JPH09268292A - 籾殻酢酸液とその製造方法ならびに籾殻炭製造装置 - Google Patents

籾殻酢酸液とその製造方法ならびに籾殻炭製造装置

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JPH09268292A
JPH09268292A JP8104689A JP10468996A JPH09268292A JP H09268292 A JPH09268292 A JP H09268292A JP 8104689 A JP8104689 A JP 8104689A JP 10468996 A JP10468996 A JP 10468996A JP H09268292 A JPH09268292 A JP H09268292A
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acetic acid
charcoal
liquid
husk charcoal
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Hiroaki Anada
弘明 穴田
Kazuhiko Anada
和彦 穴田
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Individual
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E50/00Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 籾殻を有効活用し、手軽に利用価値の高い籾
殻酢酸や、籾殻炭を製造する。 【解決手段】 籾殻を炭化させる過程で発生する煙を放
冷して得られる液体生成物を採取し、静置して油分とタ
ール分を分離させて水溶液を採取し、この水溶液を加熱
蒸留し、吸着性活性炭で精製し、活性白土で脱色処理を
行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、籾殻が炭化する
過程で得られる液体生成物である籾殻酢酸液とその製造
方法ならびに籾殻炭製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、稲作により大量に発生する籾
殻は、有効な利用方法が無く、その大部分は焼却や投棄
処分とされていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、籾殻の処分に
は経費がかかり、さらに焼却に際して火災の恐れや煙が
環境に及ぼす影響など問題もあった。最近は資源を有効
に利用するという意識が向上し、籾殻の有効な利用方法
が求められている。一方、古くから、地形、地質上の制
約から地力の弱い農地では、人糞、枯草、稲藁等を水田
に投入する手厚い肥培管理が行なわれ、畑地に対しても
入念の土壌改良で生産を維持してきた。しかし、昭和4
0年代以降、兼業化の進展で稲藁等を水田に返すような
手間のかかる作業が嫌われ、その上畜産の分化から、厩
肥の投入も激減した。そして稚苗も機械化し、田植機の
出現により土を深く耕すことがなくなり、深くて肥えた
土壌層が維持できなくなった。こうした地力の低下を補
うために化学肥料が大量に投下され、土の養分がアンバ
ランスとなり機械化導入で土を踏み固めた結果、いろい
ろな問題が発生してきた。そこで、化学肥料万能を省
み、有機栽培や無農薬栽培を見直す気運が高まりつつあ
る昨今、従来の化学肥料と農薬中心の農業から、いわゆ
る土作りによる生態的、持続型農業への転換を図るため
の有力な資材の一つとして、籾殻炭が上げられる。
【0004】そして、籾殻炭の製造過程では、酢酸を含
有する酸性の水溶液が得られることが予想され、しかも
この籾殻酢酸液にはさまざまな作用が期待され、この液
体を有効に利用する方法が求められている。
【0005】この発明は、籾殻酢酸液とその製造方法、
ならびに籾殻を手軽に利用価値の高い籾殻炭に製造する
籾殻炭製造装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、籾殻を炭化
させる過程で発生する煙を放冷して得られる液体生成物
を蒸留精製した籾殻酢酸液である。そして、籾殻を炭化
させる過程で発生する煙を放冷して得られる液体生成物
を採取し、静置して油分とタール分を分離させて水溶液
を採取し、この水溶液を加熱蒸留し、吸着性活性炭で精
製し、活性白土で脱色処理を行なう籾殻酢酸液の製造方
法である。
【0007】またこの発明の籾殻炭製造装置は、長軸を
略水平にして据え置かれた中空部材である本体を設け、
この本体の上方に上方が開口している籾殻投入シュート
と、籾殻投入シュートを覆う空気導入口付きの蓋部が設
けられている。本体の側面には、くの字型に曲げられた
円筒型の排気ダクトが設けられ、本体内には攪拌装置
と、攪拌装置に連接して本体側面に取り付けられた手動
攪拌ハンドルが設けられている。また、本体の下方に、
燃料投入口と空気導入口付きの、燃焼発熱体ケーシング
が設けられた籾殻炭製造装置である。そして上記排気ダ
クトのくの字型に曲げられた部分の下方には、液体生成
物を採取するパイプが取り付けられている。また、上記
本体の円筒型の側面にスライドレールが一周して設けら
れ、この本体はスライドレールカバーが内側に形成され
た台部にスライドレールが嵌合されて支持され、本体は
スライドレールを摺動させて反転することができる。
【0008】この発明の籾殻酢酸液は、植物の生長促進
作用、脱臭作用、防虫防菌作用、土壌改良作用がある。
また、この発明の籾殻炭製造装置は、木炭や木材を燃料
とし攪拌装置も手動で行なうため、電機設備のない水田
等で作動することができる、手軽な無電力の人為作動装
置である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態の籾
殻炭製造装置について図面に基づいて説明する。この方
法は、自燃焼方式低位吸着能炭化物(近似活性炭)製造
法である。図1、図2はこの実施の形態の籾殻炭製造装
置10を示すものである。籾殻炭製造装置10の本体
は、乾留式焼成体ケーシングである焼成釜ケーシング1
2で、形状は長軸方向が略水平に据え置かれた円筒型
で、断熱用の2重構造でステンレス鋼材製である。焼成
釜ケーシング12の寸法は、φ600mm(内部φ500
mm)×2000mmである。焼成釜ケーシング12の両端
付近には、各2列に垂直なスライドレール14が一周し
て設けられている。
【0010】焼成釜ケーシング12の上部中央には開口
部が設けられ、開口部には籾殻投入シュート16が嵌合
されている。籾殻投入シュート16はステンレス鋼材製
で、下方が開口部にわずかなゆとりで嵌合する断面形状
で、上方は漏斗型に広がっている。籾殻投入シュート1
6の上には、蓋部である焼成釜ケーシングカバー18が
取り付けられている。焼成釜ケーシングカバー18はス
テンレス鋼材製で、空気遮断型で耐熱シール材を有して
いる。焼成釜ケーシングカバー18の中央には筒状の空
気導入口20が略垂直に貫通して設けられている。空気
導入口20はφ100〜150mmのステンレス製で、上
方はくの字型に略水平へ曲げられ、先端には空気量を調
整する調節バルブ22が取り付けられている。
【0011】焼成釜ケーシング12の中心で軸方向に沿
って、攪拌羽根24が取り付けられた軸26が、略水平
に焼成釜ケーシング12を貫通して設けられている。焼
成釜ケーシング12の両側面には耐熱性の軸受けが取り
付けられ、軸26は軸受けに挿通され、回転自在に保持
されている。攪拌羽根24と軸26はともにステンレス
製で、軸26の水平方向にほぼ等間隔な四カ所に攪拌羽
根24が取り付けられ、各カ所につき90℃間隔で4
枚、計16枚が取り付けられている。焼成釜ケーシング
12の側面から飛び出した軸26の一方には、十字型の
手動攪拌ハンドル28が取り付けられ、持ち手となる部
分は断熱材でできたハンドル持ち手30で覆われてい
る。
【0012】手動攪拌ハンドル28の反対側の、焼成釜
ケーシング12の側面で、上方寄りにφ100mmの筒状
のステンレス製の排気ダクト32が略水平に差し込ま
れ、排気ダクト32の先端は上方へくの字型に曲げら
れ、その先端にはステンレス製のφ100mmの排気調節
ダンパー34が取り付けられ、排気調節ダンパー34の
上には、さらに陣傘型のフード36が取り付けられてい
る。排気ダクト32のくの字型に曲げられた部分の下方
に、籾殻酢酸タール液取液パイプ38が略垂直に設けら
れている。籾殻酢酸タール液取液パイプ38はφ15mm
の合成樹脂等のパイプでできており、籾殻酢酸タール液
取液パイプ38の先端付近にはφ15mmのストップ弁4
0が取り付けられている。
【0013】焼成釜ケーシング12の下方中央には、燃
焼発熱体ケーシング42が取り付けられている。燃焼発
熱体ケーシング42はステンレス製の断熱式の2重構造
で、この2重構造の中間層は50〜60mmの断熱材が充
填されている。燃焼発熱体ケーシング42の一側面には
幅広の筒状の着火体投入口44が差し込まれている。着
火体投入口44は、ステンレス鋼材製で内側は30〜5
0mmの厚みで耐熱キャスターブルが塗布され、外側は耐
熱材カバーリングが施されている。着火体投入口44の
先端の開口部には開閉扉式のシールプレート45が取り
付けられている。燃焼発熱体ケーシング42の下部に
は、灰取り出し口46が取り付けられている。灰取り出
し口46は開閉式で、ステンレス鋼材製で、内部はキャ
スターブルが張り付けられている。燃焼発熱体ケーシン
グ42の一側面には、下方寄りにφ50mmステンレスパ
イプで作られた空気導入口47が略水平に差し込まれ、
空気導入口47の先端付近には空気量を調節するφ50
mmの調節バルブ48が取り付けられている。空気導入口
47が取り付けられた側面の反対側の側面には、上方寄
りにφ50mmステンレスパイプで作られた排煙口50が
略水平に差し込まれ、排煙口50の先端は焼成釜ケーシ
ング12より外側に延出し、上方にくの字型に曲げら
れ、さらに排煙口50の先端には排煙量を調節する、ス
テンレス製のφ50mmの調節バルブ52が取り付けられ
ている。
【0014】そして焼成釜ケーシング12は台部54で
支持されている。台部54は棒状の部材を、焼成釜ケー
シング12の長軸に対して直角の断面に少しのゆとりを
持って接する凹型に組み立て、この凹型の部材を長軸に
平行に2個並べた形である。この凹型の部材の内側に
は、スライドレール14をゆとりを持って嵌合するスラ
イドレール溝が各2本形成されている。台部54はスラ
イドレール14を嵌合して焼成釜ケーシング12を反転
可能な状態で支持している。台部54の下には移動用の
キャリア56が四隅に設けられている。そして、焼成釜
ケーシング12の円筒の側面に、略水平の位置に両側か
らアジャスト式の焼成釜反転作動用重り装置58が取り
付けられている。
【0015】次に、この実施の形態の籾殻炭製造方法と
籾殻炭製造装置10の動作作用について以下に説明す
る。まず、籾殻炭製造装置10の焼成釜ケーシングカバ
ー18を取り外して籾殻投入シュート16を開状態にし
て、籾殻炭の原料となる籾殻を投入する。着火体投入口
44から、着火木炭、着火木材等可燃物質を入れ燃焼発
熱体ケーシング42内で燃焼させる。着火木炭等の熱に
より、焼成釜ケーシング12が加熱され、籾殻は自燃焼
を始める。籾殻が着火した後手動攪拌ハンドル28で攪
拌羽根24を回転作動をしながら籾殻全体が着火したこ
とを確認し、焼成釜ケーシングカバー18を閉じる。最
初は、空気導入口20より調節バルブ22で空気量を調
節しながら空気を導入して安定自燃焼させる。籾殻の燃
焼状態を観察しながら、調節バルブ22で空気の遮断と
導入を繰り返して籾殻を炭化させる。籾殻の炭化が完了
し籾殻炭となった時は、再び攪拌羽根24で籾殻を切り
混ぜ、消火する。このとき、調節バルブ22を閉じて空
気を遮断する。籾殻炭の火が消えたと判断した後、焼成
釜ケーシングカバー18等を取り外し、焼成釜反転作動
用重り装置58を使って手動で焼成釜ケーシング12を
反転させ、籾殻投入シュート16から籾殻炭を外に放出
する。放出された籾殻炭に水をかけながら切り混ぜ完全
に消火と放冷を行なう。なお、焼成釜ケーシング18内
で籾殻の消火を確認し空気を遮断した後、夜間の放置に
より消火と放冷を行ない、完全に籾殻炭が冷えているこ
とを確認し、以後上記と同様に手動により本体を反転さ
せて籾殻炭を取り出しても良い。この実施の形態の籾殻
炭の性状を以下の表に示す。
【0016】
【表1】
【0017】この籾殻炭は籾殻炭表面のミクロ孔による
物理的吸着作用を持つ。またイオン状の物質は籾殻炭の
表面の官能基によって化学吸着をする。籾殻炭の推定吸
着性能は、活性炭と比較したものを以下の表に示す。
【0018】
【表2】
【0019】また、籾殻炭の比表面積は活性炭の1/ 5
程度である。一方、籾殻炭のミクロ孔は径が小さいため
大きい分子の吸着保持ができにくい。籾殻をさらに高温
で焼成し炭化すれば籾殻炭表面のミクロ孔が増え、表面
積も大きくなり、低温で炭化した籾殻炭より吸着量が増
加する。しかし、高温での炭化処理には間接熱源や蒸気
が必要であり、農家個人では実行できないため、低温炭
化処理で籾殻炭を製造し、それを農業関係に使用したほ
うが有効である。
【0020】籾殻炭を水田や畑に散布するとガス(酸
素、炭酸ガス等)や有機物(肥効性物質)、有効微生物
を吸収保持し、保持したものを順次放出する作用をおこ
なう。また、籾殻炭は空隙が多いため、土壌の物理的な
改善が可能である。土壌に対する物理的作用を確認する
ため、灰色低地土壌において、透水性改善率の試験を行
なった。試験方法は、図3に示すダルシー方式である。
ここで溢流量q(g)の計算式は以下の通りである。
【0021】q=k×a×(h/l) これより k=(q/a)×(l/h) kの値は、砂質の水田では10-2〜10-4cm/sec 、粘
土質で透水性不良の場合は10-4cm/sec 程度である。
また、同じように灰色低地土壌において、保水性改善率
の試験を行なった。試験方法は、飽和水分量からpH
2. 7付近までテンシオメーター法、pH2. 5からp
H4. 2付近まで石膏ブロック法で行なった。テンシオ
メーター法は、土壌中に素焼きカップを挿入すると、土
壌中の水分に応じて素焼きカップを通して管内の水にか
かる負圧が異なり、ゲージまたは管内の水銀柱の値を読
むものである。また、石膏ブロック法は土壌中に埋め込
んだブロックの水分を電動度、熱伝導度などで測定し、
ブロックと平行状態にあるまわりの土壌水分を求めるも
のである。上記試験による、透水性改善率と保水性改善
率の結果を、図4に示す。図4のグラフから、籾殻炭混
合率にほぼ比例して透水性、保水性ともに改善されてい
ることがわかる。また、通気性の改善試験でも気層分7
0%以上の数字を示した。
【0022】また、籾殻炭は土壌のpHの調整や微量要
素の補給等、化学的な作用も行なう。籾殻炭のpHは
6. 2〜8. 4で、酸性土壌を中和すると共に、数週間
で元のpHに戻ることが試験により確認された。この結
果、籾殻炭は土壌にpHに関して大幅な緩衝能を持たせ
ることがわかる。また籾殻炭は、土壌に混入されると土
壌中に含まれている微量有効要素を吸着し、植物の育成
に必要なときに溶出し排出する。特に、施設園芸の場
合、連作により土が休まず、微量要素の補給が必要であ
り、その作用を籾殻炭が行なうことができる。
【0023】そして、籾殻炭は土壌中の一般の微生物の
ほとんどの増殖を抑えるという生理的な作用も持ってい
る。籾殻炭はある程度の温度で焼かれ、無菌状態に近
く、灰分が多いのでアルカリ性が強く、また表面積が広
いので酸素も多く吸着保持している。さらに多孔質体で
あって水を吸収しやすく、このような状態は根の成長や
特定の微生物の繁殖に適している。一般の微生物は有機
物を餌として生きているので、籾殻炭のように炭素とミ
ネラルだけの物体の上では生活できない。籾殻炭で生活
する微生物は、空中窒素を固定できるアゾトバクターの
ような細菌、らん藻や根粒菌、菌根菌等、植物の根に共
生する共生微生物である。また、籾殻炭に有機物やアン
モニアのような物質を吸着させると、それを分解する細
菌や放射菌の特殊なグループが増殖する。
【0024】籾殻炭を土壌中に混入すると、籾殻炭の細
孔は細菌や放射菌の、また広孔や割れ目はカビや胞子類
の住処となる。この住処に入る微生物は餌が殆ど無くて
も生活できるものである。微生物の中でも細菌や放射菌
は中性からアルカリ性の状態を好み、カビや胞子類は酸
性を好むため、籾殻炭で最初に増殖するものは細菌や放
射菌で、その中でも特に空中窒素固定細菌である。水の
中では光合成細菌やラン藻が増加する。そして、土壌の
中では籾殻炭の回りで根が良く生長し、籾殻炭の中へ入
り込んだ微生物と共生する。このように、微生物が籾殻
炭経由で植物に共生すると、窒素、リン、カリ等の養分
が緩衝的に植物に送られ、菌は植物から炭素化合物など
の養分をもらい、共生関係が成立する。
【0025】次に、籾殻炭の園芸での利用方法と作用に
ついて説明する。以前より籾殻炭は樹木、花類、野菜の
栽培育成に施用する試験が行なわれ、最近では実用段階
に入っている。籾殻炭の利用は露地栽培、ハウス栽培、
温室栽培すべてにわたって広範囲に行なわれ、いずれも
作物の発育は良好である。これは、土壌中の有機肥料及
び化学肥料の成分が籾殻に吸着され順次放出されるた
め、より有効に利用されるためである。また籾殻炭は非
常に細かい無数の孔を持ち、通気性、保水性、保肥効
性、透水性に優れ、土壌を良好な状態にすることができ
る。籾殻炭は非常に安定なものでほとんど水に溶けず、
水を汚染することはない。籾殻炭はカリを多量に含有し
ているため、籾殻炭を洗った水はカリを含有しアルカリ
性を示す。また、土壌中の水に溶けたリン、カリウムと
いったミネラルを吸収して植物に送り込む共生微生物が
籾殻炭を利用して増殖し、植物の生長を助け、他の病原
菌の繁殖を抑えることができる。
【0026】実際の、施設園芸において育苗培土に籾殻
を2〜3%の容積比で混入し、栽培したところ、発根が
促進され、細毛根が多く生える。そして肥料ぎれがな
く、定植時期がのびても老化せず、地上苗部は頑強なも
のとなった。次に、本圃土壌において、耕起土壌容量に
対し籾殻を容積比で約1%程度になるまで数回乃起チャ
ンスを利用して混合する。その後、毎作ごとに0. 1%
程度補充し栽培したところ、安定した収穫が得られ、特
に収穫後期は特に収穫量が多く、また味も良い。萎れ現
象が発生しやすい作物では萎れ現象が非常に少なくなっ
た。
【0027】一方、露地栽培においては、従来木炭の粉
末を栽培床に混ぜ、効果を上げることが実証されている
が、木炭の粉末は非常に価格が高くて採算ベースには乗
らない場合がある。そこで、安価な籾殻炭を、木炭粉と
成分的、作用的に実験し比較したところ、木炭粉と同じ
働きをすることがわかり、今後木炭を籾殻に置き換える
ことが検討されている。
【0028】次に籾殻炭の水稲栽培での利用方法と作用
について説明する。籾殻炭や木炭は昔から水田稲作に利
用されていた。特に東北地方は、日照不足やヤマセと呼
ばれる夏期に吹く偏東風により冷害が発生し、古くから
冷害を避ける努力が行なわれ、その中で籾殻燻炭や木炭
が効果があるとされてきた。現今の化学肥料と化学農薬
による弱体化した水田による稲作は、冷害による抵抗力
が無く、昭和56年の冷害の損害は膨大であった。しか
し、化学肥料はあまり使用せず、堆肥を主体とし、それ
に籾殻炭を使用した農家では、同年冷害による被害はな
かった。この農家では水田の代かきの際、10aあたり
50kgの籾殻炭を散布、混合した。この年は7月後半ま
で低温が続き、総じて10日程度の生育遅れが観察され
たが、籾殻炭を施用した水田の稲は茎が太くしっかりし
ており、いくらか生育が進んでいることが確認された。
そして細根が多く根全体の量が充実し、茎の成長と身が
充実し、肥大した粒の米が収穫されたという報告があ
る。これは籾殻炭の、肥料成分吸着保持緩衝的溶出作
用、保温性作用、pH調整作用、透水性作用、通気性作
用、有効微生物保持作用等が有効に働き、地力を維持し
冷害に対する抵抗力をつけることができたためである。
【0029】また、籾殻炭は山間寒冷地農業における種
々の問題の対策にも利用される。この利用方法と作用に
ついて説明する。まず、山間寒冷地での稲作の冷害対策
として、水田に籾殻炭を散布して耕作混合する。このと
き籾殻炭は、自然肥料成分を吸着し緩衝的に稲に作用す
ると同時に、酸素を吸着しこれを順次放出する作用を行
なう。また、日光の熱を吸着して土壌を保温する作用も
あり、この3種類の作用が相互に働き、冷害に対する抵
抗力をつける。また、山間寒冷地での野菜類の連作障害
対策にも使用される。籾殻炭を畑地に混合すると、籾殻
炭はアルカリ性で無菌のため、アルカリ性を好むVA根
粒菌が増殖し、酸性を好む害菌が入りにくくなる。VA
根粒菌は籾殻炭のような柔らかい炭で増殖しやすいため
籾殻炭の単品施用でも有効であるが、堆肥と組み合わせ
るとさらに効果があがる。籾殻炭と併用する堆肥を家畜
糞を使用して堆肥造成する場合、籾殻炭を焼成する際に
発生する排煙液を造成中の堆肥に添加することにより、
発生する厩臭を除去し、さらに発酵促進し、そして籾殻
炭を添加することにより、分解が促進される。この堆肥
を造成する際の家畜糞尿、籾殻炭、排煙液の混合比率は
以下の表に示す。
【0030】
【表3】
【0031】以上で造成した堆肥を1〜2aの畑に施す
ことにより、連作によるさまざまな障害を引き起こすこ
となく、連作が可能となる。
【0032】籾殻炭の畜産における利用方法と作用につ
いて説明する。家畜の餌に籾殻炭を混合して与えると、
排泄物の悪臭が減少し、さらに家畜が元気になる。これ
は、籾殻炭の吸着作用により、家畜体内で腸内で排泄物
化した残物が発酵する時の臭気を吸着して排泄させるの
で、排泄物から発生する臭気が減少するためである。同
時に、籾殻炭は腸内で発酵した食物より発生するメタン
等のガスを吸着するので、ガスによる腸内障害を防止
し、家畜の健康保持に効果がある。籾殻炭の特性で、p
H8前後の弱アルカリ性であること、表面のポーラス
(多孔性)は非常に大きく、一般的に100〜200m
2/ gの表面積を有していること、また表面はイオン化
され通電性があること等が畜産において有効な作用を行
なう。
【0033】次に実際の、養豚業への利用について説明
する。豚は、一般に非常に脂肪のつきやすい動物であ
る。特に繁殖豚は卵巣周囲部に脂肪が付着して、不妊豚
になる事がある。この付着脂肪は生理学的には、体が酸
性化したときに増加する物質である。酸性化は体内に乳
酸がたまる現象であり、籾殻炭のようなアルカリ性物質
を投与することで乳酸が減少し、体をアルカリ方向に改
善していくと考えられる。実際には籾殻炭の給与量と給
与期間で脂肪の増減を自動調節ができる。昨今問題とな
っている悪臭公害についても、籾殻炭は効果的である。
アンモニアを中心とする悪臭物質が、籾殻炭のポーラス
な組織内に吸着された上、一部分解され、排泄された糞
尿臭が減少する。籾殻炭は、家畜の下痢にも効果があ
る。単純性、ウイルス性、細菌性のいずれにも有効であ
るといえる。ウイルス性、細菌性の場合は抗菌剤との併
用が望ましい。また、家畜糞尿から堆肥を作る際、籾殻
炭の混入は、堆肥の発酵を促進する最も有効な用法であ
る。籾殻炭の大きなポーラスは空気の供給源となり、好
気性菌の増殖を促し、発酵を早め酵熱を高め、短期間で
完熟堆肥を造成する理想的な資材である。
【0034】次に養鶏業への利用について説明する。老
化した採卵鶏の卵巣周囲部には、黄色く分厚い脂肪が卵
巣を被うように付着している。脂肪の付着は正常な産卵
を妨げ、産卵率の低下を招く。また、雄鶏に脂肪が付着
した場合、正常な精子の排泄が妨げられ、精子数の減少
や精子の運動低下を招き、受精率に大きな影響を及ぼ
す。これは豚、牛、馬においても同様である。これにつ
いて籾殻炭の、脂肪を減らす効果は大きな威力を発揮す
る。また、採卵鶏は老鶏になると極端に卵殻が弱くなり
これはカルシウムの吸収が悪くなることによって生じ
る。籾殻炭を給与することによって体質はアルカリ性と
なり、鶏体の健康維持に効果があり、卵殻が弱くなるこ
とを防ぐ。採卵鶏は毎日のように産卵するので、実質的
にはこの間薬品給与はできない。このため、養鶏家は鶏
体健康管理に気を使い、消毒の徹底、ワクチンの接種、
ビタミン剤の投与等で薬品の使用を極力ひかえているの
が実情である。これらに加え、籾殻炭によるアルカリ健
康法を行なうと効果的である。アルカリ化された鶏体の
血液はサラサラの性状を示し、色調も鮮赤色を呈する。
籾殻炭の給与という簡単なアルカリ体質作りで健康管理
ができ、採卵鶏のみならず、家畜全般に対しても有効で
ある。アルカリ化した鶏卵は、卵黄が硬くなり、箸でつ
まみ上げることができ、コレステロールが減少する。ま
た、鮮度が良く通常の3倍程度日持ちし、卵殻が固くひ
び割れがない。
【0035】また、籾殻炭のゴルフ場での利用方法と作
用について説明する。ゴルフ場では、芝の育成と農薬流
出防止に効果的である。籾殻炭の炭素は地力を増進する
土壌改良剤として利用することができる。特に芝の育成
を著しく増進し、根の張りを促進することは以前より木
炭で実証されている。木炭より若干性能は劣るが、ある
程度の効果は発揮する。木炭は素焼き状態の低位炭素で
籾殻炭と同様であるので、その作用も大差ないと思わ
れ、実際の種々の試験の結果、物理的作用では大差なか
った。これは籾殻炭が多孔質で、透水性、保水性が大き
く、土壌のVA根粒菌等有用微生物が繁殖し、芝等の根
と共生するためである。この多孔質で吸着性が大きいこ
とにより、籾殻炭は農薬や肥料を吸着保持することがで
き、ゴルフ場での農薬肥料の施肥量を軽減し、しかも排
水中に流出するのを防ぐ。また、籾殻炭は流出した有害
物質を吸着浄化する作用があり、河川浄化にも利用でき
る。このような作用は、籾殻炭のの表面積が100〜2
00m2/gもあり、保水性が良く、透水性が大きいと
いう特徴によるものである。そして籾殻は吸着性が大き
く、籾殻炭の広い吸着面積により気体や液体を吸収す
る。特に土壌中では肥料や農薬を吸着保持して効果を持
続させ、排水中に流出する量を減少させる。そして、籾
殻炭はミネラルの補給を行なう。籾殻炭には2〜3%の
灰分が含まれ、この灰分は植物の生長に必要なミネラル
成分で、有害な成分は含まれていない。籾殻のミネラル
は炭酸塩が多く、水に溶けない。そして、籾殻炭のpH
は、8. 0前後の弱アルカリ性で、土壌に容積比5%の
籾殻炭を加えると土壌のpHは0.4〜0. 8高くな
り、1年後ほとんど元に戻る。籾殻炭の微細な構造は土
壌の有用微生物(窒素固定菌、VA根粒菌、菌根菌等)
の好適な住処となり、これらの微生物と根の共生が進
み、他の微生物を防ぎ、根の張りをよくする。
【0036】次に籾殻炭を堆肥とする利用方法と作用に
ついて説明する。籾殻炭には微生物の餌となる成分はほ
とんど含まれていない。したがって、籾殻炭に棲みつけ
る微生物は独立栄養型か、共生型微生物等である。一
方、有機物を餌とする従属型微生物類の力を借りて、適
当な有機物を分解させるのが従来の一般的な堆肥造成法
である。籾殻炭堆肥とは、従来の堆肥造成生産の工程と
なんら変わることが無く、最初に適当な有機物(藁、雑
草、枯葉等)と、籾殻炭を容積比で2:1程度の割合で
混合し、同容積の水を加えて積み込み枠内へ積み込み、
最適な条件(水分65〜70%、気温20℃以上、積み
込み高さ1200mm〜1500mm)を整えると、自然に
発酵が進行する。混合堆積後約24時間で、ほぼ有機物
が発生するアンモニア臭や腐敗臭等の悪臭はなくなる。
そして2〜3日後から急速に発酵温度が上昇する。従来
の発酵工程では発酵熱は60℃であるが、籾殻炭堆肥造
成中の発酵温度は最高85℃になり、この高温期間が1
〜2週間持続する。この間、ほとんど切り返しが不要
で、その後温度が若干低下したとき2〜3回切り返し、
水分補給を行ない、約45〜60日間で籾殻炭中熟堆肥
が造成される。この籾殻炭堆肥の特徴は、従来の一般的
な堆肥に比べ、微生物層が幅広く、多種類の有用微生物
が共生し、効果を上げる。共生する有効微生物は、窒素
固定を行なう根粒形成菌(Frankia )や、セルロースや
キチンを分解するミクロモノスポラ等の放線菌類が多
く、また細菌類の中でも枯草菌類が多い。従って、除草
に関して従来の農薬による薬剤防除から、生態防除に切
り替えることができる。すなわち籾殻炭堆肥は、減
(無)農薬方式に切り替える有力資材の一つとして、今
後期待ができる。また、この籾殻炭堆肥は苗育成や苗立
枯病の抑制、芽吹き不良の防止にも効果がある。
【0037】さらに、籾殻炭を研磨炭の増量材として利
用する方法について説明する。木炭、籾殻炭等の植物炭
化処理材は炭化(炭素)組織が均一で、吸水性があり、
硬度は熱処理(焼成)の方法によって自由に得ることが
できるので、研磨材として漆器工芸や、金、銀、銅、ア
ルミ合金、プリント原板等の金属の研磨に利用すること
ができる。しかし、この実施の形態の籾殻炭は、研磨材
として利用するためにはさらに均一化焼成処理が必要
で、費用がかかるため、安価に製造されるこの状態の籾
殻炭を研磨材の増量補助材として利用したほうが良い。
【0038】籾殻炭の上記の使用方法のほかに、粗質燃
料、補助調湿材、補助融雪材、補助浄水材、補助汚水処
理材、補助消臭材として利用することができる。また、
上記籾殻炭にさらに2次高温酸化処理を施し、活性力を
定格(規格内基準)として一般の活性炭と同等の作用を
持たせることができる。この2次高温酸化処理を施され
た籾殻炭は、一般の活性炭と同様に脱臭剤等に使用する
ことができる。
【0039】次に籾殻炭の製造過程で得られる液体生成
物である籾殻酢酸液について説明する。籾殻が熱分解し
炭化していく過程では、固体生成物である籾殻炭のほか
に、気体の籾殻燃焼ガスと、籾殻酢酸液を含む液体生成
物が発生する。籾殻から発生する煙は籾殻炭製造装置1
0の排気ダクト32内で凝縮され籾殻酢酸タール液とな
り籾殻酢酸タール液取液パイプ38に溜まる。籾殻酢酸
タール液取液パイプ38の下に採取容器を置き、ストッ
プ弁40を開くと籾殻酢酸タール液を採取することがで
きる。このとき、水冷式スクリューコンベヤーにて冷却
しながら取り出される。
【0040】この発明の籾殻炭製造装置10では、籾殻
炭となる籾殻は300〜400℃まではゆっくり加熱さ
れ、その間に籾殻の主要成分であるアミノ酸(蛋白
質)、セルロース、ヘミセルロース、ケイサン、リグニ
ンの順に熱分解と構造変化が行なわれる。すなわち、熱
分解の終わりには、炭水化物のセルロース、ヘミセルロ
ースは熱に安定な、炭素含有量の高い芳香族構造に変化
する。リグニンはフェニルプロパン構造を消失し、ケイ
サンはそのまま残る。そして残存炭化物は450℃以上
(排煙口温度200℃以上)の炭化期に入り縮合多環芳
香族、つまり炭素六員環網状平面構造の生成が始まり、
精錬操作に入る。炭素六員環網状平面構造の生成の初期
には、3, 4- ベンツピレン等の化合物が生成され煙の
中に混入する可能性がある。3, 4- ベンツピレン等の
化合物の混入を避けるため、籾殻酢酸タール液の採取は
炭化温度400℃以上で行なう。
【0041】次に、この籾殻炭製造方法で得られた籾殻
酢酸タール液の蒸留精製法について以下に説明する。こ
の蒸留精製は、籾殻炭製造装置10や一般の野積み籾殻
炭化装置から採取された籾殻酢酸タール液から、籾殻酢
酸タール液に含まれている溶解タールを除去することが
目的である。さらにホルムアルデヒドやメタノールなど
の低沸点化合物をできるだけ分離して、無色透明に近い
薄褐色の籾殻酢酸液を得る。
【0042】籾殻酢酸タール液は1〜6カ月間貯蔵槽に
貯留して静置し、この間に籾殻酢酸タール液は3層に分
離する。上層は少量で油成分である。中層は赤黒い水溶
液で、籾殻酢酸液原液である。籾殻酢酸液原液には樹脂
様物質のピッチ分の多い溶解タールが1%前後含まれて
いる。下層は粘調なタール成分である。中層と下層は完
全に分離しているのではなく、相互ににそれぞれ溶け込
んでいる。各層を吸液装置にて吸収して分離し、中層の
籾殻酢酸液原液を採取する。籾殻酢酸液原液は加熱式蒸
留装置で蒸留され、この蒸留液はさらに活性炭濾過方式
による濾過処理が施される。この濾過処理は、籾殻酢酸
液の活性力を増加させるために不純物を吸着除去するも
のである。濾過処理は吸着塔で行なわれ、この吸着塔は
内部に攪拌装置と、攪拌装置の少し下にネットスクリー
ン濾過膜による中間底が設けられ、吸着塔の下には製精
液採取口が設けられている。吸着塔に吸着性活性炭であ
るソーダスト活性炭(低位)と、籾殻酢酸液原液の蒸留
液を入れて攪拌しながら精製し、ネットスクリーン濾過
膜を濾過させた籾殻酢酸液原液の精製液を採取する。こ
の精製液を遠心分離装置で遠心分離し、精製液に混入し
た細かいソーダスト活性炭を沈殿させ、上澄み液を採取
する。そして、この上澄み液に若干残る呈色(薄い褐
色)を脱色する。上澄み液に活性白土(Activeted cra
y)を加えて攪拌して脱色し、その後フィルタープレス
装置にて処理済みの活性白土を取り除き、得られた液体
が籾殻酢酸液である。これで、籾殻酢酸液の精製は完了
する。
【0043】籾殻酢酸液の性状と成分について説明す
る。籾殻酢酸液は酸性で、pHは通常は3〜4である。
籾殻炭の含水率等によって多少pH値は異なる。比重は
0. 8〜0. 9である。籾殻酢酸液は、10〜20%は
有機物で、残りの90〜80%は水分である。そして有
機物中の主成分は酢酸で、その他プロピオン等の酸類、
メタノール等のアルコール類、モミラクトーンフェノー
ル等のフェノール類、吉草酸エステル等の中性物質等、
非常に多種多様な化合物を含んでいる。上記各種の化合
物は、植物の生長を促進したり、逆に阻害したり、害菌
類、害虫類の発生を抑制したりする。また、ヒエ等の雑
植物の発芽を促進して育成阻害をする。
【0044】次に籾殻酢酸液の使用方法と作用について
以下に説明する。まず、籾殻酢酸液の植物ホルモン的作
用について説明する。ジベレリン、サイトカイニン、オ
ーキシン、エチレン、アブシジン酸等の植物ホルモンの
うち、病原菌の侵入を阻止し、病気の発生を抑える作用
に関わっているのが、エチレンとアブシジン酸である。
エチレンの生成には、メチオニンというアミノ酸が関係
しており、メチオニン生成の活性基には、微量要素、な
かでも特に銅が影響している。このメチレンは、窒素の
吸収量が多くなると生成が抑制され、代わりに生長ホル
モンであるジベレリン、サイトカイニン、オーキシンの
発生が増加する。しかし、植物の体は大きくなるが、病
原菌への抵抗力はなくなり、病気が出やすくなる。エチ
レンから生成される酸化エチレンは、酸によって発生が
促進される。特にメチオニンの生成を促進する。籾殻酢
酸液は強酸性であり、この酸が酸化エチレン、メチオニ
ンの生成を促進する。また、籾殻酢酸液は窒素を蛋白質
に変える過程を促進する。つまり、エチレン生成を阻害
するアンモニアを効率良くアミノ酸に変え、特にメチオ
ニン生成を安定させる。その結果、病気に対する抵抗力
をつけることができる。農作物に籾殻酢酸液を与ると、
病気に対する抵抗力をつける効果がある。
【0045】また、籾殻酢酸液には脱臭作用があり、家
庭用脱臭剤、動物系脱臭剤、産業廃棄物用脱臭剤の原料
として使用される。使用方法は、悪臭発生源の状況、時
期、温度等の諸条件により散布条件の変化はあるが、ゴ
ミ集積場、下水、トイレ、畜舎等の悪臭除去には最適で
ある。籾殻酢酸液単独での使用方法は、悪臭の状況に合
わせて籾殻酢酸液を30〜100倍に希釈してジョロや
噴霧器を使用して屋内厨房、床面、排水口、生ゴミ、ペ
ット、ペット用具等に散布する。又は雑巾に浸して拭
く。籾殻酢酸液中の有機酸類や消臭成分による中和作用
と燻香によるマスキング作用の相乗効果によって優れた
消臭効果を表す。また、消臭分離材としても利用され
る。消臭分離材としては、悪臭や不純物を伴った汚水を
排出する農、畜産業者や魚腸骨処理場、家畜処理場等の
廃水は悪臭の除去と同時に水の浄化をする必要がある。
籾殻酢酸液に無機多価塩凝集剤を混入して製造した消臭
分離剤はこの点について有効である。使用方法はそれぞ
れの条件により異なるが、汚水量の1/100〜1/300量を
目安として使用する。汚水中の懸濁浮遊物質が凝集分離
し、消臭効果と浄化作用を同時に行なう。
【0046】また、籾殻酢酸液を堆肥の造成の際に堆肥
に添加すると、有効な作用を持つ堆肥を造成することが
できる。堆肥の材料は、稲藁、麦藁、トウモロコシ殻、
大豆殻、雑草等の植物遺体、木葉(落ち葉)、牛、鶏、
豚等の家畜糞、そして籾殻酢酸液である。堆肥の造成方
法は、まず堆肥造成枠内へ稲藁等の植物遺体を積み、そ
の上に木葉(落ち葉)を積む。その上に家畜糞を載せ、
さらに50倍希釈した籾殻酢酸液を散布しその後水をか
ける。以上を10段程度積み重ね、熟成させ堆肥を造成
する。この間、切り返しは不要である。この堆肥の使用
方法は、畑10a当たり堆肥を3〜4t入れて耕運機で
混ぜる。この堆肥により、連作により発生する土壌病害
を防止し、土壌を団粒化させ、有機質を緩衝的に肥効さ
せる効果がある。
【0047】そして、籾殻酢酸液には防虫作用、防菌作
用、植物生長促進作用等がある。通常の堆肥を造成する
ときの厩舎の脱臭剤に20〜100倍希釈液を切り返し
の時に入れると良質な堆肥ができる。また、籾殻酢酸液
を100〜200倍希釈し、育苗に灌水すると発芽が良
くなり、発根促進効果がある。また、元肥を入れる時に
籾殻酢酸液を10〜20倍に希釈し、2〜3リットル/ m2
散布し、1週間後に播種や定植を行なう。すると土壌が
団粒構造になり、通気性、透水性がよく、有効土壌細菌
類が増加し有害なカビ類が減少して、健全土壌となり作
物の育成を促進する。そして作物の葉や茎に、100〜
300倍希釈の籾殻酢酸液を散布すると、茎葉がしま
り、葉に厚みを増す。また減菌効果により、ウドンコ
病、ベト病、灰色カビ病などの病害が軽減され、葉ダ
ニ、オンシツコナジラミ、カイガラムシや土壌処理では
センチュウの被害が軽減される。
【0048】籾殻酢酸液が土壌に有効に作用するため、
土壌中のカリを軽減することが必要である。元肥はカリ
が入っていないものか、窒素の半分量のカリ分のものを
使用する。カリ分が塩化カリの形態で配合されている肥
料は、塩素の関係でより溶脱しにくいので避けて、代わ
りに珪酸配合のものを使う。
【0049】また、籾殻酢酸液の防虫作用、防菌作用、
植物生長促進作用等を利用して、農薬添加増量材、土壌
改良剤、初根促進剤、土壌微生物コントロール剤等の原
料として使用される。
【0050】この発明の籾殻炭製造装置によれば、熱源
には木材や木炭を使用するため電機設備のない水田や畑
地で作動させることができ、農家自身により安価で手軽
に籾殻炭を製造し、籾殻酢酸タール液を採取することが
できる。この籾殻炭と籾殻酢酸タール液は、さまざまな
作用を持つ利用価値の高いものであり、焼却処分されて
いた籾殻を籾殻炭や籾殻酢酸液として農業や畜産業など
に再利用しやすくなり、資源を有効に活用することがで
きる。
【0051】この発明の籾殻酢酸液とその製造方法なら
びに籾殻炭製造装置は、上記実施の形態に限定されるも
のではない。籾殻酢酸液の蒸留や精製方法は適宜変更可
能である。また籾殻炭製造装置の各部材の形状や素材な
ども、使用状況等にあわせて適宜選択可能であり、例え
ば焼成釜ケーシングは円筒型でなく、断面形状が半円の
円柱状でも良い。
【0052】
【発明の効果】この発明の籾殻酢酸液とその製造方法な
らびに籾殻炭製造装置によれば、農家自身で安価で手軽
に籾殻を炭化し、有用な籾殻炭と籾殻酢酸液を容易に製
造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態の籾殻炭製造装置の正面
図である。
【図2】この一実施形態の籾殻炭製造装置の右側面図で
ある。
【図3】透水性改善率の試験に使用されるダルシー方式
の試験装置である。
【図4】この発明の籾殻炭製造方法により製造された籾
殻炭の、透水性改善率と保水性改善率を示したグラフで
ある。
【符号の説明】
10 籾殻炭製造装置 12 焼成釜ケーシング 14 スライドレール 16 籾殻投入シュート 18 焼成釜ケーシングカバー 20 空気導入口 24 攪拌羽根 28 手動攪拌ハンドル 32 排気ダクト 38 籾殻酢酸タール液取液パイプ 42 燃焼体発熱体ケーシング 44 着火体投入口 54 台部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 籾殻を炭化させる過程で発生する煙を
    放冷して得られる液体生成物を蒸留精製した籾殻酢酸
    液。
  2. 【請求項2】 籾殻を炭化させる過程で発生する煙を
    放冷して得られる液体生成物を採取し、静置して油分と
    タール分を分離させて水溶液を採取し、この水溶液を加
    熱蒸留し、吸着性活性炭で精製し、活性白土で脱色処理
    を行なう籾殻酢酸液の製造方法。
  3. 【請求項3】 長軸を略水平にして据え置かれた中空
    部材である本体を設け、この本体の上方に上方が開口し
    ている籾殻投入シュートと、籾殻投入シュートを覆う空
    気導入口付きの蓋部と、本体の側面にくの字型に曲げら
    れた円筒型の排気ダクトと、本体内に攪拌装置と、攪拌
    装置に連接して本体側面に取り付けられた手動攪拌ハン
    ドルと、本体の下方に、燃料投入口と空気導入口付き
    の,燃焼発熱体ケーシングが設けられたことを特徴とす
    る籾殻炭製造装置。
  4. 【請求項4】 上記排気ダクトのくの字型に曲げられ
    た部分の下方に、液体生成物を採取するパイプが設けら
    れたことを特徴とする請求項3記載の籾殻炭製造装置。
  5. 【請求項5】 上記本体の円筒型の側面にスライドレ
    ールが一周して設けられ、この本体はスライドレールカ
    バーが内側に形成された台部にスライドレールが嵌合さ
    れて支持され、本体はスライドレールを摺動させて反転
    することを特徴とする請求項4または5記載の籾殻炭製
    造装置。
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