JPH09278475A - 多重ガラス体の製造方法 - Google Patents

多重ガラス体の製造方法

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JPH09278475A
JPH09278475A JP8971496A JP8971496A JPH09278475A JP H09278475 A JPH09278475 A JP H09278475A JP 8971496 A JP8971496 A JP 8971496A JP 8971496 A JP8971496 A JP 8971496A JP H09278475 A JPH09278475 A JP H09278475A
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glass member
diameter
core
nozzle
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JP8971496A
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Reikou Chiyou
黎紅 張
Toshiharu Yamashita
俊晴 山下
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Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B37/00Manufacture or treatment of flakes, fibres, or filaments from softened glass, minerals, or slags
    • C03B37/01Manufacture of glass fibres or filaments
    • C03B37/012Manufacture of preforms for drawing fibres or filaments
    • C03B37/01265Manufacture of preforms for drawing fibres or filaments starting entirely or partially from molten glass, e.g. by dipping a preform in a melt
    • C03B37/01274Manufacture of preforms for drawing fibres or filaments starting entirely or partially from molten glass, e.g. by dipping a preform in a melt by extrusion or drawing

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い真円度および均一コア径を有する多重ガ
ラス体の製造方法を提供する。 【解決手段】 底部を有する筒状体からなり、底部に内
筒よりも小径のノズルを有するガラス部材収容部に、前
記内筒よりも小径の第1のガラス部材および前記内筒と
ほぼ同一径の第2のガラス部材を含む少なくとも2種の
ガラス部材を、前記第1のガラス部材を前記内筒とほぼ
同一の外径を有する環状部材に嵌合させた状態で、前記
第2のガラス部材が前記ノズル側となるように前記第1
のガラス部材と前記第2のガラス部材とを前記内筒と接
する状態で配置し、加熱下、ガラス部材収容部の上部か
ら加圧用プランジャーにより、前記第1のガラス部材お
よび環状部材を加圧し、流動化した前記第2のガラス部
材を前記ノズルから流出させつつ、流動化した第1のガ
ラス部材をその横方向への動きを環状部材によって規制
した状態で、前記第2のガラス部材の中央部に引き込
み、前記ノズルから流出させ、内層が第1のガラス部
材、外層が第2のガラス部材からなる多重ガラス体を得
ることを特徴とする多重ガラス体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多重ガラス体の製
造方法に関する。本発明により得られた多重ガラス体
は、例えば極細のコア径を有するシングルモード光ファ
イバー、ファラデー効果光ファイバーもしくは偏波面保
存ファイバーとして利用できる多重構造をもつ光ファイ
バーおよび光部品の製造等に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】極細のコア径を有する多重構造体である
シングルモード光ファイバーは、極細のコアが肉厚のク
ラッド層に覆われて、少なくとも二重またはそれ以上の
多重構造となっている。このような構造をもつ光ファイ
バーの製造方法の一つに、ロッドインチューブ法があ
る。ロッドインチューブ法とは、細いコアロッドと細長
い穴をもつ肉厚のクラッドチューブをそれぞれ加工して
からコアロッドをクラッドチューブに挿入して、プリフ
ォームとしたのち、線引きして、光ファイバーを製造す
る方法である。
【0003】ロッドインチューブ法に用いられるガラス
チューブの加工は技術的に困難であるため、チューブ加
工を必要とせずに、コアとクラッドとが一体化されてい
るシングルモード光ファイバー用プリフォームの押出成
形法が提案された。この方法を開示するものとして、特
公平7−76105号公報(以下従来技術1という)に
記載された方法がある。この方法は、成形材料収容部と
ほぼ同一の径を有するクラッドガラス円柱体と、クラッ
ドガラス円柱体よりも小さい径を有するコアガラス円柱
体を用意し、コアガラス円柱体をクラッドガラス円柱体
の中心にセットして押し出し成形装置の成形材料収容部
に収容し、加熱軟化後に押出プランジャーでコアガラス
体をクラッドガラス体に圧入してから、両ガラス体を同
時に押し出すことにより、クラッドガラスの中心に極細
のコアガラスが存在する二重または多重構造のプリフォ
ームを得る方法である。
【0004】さらに、特公平7−76106号公報(以
下従来技術2という)に記載された方法がある。この方
法は、次のように行われる。すなわち、径の小さいコア
ガラス円柱体を筒状成形治具(シリンダ)に収容し、コ
アガラス円柱体の一端面を柱状成形治具(副プランジャ
ー)で押える。次に成形材料収容部(主コンテナ)とほ
ぼ同一の径を有するクラッドガラス円柱体の一端面に、
シリンダに収容されたコアガラス円柱体を載置し、さら
に成形材料収容部(主コンテナ)に収容する。次に副プ
ランジャーにより一旦コアガラス円柱体をシリンダから
クラッドガラス円柱体に押し込んでから、さらに押出パ
ンチ(主プランジャー)によりノズルからコアを含むク
ラッドガラスを押し出すものである。
【0005】上記従来技術1の方法は、ロッドインチュ
ーブ法の欠点を解消し、クラッド用ガラスとして厚肉の
チューブ加工を必要とせずに光ファイバー用一体型多重
構造のプリフォームが得られる点で優れた方法である。
【0006】上記従来技術2の方法は、より高い真円精
度のプリフォームが得られる点で、実用性のあるプリフ
ォームの製造方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記従来技術1
の方法は、クラッドガラス体より径の小さいコアガラス
体と成形材料収容部との間に空間を有するので、押し出
し条件によってはコアガラス体が横方向へ不整変形する
ので、得られたプリフォームの、長さ方向におけるコア
径/クラッド径の比が変動することがあるという欠点が
ある。
【0008】また従来技術2の方法は、成形材料収容部
(主コンテナ)および押し出しパンチ(主プランジャ
ー)以外に筒状成形治具(シリンダ)および柱状成形治
具(副プランジャー)を必要とし、製造設備上および製
造操作上の煩雑さがあるという欠点がある。
【0009】従って、本発明の目的は、上記従来技術1
および2の方法の欠点を解消した新規の多重ガラス体の
製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは多重ガラス
体を低コストで、高精度に製造するために、先ず、単純
に積層した第1のガラス体と第2のガラス体を加圧し
て、加圧中のガラスの流動状態について調査した。その
結果、第2のガラス体よりも小径の第1のガラス体が、
成形材料収容部とほぼ同一径を有する第2のガラス体の
上面に位置する状態で加圧すると、加圧中に周囲ガラス
より中心部ガラスの流動速度が速いため上部に位置する
ガラスが下部に位置するガラスの中心に引き込まれる状
態となるが、高い真円精度と均一コア径の製品を得るた
めには、加圧中にガラスの横方向への不整変形を抑制す
る必要があることが判明した。
【0011】そこで、加圧中のガラスの横方向への不整
変形を抑制するための手段を鋭意検討した結果、小径の
第1のガラス体を成形材料収容部とほぼ同一の外径を有
する環状部材に嵌合させることが加圧中のガラスの横方
向への不整変形を抑制するために極めて有効であること
を見い出した。
【0012】本発明は、この知見に基づいて完成したも
のであり、底部を有する筒状体からなり、底部に、前記
筒状体の内周である内筒よりも小径のノズルを有するガ
ラス部材収容部に、前記内筒よりも小径の第1のガラス
部材および前記内筒とほぼ同一径の第2のガラス部材を
含む少なくとも2種のガラス部材を、前記第1のガラス
部材を前記内筒とほぼ同一の外径を有する環状部材に嵌
合させた状態で、前記第2のガラス部材が前記ノズル側
となるように前記第1のガラス部材と前記第2のガラス
部材とを前記内筒と接する状態で配置し、加熱下、ガラ
ス部材収容部の上部から加圧用プランジャーにより、前
記第1のガラス部材および環状部材を加圧し、流動化し
た前記第2のガラス部材を前記ノズルから流出させつ
つ、流動化した第1のガラス部材をその横方向への動き
を環状部材によって規制した状態で、前記第2のガラス
部材の中央部に引き込み、前記ノズルから流出させ、内
層が第1のガラス部材、外層が第2のガラス部材からな
る多重ガラス体を得ることを特徴とする多重ガラス体の
製造方法を要旨とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳説する。本発明
によれば、図1に示すように、第1のガラス部材(コア
ガラス円柱体)1を予め環状部材(金属リング)2に嵌
合させて、第2のガラス部材(クラッドガラス円柱体)
3の上面に載置し、ノズル4を有するガラス部材収容部
(コンテナ)5に収容してから、プランジャー6で第1
のガラス部材(コアガラス体)を上から押える状態で加
熱し、ガラス軟化後プランジャー6により加圧すること
により、第1のガラス部材(コアガラス体)の横方向の
不整変形が抑えられ、積層したガラス体の形状および寸
法にはほとんど関係なく、直径が小さくて均一なコアを
含む二重または多重構造のロッドが得られる。
【0014】本発明の方法において必須の要件である環
状部材は、金属リングに限定されず、第1のガラス部材
より高い屈曲点温度を有する材質のものであればよい。
【0015】図2は加圧時のガラスの流動挙動を示す図
である。図2の(a)はプランジャー6による加圧開始
時の2層ガラス体の流動状態を示す。第1のガラス部材
1を、第1のガラス部材1とほぼ同じ高さの環状部材
(金属リング)2に嵌合させ、加圧過程で第1のガラス
部材1の横方向への変形を規制した状態に保つ。加圧開
始時、プランジャー6の下降により第1のガラス部材1
および第2のガラス部材3の上から均一な応力をかけら
れ、第2のガラス部材3がまずノズル4から押し出され
る。その時、第1のガラス部材1がその中心部から、下
に位置する第2のガラス部材3に引き込まれる状態で、
第2のガラス部材3の中心に流れ込む。第1のガラス部
材1を嵌合させている環状部材(金属リング)2の内容
積が変わらないため、環状部材2の内部から流れ出した
第1のガラス部材1と同量の第2のガラス部材3が環状
部材2の内部に補給される。図2の(b)は加圧の中期
の2層ガラス体の流動状態を示す。この時、第1のガラ
ス部材1が第2のガラス部材3の中心部に位置するよう
になり、第2のガラス部材3とともにノズル4から流出
し、得られたロッドの構造は二重構造となる。図2の
(c)は加圧終期のガラスの流動状態を示す。中心に位
置する第1のガラス部材1は流動速度が第2のガラス部
材3より速いため、成形終期に第1のガラス部材1の量
も少なくなり、直径が細くなるような方向へ変化する。
【0016】本発明の多重ガラス体の製造方法の好まし
い態様を述べると以下のとおりである。 (1)図3の(a)に示すように、第1のガラス部材が
複数のガラス体1a,1bからなり、これらのガラス体
1a,1bは、ガラス体のそれぞれの径が、加圧用プラ
ンジャー6側に向かって小さくなるように(ガラス体1
aの径<ガラス体1bの径)、かつガラス部材収容部5
とほぼ同一の外径を有する環状部材2a,2bに嵌合さ
せた状態でガラス部材収容部5内に配置されている。 (2)図3の(b)に示すように第2のガラス部材が複
数のガラス体3a,3bからなる。第2のガラス部材は
同種のガラスによって形成されるのが好ましい。 (3)図3の(c)に示すように、環状部材2a,2b
は、加圧用プランジャー6の加圧面に一体的に形成され
ていてもよい。 (4)図4の(a1),(a2);(b1),(b2);
(c1),(c2);および(d1),(d2)に示すよう
に第1のガラス部材1a,1bおよび第2のガラス部材
3の断面形状は円形に限定されず、そのうちの少なくと
も1つを楕円、多角形などの異形断面とすることもでき
る。 (5)ガラス部材の界面に泡やゴミなどが付着しないよ
うにするため、ガラス部材収容部を減圧することもで
き、減圧度としては10-1〜10-5torrが好ましい。 (6)第1のガラス部材の肉厚は第2のガラス部材の肉
厚の0.5〜50%であるのが好ましい。その理由は5
0%を超えるとコア径が太くなり、シングルモード光フ
ァイバー用プリフォームの要求を満たさなくなることが
あり、また0.5%未満であると、コア層の長さが短
く、コア径の変動が大きくなることがあるからである。
【0017】本発明の多重ガラス体の製造方法におい
て、ガラス部材の前処理、プランジャーによる加圧処理
などの条件は特に臨界的でなく、各種の条件を採用でき
るが、その主なものを列挙すると以下のとおりである。 (i)ガラス部材の前処理として、第1のガラス部材と
第2のガラス部材のそれぞれ少なくとも片面を研磨す
る。 (ii)プランジャーによる加圧は、温度を所定温度(例
えば約650℃)に設定した外部ヒータにより、各ガラ
ス部材の粘性が107〜108ポアズになるように加熱し
てから行う。上記粘性になるまでの加熱時間はガラス体
の大きさなどによって異なるが、通常約1.5〜5時間
である。 (iii)得られた多重ガラス体が変形しないように室温
まで冷却する間に、室温より10℃前後低い冷風を多重
ガラス体表面に吹きかける。 以上詳述した本発明の方法により得られた多重ガラス体
は、光ファイバー用プリフォームとして好適に用いられ
る。ここに光ファイバー用プリフォームとしては、シン
グルモード光ファイバー、ファラデー効果光ファイバ
ー、偏波面保存ファイバーなどの製造に用いるプリフォ
ームが挙げられる。
【0018】本発明の方法で得られた多重ガラス体を光
ファイバー用プリフォームとして用いて光ファイバーを
得る際には、従来公知の線引き方法が用いられる。すな
わち、多重ガラス体(プリフォーム)を加熱炉で600
〜750℃に加熱後、所定の外径(例えば125μm)
に線引きすることにより、光ファイバーが得られる。線
引き時にファイバーの外周をUV硬化樹脂でインライン
被覆してもよい。
【0019】以上、環状部材を用いる本発明の多重ガラ
ス体の製造方法を説明してきたが、本発明者らは、図5
に示すように、第1のガラス部材1が第2のガラス部材
3a,3bよりも著しく肉薄であるときには、環状部材
を用いずに、かつ第2のガラス部材3a,3bとほぼ同
一の径を有する第1のガラス部材1を用いても、高い真
円精度と均一コア径を有するガラス多重体が得られるこ
とを見い出した。
【0020】従って本発明は、底部を有する筒状体から
なり、底部に、前記筒状体の内周である内筒よりも小径
のノズルを有するガラス部材収容部に前記内筒とほぼ同
一の径を有し相対的に肉薄の第1のガラス部材および前
記内筒とほぼ同一の径を有し相対的に肉厚の第2のガラ
ス部材を含む少なくとも2種のガラス部材を、第2のガ
ラス部材が前記ノズル側となるように前記第1のガラス
部材と前記第2のガラス部材とを前記内筒と接する状態
で配置し、加熱下、ガラス部材収容部の上部から加圧用
プランジャーにより、前記第1のガラス部材を加圧し、
流動化した前記第2のガラス部材を前記ノズルから流出
させつつ、流動化した第1のガラス部材を、前記第2の
ガラス部材の中央部に引き込み、ノズルから流出させ、
内層が第1のガラス部材、外層が第2のガラス部材から
なる多重ガラス体を得ることを特徴とする多重ガラス体
の製造方法を要旨とするものでもある。
【0021】本発明のこの方法において、第1のガラス
部材の肉厚は第2のガラス部材の肉厚の0.5〜10%
であるのが好ましい、その理由は、10%を超えると、
コア径が太くなり、シングルモード光ファイバー用プリ
フォームの要求を満たさなくなることがあり、0.5%
未満であると、コア層の長さが短く、コア径の変動が大
きくなることがあるからである。
【0022】
【実施例】以下実施例により、本発明の方法について詳
細に説明する。
【0023】[実施例1]実施例1においては、コア径
の小さいシングルモード光ファイバー用の二重構造プリ
フォームを作製した。
【0024】この光ファイバーの用途として、ファラデ
ー効果を利用した電流センサがあるため、光弾性係数の
小さな鉛珪酸塩系ガラスを用いた。また、使用波長85
0nm、規格化周波数2.35で、コアガラスとクラッ
ドガラスの屈折率により、125μmのファイバー外径
に対して、コア径が5.0μmであることが求められ
た。
【0025】上記要求を満たすファイバーの構造と寸法
に合わせて、コアガラス体およびクラッドガラス体につ
いて次のような寸法のものを設定した。コアガラス体は
直径10mm、厚み0.5mmで、クラッドガラス体は
直径50mm、厚み20mmである。
【0026】成形型としては、内径50mmのコンテナ
と口径8.5mmのノズルを有するものを用いた。
【0027】コアガラス体を、外径50mm、内径10
mm、厚み0.5mmの金属リングと嵌合させて、クラ
ッドガラス体と積層してからコンテナに収納し、545
℃で1.5時間加熱してから1.5mm/minの速度
で12分間押出成形した。押出中の圧力は24〜140
kg/cm2の間で変化した。このようにしてノズルか
ら2重部分を含む全長600mmのロッドが押し出され
た。このロッドの長さ400mmの2重部分における直
径変動率を調査した結果、コア径が4.64%(±12
μm)、プリフォーム外径が2.63%(±115μ
m)であった。また、プリフォームのコア径を光学顕微
鏡で調査した結果、平均で0.32mmであった。プリ
フォームの外径をマイクロメーターで調査した結果、平
均で8.13mmであった。
【0028】この一体型の2重プリフォームは外周研磨
された後に線引き工程を経て、外径125μm、コア径
5.0μmのシングルモード光ファイバーが得られた。
また、このファイバーは十分実用できる強度と光学的特
性を有していた。
【0029】[実施例2]実施例2においては、実施例
1と同じ目的でコア径の小さいシングルモード光ファイ
バー用の二重構造プリフォームを作製した。ただし、成
形材料として非酸化物のフッ化物ガラスを用いた。
【0030】ファイバーの使用波長は850nm、規格
化周波数2.35でコアガラスとクラッドガラスの屈折
率により、125μmのファイバー外径に対して、コア
径が5.5μmであることが求められた。
【0031】上記要求を満たすファイバーの構造と寸法
に合わせて、コアガラス体およびクラッドガラス体につ
いて次のような寸法のものを設定した。コアガラス体は
直径11mm、厚み0.5mmで、クラッドガラス体は
直径50mm、厚み18mmである。
【0032】成形型としては、内径50mmのコンテナ
と口径8.0mmのノズルを有するものを用いた。
【0033】コアガラス体を、外径50mm、内径11
mm、厚み0.5mmの金属リングと嵌合させて、クラ
ッドガラス体と積層してからコンテナに収納し、515
℃で2時間加熱してから1.2mm/minの速度で1
5分間押出成形した。押出中の圧力は22〜100kg
/cm2の間で変化した。全長650mmの2重ロッド
が押し出された直後に、10℃前後の冷風を表面に吹き
掛けて、ガラス表面を速かに固化させたのち、直径精度
について調査した。この2重ロッドの長さ450mmの
部分における直径変動率は、コア径が4.64%(±1
5μm)、プリフォーム外径が2.3%(±105μ
m)であった。また、プリフォームのコア径を光学顕微
鏡で調査した結果、平均で0.35mmであった。プリ
フォームの外径をマイクロメーターで調査した結果、平
均で8.05mmであった。
【0034】この一体型の2重プリフォームの外周を硝
酸でエッチングしてから線引き工程を経て、外径125
μm、コア径5.5μmのシングルモード光ファイバー
が得られた。
【0035】[実施例3]実施例3においては、上記実
施例1,2とほぼ同様な目的で、コア径の小さいシング
ルモード光ファイバー用の二重構造プリフォームを作製
した。ただし、ガラスとしてフツ燐酸系のガラスを用い
た。
【0036】ファイバーの使用波長は670nm、規格
化周波数2.35で、コアガラスとクラッドガラスの屈
折率により、125μmのファイバー外径に対して、コ
ア径が3.5μmであることが求められた。
【0037】上記要求を満たすファイバーの構造と寸法
に合わせて、コアガラス体およびクラッドガラス体につ
いて次のような寸法のものを設定した。コアガラス体は
直径8mm、厚み0.5mmで、クラッドガラス体は直
径50mm、厚み20mmである。
【0038】成形金型としては、内径50mmのコンテ
ナと口径8.0mmのノズルを有するものを用いた。
【0039】コアガラス体を、外径50mm、内径8m
m、厚み0.5mmの金属リングと嵌合させて、クラッ
ドガラス体と積層してからコンテナに収納し、予めコン
テナ内を10-2torrまで減圧し、減圧状態を保ちつつ5
20℃で2.5時間加熱した。その後プランジャーを
1.2mm/minの速度で下降させ、15分間加圧し
ながら押出成形した。押出中の圧力が25〜40kg/
cm2の間で変化した。押し出された二重ロッドの全長
は680mmであり、その直径精度について調査した。
長さ400mmの2重部分における直径変動率を調査し
た結果、コア径が1.64%(±8μm)、プリフォー
ム外径が3.63%(±150μm)であった。また、
プリフォームのコア径を光学顕微鏡で調査した結果、平
均で0.215mmであった。プリフォームの外径をマ
イクロメーターで調査した結果、平均で7.80mmで
あった。
【0040】この一体型の2重プリフォームを外周エッ
チングしてから線引き工程を経て、外径125μm、コ
ア径3.5μmのシングルモード光ファイバーが得られ
た。
【0041】[実施例4]この実施例4では、波長15
50nm用シングルモード光ファイバー用の三重構造プ
リフォームの製造を行った。ここで実施例1と同様な鉛
珪酸塩系ガラスを用いた。但し、この光ファイバーは電
流センサに用いられる場合、伝送中の光が光ファイバー
のクラッドから漏れることがあるため、漏れた光を吸収
するために銅着色した同種の鉛珪酸塩系ガラスで、光フ
ァイバーの最外層を覆う必要があった。
【0042】なお、波長1550nmのシングルモード
光ファイバーの構造寸法に関しては、コア径が10μ
m、クラッド径が約80〜100μm、オーバークラッ
ド径が125μmである。
【0043】このような寸法構造を満たすために、必要
な各ガラスの量を求め、次のように各ガラスの寸法と形
状を設定した。コアガラス体は直径15mm、厚み0.
5mmであり、クラッドガラス体は直径50mm、厚み
10mmである。オーバークラッドガラス体はクラッド
ガラス体と同寸同形状である。
【0044】成形用金型として、内径50mmのコンテ
ナと口径8.6mmのノズルダイスを有するものを用い
た。
【0045】さらに上記クラッドガラス体とオーバーク
ラッドガラス体とを積み重ね、コアガラス体を内径15
mm、外径50mm、厚み0.5mmの金属製リングに
嵌合させてからクラッドガラス体の上面に設置し、成形
用コンテナに収納した。加熱温度を550℃として、約
1.5時間加熱し、ガラスの粘性が約1078ポアズに
なったときに、プランジャーで三層ガラス体を加圧して
ノズルから押し出した。
【0046】このように得られた三重構造を有するロッ
ドを、長さ方向において50mm間隔で切断し、その横
断面について光学顕微鏡によりコア径とクラッド径を測
定し、またロッドの外径をマイクロメーターで測定し
た。これらの調査結果を図6に示す。この図に示すよう
に、プリフォームとして切り取った300mmの長さに
おいて、コア、クラッドおよびオーバークラッドの各直
径の変動は極めて少なく、コア径の変動率が5.4%
(±18μm)、クラッド径の変動率が16.98%
(±526μm)、外径変動率が10.79%(±43
2μm)であった。プリフォーム各層の直径寸法を次に
示す。 プリフォーム直径(mm) コア :0.64 クラッド :6.2 オーバークラッド :8.12
【0047】このように得られた一体化三重プリフォー
ムを外径8.0mmに研磨した後、加熱温度を610
℃、プリフォームの送り速度を1〜3mm/min、フ
ァイバー線引き速度を10〜30m/minとして線引
きすると、目的とする外径125μmのシングルモード
光ファイバーを容易に得ることができた。ファイバー各
層の直径を次に示す。 ファイバー直径(μm) コア :10.0 クラッド :96.9 オーバークラッド :125
【0048】上記に示すように、ファイバーの各層の直
径寸法が目標値にほぼ一致したため、波長1550nm
用の光ファイバーとして使用可能であった。
【0049】さらに、この光ファイバーについて引張り
強度を調べた。引張り強度の測定は、外径125μm、
長さ180mmの光ファイバーサンプルを50本採取
し、スパン長100mm、引張り速度10mm/min
で行った。その結果、最大強度0.81GPa、最小強
度0.44GPa、平均強度0.62GPaであった。
この強度は電流センサ等に使用するファイバーとして実
用可能である。
【0050】[実施例5]実施例5においては、使用波
長850nmに合わせ、屈折率について調節した鉛珪酸
塩系ガラスを用いたが、このガラスの基本的な特性は上
記実施例4のものと同様である。プリフォームおよびフ
ァイバーの作製方法も実施例4とほぼ同じである。但
し、使用波長を1550nmから850nmに変化させ
たので、ファイバーの目標寸法が次のように変わった。
すなわち、コア径が5.5μm、クラッド径が50μ
m、オーバクラッド径が125μmである。
【0051】コア径およびクラッド径の変動率を低減さ
せ、ファイバーの精度を向上するために、オーバークラ
ッド用ガラス体の外径を50mmから64mmに大きく
し、コア、クラッドおよびオーバークラッドガラスの量
をファイバー構造に合わせて調整した。積層押出成形に
用いられる各ガラス体の寸法を次に設定した。 ガラス体寸法(mm) コア :φ10×t1.0 クラッド :φ50×t3.0 オーバークラッド :φ64×t20
【0052】なお、成形に用いる金型は、内径64mm
のコンテナおよび穴径12mmのノズルを有するものを
用いた。
【0053】成形条件で実施例4と異なるのは、コアガ
ラス体だけでなく、クラッドガラス体も金属リングと嵌
合させてオーバークラッドガラス体と積層してからコン
テナに収納したことである。その後、550℃で約1.
5時間加熱して速度1.64mm/minのプランジャ
ーで14分間加圧して押出した。圧力は34.2〜16
1.6kg/cm2の間で変化した。押出された三重ロ
ッドの全長は580mmであり、その直径精度を調査し
た結果を図7に示す。この三重ロッドから長さ300m
mの部分をファイバー用プリフォームとして用い、この
部分の各層の直径変動率を測定したところ、コア径が1
3.64%(±28μm)、クラッド径が4.55%
(±100μm)、プリフォーム外径が5.63%(±
315μm)であった。またプリフォームの各層の直径
は下記のようになった。 プリフォーム直径(mm) コア :0.48 クラッド :4.5 オーバークラッド :11.15
【0054】この一体型の三重プリフォームを外径11
mmまでに外周研磨してから、光ファイバーの線引き工
程に供給した。線引きは実施例4とほぼ同様な条件であ
った。得られたファイバーの各層の直径を次に示すよう
に目標値とほぼ一致した。 ファイバー直径(μm) コア :5.5 クラッド :51 オーバークラッド :125
【0055】また、この光ファイバーの引張り強度につ
いて測定するために、長さ180mmのファイバーサン
プルを40本採取し、実施例4と同様な条件で引張り試
験を行った。その結果、ファイバーの最大強度が0.7
6GPa、最小強度が0.42GPa、平均強度が0.
60GPaであった。この結果から、本発明の方法によ
り実用可能な強度を有するファイバーが得られることが
明らかとなった。
【0056】[実施例6]実施例6においては、上記実
施例5と全く同様な鉛珪酸塩系ガラスを用いた。また、
生産能率の向上とコストダウンの目的で、大型ガラスビ
レットを用いた。また、使用波長850nmの光学的条
件に満たすために、ファイバーの構造と寸法の目標値は
実施例5と同様である。
【0057】押出成形用原料である各ガラス体寸法を次
のように設定した。 ガラス体寸法(mm) コア :φ12×t3.0 クラッド :φ64×t3.5 オーバークラッド :φ100×t25
【0058】上記各ガラス体を用い、実施例5と同様な
方法で金属リングに嵌合させたコアガラス体とクラット
ガラス体をオーバークラッドガラス体と積層した三層ビ
レットをコンテナに収納し、直径100mmのプランジ
ャーにより加圧し、穴径17mmのノズルから押出する
ことにより三重構造のロッドを得た。この三重ロッドの
全長は800mmで、均一径を有する長さ300mmの
三重部分をファイバーのプリフォームとして用いた。こ
の部分の直径変動率は、コア径が4.1%(±10μ
m)、クラッド径が7.14%(±146μm)、プリ
フォーム外径が5.78%(±312μm)であった。
【0059】このプリフォームの各層の平均直径を次に
示す。 プリフォーム直径(mm) コア :0.70 クラッド :6.4 オーバークラッド :16.0
【0060】このプリフォームを外径15.4mmにな
るように外周研磨してから、光ファイバーを得るべく線
引き工程に供給した。線引きされた光ファイバーの寸法
を次に示す。 ファイバー直径(μm) コア :5.7 クラッド :52 オーバークラッド :125
【0061】この光ファイバーの引張り強度を、外径1
25μm、長さ180mmの光ファイバーサンプルを4
0本採取して、実施例4と同様な条件で測定した。この
ファイバーの引張り強度は最大で0.78GPa、最小
で0.45GPa、平均で0.61GPaであった。
【0062】また、この光ファイバーの光伝送損失と固
有複屈折特性を調べた。光伝送損失の測定においては、
長さ1mの光ファイバーについてカットバック法により
測定した。その結果、1.04dB/mであり、本発明
で作製したファイバーの光電送損失はロッドインチュー
ブ法で作られたファイバーと同様であった。固有複屈折
の測定では、長さ125〜1350cmの光ファイバー
をサンプリングして、ファイバー端面の円周方向に10
度ずつファイバーを回転させ、その複屈折特性について
調査した。その結果、回転角度0〜180度の間に複屈
折が0.054deg/cmであった。複屈折率が極め
て小さいことは本発明の方法で作製したプリフォームの
真円等の精度が高いことの反映である。以上ファイバー
光学特性の測定結果から、この光ファイバーはシングル
モードで、ファラデー効果があり、電流測定等のセンサ
に用いられることを確認した。
【0063】[実施例7]実施例7においては、波長8
50nm用のシングルモード光ファイバー用プリフォー
ムを作製するために実施例5と同様の鉛珪酸塩系ガラス
を用い、光ファイバーの目標構造と寸法も実施例5と同
様であった。
【0064】ここで、生産能率を向上するために、次に
示す大型ガラス体を用いた。 ガラス体寸法(mm) コア :φ18×t5.0 クラッド :φ100×t5.0 オーバクラッド :φ140×t22
【0065】上記の各ガラス体を実施例5と同様に順次
に積層してコンテナに収納し、大融着面積のガラス体を
欠陥なく融着させるように、コンテナ内を10-3torrま
で減圧してから、555℃で3.5時間加熱した後成形
を行った。
【0066】このように得られた三重ロッドの全長にお
けるコア、クラッドおよびオーバクラッドの直径につい
て調べた結果、外径の平均直径が30.5mmで、外径
変動率が4.43%(±222μm)であった。クラッ
ド層の平均直径が12.5mmで、クラッド径変動率が
9.09%(±145μm)であった。コア層の平均直
径が1.36mmで、コア径の変動率が0.84%(±
5.5μm)であった。このロッドから長さ300mm
の部分を切り取って一体型プリフォームとして、外周を
30mmまで研磨してから、ファイバー線引き工程に提
供した。
【0067】線引き工程における加熱温度は720℃、
線引き張力は13g、線引き速度は50m/minであ
った。得られた光ファイバーの各層の寸法を次に示す。 ファイバー直径(μm) コア :5.7 クラッド :52 オーバークラッド :125
【0068】このように得られた光ファイバーの引張り
強度を調査した結果、最大引張り強度が0.805GP
a、最小引張り強度が0.45GPa、平均引張り強度
が0.616GPaであった。
【0069】[実施例8]実施例8においては、鉛珪酸
塩系ガラスを用い、偏波面保存ファイバー用プリフォー
ムを作製した。使用波長850nmで楕円コア偏波面保
存ファイバーの目標構造と寸法を次に示す。 目標ファイバー直径(μm) 楕円コア :短軸1/長軸5 クラッド :12.5 オーバークラッド :125
【0070】上記ファイバーの目標構造と寸法を実現す
るために、押出成形用原料である各ガラス体寸法を次の
ように設定した。 ガラス体寸法(mm) 楕円コア :φ短軸2.4/長軸12×t0.5 クラッド :φ35×t2.0 オーバークラッド :φ140×t40
【0071】上記の各ガラス体を順次に積層してコンテ
ナに収納し、大融着面積のガラス体を欠陥なく融着させ
るように、コンテナ内を10-2torrまで減圧してから、
555℃で3.5時間加熱して界面を完全に融着させて
から成形を行った。
【0072】このように得られた三重ロッドの全長にお
けるコア、クラッドおよびオーバークラッドの直径を調
べた結果、コア径変動率が8.4%(±20μm)、ク
ラッド径変動率が2.0%(±15μm)、外径変動率
が2.43%(±22μm)であった。プリフォームの
各層の直径を次に示す。 プリフォーム直径(mm) 楕円コア :短軸0.28/長軸1.38 クラッド :3.3 オーバークラッド :32
【0073】この一体型三重プリフォームをシングルモ
ード光ファイバーの線引き工程に提供した。線引き工程
における加熱などの条件は実施例2〜3とほぼ同様であ
った。得られた光ファイバーの各層の寸法を次に示す。 ファイバー直径(μm) 楕円コア :短軸1.05/長軸5.0 クラッド :13 オーバークラッド :125
【0074】このように得られた偏波面保存ファイバー
について、前記実施例と同様な方法でファイバーの引張
り強さを測定した。その結果は平均引張り強度がで0.
6GPaであった。
【0075】[実施例9]実施例9においては、成形用
材料として弗燐酸系ガラスを用いたが、プリフォームお
よびファイバーの作製には実施例1と同じ押出装置およ
び線引き装置を用いた。使用波長は850nmで、偏波
面保存ファイバーの目標構造と寸法を次に示す。 目標ファイバー直径(μm) コア :5.0 クラッド :10.0 楕円オーバークラッド:短軸15/長軸40 サポート :125
【0076】上記要求ファイバーの構造と寸法に合わせ
て、コア、クラッドおよびオーバークラッドガラス体の
体積およびアスペクト比をファイバー構造に合わせて調
整した。押出成形に用いた各ガラス体の寸法を次に設定
した。 設定ガラス体寸法(mm) コア :φ20×t0.5 クラッド :φ35×t2.0 楕円オーバクラッド:短軸40/長軸120×t3.0 サポート :φ140×t30
【0077】したがって、成形に用いる金型は、内径1
40mmのコンテナおよび口径32mmのノズルを有す
るものを用いた。
【0078】実施例5とほぼ同様に、コアとクラッドガ
ラス体をそれぞれの金属リングと嵌合させてオーバクラ
ッドガラス体と積層しコンテナに収納した。10-2torr
まで減圧してから680℃で1.5時間加熱後、1.6
mm/minの速度で15分成形を行った。圧力は34
〜160kg/cm2の間で変化した。押し出された三
重ロッドの全長は600mmであった。この三重ロッド
の長さ300mmの部分における直径変動率は、コア径
が0.64%(±5μm)、クラッド径が4.55%
(±100μm)、プリフォーム外径が5.63%(±
315μm)であった。また、プリフォームの各層の直
径は下記のようになった。 プリフォーム直径(mm) コア :1.2 クラッド :2.4 楕円オーバークラッド:短軸3.6/長軸10 サポート :30
【0079】この一体型の4重構造のプリフォームを光
ファイバーの線引き工程に供給した。線引きは前記実施
例とほぼ同様な条件であった。得られたファイバーの各
層の直径を次に示すように目標値とほぼ一致した。 ファイバー直径(μm) コア :5.0 クラッド :10.0 楕円オーバークラッド:短軸15.2/長軸40 サポート :125
【0080】上記実施例8と実施例9により、極めて簡
単な手法で楕円コアまたは楕円オーバクラッドを含む偏
波面保存ファイバーを作製することができる。
【0081】以上の実施例により、鉛珪酸塩系ガラスの
みならず、その他のガラスも本発明の方法によりシング
ルモード光ファイバーを作製することが可能である。
【0082】[比較例1〜2]金属リングを使用しなか
った以外は、実施例1と同一材料、同一実験条件により
波長1.55μmのシングルモード光ファイバー用三重
プリフォームを作製した。金属リングを使用しないの
で、直径のより小さいコアガラス体の外周部(クラッド
ガラス体の上部)は中空状態となっている。このように
得られたプリフォームの長さ150mmにおける各層の
直径変動を調査した結果を図8に示す。金属リングを使
わない場合、コアとクラッドの直径の変動は極めて大き
いことが明らかになった。
【0083】またコアガラス体のみ金属リングに嵌め込
んで、クラッドガラス体の厚みを2mm、直径をオーバ
クラッドガラス体と同様に50mmにして、三層構造の
ガラス体に積層してから、加熱軟化後押出成形したプリ
フォームの長さ150mmにおける直径変動について調
べた結果を図9に示す。ロッドのクラッド径の変動は極
めて大きいことが分かった。
【0084】下記実施例10および11は、第1のガラ
ス部材として、第2のガラス部材とほぼ同一の径を有す
るが、第2のガラス部材よりも著しく肉薄なガラス部材
を用いることにより、環状部材を用いないで多重ガラス
体を製造した実施例である。
【0085】[実施例10]実施例10においては、コ
ア径の小さいシングルモード光ファイバー用の二重構造
のプリフォームの作製に本発明の方法を用いた。
【0086】この光ファイバーの用途として、ファラデ
ー効果を利用した電流センサがあるため、光弾性係数の
小さな鉛珪酸塩系ガラスを用いた。また、使用波長15
50nm、規格化周波数2.35で、コアガラスとクラ
ッドッガラスの屈折率により125μmのファイバー外
径に対して、コア径が10.5μmであると求められ
た。
【0087】上記ファイバーの要求寸法に合わせて、コ
アおよびクラッドガラス体について次のような寸法のも
のを設定した。コアガラス体は直径50mm、厚み0.
3mm、クラッドガラス体は直径50mm、厚み55m
mであり、コアガラス体の厚みはクラッドガラス体の厚
みの0.55%である。
【0088】押出成形型としては、内径50mmのコン
テナと口径8.5mmのノズルを有するものを用いた。
コアガラス体をクラッドガラス体の上に設置してからコ
ンテナに収納し、545℃で1.5時間加熱して1.7
mm/minの速度で25分間押出し成形を行った。押
出し中の圧力は86〜280kg/cm2の間で変化し
た。このようにして2重部分を含む全長1400mmの
ロッドが得られた。このロッドのコア径を光学顕微鏡で
調査した結果、平均で0.68mmであった。プリフォ
ームの外径をマイクロメーターで調査した結果、平均で
8.13mmであった。またプリフォームとする長さ3
00mmの2重部分における直径変動率を調査した結
果、コア径が16%(±45.8μm)、プリフォーム
外径が2.3%(±110μm)であった。
【0089】この一体型二重プリフォームを外周研磨し
た後に線引きして、外径125μm、コア径10.5μ
mのシングルモード光ファイバーが得られた。また、こ
のファイバーは十分実用できる強度と光学的特性を持つ
ことが明らかとなった。
【0090】[実施例11]この実施例では、波長15
50nm用シングルモード光ファイバーの三重構造プリ
フォームの製造を行った。実施例1と同様な鉛珪酸塩系
ガラスを用いた。但し、この光ファイバーは電流センサ
に用いられる場合、伝送中の光が光ファイバーのクラッ
ドから漏れることがあるため、漏れた光を吸収するため
に銅着色した同種の鉛珪酸塩系ガラスで、光ファイバー
の最外層を覆う必要があった。
【0091】このような光ファイバーの寸法を満たすた
めに、必要なコアガラス体は直径64mm、厚み0.3
mm、クラッドガラス体は直径64mm、厚み5mm、
オーバークラッドガラスは直径64mm、厚み45mm
であり、コアガラス体とクラッドガラス体の合計厚みは
オーバークラッドガラス体の12%である(第1ガラス
部材がコアガラス体とクラッドガラス体を含む)。
【0092】押出成型用金型として、内径64mmのコ
ンテナと穴径11.6mmのノズルをもつものを用い
た。上記コアガラス体をクラッドガラス体の上面に重ね
た後に、さらにオーバークラッドガラスの上に設置し、
押出成形用コンテナに収納した。加熱温度550℃で、
約2.5時間加熱した後に、ガラス粘性が約107〜1
-8ポアズになってから、プランジャーで三層ガラス体
をノズルから押出した。このように得られた全長15m
の三重ロッドから長さ300mmのプリフォームを切り
出して、波長1550nm用シングルモード光ファイバ
ー用のプリフォームとした。
【0093】三重構造を有するロッドを、その長さ方向
において50mm間隔で切断し、その横断面について光
学顕微鏡によりコア径を測定し、またロッドの外径につ
いてマイクロメーターで測定した。プリフォームとして
切り取った300mmの長さにおいて、コア径の変動率
が14%(±46μm)、外径変動率が5.7%(±1
94μm)であった。プリフォームの各直径寸法を次に
示す。 プリフォーム直径(mm) コア :0.84 クラッド :8.2 オーバークラッド :10.6
【0094】このように得られた一体化三重プリフォー
ムを外径10.5mmに研磨した後、加熱温度620
℃、プリフォームの送り速度1〜3mm/min、ファ
イバー線引き速度10〜30m/minの条件で線引き
することにより目的とする外径125μmのシングルモ
ード光ファイバーを容易に得ることができた。ファイバ
ー各層の直径を次に示す。 ファイバー直径(μm) コア :10.0 クラッド :98 オーバークラッド :125
【0095】上記に示すように、ファイバー各層の寸法
が必要なシングルモード条件を満たしているため、波長
1550nm用光ファイバーとして使用可能であった。
【0096】
【発明の効果】本発明によれば、高い真円度および均一
コア径を有する多重ガラス体の製造方法が提供された。
【0097】本発明により得られた多重ガラス体は、一
般的なシングルモード光ファイバーや、偏波面保存ファ
イバー等のプリフォームの製造用プリフォームとして利
用できる。当然ながら、マルチモード光ファイバー製造
用プリフォームとしても利用できる。積層押出成形法に
よりプリフォームを作製する場合、外径8mmよりさら
に大きい、例えば30mmのプリフォームの作製も可能
である。
【0098】また、材料としては鉛珪酸系ガラス以外
の、石英ガラスを含む殆どのガラスの成形に利用でき、
また、セラミックスや、プラスチックス等材料の成形に
も利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】2層ガラス体をコンテナに収納する状態を示す
本発明の方法の説明図である。
【図2】成形中に2層ガラス体の流動状態を示す本発明
の方法の説明図である。
【図3】本発明の方法の好ましい態様の説明図である。
【図4】本発明の方法の好ましい態様の説明図である。
【図5】本発明の別法を示す説明図である。
【図6】実施例4のプリフォームの直径精度を示す図で
ある。
【図7】実施例5のプリフォームの直径精度を示す図で
ある。
【図8】比較例1の3重ロッドの直径精度を示す図であ
る。
【図9】比較例2の3重ロッドの直径精度を示す図であ
る。
【符号の説明】
1,1a,1b 第1のガラス部材 2,2a,2b 環状部材 3,3a,3b 第2のガラス部材 4 ノズル 5 ガラス部材収容部 6 プランジャー

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 底部を有する筒状体からなり、底部に、
    前記筒状体の内周である内筒よりも小径のノズルを有す
    るガラス部材収容部に、前記内筒よりも小径の第1のガ
    ラス部材および前記内筒とほぼ同一径の第2のガラス部
    材を含む少なくとも2種のガラス部材を、前記第1のガ
    ラス部材を前記内筒とほぼ同一の外径を有する環状部材
    に嵌合させた状態で、前記第2のガラス部材が前記ノズ
    ル側となるように前記第1のガラス部材と前記第2のガ
    ラス部材とを前記内筒と接する状態で配置し、 加熱下、ガラス部材収容部の上部から加圧用プランジャ
    ーにより、前記第1のガラス部材および環状部材を加圧
    し、流動化した前記第2のガラス部材を前記ノズルから
    流出させつつ、流動化した第1のガラス部材をその横方
    向への動きを環状部材によって規制した状態で、前記第
    2のガラス部材の中央部に引き込み、前記ノズルから流
    出させ、内層が第1のガラス部材、外層が第2のガラス
    部材からなる多重ガラス体を得ることを特徴とする多重
    ガラス体の製造方法。
  2. 【請求項2】 第1のガラス部材が、複数のガラス体か
    らなり、これらのガラス体は、ガラス体のそれぞれの径
    が前記加圧用プランジャー方向に向かって小さくなるよ
    うに、かつ前記内筒とほぼ同一な外径を有する環状部材
    に嵌合させた状態で、ガラス部材収容部内に配置されて
    いる、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 第2のガラス部材が複数のガラス体から
    なる、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 第2のガラス部材が、同種のガラスによ
    って形成されている、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 環状部材が、第1のガラス部材より高い
    屈曲点温度を有する材質の環状体からなる、請求項1に
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 環状部材が、前記加圧用プランジャーの
    加圧面に一体的に形成されている、請求項1に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 ガラス部材収容部を減圧する、請求項1
    に記載の方法。
  8. 【請求項8】 多重ガラス体が、光ファイバー用プリフ
    ォームである、請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 光ファイバー用プリフォームが、シング
    ルモード光ファイバー、ファラデー効果光ファイバーま
    たは偏波面保存ファイバーから選ばれる少なくとも一種
    の製造に用いるプリフォームである、請求項7に記載の
    方法。
  10. 【請求項10】 底部を有する筒状体からなり、底部
    に、前記筒状体の内周である内筒よりも小径のノズルを
    有するガラス部材収容部に、前記内筒とほぼ同一の径を
    有し相対的に肉薄の第1のガラス部材および前記内筒と
    ほぼ同一の径を有し相対的に肉厚の第2のガラス部材を
    含む少なくとも2種のガラス部材を、第2のガラス部材
    が前記ノズル側となるように前記第1のガラス部材と前
    記第2のガラス部材とを前記内筒と接する状態で配置
    し、 加熱下、ガラス部材収容部の上部から加圧用プランジャ
    ーにより、前記第1のガラス部材を加圧し、流動化した
    前記第2のガラス部材を前記ノズルから流出させつつ、
    流動化した第1のガラス部材を、前記第2のガラス部材
    の中央部に引き込み、ノズルから流出させ、内層が第1
    のガラス部材、外層が第2のガラス部材からなる多重ガ
    ラス体を得ることを特徴とする多重ガラス体の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 第1のガラス部材の肉厚が第2のガラ
    ス部材の肉厚の0.5〜10%である、請求項10に記
    載の方法。
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WO2002010080A1 (fr) * 2000-07-28 2002-02-07 Asahi Glass Company, Limited Procede de fabrication d'une preforme en fibre de verre
JP2006143557A (ja) * 2004-11-24 2006-06-08 Asahi Glass Co Ltd 酸化ビスマス系光ファイバ製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002010080A1 (fr) * 2000-07-28 2002-02-07 Asahi Glass Company, Limited Procede de fabrication d'une preforme en fibre de verre
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