JPH09272923A - 高強度熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

高強度熱延鋼板の製造方法

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JPH09272923A
JPH09272923A JP20178496A JP20178496A JPH09272923A JP H09272923 A JPH09272923 A JP H09272923A JP 20178496 A JP20178496 A JP 20178496A JP 20178496 A JP20178496 A JP 20178496A JP H09272923 A JPH09272923 A JP H09272923A
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JP
Japan
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steel sheet
weight
less
corrosion resistance
steel
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JP20178496A
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English (en)
Inventor
Kazuhiro Ogawa
和洋 小川
Hideki Matsuoka
秀樹 松岡
Toshiaki Urabe
俊明 占部
Masaki Omura
雅紀 大村
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】表面性状が良好で疲労特性に優れ、かつ、耐食
性にも優れた、特に自動車足廻り用部品等に適する高加
工性高強度熱延鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】重量%で、C:0.02〜0.08%、S
i:1.5%以下、Mn:2.0%以下、P:0.05
〜0.1%、S:0.005%以下、Cu:0.1〜
0.6%、および、Cr:0.06%以下を含有し、且
つ、Cu%+6.5P%≦0.97を満足し、残部は実
質的にFeよりなる組成を有する鋼板を製造する方法に
おいて、連続鋳造により製造された鋼を表面温度105
0℃以下に加熱し、次いで、粗圧延後表面温度がAr3
変態点以下に低下した後にAc3 変態点以上の温度域に
再加熱し、Ar3 変態点以上の仕上げ温度で熱間圧延を
行い、仕上げ圧延終了温度から500℃以下まで30℃
/sec以上の冷却速度で冷却し、500℃以下で巻き
取る高強度熱延鋼板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面性状が良好で
疲労特性に優れ、かつ、耐食性にも優れた自動車足廻り
用部品等に適する高加工性高強度熱延鋼板の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の省エネルギ化や地球環境
汚染防止等を目的とした車体の軽量化が進められてい
る。軽量化の一手段として、高強度鋼板への材料変更が
試みられており、特に、自動車足廻り部品のゲージダウ
ンは軽量化の最も有効な手段である。しかし、高強度鋼
板を用いゲージダウンする場合には、高強度鋼板特有の
性質を考慮しなければいけない。例えば、高強度になる
ほど疲労強度に及ぼす切り欠き感受性が上昇することが
一般的に知られており、切り欠き等の無い状態で使用す
ることが好ましい。
【0003】一般に平滑材の疲労強度は引張強度に比例
して上昇する。しかし、表面性状が劣化している鋼板
は、切り欠きが無くとも表面の粗い部分が切り欠き同様
に作用し、疲労特性の低下が懸念される。そのため、表
面性状が良好で疲労特性に優れた鋼板が要求されてい
る。
【0004】また、板厚の薄い鋼板が腐食すると、肉痩
せにより強度の低下が著しくなる。さらに、耐食性不良
の鋼板では、錆落ち等により表面性状が劣化するため、
疲労特性確保のためにも優れた耐食性を持つ鋼板が要求
されている。
【0005】しかしながら、自動車足廻り用部品等に使
用する際には複雑な形状に加工されるため、疲労特性や
耐食性も保持しつつ、優れたプレス成形性、特に、伸び
フランジ性も兼ね備えている必要がある。
【0006】従来、優れた耐食性を得るために、PとC
uを複合添加する技術が提案されている(例えば、特開
平3-82708 号公報など)。しかし、Cu含有鋼を熱間圧
延する場合、表面疵が問題となり、表面性状が劣化す
る。これは、以下の機構によるものである。Cuを含有
するスラブを長時間酸化雰囲気で加熱すると、Cuは酸
化されていないためにスケール直下に濃化して、Cu富
化相が形成される。そして、このCu富化相の融点は比
較的低いため、通常のスラブ加熱温度である1050℃
超では、Cu富化相は融液となり、これがオーステナイ
ト粒界に浸透して熱間圧延時に表面割れ、すなわちCu
疵を発生させ、表面品質を劣化させる、というものであ
る。
【0007】Cu含有鋼にはNiを所定量添加すること
により、表面疵の生成を抑制する方法が提案されている
が、Niは希少金属であり、かつ高価であるため、出来
る限り添加を控えることが望ましい。特開昭56-68513号
公報では、Cu添加鋼でスラブ加熱時間と加熱炉抽出温
度を規定することでCu疵を抑制できるとしている。し
かし、P−Cu複合添加鋼の場合、PとCu富化層の融
点が顕著に下がるため、Cu単独添加鋼より表面疵が発
生しやすくなる。
【0008】一方、特開平5-017826号公報では、Ni無
添加で、P:0.03〜0.20%、Cu:0.1〜
0.5%を含み、かつ、Cu+2P<0.6%の関係を
満たす鋼を1150℃以上の温度に維持した後、鋼表面
を1050℃以下で熱間圧延することにより、Cuを再
び溶融させないことでCu疵の発生を抑えている。しか
し、熱間圧延開始温度を低くしすぎると、仕上げ温度が
保持できず、延性および成形性が著しく低下するため、
自動車足廻り用部品のように複雑な形状にプレス加工す
ることが困難になるという問題がある。さらに、低温に
なると鋼材の変形抵抗が大きくなり、高強度鋼板では、
圧延負荷が大きくなるため、設備寿命の点からも不利と
なる。また、スラブ加熱温度を下げると、スラブ表面に
形成される一次スケールの成長が抑制され、スケールの
剥離性が悪くなる。このため、スラブ表面にスケールが
残ったまま熱間圧延されやすく、酸洗後の表面性状が劣
化しやすいことも問題である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の課題を
解決すべくなされたもので、その目的とするところは、
優れた耐食性を維持しつつ、表面性状が良好で優れた疲
労特性を持つ自動車足廻り部品等に適した高加工性高強
度熱延鋼板の製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、重
量%で、C:0.02〜0.08%、Si:1.5%以
下、Mn:2.0%以下、P:0.05〜0.1%、
S:0.005%以下、Cu:0.1〜0.6%、およ
び、Cr:0.06%以下を含有し、且つ、下記(1)
式、 Cu%+6.5P%≦0.97…(1) を満足し、残部は実質的にFeよりなる組成を有する鋼
板を製造する方法において、連続鋳造により製造された
鋼を表面温度1050℃以下に加熱する工程と、加熱さ
れた鋼を粗圧延後、表面温度がAr3 変態点以下に低下
した後に、Ac3 変態点以上の温度域にオンライン上で
再加熱し、Ar3 変態点以上の仕上げ温度で熱間圧延を
行なう工程と、仕上げ圧延終了温度から500℃以下ま
で30℃/sec以上の冷却速度で冷却し、500℃以
下で巻き取る工程とを備えたことを特徴とする高強度熱
延鋼板の製造方法である。
【0011】そして、前記鋼板が、重量%で、Mo:
0.1〜0.3%、Ti:0.04%≦Ti%−(48
/14×N%+48/32×S%)≦0.1%を満たす
量(ただし、N含有量は、0.005%以下である。)
の1種又は2種を含んでもよく、Nb:0.005%〜
0.020%を含有させることも可能である高強度熱延
鋼板、或いはさらに、Ca,Zr,REMの少なくとも
1種をSに対して等量以上0.1%以下を含有する高強
度熱延鋼板の製造方法である。この方法では、疲労特性
および耐食性に優れた高加工性の鋼板を得ることができ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明方法で得られ鋼板の化学成分の添加理由及
び限定理由を説明する。
【0013】C:0.02〜0.08重量% Cは合金元素の中でも特に強度上昇効果が大きい元素で
あるが、耐食性に悪影響を及ぼす元素である。さらに自
動車足廻り用鋼板として使用するためには高い加工性が
必要であるため、加工性を劣化させるCの添加はできる
だけ抑えるべきである。本発明では、硬化相を生成する
上で最低0.02重量%必要であり、一方、0.08重
量%を越えて含有させると耐食性および加工性が劣化す
るため、上限を0.08重量%とした。
【0014】Si:1.5重量%以下 Siは加工性を劣化させることなく、フェライトを固溶
強化し、強度−加工性のバランスを良好にする効果を有
する。フェライトの固溶強化元素として利用する場合に
は、要求される強度レベルに応じて所要量を添加すべき
であり、Si含有量の下限値を特に規定する必要はな
い。一方、Siは耐食性に対しては無害であるが、1.
5重量%を越える過剰な添加は多量の赤スケール発生に
よる表面性状の劣化、スラブ割れ等の問題があるため、
上限を1.5重量%と規定した。
【0015】Mn:2.0重量%以下 Mnは、焼入れ性を向上し、鋼の強度確保に有効である
と共に、残留オーステナイトを安定化する作用を有する
元素である。Mn含有量の下限値を特に規定する必要は
ないが、固溶強化元素として利用する場合には、要求さ
れる強度レベルに応じて所要量を添加すべきである。し
かし、過剰な添加は耐食性を劣化させることや、フェラ
イトが十分に生成せずに加工性劣化を招くこと、あるい
は熱間圧延時の割れ感受性が高まるため、上限を2.0
重量%とした。
【0016】P:0.05〜0.1重量% Pは固溶強化により、鋼板の強化に有効であると共に、
耐食性の面でも好ましい元素である。特に、孔食に対す
る腐食速度を著しく低下させる。これらの作用を果たす
ためには0.05重量%以上の添加が必要である。しか
し、過剰の添加は、鋼の粒界強度を低下させ靭性が低下
してしまうことや、加工性を劣化させるため、0.1重
量%を上限とした。
【0017】S:0.005重量%以下 SはMnS等の非金属介在物を生成し、延性、伸びフラ
ンジ性を劣化させるので、含有量は少ない方が好まし
い。さらに、MnSは鋼板が腐食する環境において溶出
しやすい介在物であり、耐食性に悪影響を及ぼすため、
Sは極力低減させることが重要である。材料の耐食性は
S量の低減によって向上するが、製鋼時の経済性を考慮
して0.005重量%を上限とした。
【0018】Cu:0.1〜0.6重量% CuはPと複合添加することにより、耐食性の向上に寄
与する元素である。特に孔食に対する腐食速度を著しく
低下させる。さらに、軟質なフェライト相を強化し、疲
労強度を向上させる効果がある。このような作用を発揮
するためには、その含有量を0.1重量%以上にする必
要がある。しかしながら、過剰に添加すると、熱間圧延
時に赤熱脆化により表面疵が発生し、疲労強度を低下さ
せる可能性がある。これはNi添加により防止すること
が可能であるが、Niは希少元素であり、且つ、高価で
あるため、無添加が望ましい。しかしCuの含有量が
0.6重量%超であるとCu疵が発生しやすくなる。こ
れらを考慮して、Cu:0.1〜0.6重量%とした。
【0019】Cu%+6.5P%≦0.97 CuとPとを複合添加すると、Cu富化相にPが濃化し
そのCu富化相の融点が低下するため、Cuを含有し、
Pを含有しない鋼板よりもCu疵が発生しやすくなり、
大幅に表面性状が劣化する。その関係を図1に示すと、
図から明らかなように、Cu%+6.5P%の値が0.
97超では、鋼板表面にCu疵が発生する。
【0020】従って、CuとPの含有量の間にCu%+
6.5P%≦0.97の関係が満たされるようにCu,
Pの含有量を限定する。 Cr:0.06重量%以下 Crは、塩化物イオンが存在する環境下においては孔食
をもたらす元素であり、耐食性の観点からは好ましくな
い。製造上不可避的に混入した場合には、耐食性に影響
を及ぼさない範囲、即ち0.06重量%以下とする必要
がある。
【0021】上述した元素の他に、MoとTiの1種又
は2種さらには/またはNbを含有させてもよい。 Mo:0.1〜0.3重量% MoはPおよびCuとの複合添加により耐食性を向上さ
せる働きを有する元素である。特に、耐孔食性を向上さ
せる。また、高強度化にも有利な元素である。特に、板
厚が厚くなり冷却速度が確保できない場合には、さらに
有効に作用する。Mo添加量が0.1重量%未満では所
望の効果(耐食性、強度は向上)を得ることができな
い。一方、0.3重量%を越えて添加しても、その効果
は飽和すると共に不経済となる。従って、0.3重量%
を上限と規定した。
【0022】Ti:0.04%≦Ti%−(48/14
×N%+48/32×S%)≦0.1% Tiは耐食性の向上および溶接性、特に溶接熱影響部の
軟化抑制に効果のある元素である。P、Cu、Mo共存
下でTiを添加すると、そのメカニズムは明確ではない
が、耐食性が向上する。すなわち、鋼中に固溶Tiが存
在すると、溶接後の冷却時に、TiCが析出して、熱影
響部を強化し、溶接熱影響部の軟化を抑制することがで
きる。また、Tiは耐食性に悪影響を及ぼすMnSを低
減させて、伸びフランジ性を向上させる元素である。こ
れらの効果は、0.04≦Ti%−(48/14×N%
+48/32×S%)≦0.1を満足する範囲内のTi
を含有することによって得られる。Ti−(48/14
×N%+48/32×S5)が0.04重量%未満では
所望の効果を得ることができず、0.1重量%以上で
は、特に溶接熱影響部の軟化抑制効果が飽和して無意味
であると同時に不経済である。なお、Nの含有量が多い
と、Tiの含有量を多くしなければいけなくなり、不経
済であるため、Tiを含有するときのN含有量は0.0
05重量%以下にすべきである。
【0023】Nb:0.005〜0.020重量% Nbは組織を微細化する働きを有する元素である。加工
性を劣化させることなく高い強度を得るためには、組織
の微細化が有効である。Nbの含有量が0.005重量
%未満では、所望効果を得ることはできない。一方、
0.020重量%以上の多量添加では、組織微細化の効
果は飽和すると共に不経済である。従って、Nbの上限
を0.020重量%とした。
【0024】Ca,Zr,REM(希土類金属) これらの元素を含有させることにより、耐食性に悪影響
を及ぼすMnSを低減させることができる。また硫化物
の形態制御という観点からもこれらの元素の添加は有効
であり、伸びフランジ性を向上させることができる。こ
のような効果を発揮させるためには、これらの合計がS
量に対して等量以上である必要がある。一方、これらの
元素を0.1重量%以上含有すると、介在物を形成し、
加工性、特に伸びフランジ性を悪化させる。また、多量
の添加は不経済であるため、上限を0.1重量%とし
た。
【0025】次に、本発明の鋼板製造条件を上述した範
囲に限定した理由について説明する。まず、Cuを含有
するスラブの製造を連続鋳造で行う。これは、品質、歩
留、および生産性等で有利なためである。
【0026】次に、スラブを連続鋳造後1050℃以下
に加熱する。これは、1050℃を越えて加熱するとC
u疵が発生するためである。すなわち、スラブを連続鋳
造後いったん室温あるいは800℃以下に冷却し、それ
を1050℃以上に再加熱して粗圧延と熱間圧延を行う
プロセス(再加熱圧延法)では、Cuを含有するスラブ
を長時間酸化雰囲気で加熱することになるが、Cuは酸
化されない。このため、Cuはスケール直下に濃下し
て、ここにCu富化相が形成される。そして、このCu
富化相の融点は比較的低いため、通常のスラブ加熱温度
である1050℃超では、Cu富化相は融液となり、こ
れがオーステナイト粒界に浸透して熱間圧延時に表面割
れを起こし、Cu疵の発生につながり、表面性状を劣化
させる。従って、本発明は、上記機構によりCu疵が発
生するのを防止するために、スラブ加熱は表面温度10
50℃以下に限定した。なお、鋼材の温度が高いと圧延
負荷が小さく圧延効率も向上するため、スラブ内部は1
050℃以上でも構わない。
【0027】次いで、粗圧延を行った後、スケールの剥
離性の向上及びAr3 変態点以上の仕上げ温度確保をす
るために、オンライン上で粗バー表面温度が一度Ar3
変態点以下の温度まで低下した後に再加熱を開始し、A
3 変態点以上の温度域まで再加熱する。すなわち、表
面では、初めに、オーステナイト→フェライト変態が生
じる。さらに、この粗圧延材を誘導加熱などの方法で再
加熱し、表面温度をAc3 変態点以上にすると、フェラ
イト→オーステナイト変態が起きる。この一連のオース
テナイト→フェライト→オーステナイト変態に伴って、
スケールと地鉄との界面にひずみが蓄積され、スケール
の剥離性が向上する。
【0028】このため、仕上げ圧延設備入り側に備えら
れた、高圧水噴射装置などのデスケーリング設備によ
り、スケールが完全に除去されることになるので、残存
スケールの噛み込みなどによる表面形状の劣化が避けら
れる。このようにして、表面性状が良好で疲労特性に優
れた高強度熱延鋼板が得られる。
【0029】次いで、熱間圧延をAr3 変態点以上の仕
上げ温度でおこなう。これは、仕上げ温度Ar3 変態点
未満の温度では、鋼板のフェライト粒にひずみが加わ
り、混粒組織となり延性が劣化し、プレス成形性が劣化
するためである。従って、仕上げ温度はAr3 変態点以
上、好ましくは800〜900℃である。
【0030】また、高強度鋼板を得るために、仕上げ圧
延終了温度から500℃以下まで30℃/sec以上の
冷却速度で冷却し、500℃以下の温度のベイナイト変
態領域で熱延鋼板を巻き取る必要がある。このようにし
て、本発明の製造方法によれば、疲労特性及び耐食性に
優れた効果構成高強度熱延鋼板を得ることができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例によって、本発明をさらに詳細
に説明する。表1に示した本発明の範囲内の化学成分組
成(チェック分析値)を有する本発明鋼No.1〜14
および比較鋼No.15〜20、ならびに、少なくとも
一つの元素が本発明の範囲外の化学成分組成を有する比
較鋼No.21〜29を溶製し、次いで連続鋳造法によ
ってスラブを製造した。次に、本発明鋼No.1〜1
4、および、比較鋼No.21〜29のスラブに対して
は本発明の製造条件で、また、比較鋼No.15〜20
のスラブに対しては、本発明の範囲外の製造条件で熱間
圧延および冷却を施し、板厚2.6mmの板厚、板幅約
700mmを有する薄鋼板を調製した。
【0032】このように調製した薄鋼板の製造条件と機
械的特性は表2の通りである。表2には、耐食性、表面
性状、疲労特性の評価も併せて示した。上記のようにし
て製造された熱延鋼板から試験材を採取し、穴拡げ試験
片を調製し、試験に供した。穴拡げ試験については、試
験前後の穴径を測定し、穴拡げ率を下記(2)式から算
出した。 穴拡げ率(λ)=(試験前後の穴径の差)/試験前の穴径×100(%)…(2 ) なお、試験前の穴径設定値は10mmとした。
【0033】穴拡げ試験の結果、本発明鋼は、粗圧延後
の再加熱をオンライン上で行い十分に高い仕上げ温度が
確保できたため、非常に良好な加工性を示した。さら
に、鋼の耐食性を調査するために、表1に示す薄鋼板に
耐して、図2に示す腐食条件の腐食試験を、1サイクル
を24時間として、240サイクルまで実施し、ついで
鋼板の表面に発生した錆を酢酸2アンモニウムで除去し
た後、最大浸食深さをポイントマイクロメータで測定し
た。
【0034】耐食性の評価には、最大浸食深さが従来よ
り用いられており、一般材の60%以下であることが必
要である。従って、一般的に自動車足廻り部品に用いら
れてきた自動車構造用熱延鋼板SAPH440の最大浸
食深さを100として、表1の各薄鋼板について最大浸
食深さの比を求め、それが60%以下の場合に優れた耐
食性であると評価し、○で示した。60%を超える場合
は×で示した。
【0035】また、表面性状については、熱延鋼板の表
面疵の有無により、発生無しを○で、発生したものを×
で示した。さらに、疲労特性については、平面曲げ疲労
試験により得られた疲労限を材料の引張強度で除した値
(σw/TS)が0.5を越えたものを○、越えないも
のを×で示した。表面性状と疲労特性には相関があり、
表面性状の劣化が疲労特性も低下させる。
【0036】比較鋼No.21は、Pの添加量が本発明
範囲よりも低いため、耐食性が不良であった。比較鋼N
o.25は、Cuの添加量が本発明範囲よりも少ないた
め、耐食性が不良であった。
【0037】表面性状については、比較鋼No.15
は、スラブ加熱表面温度が本発明範囲を越えていたた
め、Cu疵が多量に発生し、表面性状が不良であった。
比較鋼No.16は、粗圧延後の再加熱は行ったが、仕
上げ温度が本発明範囲外の低い温度であったため、スケ
ール剥離性が劣化し、スケール噛み込みによる表面疵が
発生し、表面品質が劣化した。比較鋼No.17、18
については、粗圧延後の再加熱開始温度か本発明範囲外
の高い温度であったため、スケール剥離性が劣化し、ス
ケール噛み込みによる表面疵が発生し、表面品質が劣化
した。比較鋼No.19、20については、粗圧延後の
再加熱を行わなかったため、本発明範囲外の低い仕上げ
温度となってしまい、スケール剥離性が劣化し、スケー
ル噛み込みによる表面疵が発生し、表面品質が劣化し
た。比較鋼No.22、23、25、27〜29は、製
造条件は本発明の範囲内であるが、Cuの含有量、ある
いは、Cu%+6.5P%が過多であったため、熱延鋼
板表面にCu疵が発生し、表面性状が劣化した。
【0038】比較鋼No.23、24については、Pの
添加量が本発明範囲よりも高いため、伸び、および穴拡
げ率が劣化していた。疲労特性については、表面性状に
左右されるため、表面性状の劣化した鋼板では、表面疵
がき裂発生部となり、満足する疲労特性が得られない。
【0039】以上のように、表1,表2から鋼の化学成
分組成および製造条件が1つでもこの発明範囲から外れ
ると、表面性状、疲労特性、耐食性および加工性におい
て劣化してしまう。これに対し、全ての条件がこの発明
範囲であるならば、表面性状、疲労特性、耐食性、加工
性のいずれにおいても優れていることが分かる。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】本発明は、化学成分及び製造条件を限定
することにより、Cuを含有させた鋼を用いた場合で
も、製品の品質を損なうことなく、表面性状が良好で疲
労特性に優れ、かつ、耐食性に優れた高加工性高強度熱
延鋼板を提供することができ、工業上、有益な効果をも
たらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】再加熱圧延法における表面疵の発生に及ぼすC
uとPの影響を示す図。
【図2】耐食性評価の腐食試験サイクルを表す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大村 雅紀 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.02〜0.08%、
    Si:1.5%以下、Mn:2.0%以下、P:0.0
    5〜0.1%、S:0.005%以下、Cu:0.1〜
    0.6%、および、Cr:0.06%以下を含有し、且
    つ、下記(1)式、 Cu%+6.5P%≦0.97…(1) を満足し、残部は実質的にFeよりなる組成を有する鋼
    板を製造する方法において、 連続鋳造により製造された鋼を表面温度1050℃以下
    に加熱する工程と、 加熱された鋼を粗圧延後、表面温度がAr3 変態点以下
    に低下した後に、Ac3 変態点以上の温度域にオンライ
    ン上で再加熱し、Ar3 変態点以上の仕上げ温度で熱間
    圧延を行なう工程と、 仕上げ圧延終了温度から500℃以下まで30℃/se
    c以上の冷却速度で冷却し、500℃以下で巻き取る工
    程と、 を備えたことを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 鋼板は、重量%で、Mo:0.1〜0.
    3%、及び、Ti:0.04≦Ti−(48/14×N
    +48/32×S)≦0.1を満たす量(ただし、N含
    有量は、0.005%以下である。)の1種又は2種を
    さらに含有することを特徴とする請求項1に記載の高強
    度熱延鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 鋼板は、重量%で、Nb:0.005〜
    0.020%をさらに含有することを特徴とする請求項
    1又は2に記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 鋼板は、重量%で、Ca,Zr,REM
    の少なくとも1種をSに対して等量以上0.1%以下に
    なるように含有することを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれかに記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004059021A1 (ja) * 2002-12-24 2004-07-15 Nippon Steel Corporation 溶接熱影響部の耐軟化性に優れたバーリング性高強度鋼板およびその製造方法
JP2015516505A (ja) * 2012-03-14 2015-06-11 バオシャン アイアン アンド スティール カンパニー リミテッド ストリップ連続鋳造法による700MPa級高強度耐候性鋼の製造方法

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