JPH09269216A - 膜厚測定方法 - Google Patents

膜厚測定方法

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JPH09269216A
JPH09269216A JP10442196A JP10442196A JPH09269216A JP H09269216 A JPH09269216 A JP H09269216A JP 10442196 A JP10442196 A JP 10442196A JP 10442196 A JP10442196 A JP 10442196A JP H09269216 A JPH09269216 A JP H09269216A
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JP
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wave
film
film thickness
envelope
boundary
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Application number
JP10442196A
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English (en)
Inventor
Kazuhiro Mukai
一弘 向井
Takuichi Imanaka
拓一 今中
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HIHAKAI KENSA KK
Original Assignee
HIHAKAI KENSA KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 既知の音速等を用いた簡便な測定方法で固体
基材上に設けられた薄いコーティングやメッキ等の膜の
膜厚の測定を可能とする膜厚測定方法を提供すること。
【解決手段】 周波数を適宜変更して膜に向かい送信さ
れたバースト波のうち膜表面で反射する表面反射波およ
び膜と固体基材との境界面で反射する境界反射波(D
2)の合成波(D3)を受信する。そして、その合成波
(D3)の正又は負のいずれか一方における各極値の包
絡線(Ea〜Ed)が平坦になり、最も突出し又は最も
窪む等のいずれかの状態変化にほぼ対応する前記バース
ト波の周波数(f1,f2)を少なくとも2つ求め、次
式により膜厚(d)を求める。 d=vxM/(2×(f2−f1)) 但し、vは膜を構成する材料の音速であり、Mは包絡線
の状態変化に対応する位相差波数である。例えば、各極
値の包絡線(Ea、Ec)が平坦になる状態に対応する
2つの周波数を選択した場合には、上記位相差波数M=
1/2となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体基材上に設け
られたコーティングやメッキ等の膜の膜厚を測定する膜
厚測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、超音波により金属メッキ等の膜厚
を測定する手法としては、例えば、超音波パルスをメッ
キ及び固体基材上に入射し、メッキ表面の反射波とメッ
キ及び固体基材の境界面で発生する境界反射波との時間
的遅れをもってメッキの膜厚を測定する方法が知られて
いる。しかし、同方法によれば、測定可能な時間的遅れ
は超音波パルス幅と同程度のものが限界であり、この限
界はほぼ膜の音速を超音波パルスの中心周波数で除した
のもに等しい。したがって、その中心周波数となる超音
波の波長に比較して、薄い膜の膜厚を測定することは困
難であった。
【0003】そこで、超音波の波長に比較して薄い膜の
膜厚を測定する方法として、特公平4−32962号公
報に記載の技術が知られている。同公報によれば、超音
波伝播用の液体から基板に入射する超音波の入射角が基
板、液体および膜の物質に固有の値で、且つ超音波の波
長と膜厚の比が基板、液体および膜の物質に固有の値の
ときに超音波の反射率が低下することを利用して、膜厚
を求めている。すなわち、入射角及び超音波の波長と膜
厚との比の双方が基板、液体および膜の物質に依存して
いる。
【0004】したがって、かかる測定法によれば、測定
対象となる基板、液体および膜の物質の組み合わせ毎
に、入射角及び超音波の波長と膜厚との比の双方を事前
に逐一調べておかねばならないという不都合があった。
また、超音波の入射角を正確に所定の値となるように保
たねばならないので、その設定も非常に煩雑であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる実状に鑑みて、
本発明は、既知の音速等を用いた簡便な測定方法で、固
体基材上に設けられた薄いコーティングやメッキ等の膜
の膜厚の測定を可能とする膜厚測定方法を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明にかかる膜厚測定方法の特徴は、固体基材上
に設けられたコーティングやメッキ等の膜の膜厚を測定
する方法において、周波数を適宜変更して前記膜に向か
い送信されたバースト波のうち膜表面で反射する表面反
射波および前記膜と固体基材との境界面で反射する境界
反射波の合成波を受信し、その合成波の正又は負のいず
れか一方における各極値の包絡線が平坦になり、最も突
出し又は最も窪む等のいずれかの状態変化にほぼ対応す
る前記バースト波の周波数を少なくとも2つ求め、次式
(1)により前記膜厚を求めることにある。 d=v×M/(2×(f2−f1)) …(1) 但し、vは膜を構成する材料の音速、Mは前記包絡線の
状態変化に対応する位相差を2πで除した位相差波数で
ある。
【0007】ここに、本発明にいう「バースト波」と
は、「定常波が急激に立ち上がり、平坦部を経た後に、
急激に消失する超音波」をいうものとする。すなわち、
このバースト波は、上記従来技術に用いられるような複
数の周波数領域の超音波が合成されてなるスパイク波等
とは異なる。
【0008】かかるバースト波の平坦部は、「表面反射
波」と「境界反射波」との双方に存在し、これら両者の
平坦部には「時間的遅れ」が生じる。そして、「バース
ト波の周波数」を変化させることで、「時間的遅れ」に
起因する「位相のずれ」が変化して両平坦部の重なり部
分に相当する合成波において「表面反射波」と「境界反
射波」との加減変化を生じる。この加減変化と、「時間
的遅れ」に起因する両平坦部の非重なり部分との対比に
より、「合成波」の「各極値」の包絡線が「状態変化」
を起こす。
【0009】「合成波の正又は負のいずれかいずれか一
方における各極値の包絡線」とは、検波前の合成波にお
ける極大点又は極小点のいずれか一方ごとの方絡線と、
検波された合成波の極大点の方絡線との双方を含む。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照しながら、本発
明の実施の形態について説明する。図1は、本発明にか
かる膜厚測定方法を実施するための測定装置1の概要を
示すブロック図である。この膜厚測定装置1では、水槽
2の中の試料台2aに載置した試料30に対し、水槽2
の中に満たされた水銀20を介して探触子5から超音波
を送信し再び受信する。探触子5は、水槽2上に設けら
れたクロスヘッド3に支持されている。このクロスヘッ
ド3は、水平面に沿った二次元方向へ探触子5を移動さ
せて、試料30上の全面にわたる膜厚を走査により測定
することが可能である。なお、探触子5から試料30に
対する超音波の入射方向は、誤差低減のために試料30
表面に対して垂直とすることが望ましい。探触子5は、
アンプ6を介してパルサー/レシーバー7に接続されて
おり、このパルサー/レシーバー7はA/Dコンバータ
ー8を介してパーソナルコンピューター9により制御さ
れる。
【0011】図2は、水銀20及び試料30の境界面近
傍を模式的に表した説明図である。探触子5より送信さ
れたバースト波は、水銀20と膜32の境界面で反射す
る表面反射波U1と、固体基材31及び膜32の境界面
で反射する境界反射波U2と、これら表面反射波U1及
び境界反射波U2の合成波U3とに分類される。これら
のうち、実際に上記測定装置1により観察されるのは合
成波U3のみである。
【0012】パーソナルコンピュータ9により処理され
た受信波形はCRT装置10により表示される。測定に
際しては、探触子5により受信されたバースト波を複数
回にわたってアベレージングして得られる合成波が用い
られる。すなわち、パーソナルコンピュータ9、A/D
コンバーター8を介してパルサー/レシーバー7を制御
するにあたり、トリガー信号によりパーソナルコンピュ
ータ9のゲートタイマーを作動させ、そのゲートにより
得られてメモリに蓄えられた複数の信号を、トリガー時
刻を基準にアベレージングして、突発的な環境ノイズを
除去する。よって、パーソナルコンピュータ9には、こ
のアベレージング回路及び後述の検波回路をさらに設け
てある。
【0013】次に、本発明においてバースト波を使用す
る理由について説明する。なお、図3〜図6に関する以
下の説明において、検波前の波形における極大点、極小
点、変曲点をそれぞれ小文字のp,b,tで表示し、検
波後の波形における同様の点を同様の大文字により表示
する。また、検波前の各波形をUにより表示し、検波後
の波形をDにより表示する。原則として、各アルファベ
ットの添え字1、2及び3はそれぞれ表面反射波、境界
反射波及び合成波に対応する。
【0014】定常波周波数f=80MHzのバースト波
の理論上における表面反射波U1のみを仮に表示する
と、図3(a)のような波形となる。ここに、本発明に
用いられるバースト波は、初期領域における立上部A1
と、中間部における平坦部A2と、後半部における減衰
部A3と三つの領域を有している。また、同図(a)の
表面反射波U1を検波して得られる表面反射波D1を図
3(b)に示す。図3(c)に示す理論上の検波後境界
反射波D2と先の検波後表面反射波D1との合成波は符
号D3に該当する
【0015】図3(b)及び(c)比較によれば、表面
反射波D1の強度を全体的に低下させると共に時間的遅
れを加えたものが境界反射波D2であり、この時間的遅
れは膜厚に起因する。平坦部A2における表面反射波D
1の極大点P3の包絡線E1と、同じく平坦部における
境界反射波の極大点P2の包絡線E2とは、時間的遅れ
によって非重なり部を生じる。これら両包絡線E1,E
2の重なり部では、時間的遅れに起因する両波形D1,
D2の位相差によって、合成波における両波形D1,D
2の加減変化を生じる。この加減変化と、「時間的遅
れ」に起因する両平坦部の非重なり部分との対比によ
り、合成波D3の極大点P3の包絡線Edが変化する。
かかる合成波D3の包絡線Edの状態変化を得るため
に、本発明では、平坦部A1を有する定常波であるバー
スト波を用いている。したがって、バースト波の平坦部
A2は、上述の立上部A1及び減衰部A3に比較して長
くなることが望ましい。
【0016】図4(a)〜(d)は、バースト波の周波
数を50,60,70,80MHzに適宜変更して得ら
れた境界反射波U2と合成波U3との関係を示すグラフ
である。また、図5(a)〜(d)は、これら図4
(a)〜(d)の境界反射波U2及び合成波U3のグラ
フを上述の如くそれぞれ検波して得られた境界反射波D
2及び合成波D3のグラフである。これらの各波形は、
インコネル等の固体基材31に対し、高温保護用コーテ
ィング層として膜厚d=100μmのCoNiCrAl
Y等よりなる膜32を設けた試料30で、例えばガスタ
ービンのブレード用材料を用いた場合に得られるものを
想定している。
【0017】ここで、先述の平坦部A2における包絡線
Eについて考察する。図5(a)における極大点P3の
包絡線Ea及び図5(c)における包絡線Ecは平坦で
あり、同図(b)における包絡線Ebは最も窪んでお
り、同図(d)に示す包絡線Edは最も突出したものと
なっている。包絡線の突出又は窪みの判定は、平坦部A
2の範囲における極大点P3の包絡線のうち前半部と後
半部とのいずれが高いかを基準とする。換言すれば、同
図(b)における窪んだ包絡線Ebとは、包絡線の後半
部が前半部より低い場合をいい、同図(d)に示す突出
した包絡線Edとは、包絡線の後半部が前半部より高い
場合をいう。そして、これらの前半部及び後半部の段差
が最も大きい場合に、最も突出又は最も窪んだ状態に該
当する。なお、以下の説明では、理解の容易のために極
大点等の時間位置が合成波と図示しない表面反射波とで
一致している場合について説明しているに過ぎない。
【0018】図4(a)の検波前境界反射波U2におけ
る極大点p2及び極小点b2は、図示しない検波前表面
反射波の変曲点(t1)と一致し、その一致状態を間接
的に検波前合成波U3の変曲点t3の位置により把握で
きる。したがって、図5(a)の合成波D3における極
大点P3には境界反射波D2の変位量が加算されていな
いこととなり、極大点P3を結ぶ包絡線Eaは平坦とな
るのである。これと同様の現象は、図4(c)及び図5
(c)の場合にも該当する。3図5(c)における合成
波D3の極値である極大点P3には境界反射波D2の値
は加算されず、その極大点の包絡線Ecは同様に平坦と
なる。
【0019】これに対し、図4(b)の場合には、合成
波U3の極大点p3と同時間位置にある図示しない表面
反射波の極大点と、境界反射波U2における極小点b2
との位置が一致する。また、合成波U3における極小点
b3と同時間位置にある図示しない表面反射波の極小点
と、境界反射波U2における極大点p2の位置が一致す
る。よって、図5(b)における検波後の合成波D3の
極大点P3は、図示しない表面反射波の極大点の値から
境界反射波D2の極大点P2の値が減じられたものとな
り、表面反射波と境界反射波D2との膜厚に基づく時間
的遅れにより、合成波D3極大点P3の包絡線Ebは最
も窪んだ形となる。
【0020】一方、図4(d)に示す場合には、検波前
合成波U3における極大点p3と同位置にある図示しな
い表面反射波の極大点には境界反射波U2における極大
点p2が一致する。また、合成波U3における極小点b
3と同位置にある図示しない表面反射波の極小点には、
境界反射波U2における極小点b2が一致する。よっ
て、図5(d)に示すように、検波後の境界反射波D2
における極大点P2の値が図示しない表面反射波の極大
点に加算されて、合成波D3における極大点P3とな
り、その包絡線Edは上側に最も突出した形となる。こ
のように、先の表面反射波U1と境界反射波U2との位
相差関係によって、検波後合成波D3の極大点P3を結
ぶ包絡線Eの形状が種々の状態変化を行うこととなる。
【0021】次に、図5(a)及び図5(c)の関係か
ら、膜32の膜厚(d)を求めることとする。図5
(a)の波長、周波数をそれぞれf1、λ1とし、合成
波D3と境界反射波D2との位相差を2πで除した位相
差波数をδとし、膜厚をdとし、nを未知の整数とする
と、次の式(2)が成立する。 2d/λ1=n+δ …(2)
【0022】また、図5(c)の波長、周波数をそれぞ
れf2、λ3とし、合成波D3と境界反射波D2との位
相差を2πで除した位相差波数をδ+Mとすると、次の
式(3)が成立する。 2d/λ2=n+δ+M …(3)
【0023】これら式(3)と式(2)との差をとる
と、次式(4)が成立する。 2d/λ2ー2d/λ1=M …(4)
【0024】ここで、膜32の物質の音速をvとする
と、1/λ1=f1/v、1/λ2=f2/vであるか
ら、次式(5)が成立する。 d=v×M/(2×(f2−f1)) …(5 )
【0025】同図(a)(c)間のグラフにおける包絡
線の状態変化に対応する位相差波数Mは、1/2であ
る。上述の材質よりなる膜32の概略音速v=8000
m/s及びバースト波の周波数f1=50MHz、f2
=70MHzをそれぞれ代入すると次の如く理論膜厚d
が求まり、その値は実際の膜厚100μmに一致する。 d=8000×0.5/(2×(70×106−50×106) =4000/(40×106)=100×10-6[m] =100[μm] …(6)
【0026】これと同様に、図5(b)と同図(d)の
場合にも包絡線の状態変化に対応する位相差波数Mは1
/2となり、また、同図(a)と(b)及び(b)と
(c)及び(c)と(d)のそれぞれの間の包絡線の状
態変化に相当する位相差波数Mはそれぞれ1/4とな
る。同図に示すような包絡線の状態変化は、周波数の変
更により周期的に訪れるものであるから、例えば、図5
(b)の場合とその状態が再び生じる場合との間におけ
る位相差波数Mは1となる。すなわち、包絡線の状態変
化に対応する位相差波数Mは、各極大点の包絡線(E,
Ea〜Ed)が平坦になり、最も突出し又は最も窪む等
のいずれかの状態変化にほぼ対応する周波数間で膜厚を
求める場合には、1/4の整数倍の値をとることとな
る。図6(a)〜(d)は図5と同種の試料を用いて膜
厚d=200μmとした場合における受信された検波波
形を示すグラフであり、周波数を55Mz、60Mz、
65Mz、70Mzに順次変化させたものである。これ
らの場合にも上述した包絡線の状態変化が生じることを
確認できる。
【0027】次に、試料30を浸漬する接触媒質を水で
はなく水銀等の水よりも密度の高い液体とした理由につ
いて説明する。
【0028】Z=s×v(sは物質の密度、vは物質の
音速)とし、かかるZを図2における入射側の液体20
のZをZ1、固体である膜32側のZをZ2と定義す
る。液体20側から入射する超音波の反射率R1と透過
率R2とは次式でそれぞれ定義される。 R1=(Z2−Z1)/(Z1+Z2) …(7) R2=2×Z2/(Z1+Z2) …(8)
【0029】ここで、各物質における密度sと縦波超音
波の音速vとの概略値をそれぞれ列挙する。 鉄 :密度s=7700kg/m3 音速v=5900m/
s 水 :密度s=1000kg/m3 音速v=1480m/
s 水銀:密度s=13500kg/m3 音速v=1470m/
s 液体20が水であり、固体32が鉄である場合には、式
(7)(8)より、反射率R1=0.937、透過率R
2=1.94となる。よって、R2/R1≒2.1とな
る。
【0030】これに対し、液体20が水銀であり、固体
32が鉄である場合には、式(7)(8)より、反射率
R1=0.392 、透過率R2=1.39となる。よ
って、R2/R1≒3.5となり、水を用いた場合より
も入射した信号の透過する割合が大きくなる。この透過
波が膜32と固体基材31との境界面で反射したものが
境界反射波D2であるから、上記比R2/R1が大きく
なるほど合成波D3に占める境界反射波D2の割合が大
きくなり、上述した包絡線の状態変化も大きくなり、膜
厚の測定が容易となる。
【0031】最後に、本発明の他の実施形態の可能性に
ついて列挙する。上記実施形態では、平坦部A2におけ
る包絡線がほぼ一定の値を有する直線となるバースト波
を入射波に用いた。これに対し、やや傾斜する包絡線や
凸状に湾曲する包絡線を平坦部A2に有するバースト波
を入射波として用いても構わない。この場合、特許請求
の範囲にいう「各極値の包絡線が平坦になり」とは、
「合成波の平坦部における極値の包絡線が、入射された
バースト波の平坦部における傾斜ないし湾曲する極値の
包絡線にほぼ近似する」ことも含むものとする。また、
平坦部で湾曲するバースト波を用いる場合に、合成波の
平坦部における極値の包絡線が図5(a)の如くほぼ一
定の値を有する直線となる状況での2つの周波数を位相
差波数M=1に対応させて求めても良い。特許請求の範
囲にいう「状態変化」とは、入射されるバースト波の平
坦部における極値の包絡線の基本的形状に応じて検出し
易いものを選択すれば良い。
【0032】膜及び固体基材の材質は上記実施形態のも
のに限られず、例えばクロムや金等のメッキや塗料等の
膜の膜厚を測定することができる。
【0033】また、上記実施形態では、検波後の合成波
D3についてその極値である極大点を結ぶ包絡線を用い
て測定を行ったが、検波前の合成波U3についてその正
側の極値である極大点か、検波前の合成波U3について
その負側の極値である極小点かのいずれか一方を結ぶ包
絡線を用いても構わない。但し、検波後の合成波D3を
使う方が、包絡線の状態変化を把握しやすい点で優れて
いる。
【0034】上記実施形態では、接触媒質として水銀を
用いたが、上記包絡線の状態変化を得られる限り、勿論
接触媒質として水を用いても構わない。また、接触媒質
には、液体以外の固体を用いても構わず、例えば中実の
アクリル樹脂製の棒を探触子と試料との間に介在させて
もよい。
【0035】
【発明の効果】このように、本発明にかかる膜厚測定方
法の上記特徴によれば、既知の音速等を用いると共に、
送信するバースト波の周波数を変更しつつ、受信する検
波後の合成波における極大点を結ぶ包絡線の形状の状態
変化をとらえるだけの簡易な手法で、固体基材上に設け
られた薄いコーティングやメッキ等の膜の膜厚を測定す
ることが可能となった。また、上記特徴によれば、膜の
表面に対して垂直ないし一定角度でバースト波を入射す
れば足りるので、試料の表面と探触子との相対角度の管
理が容易な割に、高精度に膜厚を測定できるようになっ
た。さらに、膜に対し水銀等の水よりも密度の高い液体
を介してバースト波を送・受信することで、合成波に占
める境界反射波の割合が大きくなり、その結果上述した
包絡線の状態変化も大きくなって、より容易に膜厚が測
定できるようになった。
【0036】なお、特許請求の範囲の項に記した符号
は、あくまでも図面との対照を便利にするためのものに
すぎず、該記入により本発明は添付図面の構成に限定さ
れるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる膜厚測定方法を実施する装置を
示すブロック図である。
【図2】膜と水銀との境界面近傍における信号の反射状
況を説明するための断面図である。
【図3】膜厚100μm周波数80Mzにおけるバース
ト波の波形を示すグラフであって、同図(a)は表面反
射波、(b)は(a)を検波した信号、(c)は検波さ
れた境界面反射波と合成波との関係を示す。
【図4】膜厚100μmにおける検波前の境界反射波U
2と合成波U3との関係を示すグラフであって、同図
(a)は周波数50Mz、(b)は周波数60Mz、
(c)は周波数70Mz、(d)は周波数80Mzの場
合をそれぞれ示す。
【図5】同図(a)〜(d)は図4(a)〜(d)にそ
れぞれ対応する検波された波形を示すグラフである。
【図6】同図(a)〜(d)は図5(a)〜(d)にそ
れぞれ対応する膜厚d=200μmの場合における検波
された波形を示すグラフであり、(a)は周波数55M
z、(b)は周波数60Mz、(c)は周波数65M
z、(d)は周波数70Mzの場合をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1 膜厚測定装置 2 水槽 2a試料台 3 クロスヘッド 5 探触子 6 アンプ 7 パルサー/レシーバー 8 A/Dコンバーター 9 パーソナルコンピュータ 10 CRT装置 20 水銀 30 試料 31 固体基材 32 膜 U1 検波前表面反射波 U2 検波前境界反射波 U3 検波前合成波 D1 検波後表面反射波 D2 検波後境界反射波 D3 検波後合成波 p1〜3,P2,P3 極大点 b1〜3,B2,B3 極小点 t1〜3,T2,T3 変曲点 E,E1,E2,Ea〜Ed 包絡線 A1 立上部、A2 平坦部、A3 減衰部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体基材(31)上に設けられたコーテ
    ィングやメッキ等の膜(32)の膜厚(d)を測定する
    膜厚測定方法であって、周波数を適宜変更して前記膜
    (32)に向かい送信されたバースト波のうち膜表面で
    反射する表面反射波(U1)および前記膜(32)と固
    体基材(31)との境界面で反射する境界反射波(U
    2,D2)の合成波(U3,D3)を受信し、その合成
    波(D3)の正又は負のいずれか一方における各極値の
    包絡線(E,Ea〜Ed)が平坦になり、最も突出し又
    は最も窪む等のいずれかの状態変化にほぼ対応する前記
    バースト波の周波数(f1,f2)を少なくとも2つ求
    め、次式(1)により前記膜厚(d)を求める膜厚測定
    方法。 d=v×M/(2×(f2−f1)) …(1) 但し、vは膜を構成する材料の音速 Mは前記包絡線の状態変化に対応する位相差を2πで除
    した位相差波数
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012127866A (ja) * 2010-12-16 2012-07-05 Kawasaki Heavy Ind Ltd ろう厚測定装置および方法
US10689216B2 (en) 2018-03-15 2020-06-23 Kabushiki Kaisha Toshiba Inspection device and inspection method

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