JPH0927332A - 溶融炭酸塩形燃料電池 - Google Patents

溶融炭酸塩形燃料電池

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JPH0927332A
JPH0927332A JP7173819A JP17381995A JPH0927332A JP H0927332 A JPH0927332 A JP H0927332A JP 7173819 A JP7173819 A JP 7173819A JP 17381995 A JP17381995 A JP 17381995A JP H0927332 A JPH0927332 A JP H0927332A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】炭酸塩及びリチウムアルミネートを疎水性化し
て、電解質層の品質を向上させ、性能が安定し長寿命で
ある溶融炭酸塩形燃料電池を提供する。 【構成】炭酸塩の粉末とリチウムアルミネートの粉末を
疎水性化材料により疎水性化し、有機系高分子バインダ
ーと溶媒を加えて撹拌混合しスラリーとし、シート状に
成形した電解質層3を、アノード電極2とカソード電極
4で挾み、さらにセパレータ1,5にて積層してなる溶
融炭酸塩形燃料電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電解質を利用した燃料
電池に係り、特に、電解質としての炭酸リチウムなどの
溶融炭酸塩と、電解質保持材としてのリチウムアルミネ
ートとから構成される溶融炭酸塩形燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の溶融炭酸塩形燃料電池に関して
は、例えば、特開昭59−217956号および特開昭61−1933
47号公報には、アルミン酸リチウムとエタノール及びポ
リビニルブチラールなどの混合スラリーをシート状に成
形する方法が、また特開昭60−72172号、特開昭60−817
72号、特開平1−206568号公報などに、水溶液系抄紙法
による成形法が開示されている。 一方、特開昭6
1−147459号および特開昭62−51166号公報には、電極触
媒層をフッ素樹脂と疎水性カーボン等により形成する方
法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術には、炭酸塩の吸湿やその影響による変形等に対
する対策は開示されておらず、特に、原材料や電解質層
等の取扱いについて考慮されていないものである。すな
わち、電解質としての炭酸塩と電解質保持材としてのリ
チウムアルミネートは、非常に強い吸湿性を有してい
る。そのため、原材料としての炭酸塩やリチウムアルミ
ネートの保管中の吸湿は勿論のこと、それら原材料から
製造された半製品としての電解質層の、製造工程中や保
管中の吸湿に対しても、取扱いの点から留意する必要が
ある。
【0004】炭酸塩が吸湿すると、リチウムアルミネー
トがその影響を受け、水和反応などによって、電解質層
にそりやうねり、あるいは凹凸という変形が発生する。
また、リチウムアルミネートの結晶相が変質して電解質
層に亀裂が発生する。従って、良質の電解質層の製造が
困難となる。さらに、稼動中の電池からの反応ガスのク
ロスリークや電解質の流出、あるいは電池の内部抵抗の
増大が起こり、性能のバラツキや低下、寿命の低下の原
因となっている。さらに、一旦電解質層が吸湿するとそ
の乾燥に長時間を要し製造価格の高騰を招く原因ともな
っている。
【0005】従って、本発明の目的は、炭酸塩の吸湿を
抑制し、リチウムアルミネ−トの変質等を防止し、品質
の良い電解質層を容易に安く作製することにある。即
ち、炭酸塩およびリチウムアルミネート、または電解質
層の品質管理を容易にし、信頼性の高い電解質層を経済
的に製造すると共に、性能や寿命が安定した溶融炭酸塩
形燃料電池を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、電解質とし
ての炭酸塩と電解質保持材としてのリチウムアルミネー
トとを含む溶融炭酸塩形燃料電池において、炭酸塩とリ
チウムアルミネートとを疎水性化材料により疎水性化す
ることにより達成される。
【0007】具体的には、電解質としての炭酸塩と電解
質保持材としてのリチウムアルミネートとから構成され
る電解質層において、炭酸塩とリチウムアルミネートと
に疎水性化材料を加えて疎水性化した疎水性電解質層を
用いること、あるいは、炭酸塩を疎水性化材料により疎
水性化した疎水性炭酸塩と、リチウムアルミネートを疎
水性化材料により疎水性化した疎水性リチウムアルミネ
ートとを含む疎水性電解質層を用いることにより達成さ
れる。
【0008】
【作用】炭酸塩及びリチウムアルミネ−トを疎水性化す
ることにより、炭酸塩やリチウムアルミネ−トという原
材料、および、それらから作製された電解質層の吸湿が
抑制されるので、電解質層の変質や変形が防止され、電
解質層の品質が向上し、電池性能の安定化および電池寿
命の改善が図れる。
【0009】
【実施例】従来、炭酸塩とリチウムアルミネートとから
作製された溶融炭酸塩形燃料電池用の電解質層に関して
いろいろ記述されているが、炭酸塩の吸湿が該電解質層
の物性変化に与える影響の問題に対しては、全く考慮さ
れていなかった。それで当発明者らは、問題を解決する
ため種々検討を重ねた。例えば、リチウムアルミネート
を原料とし、溶媒にテトラクロロエチレン、トリクロロ
エチレンを用い、バインダーとしてポリビニルブチラー
ルを加え、ドクターブレード法により0.5mmのシー
トを作製した。このシートに、炭酸リチウムと炭酸カリ
ウム(62:38のモル%比)を混合した炭酸塩を、ポ
リエチレングリコールでペースト状にして塗布し、電解
質層を製作した。そして、該電解質層からなる電池の性
能を評価した。
【0010】ところが、電解質層の原料ロットの違いや
製造月日の違い、あるいは保管日数の違いにより電池性
能に大きな差があることが判った。その原因について検
討した結果、電解質層に含まれる水分量が大きく影響し
ていることが判明した。そこで、電解質層を恒温恒湿中
で製造したが、製品のバラツキは少なくなったけれども
十分ではなかった。この原因は、電解質層製造現場の湿
度管理に限界があること、電池組立に長時間を要するた
め徐々に水分を吸収し電解質層に悪影響を与えることで
あると判明した。
【0011】そして、電解質層が吸湿するとリチウムア
ルミネ−トに水和反応や加水分解反応が起こり、電解質
層に“そり”や“うねり”が発生し割れの原因となる。
また、電解質層が粗孔化し電池内部で反応ガスのクロス
リークが起こったり、内部抵抗が増大して、性能及び寿
命を低下させる原因となることも判った。最終的には、
信頼性の高い電解質層を作製するには、電解質層を吸湿
をしない状態に成形する必要があり、その方法としては
電解質層の原材料である炭酸塩及びリチウムアルミネ−
トを疎水性化することが最も有効であることが判明し
た。そして、電解質層の製造工程や保管中あるいは電池
組立て工程における炭酸塩及びリチウムアルミネ−トの
吸湿や変形等を防止して、品質の良い電解質層が作製で
きることを確認した。
【0012】次に、本発明による実施例と、それに対す
る確認実験を示し、さらに詳細に説明する。 実施例1.図1は、本発明による一実施例の溶融炭酸塩
形燃料電池を示す断面図である。実施例1.は、図1に
示された構成である。尚、実施例2.および 3.も図
1に示された構成と同じである。
【0013】炭酸リチウム/炭酸カリウム(62:38
モル%比)混合粉末42gとγ−リチウムアルミネート
粉末(比表面積:23m2/g)58gに、フッ素樹脂
のポリテトラフルオロエチレン粉末5.3gを加え、振
動ミルで3時間混合し、疎水性化した。即ち、疎水性電
解質層となり得る素材を作製した。その後350℃で5
時間 加熱し、急速乾燥した。これに、ポリビニールブ
チラール30g、メタノール94ml、n−ブタノール
142ml及びブチルフェノルグリコール酸ブチル10
mlを加え、ボールミルで15時間室温で混練して、粘
度約120ポイズのスラリーを調製した。
【0014】このスラリーを真空ポンプで減圧脱気した
後ドクターブレード法で厚さ0.4mm、幅200mm
にシート状に成形して、シート状の疎水性電解質層とし
ての電解質層3を作製した。尚、シート状という形状に
拘束されるものではない。そして、この電解質層3をア
ノード電極2とカソード電極4で挾み、さらに、セパレ
ータ1,5にて積層し、溶融炭酸塩形燃料電池を完成し
た。
【0015】実施例2.炭酸リチウム/炭酸カリウム
(62:38モル%比)混合粉末42gとγ−リチウム
アルミネート粉末(比表面積:23m2/g)58g
に、油脂類としてのステアリン酸を5.3gを加え、振
動ミルで3時間混合し、疎水性化した。その後、80℃
で5時間、加熱乾燥した。これに、ポリビニールブチラ
ール30g、メタノール94ml、n−ブタノール14
2ml及びブチルフェノルグリコール酸ブチル10ml
を加え、ボールミルで15時間室温で混練して、粘度約
120ポイズのスラリーを調製した。
【0016】このスラリーを真空ポンプで減圧脱気した
後ドクターブレード法で厚さ0.4mm、幅200mm
にシート状に成形して、電解質層3を作製した。そし
て、この電解質層3をアノード電極2とカソード電極4
で挾み、さらに、セパレータ1,5にて積層して溶融炭
酸塩形燃料電池を完成した。尚、油脂類として、パラフ
ィン系油またはナフテン系油またはグリス状油等の疎水
性化材料を用いて同様に疎水性化にすることができるこ
とを確認している。また、樹脂類として、フッ素樹脂以
外にポリアミド樹脂なども同様に疎水性化材料として用
いられる。
【0017】比較例1.比較例1.は、後述する確認実
験の供試品を作製したものである。即ち、疎水性化材料
による疎水性化は行われていないものである。炭酸リチ
ウム/炭酸カリウム(62:38モル%比)混合粉末4
2gとγ−リチウムアルミネート粉末(比表面積:23
2/g)58gに、ポリビニールブチラール30g、
メタノール94ml、n−ブタノール142ml及びブ
チルフェノルグリコール酸ブチル10mlを加え、ボー
ルミルで15時間室温で混練して、スラリーを調製し
た。このスラリーを真空ポンプで減圧脱気した後、ドク
ターブレード法で、厚さ0.4mm、幅200mmに製
板化して電解質層を作製した。そして、溶融炭酸塩形燃
料電池を完成した。
【0018】実施例3.炭酸リチウム/炭酸カリウム
(62:38モル%比)混合粉末42gとγ−リチウム
アルミネート粉末(比表面積:23m2/g)58g
に、ナフテン系鉱油(サンセンオイル#480)17.
6mlを加え、ニーダにより3時間、混練疎水性化し、
50℃で15時間ゆっくり乾燥した。尚、長時間放置し
てもよいが、実施例1.または2.のように、熱処理乾
燥する方が製造時間の短縮になり有効である。
【0019】これに、ポリエチレンオキサイド5gとポ
リエチレングリコール100g及びグリセリン10gを
加え、ボールミルで20時間室温で混練して、粘度約1
40ポイズのスラリーを調製した。このスラリーを真空
ポンプで減圧脱気した後、ドクターブレード法で厚さ
0.45mm、幅200mmに製板化して、電解質層3
を作製した。そして、この電解質層3をアノード電極2
とカソード電極4で挾み、さらに、セパレータ1,5に
て積層して溶融炭酸塩形燃料電池を完成した。
【0020】比較例2.比較例2.も、後述する確認実
験に供するもので、疎水性化材料による疎水性化が行わ
れていないものである。炭酸リチウム/炭酸カリウム
(62:38モル%比)混合粉末42gとγ−リチウム
アルミネート粉末(比表面積:23m2/g)58g
に、ポリエチレンオキサイド5gとポリエチレングリコ
ール160g及びグリセリン10gを加え、ボールミル
で15時間室温で混練して、粘度約140ポイズのスラ
リーを調製した。このスラリーを真空ポンプで減圧脱気
した後、ドクターブレード法で、厚さ0.45mm、幅
200mmに製板化して電解質層を作製した。そして、
溶融炭酸塩形燃料電池を完成した。
【0021】ここで、有機系高分子バインダー及び溶媒
を添加して混合し、スラリーを調製することについて説
明する。スラリーは、電解質層等をシート状に成形する
場合に適しているから採用しているが、拘束されるもの
ではない。有機系高分子バインダ−に、ポリビニルブチ
ラール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ブタジェン共重合体等から選ばれた、一種及び/ま
たは二種以上の混合物を用いることができる。これらの
有機系高分子バインダ−は熱分解特性に優れており電解
質層の成形用バインダーとして有効である。
【0022】また、溶媒には、エチルアルコール、メタ
ノール、ブタノール、プロビルアルコール、メチルイソ
ブチルケトン、トルエン、キシレン、イソプロピルアル
コール、グリセリン等から選ばれた、一種及び/または
二種以上の混合溶媒を用いると良い。これらの溶媒は、
後述する、電解質層の原材料を個別にシート化する場合
のスラリー調製材として、好適であることが確認され
た。さらに、リチウムアルミネートまたは炭酸塩の表面
を疎水性化した後、さらに界面活性剤等により親水性化
することにより、溶媒として水を適用してもリチウムア
ルミネート及び炭酸塩が変質しないことを確認してい
る。さらに、スラリーを調製する際の可塑剤として、グ
リセリン、フタール酸エステル、ジプロピルグリコール
等を少量添加すると、成形性が良くなることも確認して
いる。
【0023】実施例4.図2は、 本発明による他の実
施例の溶融炭酸塩形燃料電池を示す断面図である。実施
例4.は、図2に示された構成である。γ−リチウムア
ルミネート粉末(比表面積:23m2/g)98gに、
油脂類としてのオレイン酸2gを加え、振動ミルで3時
間混合し疎水性化した。すなわち、疎水性リチウムアル
ミネートを作製した。その後、50℃で1時間、加熱乾
燥した。 これに、ポリビニールブ
チラール30g、メタノール94ml、n−ブタノール
142ml及びブチルフェノルグリコール酸ブチル10
mlを加え、ボールミルで15時間室温で混練して、粘
度約115ポイズのスラリーを調製した。このスラリー
を真空ポンプで減圧脱気した後、ドクターブレード法で
厚さ0.35mm、幅200mmにシート状に成形し
て、リチウムアルミネ−トシート6を作製した。
【0024】一方、炭酸リチウム/炭酸カリウム(6
2:38モル%比)混合粉末 95gに、油脂類として
のステアリン酸5gを加え、振動ミルで3時間混合し疎
水性化した。すなわち、疎水性炭酸塩を作製した。その
後、80℃で5時間、加熱乾燥した。これに、ポリビニ
ールブチラール20g、メタノール94ml、n−ブタ
ノール142ml及びブチルフェノルグリコール酸ブチ
ル10mlを加え、ボールミルで15時間室温で混練し
て、スラリーを調製した。このスラリーを真空ポンプで
減圧脱気した後、ドクターブレード法で厚さ0.3m
m、幅200mmにシート状に成形して、炭酸塩シート
7を作製した。
【0025】この炭酸塩シート7(12cm角)を、2
枚のリチウムアルミネ−トシート6(12cm角)にて
サンドイッチ状に挾んで、電解質層3を作製した。従っ
て、本実施例4.の場合も、疎水性電解質層としての電
解質層3は、シート状に成形されたものとなった。そし
て、この電解質層3をアノード電極2とカソード電極4
で挾み、さらに、セパレータ1,5にて積層し、溶融炭
酸塩形燃料電池を完成した。尚、ここで、スラリー粘度
は100〜150ポイズが適しており、シート成形にド
クターブレード法が好適であるが、製造法は特に限定さ
れるものでない。
【0026】次に、確認実験について説明する。 確認実験1.上記した実施例1〜4及び比較例1〜2
で、それぞれ作製した電解質層を、温度50℃、湿度6
0%の恒温槽に入れ24時間後に取り出して状況を観察
した。その確認実験結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】この表1より、実施例1〜3の電解質層の
原材料を混合し疎水性化した電解質層、および、実施例
4の電解質層の原材料を個別に疎水性化し積層した電解
質層は、恒温恒湿槽の中でもそりや凹凸の発生がなく、
安定していることが判った。
【0029】これに対し、疎水性化してない比較例1〜
2の電解質層は変形した。尚、上記の如く、電解質層の
原材料を個別に疎水性化したものから作製した電解質層
でも、同じ効果が得られることが判明した。従って、原
材料を疎水性化した原材料の状態で在庫することができ
るので、半製品としての電解質層を在庫する場合よりも
生産管理上有利な場合もあり、取扱いに便利である。
【0030】確認実験2.実施例1〜4及び比較例1〜
2で、それぞれ作製した電解質層を、Ni−Alからな
るアノード電極と、NiO−Agからなるカソ−ド電極
とで挾み、電極有効面積100cm2の単セルを構成し
た。この単セルを電池試験装置にセットし締め付け荷重
4kg/cm2を掛け、アノ−ド側には18%CO2−1
6%H2O−残部H2混合ガスを、また、カソ−ド側には
70%空気−30%CO2混合ガスを供給しながら、毎
時10℃の昇温速度で650℃昇温した。ついで、負荷
電流密度150mA/cm2における電池電圧の経時変
化を調べた。その発電試験結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】この表2より、実施例1〜4の単セルは、
比較例1〜2の単セルに比較して、セル性能の経時変化
(低下)が非常に小さいことが判明した。
【0033】確認実験3.確認実験2.において発電試
験をした単セル(電池)について、発電終了後に解体し
電解質層等を観察した。その解体観察結果を表3に示
す。
【0034】
【表3】
【0035】この表3より、観察結果では、実施例1〜
4の単セルは、比較例1〜2の単セルに比較して亀裂の
発生がなく、品質に優れ信頼性が高いことが判った。
【0036】以上の実施例と確認実験より、次のことが
判明した。まず、リチウムアルミネートの粉末及び炭酸
塩の粉末に、疎水性化材料である樹脂類または油脂類等
を、1〜15wt%添加し、振動ミルやボールミル等で
撹拌混合し、粉末の表面を疎水性化した。その後、50
〜350℃で 1〜20時間乾燥した。この疎水性化に
よって吸湿が防止されることが判明した。また、疎水性
化材料の添加量は、1%以下ではリチウムアルミネート
粉末及び炭酸塩粉末の疎水性化が不十分となり、吸湿抑
制が不完全となる。また添加量が15%以上では、電解
質をシート化する際のスラリーの分散性に問題が残るこ
とが判明した。そして、熱処理乾燥温度については、5
0℃以下では原材料の粉末の疎水性化に不均質性が起こ
り、350℃以上では疎水性化材料の分解が起こり好ま
しくないことも判明した。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、炭酸塩及びリチウムア
ルミネ−トを疎水性化することにより電解質層の吸湿を
防止し、品質の良い電解質層が作製でき、信頼性が高く
経済的で、性能の安定化と長寿命化が図れる溶融炭酸塩
形燃料電池が提供される。
【0038】また、電解質層の原材料、または半製品と
しての電解質層の、取扱いや在庫管理が容易となり生産
性に優れる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による一実施例の溶融炭酸塩形燃料電池
を示す断面図である。
【図2】本発明による他の実施例の溶融炭酸塩形燃料電
池を示す断面図である。
【符号の説明】
1,5…セパレータ、2…アノード電極、3…電解質
層、4…カソード電極、6…リチウムアルミネ−トシー
ト、7…炭酸塩シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩本 一男 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 光島 重徳 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 黒江 聡 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電解質としての炭酸塩と電解質保持材とし
    てのリチウムアルミネートとを含む溶融炭酸塩形燃料電
    池において、 前記炭酸塩と前記リチウムアルミネートとは、疎水性化
    材料により疎水性化したものであることを特徴する溶融
    炭酸塩形燃料電池。
  2. 【請求項2】電解質としての炭酸塩と電解質保持材とし
    てのリチウムアルミネートとから構成される電解質層を
    備える溶融炭酸塩形燃料電池において、 前記電解質層は、前記炭酸塩と前記リチウムアルミネー
    トとに疎水性化材料を加え疎水性化した疎水性電解質層
    であることを特徴する溶融炭酸塩形燃料電池。
  3. 【請求項3】電解質としての炭酸塩と電解質保持材とし
    てのリチウムアルミネートとから構成される電解質層を
    備える溶融炭酸塩形燃料電池において、 前記電解質層は、前記炭酸塩を疎水性化材料により疎水
    性化した疎水性炭酸塩と、前記リチウムアルミネートを
    疎水性化材料により疎水性化した疎水性リチウムアルミ
    ネートとを含む疎水性電解質層であることを特徴する溶
    融炭酸塩形燃料電池。
  4. 【請求項4】請求項1または請求項2または請求項3に
    おいて、前記疎水性化材料は、樹脂類または油脂類であ
    ることを特徴とする溶融炭酸塩形燃料電池。
  5. 【請求項5】請求項2または請求項3において、前記疎
    水性電解質層は、シート状に成形されたものであること
    を特徴とする溶融炭酸塩形燃料電池。
  6. 【請求項6】請求項2において、前記疎水性電解質層
    は、熱処理乾燥されたものであることを特徴する溶融炭
    酸塩形燃料電池。
  7. 【請求項7】請求項3において、前記疎水性炭酸塩また
    は前記疎水性リチウムアルミネートは、熱処理乾燥され
    たものであることを特徴とする溶融炭酸塩形燃料電池。
  8. 【請求項8】少なくとも一方が吸湿性を有する電解質と
    電解質保持材とから電解質層を製造する燃料電池の製造
    方法において、 疎水性化材料により少なくとも一方を予め疎水性化した
    前記電解質と前記電解質保持材とで前記電解質層を製造
    することを特徴する燃料電池の製造方法。
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