JPH09271981A - 鉛フリーはんだ及びそれを用いた実装品 - Google Patents

鉛フリーはんだ及びそれを用いた実装品

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JPH09271981A
JPH09271981A JP8793096A JP8793096A JPH09271981A JP H09271981 A JPH09271981 A JP H09271981A JP 8793096 A JP8793096 A JP 8793096A JP 8793096 A JP8793096 A JP 8793096A JP H09271981 A JPH09271981 A JP H09271981A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ガラスエポキシ基板にLSI,部品等を接続す
るために,最高温度220〜230℃でのはんだ付けが
可能なSn−Zn−Bi−Cu,Sn−Zn−Bi−A
g系の4乃至5元系鉛フリーはんだ及びそれを用いた実
装品を提供することを目的とする。 【解決手段】Zn:4〜6mass%,Bi:10〜16mass
%,Cu:0.1〜2mass%,残りSnから成るはんだ
組成を用いたことを特徴とするガラスエポキシ基板接続
用鉛フリーはんだ及びそれを用いた実装品により上記目
的を達成する。これにより、環境にやさしく,資源的に
安定供給可能で,コスト高にならないで従来のPb−S
n共晶はんだと同等のリフロー温度で従来から使用され
ているガラスエポキシ基板にはんだ付けが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラスエポキシ基
板にLSI,部品等を接続するために、最高温度220
℃でのはんだ付けが可能で,かつ150℃での高温下に
おける接続信頼性を保証するSn−Zn−Bi−Cu、
Sn−Zn−Bi−Agの4元系,もしくはSn−Zn
−Bi−Cu−In,Sn−Zn−Bi−Cu−Agの
5元系鉛フリーはんだ及びそれを用いた実装品に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般に使用されているプリント基板材質
はガラスエポキシ製である。ガラスエポキシ基板,LS
Iパッケージ,部品の耐熱温度を考慮するとリフロー温
度条件として220〜230℃以下で行う必要がある。
これに使用する接続用はんだは、Sn−37mass%Pb
共晶はんだ(融点:183℃),若しくは共晶近傍のはん
だ組成が使用されてきた。また,高温での継手の信頼性
は最高150℃まで保証できた。
【0003】最近、米国では電子部品に使用されている
プリント基板がのざらしに放置され,このはんだに含ま
れる鉛(以下,Pbと記す)は水と容易に反応して(酸性
雨等でも加速される)地下水に溶け,飲料水に使用され
ると人体に悪影響を及ぼすことが公表されている。そこ
で,Sn−Pb系はんだに代わるPbフリーはんだ合金
として,環境への影響が少なく,人体への毒性が少な
く,資源の涸渇の問題が少なく,コスト面での問題も少
なく,材料としての使用実績があるSn,Zn,Bi等
が有力候補としてクローズアップされている。既に2元
系はんだではSn−3.5mass%Ag(融点221℃),
Sn−5mass%Sb(融点232〜240℃)はPbフ
リーはんだとして使用実績がある。しかし,Sn−Pb
共晶はんだと比べて融点が高過ぎるため,220〜23
0℃ではリフローできない。Sn−9mass%Zn(融点
199℃の共晶)は融点は下がるが,表面が著しく酸化
されやすく,CuもしくはNiに対するぬれ性がSn−
Ag系,Sn−Sb系に比べ著しく低下するため,また
融点的にもガラスエポキシ基板に電子部品を220〜2
30℃でリフローできる程低い融点とは言えない。これ
までの実績でははんだの融点に対して,はんだ付け温度
は30〜50℃高いのが経験的に知られている。例え
ば,Sn−37mass%Pb共晶はんだ(融点:183℃)の
場合,炉リフローの最高温度は220℃が標準である。
この温度差は37℃である。短時間にはんだ付けできる
ウエーブソルダリングの場合,235℃が標準である。
この温度差は52℃である。ぬれ性の悪い場合は更にこ
の温度差は大きくなる。Sn−9mass%Znはんだを用
いた場合,一般に使用しているロジン系のフラックス
(塩素0.2mass%含有)を用いても,220℃のリフロー
温度ではほとんどぬれないことが分かっている。230
℃でも苦しい状況である。
【0004】他方,Sn−Bi系はんだ(代表組成Sn
−58mass%Bi;融点138℃),Sn−In系はん
だ(代表組成Sn−52mass%In;融点117℃)があ
るが,固相線温度が下がるため150℃の高温強度を保
証できない。従ってこれらの組成はSn−37mass%P
b共晶はんだ代替用のはんだと言えるものではない。こ
のため,新たな組合せでの要求を満たす新はんだ材料の
開発が要求された。
【0005】Sn−Pb共晶はんだ代替品としてSn−
Ag系でSn-2%Ag-7.5%Bi-0.5%Cu(液相線温
度:211℃,固相線温度:183℃)の4元系Pbフ
リーはんだ材料〔商品名:アロイH,アルファメタルズ
社〕も提案されているが,融点が高いため220〜23
0℃前後でのリフローが困難である。また,Bi量を増
し,液相線温度:211℃を更に下げると,136℃の
低温の固相線温度が明瞭に現れてくる。このため,Sn
−Zn系以外では低温の固相線を持たないで220〜2
30℃リフロー可能なものは見出されていない。
【0006】この問題を解決するために,主成分として
Sn−Zn−In系,Sn−Zn−Bi系があるが,コ
スト,毒性,耐食性,耐候性等を考慮し,使用実績を持
つ元素の組合せであるSn−Zn−Bi系を検討するこ
とにした。このはんだは上記評価項目以外にも,融点の
面からも有望と思われる。
【0007】Sn−Zn−Bi系を検討した理由は以下
の通りである。
【0008】はんだの液相線温度が高いと220〜23
0℃でのぬれ性を確保できない。ぬれ性確保には端子上
のメタライズで多少カバーできるが,材料自体の物性に
よるぬれの悪さを防止する必要がある。即ち,はんだボ
ール同志のぬれ性が悪いとはんだボール残渣を発生する
恐れがある。従って,ぬれの悪いZnの量を最小限に押
さえる必要があった。しかしZnを入れないことには液
相線温度が大きく下がらないので,Znを入れた系で組
成を選定する必要がある。そこで,候補として融点上で
はSn−Zn−In系,Sn−Zn−Bi系はんだが考
えられる。Sn−Zn−In系としてはSn−(6.7〜
19.2)Zn−(2.7〜16.4)In等があるが,In
は実用的には特に材料コストの問題が大きい。また,ペ
ーストにした場合のペースト特性の安定性の問題,及び
腐食の問題等で実用化に難がある。そこで,材料コスト
及び腐食の問題はなく,材料系として使用実績のあるS
n−Zn−Bi系はんだを主要成分とした組成を検討す
ることとした。
【0009】図1はSn−Zn−Biの3元系はんだの
公知の状態図〔International Crit-ical Tables,2(192
7),418〕である。全体の概略的な融点(液相線温度)の温
度分布は分かるが,詳細な分布,液相線温度を含めた明
確な融点は分かっていないのが実状である。すなわち,
ここで必要とする液相線温度と固相線温度との関係は不
明である。点線は2元共晶ラインである。他の実線は各
温度の等温ラインを示している。
【0010】Sn−Zn−Bi系はんだとしては特開昭
57−11793号公報,特開昭59−189096号
公報等があが、前者はAl用はんだでの強度向上を目的
としており、後者はワイヤの接続における強度向上を目
的としており、いづれも本発明の期待する最高温度22
0℃でのはんだ付けが可能で,かつ150℃での高温下
における接続信頼性を保証する組成ではない。また、上
記Sn−Zn−Bi系はんだの状態図を明らかにするま
での記載はない。
【0011】さらに、上記3元系を含む5元系のはんだ
組成としては、特開平7−51883号公報に記載され
るような、Znが4〜6mass%,Biが10〜20mass
%,Sb:0.1〜5mass%,Ag:0.1〜3mass%,
残部がSnからなる5元系はんだ合金が提案されている
が、この組成にはSbが含まれいる。 Sbは最近有害
物質として扱われている場合が多く,本発明の最も期待
する環境に優しいはんだ組成ではない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】そこで我々はSn−Z
n−Bi3元系状態図を作ることから始めた。より具体
的には、高温での使用にも耐えられる必要性から,融点
は固相線温度が少なくとも150℃以上,望ましくは1
60℃以上を目標とし、220〜230℃でリフローす
るため,液相線温度が最高197℃以下,望ましくは1
90℃以下を目標としたはんだ組成を検討してきた。
更には,洗浄しなくても絶縁特性が保証されるレベルの
弱いフラックスでCu導体上,もしくは部品のSn系は
んだめっき端子上のぬれ性を確保し,リフローできるこ
とを目的としている。つまり、ガラスエポキシ基板にL
SI,部品等の電子部品を高信頼で実装できる、Sn−
Pb共晶はんだの代替用はんだを検討してきた。
【0013】そして、その検討結果から、Sn−Zn−
Biの3元系はんだの組成において、Pbを含まない
で, 耐熱性の面で220〜230℃以下でリフローで
きて,かつ継手の信頼性として150℃以上を保証する
には、Znが4〜6mass%,Biが10〜16mass%,
残部がSnから成る組成,もしくは組成の重量(mass)%
表示を座標(Zn,Bi,Sn)で表示した場合,A(6,
16,残),B(6,10,残),C(3.7,16,残)で囲
まれて成る組成であれば、その液相線,固相線の範囲か
らフラックスの選定により上記目標を実現できることを
我々は判明した。
【0014】はんだ組成を上記に限定した理由は次の通
りである。
【0015】接続には液相線温度と固相線温度との温度
差をできる限り少なくすることが望ましい。なぜなら
ば,リフローの冷却過程で搬送時の振動等のノイズが考
えられる。このため,液相線温度と固相線温度との温度
差が大きいと,固相,液相共存時の時間が長いために,
振動等のノイズが入る確率が高くなる。このため接続欠
陥を生じ易く,継手の信頼性に問題がでる恐れがある。
Znが4mass%以下では液相線温度と固相線温度の温度
差が大きくなり,220〜230℃以下での接続が困難
である。6mass%以上でも上記温度差が大きくなる。ま
た,Sn−xZn−15Bi(Zn量x=2,3,4,5,
6,7mass%)による引張試験によると,特に,Zn量5
乃至6mass%のときはSn−Pb共晶はんだの約2倍の
引張強度が得られ,高強度を得るためにはZn量は5乃
至6mass%程度が良いことがわかる。また,Zn量が多
い程,はんだの表面酸化が激しくなり、電子部品はんだ
付けとして実績のあるフラックスを用いたのではぬれ性
を確保できなくなるが,Zn量5mass%付近ではまだ純
Snの85%程度のぬれ(はんだボールのぬれ拡がり率)
を確保できるので問題はない。Biが10mass%以下で
は液相線温度が198℃以上であるため,220〜23
0℃でのリフロー接続が困難となる。Biが16mass%
以上では固相線温度が150℃以下に下がり,また,は
んだ材料の高温での引張強度が低下する。従って,高温
での信頼性のマージン確保が困難となる。なお、固相線
温度を150℃以上,望ましくは160℃以上としたの
は、-55〜150℃の温度サイクル加速試験に耐える
ためである。
【0016】本発明では、以上の3元系はんだにおい
て、融点(固相線温度,液相線温度)と組成との関係,組
成とぬれ性,物性,機械的特性等の関係等を明らかにす
ることで、Pbを含まないで, 耐熱性の面で220〜
230℃以下でリフローできて,かつ継手の信頼性とし
て150℃以上を保証するはんだ組成を検討した。つま
り、Pbフリーはんだの中で,環境への影響が少なく,
毒性が少なく,耐食性,耐クリープ性に優れて,融点温
度を下げられて,かつ液相線温度と固相線温度との温度
差を小さくして接続時の信頼性を向上させ,さらにぬれ
性を確保できるPb−Sn共晶代替用のSn−Zn−B
iの3元系はんだをベースとした4乃至5元系合金を候
補として検討した。
【0017】特に,Sn−Zn−Bi3元系のみとした
場合では凝固後の接続部における材料内部や表面に,高
アスペクト比(長さ数10μm,太さ約1μm)のZn
の針状組織が出現し,はんだ接続部の表面のZnの針状
組織が特に高温高湿,または酸性の雰囲気中で腐食され
ることにより,接続部表面から内部に進展したり,応力
集中によるクラックの進展が早められ,接続部の機械的
強度低下をまねくことを我々は判明したので、このよう
な現状を踏まえて、Sn−Zn−Bi3元系はんだの弱
点である耐腐食に関係する針状組織の改質,伸び等の機
械的特性の向上を多元系はんだにすることで改質を試み
た。
【0018】本発明の第一の目的は、Sn−Zn−Bi
3元系はんだの弱点である耐腐食に関係する針状組織の
改質することにある。つまり、耐熱性の面で220〜2
30℃以下でリフローできて,かつ継手の信頼性として
150℃以上を保証するはんだ組成であって、腐食しず
らいはんだ組成と、該はんだ組成を用いた実装品を提供
することにある。
【0019】また、本発明の第二の目的は、Sn−Zn
−Bi3元系はんだの弱点である伸び等の機械的特性の
向上させたはんだ組成と、該はんだ組成を用いた実装品
を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記第一の目
的を達成するために、 Sn−Zn−Bi3元系はんだ
にCuを添加して4元系にすることによりZnの針状組
織のアスペクト比を低減させたり,球状のZn−Cu系
の化合物に改質することとした。
【0021】具体的には、Zn:4〜6mass%,Bi:
10〜16mass%,Cu:0.1〜2mass%,残りSn
から成る4元系組成の合金はんだ、もしくはZn-Bi-
Sn系における組成の重量(mass)%表示を座標(Zn,
Bi,Sn)で表示し,A(6,16,残),B(6,10,
残),C(3.7,16,残)で囲まれて成る組成に,C
u:0.1〜2mass%から成る4元系の合金はんだを用
いた。
【0022】図2(a)はCuを添加しないSn−5Zn
−13Biはんだの組織写真模式図であり,初晶のZn
の針状組織1が観察される。図2(b)はCuを1%添加
したSn−5Zn−13Bi−1Cuはんだの組織写真
模式図であり,初晶のZnの一部が球状組織3に変わっ
ている。分析するとZnとCuの成分からなっている。
Cuを添加することによる固相線温度の変化はほとんど
なく,添加量が多い程,残りのZnのアスペクト比は低
減するが,液相線温度は1%添加につき約10℃高くな
る。はんだ付け温度もそれに伴って高くなるため,Cu
の添加量としては1%以下が望ましい。しかし,Cuの
最大添加量としては2%まで可能である。通常は0.5
〜1%が良い。針状のZnの初晶はCuの添加量を増や
すことによりアスペクト比が低くなり,約0.8%で球
状化してくる。従って,過剰に添加しても融点が上昇す
るので望ましくはない。
【0023】Cuの添加の場合は,100℃以下での伸
びは低下してくる。この原因はCuがSn晶(固溶体)の
中に入り込むことにより,100℃以下では延性がなく
なるためと推定される。しかし125℃,150℃では
回復し,添加しないものより伸びることが分かった(後
述の12図)。しかし,150℃における伸びは満足す
るレベルにあるとは言えない。そこで,更にInを添加
することにより,室温から100℃までの高温の伸びを
向上させることを図った。具体的には、Zn:4〜6ma
ss%,Bi:10〜16mass%,Cu:0.1〜2mass
%,In:0.1〜2mass%,残りSnから成る5元系
組成の合金はんだ、もしくはZn-Bi-Sn系における
組成の重量(mass)%表示を座標(Zn,Bi,Sn)で表
示し,A(6,16,残),B(6,10,残),C(3.7,
16,残)で囲まれて成る組成に,Cu:0.1〜2mass
%,In:0.1〜2mass%,から成る5元系の合金は
んだを用いた。
【0024】このInの効果はSn晶(固溶体)の結晶粒
内に入り,結晶粒が塑性変形し易い状態になり,高温で
の伸び(特に,厳しい環境の時の上限温度に近い100
℃での伸びに優れる)を向上させることが分かった(後述
の11図)。Inを添加することにより固相線温度,液
相線温度はともに1%添加につき約2℃ずつ低くなり,
添加前のSn−Zn−Bi3元系の融点を少し高くなる
ように組成を調整すればIn添加量に制限がなくなる
が,原材料のコストが増加するためInの添加量は2%
以下とした。
【0025】しかし,150℃近くの高温の伸びは向上
しないことも分かった。そこで,Agの添加を検討し
た。Sn−5Zn−13BiにAgを添加した結果,1
50℃での高温の伸びが大幅に向上することが分かった
(後述の13図)。つまり、本発明の第二の目的を達成す
るために、Zn:4〜6mass%,Bi:10〜16mass
%,Cu:0.1〜2mass%,Ag:0.2〜2mass%,
残りSnから成る5元系組成の合金はんだ、もしくはZ
n-Bi-Sn系における組成の重量(mass)%表示を座標
(Zn,Bi,Sn)で表示し,A(6,16,残),B
(6,10,残),C(3.7,16,残)で囲まれて成る組
成に,Cu:0.1〜2mass%,Ag:0.2〜2mass
%,から成る5元系の合金はんだを用いた。
【0026】一方、ペーストのポットライフ(ペースト
としての特性を保持)等のペースト安定性及びぬれ性確
保には,はんだ表面を酸化されない特殊な有機膜で覆
い,ペースト中のロジンとはんだとが約150℃の高温ま
で反応しないように工夫することで達成できた。即ち,
印刷時及びリフローの予熱段階でのはんだボールと雰囲
気との接触を避けることにより,高温になると有機膜が
溶けて接続を容易にするプロセスを可能にした。そして
絶縁特性が保証される量のハロゲンを入れることによ
り,N2リフローもしくはエアリフローで接続すること
ができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例によりさら
に詳細に説明する。
【0028】図1のSn−Zn−Bi3元系状態図では
概略的な液相線温度と固相線温度の関係しか分からな
い。はんだ付けには液相線温度と固相線温度は最も重要
なファクターであり,また,接続の歩留まりにも関係し
てくる。そこで,必要とする融点域に絞った組成の固相
線温度と液相線温度をDSC(示差熱分析法)により徹底
的に調べることにした。測定は,2℃/minの昇温速度で
行った。得られたDSC曲線は吸熱ピークの低温側の裾
野が広がる形状をとり,固相線温度は従来の方法(吸熱
ピークに入る前の直線部より高温側に向けて引いた接線
と吸熱ピークより低温側に向けて引いた接線との交点の
温度を固相線温度とする)では,厳密には正確でないた
め,定義通りDSC曲線の直線部が吸熱ピークにより曲
線へと変わり始める点の温度とした。
【0029】図3は図1の純Sn付近の範囲を拡大し,
液相線温度と固相線温度を表示したものである。これに
よると固相線温度はBiが少ない範囲では要求範囲に入
っているが,Bi量が10mass%以上になると170℃
以下,16mass%以上になると150℃以下となること
が分かったため,液相線温度と固相線温度の温度差は大
きくなることが予測される。この場合,高温での信頼性
のマージンが取れなくなり,接続プロセス上での問題が
生じやすくなるため,固相線温度は160℃以上である
ことが望ましい。図1では,液相線温度が局所的に低く
なり,固相線温度と液相線温度の差を小さくするSn−
Zn2元共晶ラインがSn−9Znを起点として3元共
晶点Sn−4Zn−56Bi(融点130℃)まで伸びて
いる事がわかるが,図1は概略的なものであるため,そ
の2点を結ぶSn−Zn2元共晶線(曲線)の正確な位置
がわからない。そこで,これを知るために固相線温度が
160〜170℃となる領域を含むBi量10〜14ma
ss%,図1上でSn−Zn2元共晶線が示されている領
域を含むZn量4〜6mass%で示される領域について綿
密に測定をすることにした。その結果は図3に示した。
これによると,Bi量が10〜14mass%,Znが5〜
6mass%の範囲内に液相線温度の低くなる谷間が存在
し,これがSn−Zn2元共晶線(図3太線)であること
がわかる。つまり,固相線温度と液相線温度との差をな
るべく小さくとるためには,この2元共晶線上の組成を
選択すれば良いことがわかる。この2元共晶線を超えて
Zn量の多い組成領域では,液相線温度が急激に高くな
るので,電子部品接続用として実用的ではないことがわ
かる。しかし,必要としている固相線温度150℃以上
となる領域では,2元共晶線は,Znが5mass%以上の
領域に入ってしまうためZn量は,4〜6mass%の中で
も4.5〜6mass%が望ましい。次に液相線温度は19
7℃以下であることが必要なのでBi量を10mass%以
上とする。また,先に述べた通り固相線温度が150℃
以上ならBi量は16mass%以下,マージンを考えて1
70℃以上とするためには10mass%以下が望ましい。
【0030】図4は,図3の状態図の結果及びそれを更
に詳細に分析した結果から得たデータより作成したもの
である。それぞれBi量を13mass%,14mass%,1
6mass%一定にした場合の液相線温度と固相線温度との
温度差ΔTとZn量の関係である。Bi量を13mass
%,14mass%の時,Zn5.5mass%前後でΔTが最
小である。Bi量が16mass%の時,Zn5mass%前後
でΔTが最小である。これらの結果から,Znは4〜6
mass%が望ましい。Zn量は多くても,少なくてもΔT
は増すので接続の観点から望ましくない。冷却時に液体
と固体の共存域を長い時間保つことは接続時の信頼性の
問題で望ましくない。次にZn量に対する液相線温度に
ついて示す。最高220〜230℃のリフロー温度の制
約条件から,できる限り液相線温度を下げることがぬれ
性の観点から望ましい。経験的に融点から30〜50℃
高い温度でリフローするのが,ぬれ性,液体の粘性の観
点で望ましいとされている。従って,220〜230℃
のリフロー温度の場合,上限の液相線温度は197℃で
ある。図5はBi量を14mass%一定とした時に,Zn
量に対する液相線温度である。Zn量は多くなっても,
また少なくなっても液相線温度は上昇し,Zn量は5ma
ss%前後で最小になる。即ち,Znは4〜6mass%の範
囲では,液相線温度を下げられ,かつ液相線温度と固相
線温度との温度差を小さくとれる領域となる。
【0031】次に,Zn量とぬれ拡がり率(Znの酸化
に対するぬれ性の評価)との関係を図6に示す。Zn量
は6mass%以上でぬれ拡がり率が一定値に近づいてくる
ことから,ぬれ性の観点からZn量としては6mass%以
下が望ましい。
【0032】融点(液相線温度,固相線温度)はZn量と
Bi量の組合せで決まる。特に,Zn量に関してはぬれ
性等に大きく影響してくるため,上記各種の検討が必要
になる。Bi量に関しては図8に示すようにBi量の広
い範囲でぬれ性は安定している。従って,Bi量はZn
量との組合せにおける融点(液相線温度,固相線温度)調
整の役割が大きい。
【0033】はんだ付け性の面からの詳細検討を以下に
示す。最高220〜230℃のリフロー温度で,プリン
ト基板のCu端子に対するはんだのぬれ性を評価した。
評価はCu基板上の直径1mmのはんだボールのぬれ拡が
り率を組成を変えて(Sn−5Zn− xBi(x=0,1
0,15,19,22,25,30),Sn−yZn−1
9Bi(y=0,1,3,4,5,7))測定し,その大
小によって行った。使用したフラックスは0.2mass%
の塩素が入ったロジン系である。ぬれ拡がり率の値は表
1に載せ,結果は前述の通り図6,図8に示した。
【0034】
【表1】
【0035】Zn量が多い程ぬれ性は低下している。ま
た,同様に,Bi量によるぬれ性の影響を調べると,こ
の系では,ぬれ性はBi量にほとんど依存しないことが
分かる。また,請求項の組成範囲付近のはんだボール
は,純Snはんだボールの約85%,Sn−9Znはん
だボールの約150%のぬれ拡がり率を確保しているこ
とがわかる。また,図9にSn−5Zn−13BiにC
uを0〜1mass%,Inを0〜2mass%添加したときの
ぬれ拡がり率の変化を示す。これによると,Cu,In
の添加をしてもぬれ性は低下せず,Sn−5Zn−13
Biのぬれ性を維持できることがわかる。これより,こ
の系でのぬれ性は,Zn量に大きく依存し,請求項の組
成範囲付近で,十分ではないが,接続に必要なぬれが得
られることが分かった。一方,請求項の組成範囲内のは
んだペーストは印刷によって基板上に薄くのばして供給
するため,ぬれ拡がりの面では問題は少ないが,はんだ
合金粒子は直径数30μmと小さく,はんだ合金粒子総
表面積は大きな値となるため,リフロー時の粒子の表面
酸化による粒子の融け残りが発生し,電気特性上の問題
が発生する恐れがある。この問題を解決するには,O2
をパージしながらはんだ付けのできるN2リフローまた
はベーパーリフローを用いることによりクリアできる。
特にこのはんだは瞬時でも大気にさらすと強固な酸化膜
ができるので,はんだ粉を大気にさらさないでペースト
化する工夫等により,ぬれ性を確保できた。なお,本ペ
ーストは強めのフラックスを用いてリフローし,洗浄す
る方式は当然可能であるが,弱めのフラックスを用い
て,不活性雰囲気でリフローし,洗浄しない低残渣の方
式を可能にした。また,接続強度の面で評価を行うため
に,試料の組成を変えて(Sn−5Zn−xBi(x=
0,10,15,17,19,25),Sn−yZn−
15Bi(y=2,3,4,5,6,7)室温引張試験を
行なった。引張り試験条件は室温で,0.05mm/minの
引張り速度で評価した。標点間距離は10mmである。
試験片は窒素雰囲気で鋳込んで,鋳込みはリフロー条件
と同じ冷却速度で行った。試験片には熱やひずみを加え
ないように放電加工で作製した。試験結果を表2,図7
に示した。
【0036】
【表2】
【0037】それによると,Sn−5Zn−xBiの引
張強度は,xが10〜20mass%のとき(3元系),xが
0 mass%のとき(2元系)と比較して約50%向上してい
る。これはBiを加え3元系とすることにより室温で
(Sn)+Zn相((Sn)はSnベースの固溶体を表す)中
のマトリックスとなる(Sn)中にBiが固溶し固溶体硬
化を起こしたためと思われる。また,そのために伸び率
は減少する。さらにBi量を増加させると, (Sn)中
に固溶できずに晶出した脆い(Bi)が多くなり引張強度
を低下させるものと思われる。一方,Sn−yZn−1
5Biの引張強度は,Zn量が5乃至6mass%前後で最
大値を示し,6 mass%以上では急激に低下する傾向を
示し,Zn量が少なくなると強度は低下してくる。従っ
て,Zn量が4〜6mass%の範囲は適正範囲と考えられ
る。これはZn量増加にともない,(Sn)+Zn相中の
高強度(約 12kgf/mm2;日本金属学会金属データブックP
147)の純Zn針状結晶が太く,長くなり(Sn)マトリッ
クスを強化するが,針状結晶のサイズが大きくなるにつ
れて針状結晶とマトリックスの整合性が低下し,針状結
晶とマトリックスの複合強化の効果が無くなってくるこ
とによると思われる。上記の2つの相乗効果によってS
n−(5〜6)Zn−(10〜20)Biの引張強度は9kg
f/mm2以上とSn-Pb共晶組成の約2倍の値を示すこと
が分かった。
【0038】またSn−5Zn−13BiへのCu,I
nの添加が引張強度や伸び率の温度依存性に与える影響
について示したのが図10,図11,図12,図13で
ある。これによると,添加することによる引張強度の温
度依存性は殆ど変化しないことがわかる。一方,伸び率
の温度依存性は,Cuを添加した場合,添加量増加とと
もに伸び率のピ−クを与える温度が高温側へ移動する。
またInを添加した場合,添加量増加とともに,100
℃付近の伸び率が向上する。高温における伸び率の向上
は実装構造体に熱ひずみが生ずる高温における接続信頼
性を確保するための必要条件である。
【0039】本発明はガラスエポキシ基板を対象にした
が,コンポジット基板及び他のエポキシ系基板やそれ以
上の耐熱性基板,例えばガラスポリイミド基板,BT
(ガラス布基材ビスマレイド・トリアジン)基板,セラミ
ック基板等に使用できることは言うまでもない。
【0040】〔パワーモジュール基板実装への適用例〕
図14(a)はSiチップ3を搭載したAl2O3等のセラミッ
ク絶縁基板4にCuヒートシンク板5をSn-5Zn-1
3Bi-0.8CuもしくはSn-5Zn-13Bi-0.8
Cu-1Agはんだ6で接合した場合のパワーモジュー
ル基板実装例である。図14(b)はNiめっき7を施し
たCuヒートシンク板5と0.2mm厚に圧延したSn-
5Zn-13Bi-0.8Cu-1Agはんだ箔6を示し,
両者を接合して図14(c)に示す予備はんだ付けしたC
uヒートシンク板を示す。Sn-5Zn-13Bi-0.8
Cu-1Agはんだを使用した理由は針状晶の改質と1
50℃の高温での信頼性確保を目的とする。セラミック
絶縁基板へのメタライズは一般にはW導体にNiめっき
(約2μm),その上に薄いAuめっき(0.1μm)のW
−Ni−Au8の構成が採用されている。この場合,予
めSiチップ3とセラミック絶縁基板4とを高温のSn
−5mass%Sbはんだ9(融点:液相240℃,固相232
℃),もしくはSn−3.5mass%Agはんだ(融点:2
21℃)で接続することにより,該Sn−5mass%Sbは
んだ,Sn−3.5mass%Agはんだを溶かさないでSn
-5Zn-13Bi-0.8CuもしくはSn-5Zn-13
Bi-0.8Cu-1Agはんだを用いて215〜220
℃の温度階層接続が可能である。Sn-5Zn-13Bi
-0.8CuもしくはSn−5Zn−13Bi-0.8Cu
-1Agはんだとの温度階層接続を可能とするSiチッ
プ3を接続する他のはんだ材として,Au−20mass%
Sn(融点:液相280℃)も同様に温度階層接続が可能
である。特にSiチップのような割れやすいものを接続
する場合は融点は下がるが比較的やわらかく,伸びやす
いSn-5Zn-13Bi-0.8Cu-5Inを使用する
ことも可能である。絶縁基板としてAl2O3以外に熱放散
性に優れるAlN基板等も使用される。これらのセラミ
ック基板のメタライズ材としてWもしくはMoメタライ
ズ膜上にNiめっき(もしくはNiめっき上に約0.2
μm程度のAuめっき)が使用される。ヒートシンク基
板としてはCu板にNiめっきを数μm被覆してCuの
表面酸化を防止して使用するのが一般的である。W,M
oもしくは他の複合基板等のヒートシンク材に対して
も,同様にNiめっきを施すことにより,同様な接続が
可能である。また,Cu板に直接にはんだ付けを行うこ
とも可能であるが,合金層の強度を保つためCuの上に
Znを1〜2μm施し,その上にSnめっきを施すこ
と,もしくはCuの上にNiめっき,更にその上にAg
めっきを施すこと等により,界面での強度劣化を防止す
ることも可能である。このはんだの接合強度は高いの
で,高温での耐クリープ性,耐熱疲労性にも優れること
が期待できる。半導体等が搭載されていない場合は,絶
縁基板にCuヒートシンク板を強いフラックス中で接合
できるので,ボイドの少ない接合体ができる。また,温
度階層接続を活用すれば,はんだを使用する位置を上記
とは逆にすることも可能である。はんだの供給は圧延箔
が一般的であるが,ペースト印刷する方式等も可能であ
る。はんだ箔の圧延性は比較的良く,0.1〜0.2mm
厚の範囲で可能である。ペースト印刷の場合は,予備は
んだとしての利用が主である。
【0041】〔表面実装への適用例〕はんだペーストを
使用し,Sn系はんだめっきされた42アロイリードを
持つQFP及びチップ部品をプリント基板に1000p
pmのO2を含むN2リフローで接続した場合について記
す。対象ピッチは0.5mmピッチであり,はんだボー
ルの粒子径は50μm前後である。Cuパッドはパッド
幅;0.28mmで,Cu箔厚さは18μmである。Z
nによる表面酸化を防止するため,ペーストを作るとき
もはんだボールを直接に大気にさらさない工夫を凝らし
た。従って,酸素濃度1000ppm程度のN2雰囲気,も
しくはエア中でも印刷した下面はぬれることが分かっ
た。ぬれ拡がり性の点では従来はんだには及ばないが,
Sn系はんだめっきされたリード上には良く拡がってお
り,フィレットが形成される。また,Cuパッド上への
ぬれ性も従来はんだに近い状態を確保している。RMAタ
イプの弱活性フラックスを使用することにより十分なぬ
れを確保できた。
【0042】〔BGAの表面実装への適用例〕図15は
Siチップ3を有機基板10に接着後,Au線11でワ
イヤボンドし,樹脂モールド12したBGA(Ball Grid
Array)パッケージの接続に適用した例を示す。径0.7
5mmのSn−5Zn−13Bi−1CuもしくはSn
−5Zn−13Bi−1Cu−2Inはんだボール13
を作り,有機基板10の端子上に配列し,強めのフラッ
クスで融かしガラスエポキシ基板14側の端子上にボー
ル13を形成させる。一例として検討した端子ピッチは
1.27mmで,基板パッド径は0.75mmで,パッケ
ージ端子径は0.70mmで,端子数は約500ピンで
ある。リフロー後のはんだバンプ高さは約0.6mmで
ある。500ピンのボール先端の凹凸は最大20μmで
あった。ガラスエポキシ基板14上にフラックス25を
塗布し,このBGAを搭載し,220℃でN2リフロー
すると100%に近い高歩留まり接続が可能となる。フラ
ックスの洗浄はBGAと基板間の隙間が広いので容易で
ある。他方,環境の問題を考慮し,低残渣フラックスを
用いた洗浄レスプロセスも可能である。更には,始めに
酸化させない状態に保つことによりカルボキシル基を持
つ揮発性溶剤の僅かな還元性に依存したフラックスレス
方式も可能である。この場合も,リフロー時に酸化され
ないようにN2リフロー雰囲気でおこない,基板の端子
には酸化されにくくするためCuパツド15上にNiめ
っきを約3μm施し,更にその上に0.1μmのAuめ
っきを施すことにより,良い状態での接続が可能であ
る。更に,ハンダボールの表面酸化に対し,直前に表面
をエキシマレーザ等でなめるように表面処理することに
より,または,外気と遮断する特殊な有機膜を被覆させ
フラックスレス接続をより確実に可能にする。なお,エ
キシマレーザによる表面処理効果の原因は不明である
が,単に表面の酸化膜を破壊するだけではなく,酸化さ
れにくくする効果があると言われている。なお,BGA
をガラスエポキシ基板に接続する方式として,QFP実
装と同様に,基板のCuパッド15上にペースト16を
塗布しておき,その上にBGAを搭載してリフローする
方式も可能である。ペーストを塗布してリフローする場
合,もしくは基板のパッド側に予備はんだをしてリフロ
ーする場合,同一組成に限らず,220〜230℃での
ぬれ性に優れる少量のSn−Bi系,Sn−Bi−Ag
系等のはんだで接続し,BGA側のSn−5Zn−13
Bi−1CuもしくはSn−5Zn−13Bi−1Cu
−2Inはんだボールとの接続が可能である。これらの
はんだボールが主成分であることから溶融しても融点は
これらのはんだとあまり変わらない。
【0043】図16はSn−5Zn−13Bi−1Ag
はんだを線径30μmに線引きし,130μmピッチの
接続を可能にする接続方式を示し,SiチップのAl導
体上に直接ワイヤボンドするプロセスを示す。(a)はキ
ャピラリー17でボールを形成したはんだをAl導体1
8上に圧着(熱,超音波を加えることもある)している
過程である。(b)は接着後,線をクランプし絞られたと
ころで引きちぎってはんだ端子21を形成した状態であ
る。(c)はキャピラリー先端に一定長さのはんだ線を送
り出した状態である。(d)は不活性雰囲気もしくは還元
性雰囲気においてアークもしくはレーザ19等で瞬時に
溶融すると表面張力の作用ではんだ線の先端では球状の
ボール20が形成される。図17はチップ13周辺のは
んだボール端子21のレベリングを行なった後,ガラス
エポキシ等の有機基板14のCuパッド22上にNi−
Auめっき23を施した端子に,はんだバンプを位置決
めし(図17(a)),不活性雰囲気で加熱圧着してフリ
ップチップ接続し,樹脂24を充填したものである(図
17(b))。図17(c)は端子部を拡大したものであ
る。更に,樹脂を充填して硬化させた。使用した樹脂
は,ヤング率500〜1000kgf/mm2,熱膨張係数1
5×10~6/℃〜35×10~6/℃なる物性を有するも
のである。この樹脂を使用することにより大型チップで
もガラスエポキシ基板等に対して高信頼実装を可能にす
る(例えば,特願昭62-151190)。なお,フラックスレス
接合のため,はんだとAuとの接合性を向上させるた
め,はんだ表面に形成された酸化膜をエキシマレーザ等
で除去することは効果がある。チップのAl導体に接続
したが,端子部をはんだにぬれるメタライズを設けるこ
とにより,ワイヤボンドしたものをフラックス中でウエ
ットバックすることにより,球状のはんだバンプを作る
ことも可能である。このはんだはAlとの接触電位が小
さいため,差電食が起こりにくい長所がある。更に,線
引き等においても強度があり,粘りがあるため切れず連
続的に細線に引き伸ばすことができる。
【0044】なお,Sn−9Zn共晶(融点:199℃)
はSn−5Zn系より酸化され易く,融点上220℃の
リフローは困難である。しかし,リフロー温度を均一化
し,230℃位まで可能であれば,この融点を更に下げ
ることができれば使用可能となる。この共晶系にBiを
添加しても融点,特に固相線温度が下がり,接続し易く
なる。即ち,図2から分かるように共晶ラインを下る
と,一例としてSn-8Zn-3Bi(液相線:198℃,固相
線:190℃),Sn-7Zn-6Bi(液相線:198℃,固相線:
182℃),Sn-6Zn-8Bi(液相線:198℃,固相線:172
℃)の順で固相線が下がってくることが予想される。こ
れらの領域でもCu添加によるZnの針状晶のアスペク
ト比を低下させたり,球状化させることが可能である。
リフロー温度としては最大230℃あれば液体として十
分な溶融状態にあると考えられる。課題は表面の酸化で
あったが,前述のように有機膜で保護することにより,
酸化を防止することができ,ぬれの問題をクリアできる
ようになったので,使用可能になる。そこで,上記はん
だ組成にCuを添加したSn-8Zn-3Bi-0.8C
u,Sn-7Zn-6Bi-0.8Cu,Sn-6Zn-8B
i-0.8Cu組成を用いてはんだペースト,箔,線等へ
の応用が展開できる。Cuの添加量は0.1〜2.0%の
範囲である。また,Agを添加することで150℃近く
の高温強度を向上することができる。Agの添加量は
0.2〜2.0%の範囲である。
【0045】
【発明の効果】以上のように、本発明のSn−Zn−B
i系はんだは、Pbのような環境に対して有害な元素を
含まず、コスト高にならず,資源的に安定して供給可能
であり,かつ,従来のSn−Pb共晶はんだと同等のリ
フロー温度で従来から使用されているガラスエポキシ基
板にLSI,部品を従来のプロセスであるN2リフロー
装置ではんだ付けできる。即ち,LSI,部品の位置決
め,搭載,印刷,リフローを従来プロセスで使用可能で
ある。本はんだは強度がSn−Pb共晶の2倍程度(引
張強度9〜10kgf/ 2)と強く,耐高温強度,耐クリープ
性に優れる。電子部品の継ぎ手としても従来のSn−P
b共晶はんだと比べ同等の耐疲労性を有するものであ
る。添加元素を変えることにより,柔らかい接合により
Siチップとの接続を可能にすることができる。また,
予熱温度レベルまで耐えられる表面酸化防止膜を形成す
ることにより,Znの酸化によるぬれ性低下を阻止でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】公知のSn−Zn−Bi 3元系状態図(液相線
温度)
【図2】Sn−5Zn−13BiとSn−5Zn−13
Bi−1Cuの組織写真模式図
【図3】熱分析によって明らかにした純Sn付近のSn
−Zn−Bi3元系状態図
【図4】Sn−Zn−Bi系におけるZn量と,液相線
温度と固相線温度との温度差の関係
【図5】Sn−Zn−Bi系におけるZn量と液相線温
度との関係
【図6】Sn−Zn−Bi系におけるZn量とぬれ拡が
り率の関係
【図7】Sn−Zn−Bi系におけるZn量と引張り強
度の関係
【図8】Sn−Zn−Bi系におけるBi量とぬれ拡が
り率の関係
【図9】Sn−5Zn−13Biに添加するCu量,I
n量とぬれ拡がり率との関係
【図10】Sn−5Zn−13Biに添加するCu量,
In量と引張強度温度依存性との関係
【図11】Sn−5Zn−13Biに添加するIn量と
伸び率温度依存性との関係
【図12】Sn−5Zn−13Biに添加するCu量と
伸び率温度依存性との関係
【図13】Sn−5Zn−13Biに添加するAg量と
伸び率温度依存性との関係
【図14】パワーモジュールの断面図と予備はんだのプ
ロセスを示す。
【図15】BGAの断面図と接続部の拡大である。
【図16】はんだバンプ形成プロセス法を示す断面を示
す。
【図17】はんだバンプ方式の実装法を示す断面図を示
す。
【符号の説明】
1.Zn針状組織 16.はん
だボール 2.Bi固溶体 17.ガラ
スエポキシ基板 3.Cu−Zn球状組織 18.Cu
パツド 4.Sn−Zn2元共晶線 19.ペー
スト 5.Sn−Zn−Bi3元共晶組織出現領域 20.キャ
ピラリー 6.Siチップ 21.Al
導体 7.セラミック絶縁基板 22.アー
クもしくはレーザ 8.Cuヒートシンク板 23.球状
のボール 9.Sn−5Zn−13Biはんだ 24.はん
だボ−ル端子 10.Niめっき 25.Cu
パッド 11.W−Ni−Au 26.Ni
−Auめっき 12.Sn−5mass%Sbはんだ 27.樹脂 13.有機基板 28.フラ
ックス 14.Au線 15.樹脂モールド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石田 寿治 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地株式 会社日立製作所生産技術研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Zn:4〜6mass%,Bi:10〜16ma
    ss%,Cu:0.1〜2mass%,残りSnから成る4元
    系組成の合金はんだを用いたことを特徴とする鉛フリー
    はんだ。
  2. 【請求項2】Zn-Bi-Sn系における組成の重量(mas
    s)%表示を座標(Zn,Bi,Sn)で表示し,A(6,1
    6,残),B(6,10,残),C(3.7,16,残)で囲ま
    れて成る組成に,Cu:0.1〜2mass%から成る4元
    系の合金はんだを用いたことを特徴とする鉛フリーはん
    だ。
  3. 【請求項3】Zn:4〜6mass%,Bi:10〜16ma
    ss%,Ag:0.2〜2mass%,残りSnから成る4元
    系組成の合金はんだを用いたことを特徴とする鉛フリー
    はんだ。
  4. 【請求項4】Zn-Bi-Sn系における組成の重量(mas
    s)%表示を座標(Zn,Bi,Sn)で表示し,A(6,1
    6,残),B(6,10,残),C(3.7,16,残)で囲ま
    れて成る組成に,Ag:0.1〜2mass%から成る4元
    系の合金はんだを用いたことを特徴とする鉛フリーはん
    だ。
  5. 【請求項5】Zn:4〜6mass%,Bi:10〜16ma
    ss%,Cu:0.1〜2mass%,In:0.1〜2mass
    %,残りSnから成る5元系組成の合金はんだを用いた
    ことを特徴とする鉛フリーはんだ。
  6. 【請求項6】Zn-Bi-Sn系における組成の重量(mas
    s)%表示を座標(Zn,Bi,Sn)で表示し,A(6,1
    6,残),B(6,10,残),C(3.7,16,残)で囲ま
    れて成る組成に,Cu:0.1〜2mass%,In:0.1
    〜2mass%,から成る5元系の合金はんだを用いたこと
    を特徴とする鉛フリーはんだ。
  7. 【請求項7】Zn:4〜6mass%,Bi:10〜16ma
    ss%,Cu:0.1〜2mass%,Ag:0.2〜2mass
    %,残りSnから成る5元系組成の合金はんだを用いた
    ことを特徴とする鉛フリーはんだ。
  8. 【請求項8】Zn-Bi-Sn系における組成の重量(mas
    s)%表示を座標(Zn,Bi,Sn)で表示し,A(6,1
    6,残),B(6,10,残),C(3.7,16,残)で囲ま
    れて成る組成に,Cu:0.1〜2mass%,Ag:0.2
    〜2mass%,から成る5元系の合金はんだを用いたこと
    を特徴とする鉛フリーはんだ。
  9. 【請求項9】Zn-Bi-Sn系における組成の重量(mas
    s)%表示を座標(Zn,Bi,Sn)で表示し,F(8.
    5,3,残),G(5.5,13,残),H(4,13,残),
    I(7.5,3,残)で囲まれて成る組成に,Cu:0.1
    〜2mass%から成る4元系の合金はんだを用いたことを
    特徴とする鉛フリーはんだ。
  10. 【請求項10】請求項1から9のいずれかに記載される
    はんだを酸化防止用の有機膜で覆ったことを特徴とする
    鉛フリーはんだペースト。
  11. 【請求項11】請求項1から9のいずれかに記載したは
    んだを用いて、電子部品と基板とを接続したことを特徴
    とする実装品。
  12. 【請求項12】請求項10記載のはんだペーストを用い
    て、基板に電子部品を表面実装したことを特徴とする実
    装品。
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