JPH09257736A - ガスセンサおよびガス検出装置 - Google Patents

ガスセンサおよびガス検出装置

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JPH09257736A
JPH09257736A JP9478096A JP9478096A JPH09257736A JP H09257736 A JPH09257736 A JP H09257736A JP 9478096 A JP9478096 A JP 9478096A JP 9478096 A JP9478096 A JP 9478096A JP H09257736 A JPH09257736 A JP H09257736A
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gas
gas sensor
diamond film
specific
hydrogen
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JP9478096A
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English (en)
Inventor
Masamori Iida
昌盛 飯田
Yukio Akiba
幸男 秋葉
Seiki Ri
成奇 李
Tetsuo Kimura
徹男 木村
Seiichi Tanaka
征一 田中
Ryukichi Hashimoto
隆吉 橋本
Narimasa Takahashi
成政 高橋
Tomoya Ishikawa
智弥 石川
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Tokai University
Nittan Co Ltd
Original Assignee
Tokai University
Nittan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数種類の特定のガスを互いに識別可能に検
出することの可能なガスセンサを提供する。 【構成】 このガスセンサGAは、所定の基板1上に水
素終端ダイヤモンド膜2が形成され、特定のガスに対し
て水素終端ダイヤモンド膜2の所定の特性値(例えば抵
抗値)が変化することを用いて、特定のガスを検出可能
になっている。ここで、特定のガスは、例えばNOx
スまたはNH3ガスである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定のガス、特に
NOxガスやNH3ガスを検出するためのガスセンサおよ
びガス検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、NOxガスなどのガスを検出する
ガス検出装置として、光検出式のもの、あるいは、固体
電解質,半導体を用いた形式のものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、NOx
ガスなどを検出するための上述した種々の形式の従来の
ガス検出装置は、装置が大型のものになったり、センサ
自体を高温にする必要があり消費電力が大きくなるなど
の問題があった。
【0004】本発明は、装置規模を大型化させず、か
つ、低消費電力で、NOxガスやNH3ガスなどの特定の
ガスを高感度に検出することの可能なガスセンサおよび
ガス検出装置を提供することを目的としている。
【0005】また、本発明は、さらに、複数種類の特定
のガスを互いに識別可能に検出することの可能なガスセ
ンサおよびガス検出装置を提供することを目的としてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1,請求項2,請求項6,請求項7記載の発
明では、所定の基板上に水素終端ダイヤモンド膜が形成
され、特定のガスに対して水素終端ダイヤモンド膜の所
定の特性値が変化することを用いて、特定のガスを検出
可能になっている。これにより、装置規模を大型化させ
ず、かつ、常温作動で低消費電力化が可能であり、ガス
濃度が低濃度のものであっても、NOxガスやNH3ガス
などを高感度に検出することができる。
【0007】また、請求項3,請求項4,請求項6,請
求項8記載の発明では、所定の基板上に水素終端ダイヤ
モンド膜が形成され、複数種類の特定のガスのいずれに
対しても、水素終端ダイヤモンド膜の所定の特性値が変
化し、かつ、一の特定のガスと他の特定のガスとでは特
性値変化の傾向が異なることを用いて、前記複数種類の
特定のガスを互いに識別可能に検出可能になっている。
これにより、上記効果に加えて、さらに、1つのガスセ
ンサだけにより、異なる種類のガスのいずれをも(例え
ば、NOxガスとNH3ガスとの両方を)、互いに識別可
能に検出することができる。
【0008】また、請求項5記載の発明では、水素終端
ダイヤモンド膜の周縁部には、該周縁部が電気的に絶縁
状態となるような処理が施されている。これにより、ガ
スセンサのリーク等を防止し、ガス検出感度をより一層
高めることができる。
【0009】また、請求項9記載の発明では、検知手段
および特性監視手段は、同一の基板上にモノリシックに
形成されている。これにより、センサ素子,検出回路の
みならず、警報,報知等の出力回路をも含め、このガス
検出装置全体を1チップの小型の素子として提供するこ
とが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1(a),(b)は本発明に係るガス
センサ(ガスセンサ素子)の構成例を示す図である。な
お、図1(a)は平面図,図1(b)は図1(a)のA−A線
における断面図である。図1を参照すると、このガスセ
ンサ(ガスセンサ素子)GAは、基質(例えば、Si基
板,SiC基板,SrTiO3基板,あるいはダイヤモ
ンド基板など)1と、基質1上に堆積形成されたダイヤ
モンド膜(例えば、ダイヤモンド薄膜)2と、ダイヤモン
ド膜2上に所定の間隔を隔てて形成された一対の電極
(例えば、金,白金,チタン,タングステン,銀などの
電極)3a,3bとにより構成されている。
【0011】ここで、基質1は、例えば、大きさが5m
m×5mm程度、厚さが約1mm程度のものであり、ま
た、ダイヤモンド膜2は、大きさが例えば5mm×5m
m程度、膜厚が例えば数nm〜数100μm程度のもの
である。また、各電極3a,3bは、例えば、1mm×
1mm程度の大きさの角形形状のものとなっている。従
って、このガスセンサ素子GAは、上記寸法例では、大
きさ(面積)が5mm×5mm程度、厚さが約1〜2mm
程度の小型のものとなっている。なお、このガスセンサ
素子GAの大きさ,厚さについては、これをさらに小さ
くすることも可能である。
【0012】ところで、図1の構成において、ダイヤモ
ンド膜(例えば、ダイヤモンド薄膜)2の少なくとも表面
近傍(基質1とは反対の側のダイヤモンド膜(薄膜)2の
表面近傍)は、水素化されて(水素と結合して)ダイヤモ
ンド水素化層2aとなっている。もちろん、ダイヤモン
ド膜(薄膜)2全体が、ダイヤモンド水素化層2aとして
形成されていても良い。なお、以後、少なくとも表面近
傍が水素化されてダイヤモンド水素化層2aとなってい
るダイヤモンド膜(薄膜)2を、水素終端ダイヤモンド膜
(薄膜)と称す。このような水素終端ダイヤモンド膜(薄
膜)2は、例えば、著者“山中”等による文献「“水素
化ホモエピタキシャルダイヤモンド薄膜の電荷輸送特
性”JNDF 第9回 ダイヤモンドシンポジウム講演
要旨集 第130〜131頁 1995年11月21
日」に示されているように、ダイヤモンド膜(薄膜)2の
少なくとも表面近傍にp型の電気伝導性(導電性)を生じ
ることが知られている(具体的には、少なくとも表面近
傍が、p型不純物がドープされたp型半導体と同様の導
電性を有している)。このような少なくとも表面近傍の
導電性は、ダイヤモンド膜(薄膜)2の少なくとも表面近
傍がダイヤモンド水素化層2aとなっていることから、
このダイヤモンド水素化層2aによって生じるものと考
えられている。また、ダイヤモンド膜2の少なくともそ
の表面近傍に形成されるダイヤモンド水素化層2aの厚
さは、数10nm程度の範囲にあると考えられる。例え
ば、上記文献によれば、ダイヤモンド水素化層2aは、
約1018cm-3の正孔濃度を有し、その厚さ(表面から
の厚さ)は約20nmであると報告されている。但し、
ダイヤモンド水素化層2aの厚さについては、現在のと
ころ、正確な厚さは求まっていない。
【0013】このような水素終端ダイヤモンド膜(薄膜)
2は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法(例えば、
熱フィラメント型CVD法,あるいはプラズマCVD
法)によって、基質1上に堆積形成(多結晶またはエピタ
キシャル成長により形成)することができる。
【0014】図2は、水素終端ダイヤモンド膜を堆積形
成するCVD装置の一例を示す図である。図2に示すC
VD装置は、熱フィラメント型と呼ばれるものであっ
て、密閉可能な反応容器10と、ダイヤモンド膜の形成
用原料12が収容された原料容器14と、キャリアガス
(水素ガス)16が収容されたガス容器18とを備え、反
応容器10と原料容器14とは、ガス導入管20で連通
されている。
【0015】また、ガス容器18は、ガス供給管22で
ガス導入管20と連通接続されるとともに、原料容器1
4とキャリアガス供給管24と連通され、キャリアガス
供給管24は、原料容器14の底部近傍まで延びてい
る。また、反応容器10内には、タングステン製のヒー
タ26が設置され、その下方にホルダ28が設けられて
いて、このホルダ28上に、水素終端ダイヤモンド膜が
堆積形成される基板1が載置される。
【0016】また、反応容器10の外周には、容器10
内に導入される原料ガスや基板1を加熱するための電熱
器30が設けられるとともに、反応容器10の一端に
は、未反応のガスを反応容器10内から排出するための
排気口32が設けられている。なお、図2において、符
号34は、ホルダ28上に載置される基板1の温度測定
用のセンサである。
【0017】図2のCVD装置により、反応容器10内
の基板1上に水素終端ダイヤモンド膜2を形成する場
合、先ず、反応容器10内を例えば100Torr程度
に減圧する。また、原料12としては、ダイヤモンド膜
の原料となるアセトン(CH3COCH3)などの液状有機
物(例えば、アセトン濃度:1Vol%)を使用し、この
原料12にキャリアガス(水素ガス)16を吹き込むこと
で、原料12に水素を添加し、原料12をガス化させ
る。ガス化されかつ水素の添加された原料12は、ガス
導入管20を介して、減圧された状態の反応容器10内
に導入される。
【0018】反応容器10内に導入された原料12は、
ヒータ26により、例えば、2240℃程度まで加熱さ
れ、この加熱によりダイヤモンド膜の原料となる有機物
中のカーボン(C)がラジカルになり、このようにしてラ
ジカル化されたカーボン(C)が、基板1は、約800℃
程度まで加熱されている基板1上に堆積し、その結果、
Siなどの基板1上にダイヤモンド膜(例えば、ダイヤ
モンド薄膜)2が堆積形成される。またこのとき、原料
12には、さらに、水素が含まれているので、この水素
によってダイヤモンド膜(ダイヤモンド薄膜)2は、少な
くともその表面近傍が水素化されてダイヤモンド水素化
層2aとなり、少なくとも表面近傍にp型電気伝導性
(導電性)を有する水素終端ダイヤモンド膜(水素終端ダ
イヤモンド薄膜)2として形成される。このようにして
得られた水素終端ダイヤモンド薄膜2上に(より正確に
は、ダイヤモンド水素化層2a上に)、蒸着などによっ
て一対の電極3a,3bを形成して、図1のガスセンサ
(ガスセンサ素子)が得られる。
【0019】なお、上述の製造工程のかわりに、あるい
は、上述の製造工程に加えてさらに、基質1上に所望の
膜厚に成膜したダイヤモンド膜(薄膜)の表面から水素イ
オンを注入し、水素を拡散させて、ダイヤモンド膜(薄
膜)の表面近傍にダイヤモンド水素化層2aを形成する
こともできる。具体的に、基質1上にダイヤモンド膜
(ダイヤモンド薄膜)をCVD法により所望の膜厚に成膜
した後(多結晶またはエピタキシャル成長させた後)、反
応容器10内に水素ガスを導入し、反応容器10内を水
素プラズマ雰囲気にして、所望の膜厚に成膜されている
ダイヤモンド膜(薄膜)の表面からダイヤモンド膜(薄膜)
中に水素を注入し、拡散させて、ダイヤモンド膜(薄膜)
の表面近傍にダイヤモンド水素化層2aを形成すること
もできる。
【0020】ところで、本願の発明者は、少なくとも表
面近傍がダイヤモンド水素化層2aとなっていて少なく
とも表面近傍にp型の電気伝導性を有するこのような水
素終端ダイヤモンド膜(薄膜)2を、例えば常温(25℃)
下で、NOx(例えばNO2など),NH3,あるいはHC
l等のガスに晒すとき、それぞれのガスに対して、この
膜(薄膜)2の所定の特性値(例えば、この膜(薄膜)2の
表面近傍の電気抵抗値)が、大きく変化すること(すなわ
ち、これらのガスに対して良好な感度を有すること)を
見出した。
【0021】具体的に、このような水素終端ダイヤモン
ド膜(薄膜)2を有する図1のガスセンサ(ガスセンサ素
子)GAを、常温(例えば25℃程度)の温度環境下で、
一対の電極3a,3b間に所定の電圧(例えば、1〜1
0V)を印加した状態で、NO2ガス雰囲気中に晒すと、
一対の電極3a,3b間の電気抵抗値が、NO2ガスの
ガス濃度が高くなるにつれて、減少することを見出し
た。
【0022】また、このような水素終端ダイヤモンド膜
(薄膜)2を有する図1のガスセンサ(ガスセンサ素子)G
Aを、常温(例えば25℃程度)の温度環境下で、一対の
電極3a,3b間に所定の電圧(例えば、1〜10V)を
印加した状態で、NH3ガス雰囲気中に晒すと、一対の
電極3a,3b間の電気抵抗値が、NH3ガスのガス濃
度が高くなるにつれて、増加することを見出した。
【0023】図3(a),(b)は、図1のガスセンサGA
を25℃の温度環境下に設置し、このガスセンサGの一
対の電極3a,3b間に所定の電圧E(1〜10V)を印
加した状態で、このガスセンサGAを、それぞれ、NO
2ガス,NH3ガスに晒したときの電気抵抗値(電流値)変
化を例えば電流計により測定した結果(実験結果)を示す
図である。
【0024】なお、この実験に用いたガスセンサGA
は、基質1にSi基板を用い、水素終端ダイヤモンド膜
(薄膜)2を、熱フィラメントCVD法により成膜したも
のを用いている。具体的に、反応容器10内を100T
orrに減圧し、ダイヤモンド膜の原料12(反応容器
10内に導入されるときの原料12)には、1Vol%
の濃度のアセトンを水素で希釈したものを用いて、水素
終端ダイヤモンド膜(薄膜)2を作製した。また、成膜し
た水素終端ダイヤモンド膜2は、その大きさが5mm×
5mmであって、その膜厚は、1μmであった。また、
電極3a,3bの材料には、金を用い、各電極3a,3
bを、直径10μmφの大きさの円筒形状のものに形成
した。
【0025】また、図3(a),(b)において、Raは大
気雰囲気中(N2,O2,CO2などの雰囲気中)での電気
抵抗値を表わし、RgはNO2ガスあるいはNH3ガスに
晒されたときの電気抵抗値を表わしている。すなわち、
図3(a),(b)において、縦軸は、NO2ガスあるいは
NH3ガスに晒されたときの電気抵抗値を、NO2ガスや
NH3ガスを含んでいない大気雰囲気中での電気抵抗値
で換算したものとなっている。また、図3(a),(b)に
おいて、横軸は、NO2ガスあるいはNH3ガスの濃度値
(ppm)となっている。なお、図3(a),(b)の実験で
は、ガス濃度を、0ppm〜1ppmの低濃度の範囲で
変化させた。
【0026】図3(a)からわかるように、図1のガスセ
ンサGAは、NO2ガスの濃度が高くなるに従い、NO2
ガス濃度値にほぼ反比例して、電気抵抗値Rg/Raが
減少し(電流値が増加し)、また、図3(b)からわかるよ
うに、図1のガスセンサGAは、NH3ガスの濃度が高
くなるに従い、NH3ガス濃度値にほぼ比例して、電気
抵抗値Rg/Raが増加する(電流値が減少する)。
【0027】なお、図1のガスセンサGAは、NOx
スやNH3ガスに晒されなくなると、その抵抗値は、大
気雰囲気中での抵抗値に戻る(自然回復する)。
【0028】このように、図1のガスセンサ(ガスセン
サ素子)GAは、小型かつ簡単な構成のものであるにも
かかわらず、図3(a),(b)の実験結果から、NOx
NH3などのガス濃度が低濃度(1ppm程度)の場合で
あっても、NOxやNH3などの特定のガスを、常温(例
えば25℃程度)で、高感度に検出可能であることがわ
かる。
【0029】換言すれば、図1のガスセンサGAは、所
定の基板上に水素終端ダイヤモンド膜(例えば薄膜)が形
成され、特定のガスに対して水素終端ダイヤモンド膜
(例えば薄膜)の所定の特性値が変化することを用いて、
特定のガスを高感度に検出可能である。
【0030】さらに、図3(a),(b)の実験結果から、
図1のガスセンサ(ガスセンサ素子)GAは、例えば、N
xガスとNH3ガスとで、所定の特性値(例えば電気抵
抗値)の変化の傾向(NOxガスとNH3ガスとの場合は、
変化の極性)が異なることがわかる(すなわち、NOx
スに晒されると、電気抵抗値が減少し、また、これとは
逆に、NH3ガスに晒されると、電気抵抗値が増加する
ことがわかる)。このことから、図1の1つのガスセン
サ素子GAだけを用いて、複数種類のガス(上記例で
は、NOxガスとNH3ガスとの2種)のいずれをも、こ
れらを互いに識別可能に検出することも可能となる。
【0031】換言すれば、図1のガスセンサGAは、所
定の基板上に水素終端ダイヤモンド膜(例えば薄膜)が形
成され、複数種類の特定のガスのいずれに対しても、水
素終端ダイヤモンド膜(例えば薄膜)の所定の特性値が変
化し、かつ、一の特定のガスと他の特定のガスとでは特
性値変化の傾向が異なることを用いて、前記複数種類の
特定のガスを互いに識別可能に高感度に検出可能であ
る。
【0032】なお、上述の構成例では、ダイヤモンド膜
(薄膜)2は、その膜厚が例えば数nm〜数100μm程
度であるとしたが、ダイヤモンド膜(薄膜)2の膜厚が例
えば数nm〜1μm程度のものであれば、ダイヤモンド
膜(薄膜)2全体をダイヤモンド水素化層2aにできる可
能性がある。換言すれば、ダイヤモンド膜(薄膜)2の膜
厚を薄くすればする程、ダイヤモンド膜(薄膜)2全体を
ダイヤモンド水素化層2aにする可能性を高めることが
でき、基質1上のダイヤモンド膜(薄膜)2全体にp型導
電性をもたせることもできる。しかしながら、本発明
は、ダイヤモンド膜(薄膜)2全体がダイヤモンド水素化
層2aとなっていてダイヤモンド膜(薄膜)2全体がp型
導電性を有するものとなっている場合に限らず、ダイヤ
モンド膜(薄膜)2の表面近傍のみがダイヤモンド水素化
層2aとなっていてダイヤモンド膜(薄膜)2の表面近傍
のみがp型導電性を有するものとなっていても良く、い
ずれの場合にも、NOxやNH3などの特定のガスを、常
温(例えば25℃程度)で、高感度に検出可能であり、ま
た、複数種類のガス(上記例では、NOxガスとNH3
スとの2種)のいずれをも、これらを互いに識別可能に
検出することが可能である。
【0033】また、上述の構成例では、ガスセンサGA
の各電極3a,3bが、金,白金,チタン,タングステ
ン,銀等の金属を真空蒸着させて形成された1mm×1
mm程度の大きさの角形形状電極,あるいは直径100
μmφ程度の大きさの円筒形状電極であるとしたが、電
極3a,3bの形状,構造,作製方法については、これ
らに限定されず、任意の形状,構造,作製方法のものを
用いることができる。
【0034】例えば、一対の電極3a,3bを、図4
(a),(b)に示すような櫛形形状のものにすることもで
きる。なお、図4(a)は平面図、図4(b)は断面図であ
る。あるいは、電極3a,3bを蒸着により形成するの
ではなく、例えば、水素終端ダイヤモンド膜(薄膜)2の
表面に、所定の間隔を隔てて一対のタングステン棒を接
着等によって取付け、これを電極3a,3bとすること
もできる。
【0035】また、上述の構成例において、ガスセンサ
素子GAのリーク等を防止し、感度を向上させるため、
図5に示すように、ガスセンサGAの周縁部(水素終端
ダイヤモンド膜2の周縁部)2bを、Arイオン照射や
NaOH等によるエッチング処理で、水素化を解除する
か(ダイヤモンド水素化層2aの周縁部2bを水素化さ
れていないダイヤモンドにするか)、あるいは、周縁部
2bを酸化し酸化ダイヤモンドにして、この部分2bを
電気的に絶縁状態にすることもできる。これにより、電
極3a,3bが例えば図4に示した櫛形形状,構造のよ
うなものである場合にも、リーク等を防止し、感度をよ
り一層向上させることができる。
【0036】また、このガスセンサ素子GAを単体のデ
バイスとして提供する場合、図6に示すように、例えば
基板1上に一対の信号取出用電極5a,5bを設け、水
素終端ダイヤモンド膜(薄膜)2上に形成された一対の電
極3a,3bから、それぞれ、リード線4a,4bを信
号取出用電極5a,5bまで布線することもできる。な
お、図6(a)は平面図、図6(b)は断面図である。
【0037】図7は図1のガスセンサ(ガスセンサ素子)
GAを用いたガス検出装置の構成例を示す図である。図
7を参照すると、このガス検出装置は、少なくとも1つ
のガスセンサ(図1のガスセンサ素子)GAを有する検知
部55と、検知部55の所定の特性値(例えば電気抵抗
値)の変化を監視し、該所定の特性値の変化に基づき所
定のガス情報を検出し、出力(例えば、警報・報知出力)
する特性値監視部50とを有している。
【0038】図8は図7のガス検出装置の第1の具体例
を示す図である。図8の構成例では、特性値監視部50
は、検知部55の所定部分の所定の特性値(例えば抵抗
値)を抽出する特性値抽出器71と、抽出された特性値
(抵抗値)に基づき、検知部55の特性変化(抵抗変化)を
検出し、出力(例えば、警報・報知出力)する特性変化検
出器72とを備えている。
【0039】図9は図8のガス検出装置の回路構成例を
示す図である。図9のガス検出装置では、検知部55
は、水素終端ダイヤモンド膜(薄膜)を有するセンサ素子
GAと酸素終端ダイヤモンド膜(薄膜)を有するセンサ素
子GBとの2つのセンサ素子が並列に接続されて構成さ
れている。
【0040】ここで、検知部55において、各センサ素
子GA,GBは、外気に晒されるように、露出して形成
され、水素終端ダイヤモンド膜を有するセンサ素子GA
は、図1に示したようなガスセンサとして機能し、ま
た、酸素終端ダイヤモンド膜を有するセンサ素子GB
は、湿度のみに反応し、ガスセンサに対して湿度変化を
補償する湿度補償用センサ(通常は高抵抗値であるが、
高湿度雰囲気では、抵抗値が低下するセンサ)として機
能するようになっている。
【0041】なお、酸素終端ダイヤモンド膜を有するセ
ンサ素子GBは、水素終端ダイヤモンド膜(薄膜)2を有
する図1のガスセンサ素子GAにおいて、水素終端ダイ
ヤモンド膜(薄膜)2のかわりに酸素終端ダイヤモンド膜
(薄膜)(ダイヤモンド膜(薄膜)の少なくとも表面近傍が
酸化されてダイヤモンド酸化層が形成されている膜(薄
膜))が用いられたものとなっており、この他の構成につ
いては、図1のガスセンサ素子GAと同様の構成にする
ことができる。すなわち、センサ素子GBにおいても、
基質には、Si基板,SiC基板,SrTiO3基板,
あるいはダイヤモンド基板などを用いることができ、ま
た、一対の電極には、金や白金等を、用いることがで
き、また、素子の大きさ,厚さも、ガスセンサ素子GA
と同様のものにすることができる。従って、この酸素終
端ダイヤモンド膜を有する湿度補償用センサ素子も、基
本的には、図2のCVD装置により、原料12として、
アセトンなどの液状有機物を用いて基板上にダイヤモン
ド膜を堆積し、この際、あるいは、しかる後、熱酸化処
理等を施すことで、ガスセンサ素子GAと同様にして作
製することができる。さらに、ガスセンサ素子GAと同
一の基板上に作製することができる。
【0042】また、図9のガス検出装置では、特性値抽
出器71は、検知部55(ガスセンサ素子GA,湿度補
償用センサ素子GB)に直列に接続される抵抗81と、
検知部55(ガスセンサ素子GA,湿度補償用センサ素
子GB)と抵抗81に所定電圧Eを印加する電源82と
により構成されており、検知部55(ガスセンサ素子G
A,湿度補償用センサ素子GB)の抵抗値を、検知部5
5(ガスセンサ素子GA,湿度補償用センサ素子GB)の
端子間の電圧Vとして抽出するようになっている。
【0043】また、特性変化検出器72は、抵抗84,
MOSFET83により構成されている。ここで、MO
SFET83のゲートGには、特性値抽出部71で抽出
された電圧V(すなわち、検知部55の端子間の電圧V)
が加わり、また、MOSFET83のソースSは電源電
圧Eに保持され、MOSFET83のドレインDは、抵
抗84に接続されている。
【0044】図9のガス検出装置では、検知部55が特
定のガス(NOxガス)に晒されていない状態では、検知
部55のガスセンサ素子GAの抵抗値は大きく、検知部
55の端子間電圧Vは大きな電圧値のものとなってお
り、従って、MOSFET83のゲートGの電圧Vが大
きいことから、このMOSFET83には電流が流れ
ず、端子96の電位V0は、接地電位(0V)の状態にあ
る。
【0045】一方、検知部55が特定のガス(NOx
ス)に晒されると、検知部55のガスセンサ素子GAは
抵抗値が減少し、検知部55の端子間電圧Vは減少す
る。従って、MOSFET83のゲートGの電圧Vが低
下することから、このMOSFET83には電流iが流
れ、端子96の電位V0は、抵抗84の端子間電圧(i×
R;Rは抵抗84の抵抗値)となる。
【0046】このように、図9のガス検出装置では、検
知部55が特定のガス(NOxガス)に晒されていない状
態では、端子96の電位V0は0Vであり、検知部55
が特定のガス(NOxガス)に晒されるときに、端子96
の電位V0は所定電位(ハイレベル)に変化するので、こ
れにより、特定のガス(NOxガス)が発生したことを検
知することができる。
【0047】このように、図9の回路構成では、特定の
ガスとしてNOxガスを検出することができるが、特定
のガスとしてNH3ガスを検出したいときには、回路構
成を図10のようなものにすれば良い。図10の回路構
成では、図9の回路構成とは逆に、抵抗81の端子間電
圧VをMOSFET83のゲートGに与えるようになっ
ている。
【0048】図10の回路構成では、図9の回路構成と
は逆に、検知部55が例えばNH3ガスに晒されると、
検知部55のガスセンサ素子GAの抵抗値が増加するた
め、抵抗81の端子間電圧が低下し、MOSFET83
のゲートGの電圧が低下して、MOSFET83に電流
iが流れる。これにより、端子96の電位V0が所定電
位(i×R;ハイレベル)となることから、NH3ガスを
検出することができる。
【0049】このように、図9,図10のガス検出装置
を用いることで、特定のガス(NOxガスまたはNH3
ス)を高感度に検出することができる。
【0050】また、図9,図10のガス検出装置は、小
型化が可能なガスセンサ素子GAを用いており、また、
検出処理回路も簡単な構成であるので、全体として小型
化,低コスト化を図ることができる。
【0051】特に、水素終端ダイヤモンド膜(薄膜)2
は、p型の導電性をもつ半導体と同様の特性を有するの
で、水素終端ダイヤモンド膜2を用いてMOSFET等
のデバイスをも形成することができ、これにより、同一
チップ(同一基板)上に、センサ素子部分のみならず、検
出処理回路,さらには、警報・報知出力回路の形成も可
能となり、ガス検出装置全体を、1チップの小型の検出
素子として提供できる。
【0052】図11,図12は、図9あるいは図10の
ガス検出装置の製造工程例を示す図である。図11,図
12を参照すると、先ず、基質1(例えばSi基板)上
に、CVD法などにより、図2に示したような仕方で、
水素終端ダイヤモンド膜(薄膜)2を形成する(図11
(a))。次いで、図9あるいは図10の各デバイス(ガス
センサ素子GA,湿度補償用センサ素子GB,MOSF
ET83)が形成されるべき部分をマスク90で覆い、
マスク90で覆われた部分以外の水素終端ダイヤモンド
膜(薄膜)2をエッチングにより除去するか、あるいは、
イオン照射等により絶縁化する(図11(b))。なお、図
11(b)の例では、マスク90で覆われた部分以外の水
素終端ダイヤモンド膜(薄膜)2をエッチングにより除去
した場合が示されている。
【0053】しかる後、湿度補償用センサ素子GBが形
成されるべき部分だけ露出したマスク91を形成し、こ
のマスク91により露出している水素終端ダイヤモンド
膜(薄膜)2の部分だけを、熱処理等により酸化する(図
11(c))。これにより、湿度補償用センサ素子GBの
酸素終端ダイヤモンド膜(薄膜)8が形成される。
【0054】次いで、MOSFET83が形成されるべ
き部分の中央部に、水素終端ダイヤモンド膜(薄膜)2に
対し、ショットキー障壁の大きい金属(例えばAlやP
b等)92を蒸着する。この場合、水素終端ダイヤモン
ド膜2の表面は、ダイヤモンド水素化層2aであり、p
型の導電性をもつので、その表面中央部にショットキー
障壁の大きい金属92を形成することにより、MOSF
ET83が形成される(図11(d))。
【0055】次いで、抵抗81,82が形成されるべき
部分だけ露出したマスク93を形成し、このマスク93
により露出している基質(Si基板)1の部分だけを、選
択酸化し、所定の抵抗値のものにする(図12(e))。
【0056】なお、ガスセンサ素子GAが形成される部
分は、図11(b)の工程において、形成され、その後、
処理が施されていない部分(すなわち、水素終端ダイヤ
モンド膜2のまま保たれている部分)である。
【0057】このようにして、各デバイス(GA,G
B,81,82,83)を形成した後、これらの各デバ
イス間に金や白金等の金属配線94を蒸着形成し、図9
あるいは図10の回路を形成することができる(図12
(f))。
【0058】しかる後、センサ素子GA,GBの部分、
および、外部取出電極95,96,97の部分を除い
て、エポキシ樹脂等のモールド材9でモールドし(図1
2(g))、ガス検出装置を、1個の検出素子として提供
することができる。
【0059】このように、ガスセンサ素子GA,湿度補
償用素子GBをも含めて、図9または図10のガス検出
装置全体を、同一基質(例えば同一Si基板)1上にモノ
リシックに形成することができるので、ガス検出装置
を、小型かつ低コストの1個の検出素子として提供する
ことができる。
【0060】なお、図9あるいは図10のガス検出装置
では、検知部55にさらに湿度補償用センサ素子GBが
設けられているが、湿度補償用センサ素子GBは、必ず
しも設けられていなくとも良い。すなわち、検出部55
としてはガスセンサ素子GAだけが設けられたものであ
っても良い。
【0061】また、図9,図10のガス検出装置を組合
せることにより、複数種類の特定のガス(NOxガス,N
3ガス)を互いに識別可能に高感度かつ高精度に検出す
ることも可能である。
【0062】図13は図7のガス検出装置の第2の具体
例を示す図である。図13の構成例では、特性値監視部
50は、検知部55の所定部分の所定の特性値(例えば
抵抗値)を抽出する特性値抽出器51と、抽出された特
性値(抵抗値)に基づき検知部55の第1の特性変化(抵
抗変化)を検出する第1の特性変化検出器52と、抽出
された特性値(抵抗値)に基づき検知部55の第2の特性
変化(抵抗変化)を検出する第2の特性変化検出器53
と、第1の特性変化検出器52からの検出結果,第2の
特性変化検出器53からの検出結果に基づき所定のガス
情報を出力(例えば、警報・報知出力)するガス情報出力
部54とを備えている。
【0063】図14は図13のガス検出装置の回路構成
例を示す図である。図14の例では、検知部55に1つ
のガスセンサ(ガスセンサ素子)GAだけが用いられてい
る。
【0064】また、特性値抽出器51は、ガスセンサ素
子GAに直列に接続される抵抗61と、ガスセンサ素子
GAと抵抗61に所定電圧Eを印加する電源62とによ
り構成されており、ガスセンサ素子GAの抵抗値を、抵
抗61の端子間の電圧Vとして抽出するようになってい
る。
【0065】また、第1の特性変化検出器52は、抵抗
63,64,65とコンパレータ66とにより構成さ
れ、また、第2の特性変化検出器53は、抵抗63,6
4,65とコンパレータ67とにより構成されている。
ここで、抵抗63の一端の電位は、例えば電源62から
の電位Eに保持されており、抵抗63と抵抗64との間
の電位(コンパレータ66の+側の電位)V1は、〔(R2
+R3)/(R1+R2+R3)〕Eに常に保持され、抵抗6
4と抵抗65との間の電位(コンパレータ67の+側の
電位)V2は、〔R3/(R1+R2+R3)〕Eに常に保持さ
れている。なお、R1,R2,R3は、それぞれ、抵抗6
3,64,65の抵抗値である。
【0066】これにより、コンパレータ66は、抵抗6
1の端子間電圧Vが一定電位V1よりも低いとき(換言す
れば、ガスセンサ素子GAの抵抗値が大きいとき)、ハ
イレベルの出力を与え、抵抗61の端子間電圧Vが一定
電位V1よりも高いときに(換言すれば、ガスセンサ素子
GAの抵抗値が小さいときに)、ロウレベルの出力を与
えることができる。
【0067】また、コンパレータ67は、抵抗61の端
子間電圧Vが一定電位V2よりも高いとき(換言すれば、
ガスセンサ素子GAの抵抗値が小さいとき)、ハイレベ
ルの出力を与え、抵抗61の端子間電圧Vが一定電位V
1よりも低いときに(換言すれば、ガスセンサ素子GAの
抵抗値が大きいときに)、ロウレベルの出力を与えるこ
とができる。
【0068】また、ガス情報出力部54は、抵抗68,
発光ダイオード69,ダイオード70からなる第1の出
力部57と、抵抗76,発光ダイオード77,ダイオー
ド78からなる第2の出力部58とを有している。
【0069】ここで、第1の出力部57において、抵抗
68の一端の電位は例えば電位Eに保持されており、コ
ンパレータ66の出力がハイレベルのときには、発光ダ
イオード69,ダイオード70には電流が流れず、従っ
て、発光ダイオード69は発光せず、また、出力端子Y
1から電流を取り出すことができない。これに対し、ガ
スセンサ素子GAの抵抗値が減少し、コンパレータ66
の出力がロウレベルとなるときには、発光ダイオード6
9,ダイオード70には電流が流れ、従って、発光ダイ
オード69が点灯し、また、出力端子Y1から電流i1
を取り出すことができる。
【0070】同様に、第2の出力部58において、抵抗
76の一端の電位は例えば電位Eに保持されており、コ
ンパレータ67の出力がハイレベルのときには、発光ダ
イオード77,ダイオード78には電流が流れず、従っ
て、発光ダイオード77は発光せず、また、出力端子Y
2から電流を取り出すことができない。これに対し、ガ
スセンサ素子GAの抵抗値が増加し、コンパレータ67
の出力がロウレベルとなるときには、発光ダイオード7
7,ダイオード78には電流が流れ、従って、発光ダイ
オード77が点灯し、また、出力端子Y2から電流i2
を取り出すことができる。
【0071】図14の回路構成のガス検出装置では、ガ
スセンサ素子GAが例えばNOxガスに晒されると、こ
のガスセンサ素子GAの抵抗値が減少し、抵抗61の端
子間電圧Vが増加する。
【0072】これにより、コンパレータ66の出力は、
ハイレベルからロウレベルに変化し、第1の出力部57
では、発光ダイオード69,ダイオード70に電流が流
れ、発光ダイオード69が点灯する。これにより、NO
xガスが発生したことを表示(警報出力)することがで
き、また、出力端子Y1に電流i1が流れることによ
り、NOxガスの発生をこの出力端子Y1から外部に報
知出力することができる。なお、このとき、コンパレー
タ67の出力は、ハイレベルに保持されるので、第2の
出力部58では、発光ダイオード77は点灯せず、ま
た、出力端子Y2には電流は流れない。このように、ガ
スセンサ素子GAがNOxガスに晒されるときには、第
1の出力部57からNOxガス検知を出力することがで
きる。
【0073】また、ガスセンサ素子GAが例えばNH3
ガスに晒されると、このガスセンサ素子GAの抵抗値が
増加し、抵抗61の端子間電圧Vが減少する。
【0074】これにより、コンパレータ67の出力は、
ハイレベルからロウレベルに変化し、第2の出力部58
では、発光ダイオード77,ダイオード78に電流が流
れ、発光ダイオード77が点灯する。これにより、NH
3ガスが発生したことを表示(警報出力)することがで
き、また、出力端子Y2に電流i2が流れることによ
り、NH3ガスの発生をこの出力端子Y2から外部に報
知出力することができる。なお、このとき、コンパレー
タ66の出力は、ハイレベルに保持されるので、第1の
出力部57では、発光ダイオード69は点灯せず、ま
た、出力端子Y1には電流は流れない。このように、ガ
スセンサ素子GAがNH3ガスに晒されるときには、第
2の出力部58からNH3ガス検知を出力することがで
きる。
【0075】このように、図14のガス検出装置では、
1つのガスセンサ素子GAだけで、複数種類のガスのい
ずれをも(例えば、NOxガスとNH3ガスの両方を)、互
いに識別可能に検出し、出力することができる。
【0076】すなわち、1つの素子GAを用いるだけ
で、NOxガスが発生する場合には、発光ダイオード6
9だけが点灯し、また、端子Y1だけから出力が出さ
れ、また、NH3ガスが発生する場合には、発光ダイオ
ード77だけが点灯し、また、端子Y2だけから出力が
出される。これにより、NOxガス,NH3ガスのいずれ
のガスが発生したかを識別可能に検出することができ
る。
【0077】また、図13,図14のガス検出装置は、
小型化が可能なガスセンサ素子GAを用いており、ま
た、検出処理回路,さらには警報・報知出力回路も簡単
な構成であるので、全体として小型化,低コスト化を図
ることができる。特に、図14において、検出処理回
路,警報・報知出力回路は、抵抗,コンパレータ,発光
ダイオード,ダイオード等の半導体基板(例えばSi基
板)上に容易に形成できる素子だけから構成されている
ので、例えば、図15に概略図で示すように、ガスセン
サGAをも含めて、図14のガス検出装置全体を、同一
基質(例えばSi基板)1上に,すなわち同一チップ上
に、モノリシックに形成することが可能となる。また、
各素子間の配線は、基板1上に金属配線(例えば、金(A
u))で形成することができるので、ガス検出装置全体
を、1チップの小型の検出素子として提供できる。従っ
て、この場合には、より一層の小型化,低コスト化を図
ることができる。
【0078】このように、本発明によれば、ガス濃度が
低濃度のものであっても、NOxガスやNH3ガスなどの
特定のガスを、常温で、高感度に検出可能なガス検出装
置を提供でき、さらには、センサ素子,検出回路のみな
らず、警報,報知等の出力回路をも含め、このガス検出
装置全体を1チップの小型の素子として提供することが
可能となる。
【0079】また、基質(基板)1として、例えばn型の
Si基板を用い、また、水素終端ダイヤモンド膜2全体
がダイヤモンド水素化層2aとなるように、水素終端ダ
イヤモンド膜2の膜厚を非常に薄いもの(例えば数nm
〜数10nm程度のもの)とすれば、ダイヤモンド水素
化層2aによってp型の伝導層が形成されると考えられ
ることから、n型基板1との間でpn接合を形成でき、
n型基板1とその上に形成された水素終端ダイヤモンド
膜2とにより、さらに、種々のデバイスを同一の基板上
に容易な仕方で作製することが可能となる。
【0080】
【発明の効果】以上に説明したように、請求項1,請求
項2,請求項6,請求項7記載の発明によれば、所定の
基板上に水素終端ダイヤモンド膜が形成され、特定のガ
スに対して水素終端ダイヤモンド膜の所定の特性値が変
化することを用いて、前記特定のガスを検出可能になっ
ているので、装置規模を大型化させず、かつ、常温作動
で低消費電力化が可能であり、ガス濃度が低濃度のもの
であっても、NOxガスやNH3ガスなどを高感度に検出
することができる。
【0081】また、請求項3,請求項4,請求項6,請
求項8記載の発明によれば、所定の基板上に水素終端ダ
イヤモンド膜が形成され、複数種類の特定のガスのいず
れに対しても、水素終端ダイヤモンド膜の所定の特性値
が変化し、かつ、一の特定のガスと他の特定のガスとで
は特性値変化の傾向が異なることを用いて、前記複数種
類の特定のガスを互いに識別可能に検出可能になってい
るので、上記効果に加えて、さらに、1つのガスセンサ
だけにより、異なる種類のガスのいずれをも(例えば、
NOxガスとNH3ガスとの両方を)、互いに識別可能に
検出することができる。
【0082】また、請求項5記載の発明によれば、水素
終端ダイヤモンド膜の周縁部には、該周縁部が電気的に
絶縁状態となるような処理が施されているので、ガスセ
ンサのリーク等を防止し、ガス検出感度をより一層高め
ることができる。
【0083】また、請求項9記載の発明によれば、検知
手段および特性監視手段は、同一の基板上にモノリシッ
クに形成されているので、センサ素子,検出回路のみな
らず、警報,報知等の出力回路をも含め、このガス検出
装置全体を1チップの小型の素子として提供することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガスセンサの構成例を示す図であ
る。
【図2】水素終端ダイヤモンド膜を堆積形成するCVD
装置の一例を示す図である。
【図3】図1のガスセンサを常温で、それぞれ、NO2
ガス,NH3ガスに晒したときの電気抵抗値(電流値)変
化を例えば電流計により測定した結果(実験結果)を示す
図である。
【図4】本発明のガスセンサの電極の他の構成例を示す
図である。
【図5】本発明のガスセンサの水素終端ダイヤモンド膜
の周縁部を電気的に絶縁状態にした構成例を示す図であ
る。
【図6】本発明のガスセンサにおいて、信号取出用電極
の設置例を示す図である。
【図7】図1のガスセンサ(ガスセンサ素子)GAを用い
たガス検出装置の構成例を示す図である。
【図8】図7のガス検出装置の第1の具体例を示す図で
ある。
【図9】図8のガス検出装置の回路構成例を示す図であ
る。
【図10】図8のガス検出装置の回路構成例を示す図で
ある。
【図11】図9あるいは図10のガス検出装置の製造工
程例を示す図である。
【図12】図9あるいは図10のガス検出装置の製造工
程例を示す図である。
【図13】図7のガス検出装置の第2の具体例を示す図
である。
【図14】図13のガス検出装置の回路構成例を示す図
である。
【図15】図14のガス検出装置全体を同一基板上にモ
ノリシックに形成する例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 基質(基板) 2 ダイヤモンド膜(水素終端ダイヤモンド
膜) 2a ダイヤモンド水素化層 2b 周縁部 3a,3b 電極 4a,4b リード線 5a,5b 信号取出用電極 50 特性値監視部 51,71 特性値抽出器 52 第1の特性変化検出器 53 第2の特性変化検出器 54 ガス情報出力部 55 検知部 72 特性変化検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 徹男 東京都渋谷区幡ケ谷1丁目11番6号 ニッ タン株式会社内 (72)発明者 田中 征一 東京都渋谷区幡ケ谷1丁目11番6号 ニッ タン株式会社内 (72)発明者 橋本 隆吉 東京都渋谷区幡ケ谷1丁目11番6号 ニッ タン株式会社内 (72)発明者 高橋 成政 東京都渋谷区幡ケ谷1丁目11番6号 ニッ タン株式会社内 (72)発明者 石川 智弥 東京都渋谷区幡ケ谷1丁目11番6号 ニッ タン株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の基板上に水素終端ダイヤモンド膜
    が形成され、特定のガスに対して水素終端ダイヤモンド
    膜の所定の特性値が変化することを用いて、前記特定の
    ガスを検出可能になっていることを特徴とするガスセン
    サ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のガスセンサにおいて、前
    記特定のガスは、NOxガスまたはNH3ガスであること
    を特徴とするガスセンサ。
  3. 【請求項3】 所定の基板上に水素終端ダイヤモンド膜
    が形成され、複数種類の特定のガスのいずれに対して
    も、水素終端ダイヤモンド膜の所定の特性値が変化し、
    かつ、一の特定のガスと他の特定のガスとでは特性値変
    化の傾向が異なることを用いて、前記複数種類の特定の
    ガスを互いに識別可能に検出可能になっていることを特
    徴とするガスセンサ。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のガスセンサにおいて、一
    の特定のガスはNOxガスであり、他の特定のガスはN
    3ガスであることを特徴とするガスセンサ。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項2記載のガスセン
    サにおいて、前記水素終端ダイヤモンド膜の周縁部に
    は、該周縁部が電気的に絶縁状態となるような処理が施
    されていることを特徴とするガスセンサ。
  6. 【請求項6】 請求項1または請求項3記載のガスセン
    サを少なくとも1つ有する検知手段と、該検知手段のガ
    スセンサの所定の特性値の変化を監視し、所定の特性値
    の変化特性に基づき所定のガス検出情報を出力する特性
    監視手段とを備えていることを特徴とするガス検出装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のガス検出装置において、
    前記検知手段は、ガスセンサとして1つのガスセンサだ
    けを有しており、前記特性監視手段は、該1つのガスセ
    ンサの特性値の変化を監視して、1つの特定のガスを検
    出するようになっていることを特徴とするガス検出装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項6記載のガス検出装置において、
    前記検知手段は、ガスセンサとして、1つのガスセンサ
    だけを有しており、前記特性監視手段は、該1つのガス
    センサの所定の特性値変化の傾向が、一の特定のガスと
    他の特定のガスとで、互いに異なることを用いて、一の
    特定のガスと他の特定のガスとの両方を互いに識別可能
    に検出するようになっていることを特徴とするガス検出
    装置。
  9. 【請求項9】 請求項6,請求項7または請求項8記載
    のガス検出装置において、前記検知手段および前記特性
    監視手段は、同一の基板上にモノリシックに形成されて
    いることを特徴とするガス検出装置。
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