JPH0925533A - 冷間鍛造性に優れた切削用アルミニウム合金および切削用アルミニウム合金冷間鍛造材の製造方法 - Google Patents
冷間鍛造性に優れた切削用アルミニウム合金および切削用アルミニウム合金冷間鍛造材の製造方法Info
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Abstract
〜1.0wt %、Mg:0.3〜0.9wt %、Mn:0.3〜1.5wt
%、Fe:0.05 〜0.7wt %を含有し、Pb、Bi、Sn
のうちの1種以上を合計量で0.5 〜2.5wt %含み、残部
Alおよび不可避的不純物からなる。選択成分としてC
r、Zr、V、Ti、Bを加えてもよい。鋳造材を均質
化処理後、冷間鍛造し、必要に応じて人工時効処理す
る。 【効果】 冷間鍛造性、切削屑の排出性、切削面の平滑
性に優れ、鋳造材を直接冷間鍛造した場合にも優れた強
度を有するアルミニウム合金が提供され、光学機器部品
などに有効に使用できる。
Description
削用アルミニウム合金、とくに溶体化処理および焼入れ
処理を必要とせず、鋳造材を均質化処理後冷間鍛造した
状態で、十分な強度が得られる切削性、冷間鍛造性に優
れたアルミニウム合金、および当該アルミニウム合金冷
間鍛造材の製造方法に関する。
削用アルミニウム合金としては、Al−Cu系の2011合
金、Al−Mg−Si系の6262合金などの熱処理型アル
ミニウム合金が知られている。これら合金は強度および
切削性に優れているが、熱処理型合金であるため、強
度、切削性など所望の特性を得るためには、高温での溶
体化処理および焼入れ処理を必要とする。従ってコスト
高となるとともに、焼入れ処理に際しては高温から材料
を急冷するため、焼入れ歪や残留応力が生じ易く、切削
加工後、高精度の寸法公差を有する製品が得難いという
難点がある。また、これらのアルミニウム合金は冷間で
の鍛造性が劣るから、光学機器部品などの形状に成形加
工する場合には350 ℃以上の高温において鍛造加工を行
わなければならない。
合金としては、Al−Mn系の3003合金、Al−Mg系
の5056などの非熱処理型アルミニウム合金があり、鍛造
時の加工硬化によって所定の強度を得ているが、これら
の合金材は、切削加工した場合、切削屑が長くつなが
り、工具にからまるなどの不都合が生じるため、ドリル
加工など、切削屑の排出性が要求される切削加工には適
していない。
スとして合金組成を調整することによって、冷間鍛造性
を保持するとともに、切削性を向上させた非熱処理型ア
ルミニウムとして、例えばMn:0.5〜1.5 %、Mg:0.2
〜0.9 %、Cu:0.15 〜0.9%、Fe:0.10 〜0.5 %、
Si:0.05 〜0.2 %、Pb:0.15 〜1.0 %、Sn:0.6〜
1.5 %を含み、残部Alと不可避的不純物からなる快削
アルミニウム合金が開発されており(特公昭62-33301号
公報) 、Si:0.3〜1.0 %、Fe:0.1〜1.0 %、Cu:
0.1〜0.5 %、Mg:2〜5 %、Zr:0.05 〜0.2 %、お
よびPb、Snを合計で0.5 〜2.5 %またはPb、B
i、Snを合計で0.5 〜2.5 %含有し、残部Alと不可
避的不純物からなる非熱処理型の切削用アルミニウム合
金も提案されている。(特開平6-49575 号公報)
性をそなえ、切削加工後の歪発生も少ないが、高速の切
削加工における切削屑の排出性や切削加工面の平滑性に
対する最近の厳しい切削要求水準を満足させるには問題
がある。またコスト的要求から、熱間押出を行うことな
しに、鋳造棒などの鋳造材を直ちに冷間鍛造して製品形
状とすることが行われているが、前記の切削用アルミニ
ウム合金の製造は、いずれも熱間押出工程を必須とする
ものであり、鋳造材をそのまま冷間鍛造加工した場合に
は、強度面で必ずしも十分な特性が得難い。
ミニウム合金における上記従来の問題点を解消するため
に、上記の切削用アルミニウム合金、とくに特公昭62-3
3301号公報において提案されたアルミニウム合金をベー
スとして、含有成分の組合わせおよびそれらの含有範囲
と強度、冷間鍛造性、切削性との関連について再検討を
行った結果としてなされたものであり、その目的は、鋳
造材をそのまま冷間鍛造した場合にも、優れた冷間鍛造
性を有するとともに、冷間鍛造において加工硬化して、
冷間鍛造後、溶体化処理および焼入れ処理することなし
に十分な強度が得られ、高速切削加工において優れた切
削性をそなえた冷間鍛造性に優れた切削用アルミニウム
合金および当該アルミニウム合金冷間鍛造材の製造方法
を提供することにある。
めの本発明による冷間鍛造性に優れた切削用アルミニウ
ム合金は、Si:0.2%を越え0.8 %以下、Cu:0.2〜1.
0 %、Mg:0.3〜0.9%、Mn:0.3〜1.5 %、Fe:0.05
〜0.7 %を含有し、さらにPb、Bi、Snのうちの
1種または2種以上を合計量で0.5 〜2.5 %含み、残部
Alおよび不可避的不純物からなることを基本的特徴と
する。また、これらの成分に加え、Cr:0.01 〜0.3
%、Zr:0.01 〜0.3 %、V:0.01 〜0.1 %、Ti:0.1
%以下およびB:0.08 %以下のうちの1種または2種以
上を含むことを構成上の第2の特徴とする。
鍛造材の製造方法は、Si:0.2%を越え0.8 %以下、C
u:0.2〜1.0 %、Mg:0.3〜0.9 %、Mn:0.3〜1.5
%、Fe:0.05 〜0.7 %を含有し、さらにPb、Biお
よびSnのうちの1種または2種以上を含み、残部Al
および不可避的不純物からなるアルミニウム合金鋳造材
を均質化処理後、冷間鍛造することを特徴とし、アルミ
ニウム合金が上記の成分に加え、さらにCr:0.01 〜0.
3 %、Zr:0.01 〜0.3 %、V:0.01 〜0.1 %、Ti:
0.1%以下およびB:0.08 %以下のうちの1種または2
種以上を含むことを第2の特徴とする。
範囲について説明すると、Siは、Mgと共存すること
によって合金マトリックス中にMg2 Si化合物粒子を
析出、分散させ、強度を高め、切削性を向上させる。好
ましい含有範囲は0.2 %を越え0.8 %以下であり、0.2
%以下ではその効果が十分でなく、0.8 %を越えて含有
すると、粗大なMg2 Si粒子が生成して強度および切
削性を低下させる。
−Cu−Mg系化合物粒子が析出し、強度を高めるとと
もに切削性を向上させる。Cuの好ましい含有範囲は0.
2 〜1.0 %であり、0.2 %未満ではその効果が小さく、
1.0 %を越えると冷間鍛造性が劣化する。
鍛造時の加工硬化を促進し、さらにSi、Cuと共存す
ることによって、強度を高めるとともに切削性を向上さ
せる。Mgの好ましい含有範囲は0.3 〜0.9 %の範囲で
あり、0.3 %未満ではその効果が不十分であり、0.9 %
を越えると粗大なMg2 Si粒子が析出して、強度を低
下させ、切削性を害する。
系化合物粒子を析出、分散させることにより、冷間鍛造
時の加工硬化を促進し、切削加工性を向上させる。好ま
しい含有範囲は0.3 〜1.5 %であり、0.3 %未満ではそ
の効果が小さく、1.3 %を越えて含有されると冷間鍛造
性が劣化し易くなる。
とによって強度を上昇させる。また、Mnとの共存によ
りAl−Mn−Fe系の化合物の析出を促進し、さらに
加工硬化による冷間鍛造後の強度上昇にも効果がある。
好ましい含有範囲は0.05〜0.7 %であり、0.05%未満で
はその効果が十分ではなく、0.7 %を越えると冷間鍛造
性が低下する。Feのより好ましい含有範囲は0.25〜0.
55%である。
せる元素であり、これらの元素のうちの1種または2種
以上を合計量で0.5 〜2.5 %の範囲で含有させるのが好
ましい。合計量が0.5 %未満ではその効果が小さく、2.
5 %を越えると粗大な化合物が生成して冷間鍛造性が低
下し易くなる。Pb、BiおよびSnを共存させると、
一層安定した切削性が与えられる。
結晶粒を微細化し、冷間鍛造性を向上させる。好ましい
含有量は、Cr:0.01 〜0.3 %、Zr:0.01 〜0.3 %、
V:0.01 〜0.1 %、Ti:0.1%以下、B:0.08 %以下の
範囲であり、これらの成分が上限を越えると、粗大な晶
出物が生成し冷間鍛造性が害される。
て溶解、鋳造し、棒材等に鋳造された鋳造材を、均質化
処理後、所定の長さに切断し、冷間鍛造を行って所定の
形状に成形し、切削加工により最終製品とする。好まし
い均質化処理温度は500 〜600 ℃であり、この温度範囲
の均質化処理によって、鋳造時に固溶されたMnをAl
−Mn系化合物粒子として析出させ、冷間鍛造時の加工
硬化を促進する。均質化処理時間は2 時間以上が好まし
い。
間鍛造加工後、例えば160 〜190 ℃の温度で2 〜10時間
人工時効処理を施すことによって、Mg2 Si化合物粒
子、Al−Cu−Mg系化合物粒子の微細析出を促進
し、さらに強度を高め、切削性を向上させることができ
る。
CuおよびMgの組合わせ、およびこれらの成分の共存
効果に基づく、Mg2 Si化合物粒子、Al−Cu−M
g系化合物粒子の析出、分散により強度、切削性が向上
し、特定量のMnの含有に基づくAl−Mn系化合物粒
子の析出により冷間鍛造時の加工硬化が促進されて、鋳
造材を冷間鍛造加工し、必要に応じて人工時効処理する
のみで、所望の強度特性、切削性を得ることが可能とな
る。
明する。 実施例1 常法により溶解、鋳造して得た表1に示す組成のアルミ
ニウム合金鋳造棒を、580 ℃の温度で10時間均質化処理
したのち、加工度70%の冷間据え込みによる鍛造試験を
行い、鍛造後の割れの有無を観察して鍛造性を評価し
た。
温度で4 時間の人工時効処理を施し、試験材の中心部を
ドリルを用いて穿孔し、切削性を評価した。なお、切削
性は、以下に示す基準で(1) 切削屑の排出性、および
(2) 切削面の表面粗度の2項目について判定した。
基準で評価する。 ◎:20未満、○:20以上50未満、△:50以上100 未満、
×:100 以上 なお、切削条件は以下のとおりである。 切削工具:ストレートドリル(標準JIS ドリル、高速度
鋼、10mm径) 、回転数:1500rpm 、送り速度:150mm/
分、潤滑油:エマルション型。
価する。 ◎:5 未満、○:5 以上15未満、△:15以上30未満、
×:30以上 なお、切削条件は以下のとおりである。 切削工具:ストレートドリル(標準JIS ドリル、超硬合
金、15mm径) 、回転数:2000rpm 、送り速度:600mm/
分、潤滑油:エマルション型。
効処理後の硬さの測定結果を表2に示す。表2に示すよ
うに、本発明に従う試験材はいずれも、冷間据え込みで
割れを生じることがなく、切削屑の排出性、切削面の平
滑性は良好であり、強度特性にも優れていた。
る鋳造棒を得た。これらの鋳造棒を、実施例1と同様、
580 ℃の温度で10時間均質化処理したのち、加工度70%
の冷間据え込み試験を行って鍛造性を評価した。鍛造後
の各試験材を、170 ℃で4 時間人工時効処理し、実施例
1と同一の方法で切削性を評価した。また、人工時効処
理後の各試験材の硬さを測定した。結果を表4に示す。
なお、表3において、本発明の条件を外れたものには下
線を付した。
が低く、試験材No.15 はCu量が低く、試験材No.17 は
Mg含有量が低く、試験材No.19 はMn含有量は低いた
め、試験材No.28 はFe含有量が少ないため、いずれも
強度が十分でなく、切削性が劣っている。試験材No.14
、No.16 、No.18 、No.20 および試験材No.29 は、そ
れぞれSi、Cu、Mg、MnおよびFeの含有量が多
過ぎるため、冷間鍛造試験で割れが生じた。
有量が少ないため、切削性が十分でなく、試験材No.22
はPb、Bi、Snの合計含有量が多過ぎるため、鍛造
時に割れが発生した。試験材No.23 はMg量が少ないた
め、強度が低く、切削性も劣っている。試験材No.24 は
従来の2011合金、試験材No.25 は6262合金であり、とも
に鍛造時に割れが生じた。試験材No.26 、No.27 はそれ
ぞれ3003合金、3004合金で、本発明の組成条件を外れる
ものであり、冷間鍛造性は良好であったが、強度が低
く、切削性がわるい。
を施すことなしに、各試験材の切削性を評価した。切削
性の評価結果、および試験材の硬さの測定結果を表5に
示す。表5に示すように、本発明に従う各試験材は、鋳
造材を冷間鍛造するのみで、十分な強度特性をそなえ、
切削性についても、人工時効処理後の試験材に比べて若
干劣るのみで、光学機器部品などの切削性水準および切
削面精度を満足する十分に優れた切削性を示した。
造性、および切削時の切削屑の排出性、切削後の切削面
の平滑性に優れ、鋳造材を直接冷間鍛造した場合にも十
分な強度が得られ、良好な切削性をそなえたアルミニウ
ム合金が供給され、当該アルミニウム合金は、冷間鍛
造、切削加工され、光学機器部品などとして好適に使用
される。
系化合物粒子を析出、分散させることにより、冷間鍛造
時の加工硬化を促進し、切削加工性を向上させる。好ま
しい含有範囲は0.3〜1.5%であり、0.3%未満
ではその効果が小さく、1.5%を越えて含有されると
冷間鍛造性が劣化し易くなる。
Claims (4)
- 【請求項1】 Si:0.2%を越え0.8 %以下(重量%、
以下同じ)、Cu:0.2〜1.0 %、Mg: 0.3 〜0.9 %、
Mn:0.3〜1.5 %、Fe:0.05 〜0.7 %を含有し、さら
にPb、BiおよびSnのうちの1種または2種以上を
合計量で0.5〜2.5 %含み、残部Alおよび不可避的不
純物からなることを特徴とする冷間鍛造性に優れた切削
用アルミニウム合金。 - 【請求項2】 Si:0.2%を越え0.8 %以下、Cu:0.2
〜1.0 %、Mg:0.3〜0.9 %、Mn:0.3〜1.5 %、F
e:0.05 〜0.7 %を含有し、さらにPb、BiおよびS
nのうちの1種または2種以上を合計量で0.5 〜2.5 %
含み、残部Alおよび不可避的不純物からなるアルミニ
ウム合金鋳造材を、均質化処理後、冷間鍛造することを
特徴とする切削用アルミニウム合金冷間鍛造材の製造方
法。 - 【請求項3】 Cr:0.01 〜0.3 %、Zr:0.01 〜0.3
%、V:0.01 〜0.1%、Ti:0.1%以下、B:0.08 %以
下のうちの1種または2種以上を含むことを特徴とする
請求項1記載の冷間鍛造性に優れた切削用アルミニウム
合金。 - 【請求項4】 Cr:0.01 〜0.3 %、Zr:0.01 〜0.3
%、V:0.01 〜0.1%、Ti:0.1%以下、B:0.08 %以
下のうちの1種または2種以上を含むことを特徴とする
請求項2記載の切削用アルミニウム合金冷間鍛造材の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19706395A JP3832774B2 (ja) | 1995-07-10 | 1995-07-10 | 冷間鍛造性に優れた切削用アルミニウム合金および切削用アルミニウム合金冷間鍛造材の製造方法 |
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1995
- 1995-07-10 JP JP19706395A patent/JP3832774B2/ja not_active Expired - Fee Related
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