JPH09244545A - 平板型画像形成装置における表示パネルの固定方法及び固定装置 - Google Patents

平板型画像形成装置における表示パネルの固定方法及び固定装置

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JPH09244545A
JPH09244545A JP4609196A JP4609196A JPH09244545A JP H09244545 A JPH09244545 A JP H09244545A JP 4609196 A JP4609196 A JP 4609196A JP 4609196 A JP4609196 A JP 4609196A JP H09244545 A JPH09244545 A JP H09244545A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平板型画像形成装置における表示パネルの、
安全かつ安定な固定方法を提供する。 【解決手段】 表示パネルが電子放出素子群を搭載した
基板と、電子放出素子群から放出される電子線の照射に
より画像が形成される画像形成部材を搭載し、基板に対
向して配置されるフェースプレートと、前記基板と前記
フェースプレート間の支持枠とからなり、そのフェース
プレートの、基板と対向する面と反対側の面で、基板が
支持枠と接触する部位に相当する周縁部分の全面又はこ
の周縁部分の複数個所に接触する弾性力のある第1の支
持手段と、表示パネルと嵌合する第2の支持手段とを結
合することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子源を応用した画
像形成装置における表示パネルの固定方法及び固定装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子として熱電子源と冷
陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源には
電界放出型(以下FE型と略す)、金属/絶縁層/金属
型(以下MIM型と略す)や表面伝導型電子放出素子等
がある。FE型の例としてはW.P.Dyke &
W.W.Dolan,”Field emissio
n”,Advance in Electron Ph
ysics, 89(1956)あるいはC.A.S
pindt,”Physical Propertie
s of thin−film field emis
sion cathodes with molybd
enium”,J.Appl.Phys.,47 52
48(1976)等が知られている。
【0003】MIM型の例としてはC.A.Mea
d,”The tunnel−emission am
plifier”,J.Appl.Phys.,32
646(1961)等が知られている。
【0004】表面伝導型電子放出素子型の例としては、
M.I.Elinson,Radio Eng.Ele
ctron Phys.,10(1965)等がある。
表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成された小面積
の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより、電子放
出が生ずる現象を利用するものである。この表面伝導型
電子放出素子としては、前記エリンソン等によるSnO
2 薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの[G.Dit
tmer:”Thin Solid Films”,
317(1972)]、In23 /SnO2 薄膜に
よるもの[M.Hartwell and C.G.F
onstad:”IEEE Trans.ED Con
f.”,519(1975)]、カーボン薄膜によるも
の[荒木久 他:真空、第26巻、第1号、22頁(1
983)]等が報告されている。
【0005】これら表面伝導型電子放出素子の典型的な
素子構成として前述のM.ハートウェルの素子構成を図
14に示す。同図において1は基板である。4は導電性
薄膜で、H型形状のパターンに、スパッタで形成された
金属酸化物薄膜等からなり、後述の通電フォーミングと
呼ばれる通電処理により電子放出部5が形成される。な
お、図中の素子電極間隔Lは、0.5〜1mm、Wは、
0.1mmで設定されている。電子放出部5の位置及び
形状については、不明であるので模式図として表した。
【0006】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に導電性薄膜4をあらかじ
め通電フォーミングと呼ばれる通電処理し、電子放出部
5を形成するのが一般的であった。すなわち、通電フォ
ーミングとは前記導電性薄膜4の両端に直流電圧あるい
は非常にゆっくりとした昇電圧例えば1V/分程度を印
加通電し、導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変
質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部5を
形成することである。電子放出部5は導電性薄膜4の一
部に亀裂が発生しその亀裂付近から電子放出が行われ
る。前記通電フォーミング処理をした表面伝導型電子放
出素子は、上述導電性薄膜4に電圧を印加し、素子に電
流を流すことにより上述電子放出部5より電子を放出せ
しめるものである。
【0007】上述の表面伝導型電子放出素子は構造が単
純で製造も容易であることから大面積にわたり多数素子
を配列形成できる利点がある。そこでこの特徴を生かせ
るようないろいろな応用が研究されている。例えば、荷
電ビーム源、画像表示装置等の表示装置があげられる。
【0008】図15は従来の平板型画像形成装置におけ
る表示パネルの固定方法及び固定装置を示す一例であ
る。同図において、6は電子放出素子群を搭載した基板
7と画像形成部材を搭載したフェースプレート8、そし
て支持枠9からなる表示パネルである。19は前記表示
パネル6と駆動回路基板10を内包したパネル筐体であ
る。12は表示パネルをパネル筐体に固定するための支
持装置であり、前記表示パネルは前記基板7のフェース
プレート8に対向する面と反対側の面が支持装置12に
両面テープ20で固定支持されている。
【0009】一方、図16は従来の平板型画像形成装置
における表示パネルの固定方法及び固定装置を示す他の
例である。同図において、6は電子放出素子群を搭載し
た基板7と支持枠一体型の画像形成部材を搭載したフェ
ースプレート8からなる表示パネルである。19は前記
表示パネル6と駆動回路基板10を内包したパネル筐体
である。12は表示パネルをパネル筐体に固定するため
の支持装置であり、前記表示パネルを、前記基板の四隅
を前記支持装置上に設けた弾性体13に挟み込んで支持
固定している。
【0010】しかしながら、上記の固定方法及び固定装
置を有する画像形成装置では両面テープの経時劣化によ
り、固定が不安定となってしまう。また、表示パネルの
薄型化に伴い、表示パネルの剛性が低下するために、こ
の基板四隅を固定支持する方法では、駆動時の熱応力や
大気圧の応力による変形(表示パネルのそり)が大きく
なり、引き出し電極部(不図示)から真空リークや最悪
の場合破損することがあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は上記
従来の方法の欠点を解消し、表示パネルのそりを許容し
て、表示パネルに余分な負荷をかけることなく、安全か
つ安定な表示パネルの固定方法及び固定装置を提供する
ことである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の固定方法および
固定装置は以下のようである。 1.電子放出素子群を搭載した基板(A)と、前記電子
放出素子群から放出される電子線の照射により画像が形
成される画像形成部材を搭載し、基板(A)に対向して
配置されるフェースプレート(B)と、基板(A)とフ
ェースプレート(B)間の支持枠(C)とからなる方形
の表示パネルを少なくとも有する平板型画像形成装置に
おける前記表示パネルの固定方法において、フェースプ
レート(B)の、基板(A)と対向する面と反対側の面
で、基板(A)が支持枠(C)と接触する部位に相当す
る周縁部分の全面又はこの周縁部分の複数個所に接触す
る第1の支持手段と、前記表示パネルと嵌合する第2の
支持手段とを結合することを特徴とする前記表示パネル
の固定方法。 2.前記第1の支持手段が、前記表示パネルの筐体の、
窓を有する前枠を形成し、その裏面に、前記周縁部分の
複数個所に接触する弾性力のある突起部を有することを
特徴とする上記1に記載の固定方法。 3.前記第1の支持手段の前記周縁部分との接触個所
が、各辺の周縁の中央部に少なくとも1個所あり、この
中央部に接触する支持手段の弾性力が、同一周縁の中央
部以外の部位に接触する支持手段の弾性力よりも小でな
いことを特徴とする上記1又は2に記載の固定方法。 4.前記第2の支持手段が、背板を有し、この背板の、
前記基板(A)と前記支持枠(C)と接触する部位に相
当する周縁部分の複数個所に、弾性力のある突起部を有
することを特徴とする上記1ないし3に記載の固定方
法。 5.前記突起部が、前記背板の各辺の周縁の中央部に少
なくとも1個所あり、この中央部にある突起部の弾性力
が、同一周縁の中央部以外の部位にある突起部の弾性力
よりも小でないことを特徴とする上記4に記載の固定方
法。 6.前記背板が、前記電子放出素子群を駆動する駆動回
路を搭載した基板である上記5に記載の固定方法。 7.前記電子放出素子として表面伝導型電子放出素子を
用いることを特徴とする上記1〜6に記載の画像形成装
置における表示パネルの固定方法。 8.電子放出素子群を搭載した基板(A)と、前記電子
放出素子群から放出される電子線の照射により画像が形
成される画像形成部材を搭載し、基板(A)に対向して
配置されるフェースプレート(B)と、基板(A)とフ
ェースプレート(B)間の支持枠(C)とからなる表示
パネルを少なくとも有する平板型画像形成装置における
前記表示パネルの固定装置であって、フェースプレート
(B)の、基板(A)と対向する面と反対側の面で、基
板(A)が支持枠(C)と接触する部位に相当する周縁
部分の全面又はこの周縁部分の複数個所に接触させる第
1の支持手段と、前記表示パネルと嵌合し、前記第1の
支持手段と結合させる第2の支持手段とからなることを
特徴とする前記表示パネルの固定装置。 9.前記第1の支持手段が、前記表示パネルの筐体の、
窓を有する前枠を形成し、その裏面に、前記周縁部分の
複数個所に接触する弾性力のある突起部を有することを
特徴とする上記8に記載の固定装置。 10.前記第1の支持手段の前記周縁部分との接触個所
が、各辺の周縁の中央部に少なくとも1個所あり、この
中央部に接触する支持手段の弾性力が、同一周縁の中央
部以外の部位に接触する支持手段の弾性力よりも小でな
いことを特徴とする上記8又は9に記載の固定装置。 11.前記第2の支持手段が、背板を有し、この背板
の、前記基板(A)と前記支持枠(C)と接触する部位
に相当する周縁部分の複数個所に、弾性力のある突起部
を有することを特徴とする上記8ないし10に記載の固
定装置。 12.前記突起部が、前記背板の各辺の周縁の中央部に
少なくとも1個所あり、この中央部にある突起部の弾性
力が、同一周縁の中央部以外の部位にある突起部の弾性
力よりも小でないことを特徴とする上記11に記載の固
定装置。 13.前記背板が、前記電子放出素子群を駆動する駆動
回路を搭載した基板である上記12に記載の固定装置お
よび、 14.前記電子放出素子として表面伝導型電子放出素子
を用いることを特徴とする上記8〜13に記載の固定装
置である。
【0013】本発明の通りに構成された画像形成装置に
おける表示パネルの固定方法及び固定装置では、表示パ
ネルのそりを許容し、表示パネルに余分な負荷をかける
ことなく、安全で安定な固定が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】次に本発明の好ましい実施態様を
図を参照しながら示す。図1は本発明の一実施態様を示
す画像形成装置における表示パネルの固定方法及び固定
装置である。図において6は、電子放出素子群(不図
示)を搭載した基板7とこの電子放出素子群から放出さ
れる電子ビームにより画像が形成される画像形成部材
(不図示)を搭載したフェースプレート8、そして基板
7とフェースプレート8間に設置される支持枠9からな
る表示パネルである。14は基板7の全面を支える補強
部材兼支持装置で第2の支持手段を構成し、15a〜c
は板ばねにより弾性を持たせたフェースプレート側の支
持装置で第1の支持手段を構成し、フェースプレート上
の支持枠と接触する部分に対応する部分(図中斜線部
分)を押さえている。この補強部材兼支持装置14と支
持装置15a〜cはネジ等で固定する。19は、表示パ
ネル6と支持部材14、15a〜c、そして画像表示信
号を発する駆動回路基板10を内包するパネル筐体であ
る。それぞれの部材は、パネル筐体19にネジ止め固定
される。
【0015】上記電子放出素子群としては、構成が単純
であり、製法が容易な表面伝導型電子放出素子群が好適
である。表面伝導型電子放出素子は基本的に平面型表面
伝導型電子放出素子及び垂直型表面伝導型電子放出素子
の2種類があげられる。図3は基本的な表面伝導型電子
放出素子の構成を示す模式図で(a)及び(b)はそれ
ぞれ平面図及び断面図である。図3において1は基板、
2、3は素子電極、4は導電性薄膜、5は電子放出部で
ある。基板1としては、石英ガラス、Na等の不純物含
有量の少ないガラス、青板ガラス、SiO2 を表面に形
成したガラス基板又はアルミナ等のセラミックス基板が
用いられる。素子電極2、3の材料としては一般的導電
体が用いられ、例えばNi、Cr、Au、Mo、W、P
t、Ti、Al、Cu、Pd等の金属或は合金及びP
d、Ag、Au、RuO2 、Pd−Ag等の金属或は金
属酸化物とガラス等から構成される印刷導体、In2
3 −SnO2 等の透明導電体及びポリシリコン等の半導
体材料等から適宜選択される。
【0016】素子電極間隔Lは好ましくは数百オングス
トロームより数百マイクロメートルの範囲である。また
素子電極間に印加する電圧は低い方が望ましく、再現よ
く作成することが要求されるため好ましい素子電極間隔
は数マイクロメートルより数十マイクロメートルの範囲
である。素子電極長さWは電極の抵抗値、電子放出特性
から数マイクロメートルより数百マイクロメートルの範
囲であり、また素子電極2、3の膜厚は、数百オングス
トロームより数マイクロメートルの範囲であるのが好ま
しい。
【0017】なお、図3の構成でなく、基板1上に導電
性薄膜4、素子電極2、3の電極を順に形成させた構成
にしてもよい。
【0018】導電性薄膜4は良好な電子放出特性を得る
ために微粒子で構成された微粒子膜が特に好ましく、そ
の膜厚は素子電極2、3へのステップカバレージ、素子
電極2、3間の抵抗値及び後述する通電フォーミング条
件等によって、適宜設定されるが、好ましくは数オング
ストロームから数千オングストロームで、特に好ましく
は10オングストロームより500オングストロームで
ある。そのシート抵抗値は10の3乗乃至10の7乗オ
ーム/□である。
【0019】導電性薄膜4を構成する材料は、Pd、P
t、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、Cr、F
e、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金属、PdO、S
nO2、In23 、PbO、Sb23 等の酸化物、
HfB2 、ZrB2 、LaB6、CeB6 、YB4 、G
dB4 等の硼化物、TiC、ZrC、HfC、TaC、
SiC、WC等の炭化物、TiN、ZrN、HfN等の
窒化物、Si、Ge等の半導体、カーボン等があげられ
る。
【0020】なお、上述の微粒子膜とは複数の微粒子が
集合した膜であり、その微細構造として、微粒子が個々
に分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、
あるいは重なり合った状態(島状も含む)の膜をさして
おり、微粒子の粒径は数オングストロームから数千オン
グストロームの範囲であり、好ましくは10オングスト
ロームより200オングストロームの範囲である。
【0021】電子放出部5は導電性薄膜4の一部に形成
された高抵抗の亀裂であり、通電フォーミング等により
形成される。また亀裂内には数オングストロームないし
数百オングストロームの粒径の導電性微粒子を有するこ
ともある。この導電性微粒子は導電性薄膜4を構成する
物質の少なくとも一部の元素を含んでいる。また電子放
出部5及びその近傍の導電性薄膜4は炭素及び炭素化合
物を有することもある。
【0022】図4は垂直型表面伝導型電子放出素子の基
本的な構成を示す模式的断面図である。図4において図
3と同一の部材については同一符号を付与してある。2
1は段差形成部である。基板1、素子電極2と3、導電
性薄膜4、電子放出部5は前述した平面型表面伝導型電
子放出素子と同様の材料で構成することができ、段差形
成部21は絶縁性材料で構成され、段差形成部21の膜
厚が先に述べた平面型表面伝導型電子放出素子の素子電
極間隔Lに相当する。その間隔は数百オングストローム
より数十マイクロメートルの範囲である。またその間隔
は段差形成部の製法及び素子電極間に印加する電圧によ
り制御することができるが、好ましくは数百オングスト
ロームより数マイクロメートルの範囲である。導電性薄
膜4は素子電極2、3と段差形成部21作成後に形成す
るため、素子電極2、3の上に積層される。なお、図4
において電子放出部5は段差形成部21に直線状に形成
されているように示されているが、作成条件、通電フォ
ーミング条件等に依存し、形状、位置ともこれに限るも
のではない。
【0023】上述の表面伝導型電子放出素子の製造方法
として様々な方法が考えられるが、その一例を図5に示
す。以下、図3及び図5に基づいて電子源基板の作製方
法について説明する。なお、図5において図3と同一の
部材については同一の符号を付与してある。 1)基板を洗剤、純水および有機溶剤により十分に洗浄
後、真空蒸着法、スパッタ法等により素子電極材料を堆
積する。その後、フォトリソグラフィー技術によりこの
基板上に素子電極2、3を形成する(図5(a))。 2)素子電極2、3を設けた基板1に、有機金属溶液を
塗布して放置することにより有機金属薄膜を形成する。
ここでいう有機金属溶液とは前述の導電性膜4を形成す
る金属を主元素とする有機金属化合物の溶液である。そ
の後、有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エ
ッチング等によりパターニングし、導電性薄膜4を形成
する(図5(b))。なお、ここでは導電性薄膜の形成
を有機金属溶液の塗布法により説明したが、これに限る
ものでなく真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積
法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等によ
って形成することもできる。 3)続いて通電フォーミングと呼ばれる通電処理を行
う。通電フォーミングは素子電極2、3間に不図示の電
源より通電を行い、導電性薄膜4を局所的に破壊、変形
もしくは変質せしめ、構造を変化させた部位を形成させ
るものである。この局所的に構造変化させた部位を電子
放出部5とよぶ(図5(c))。
【0024】通電フォーミングの電圧波形の例を図6に
示す。電圧波形は特にパルス波形が好ましく、パルス波
高値が一定の電圧パルスを連続的に印加する場合(図6
(a))とパルス波高値を増加させながら、電圧パルス
を印加する場合(図6(b))とがある。まずパルス波
高値が一定電圧とした場合(図6(a))について説明
する。
【0025】図6(a)におけるT1及びT2は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔であり、T1を1マイクロ秒
〜10ミリ秒、T2を10マイクロ秒〜100ミリ秒と
し、三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク電
圧)は表面伝導型電子放出素子の形態に応じて適宜選択
し、適当な真空度、例えば、10の−5乗torr程度
の真空雰囲気下で、数秒から数十分電圧を印加する。素
子の電極間に印加する電圧波形は三角波に限定すること
はなく、矩形波など所望の波形を用いてもよい。図6
(b)におけるT1及びT2は、図6(a)と同様であ
り、三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク電
圧)は、例えば0.1Vステップ程度づつ増加させ適当
な真空雰囲気下で印加する。
【0026】通電フォーミング処理はパルス間隔T2中
に、導電性薄膜4を局所的に破壊、変形しない程度の電
圧、例えば0.1V程度の電圧で、素子電流を測定し、
抵抗値を求め、例えば、1Mオーム以上の抵抗を示した
時に通電フォーミング終了とする。 4)通電フォーミングが終了した素子に活性化工程と呼
ぶ処理を施すことが望ましい。活性化工程とは、例え
ば、10の−4乗〜10の−5乗torr程度の真空度
で、通電フォーミング同様、パルス波高値が一定の電圧
パルスを繰り返し印加する処理のことであり、真空中に
存在する有機物質に起因する炭素及び炭素化合物を導電
薄膜上に堆積させ素子電流If、放出電流Ieを著しく
変化させる処理である。活性化工程は素子電流Ifと放
出電流Ieを測定しながら、例えば、放出電流Ieが飽
和した時点で終了する。また印加する電圧パルスは動作
駆動電圧で行うことが好ましい。ここで炭素及び炭素化
合物とはグラファイト(単、多結晶双方を指す)非晶質
カーボン(非晶質カーボン及び多結晶グラファイトとの
混合物を指す)であり、その膜厚は500オングストロ
ーム以下が好ましく、より好ましくは300オングスト
ローム以下である。 5)こうして作成した電子放出素子を通電フォーミング
工程、活性化工程における真空度よりも高い真空度の雰
囲気下に置いて動作駆動させるのが良い。また更に高い
真空度の雰囲気下で、80℃〜150℃の加熱後動作駆
動させることが望ましい。ここで、通電フォーミング工
程、活性化処理した真空度より高い真空度とは、例えば
約10の−6乗以上の真空度であり、より好ましくは超
高真空系であり、新たに炭素及び炭素化合物が導電薄膜
上にほとんど堆積しない真空度である。こうすることに
よって素子電流If、放出電流Ieを安定化させること
が可能になる。
【0027】図7は、図3で示した構成を有する素子の
電子放出特性を測定するための測定評価装置の概略構成
図である。図7において、図3と同様の符号は、同一の
ものを示す。71は電子放出素子に素子電圧Vfを印加
するための電源、70は素子電極2・3間の導電性薄膜
4を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、74
は素子の電子放出部より放出される放出電流Ieを捕捉
するためのアノード電極、73はアノード電極74に電
圧を印加するための高圧電源、72は素子の電子放出部
5より放出される放出電流Ieを測定するための電流
計、75は真空装置、76は排気ポンプである。
【0028】次に本発明の画像形成装置について述べ
る。画像形成装置に用いられる電子源基板は複数の表面
伝導型電子放出素子を基板上に配列することにより形成
される。表面伝導型電子放出素子の配列の方式には表面
伝導型電子放出素子を並列に配置し、個々の素子の両端
を配線で接続するはしご型配置(以下はしご型配置電子
源基板と呼ぶ)や、表面伝導型電子放出素子の一対の素
子電極にそれぞれX方向配線、Y方向配線を接続した単
純マトリクス配置(以下マトリクス型配置電子源基板と
呼ぶ)があげられる。はしご型配置電子源基板を有する
画像形成装置には電子放出素子からの電子の飛翔を制御
する電極である制御電極(グリッド電極)を必要とす
る。
【0029】以下、この原理に基づき構成した電子源の
構成について、図8を用いて説明する。81は電子源基
板、82はX方向配線、83はY方向配線、84は表面
伝導型電子放出素子、85は結線である。表面伝導型電
子放出素子84は前述した平面型あるいは垂直型どちら
であってもよい。同図において電子源基板81に用いる
基板は前述したガラス基板等であり、用途に応じて形状
が適宜設定される。m本のX方向配線82は、Dx1、
Dx2、・・・Dxmからなり、Y方向配線83はDy
1、Dy2、・・・Dynのn本の配線よりなる。また
多数の表面伝導型素子にほぼ均等な電圧が供給されるよ
うに材料、膜厚、配線幅が適宜設定される。これらm本
のX方向配線82とn本のY方向配線83間は不図示の
層間絶縁層により電気的に分離されてマトリックス配線
を構成する(m、nは共に正の整数)。不図示の層間絶
縁層はX方向配線82を形成した基板81の全面或は一
部に所望の領域に形成される。X方向配線82とY方向
配線83はそれぞれ外部端子として引き出される。更
に、表面伝導型放出素子84の素子電極(不図示)がm
本のX方向配線82とn本のY方向配線83と結線85
によって電気的に接続されている。また表面伝導型電子
放出素子は基板あるいは不図示の層間絶縁層上のどちら
に形成してもよい。
【0030】なお、詳しくは後述するが前記X方向配線
82にはX方向に配列する表面伝導型放出素子84の行
を入力信号に応じて走査するための走査信号を印加する
ための不図示の走査信号発生手段と電気的に接続されて
いる。一方、Y方向配線83にはY方向に配列する表面
伝導型放出素子84の列の各列を入力信号に応じて、変
調するための変調信号を印加するための不図示の変調信
号発生手段と電気的に接続されている。表面伝導型電子
放出素子の各素子に印加される駆動電圧は当該素子に印
加される走査信号と変調信号の差電圧として供給される
ものである。
【0031】上記構成において、単純なマトリクス配線
だけで個別の素子を選択して独立に駆動可能になる。
【0032】つぎに以上のようにして作成したマトリク
ス型配置電子源基板を用いた画像形成装置について、図
9、図10及び図11を用いて説明する。図9は画像形
成装置の基本構成図であり、図10は蛍光膜、図11は
NTSC方式のテレビ信号に応じて表示をするための駆
動回路のブロック図を示し、その駆動回路を含む画像形
成装置を表す。図9において81は電子放出素子を基板
上に作製した電子源基板、91は電子源基板81を固定
したリアプレート、96はガラス基板93の内面に蛍光
膜94とメタルバック95等が形成されたフェースプレ
ート、92は支持枠、91はリアプレートであり、これ
ら部材によって表示パネル98が構成される。84は図
3における電子放出部に相当する。82、83は表面伝
導型電子放出素子の一対の素子電極と接続されたX方向
配線及びY方向配線である。
【0033】表示パネル98は、上述のようにフェース
プレート96、支持枠92、リアプレート91で構成し
たが、リアプレート91は主に電子源基板81の強度を
補強する目的で設けられるため、電子源基板81自体で
十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート91は不要
であり、電子源基板81に直接支持枠92を設け、フェ
ースプレート96、支持枠92、電子源基板81で表示
パネル98を構成してもよい。
【0034】図10中102は蛍光体である。蛍光体1
02はモノクロームの場合は蛍光体のみからなるが、カ
ラーの蛍光膜の場合は蛍光体の配列によりブラックスト
ライプ(a)あるいはブラックマトリクス(b)などと
呼ばれる黒色導電材101と蛍光体102とで構成され
る。ブラックストライプ、ブラックマトリクスが設けら
れる目的はカラー表示の場合、必要となる三原色蛍光体
の各蛍光体102間の塗り分け部を黒くすることにより
混色等を目立たなくすることと、前述の蛍光膜94にお
ける外光反射によるコントラストの低下を抑制すること
である。ブラックストライプの材料としては、通常よく
用いられている黒鉛を主成分とする材料に限るものでは
なく、導電性があり、光の透過及び反射が少ない材料で
あればよい。
【0035】図9のガラス基板93に蛍光体を塗布する
方法はモノクローム、カラーによらず沈澱法や印刷法が
用いられる。また蛍光膜94の内面側には通常メタルバ
ック95が設けられる。メタルバックの目的は蛍光体の
発光のうち内面側への光をフェースプレート96側へ鏡
面反射することにより輝度を向上すること、電子ビーム
加速電圧を印加するための電極として作用すること、表
示パネル内で発生した負イオンの衝突によるダメージか
らの蛍光体の保護等である。メタルバックは蛍光膜作製
後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常フィルミン
グと呼ばれる)を行い、その後Alを真空蒸着等で堆積
することで作製できる。フェースプレート96には、さ
らに蛍光膜94の導電性を高めるため蛍光膜94の外面
側に透明電極(不図示)を設けてもよい。
【0036】表示パネル98は不図示の排気管を通じ、
10-7torr程度の真空度にされ、封止がおこなわれ
る。また表示パネル98の封止後の真空度を維持するた
めにゲッター処理を行う場合もある。これは表示パネル
98の封止を行う直前あるいは封止後に抵抗加熱あるい
は高周波加熱等の加熱法により、表示パネル98内の所
定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸
着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主
成分であり、この蒸着膜の吸着作用により、例えば1×
10-5torrないしは1×10-7torrの真空度を
維持するものである。なお、表面伝導型電子放出素子の
フォーミング以降の工程は適宜設定される。
【0037】次に、マトリクス型配置電子源基板を用い
て構成した画像形成装置を、NTSC方式のテレビ信号
に基づきテレビジョン表示を行うための駆動回路の概略
構成を図11のブロック図を用いて説明する。111は
前記表示パネルであり、また112は走査回路、113
は制御回路、114はシフトレジスタ、115はライン
メモリ、116は同期信号分離回路、117は変調信号
発生器、VxおよびVaは直流電圧源である。
【0038】以下、各部の機能を説明するがまず表示パ
ネル111は端子Dox1ないしDoxmおよび端子D
oy1ないしDoynおよび高圧端子Hvを介して外部
の電気回路と接続している。このうち端子Dox1ない
しDoxmには前記画像形成装置内に設けられている電
子源、すなわちM行N列の行列状にマトリクス配線され
た表面伝導型電子放出素子群を一行(N素子)ずつ順次
駆動してゆくための走査信号が印加される。
【0039】一方、端子Dy1ないしDynには前記走
査信号により選択された一行の表面伝導型電子放出素子
の各素子の出力電子ビームを制御するための変調信号が
印加される。また高圧端子Hvには直流電圧源Vaよ
り、例えば10[kV]の直流電圧が供給されるが、こ
れは表面伝導型電子放出素子より出力される電子ビーム
に蛍光体を励起するのに十分なエネルギーを付与するた
めの加速電圧である。
【0040】次に走査回路112について説明する。同
回路は内部にM個のスイッチング素子を備えるもので
(図中、S1ないしSmで模式的に示している)、各ス
イッチング素子は直流電圧源Vxの出力電圧もしくは0
[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、表
示パネル111の端子Dx1ないしDxmと電気的に接
続するものである。S1ないしSmの各スイッチング素
子は制御回路113が出力する制御信号Tscanに基
づいて動作するものだが実際には例えばFETのような
スイッチング素子を組み合わせることにより構成するこ
とが可能である。なお、前記直流電圧源Vxは前記表面
伝導型電子放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に
基づき走査されていない素子に印加される駆動電圧が電
子放出しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力す
るよう設定されている。
【0041】制御回路113は外部より入力する画像信
号に基づいて適切な表示が行なわれるように各部の動作
を整合させる働きをもつものである。次に説明する同期
信号分離回路116より送られる同期信号Tsyncに
基づいて各部に対してTscan、TsftおよびTm
ryの各制御信号を発生する。
【0042】同期信号分離回路116は外部から入力さ
れるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝度
信号成分とを分離するための回路で周波数分離(フィル
ター)回路を用いれば構成できるものである。同期信号
分離回路116により分離された同期信号はよく知られ
るように垂直同期信号と水平同期信号より成るが、ここ
では説明の便宜上Tsync信号として図示した。一
方、前記テレビ信号から分離された画像の輝度信号成分
を便宜上DATA信号と表すが同信号はシフトレジスタ
114に入力される。
【0043】シフトレジスタ114は時系列的にシリア
ルに入力される前記DATA信号を画像の1ライン毎に
シリアル/パラレル変換するためのもので前記制御回路
113より送られる制御信号Tsftに基づいて動作す
る。(すなわち制御信号Tsftは、シフトレジスタ1
14のシフトクロックであると言い換えてもよい。)シ
リアル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放出
素子N素子分の駆動データに相当する)のデータはId
1ないしIdnのN個の並列信号として前記シフトレジ
スタ114より出力される。
【0044】ラインメモリ115は画像1ライン分のデ
ータを必要時間の間だけ記憶するための記憶装置であ
り、制御回路113より送られる制御信号Tmryにし
たがって適宜Id1ないしIdnの内容を記憶する。記
憶された内容はId1ないしIdnとして出力され変調
信号発生器117に入力される。
【0045】変調信号発生器117は前記画像データI
d1ないしIdnの各々に応じて表面伝導型電子放出素
子の各々を適切に駆動変調するための信号源で、その出
力信号は端子Doy1ないしDoynを通じて表示パネ
ル111内の表面伝導型電子放出素子に印加される。
【0046】本発明に関わる電子放出素子は放出電流I
eに対して以下の基本特性を有している。すなわち電子
放出には明確な閾値電圧Vthがあり、Vth以上の電
圧を印加された時のみ電子放出が生じる。また電子放出
閾値以上の電圧に対しては素子への印加電圧の変化に応
じて放出電流も変化してゆく。なお、電子放出素子の材
料や構成、製造方法を変えることにより電子放出閾値電
圧Vthの値や印加電圧に対する放出電流の変化の度合
いが変わる場合もあるが、いずれにしても以下のような
ことがいえる。
【0047】すなわち、本素子にパルス状の電圧を印加
する場合、例えば電子放出閾値以下の電圧を印加しても
電子放出は生じないが電子放出閾値以上の電圧を印加す
る場合には電子ビームが出力される。その際、第一には
パルスの波高値Vmを変化させることにより出力電子ビ
ームの強度を制御することが可能である。第二には、パ
ルスの幅Pwを変化させることにより出力される電子ビ
ームの電荷の総量を制御することが可能である。
【0048】したがって、入力信号に応じて電子放出素
子を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変
調方式等があげられ、電圧変調方式を実施するには変調
信号発生器117としては一定の長さの電圧パルスを発
生するが入力されるデータに応じて適宜パルスの波高値
を変調するような電圧変調方式の回路を用いる。
【0049】またパルス幅変調方式を実施するには変調
信号発生器117としては、一定の波高値の電圧パルス
を発生するが入力されるデータに応じて適宜電圧パルス
の幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いる
ものである。
【0050】以上に説明した一連の動作により本発明の
画像形成装置は表示パネル111を用いてテレビジョン
の表示を行なえる。なお、上記説明中特に記載しなかっ
たがシフトレジスタ114やラインメモリ115はデジ
タル信号式のものでもアナログ信号式のものでも差し支
えなく、要は画像信号のシリアル/パラレル変換や記憶
が所定の速度で行なわれればよい。
【0051】デジタル信号式を用いる場合には同期信号
分離回路116の出力信号DATAをデジタル信号化す
る必要があるが、これは116の出力部にA/D変換器
を備えれば可能である。また、これと関連してラインメ
モリ115の出力信号がデジタル信号かアナログ信号か
により、変調信号発生器117に用いられる回路が若干
異なったものとなる。
【0052】まずデジタル信号の場合について述べる。
電圧変調方式においては変調信号発生器117には、例
えばよく知られるD/A変換回路を用い、必要に応じて
増幅回路などを付け加えればよい。
【0053】パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器
117は、例えば高速の発振器および発振器の出力する
波数を計数する計数器(カウンタ)および計数器の出力
値と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレー
タ)を組み合せた回路を用いることにより構成できる。
必要に応じて比較器の出力するパルス幅変調された変調
信号を表面伝導型電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増
幅するための増幅器を付け加えてもよい。
【0054】次にアナログ信号の場合について述べる。
電圧変調方式においては変調信号発生器117には、例
えばよく知られるオペアンプなどを用いた増幅回路を用
いればよく、必要に応じてレベルシフト回路などを付け
加えてもよい。またパルス幅変調方式の場合には例えば
よく知られた電圧制御型発振回路(VCO)を用いれば
よく、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電圧
にまで電圧増幅するための増幅器を付け加えてもよい。
【0055】以上のように完成した画像形成装置におい
て、各電子放出素子には、容器外端子Dox1ないしD
oxm、Doy1ないしDoynを通じ、電圧を印加す
ることにより、電子放出させ、高圧端子Hvを通じ、メ
タルバック95、あるいは透明電極(不図示)に高圧を
印加し、電子ビームを加速し、蛍光膜94に衝突させ、
励起・発光させることで画像を表示することができる。
【0056】以上述べた構成は、表示等に用いられる好
適な画像形成装置を作製する上で必要な概略構成であ
り、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述内容に限
られるものではなく、画像形成装置の用途に適するよう
適宜選択する。また、入力信号例として、NTSC方式
をあげたが、これに限るものでなく、PAL、SECA
M方式などの諸方式でもよく、また、これよりも、多数
の走査線からなるTV信号(例えば、MUSE方式をは
じめとする高品位TV)方式でもよい。
【0057】次に、前述のはしご型配置電子源基板及び
それを用いた画像形成装置について図12、図13によ
り説明する。図12において、120は電子源基板、1
21は電子放出素子、122のDx1〜Dx10は前記
電子放出素子に接続する共通配線である。電子放出素子
121は、基板120上に、X方向に並列に複数個配置
される(これを素子行と呼ぶ)。この素子行を複数個基
板上に配置し、はしご型電子源基板となる。各素子行の
共通配線間に適宜駆動電圧を印加することにより、各素
子行を独立に駆動することが可能になる。すなわち、電
子ビームを放出させる素子行には電子放出閾値以上の電
圧を、電子ビームを放出させない素子行には電子放出閾
値以下の電圧を印加すればよい。また各素子行間の共通
配線Dx2〜Dx9を、例えばDx2、Dx3を同一配
線とするようにしてもよい。
【0058】図13ははしご型配置の電子源を備えた画
像形成装置の構造を示すための図である。130はグリ
ッド電極、131は電子が通過する空孔、132は、D
ox1、Dox2・・・Doxmよりなる容器外端子、
133はグリッド電極130と接続されたG1、G2、
・・・Gnからなる容器外端子、120は前述のように
各素子行間の共通配線を同一配線とした電子源基板であ
る。図9、13と同一の符号は同一の部材を示す。前述
の単純マトリクス配置の画像形成装置(図9)との違い
は、電子源基板120とフェースプレート96の間にグ
リッド電極130を備えていることである。
【0059】基板120とフェースプレート96の中間
には、グリッド電極130が設けられている。グリッド
電極130は、表面伝導型放出素子から放出された電子
ビームを変調することができるもので、はしご型配置の
素子行と直交して設けられたストライプ状の電極に電子
ビームを通過させるため、各素子に対応して1個ずつ円
形の空孔131が設けられている。グリッドの形状や設
置位置は必ずしも図13のようなものでなくともよく、
開口としてメッシュ状に多数の通過口をもうけることも
あり、また例えば表面伝導型放出素子の周囲や近傍に設
けてもよい。容器外端子132およびグリッド容器外端
子133は、不図示の制御回路と電気的に接続されてい
る。
【0060】本画像形成装置では素子行を1列ずつ順次
駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極列に画
像1ライン分の変調信号を同時に印加することにより、
各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像を1ライ
ンずつ表示することができる。
【0061】また本発明によればテレビジョン放送の表
示装置のみならずテレビ会議システム、コンピューター
等の表示装置に適した画像形成装置を提供することがで
きる。さらには感光性ドラム等で構成された光プリンタ
ーとしての画像形成装置としても用いることもできる。
また電子放出素子として表面伝導型電子放出素子ばかり
でなく、MIM型電子放出素子、電界放出型電子放出素
子等の冷陰極電子源にも適用可能である、さらには熱電
子源による画像形成装置にも適用することができる。
【0062】
【実施例】以下実施例により詳細に説明する。
【0063】実施例1 前述のようにして得られた表面伝導型電子放出素子を有
するマトリクス型配置電子源基板(図9)を用い、画像
形成装置を製作した。この実施例における画像形成装置
における表示パネルの固定方法及び固定装置は図1に示
すものであり、前述のように同図において6は、電子放
出素子群(不図示)を搭載した基板7とこの電子放出素
子群から放出される電子ビームにより画像が形成される
画像形成部材(不図示)を搭載したフェースプレート
8、そしてこの基板と該フェースプレート間に設置され
る支持枠9からなる表示パネルである。14は基板7の
全面を支えるアルミ製の補強部材兼支持装置で第2の支
持手段を構成し、15a〜cは板ばねにより弾性を持た
せたフェースプレート側のアルミ製の支持装置で第1の
支持手段を構成し、フェースプレート上の支持枠9に接
触する部分に対応する裏側の面の部分(図中斜線部分)
を押さえる。アルミ製の支持装置とガラス製の該フェー
スプレート及び/または該基板が局所的に接触する場合
には、急峻な温度変化をさけるために、アルミ−ガラス
間にシリコンゴム等を敷設することが望ましい。この補
強部材兼支持装置14と支持装置15a〜cはネジで固
定した。
【0064】一般的に、表示パネルに生じる温度分布は
基板の温度がフェースプレートの温度よりも大きくなる
ため、表示パネルは基板側に凸、フェースプレート側に
凹となるようなそり(表示パネルのサイズに依存して、
数十μm〜数十mm)を生じる。本実施例では、前記分
割支持装置15a〜cの弾性力は、各板厚及び/または
板幅を変化させて曲げこわさDを、 Da,Db≧Dc とした。表示パネルの周辺中央部の弾性力(Da,D
b)≧表示パネル周辺端部の弾性力(Dc)の関係とし
たのは、上記のそりを許容して、該表示パネルに作用す
る負荷を減じる目的のためである。
【0065】分割支持装置の曲げこわさの下限はフェー
スプレートを下向きにしたときに、表示パネル重量を支
え得ることから決定し、上限については表示パネルの曲
げこわさ未満となるように決定した。なお、表示パネル
の周辺端部の分割支持装置15cは、表示パネル重量が
他の分割支持装置15a,bにて支持可能であればなく
ても構わない(Dc=0)。
【0066】19は、該表示パネル6と支持装置14、
15、そして画像表示信号を発する駆動回路基板10を
内包するパネル筐体である。それぞれの部材はこのパネ
ル筐体19にネジ止め固定した。なお、分割支持装置1
5a〜cは、補強部材兼支持装置14にネジ止め固定す
るのではなく、フェースプレート側のパネル筐体11に
固定する構造であっても問題ない。この場合は分割支持
装置15a〜cは、前記本発明の9の突起部の変形とみ
なすことができる。
【0067】以下にフェースプレート8、支持枠9、そ
して電子源基板7からなる表示パネルの作製方法を簡単
に示す。詳細は実施態様に示してある。まず、予め前述
の方法により画像形成部材を搭載した前記フェースプレ
ート8にフリットガラスをディスペンサーで塗布し、前
記支持枠9を所望の位置に合わせた後に380℃、10
分の仮焼成、430℃、10分の本焼成を行った。次
に、前記電子源基板7に、ディスペンサーでフリットガ
ラスを塗布し、先に作製した支持枠9とフェースプレー
ト8について、所定の位置合わせを行い、380℃、1
0分の仮焼成、410℃、10分の本焼成を実施して表
示パネルを作製した。
【0068】組立行程終了後、上記行程で作製された表
示パネル内を真空状態にするために、排気管(不図示)
を介して、表示パネル内をおよそ10の−6乗torr
まで真空排気し、排気管の封止を行った。表示パネルと
補強部材兼支持装置14およびフェースプレート側の支
持装置15a〜cを固定したパネルユニットと駆動用回
路基板10をパネル筐体19にネジ(不図示)止めし
た。
【0069】このように支持枠上部のフェースプレート
上と電子源基板全面を支持固定した画像形成装置におけ
る表示パネルの固定方法では、表示パネルのそりを許容
し、表示パネルに余分な負荷をかけることなく、安全で
安定な表示パネルの固定が可能となり、引き出し電極部
からの真空リークや破損することがなくなった。
【0070】実施例2 前述のようにして得られた表面伝導型電子放出素子を有
するはしご型配置電子源基板(図13)を用い、画像形
成装置を製作した。
【0071】図2は本実施例を示す画像形成装置におけ
る表示パネルの固定方法及び固定装置であり、同図にお
いて6は、電子放出素子群(不図示)を搭載した基板7
と電子放出素子群から放出される電子ビームにより画像
が形成される画像形成部材(不図示)を搭載したフェー
スプレート8、そして基板7とフェースプレート8の間
に設置された支持枠9からなる表示パネルである。11
は前記表示パネル6との接触面に弾性力を有するシリコ
ンゴムの突起部16が設けられているフェースプレート
側の樹脂製のパネル筐体兼支持装置(第1の支持手段)
であり、フェースプレート上の支持枠9に接触する部分
に対応する裏面部分(図面の斜線部分)を押さえる。1
7は第2の支持手段に相当する前記基板7側の支持装置
であり、支持枠9と接触する部分に対応する基板の裏面
に接触する基板突き当て突起部18を設置した。前記フ
ェースプレート突き当て突起部16及び前記基板突き当
て突起部18は表示パネルの周辺中央部に圧縮弾性力が
大きくなるように断面積の大きな突起部を設け、周辺端
部には断面積が小さく圧縮弾性力の小さな突起部を設置
した。
【0072】表示パネルの下端部は前記パネル筐体兼支
持装置11に突き当てて、表示パネルの重量を支える構
造とした。なお、突起部の弾性変形範囲はパネル駆動時
のそり変位量(数十μm〜数mm)以上が望ましく、ま
た、表示パネル重量を支えることが可能であるならば、
基板突き当て突起部及びフェースプレート突き当て突起
部は表示パネルの周辺中央部のみでもよく、また、支持
装置17の替りに駆動回路基板上に基板突き当て突起部
18を設けてもよい。19は、該表示パネル6と支持装
置17、そして画像表示信号を発する駆動回路基板10
を内包する基板側のパネル筐体である。それぞれの部材
はこのパネル筐体19にネジ止め固定した。表示パネル
の作成方法については実施例1と同様である。
【0073】
【発明の効果】このようにフェースプレートと基板を支
持固定した画像形成装置における表示パネルの固定方法
及び固定装置では、表示パネルのそりを許容し、表示パ
ネルに余分な負荷をかけることなく、安全で安定な表示
パネルの固定が可能となり、引き出し電極部からの真空
リークや破損することがなくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様の一例を説明する模式的斜視
図である。
【図2】本発明の実施態様の他の例を説明する模式的斜
視図である。
【図3】本発明に適用される表面伝導型電子放出素子の
基本的な構成を示す模式的平面図及び断面図である。
【図4】本発明に適用される垂直型表面伝導型電子放出
素子の基本的な構成を示す模式的断面図である。
【図5】本発明に適用される表面伝導型電子放出素子の
製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【図6】表面伝導型電子放出素子製造時の通電フォーミ
ングの電圧波形の例を示す図である。
【図7】電子放出素子の電子放出特性測定のための測定
評価装置の概略構成図である。
【図8】単純マトリクス配置の電子源の一例を示す構成
図である。
【図9】本発明に適用される画像形成装置の一例を示す
概略構成図である。
【図10】画像形成装置に使用される蛍光膜の説明図で
ある。
【図11】NTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行
なうための駆動回路のブロック図およびその駆動回路を
有する画像形成装置を示す図である。
【図12】梯子配置の電子源の一例を示す構成図であ
る。
【図13】本発明に適用される画像形成装置の他の例の
概略構成図である。
【図14】従来の表面伝導型電子放出素子の一例を示す
模式的平面図である。
【図15】従来の表示パネルの固定方法及び固定装置の
一例を説明する模式的斜視図である。
【図16】従来の表示パネルの固定方法及び固定装置の
他の例を説明する模式的斜視図である。
【符号の説明】
1 基板 2、3 素子電極 4 導電性薄膜 5 電子放出部 6 表示パネル 7 基板 8 フェースプレート 9 支持枠 10 駆動回路基板 11 パネル筐体兼支持装置 12 支持装置 13 弾性体 14 補強部材兼支持装置 15a〜c 分割支持装置 16 フェースプレート突き当て突起部 17 支持装置 18 基板突き当て突起部 19 パネル筐体 20 両面テープ 21 段差形成部 70 電流計 71 電源 72 電流計 73 高圧電源 74 アノード電極 75 真空装置 76 排気ポンプ 81 電子源基板 82 X方向配線 83 Y方向配線 84 表面伝導型電子放出素子 85 結線 91 リアプレート 92 支持枠 93 ガラス基板 94 蛍光膜 95 メタルバック 96 フェースプレート 97 高圧端子 98 表示パネル 101 黒色導電材 102 蛍光体 111 表示パネル 112 走査回路 113 制御回路 114 シフトレジスタ 115 ラインメモリ 116 同期信号分離回路 117 変調信号発生器、Vx及びVa:直流電圧源 120 電子源基板 121 電子放出素子 122 Dx1〜Dx10からなる共通配線群 130 グリッド電極 131 空孔 132 Dox1〜Doxmからなる容器外端子 133 G1〜Gnからなる容器外端子

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子放出素子群を搭載した基板(A)
    と、前記電子放出素子群から放出される電子線の照射に
    より画像が形成される画像形成部材を搭載し、前記基板
    (A)に対向して配置されるフェースプレート(B)
    と、前記基板(A)と前記フェースプレート(B)間の
    支持枠(C)とからなる方形の表示パネルを少なくとも
    有する平板型画像形成装置における前記表示パネルの固
    定方法において、前記フェースプレート(B)の、前記
    基板(A)と対向する面と反対側の面で、前記基板
    (A)が前記支持枠(C)と接触する部位に相当する周
    縁部分の全面又は該周縁部分の複数個所に接触する第1
    の支持手段と、前記表示パネルと嵌合する第2の支持手
    段とを結合することを特徴とする前記表示パネルの固定
    方法。
  2. 【請求項2】 前記第1の支持手段が、前記表示パネル
    の筐体の、窓を有する前枠を形成し、その裏面に、前記
    周縁部分の複数個所に接触する弾性力のある突起部を有
    することを特徴とする請求項1に記載の固定方法。
  3. 【請求項3】 前記第1の支持手段の前記周縁部分との
    接触個所が、各辺の周縁の中央部に少なくとも1個所あ
    り、該中央部に接触する支持手段の弾性力が、同一周縁
    の中央部以外の部位に接触する支持手段の弾性力よりも
    小でないことを特徴とする請求項1又は2に記載の固定
    方法。
  4. 【請求項4】 前記第2の支持手段が、背板を有し、該
    背板の、前記基板(A)と前記支持枠(C)と接触する
    部位に相当する周縁部分の複数個所に、弾性力のある突
    起部を有することを特徴とする請求項1ないし3に記載
    の固定方法。
  5. 【請求項5】 前記突起部が、前記背板の各辺の周縁の
    中央部に少なくとも1個所あり、該中央部にある突起部
    の弾性力が、同一周縁の該中央部以外の部位にある突起
    部の弾性力よりも小でないことを特徴とする請求項4に
    記載の固定方法。
  6. 【請求項6】 前記背板が、前記電子放出素子群を駆動
    する駆動回路を搭載した基板である請求項5に記載の固
    定方法。
  7. 【請求項7】 前記電子放出素子として表面伝導型電子
    放出素子を用いることを特徴とする請求項1〜6に記載
    の固定方法。
  8. 【請求項8】 電子放出素子群を搭載した基板(A)
    と、前記電子放出素子群から放出される電子線の照射に
    より画像が形成される画像形成部材を搭載し、前記基板
    (A)に対向して配置されるフェースプレート(B)
    と、前記基板(A)と前記フェースプレート(B)間の
    支持枠(C)とからなる表示パネルを少なくとも有する
    平板型画像形成装置における前記表示パネルの固定装置
    であって、前記フェースプレート(B)の、前記基板
    (A)と対向する面と反対側の面で、前記基板(A)が
    前記支持枠(C)と接触する部位に相当する周縁部分の
    全面又は該周縁部分の複数個所に接触させる第1の支持
    手段と、前記表示パネルと嵌合し、前記第1の支持手段
    と結合させる第2の支持手段とからなることを特徴とす
    る前記表示パネルの固定装置。
  9. 【請求項9】 前記第1の支持手段が、前記表示パネル
    の筐体の、窓を有する前枠を形成し、その裏面に、前記
    周縁部分の複数個所に接触する弾性力のある突起部を有
    することを特徴とする請求項8に記載の固定装置。
  10. 【請求項10】 前記第1の支持手段の前記周縁部分と
    の接触個所が、各辺の周縁の中央部に少なくとも1個所
    あり、該中央部に接触する支持手段の弾性力が、同一周
    縁の中央部以外の部位に接触する支持手段の弾性力より
    も小でないことを特徴とする請求項8又は9に記載の固
    定装置。
  11. 【請求項11】 前記第2の支持手段が、背板を有し、
    該背板の、前記基板(A)と前記支持枠(C)と接触す
    る部位に相当する周縁部分の複数個所に、弾性力のある
    突起部を有することを特徴とする請求項8ないし10に
    記載の固定装置。
  12. 【請求項12】 前記突起部が、前記背板の各辺の周縁
    の中央部に少なくとも1個所あり、該中央部にある突起
    部の弾性力が、同一周縁の該中央部以外の部位にある突
    起部の弾性力よりも小でないことを特徴とする請求項1
    1に記載の固定装置。
  13. 【請求項13】 前記背板が、前記電子放出素子群を駆
    動する駆動回路を搭載した基板である請求項12に記載
    の固定装置。
  14. 【請求項14】 前記電子放出素子として表面伝導型電
    子放出素子を用いることを特徴とする請求項8〜13に
    記載の固定装置。
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KR100856461B1 (ko) * 2006-09-22 2008-09-04 주식회사 골드윈 화상출력장치용 프레임 및 이를 구비하는 화상출력장치
WO2020143462A1 (zh) * 2019-01-08 2020-07-16 京东方科技集团股份有限公司 显示装置

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