
【0007】(2)本発明の電子放出素子用収束電極の
態様は、表面伝導型電子放出素子のカソード電極から放
出された電子を収束させるための電極であって、収束電
極における電子を通過させるための開口が、放出電子に
より発光される蛍光体とカソード電極間に設けられた金
属板に形成されていることを特徴とする電子放出素子用
収束電極、にある。この収束電極は、蛍光板と一体にさ
れているので、蛍光体との間隔を一定に維持できる。
【0008】(3)本発明の電子放出素子用収束電極の
製造方法の態様は、電子放出素子用収束電極の製造方法
であって、レジスト材料が塗布された金属板に電子放出
素子の画素電極位置に対応して開口を設けるためのパタ
ーニングを行う工程と、当該金属板を現像してから、エ
ッチングして電子ビームの通過孔である開口を形成する
工程と、当該開口形成後の金属板をカソード基板または
電子放出素子用の蛍光体の塗布されたアノード基板と位
置合わせしてから一体にする工程、とからなることを特
徴とする表面伝導型電子放出素子用の収束電極の製造方
法、にある。この製造方法によれば、収束電極を容易に
製造できる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する実施形態
に基づいて説明する。
【0010】§1.本発明の電子放出素子および収束電
極の構造および動作原理 はじめに、従来の一般的な表面伝導型の電子放出素子の
構造および動作原理を説明しておく。図1は、従来の表
面伝導型の電子放出素子10から対向基板20に向けて
電子放出が行われている状態を示す断面図である。この
例では、電子放出素子10は、ガラス基板11上に電極
12,13を形成し、更にその上に電子放出膜14を形
成することにより構成されている。電子放出膜14は、
カソード電極として機能することになり、たとえば、S
nO2 ,In2 3 ,PbOなどの金属酸化物、Au,
Agなどの金属、カーボンその他各種半導体など、表面
伝導型の電子放出現象が知られている材料であればどの
ような材料で構成してもかまわない。一方、対向基板2
0は、ガラス基板21上に透明電極22および蛍光体層
23を形成したものである。透明電極22は、たとえば
ITOなどの材料で構成され、アノード電極として機能
することになる。
【0011】図2は、図1に示す電子放出素子10にお
けるガラス基板11上に形成された構成要素の上面図で
ある。この図における切断線1−1による断面が図1に
示されていることになる。電極12および13が所定間
隔をおいて向き合っており、その間に電子放出膜14が
形成されている状態が明瞭に示されている。
【0012】いま、図1に示すように、各部に配線を施
した場合に生じる現象について考えてみる。この配線に
よれば、電極13は接地され、電極12には電源31か
ら負の電圧が印加される。また、電子放出素子10と対
向基板20との間にも、電源32によってカソード/ア
ノード間電圧が印加されている。さて、電極12,13
によって、電子放出膜14の両側に電圧が印加される
と、電子放出膜14の膜表面部分には、表面伝導型の電
子放出の現象として、電極12から電極13へ向けて電
子放出がされる。
【0013】一方、カソード/アノード間にも電源32
により電圧が印加されているので、電子放出膜14の表
面に放出された電子は、図1のように、アノード側の対
向基板20へと飛翔することになる。このようなカソー
ドからアノードヘと向かう電子の衝突により、蛍光体層
23が蛍光を発することになる。ここでは、説明の便宜
上、1画素分の構成要素のみを示したが、このような1
画素分の構成要素を縦横にマトリックス状に配列すれ
ば、画素を二次元平面上に並べたフラットパネルディス
プレイを実現することができる。なお、このようなフラ
ットパネルディスプレイでは、各画素ごとに電源31か
らの印加電圧を調節して、画素ごとの発光状態を制御す
るのが一般的である。より具体的には、電子放出膜14
に与える印加電圧の値および印加時間を調節することに
より、対向基板20への電子の飛翔量を制御することが
できる。
【0014】さて、このような電子放出素子10を利用
したフラットパネルディスプレイの技術的課題は、既に
述べたように、電子放出素子から放出された電子を対向
基板の所定の位置に収束させることである。しかし、電
極12には負の電圧が荷電され、電極13は接地されて
いるので、電子放出膜14から放出された電子は放出当
初から、横方向への方向性を有している。この状態で、
電子が対向基板側へ向かうと、その方向は、図1に図示
されるように横方向へかなり流れた飛翔軌跡を示し対応
する蛍光体に電子が到達しない場合が生じる。また、放
出された電子自体も拡散性を持ち、カソード基板とアノ
ード基板間が離れている場合には、対向基板の一定の蛍
光体に収束しないことになる。
【0015】そこで、本発明者は、電子ビームの拡散の
問題を生じない電子放出素子について鋭意研究の結果、
表面伝導型の電子放出素子において、電子放出素子とは
別体に収束電極を設け、これを電子放出素子と対向基板
間に置くことで所定の蛍光体に電子を収束させることを
着想するに至った。なお、ここで画素電極とは、電子放
出素子をディスプレイパネルに使用する場合に、画像の
単位となる素子電極という意味であり、電子放出膜が設
けられている一個一個の素子が有する正負の電極をいう
こととする。
【0016】図3は、従来型の2極からなる電子放出素
子10から対向基板20に向けて電子放出がされている
状態を示す断面図である。図3の場合は、2極の電子放
出素子であるため電子は横流れするとともに、収束電極
が設けられていないのでかなりの拡散が生じている。一
般に電子の横流れは、電極12と13間の電界強度、カ
ソード基板10とアノード基板20間の電界強度、電極
間距離等に左右され一定したものではないが、一般的に
は、図示のような電子の横流れおよび拡散が生じている
ことになる。なお、図3の場合は、便宜上、R,G,B
の各蛍光体が図示されていないが、実際のカラーパネル
の場合は、R,G,Bの各色が順次塗り分けられた構成
となっている(以下、図4、図5、図6においても同
様)。
【0017】図4は、従来型の2極からなる電子放出素
子10と対向基板20間に収束電極35を設けた場合の
電子放出がされている状態を示す断面図である。図4に
図示されるように、このような状態で、カソード基板、
アノード基板間に収束電極35を設け、これに電源29
が接続され接地電位に対して負の電位を与えると、電子
ビーム15は、収束電極35に設けられた開口を通過す
る際に、電極により形成される電界によって、その中心
軸方向に向けて集められることになる。その結果、電子
ビームの横流れの傾向は依然として残るが、電子ビーム
の拡散は改善されることになる。
【0018】このような表面伝導型電子放出素子の電子
ビームの横流れを防止した電子放出素子として、本願出
願人による先の出願(平成8年3月15日出願、整理番
号P960146号)では、3極からなる画素電極を有
する電子放出素子が提案されている。図5は、3極から
なる電子放出素子40から対向基板20に向けて電子放
出がされている状態を示す断面図である。図6は、3極
からなる電子放出素子40と対向基板20間に収束電極
35を設けた場合の電子放出がされている状態を示す断
面図である。図5に図示されるように、この電子放出素
子の画素電極の場合は、正の電極を中心にしてその両側
に負の電極が配置されるので、電子ビームの横流れは改
善されているが、電子ビームの拡散が生じていることを
示している。このような状態で、図6に図示のように、
カソード基板、アノード基板間に収束電極35を設け、
これに電源29が接続され接地電位に対して負の電位を
与えると、電子ビーム15は、収束電極35の開口を通
過する際に、電極により形成される電界によって、その
中心軸方向に向けて集められることになる。その結果、
電子ビームの拡散も改善されることになる。
【0019】本発明の電子放出素子では、収束電極の設
置位置が自由であるという特徴がある。通常、FEDパ
ネルでは、カソード基板とアノード基板の間隔は100
μm〜10mmに設定されるが、本発明の電子放出素子
用収束電極の場合は、この間のいずれの箇所に設置する
ことも可能である。ただし、極度にいずれかの基板に接
近する場合には素子以外の部材との間で放電が生じる危
険性があり、最適な位置は基板間に加える印加電圧や、
蛍光体の大きさ等の構造的要素に影響されるので、それ
ぞれのディスプレイの条件を考慮して定めることが必要
になる。また、開口の大きさもアノード電極における蛍
光体の大きさに応じて任意の大きさの開口を設けること
ができる利点がある。例えば、図4において各蛍光体の
大きさを大きくする場合には、収束電極の開口を大きく
するか、そのままの大きさで画素電極に接近した位置に
収束電極を設置すればよいことになる。
【0020】アノード側に設ける蛍光体層はモノクロと
カラーの場合がある。カラーの場合、通常、R,G,
B,R,G,B・・の繰り返しで平面的に設けられ、例
えば、R,GおよびB色の1色の1画素のサイズは約1
〜2500μm2 であり、それぞれの色の蛍光体層の間
隔は約2〜70μm程度である。モノクロの場合の画素
サイズも同様である。これらのサイズや間隔は、FED
の用途によって異なるものであるが、基本的にはサイズ
が小さく、画素間隔が狭いほど高解像度になることにな
る。
【0021】また、蛍光体層は各色とも蒸着とリソグラ
フィー、電着、印刷、あるいは印刷と焼成等の方法で約
0.5〜200μm程度の厚みに形成されている。各
R,G,Bの形状や相互間の配置も自由に設定できる事
項であり、円形や楕円の画素蛍光体や正方形、スロット
状の四辺形等の画素蛍光体形状が可能である。収束電極
の開口形状は収束電極が画素蛍光体に近い位置におかれ
る場合は、これらの画素蛍光体の形状に通常は合わせて
開口することが必要になる。ただし、画素蛍光体のR,
G,Bを一体として1個の収束電極で収束させる等の特
殊な場合には、かならずしも画素蛍光体の形状とは一致
しないことになる。また、収束電極が画素電極(カソー
ド電極)に近い位置に置かれる場合は、画素電極の形状
に合わせて開口する必要がある。
【0022】電子の横流れが生じない場合、収束電極の
開口の中心は前記のように、画素電極の中心と対応する
位置にあること、すなわちカソード基板の中心をとおり
電極基板に対して実質的に鉛直な線上に位置するように
形成されていることが望ましい。そうすることにより個
々の画素蛍光体に対して均一な電子放出がなされるから
である。ただし、電子の横流れが本来的に生じる図3の
ような2極の電子放出素子の場合は、放出電子密度の高
い部分と収束電極の開口の位置合わせは、試行錯誤的に
求めることが必要になる。
【0023】本発明の収束電極の機能は、従来のCRT
に使用されるシャドウマスクと類似したものであるが、
シャドウマスクが1本の電子銃からの電子ビームを個々
の蛍光体に達するまでの長距離を偏向走査して発光させ
るのに対して、FEDでは、電子放出素子から放出され
た電子を通常は偏向走査させないか、偏向させたとして
も大きな角度をとらないことで相違する。従って、電子
放出素子用の収束電極では、CRTのシャドウマスク材
料に必要とされた程の熱的安定性や歪みのなさが要求さ
れることは少ないと考えられる。それにより、使用され
る収束電極材料の選択の幅も広がることになる。
【0024】収束電極に印加する電圧は、ゲート電極に
印加される電圧よりも小さい値であればよいが、接地電
圧に対して大きい負電位であればある程、開口の中心に
電子ビームを収束させる収束力が大きくなることにな
る。この最適値についても個々の条件を勘案して定める
必要がある。
【0025】§2.本発明の電子放出素子および収束電
極の製造方法 次に、本発明の電子放出素子および収束電極の製造方法
を図7〜図11に基づいて説明する。先ず、図7(A)
のように、収束電極となる金属板51を準備し、電子ビ
ームの通過孔となる開口52を形成する(図7
(B))。図示の場合は、3個の開口が示されているに
過ぎないが、実際の収束電極では、パネルに形成される
電子放出素子または画素蛍光体と同数の開口が2次元平
面的に多数形成されているものとする。使用される金属
材料としては、シャドウマスクに使用される鉄−ニッケ
ル鋼、アルミキルド鋼等の軟鋼板の他、電極として機能
する導電性材科であれば、どのようなものでもよいが、
耐電圧性、耐熱性、加工性、耐腐食性,比抵抗性を考慮
して適当な材料を選ぶのが好ましい。具体的には、A
l,Ni,Pd,Pb,Pt,W,Mo,Cr,Ti,
Cu,Au,Ag,Fe,鉄合金などの金属材料を用い
るのが好ましいが、一般的には、Al,Fe,鉄合金,
Ni,Cuが使用されることが多い。金属板の厚さは、
50μmから300μm程度のものが使用される。
【0026】収束電極の電子ビームの通過孔である開口
は通常のフォトエッチングのプロセスで形成することが
可能である。CRT用のシャドウマスクの場合は、金属
板の両面にレジストを塗布して両面エッチングう行うの
が通常である。金属板の板厚が厚く等方的な片面エッチ
ングがされる場合は、表裏の孔の径が異なることになる
ので、本発明の収束電極の場合も、精度を良好にするた
めには両面からエッチングすることが望ましい。ウエッ
トエッチングの場合、通常は等方的にエッチングが進行
することを考慮すれば、片面エッチングでは、エッチン
グ開始側の開口が大きくなるので、蛍光板側をエッチン
グ開始側とするのが適切である。鉄、銅系の金属材料の
場合は、塩化第2鉄液を噴霧することによるエッチング
が通常になされ、アルミ材料の場合は、NaOH水溶液
でのエッチングも可能である。エッチング終了後はレジ
ストが剥離され、水洗処理がなされる。
【0027】開口する孔の大きさと数は、FEDの用途
によって異なることになる。開口の大きさは、前記した
蛍光体の画素サイズに近似のものであるが、電子ビーム
が画素電極より蛍光体に向かうに従って拡散することを
考慮すれば、蛍光体と同じ大きさかそれよりは若干小さ
く開口することになる。実用的な用途では、通常、1枚
の電極板に2〜50μm程度の孔を数十万個から数百万
個開口することになる。これらの開口を均一な大きさと
なるように管理する必要がある。それに伴い、金属板の
厚さの許容誤差も±5μm以下に管理する必要がある。
【0028】次に、アノード側電極を準備する。透明な
ガラス基板53を準備し(図8(A))、ITO等の透
明電極54をスパッタリングにより形成して導電性を付
与する(図8(B))。次に、この導電性層の上に蛍光
体層55を形成する(図8(C))。これには、前記し
た各種のプロセスが利用できる。図8(C)の場合は、
便宜上、R,G,Bの各蛍光体が図示されていないが、
実際のカラーパネルの場合は、R,G,Bの各色が順次
塗り分けられた構成となっている。
【0029】次に、図9のように収束電極板とアノード
電極基板とを位置合わせして一体にする。これには、両
基板の端部にガラスペースト56を使用して一体に封止
することができる。封止位置は、端部に限らず画像形成
の妨げとならない部分であれば、収束電極の開口部を避
けてその裏面に形成することもできる。両基板の各位置
での平行間隔距離はスペーサ等で正確に保たれているこ
とが必要である。収束電極は必ずしもアノード電極と一
体にしなければならないわけではなく、画素蛍光体との
間隔を一定に保つことが可能であれば、カソード電極基
板またはパネル側壁その他に固定することも自由であ
る。
【0030】次に、電子放出素子のカソード側電極を準
備する。石英ガラス基板61を準備し(図10
(A))、ガラス基板上に電極を形成するための準備層
62を形成する(図10(B))。当該準備層上にレジ
スト材料63を塗布し(図10(C))、画素電極パタ
ーンを露光して、現像、洗浄、乾燥の処理を施す(図1
0(D))、次いで、準備層62をエッチングして画素
電極パターンを形成する(図10(E))。レジスト膜
を剥離処理の後、乾燥させる(図10(F))。図示の
場合は、2極の画素電極が図示されているが、左右に2
極の電極を配置する場合は、前記のように電子の横流れ
が生じるので、正に荷電される電極を中心としてその左
右に負に荷電される電極を配置する3極構成または正に
荷電される電極を中心としその周囲に円弧または円周状
に負に荷電されるような電極を配置する2極構成とする
ことも当然可能である。これらの場合は電子の横流れが
解消されることになる。画素電極パターン上に通電によ
り電子放出を行う機能を有する塗膜64を塗布し(図1
0(G))、その後焼成することにより電子放出素子を
形成することができる。焼成後の電子放出膜面には微粒
子を含む塗膜65が形成される(図10(H))。この
電子放出素子をガラスペースト56を用いて、収束電
極、アノード基板と一体にする(図11)。図11の場
合は、電子放出素子として2極のものを使用しているの
で、電子の横流れを考慮して電子放出素子と収束電極の
開口の中心は鉛直線上には存在しない。
【0031】なお、本発明においては、収束電極板を利
用して蛍光体層のパターンを形成することが可能であ
る。例えば、蛍光体材料を感光性フォトポリマーに分散
して、導電性基板上に塗布、乾燥し、これに対して前記
収束電極板を介して、順次、密着または平行光により露
光し、現像し、後処理を行えば、各蛍光体層を形成する
ことがきる。こうすることにより、例え収束電極の開口
位置が偏位したとしても画素蛍光体との相対的位置は固
定されているので、画素蛍光体と収束電極位置がずれる
ような悪影響を与えることがなくなる。もっとも、R,
G,Rの3色の画素蛍光体を設ける場合は、発光位置に
対応するように収束電極板の発光箇所以外の開口部分を
遮蔽して露光、現像する処置が3回必要になる。これに
より、蛍光部と収束電極の形状が完全に一致したディス
プレイパネルが得られる。
【0032】
【実施例】
<収束電極の製造方法に関する実施例> 厚み100μmのアルミ板51の片面に、ネガ型レ
ジスト剤(東京応化工業株式会社製「OMR85」)を
スピンナにより回転塗布し、オーブンにて80°Cで3
0分間放置し乾燥させる(図7(A))。空冷後、所望
の収束電極パターン(250μm×400μmの矩形状
の遮光パターンが、0.55mmの横ピッチで配列した
パターン)を露光し、レジストの現像、水洗を行いオー
ブン中に、135°Cで30分間放置し乾燥させる。空
冷後、0.5%のカセイソーダ水溶液によりアルミ板を
エッチングして、上記収束電極パターンと同一形状の開
口52を形成し水洗する。次に、基板を120°Cに保
持したレジスト剥離液(東京応化工業株式会社製「クリ
ーンストリップ」)中に、5分間放置し、次に室温のス
トリップリンス液に1分間、室温のイソプロピルアルコ
ールに1分間、それぞれ浸すことにより、レジストの剥
離を行う。この基板を水洗し、その後乾燥させる。以上
により、アルミ板の収束電極開口パターンのパターニン
グを終了する(図7(B))。
【0033】<対向基板の製造方法に関する実施例> 厚み3mmの清浄な石英ガラス基板53上に、スパ
ッタ法により膜厚1μmのITOによる透明電極54を
堆積する(図8(B))。その上に、EB蒸着法により
膜厚20μmのZnO:Znからなる蛍光体の画素サイ
ズが300×500μmの蛍光体層55を蒸着形成し、
対向基板(アノード基板)20を作製した(図8
(C))。作製したアノード基板の両端位置に、ガラス
微粒子と樹脂からなるガラスペースト56を塗布し、1
70°Cで30分間乾燥させた後、上記により作製した
収束電極と蛍光体層とが平行平面となるように乗せ、N
2 還元雰囲気下で350°C、3時間焼成し一体化を行
った(図9)。焼成後、収束電極と蛍光体層の距離は5
00μmであった。
【0034】<電子放出素子の製造方法に関する実施例
> 次に、本発明の電子放出素子の製造方法を、図10
に基づいて説明する。厚み3mmの清浄な石英ガラス基
板61上に、スパッタ法により厚み3μmのCr層62
を堆積する(図10(B))。その上に、ネガ型レジス
ト剤(東京応化工業株式会社製「OMR85」)63を
スピンナにより回転塗布し、オーブンにて80°Cで3
0分間放置し乾燥させる(図10(C))。空冷後、画
素電極の正負の電極パターン(画素電極間のピッチが
0.55mmのもの)を露光し、レジストの現像、水洗
を行い、オーブンにて135°Cで30分間放置する。
基板上には、画素電極のレジストパターン63´が形成
されている(図10(D))。空冷後、Crエッチング
液(ザ・インクテック株式会社製「MR−ES」)を用
いてCr層をエッチングし、水洗する(図10
(E))。
【0035】 次に、120°Cに保持したレジスト
剥離液(東京応化工業株式会社製「クリーンストリッ
プ」)中に、基板を5分間放置し、室温のストリップリ
ンス液に1分間、室温のイソプロピルアルコールに1分
間、それぞれ浸すことにより、レジストの剥離を行う。
この基板を水洗し、後に乾燥させる。以上の工程で、C
rからなる画素電極パターン62が得られた(図10
(F))。
【0036】 続いて、この画素電極62上に、有機
パラジウム化合物を含む有機溶媒(奥野製薬工業株式会
社製「キャタペーストCCP」)からなるインキ64
を、スクリーン印刷法で印刷する(図10(G))。そ
のまま、15分間放置すると画素電極上に薄膜が形成さ
れる。その後、約200°Cで20分間焼成すると、P
dからなる微粒子を含む塗膜65が形成された電子放出
膜が画素電極部に得られた(図10(H))。
【0037】<パネルの一体化に関する実施例> 前記の工程〜で作製したカソード基板の端部周
辺にガラスペースト56を塗布し、170°Cで、30
分間乾燥させた後、先に、で作製したアノード基板を
乗せ、画素電極の表面と対向基板の蛍光体とを、4.0
mm、画素電極の表面と収束電極とを3.5mmの間隔
で平行に保持した状態で、N2 還元雰囲気下で350°
C、3時間焼成し、両基板の一体化を行った。パネル化
の際には、予め、カソード基板側に設置された排気口よ
り、ポンプによってパネル内が、10-10 Paの高真空
となるよう排気し、パネル一体化後に、排気口を封止し
た(図11)。
【0038】<電子放出動作に関する実施例> 対向基板と電子放出素子との間のカソード/アノー
ド電圧として400Vを印加した。また、電子放出素子
の動作電圧として、画素電極の一方の電極を接地電位に
保ち、他方の電極に20Vを印加し、収束電極/画素電
極間の電位を−100Vとしたところ、対向基板に向か
って良好に収束された電子放出が得られ、良好な発光特
性が得られた。
【0039】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、表面伝
導型電子放出素子において、電子放出素子のカソード/
アノード間に電子放出素子とは別体になる収束電極を設
けたので、対向基板(アノード電極)に対する電子の収
束性が顕著に改善され、FEDを利用したディスプレイ
ではクロストークやコントラストの改善を図ることがで
きる。また、収束電極を電子放出素子とは別体にしたの
で、カソード/アノード間の任意の位置に収束電極を設
けることができ、蛍光体の形状や大きさを自由に変える
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の表面伝導型の電子放出素子10から対向
基板20に向けて電子放出が行われている状態を示す断
面図である。
【図2】図1に示す電子放出素子10におけるガラス基
板11上に形成された構成要素の上面図である。
【図3】従来型の2極からなる電子放出素子10から対
向基板20に向けて電子放出がされている状態を示す断
面図である。
【図4】従来型の2極からなる電子放出素子10と対向
基板20間に収束電極35を設けた場合の電子放出がさ
れている状態を示す断面図である。
【図5】3極からなる電子放出素子40から対向基板2
0に向けて電子放出がされている状態を示す断面図であ
る。
【図6】3極からなる電子放出素子40と対向基板20
間に収束電極35を設けた場合の電子放出がされている
状態を示す断面図である。
【図7】本発明の電子放出素子用収束電極を製造する工
程を示す断面図である。
【図8】本発明の電子放出素子用アノード側電極基板を
製造する工程を示す断面図である。
【図9】本発明の電子放出素子用収束電極がアノード側
電極基板と一体にされた工程を示す断面図である。
【図10】本発明の電子放出素子を製造する工程を示す
断面図である。
【図11】カソード電極基板、収束電極、アノード電極
基板が一体にされた本発明の電子放出素子を示す断面図
である。
【符号の説明】
10 電子放出素子 11 ガラス基板 12,13 電極 14 電子放出膜 15 電子ビーム 20 対向基板 21 ガラス基板 22 透明電極 23 蛍光体層 30,31,32 電源 33 スイッチ 40 電子放出素子 42,43 電極 44 電子放出膜 51 金属板 52 開口 53 ガラス基板 54 透明電極 55 蛍光体層 56 ガラスペースト 61 ガラス基板 62 準備層 63 レジスト材料 63´レジスト膜 64 電子放出膜 65 微粒子を含む塗膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子放出素子から放出された電子の収束
    電極が設けられた電子放出素子であって、当該収束電極
    が、電子放出素子のカソード基板とアノード基板間に設
    けられた金属板に形成されていることを特徴とする表面
    伝導型電子放出素子。
  2. 【請求項2】 開口の形状が、円形、楕円形、正方形ま
    たは四辺形であることを特徴とする請求項1記載の表面
    伝導型電子放出素子。
  3. 【請求項3】 金属板が、アルミ、鉄、鉄合金、ニッケ
    ル、銅であることを特徴とする請求項1および請求項2
    記載の表面伝導型電子放出素子。
  4. 【請求項4】 表面伝導型電子放出素子のカソード電極
    から放出された電子を収束させるための電極であって、
    収束電極における電子を通過させるための開口が、放出
    電子により発光される蛍光体とカソード電極間に設けら
    れた金属板に形成されていることを特徴とする電子放出
    素子用収束電極。
  5. 【請求項5】 開口の形状が、円形、楕円形、正方形ま
    たは四辺形であることを特徴とする請求項4記載の電子
    放出素子用収束電極。
  6. 【請求項6】 金属板が、アルミ、鉄、鉄合金、ニッケ
    ル、銅であることを特徴とする請求項4および請求項5
    記載の電子放出素子用収束電極。
  7. 【請求項7】 電子放出素子用収束電極の製造方法であ
    って、 レジスト材料が塗布された金属板に電子放出素子の画素
    電極位置に対応して開口を設けるためのパターニングを
    行う工程と、 当該金属板を現像してから、エッチングして電子ビーム
    の通過孔である開口を形成する工程と、 当該開口形成後の金属板をカソード基板または電子放出
    素子用の蛍光体の塗布されたアノード基板と位置合わせ
    してから一体にする工程、 とからなることを特徴とする表面伝導型電子放出素子用
    の収束電極の製造方法。
JP11954696A 1996-04-18 1996-04-18 電子放出素子と電子放出素子用収束電極およびその製造方法 Withdrawn JPH09283013A (ja)

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