JPH09247086A - 量子暗号の構成方法 - Google Patents

量子暗号の構成方法

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JPH09247086A
JPH09247086A JP8052102A JP5210296A JPH09247086A JP H09247086 A JPH09247086 A JP H09247086A JP 8052102 A JP8052102 A JP 8052102A JP 5210296 A JP5210296 A JP 5210296A JP H09247086 A JPH09247086 A JP H09247086A
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JP
Japan
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optical
quantum
channel
pulse
branched
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JP8052102A
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English (en)
Inventor
Nobuyuki Imoto
信之 井元
Masato Koashi
雅斗 小芦
Uerunaa Maikeru
マイケル・ウェルナー
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 偏光を使用せず、遠隔量子相関を利用し、同
時刻性測定を受信者側のみで行うことにより高精度同期
クロックを必要としない量子暗号の構成方法を提供す
る。 【解決手段】 送信者1は光パラメトリック増幅器24
を用いてポンプ光子25から光子26,27を発生し、
光子26は遅延29を通過後光ファイバ28に送り、光
子27は光ファイバ32に送る。受信側で光子26を受
光器31でカウントし、光子27は遅延33を通過後受
光器34または35でカウントする。受光器31と受光
器34または35で信号が同時にカウントされ、しかも
遅延29が与える位相差と遅延33が与える位相差が特
定の組合せであったか否かを古典チャンネルにより確認
し、特定の組合せであった場合のみ、1ビットの信号を
登録する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、量子力学の不確定
性原理を利用し、盗聴者に有無をモニタしながら鍵であ
る乱数列を交換する量子暗号の構成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】暗号には、盗聴されていることを前提に
その解読が計算量論的に困難であることに安全性の根拠
を置く現代暗号と、量子力学の不確定性原理を利用し、
盗聴者の有無をモニタしながら鍵である乱数列を交換す
ることを特徴とする量子暗号とがある。まず、現代暗号
について説明する。
【0003】現代暗号は、送信するメッセージを数字化
し(これを平叙文と呼ぶ)、それに乱数を演算して第三
者にはランダムに見える暗号文にし、第三者の知らない
復号法で受信者が復号するもので、大きく分けて秘密鍵
暗号法と公開鍵暗号法がある。送信者が暗号化に使う乱
数表を暗号鍵、受信者が復号に使う乱数表を復号鍵と呼
ぶが、秘密鍵暗号法では暗号鍵と復号鍵は同一(秘密鍵
と呼ばれる)であり、送信者と受信者は何らかの安全な
方法、例えば直接会うなどで事前に秘密鍵を決定してい
る。
【0004】平叙文と秘密鍵の長さが等しいとき、すな
わち一度使った秘密鍵は必ず捨てるとき(これをone ti
me pad法と呼ぶが)、この方法は絶対的安全性を有して
いることがShannon により証明されている。しかし、メ
ッセージに匹敵する長さの秘密鍵をその都度事前に交換
することの非現実性(それができるならばメッセージそ
のものを交換すればよい)の故、one time pad法は実際
には使われていない。実用的な秘密鍵暗号法では同じ秘
密鍵を繰り返し使用する。
【0005】公開鍵暗号法では受信者が公開鍵と秘密鍵
の2つを所有しており、公開鍵を一般に公開する。送信
者は受信者の公開鍵を使って暗号化し送信し、受信者は
秘密鍵を使って復号化する。いうまでもなく、ここでも
公開鍵と秘密鍵を繰り返し使用する。これらの現代暗号
については文献:[1]太田和夫・黒澤馨・渡辺治著
「情報セキュリティの科学」(講談社ブルーバック
ス)、[2]今井秀樹著「暗号のおはなし」(日本規格
協会)、[3]岡本英司著「暗号理論入門」(共立出
版)、[4]池野信一、小山謙二著「現代暗号理論」
(電視通信学会)に詳しく説明されている。
【0006】現代暗号では暗号文が盗聴されることを前
提としており、盗聴されても解読に天文学的時間がかか
ることに安全性の根拠を置いている。計算量論的表現を
用いれば、整数の素因数分解がP型問題に属していない
という仮説に根拠を置いている。
【0007】しかし、この仮説は未だ証明されていない
予想に過ぎない。それどころか1994年には量子コン
ピューティング法まで計算法を拡張すれば、素因数分解
がP型問題に転化さることが数学的に証明された。これ
については文献:[5]Peter W.Shor:"Algorithms for
quantum computation:Discrete logarithms and facto
ring,"Proceedings of the 35th Annual Symposium on
Foundations of Computer Science,edited by S.Goldwa
sser(IEEE Computer Society,Los Alamitos,CA,1994)
p.124 、[6]西野哲朗「量子コンピュータ」情報処理
学会誌第36巻4号(1995年 4月)p.337 に詳しく説明
されている。
【0008】この量子コンピュータは未だ実用化されて
いないが、現代暗号の究極の拠り所が理論上とはいえ崩
れ去ったため、その安全性が将来保証されなくなること
が避けられないと考えられている。
【0009】次に、従来の量子暗号について説明する。
【0010】量子コンピューティング法を用いても、な
お破ることができない暗号として量子暗号がある。これ
は量子力学の不確定性原理に基づき盗聴者のどんな盗聴
行為も必ず何らかの痕跡を量子レベルの信号に残すこと
を利用し、盗聴されていないことを確認しながら秘密鍵
を決定する手続きである。すなわち、上述した秘密鍵暗
号方式において送信者と受信者が何らかの安全方法で事
前に秘密鍵を決定しておく必要があるが、その安全な方
法としては、直接会見を除けば現在のところ量子暗号以
外はない。量子暗号を用いれば恒常的に秘密鍵の交換を
行うことが可能であり、絶対安全が保証されているone
time pad法の使用が可能となる。
【0011】量子暗号の具体的方法として4偏光状態暗
号、2コヒーレント状態暗号、4コヒーレント状態暗
号、時間差干渉暗号、二光子干渉暗号が提案されてい
る。次に、これらの各量子暗号について説明する。
【0012】まず、4偏光状態暗号について説明する。
4偏光状態暗号は最初に考案された量子暗号であり、詳
細は文献:[7]C.H.Benett and G.Brassard,in Proce
edings of IEEE International Conference on Compute
rs,Systems and Signal Processing,Bangalore,India
(IEEE,New York,1984),p.175、[8]A.エカート/
井元信之訳「量子暗号への招待」パリティ、vol.7,No.
2,p.26 (1992)、[9]G.コリンズ/井元信之訳
「量子暗号は史上最強の暗号」パリティ、vol.8,No.5,
p.31 (1993)に述べられているが、以下簡単に説明す
る。
【0013】4偏光状態暗号においては、図2に示すよ
うに、送信者1と受信者2は1ビットにつき光子を1つ
だけ含む光パルス3を送る量子チャンネル4と送信およ
び受信状況を確認し合う古典的チャンネル5を使う。量
子チャンネル4は通常光ファイバであり、古典的チャン
ネル5は無線や電話等である。古典的チャンネル5は盗
聴されていることを前提とするが、改竄はされないと仮
定する。このことを明確にするため、以下本明細書では
古典的チャンネルを公開チャンネルと呼ぶ。また、量子
暗号に限らず暗号理論の前提として、盗聴者は図の伝送
路部にアクセスすることはできるが、送信側および受信
側にはアクセスできない。送信側ビット“0”および
“1”を光パルス3にコーディングするにあたり、直線
偏光と円偏光の2種類の変数、すなわち2種類のコーデ
ィング法を用いる。例えば、図3に示すように、直線偏
光コーディングの場合は「水平」を“0”に、「垂直」
を“1”に、円偏光コーディングの場合は「右回り」を
“0”に、「左回り」を“1”に対応させる。このよう
な取り決めを送信者1と受信者2は予め(公開チャンネ
ル5で)行っておく。送信者1は二進法で書かれた乱数
表6を用意する。これは受信者2と共有する秘密鍵7を
生成するための元になる乱数表である。秘密鍵7は次に
説明するように乱数表6から半分弱のビットを抽出した
部分乱数表となっている。4偏光状態暗号における送信
者1と受信者2のプロトコルは次のようになる。
【0014】ステップ1:送信者1はランダムにコーデ
ィング法を選択し、乱数表6に従って光パルス3の偏光
を変調器8を用いて変調する。例えば円偏光でコーディ
ングすることとし、乱数表6の最初の値が“1”ならば
「左回り」偏光となるように光パルス3の偏光状態を変
える。送信者1には選択したコーディング法は知らせ
ず、光パルス3だけを送る。同様にして引き続くビット
に対して次々と光子を送る。
【0015】ステップ2:受信者2は受けた光パルス3
が光子を1つしか含まないので、直線偏光と円偏光の両
方を測ることはできない(不確定性原理)。従って、ど
ちらを測るかを決心し、偏光測定器を含む受光器9を用
いて測定する。送信者1が選択したコーディング法と同
じコーディング法と間違ったコーディング法を選ぶ確率
はそれぞれ50%である。同じだった場合、乱数表6の
値が正しく受信者2に再現されるが、間違った場合はそ
のビットに関する送信者1と受信者2の間の相互情報量
はゼロとなる。
【0016】ステップ3:光パルスを1つ測定する毎に
(あるいは後でまとめて交信してもよいが)受信者2は
どちらのコーディング法を選択したか、公開チャンネル
5で明らかにする。送信者1はそれを聞き、受信者2の
コーディング選択が正しかったか否かを公開チャンネル
5で伝える。
【0017】ステップ4:送信者1と受信者2は双方が
同じコーディング法を選択した約半分のビットだけを採
用し、後の半分は捨てる。盗聴がなければ双方に同じ乱
数表が形成されているはずである。
【0018】ステップ5:送信者1と受信者2は残った
ビットのうち適当な割合で照合ビットを抽出し、それぞ
れの答合わせを(公開チャンネル5で)行う。十分な数
の照合ビットが一致すれば、上記文献に説明されている
ような理由により、1に近い確率で盗聴されていないと
結論づけられる。
【0019】ステップ6:照合ビットも除いたビットは
送信者1と受信者2しか知らない同一の値を有すること
が保証されているので、それを秘密鍵7と決定する。
【0020】以上の手順により、盗聴されていないこと
をリアルタイムでモニタしながら秘密鍵を生成して行く
ことができる。万一照合ビットから盗聴を発見した場合
は、盗聴発見期間の交信をすべて無効とし、量子チャン
ネルをチェックするか、あらためて構築する。実際は盗
聴者が最も恐れるのは盗聴の発覚であり、しかも発覚の
危険を侵しても盗聴遂行できない(盗聴した秘密鍵は破
棄されてしまう)ので、量子暗号に対して盗聴者のなす
べき手段は事実上ない。
【0021】なお、量子暗号の実用性を示す特徴の1つ
として、伝送路損失の存在が致命的でないという事情に
ついてここで触れておきたい。光の量子状態を制御する
通信や情報処理においては伝送路の損失あるいは光検波
器の不完全な量子効率により量子状態が大きく破壊され
てしまうことが致命的欠陥であることが知られている。
意味を持つメッセージを送信したり処理したりする場合
は、量子状態の破壊は情報そのものの破壊を意味する。
しかし、量子暗号はまず乱数表の交換が目的であるの
で、伝送損失等により光子が欠落しても乱数表が間引き
されるに過ぎない。損失の影響は主に伝送レートが下が
ることに現れるだけであり、上記プロトコルの有効性に
は影響しない。このような特徴は4偏光状態暗号に限ら
ず、量子暗号すべてに共通する特徴である。
【0022】4偏光状態量子暗号を実用化する際に最も
重要となるのは、光子が伝送路を通過する間に予測不能
な偏光の撹乱があってはならないことである。この撹乱
を避けるためにいわゆる偏光保存ファイバを用いること
はできない。偏光保存ファイバは直交する特定の2つの
偏光を保存するだけであり、4偏光状態暗号で用いられ
るような直交しない組合せも含む4つの偏光をすべて保
存することはできない。一方偏光を保持しないファイバ
は偏光の時間的揺らぎが避けられない。揺らぎを時間追
跡して偏光補償する技術はあるが、ただ1つの光子を送
受信する場合には適用できない。送信偏光が受信偏光に
誤って伝えられた場合、照合ビットの矛盾と秘密鍵生成
エラーの原因となる。すなわち、照合ビットの矛盾が発
見された場合、測定誤りと盗聴による2つの原因を峻別
しなければならないが、それは一般に困難であり、複雑
な誤り訂正手続きの導入が避けられない。更に盗聴でな
く測定誤りと判定され秘密鍵を破棄しない場合も、測定
誤りによる秘密鍵の生成エラーを起こしている可能性が
ある。
【0023】次に、2コヒーレント状態暗号について説
明する。2コヒーレント状態暗号は2状態量子暗号の一
例である。詳細は文献:[10]C.H.Benett,Phys.Rev.Le
tt.68,3121(1992)、[11]B.Huttner,N.Imoto,N.Gisi
n,and T.Mro,Phys.Rev.A51,1863(1995)に述べられてお
り、文献[10]で提案された構成は図5に示すものであ
るが、説明のためにより簡略化した図4でまず説明す
る。
【0024】図4において、送信者1は光パルス3を5
0%のビームスプリッタ10で光パルス11と12に分
け、位相変調器13を用いて光パルス11の光位相を乱
数表6に従ってビット値が“0”ならば0、ビット値が
“1”ならば180度と変調し、光ファイバ14と15
からなる量子チャンネル4に送る。以下すべての量子暗
号において公開チャンネル5は共通であるので、以降本
明細書では省略する。
【0025】受信者2は、50%のビームスプリッタ1
6で光パルス11および12を干渉させる(実際は文献
[10]にも述べられているようにビームスプリッタ10
および16の反射率は50%である必要はない)。ビー
ムスプリッタ10からビームスプリッタ16までは1つ
のマッハツェンダー干渉計を構成する。受信者2は光フ
ァイバ14と15の間の位相差θを適当に調節し、ビー
ムスプリッタ16においてビット値“0”のパルスは受
光器17側がダークフリンジに、ビット値“1”のパル
スは受光器18側がダークフリンジになるようにする。
【0026】2コヒーレント状態暗号では、光パルス3
に含まれる平均光子数が1よりずっと小さい(例えば
0.1の)コヒーレント状態の光を用いる。これは光パ
ルス3に含まれる光子の数が2以上になる確率をできる
限り0に近づけるためである。平均光子数が1よりずっ
と小さいので、パルス到着時に受光器17と18の何れ
にも光子がカウントされないケースがほとんどとなるの
で、ほとんどの場合受信者2にとってビット値判定不能
となる。しかし、受光器17でカウントされた場合はビ
ット値は“1”、受光器18でカウントされた場合は
“0”であると確定的に結論することができる。以上の
ことから次のようなプロトコルで秘密鍵交換が可能であ
る。
【0027】ステップ1:送信者1は乱数表6に従って
光パルス11の位相を位相変調器13を用いて変調し、
送る。
【0028】ステップ2:受信者2は受光器17と18
で光子のカウンティングを行う。カウントした場合、受
光器17と18のどちらでカウントしたかは言わず、カ
ウントした事実だけを公開チャンネルで送信者1に告げ
る。
【0029】ステップ3:盗聴がないと仮定すれば、送
信者は受信者が受光器17と18のどちらでカウントし
たか知っているので、そのようなビット列から適当な割
合で照合ビットを抽出し、それぞれの答合わせを(公開
チャンネル5で)行う。十分な数の照合ビットが一致す
れば、後で述べる理由により1に近い確率で盗聴されて
いないと結論づけられる。
【0030】ステップ4:照合ビットを除いたビットは
送信者1と受信者2しか知らない同一の値を有すること
が保証されているので、それを秘密鍵7と決定する。
【0031】このスキームに対し盗聴者が何ができるか
を考える。量子チャンネル4にアクセスして二手に分か
れた光パルスの位相差を測定するためには、受信者と同
様干渉させて光子カウンティングを行う必要がある。た
またまカウンティングに成功すれば、送信者と同じ装置
を用いて送信者が送ったのと同じ並列2パルスを送るこ
とができる。しかし、ほとんどのパルスで光子がカウン
トされないので、その場合は偽のパルスを何も送らない
か、ランダムな位相差を持った偽のパルスを送るかしか
ない。前者の場合、伝送レートが本来値から下がり、後
者の場合照合ビットの矛盾を引き起こし、いずれにせよ
送信者と受信者から検知される。
【0032】2コヒーレント状態量子暗号を実用化する
際には、長い伝送路を含むマッハツェンダー干渉計にお
いて、伝送路の揺らぎによる位相差揺らぎをいかに安定
化するかが重要となる。図4のように2本の光ファイバ
を用いたのでは500mを越すあたりから干渉計の安定
化は不可能となる[文献12:井元信之「光子数の量子
非破壊測定の研究」博士論文(東京大学)]。そこで光
パルス11と12に時間差をつけて1本の光ファイバに
通すことが考えられる[文献10]。
【0033】図5にその場合の構成を示す。図5におい
て、送信者1は光パルス3を偏光ビームスプリッタ19
により直交する偏光関係にある等強度のパルス11と1
2に分ける。パルス11を位相変調器13で変調し、パ
ルス12はそのまま偏光ビームスプリッタ20を介して
偏光保存ファイバ4に入射する。このようにしてパルス
11と12は遅延を持った二連パルスとして光ファイバ
4の中を伝わり、受信者側では偏光ビームスプリッタ2
1で二連パルスを分離し、逆遅延をかけた後、偏光ビー
ムスプリッタ22でパルス11と12を干渉させる。光
パルス11と12は光ファイバ4の中を伝搬する間に同
じ位相揺らぎを受けるので、干渉させるときには揺らぎ
が打ち消し合う。光ファイバの位相揺らぎの周波数特性
は約1GHzまでと考えられるので、その揺らぎの影響
を受けないためには、パルス11と12の間隔は1ns
以下でなければならない。この場合の困難は、そのよう
な極短二連パルスを可干渉性を失わないように発生する
ことにある。
【0034】次に、4コヒーレント状態暗号について説
明する。4コヒーレント状態暗号は、上述した4偏光状
態暗号と2コヒーレント状態暗号の特長を組合せ、いず
れよりも大幅な性能改善を図ったものであり、詳細は文
献11に述べられている。構成的には図4の2コヒーレ
ント状態暗号において位相変調を0度、90度、180
度、270度の4種類を用い、プロトコルとしては受信
者が光子をカウントしたか否かの事実に加えて(0度、
180度)のペアと(90度、270度)のペアのいず
れを選択したかを送信者と受信者が突き合わせるという
プロトコルを付加した暗号である。詳しい動作および性
能の比較は文献11に詳しく解析されている。容易に推
測されるように、この量子暗号法の欠点は上述した2コ
ヒーレント状態暗号と同じ欠点を有している。
【0035】次に、時間差干渉暗号について説明する。
時間差干渉暗号は図4に示すようにマッハツェンダー干
渉計を用いる点で図4の2コヒーレント状態暗号に類似
しているが、他の量子暗号が非直交状態を用いるのに対
し、直交する状態のみを用いる点が特徴的である。詳細
は文献:[13]Goldenberg and Vaidmann:Phys.Rev.Let
t.75,1239(1995)に述べられているが、以下簡単に説明
する。図6に示すように、送信者1はビット“0”の場
合はポートA側から、ビット“1”の場合はポートB側
から光パルス3を入れ、乱数表6を送る。光パルス3は
光子をただ1つ含むとする。光パルス3は50%ビーム
スプリッタ10で二手に分かれ、光パルス11はそのま
ま光ファイバ14に、光パルス12は長い遅延23を経
て光ファイバ15に入る。遅延を伝送距離より長くして
おくことにより光パルス11が受信者側に到着した後光
パルス12が伝送路部に入る。
【0036】受信者側では光パルス11に遅延23と同
じ長さの遅延24を設ける。これにより50%ビームス
プリッタ16において光パルス11と12は干渉し、ポ
ートA側から入射した光パルス3はポートA’に、ポー
トB側から入射した光パルス3はポートB’に出射す
る。受信者2は単にポートA’かB’かを見ているだけ
で送信者1の乱数表6を再生できる。照合ビットの棄却
や伝送損失による光子の欠落を除き、送信者と受信者は
秘密鍵7を構築できる。盗聴者は伝送路部で光パルス1
1と12に同時にアクセスすることはできず、光パルス
11を測定・加工した後、光パルス12を測定・加工す
ることしかできない。文献13に詳しく述べられている
通り、この制約の下ではビット“0”と“1”を破壊せ
ずに読み取る手段がない。
【0037】文献13にも述べられている通り、この量
子暗号は直交する状態のみを用いるという原理的興味で
提案されたもので、実用性には乏しい。時間差を設ける
ことが本質的であるので図5のような二連パルスを使う
ことができず、二本の伝送路を用いる以外にない。その
ようなマッハツェンダー干渉計を安定化するためには伝
送距離を数百m以下とせざるを得ない。
【0038】次に、二光子干渉暗号について説明する。
二光子干渉暗号はフランソン干渉計と呼ばれる二光子干
渉計を利用する量子暗号で、文献:14[A.E.Ekert et
al.,Phys.Rev.Lett.69,1293(1992)]で提案された。
図7はその動作を説明する図である。24は光パラメト
リック増幅器であり、角振動数ωp のポンプ光と呼ばれ
る光子25を吸収し、角振動数ωA とωB の光子を1つ
ずつ発生する。それぞれの光子パルスを26および27
とする。光子パルス26は光ファイバ28に送られ、遅
延29を通過後受光器30または31でカウントされ
る。光子パルス27は光ファイバ32に送られ、遅延3
3を通過後受光器34または35でカウントされる。遅
延29から先は送信者側、遅延33から先は受信者側で
ある。図のように送信者1と受信者2について対称な構
成であるので、送信者あるいは受信者という名称は最良
ではないが、他の量子暗号と用語を統一するためこれら
の名称を用いる。位相差θA は送信者側で調節し、位相
差θB は受信者側で調節する。光パラメトリック増幅器
24は送信者側と受信者側のいずれに回してもよいが、
盗聴者はアクセスできないようにしておく。今、送信者
と受信者が(θA +θB =0)となるように位相調整す
ることを取り決めれば、フランソン干渉計の原理すなわ
ち遠隔量子相関により、受光器30と35で光子が同時
カウントされる確率や受光器31と34で同時カウント
される確率は0となる。従って受光器30と34で同時
カウントがあるか、受光器31と35で同時カウントが
あるか、あるいは同時カウントがないかのいずれかしか
起きない。そこで、送信者と受信者が同時にカウントし
たか否かのみを公開チャンネルで確認し合うだけで、送
信者と受信者はそれぞれどの受光器でカウントしたかを
互いに知る。このようにして共通の乱数表を構築できる
ので、ときどきビット照合して盗聴のないことを確認し
た残りのビットを秘密鍵として採用することができる。
この方式では乱数表を用いて送信者が何らかの物理量を
意図的に変調するプロセスはない。なぜならば、受光器
31と受光器34で光子の同時カウントがあるか受光器
31と受光器35で光子の同時カウントがあるかは、量
子力学的確率過程として決まるからである。
【0039】この量子暗号は実用的見地から優れた特徴
をいくつか有している。まず、θAとθB が空間的にま
ったく独立であり、大きなマッハツェンダー干渉計の内
部にあるわけではないので、伝送路の揺らぎと無関係に
送信者と受信者が独立に調整できることである。また、
偏光を使っていないので、任意偏光を保存する必要はな
く、特定の偏光を保存する偏光保存ファイバを使うこと
ができる。このためフランソン干渉計の安定化は極めて
容易であり、しかも送信者と受信者が別個に安定化すれ
ばよい。
【0040】この量子暗号の実用上の問題点は、遠く離
れた送信者と受信者がカウントした光子が同時刻にカウ
ントされたか遅延があったかを区別しなければならない
ことにある。遅延28および32はナノ秒のオーダーで
あるから(それ以上長くするとθA やθB の揺らぎを生
ずる)、その程度の時間分解能で送信者と受信者のクロ
ックを同期させる必要がある。これは一般に高価な設備
を必要とする。
【0041】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の量子暗号法のうち、4偏光状態暗号は、任意の偏光を
保存するファイバを必要とするという問題がある。ま
た、2コヒーレント状態暗号、4コヒーレント状態暗
号、および時間差干渉暗号は、長距離マッハツェンダー
干渉計の安定化を必要とし、更に二光子干渉暗号は、送
信者と受信者間で高精度の同期クロックを必要とすると
いう問題がある。
【0042】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、
その目的とするところは、偏光を使用せず、遠隔量子相
関を利用し、同時刻性測定を受信者側のみで行うことに
より高精度同期クロックを必要としない量子暗号の構成
方法を提供することにある。
【0043】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の本発明は、量子力学状態を変調した
第1の信号を伝える量子チャンネルと、古典状態を変調
した第2の信号を伝える古典チャンネルを用い、不確定
性原理に基づいて盗聴行為によって前記第1の信号に発
生する撹乱の有無を前記古典チャンネルで監視しなが
ら、乱数表を送信側より受信側に伝送し、前記乱数表を
秘密鍵とする量子暗号の構成方法において、送信側にお
いて、同一の時間幅を有し、前記時間幅より長いコヒー
レント時間を有し、それぞれが1つの光子からなる第1
および第2の光パルスを発生し、前記第1の光パルスを
2つの光路に分岐し、分岐後の光パルスの一方に前記時
間幅より長く前記コヒーレント時間より短い第1の時間
遅延を施した後、分岐した他方の光パルスの光路に合流
させ、合流した光路が取り得る2つの光路のうちの1つ
の光路を第1の量子チャンネルに光学的に接続し、前記
第2の光パルスを第2の量子チャンネルに入力し、受信
側においては、前記第1の量子チャンネルの出力を第1
の光検出手段に入力し、前記第2の量子チャンネルの出
力を2つの光路に分岐し、分岐後の光パルスの一方に、
前記第1の時間遅延との差が前記時間幅より小さい第2
の時間遅延を施した後、分岐した他方の光パルスの光路
に合流させ、合流した光路が取り得る2つの光路の一方
を第2の光検出手段に入力し、他方の光路を第3の光検
出手段に入力し、前記第1の光検出手段と第2または第
3の光検出手段で信号が同時に検出され、しかも前記第
1の時間遅延が与える位相差と第2の時間遅延が与える
位相差が特定の組合せであったか否かを古典チャンネル
により確認し、特定の組合せであった場合のみ、1ビッ
トの信号を登録することを要旨とする。
【0044】請求項1記載の本発明にあっては、送信側
において、第1および第2の光パルスを発生し、第1の
光パルスを2つの光路に分岐し、分岐後の光パルスの一
方に第1の時間遅延を施して、他方の光パルスの光路に
合流させ、合流した光路が取り得る2つの光路のうちの
1つの光路を第1の量子チャンネルに光学的に接続し、
第2の光パルスを第2の量子チャンネルに入力し、受信
側においては、第1の量子チャンネルの出力を第1の光
検出手段に入力し、第2の量子チャンネルの出力を2つ
の光路に分岐し、分岐後の光パルスの一方に第2の時間
遅延を施し、他方の光パルスの光路に合流させ、合流し
た光路が取り得る2つの光路の一方を第2の光検出手段
に入力し、他方の光路を第3の光検出手段に入力し、第
1の光検出手段と第2または第3の光検出手段で信号が
同時に検出され、しかも第1の時間遅延が与える位相差
と第2の時間遅延が与える位相差が特定の組合せであっ
たか否かを古典チャンネルにより確認し、特定の組合せ
であった場合のみ、1ビットの信号を登録する。
【0045】また、請求項2記載の本発明は、請求項1
記載の発明において、前記第1および第2の光パルスを
光パラメトリック増幅または原子のカスケード遷移によ
って発生することを要旨とする。
【0046】更に、請求項3記載の本発明は、量子力学
状態を変調した第1の信号を伝える量子チャンネルと、
古典状態を変調した第2の信号を伝える古典チャンネル
を用い、不確定性原理に基づいて盗聴行為によって前記
第1の信号に発生する撹乱の有無を前記古典チャンネル
で監視しながら、乱数表を送信側より受信側に伝送し、
前記乱数表を秘密鍵とする量子暗号の構成方法におい
て、送信側において、ポンプ光子を光パラメトリック増
幅器に供給して、第1の光パルスおよび第2の光パルス
を発生し、第1の光子パルスを2つの光路に分岐し、分
岐された一方の光パルスに遅延手段で第1の時間遅延を
施し、分岐した他方の光パルスの光路に合流させ、合流
した光路が取り得る2つの光路のうちの1つの光路を光
ファイバからなる第1の量子チャンネルに光学的に接続
し、前記第2の光パルスを光ファイバからなる第2の量
子チャンネルに入力し、受信側においては、前記第1の
量子チャンネルの出力を第1の受光器に入力し、前記第
2の量子チャンネルの出力を2つの光路に分岐し、分岐
された一方の光パルスに遅延手段により第2の時間遅延
を施し、分岐した他方の光パルスの光路に合流させ、合
流した光路が取り得る2つの光路の一方を第2の受光器
に入力し、他方の光路を第3の受光器に入力し、前記第
1の受光器と第2または第3の受光器で信号が同時に検
出され、しかも前記第1の時間遅延が与える位相差と第
2の時間遅延が与える位相差が特定の組合せであったか
否かを古典チャンネルにより確認し、特定の組合せであ
った場合のみ、1ビットの信号を登録することを要旨と
する。
【0047】請求項3記載の本発明にあっては、送信側
において、ポンプ光子を光パラメトリック増幅器に供給
して第1の光パルスおよび第2の光パルスを発生し、第
1の光子パルスを2つの光路に分岐し、一方の光パルス
に第1の時間遅延を施し、他方の光パルスの光路に合流
させ、合流した光路が取り得る2つの光路のうちの1つ
の光路を光ファイバからなる第1の量子チャンネルに光
学的に接続し、第2の光パルスを光ファイバからなる第
2の量子チャンネルに入力し、受信側においては、第1
の量子チャンネルの出力を第1の受光器に入力し、第2
の量子チャンネルの出力を2つの光路に分岐し、一方の
光パルスに第2の時間遅延を施し、他方の光パルスの光
路に合流させ、合流した光路が取り得る2つの光路の一
方を第2の受光器に入力し、他方の光路を第3の受光器
に入力し、第1の受光器と第2または第3の受光器で信
号が同時に検出され、しかも第1の時間遅延が与える位
相差と第2の時間遅延が与える位相差が特定の組合せで
あったか否かを古典チャンネルにより確認し、特定の組
合せであった場合のみ、1ビットの信号を登録する。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態について説明する。
【0049】図1(a)は、本発明の一実施形態に係る
量子暗号の構成方法を説明する図である。同図に示す本
実施形態の量子暗号の構成方法は、フランソン干渉計の
原理をベースに新しい量子暗号の構成およびプロトコル
を考案したものであり、偏光を使用せず、遠隔量子相関
を利用し、同時刻性測定を受信者側のみで行うことによ
り高精度同期クロックを不要にしたものであり、従来の
二光子干渉量子暗号の優れた特徴をそのまま保有してい
るものである。
【0050】図1(a)において、送信者1は光パラメ
トリック増幅器24を用い、角振動数ωp のポンプ光子
25を角振動数ωA の光子26と角振動数ωB の光子2
7を発生する。光子26は遅延29を通過後光ファイバ
28に送り、光子27はそのまま光ファイバ32に送
る。受信側では光子26をそのまま受光器31でカウン
トし、光子27は遅延33を通過後受光器34または3
5でカウントする。位相差θA は送信者側で変調(固定
調節でなくビット毎に)し、位相差θB は受信者側で変
調する。その取り決めについては後述する。
【0051】フランソン干渉計の原理、すなわち遠隔量
子相関によれば、θA +θB が0または180度の場合
は、同時カウントがあるとすれば受光器31と34に限
られ、θA +θB が90度または270度の場合は、同
時カウントがあるとすれば受光器31と35に限られ
る。この事実を用いることにより、4偏光状態暗号プロ
トコルと類似のプロトコルを用いて量子暗号を実現する
ことができる。
【0052】まず、送信者1は二種類の変調法から1つ
を選択する。変調法1ではビット“0”のときθA
0、“1”のときθA =180度とし、変調法2ではビ
ット“0”のときθA =90度、“1”のときθA =2
70度とする。変調法1と2に対応し、受信者側では復
調法1としてθB =0、復調法2としてθB =90度の
うちから選択する。送信者と受信者の選択の可能な組合
せに対し同時カウントが起こり得る受光器のペアを図1
(a)に示した。この図から、送信者の変調法と受信者
の復調法が一致した場合にのみ、同時カウントのある受
光器ペアが一意に定まることが分かる。変調法と復調法
が一致しない場合は情報の伝達が行われない。具体的プ
ロトコルは次の通りである。
【0053】ステップ1:送信者1はランダムに変調法
を選択し、乱数表6に従ってθAを変調する。
【0054】ステップ2:受信者2は送信者1と独立に
ランダムに復調法を選択し、θBを設定する。受光器3
1と34または31と35のいずれかのペアで光子の同
時カウントが起こり得る。
【0055】ステップ3:同時カウントを観測する毎に
(あるいは後でまとめて交信してもよいが)受信者2は
どちらの復調法を選択したか、公開チャンネルで明らか
にする。送信者1はそれを聞き、受信者2の復調法選択
が正しかったか否かを受信者2に明らかにする。
【0056】ステップ4:送信者1と受信者2は双方が
対応する変復調法を選択した約半分のビットだけを採用
し、後の半分は捨てる。盗聴がなければ双方に同じ乱数
表が形成されているはずである。
【0057】ステップ5:送信者1と受信者2は残った
ビットのうち適当な割合で照合ビットを抽出し、それぞ
れの答合わせを行う。十分な数の照合ビットが一致すれ
ば1に近い確率で盗聴されていないと結論づけられる。
【0058】ステップ6:照合ビットも除いたビットは
送信者1と受信者2しか知らない同一の値を有すること
が保証されているので、それを秘密鍵7と決定する。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
位相差θA とθB が空間的にまったく独立で伝送路の揺
らぎと無関係に送信者と受信者が独立に調整できるの
で、長距離マッハツェンダー干渉計の安定化のような送
信者と受信者を包括して調整を行う必要がない。また、
偏光を使っていないので、任意の偏光を保存する光ファ
イバを要求しない。更に、本発明では光子の同時カウン
トを受信者側のみで行うため、受信者がローカルなクロ
ックを持っていればよい。これは送信者と受信者の間で
高精度の同期クロックが必要であった従来の二光子干渉
量子暗号と大きく異なる点である。このように、本発明
は上述した従来の量子暗号の欠点をすべてクリアする新
しい量子暗号の構成方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る量子暗号の構成方法
を説明するための図および本実施形態における光子の同
時カウンティングがあり得る受光器対を示す図である。
【図2】従来の量子暗号である4偏光状態暗号を説明す
るための図である。
【図3】図2に示す4偏光状態暗号におけるコーディン
グ法およびビット値との対応する偏光状態を示す図であ
る。
【図4】従来の量子暗号である2コヒーレント状態暗号
を説明するための図である。
【図5】従来の量子暗号である2コヒーレント状態暗号
を説明するための図である。
【図6】従来の量子暗号である時間差干渉暗号を説明す
るための図である。
【図7】従来の量子暗号である二光子干渉暗号を説明す
るための図である。
【符号の説明】
1 送信者 2 受信者 25 ポンプ光子 28,32 光ファイバ 29,33 マッハツェンダー型遅延 31,34,35 受光器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H04L 9/08 H04L 9/00 601C 9/38 691

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 量子力学状態を変調した第1の信号を伝
    える量子チャンネルと、古典状態を変調した第2の信号
    を伝える古典チャンネルを用い、不確定性原理に基づい
    て盗聴行為によって前記第1の信号に発生する撹乱の有
    無を前記古典チャンネルで監視しながら、乱数表を送信
    側より受信側に伝送し、前記乱数表を秘密鍵とする量子
    暗号の構成方法において、 送信側において、同一の時間幅を有し、前記時間幅より
    長いコヒーレント時間を有し、それぞれが1つの光子か
    らなる第1および第2の光パルスを発生し、 前記第1の光パルスを2つの光路に分岐し、分岐後の光
    パルスの一方に前記時間幅より長く前記コヒーレント時
    間より短い第1の時間遅延を施した後、分岐した他方の
    光パルスの光路に合流させ、合流した光路が取り得る2
    つの光路のうちの1つの光路を第1の量子チャンネルに
    光学的に接続し、 前記第2の光パルスを第2の量子チャンネルに入力し、 受信側においては、前記第1の量子チャンネルの出力を
    第1の光検出手段に入力し、 前記第2の量子チャンネルの出力を2つの光路に分岐
    し、分岐後の光パルスの一方に、前記第1の時間遅延と
    の差が前記時間幅より小さい第2の時間遅延を施した
    後、分岐した他方の光パルスの光路に合流させ、合流し
    た光路が取り得る2つの光路の一方を第2の光検出手段
    に入力し、他方の光路を第3の光検出手段に入力し、 前記第1の光検出手段と第2または第3の光検出手段で
    信号が同時に検出され、しかも前記第1の時間遅延が与
    える位相差と第2の時間遅延が与える位相差が特定の組
    合せであったか否かを古典チャンネルにより確認し、特
    定の組合せであった場合のみ、1ビットの信号を登録す
    ることを特徴とする量子暗号の構成方法。
  2. 【請求項2】 前記第1および第2の光パルスを光パラ
    メトリック増幅または原子のカスケード遷移によって発
    生することを特徴とする請求項1記載の量子暗号の構成
    方法。
  3. 【請求項3】 量子力学状態を変調した第1の信号を伝
    える量子チャンネルと、古典状態を変調した第2の信号
    を伝える古典チャンネルを用い、不確定性原理に基づい
    て盗聴行為によって前記第1の信号に発生する撹乱の有
    無を前記古典チャンネルで監視しながら、乱数表を送信
    側より受信側に伝送し、前記乱数表を秘密鍵とする量子
    暗号の構成方法において、 送信側において、ポンプ光子を光パラメトリック増幅器
    に供給して、第1の光パルスおよび第2の光パルスを発
    生し、 第1の光子パルスを2つの光路に分岐し、分岐された一
    方の光パルスに遅延手段で第1の時間遅延を施し、分岐
    した他方の光パルスの光路に合流させ、合流した光路が
    取り得る2つの光路のうちの1つの光路を光ファイバか
    らなる第1の量子チャンネルに光学的に接続し、 前記第2の光パルスを光ファイバからなる第2の量子チ
    ャンネルに入力し、 受信側においては、前記第1の量子チャンネルの出力を
    第1の受光器に入力し、 前記第2の量子チャンネルの出力を2つの光路に分岐
    し、分岐された一方の光パルスに遅延手段により第2の
    時間遅延を施し、分岐した他方の光パルスの光路に合流
    させ、合流した光路が取り得る2つの光路の一方を第2
    の受光器に入力し、他方の光路を第3の受光器に入力
    し、 前記第1の受光器と第2または第3の受光器で信号が同
    時に検出され、しかも前記第1の時間遅延が与える位相
    差と第2の時間遅延が与える位相差が特定の組合せであ
    ったか否かを古典チャンネルにより確認し、特定の組合
    せであった場合のみ、1ビットの信号を登録することを
    特徴とする量子暗号の構成方法。
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