JPH09283010A - 電子源、画像形成装置、及びそれらの製造方法 - Google Patents

電子源、画像形成装置、及びそれらの製造方法

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JPH09283010A
JPH09283010A JP9535996A JP9535996A JPH09283010A JP H09283010 A JPH09283010 A JP H09283010A JP 9535996 A JP9535996 A JP 9535996A JP 9535996 A JP9535996 A JP 9535996A JP H09283010 A JPH09283010 A JP H09283010A
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JP
Japan
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electron
insulating layer
signal
electron source
emitting device
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JP9535996A
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English (en)
Inventor
Koichiro Nakanishi
宏一郎 中西
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気的接続部分の信頼性、高密度な画素配
列、高品位な画像等の点で優れた電子源、及びこれを備
えた画像形成装置等を提供する。 【解決手段】 複数の電子放出素子と、走査側及び信号
側配線(10、16)からなるマトリクス配線と、それ
らを電気的に分離する絶縁層とを備える電子源におい
て、前記絶縁層が互いに異なる形状を有する複数の絶縁
層パターン(12、14)を積層して構成されている事
を特徴とする電子源、これを備えた画像形成装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子(特
に表面伝導型電子放出素子)を用いた電子源、その電子
源を備えた画像形成装置、及びそれらの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より電子放出素子としては、大別し
て熱電子放出素子又は冷陰極電子放出素子を用いた2種
類のものが知られている。冷陰極電子放出素子には、電
界放出型(以下、「FE型」という)、金属/絶縁層/
金属型(以下、「MIM型」という)や表面伝導型電子
放出素子等がある。FE型の例としてはW.P.Dyke & W.
W.Doran, "Field Emission", Advance in Electron Phy
sicis, 8,89 (1956) あるいは C.A.Spindt,“Physical
Properties of thin-film field emission cathodes wi
th molybdenium cones", J.Appl.Phys., 47,5248 (197
6)等に開示されたものがある。MIM型の例としては、
C.A.Mead, "Operation of Tunnel-EmissionDevices",
J. Appl. Phys., 32,646 (1961) 等に開示されたものが
ある。表面伝導型電子放出素子型の例としては、M.I.El
inson, Radio Eng. Electron Phys.,10,1290 (1965)等
に開示されたものがある。
【0003】この表面伝導型電子放出素子は、基板上に
形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すこ
とにより電子放出が生ずるものである。この表面伝導型
電子放出素子としては、前記エリンソン等によるSnO
2 薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの[G.Dittmer:
"Thin Solid Films, 9,317 (1972)] 、In23 /S
nO2 薄膜によるもの[M.Hartwell and C.G.Fonstad:
"IEEE Trans. ED Conf.", 519 (1975)] 、カーボン薄
膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1号、
22頁(1983)]等が報告されている。
【0004】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な例として、前述のM.ハートウェルの素子構成を図1
2に模式的に示す。同図において151は基板、15
2、153は素子電極である。154は導電性薄膜であ
り、H型形状のパターンにスパッタで形成された金属酸
化物薄膜等からなる。155は、後述の通電フォーミン
グと呼ばれる通電処理により形成された電子放出部であ
る。尚、図中の素子電極間隔L1は0.5〜1[m
m]、導電性薄膜の巾W’は0.1[mm]に設定され
ている。
【0005】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に導電性薄膜154を予め
通電フォーミングと呼ばれる通電処理し、これによって
電子放出部155を形成するのが一般的である。即ち、
通電フォーミングとは前記導電性薄膜154両端に直流
電圧あるいは非常にゆっくりとした昇電圧を印加通電
し、導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質せし
め、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部155を形
成することである。尚、電子放出部155は導電性薄膜
154の一部に亀裂が発生しその亀裂付近から電子放出
が行われる。前記通電フォーミング処理をした表面伝導
型電子放出素子は、導電性薄膜154に電圧を印加し、
素子に電流を流すことにより電子放出部155より電子
を放出せしめるのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上説
明したような表面伝導型電子放出素子を画像形成装置と
して大面積化するには、以下の様な問題点がある。前記
表面伝導型電子放出素子の製造工程において電極や配線
パターンを加工する場合、基板上に電極及び配線材料の
金属薄膜を成膜し、これを通常のフォトリソグラフィ
ー、エッチング技術を用いてパターン加工が行われ、電
極や配線パターンが形成される。しかしながら、例えば
40cm角以上の大型基板上にフォトリソグラフィー、
エッチング技術により製造する場合、蒸着装置をはじ
め、露光装置、エッチング装置等を含む大型製造設備が
必要となり莫大な費用がかかり、しかも製造装置自体の
大型化も困難である。
【0007】また、コスト的に有利である印刷法を用い
て高精度の電極や配線を形成する場合には、高粘度のペ
ーストを使用する必要があるが、粘度の高さ故に上部配
線層(走査側または信号側)と素子電極とのコンタクト
が不完全になり易く、歩留まりが低下するという問題が
ある。この問題を回避するためにペーストの粘度を低下
させるとペーストの「だれ」のために上部配線層(走査
側または信号側)と下部配線層(走査側または信号
側)、或いは素子電極側のショートが発生し易くなり、
信頼性・歩留まりが低下するという問題がある。また、
どちらの技術にも共通の問題として大面積化すること
で、電極数の増加、配線の増加及び複雑化により、断線
や短絡等の欠陥が発生し易くなり歩留りが低下する等の
問題がある。
【0008】本発明は、かかる従来の問題を解決すべく
なされたものであり、相互の電気的接続部分の信頼性向
上が図れ、より高密度な画素配列による高品位な画像が
実現可能な電子源、画像形成装置、及びそれらの製造方
法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した目的は、以下の
本発明により達成できる。
【0010】すなわち、本発明は、複数の電子放出素子
と、該電子放出素子を通電するための走査側配線及び信
号側配線からなるマトリクス配線と、該走査側配線と該
信号側配線を電気的に分離する絶縁層とを備える電子源
において、前記絶縁層が、互いに異なる形状を有する複
数の絶縁層パターンを積層して構成されている事を特徴
とする電子源である。
【0011】更に、本発明は、上述の本発明の電子源
と、該電子源の電子放出素子から放出される電子を受け
て可視光を発する蛍光体とを少なくとも備える画像形成
装置、並びにその様な絶縁層の製造工程を含む電子源及
び画像形成装置の製造方法を包含する。
【0012】本発明によれば、上部配線層(走査側また
は信号側)と下部配線層(走査側または信号側)の絶縁
性に適した形状、上部配線層(走査側または信号側)と
電子放出素子の素子電極との良好なコンタクトに適した
形状、導電性薄膜形成のための領域の確保に適した形状
など、種々の要求に応じて異なる形状を有する複数の絶
縁層パターンを使用し、これらを積層して所望の層間絶
縁層を形成できる。これにより、単一形状では達成しが
たい要求を同時に満たす事ができ、以下の作用効果を奏
する。 1.上部配線層(走査側または信号側)と下部配線層
(走査側または信号側)との絶縁不良による欠陥が低減
され、歩留まりが向上する。 2.上部配線層(走査側または信号側)と素子電極との
コンタクト不良による欠陥が低減され、歩留まりが向上
する。 3.上記1,2を達成しながら層間絶縁層の占める面積
を押さえることが可能であり、高密度な素子配置を行な
うことができる。 4.特に大面積化を行う時にコスト的に有利な技術であ
る印刷法を用いる場合に、上記各点が特に有効に発現す
る。 5.特に印刷法を用いる場合、最終的に同じ形状の絶縁
層を基板(素子電極)の上に1層構成で形成したものと
比較して、本発明では所望のパターンを正確に得るた
め、異なるパターンの絶縁層を積層するので形状のだれ
が少なくシャープになり、絶縁層の占有面積を小さくで
きる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
を説明する。図1は、本発明の電子源(基板形状の電子
源基板)の配線状態を例示する模式図であり、図2は、
その電子源の製造の各工程を示す模式図である。図1、
図2において、2、3は素子電極、10は下部配線層
(走査側または信号側)、12は第1の絶縁層パター
ン、14は第2の絶縁層パターン、16は上部配線層
(走査側または信号側)である。
【0014】まず、図中には図示されていない基板上
に、電子放出素子の素子電極2、3を形成し(図2
(a))、下部配線層(走査側または信号側)10を形
成する(図2(b))。
【0015】次に、後で形成する上部配線層(走査側ま
たは信号側)16の形成予定部位、すなわち下部配線層
(走査側または信号側)10と直交する方向に、帯状の
第1の絶縁層パターン12を形成する((図2
(c))。この第1の絶縁層パターン12は、素子電極
2の部分において凹形状を有する帯状の絶縁層であり、
その凹形状の開口部の幅は素子電極2の幅以上である。
言い換えると、この第1の絶縁層パターン12は、下部
配線層(走査側または信号側)10と上部配線層(走査
側または信号側)16の交差する部分において、下部配
線層(走査側または信号側)10と直交する方向に凸形
状を有する帯状の絶縁層ともいえる。この第1の絶縁層
パターン12の形状のうち、交差する部分の凸形状は、
主として下部配線層(走査側または信号側)10と上部
配線層(走査側または信号側)16との絶縁性を十分確
保する機能を奏し、一方、素子電極2上の凹形状は、主
として上部配線層(走査側または信号側)16と素子電
極2とのコンタクトを確実にする機能を奏する。本発明
においては、下部配線層10と上部配線層16の形状、
その交差部分の形状、素子電極2、3の形状、その他各
種条件に応じて、上述の好ましい機能を有する様に、適
宜、第1の絶縁層パターン12の形状を変更・選定すれ
ば良い。
【0016】次に、この第1の絶縁層パターン12上
に、第2の絶縁層パターン14を積層する(図2
(d))。この第2の絶縁層パターン14は、素子電極
2の部分において凹形状を有する帯状の絶縁層であり、
凹形状の開口部の幅は素子電極2の幅未満である。言い
換えると、この第2の絶縁層パターン14の凹形状の開
口部は、素子電極2と素子電極3のギャップ上にも絶縁
層パターン14の一部が積層される程度に狭い開口部で
あるといえる。この第2の絶縁層パターン14の狭い凹
形状の開口部は、主として、上部配線層(走査側または
信号側)16と素子電極2とのコンタクトを確実にする
機能を奏しつつ、上部配線層(走査側または信号側)1
6による素子電極2と3のギャップの短絡を防止する機
能を奏する。通常、素子電極2とコンタクトをとる上部
配線層16の凸形状部分の幅は、素子電極2の幅よりわ
ずかに狭く設計されている。しかし、従来技術において
は、この凸形状部分の幅が作製時の条件により多少設計
値よりも広がる場合があり、素子電極2と3を短絡させ
てしまう事があった。またアライメントの際のずれによ
り、下部配線層10と短絡してしまう事もあった。第2
の絶縁層パターン14の形状は、この様な短絡防止する
機能を奏するのである。本発明においては、第2の絶縁
層パターン14の形状も、各種条件に応じて、上述の好
ましい機能を有する様に、適宜変更・選定すれば良い。
なお、上述の図2(c)の工程と図2(d)の工程の順
序は逆でも構わない。
【0017】以上の様に、図1及び図2に示した例にお
いては、第1の絶縁層パターン12により下部配線層
(走査側または信号側)10と平行な方向へのアライメ
ント許容度が増し、また、第2の絶縁層14で素子電極
2付近の開口部を限定しているために、上部配線層(走
査側または信号側)16の凸部の幅が多少広がっても素
子電極2、3が短絡する事は無い。このように互いに形
状の異なる絶縁層パターンを2層積層して層間絶縁層と
する事により、上部配線層(走査側または信号側)と下
部配線層(走査側または信号側)の絶縁性、上部配線層
(走査側または信号側)と素子電極とのコンタクトを共
に良好に保つ事が可能となる。また、特に印刷法を用い
る場合に顕著であるが、絶縁層を基板(素子電極)の上
に形成すると形状がだれやすく、絶縁層の上に絶縁層を
積層したほうが形状がシャープである。したがって、最
終的に同じ形状の絶縁層を形成する場合でも、一層で形
成するよりは複数の形状を持つ絶縁層を積層して所望の
形状の絶縁層を形成した方が形状のだれが少なく、絶縁
層の占有面積を小さくできる。
【0018】本発明における電子放出素子としては、特
に表面伝導型電子放出素子が好適である。表面伝導型電
子放出素子の基本的な構成には、大別して平面型及び垂
直型の2つがある。
【0019】まず、平面型表面伝導型電子放出素子につ
いて説明する。図3は、平面型表面伝導型電子放出素子
の構成を示す模式図であり、図3(a)は平面図、図3
(b)は断面図である。図3において、1は基板、2と
3は素子電極、4は導電性薄膜、5は電子放出部であ
る。
【0020】基板1としては、石英ガラス、Na等の不
純物含有量を低減させたガラス、青板ガラス、スパッタ
法等によりSiO2 を堆積させたガラス基板及びアルミ
ナ等のセラミックス基板等を用いることができる。対向
する素子電極2、3の材料としては、一般的な導電材料
を用いることができ、Ni,Cr,Au,Mo,W,P
t,Ti,Al,Cu,Pd等の金属或は合金、及びP
d,As,Ag,Au,RuO2 ,Pd−Ag等の金属
或は金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体、I
23 −SnO2 等の透明導電体及びポリシリコン等
の半導体導体材料等から選択することができる。
【0021】素子電極間隔L1、素子電極長さW2、導
電性薄膜4の形状等は、応用される形態等を考慮して設
計される。素子電極間隔L1は、好ましくは数千[Å]
から数百[μm]の範囲であり、より好ましくは素子電
極間に印加する電圧等を考慮して1[μm]から100
[μm]の範囲である。素子電極長さW2は、電極の抵
抗値、電子放出特性を考慮して、好ましくは数[μm]
から数百[μm]の範囲である。素子電極2、3の膜厚
dは、好ましくは100[Å]から1[μm]の範囲で
ある。尚、図3に示した構成だけでなく、基板1上に、
導電性薄膜4、対向する素子電極2、3の順に積層した
構成とすることもできる。
【0022】導電性薄膜4には良好な電子放出特性を得
るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが好
ましい。その膜厚は素子電極2、3へのステップカバレ
ージ、素子電極2、3間の抵抗値及び後述するフォーミ
ング条件等を考慮して適宜設定されるが、通常は数
[Å]から数千[Å]の範囲とするのが好ましく、より
好ましくは10[Å]から500[Å]の範囲とするの
が良い。その抵抗値は、Rsが1×102 から1×10
7 [Ω]の値である。なおRsは、厚さがt、幅がwで
長さが1の薄膜の抵抗Rを、R=Rs(l/w)とおい
たときに現れる値であり、薄膜材料の抵抗率をρとする
とRs=ρ/tで表される。本願明細書においては、フ
ォーミング処理について通電処理を例に挙げて説明する
が、フォーミング処理はこれに限られるものではなく、
膜に亀裂を生じさせて高抵抗状態を形成する方法であれ
ばいかなる方法でも良い。導電性薄膜4を構成する材料
はPd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,
Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pd等の金属、P
dO,SnO2 ,In23 ,PbO,Sb23 等の
酸化物、HfB2 ,ZrB2 ,LaB6 ,CeB6 ,Y
4 ,GdB4 等の硼化物、TiC,ZrC,HfC,
TaC,SiC,WC等の炭化物、TiN,ZrN,H
fN等の窒化物、Si,Ge等の半導体、カーボン等の
中から適宜選択される。
【0023】ここで述べる微粒子膜とは複数の微粒子が
集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に分
散配置した状態、あるいは微粒子が互いに隣接又は重な
り合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全体として
島状構造を形成している場合も含む)をとっている。微
粒子の粒径は、数[Å]から1[μm]の範囲、好まし
くは10[Å]から200[Å]の範囲である。
【0024】電子放出部5は、導電性薄膜4の一部に形
成された高抵抗の亀裂により構成され、導電性薄膜4の
膜厚、膜質、材料及び後述する通電フォーミング等の手
法等に依存したものとなる。電子放出部5の内部には、
1000[Å]以下の粒径の導電性微粒子を含む場合も
ある。この導電性微粒子は、導電性薄膜4を構成する材
料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有するものと
なる。電子放出部5及びその近傍の導電性薄膜4には、
炭素あるいは炭素化合物を含む場合もある。
【0025】次に、垂直型表面伝導型電子放出素子につ
いて説明する。図4は、垂直型表面伝導型電子放出素子
の一例を示す模式図である。図4においては、図3に示
したと同じ部位には図3に付した符号と同一の符号を付
している。21は段差形成部である。基板1、素子電極
2及び3、導電性薄膜4、電子放出部5は、前述した平
面型表面伝導型電子放出素子の場合と同様の材料で構成
することができる。段差形成部21は、真空蒸着法、印
刷法、スパッタ法等で形成されたSiO2 等の絶縁性材
料で構成することができる。段差形成部21の膜厚は、
先に述べた平面型表面伝導型電子放出素子の素子電極間
隔L1に対応し、数千[Å]から数十[μm]の範囲と
することができる。この膜厚は、段差形成部21の製法
及び素子電極間に印加する電圧を考慮して設定される
が、数百[Å]から数[μm]の範囲が好ましい。導電
性薄膜4は、素子電極2及び3と段差形成部21作成後
に、該素子電極2、3の上に積層される。電子放出部5
は、図4においては、段差形成部21に形成されている
が、作成条件、フォーミング条件等に依存し、形状、位
置ともこれに限られるものでない。
【0026】表面伝導型電子放出素子の製造方法として
は様々な方法があるが、その一例を図5に模式的に示
す。図5においても、図3に示した部位と同じ部位には
図3に付した符号と同一の符号を付している。
【0027】1)基板1を洗剤、純水及び有機溶剤等を
用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等により
素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー技
術を用いて基板1上に素子電極2、3を形成する(図5
(a))。
【0028】2)素子電極2、3を設けた基板1に、有
機金属溶液を塗布して、有機金属薄膜を形成する。有機
金属溶液には、前述の導電性薄膜4の材料の金属を主元
素とする有機金属化合物の溶液を用いることができる。
有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチン
グ等によりパターニングし、導電性薄膜4を形成する
(図5(b))。ここでは、有機金属溶液の塗布法を挙
げて説明したが、導電性薄膜4の形成法はこれに限られ
るものでなく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆
積法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等を
用いることもできる。
【0029】3)続いて、フォーミング処理を施す。こ
のフォーミング処理方法の一例として通電処理による方
法を説明する。素子電極2、3間に、不図示の電源を用
いて通電を行うと、導電性薄膜4の部位に、構造の変化
した電子放出部5が形成される(図5(c))。この通
電フォーミングにより導電性薄膜4に局所的に破壊、変
形もしくは変質等の構造変化した部位が形成され、該部
位が電子放出部5となる。
【0030】通電フォーミングの電圧波形の例を図6に
示す。電圧波形は、パルス波形が、好ましい。これには
パルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印加する
図6(a)に示した手法と、パルス波高値を増加させな
がら電圧パルスを印加する図6(b)に示した手法があ
る。
【0031】図6(a)におけるT1及びT2は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔である。通常T1は1[μ
s]〜10[ms]、T2は10[μs]〜100[m
s]の範囲で設定される。三角波の波高値(通電フォー
ミング時のピーク電圧)は、表面伝導型電子放出素子の
形態に応じて適宜選択される。このような条件のもと、
例えば、数秒から数十分間電圧を印加すればよい。パル
ス波形は三角波に限定されるものではなく、矩形波など
所望の波形を採用することもできる。
【0032】図6(b)におけるT1及びT2は、図6
(a)と同様とすることができる。三角波の波高値(通
電フォーミング時のピーク電圧)は、例えば0.1
[V]ステップ程度づつ増加させることができる。通電
フォーミング処理の終了は、パルス間隔T2中に、導電
性薄膜4を局所的に破壊、変形しない程度の電圧を印加
し、電流を測定して検知することができる。例えば0.
1[V]程度の電圧印加により流れる素子電流を測定
し、抵抗値を求めて、1[MΩ]以上の抵抗を示した
時、通電フォーミングを終了させる。
【0033】4)フォーミングを終えた素子には活性化
処理を施すのが好ましい。活性化処理を施すことによ
り、素子電流If、放出電流Ieが著しく変化する。活
性化処理は、例えば有機物質のガスを含有する雰囲気下
で、通電フォーミングと同様にパルスの印加を繰り返す
ことで行える。この雰囲気は、例えば油拡散ポンプやロ
ータリーポンプなどを用いて真空容器内を排気した場合
に雰囲気内に残留する有機ガスを利用して形成すること
ができる他、イオンポンプなどにより一旦十分に排気し
た真空中に適当な有機物質のガスを導入することによっ
ても得られる。このときの好ましい有機物質のガス圧
は、前述の応用の形態、真空容器の形状や、有機物質の
種類などにより異なるため場合に応じ適宜設定される。
適当な有機物質としては、アルカン、アルケン、アルキ
ンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール
類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、
カルボン酸、スルホン酸等の有機酸類等を挙げることが
出来、具体的には、メタン、エタン、プロパンなどCn
2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレン
などCn2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベ
ンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、ホルムア
ルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、蟻
酸、酢酸、プロピオン酸等が使用できる。この処理によ
り雰囲気中に存在する有機物質から炭素あるいは炭素化
合物が素子上に堆積し、素子電流If、放出電流Ieが
著しく変化する。活性化工程の終了判定は、素子電流I
fと放出電流Ieを測定しながら行う。なおパルス幅、
パルス間隔、パルス波高値などは適宜設定される。
【0034】炭素あるいは炭素化合物としては、HOP
G(Highly Oriented Pyrolytic Graphite)、PG(Py
rolytic Graphite )、GC(Glassy Carbon )などの
グラファイトが挙げられる。HOPGはほぼ完全な結晶
構造をもつグラファイト、PGは結晶粒が200[Å]
程度で結晶構造がやや乱れたグラファイト、GCは結晶
粒が20[Å]程度で結晶構造の乱れがさらに大きくな
ったものを指す。また、非晶質カーボン(アモルフォス
カーボン及びアモルファスカーボンと前記グラファイト
の微結晶の混合物を含むカーボン)が挙げられる。その
膜厚は500[Å]以下にするのが好ましく、300
[Å]以下であればより好ましい。
【0035】5)活性化工程を経て得られた電子放出素
子は、安定化処理を行うことが好ましい。この処理は真
空容器内の有機物質の分圧が、1×10-8[torr]
以下、望ましくは1×10-10 [torr]以下で行う
のが良い。真空容器内の圧力は、10-6.5〜10-7[t
orr]が好ましく、特に1×10-8[torr]以下
が好ましい。真空容器を排気する真空排気装置は、装置
から発生するオイルが素子の特性に影響を与えないよう
に、オイルを使用しないものを用いるのが好ましい。具
体的にはソープションポンプ、イオンポンプ等の真空排
気装置を挙げることが出来る。さらに真空容器内を排気
するときには、真空容器全体を加熱して真空容器内壁や
電子放出素子に吸着した有機物質分子を排気しやすくす
るのが好ましい。このときの加熱した状態での真空排気
条件は、80〜200℃で5時間以上が望ましいが、特
にこの条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形
状、電子放出素子の構成などの諸条件により変化する。
なお、上記有機物質の分圧測定は質量分析装置により質
量数が10〜200の炭素と水素を主成分とする有機分
子の分圧を測定し、それらの分圧を積算することにより
求める。安定化工程を経た後の駆動時の雰囲気は、上記
安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ましいが、
これに限るものではなく、有機物質が十分除去されてい
れば真空度自体は多少低下しても十分安定な特性を維持
することが出来る。このような真空雰囲気を採用するこ
とにより、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑制
でき、結果として素子電流If、放出電流Ieが安定す
る。
【0036】電子放出素子の配列については、走査側配
線と信号側配線を電気的に分離する絶縁層パターンが必
要となるマトリクス配線であれば特に制限されず、種々
のものが採用できる。例えば、電子放出素子をX方向及
びY方向に行列状に複数個配し、同じ行に配された複数
の電子放出素子の電極の一方をX方向の配線に共通に接
続し、同じ列に配された複数の電子放出素子の電極の他
方をY方向の配線に共通に接続するものが挙げられる。
このようなものは所謂単純マトリックス配置であり、電
子放出素子が走査側配線と信号側配線の直交する位置に
配設され、かつ該配線の一組又は複数組を順次選択する
ことにより通電されるように構成したものである。
【0037】この単純マトリックス配置について以下に
詳述する。図7は、この電子放出素子を複数個マトリッ
クス状に配した電子源基板を示す図である。図7におい
て、71は電子源基板、72はX方向配線、73はY方
向配線である。74は表面伝導型電子放出素子、75は
結線である。尚、表面伝導型電子放出素子74は、前述
した平面型あるいは垂直型のどちらであってもよい。
【0038】m本のX方向配線72は、Dx1、Dx
2、・・・ Dxmからなり、真空蒸着法、印刷法、ス
パッタ法等を用いて形成された導電性金属等で構成する
ことができる。配線の材料、膜厚、巾は、適宜設計され
る。Y方向配線73は、Dyl、Dy2、・・・ Dy
nのn本の配線よりなり、X方向配線72と同様に形成
される。これらm本のX方向配線72とn本のY方向配
線73との間には、不図示の層間絶縁層が設けられてお
り、両者を電気的に分離している(m、nは共に正の整
数)。不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷法、ス
パッタ法等を用いて形成されたSiO2 等で構成され
る。本発明においては、大面積化を行う時にコスト的に
有利な技術である印刷法を用いる時に特に有効である。
【0039】例えば、X方向配線72を形成した基板7
1の全面或は一部に所望の形状で形成され、特にX方向
配線72とY方向配線73の交差部の電位差に耐え得る
ように膜厚、材料、製法が設定される。X方向配線72
とY方向配線73は、それぞれ外部端子として引き出さ
れている。表面伝導型電子放出素子74を構成する一対
の電極(不図示)は、m本のX方向配線72とn本のY
方向配線73と導電性金属等からなる結線75によって
電気的に接続されている。
【0040】配線72と配線73を構成する材料、結線
75を構成する材料及び一対の素子電極を構成する材料
は、その構成元素の一部あるいは全部が同一であって
も、またそれぞれ異なってもよい。これら材料は、例え
ば前述の素子電極の材料より適宜選択される。
【0041】X方向配線72には、X方向に配列して表
面伝導型電子放出素子74の行を、選択するための走査
信号を印加する不図示の走査信号印加手段が接続され
る。一方、Y方向配線73にはY方向に配列した表面伝
導型電子放出素子74の各列を入力信号に応じて変調す
るための不図示の変調信号発生手段が接続される。各電
子放出素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印加さ
れる走査信号と変調信号の差電圧として供給される。
【0042】上記構成においては、単純なマトリックス
配線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能と
することができる。このような単純マトリックス配置の
電子源を用いて構成した画像形成装置について、図8、
図9及び図10を用いて説明する。図8は画像形成装置
の表示パネルの一例を示す模式図であり、図9は図8の
画像形成装置に使用される蛍光膜の模式図である。図1
0はNTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行うため
の駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0043】図8において71は電子放出素子を複数配
した電子源基板、81は電子源基板71を固定したリア
プレート、86はガラス基板83の内面に蛍光膜84と
メタルバック85等が形成されたフェースプレートであ
る。82は支持枠であり、該支持枠82には、リアプレ
ート81、フェースプレート86がフリットガラス等を
用いて接続されている。88は外囲器であり、例えば大
気中あるいは窒素中で400〜500℃の温度範囲で1
0分以上焼成され、封着される。74は、図3における
電子放出部に相当する。72、73は、表面伝導型電子
放出素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線及び
Y方向配線である。
【0044】外囲器88は、上述の如く、フェースプレ
ート86、支持枠82、リアプレート81で構成され
る。リアプレート81は主に電子源基板71の強度を補
強する目的で設けられるため、電子源基板71自体で十
分な強度を持つ場合は別体のリアプレート81は不要と
することができる。即ち、電子源基板71に直接支持枠
82を封着し、フェースプレート86、支持枠82及び
電子源基板71で外囲器88を構成してもよい。一方、
フェースプレート86、リアプレート81間に、スペー
サー(耐大気圧支持部材)とよばれる不図示の支持体を
設置することにより、大気圧に対して十分な強度をもつ
外囲器88を構成することもできる。
【0045】図9は、蛍光膜を示す模式図である。蛍光
膜84はモノクロームの場合は蛍光体のみから構成する
ことができる。カラーの蛍光膜の場合は蛍光体の配列に
よりブラックストライプあるいはブラックマトリクスな
どと呼ばれる黒色部材91と蛍光体92とから構成する
ことができる。ブラックストライプ、ブラックマトリク
スを設ける目的は、カラー表示の場合、必要となる三原
色蛍光体の各蛍光体92間の塗り分け部を黒くすること
で混色等を目立たなくすることと、外光反射によるコン
トラストの低下を抑制することにある。ブラックストラ
イプの材料としては、通常用いられている黒鉛を主成分
とする材料の他、光の透過及び反射が少ない材料であれ
ば、これを用いることができる。
【0046】ガラス基板83に蛍光体84を塗布する方
法は、モノクローム、カラーによらず、沈殿法、印刷法
等が採用できる。蛍光膜84の内面側には、通常メタル
バック85が設けられる。メタルバック85を設ける目
的は、蛍光体84の発光のうち内面側への光をフェース
プレート86側へ鏡面反射させることにより輝度を向上
させること、電子ビーム加速電圧を印加するための電極
として作用させること、外囲器内で発生した負イオンの
衝突によるダメージから蛍光体を保護すること等であ
る。メタルバック85は、蛍光膜84作製後、蛍光膜8
4の内面側表面の平滑化処理(通常、「フィルミング」
と呼ばれる)を行い、その後Alを真空蒸着等を用いて
堆積させることで作製できる。フェースプレート86に
は、更に蛍光膜84の導電性を高めるため、蛍光膜84
の外面側(ガラス基板83側)に透明電極(不図示)を
設けてもよい。前述の封着を行う際には、カラーの場合
は各色蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があ
り、十分な位置合わせが不可欠となる。
【0047】ガラス基板83に蛍光体84を塗布する方
法は、モノクローム、カラーによらず、沈殿法、印刷法
等が採用できる。蛍光膜84の内面側には、通常メタル
バック85が設けられる。メタルバック85を設ける目
的は、蛍光体84の発光のうち内面側への光をフェース
プレート86側へ鏡面反射させることにより輝度を向上
させること、電子ビーム加速電圧を印加するための電極
として作用させること、外囲器内で発生した負イオンの
衝突によるダメージから蛍光体を保護すること等であ
る。メタルバック85は、蛍光膜84作製後、蛍光膜8
4の内面側表面の平滑化処理(通常、「フィルミング」
と呼ばれる)を行い、その後Alを真空蒸着等を用いて
堆積させることで作製できる。フェースプレート86に
は、更に蛍光膜84の導電性を高めるため、蛍光膜84
の外面側(ガラス基板83側)に透明電極(不図示)を
設けてもよい。前述の封着を行う際には、カラーの場合
は各色蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があ
り、十分な位置合わせが不可欠となる。
【0048】図8に示した画像形成装置は、例えば以下
のようにして製造される。外囲器88は、前述の安定化
工程と同様に、適宜加熱しながら、イオンポンプ、ソー
プションポンプなどのオイルを使用しない排気装置によ
り不図示の排気管を通じて排気し、1×10-7[tor
r]程度の真空度の有機物質の十分少ない雰囲気にした
後、封止される。外囲器88の封止後の真空度を維持す
るために、ゲッター処理を行なうこともできる。これ
は、外囲器88の封止を行う直前あるいは封止後に、抵
抗加熱あるいは高周波加熱等を用いた加熱により、外囲
器88内の所定の位置(不図示)に配置されたゲッター
を加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通
常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、
たとえば1×10-5ないし1×10-7[torr]の真
空度を維持するものである。
【0049】次に、単純マトリクス型配置の電子源基板
を用いて構成した画像形成装置(表示パネル)におい
て、NTSC方式のテレビ信号に基づいたテレビジョン
表示を行うための駆動回路の構成例を、図10のブロッ
ク図を用いて説明する。図10において、101は表示
パネル、102は走査回路、103は制御回路、104
はシフトレジスタ、105はラインメモリ、106は同
期信号分離回路、107は変調信号発生器、Vx及びV
aは直流電圧源である。
【0050】表示パネル101は、端子Dox1乃至D
oxm、端子Doy1乃至Doyn及び高圧端子Hvを
介して外部の電気回路と接続している。端子Dox1乃
至Doxmには表示パネル101内に設けられている電
子源、すなわちm行n列の行列状にマトリクス配線され
た表面伝導型電子放出素子群を一行(n素子)ずつ順次
駆動していくための走査信号が印加される。端子Doy
1乃至Doynには走査信号により選択された一行の表
面伝導型電子放出素子の各素子の出力電子ビームを制御
するための変調信号が印加される。高圧端子Hvには直
流電圧源Vaより、例えば10[kV]の直流電圧が供
給されるが、これは表面伝導型電子放出素子から放出さ
れる電子ビームに蛍光体を励起するのに十分なエネルギ
ーを付与するための加速電圧である。
【0051】次に、走査回路102について説明する。
同回路は内部にm個のスイッチング素子を備えるもので
ある(図中、S1乃至Smで模式的に示している)。各
スイッチング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧もしく
は0[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択
し、表示パネル101の端子Dox1乃至Doxmと電
気的に接続されている。S1乃至Smの各スイッチング
素子は、制御回路103が出力する制御信号Tscan
に基づいて動作するものであり、例えばFETのような
スイッチング素子を組み合わせることにより構成するこ
とができる。直流電圧電源Vxは、本例の場合には表面
伝導型放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基づ
き走査されていない素子に印加される駆動電圧が電子放
出しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力するよ
うに設定されている。制御回路103は、外部より入力
する画像信号に基づいて適切な表示が行われるように、
各部の動作を整合させる機能を有する。制御回路103
は、同期信号分離回路106より送られる同期信号Ts
yncに基づいて、各部に対してTscan、Tsft
及びTmryの各制御信号を発生する。同期信号分離回
路106は、外部から入力されるNTSC方式のテレビ
信号から同期信号成分と輝度信号成分とを分離するため
の回路で、一般的な周波数分離(フィルター)回路等を
用いて構成できる。同期信号分離回路106により分離
された同期信号は、垂直同期信号と水平同期信号より成
るが、ここでは説明の便宜上Tsync信号として図示
した。前記テレビ信号から分離された画像の輝度信号成
分は便宜上DATA信号と表した。該DATA信号はシ
フトレジスタ104に入力される。
【0052】シフトレジスタ104は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、制御回
路103より送られる制御信号Tsftに基づいて動作
する。すなわち、制御信号Tsftは、シフトレジスタ
104のシフトクロックであるということもできる。シ
リアル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放出
素子n素子分の駆動データに相当)のデータは、Id1
乃至Idnのn個の並列信号としてシフトレジスタ10
4より出力される。ラインメモリ105は、画像1ライ
ン分のデータを必要時間の間だけ記憶するための記憶装
置であり、制御回路103より送られる制御信号Tmr
yに従って、適宜Id1乃至Idnの内容を記憶する。
記憶された内容はId’1乃至Id’nとして出力さ
れ、変調信号発生器107に入力される。変調信号発生
器107は、画像データId’1乃至Id’nの各々に
応じて表面伝導型電子放出素子の各々を適切に駆動変調
するための信号源であり、その出力信号は、端子Doy
1乃至Doynを通じて表示パネル101内の表面伝導
型電子放出素子に印加される。
【0053】前記電子放出素子は、放出電流Ieに対し
て以下の基本特性を有している。すなわち、電子放出に
は明確なしきい値電圧Vthがあり、Vth以上の電圧
を印加された時のみ電子放出が生じる。電子放出しきい
値以上の電圧に対しては、素子への印加電圧の変化に応
じて放出電流も変化する。このことから、本素子にパネ
ル状の電圧を印加する場合、例えば電子放出しきい値以
下の電圧を印加しても電子放出は生じないが、電子放出
しきい値以上の電圧を印加する場合には電子ビームが出
力される。その際、パルスの波高値Vmを変化させる事
により出力電子ビームの強度を制御することが可能であ
る。また、パルスの幅Pwを変化させることにより出力
される電子ビームの電荷の総量を制御する事が可能であ
る。したがって、入力信号に応じて、電子放出素子を変
調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調方式
等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際しては、
変調信号発生器107として、一定長さの電圧パルスを
発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの波高値
を変調するような電圧変調方式の回路を用いることがで
きる。また、パルス幅変調方式を実施するに際しては、
変調信号発生器107として、一定の波高値の電圧パル
スを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルス
の幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いる
ことができる。
【0054】以上に説明した一連の動作により、本発明
の画像形形成装置を表示パネル101として用いてテレ
ビジョンの表示を行える。なお、シフトレジスタ104
やラインメモリ105はデジタル信号式のものもアナロ
グ信号式のものも採用できる。画像信号のシリアル/パ
ラレル変換や記憶が所定の速度で行なわれれば良いから
である。
【0055】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路106の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これには106の出力部にA/D変
換器を設ければ良い。これに関連してラインメモリ10
5の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、
変調信号発生器107に用いられる回路が若干異なった
ものとなる。すなわち、デジタル信号を用いた電圧変調
方式の場合、変調信号発生器107には、例えばD/A
変換回路を用い、必要に応じて増幅回路等を付加する。
パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器107には、
例えば高速の発振器及び発振器の出力する波数を計数す
る計数器(カウンタ)及び計数器の出力値と前記メモリ
の出力値を比較する比較器(コンパレータ)を組み合わ
せた回路を用いる。必要に応じて、比較器の出力するパ
ルス幅変調された変調信号を表面伝導型電子放出素子の
駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加するこ
ともできる。
【0056】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器107には、例えばオペアンプ等を
用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト
回路等を付加することもできる。パルス幅変調方式の場
合には、例えば電圧制御発振回路(VCO)を採用で
き、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電圧ま
で電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0057】このような構成をとりえる本発明の画像形
成装置においては、各電子放出素子に、容器外端子Do
x1乃至Doxm、Doy1乃至Doynを介して電圧
を印加することにより、電子放出が生ずる。高圧端子H
vを介してメタルバック85、あるいは透明電極(不図
示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速され
た電子は蛍光膜84に衝突し、発光が生じて画像が形成
される。
【0058】以上述べた構成は、表示等に用いられる好
適な画像形成装置を作製する上で必要な概略構成であ
り、入力信号として、NTSC方式を挙げたが、これに
限るものではなく、PAL、SECAM方式等も採用で
き、また、これよりも多数の走査線からなるTV信号
(例えば、MUSE方式をはじめとする高品位TV)方
式も採用できる。
【0059】本発明による画像形成装置は、上述したテ
レビジョン放送の表示装置のみならず、テレビ会議シス
テム、コンピュータ等の表示装置にも適する。更には、
感光性ドラム等を用いて構成された光プリンターとして
の画像形成装置等としても用いることができる。
【0060】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0061】<実施例1>まず、図2(a)に示す様
に、洗浄されたガラス基板(ソーダライムガラス基板)
上に、厚膜スクリーン印刷法により、電子放出部近傍の
素子電極2、3を形成した。ここで使用した厚膜ペース
ト材料はMODペーストで、金属成分はAuである。印
刷後110℃で20分乾燥し、次いで本焼成を実施した
(焼成温度580℃、ピーク保持時間約8分)。焼成後
の膜厚は、約0.3μmであった。また、このとき同時
に、外部駆動回路との接続用引出電極(不図示)を形成
した。この事により工程が1工程短縮された。次に、厚
膜スクリーン印刷法により、図2(b)に示す様に、下
部配線層(走査側または信号側)10を形成した。ここ
で使用したペースト材料は、ノリタケ(株)製NP−4
035Cを用いた。印刷後110℃で20分乾燥し、次
いで本焼成を実施した(焼成温度480℃、ピーク保持
時間約8分)。焼成後の膜厚は、約10μmであった。
【0062】次に、厚膜スクリーン印刷法により、図2
(c)に示す様に、第1の絶縁層パターン12を形成し
た。ここで使用したペーストは、PbOを主成分として
ガラスバインダーを混合したものである。印刷後110
℃で10分乾燥し、次いで本焼成を実施した(焼成温度
480℃、ピーク保持時間約8分)。次に、厚膜スクリ
ーン印刷法により、図2(d)に示す様に、第2の絶縁
層パターン14を形成した。ここで使用したペースト
は、PbOを主成分としてガラスバインダーを混合した
ものである。印刷後110℃で10分乾燥し、次いで本
焼成を実施した(焼成温度480℃、ピーク保持時間約
8分)。
【0063】最後に、厚膜スクリーン印刷法により、図
2(e)に示す様に、下部配線層(走査側または信号
側)10と同様にして上部配線層(走査側または信号
側)16を形成した。この上部配線層(走査側または信
号側)16は素子電極と接続している。以上の様にし
て、マトリクス配線の部分が完成した。なお、本実施例
における配線の具体的数値は、図11に示す各部におい
て、a=200μm、b=100μm、c=200μ
m、d=450μm、e=100μmとした。
【0064】この配線における絶縁層は、配線間の絶縁
の信頼性、配線と電極のコンタクトにおいて優れ、高密
度化可能なものであった。但し、ペースト材料、印刷方
法等はここに記したものに限るものではない。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、(1)走査側配線と信
号側配線の絶縁性が向上し、(2)上部配線層(走査側
または信号側)と素子電極とのコンタクトが向上し、
(3)絶縁層の占有面積を小さくでき、これら(1)〜
(3)に基づき、信頼性、歩留まりの向上、それに伴う
コストの低減、更に高解像度の画像形成等の優れた効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子源基板の配線状態を例示する模式
図である。
【図2】(a)〜(e)は本発明の電子源基板の製造の
各工程を示す模式図である。
【図3】本発明の平面型表面伝導型電子放出素子の構成
を示す模式図であり、(a)は模式的平面図、(b)は
その断面図である。
【図4】本発明の垂直型表面伝導型電子放出素子の構成
を示す模式図である。
【図5】(a)〜(c)は、本発明の表面伝導型電子放
出素子の製造の各工程を示す模式図である。
【図6】(a)(b)は、各々、本発明の表面伝導型電
子放出素子の製造に採用できる通電フォーミング処理に
おける電圧波形の例を示すグラフである。
【図7】本発明のマトリクス配置型電子源基板の一例を
示す模式図である。
【図8】本発明のマトリクス配置型電子源基板を用いた
画像形成装置の表示パネルの一例を示す模式図である。
【図9】(a)(b)は、各々、本発明の画像形成装置
の蛍光膜の例を示す模式図である。
【図10】本発明の画像形成装置にNTSC方式のテレ
ビ信号に応じて表示を行なうための駆動回路の一例を示
すブロック図である。
【図11】実施例で形成した配線を示す模式図である。
【図12】従来の表面伝導型電子放出素子の模式図であ
る。
【符号の説明】
1 基板 2、3 素子電極 4 導電性薄膜 5 電子放出部 10 下部配線層(走査側または信号側) 12 第1の絶縁層パターン 14 第2の絶縁層パターン 16 上部配線層(走査側または信号側) 71 電子源基板 72 X方向配線 73 Y方向配線 74 表面伝導型電子放出素子 75 結線 101 表示パネル

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の電子放出素子と、該電子放出素子
    を通電するための走査側配線及び信号側配線からなるマ
    トリクス配線と、該走査側配線と該信号側配線を電気的
    に分離する絶縁層とを備える電子源において、 前記絶縁層が、互いに異なる形状を有する複数の絶縁層
    パターンを積層して構成されている事を特徴とする電子
    源。
  2. 【請求項2】 前記絶縁層が、電子放出素子の素子電極
    部分において凹形状を有する帯状絶縁層であり、該凹形
    状の開口部の幅が該素子電極の幅以上である第1の絶縁
    層パターンに該凹形状の開口部の幅が該素子電極の幅未
    満である第2の絶縁層パターンを積層して構成されてい
    る請求項1記載の電子源。
  3. 【請求項3】 電子放出素子が、電子放出部形成用薄膜
    に通電フォーミング処理を施す事により電子放出部が形
    成された表面伝導型電子放出素子である請求項1又は2
    記載の電子源。
  4. 【請求項4】 複数の電子放出素子と、該電子放出素子
    を通電するための走査側配線及び信号側配線からなるマ
    トリクス配線と、該走査側配線と該信号側配線を電気的
    に分離する絶縁層とを備える電子源の製造方法におい
    て、 互いに異なる形状を有する複数の絶縁層パターンを積層
    する事により前記絶縁層を構成する工程を含む事を特徴
    とする電子源の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記絶縁層を厚膜印刷法により形成する
    請求項4記載の電子源の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3の何れか一項記載の電子源
    と、該電子源の電子放出素子から放出される電子を受け
    て可視光を発する蛍光体とを少なくとも備える画像形成
    装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3の何れか一項記載の電子源
    と、該電子源の電子放出素子から放出される電子を受け
    て可視光を発する蛍光体とを少なくとも備える画像形成
    装置の製造方法において、 互いに異なる形状を有する複数の絶縁層パターンを積層
    する事により前記電子源の絶縁層を構成する工程を含む
    事を特徴とする電子源の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6604970B1 (en) * 1999-02-23 2003-08-12 Canon Kabushiki Kaisha Methods for producing electron source, image-forming apparatus, and wiring substrate having a stack of insulating layers; and electron source, image-forming apparatus, and wiring substrate produced using the methods

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6604970B1 (en) * 1999-02-23 2003-08-12 Canon Kabushiki Kaisha Methods for producing electron source, image-forming apparatus, and wiring substrate having a stack of insulating layers; and electron source, image-forming apparatus, and wiring substrate produced using the methods

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