JPH09242030A - 移動柵のベースウェイト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種構造の移動柵に対して確実に取り付ける
ことができ、しかも軽くて持ち運びが容易な移動柵のベ
ースウェイトを提供すること。 【解決手段】 股開き角度が調節可能にヒンジ連結さ
れ、かつ、内部には加重物Ｗを充填可能な一対の中空ブ
ロック片１・１から構成するという手段、さらに詳しく
は、このような一対の中空ブロック片１・１を移動柵Ｈ
のスタンドＳ裾部またはスタンドＳ間に架設されるアン
ダーバーＵに跨載することによって当該移動柵Ｈを安定
化させるという手段を採用した。 【効果】 １種類のベースウェイトだけで各種構造の移
動柵に対応でき、ベースウェイトの在庫保管や製造の費
用を大幅に削減できるうえに、運搬作業も容易に行え
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、移動柵のベースウ
ェイトの改良、更に詳しくは、工事現場や立入り禁止区
域などに用いる各種構造の移動柵に対して確実に取り付
けることができ、しかも軽くて持ち運びが容易な移動柵
のベースウェイトに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】周知のとおり、道路工事の現場や建設工
事の現場においては、危険防止や工事の邪魔になる無関
係者の立入りを阻止するため通行を妨げる移動柵を臨時
的に設置して立入り禁止区域を明示するという措置が採
られる。

【０００３】ところで、この種の移動柵は風や一寸した
衝撃で倒れては困るので、土を入れた土嚢または水や砂
を充填可能な中空容器などの重錘を移動柵の下部に載せ
て当該移動柵が倒れるのを防止することが多い。

【０００４】このような土嚢や中空容器などの重錘のう
ち中空容器は、軽くて持ち運びに便利であるため、移動
柵の重錘として重宝されている。例えば、図11に示すよ
うな移動柵Ｈ、即ち両側のＡ形スタンドＳ・Ｓの間に２
本のアンダーバーＵ・Ｕが架設された移動柵Ｈにおいて
は、水や砂などの加重物が充填された中空重錘Ｂ’の両
端の引掛部Ｂｆ・Ｂｆを各アンダーバーＵにそれぞれ引
っ掛けてその中空重錘Ｂ’を２本のアンダーバーＵ・Ｕ
の間に架け渡すように載せてある。

【０００５】ところが、このタイプの移動柵Ｈにあって
は、２本のアンダーバーＵ・Ｕの間隔が移動柵Ｈのタイ
プによって異なる場合には中空重錘Ｂ’を引っ掛けるこ
とができず、たとえ引掛可能であっても中空重錘Ｂ’を
安定に取り付けることができないため、移動柵Ｈのタイ
プごとに取付可能な複数種の中空重錘Ｂ’を用意しなけ
ればならず、在庫保管や製造の費用が嵩んで経済的負担
が増大するという問題があった。

【０００６】また、図12に示すような移動柵Ｈ、即ち両
側のＡ形スタンドＳ・Ｓの間に１本のアンダーバーＵの
みが架設された移動柵Ｈにあっては、上記のような中空
重錘Ｂ’を安定に載せることが困難であるため、図12に
示すように、土嚢Ｄを１本のアンダーバーＵに載せて当
該移動柵Ｈの転倒を防止することが多かった。そのた
め、重たい土嚢Ｄを持ち運ぶのが非常に大変であり、ま
た工事現場の見栄えもあまりよくなかった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の移動
柵の重錘に上記の如き問題があったことに鑑みて為され
たものであり、重たい土嚢などの重錘を用いることな
く、各種構造の移動柵に対して確実に取り付けることが
できる汎用性の秀れた移動柵のベースウェイトを提供す
ることを目的としたものである。

【０００８】また、本発明は、水や砂を充填可能に中空
成形された軽くて持ち運びが容易な移動柵のベースウェ
イトを提供することを目的としたものである。

【０００９】

【課題を解決するために採用した手段】本発明者が上記
技術的課題を解決するために採用した手段を、添附図面
を参照して説明すれば、次のとおりである。

【００１０】即ち、本発明は、股開き角度が調節可能に
ヒンジ連結され、かつ、内部には加重物Ｗを充填可能な
一対の中空ブロック片１・１から構成するという手段、
さらに詳しくは、このような一対の中空ブロック片１・
１を移動柵ＨのスタンドＳ裾部またはスタンドＳ間に架
設されるアンダーバーＵに跨載することによって当該移
動柵Ｈを安定化させるという手段を採用することによっ
て、上記課題を解決した点に特徴がある。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明を添附図面に示す実
施形態に基いて更に詳しく説明する。なお、図１は本発
明の第１実施形態品を１本のアンダーバーを有する移動
柵に適用した例を示す斜視図、図２は同第１実施形態品
を２本のアンダーバーを有する移動柵に適用した例を示
す斜視図、図３は同第１実施形態品を別の移動柵に適用
した例を示す斜視図、図４は同第１実施形態品の分解斜
視説明図、図５は同第１実施形態品を閉じた状態を示す
斜視図、図６は同第１実施形態品を開いた状態を示す斜
視図、図７は本発明の第２実施形態品の蛙瞰図、図８は
本発明の実施形態品におけるブロック片部分を省略して
図示したヒンジ板の摺合機構を表わす分解斜視説明図、
図９は図８の各ヒンジ板の摺合面同士を互いに回転させ
た状態を示す分解斜視説明図、図10は別のヒンジ板の摺
合機構を例示した分解斜視説明図、図11は中空重錘を２
本のアンダーバーを有する移動柵に適用した従来例を示
す斜視図、図12は土嚢を１本のアンダーバーを有する移
動柵に適用した従来例を示す斜視図である。

【００１２】まず、本発明の第１実施形態であるベース
ウェイトを図１〜図６に基いて説明する。図中、符号１
で指示するものは、内部に水や砂などの加重物Ｗを充填
可能な合成樹脂製の中空ブロック片であり、超高分子ポ
リエチレンをブロー成形して得られたものである。この
中空ブロック片１をブロー成形する際に添加剤として紫
外線吸収剤を使用しており、この添加剤によって超高分
子ポリエチレンから成る中空ブロック片１の耐久性や耐
候性をさらに向上させている。図４に示すように、前記
中空ブロック片１は２個の成形品をヒンジ連結して一対
に組み合わせる構造となっており、各中空ブロック片１
は同一の金型から得られた同一形状の成形品である。そ
のため、一対の中空ブロック片１・１を構成するのに必
要な２個の成形品を１種類の金型で得ることができ、金
型に要する製造コストを低減できる。

【００１３】１種類の金型により得られた中空ブロック
片１・１は、対向する会合面が図４に示す如き段溝形状
をしており、この巧みに設けた段溝形状面を有する２個
の中空ブロック片１・１を一対として組み合わせること
によって、図１〜図３に示す各種構造の移動柵Ｈに対し
て確実に取り付けることが可能となるのである。

【００１４】そこで、一対の中空ブロック片１・１にお
ける段溝形状について以下に説明する。前記中空ブロッ
ク片１の上部には、符号２で指示する略円盤状のヒンジ
板が一体に成形してあり、このヒンジ板２の中央部には
連結孔21が貫通してあり、その上には把手孔22が形成し
てある。図４に示すように、ボルト31とナット32とから
成る連結部材３を用いて各ヒンジ板２の連結孔21・21に
ボルト31を挿通しナット32にて締め付けることにより、
一対の中空ブロック片１・１がヒンジ連結されて図５に
示す如きベースウェイトＢが得られる。このベースウェ
イトＢは、図６に示すように股開き可能となっており、
その股開き角度は後述の噛合構造によって所要角度に調
節可能である。また、股を合わせるとヒンジ板２・２上
端の把手孔22・22が合致するので、其処に手を入れて持
ち運ぶことも出来る。

【００１５】そして、前記ヒンジ板２においてヒンジ連
結された一対の中空ブロック片１・１の股間上部には、
図１に示す移動柵ＨのスタンドＳ・Ｓ間に架設された一
本のアンダーバーＵを挟着すべき挟込み凹部11・11が各
々形成してある。これら各挟込み凹部11の形状は半円状
の細長い溝であり、この溝を棒状のアンダーバーＵに嵌
合することにより、図１に示すように、一対の中空ブロ
ック片１・１から成るベースウェイトＢをアンダーバー
Ｕに跨載している。

【００１６】つぎに、前記一対の中空ブロック片１・１
の内股下部には、図２に示す移動柵ＨのスタンドＳ・Ｓ
間に架設された２本のアンダーバーＵ・Ｕに引っ掛ける
べき欠込部12・12が各々形成してある。これら各欠込部
12が２本のアンダーバーＵ・Ｕに引っ掛かるように一対
の中空ブロック片１・１を図６の如き股開き状態に調節
して、図２に示すように、ベースウェイトＢを２本のア
ンダーバーＵ・Ｕに跨載している。

【００１７】また、一対の中空ブロック片１・１の股側
に形成された前記挟込み凹部11と欠込部12との間には、
図３に示す移動柵ＨのスタンドＳの裾部Ｓｈを挟着すべ
きジョウ部13・13が各々形成してある。これら各ジョウ
部13にて裾部Ｓｈを上方から挟み込むようにして、図３
に示すように、ベースウェイトＢをスタンドＳの裾部Ｓ
ｈに跨載している。

【００１８】このように、股開き可能にヒンジ連結した
一対の中空ブロック片１・１から成るベースウェイトＢ
の股側形状を巧みに成形したことにより、図１〜図３に
示すような各種構造の移動柵Ｈごとに取付可能な複数種
のベースウェイトを用意しなくとも、上記の如き構造の
ベースウェイトＢを１種類だけ用意してそのベースウェ
イトＢを各種構造の移動柵Ｈに確実に取り付けられる。
よって、ベースウェイトＢの在庫保管や製造の費用を大
幅に削減することが可能となる。

【００１９】また、前記中空ブロック片１の上端面に
は、図４に示すような出入口14が設けてあり、其処から
中空ブロック片１内部に加重物Ｗを充填・排出可能とな
っている。そして、その出入口14にはキャップＣにて栓
をしてある。中空ブロック片１内部に充填する加重物Ｗ
としては、水などの加重液体Ｗｆや砂などの加重粉粒体
Ｗｓを使用している。このように、本発明のベースウェ
イトＢは内部に加重物Ｗを充填・排出可能な一対の中空
ブロック片１・１から構成してあるので、移動柵Ｈを工
事現場に設置する際には中空ブロック片１内部に加重物
Ｗを充填してベースウェイトＢを重錘として機能させる
ことができ、かつ、その移動柵Ｈを除去して運搬する際
には内部の加重物Ｗを排出してベースウェイトＢの運搬
作業を容易に行うことができる。

【００２０】つぎに、本発明の第２実施形態であるベー
スウェイトＢを図７に基いて説明する。第２実施形態の
ベースウェイトＢにおいては、中空ブロック片１の下端
面に出口15を設けた点のみ第１実施形態と異なり、この
出口15から中空ブロック片１内部の加重物Ｗを排出す
る。これにより、加重物Ｗの排出時に中空ブロック片１
を逆さにしなくても出口15のキャップＣを外すだけでよ
く、また、ベースウェイトＢを移動柵Ｈに取り付けた状
態のままでも加重物Ｗの排出作業を行うことができ、作
業能率の向上を図れる。

【００２１】最後に、本実施形態のベースウェイトＢに
おけるヒンジ板２の摺合機構を図８および図９に基いて
説明する。図８および図９においては、説明上、一体成
形されたヒンジ板２を中空ブロック片１の挟込み凹部11
近傍から分離した状態を示してある。各ヒンジ板２は所
定厚みを有する略円盤状に形成してあり、この円盤の片
面は双方のヒンジ板２・２同士が互いに合わさる摺合面
23となる。この摺合面23には、ヒンジ板２の略中心に貫
通した連結孔21の同心円上に１つの凸部24および２つの
凹部25・25が形成してある。そして、一方のヒンジ板２
の凸部24を他方のヒンジ板２の凹部25に噛み合わせるこ
とによって、一対の中空ブロック片１・１の股開き角度
を所要角度に調節することができる。図８では、図５の
如くベースウェイトＢを閉じた状態における両ヒンジ板
２・２の噛合位置を示してあり、図９では、図６の如く
開いた状態における両ヒンジ板２・２の噛合位置を示し
てある。また、前記凸部24および凹部25の代わりに、図
10に示すような円形ノッチ部26を連結孔21の同心円上に
刻設してもよい。この円形ノッチ部26により、一対の中
空ブロック片１・１の股開き角度を更に細かく多段階に
設定することが可能となる。

【００２２】このように股開き角度が所要角度に調節可
能であるベースウェイトＢを使用すれば、各種構造の移
動柵Ｈの所定部位にベースウェイトＢを安定に取り付け
ることができる。

【００２３】本発明の実施形態は概ね上記のとおりであ
るが、本発明は前述の実施形態に限定されるものでは決
してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の
変更が可能であって、例えば、中空ブロック片１の挟込
み凹部11、欠込部12、ジョウ部13を移動柵Ｈの取付部位
の形状に応じて種々の形状に変更することも可能であ
り、このような変更も本発明の技術的範囲に属すること
は言うまでもない。

【００２４】

【発明の効果】以上実施形態を挙げて説明したとおり、
本発明の移動柵のベースウェイトにあっては、一対の中
空ブロック片を股開き可能にヒンジ連結し、かつ、各中
空ブロック片の股側形状を巧みに成形してあるので、各
種構造の移動柵ごとに取付可能な複数種のベースウェイ
トを用意しなくとも、１種類のベースウェイトだけで各
種構造の移動柵に対応できる。よって、ベースウェイト
の在庫保管や製造の費用を大幅に削減することが可能と
なる。また、１本のアンダーバーを有する移動柵に対し
ても本発明のベースウェイトを確実に取り付ることがで
きるため、従来のように重たい土嚢を重錘として使用す
る必要がなく、運搬作業の負担軽減や工事現場の美観向
上を図れる。

【００２５】また、本発明のベースウェイトにあって
は、内部に水や砂などの加重物を充填・排出可能な一対
の中空ブロック片から構成してあるので、移動柵を工事
現場に設置する際には中空ブロック片内部に加重物を充
填してベースウェイトを重錘として機能させることがで
き、かつ、その移動柵を除去して運搬する際には内部の
加重物を排出してベースウェイトの運搬作業を容易に行
うことができる。したがって、工事現場や立入り禁止区
域における実用価値は頗る大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態品を１本のアンダーバー
を有する移動柵に適用した例を示す斜視図である。

【図２】同第１実施形態品を２本のアンダーバーを有す
る移動柵に適用した例を示す斜視図である。

【図３】同第１実施形態品を別の移動柵に適用した例を
示す斜視図である。

【図４】同第１実施形態品の分解斜視説明図である。

【図５】同第１実施形態品を閉じた状態を示す斜視図で
ある。

【図６】同第１実施形態品を開いた状態を示す斜視図で
ある。

【図７】本発明の第２実施形態品の蛙瞰図である。

【図８】本発明の実施形態品におけるブロック片部分を
省略して図示したヒンジ板の摺合機構を表わす分解斜視
説明図である。

【図９】図８の各ヒンジ板の摺合面同士を互いに回転さ
せた状態を示す分解斜視説明図である。

【図10】別のヒンジ板の摺合機構を例示した分解斜視説
明図である。

【図11】中空重錘を２本のアンダーバーを有する移動柵
に適用した従来例を示す斜視図である。

【図12】土嚢を１本のアンダーバーを有する移動柵に適
用した従来例を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 中空ブロック片 11 挟込み凹部 12 欠込部 13 ジョウ部 14 出入口 15 出口 ２ ヒンジ板 21 連結孔 22 把手孔 23 摺合面 24 凸部 25 凹部 26 円形ノッチ部 ３ 連結部材 31 ボルト 32 ナット Ｂ ベースウェイト Ｈ 移動柵 Ｓ スタンド Ｓｈ（スタンドの）裾部 Ｕ アンダーバー Ｔ トップバー Ｗ 加重物 Ｗｆ 加重液体 Ｗｓ 加重粉粒体 Ｃ キャップ Ｂ’ 中空重錘 Ｂｆ 引掛部 Ｄ 土嚢

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 股開き角度が調節可能にヒンジ連結さ
   れ、かつ、内部には加重物Ｗを充填可能な一対の中空ブ
   ロック片１・１から構成されたことを特徴とする移動柵
   のベースウェイト。
2. 【請求項２】 一対の中空ブロック片１・１が上端のヒ
   ンジ板２においてヒンジ連結されて股開き角度が調節自
   在であり、この中空ブロック片１に加重液体Ｗｆまたは
   加重粉粒体Ｗｓを充填し、移動柵ＨのスタンドＳ裾部ま
   たはスタンドＳ間に架設されるアンダーバーＵに跨載す
   ることによって当該移動柵Ｈを安定化させることを特徴
   とする移動柵のベースウェイト。
3. 【請求項３】 ヒンジ連結された中空ブロック片１の股
   間上部に、移動柵ＨのスタンドＳ間に架設された一本の
   アンダーバーＵを挟着すべき挟込み凹部11を有する請求
   項１または２記載の、移動柵のベースウェイト。
4. 【請求項４】 ヒンジ連結された中空ブロック片１の内
   股下部に、移動柵ＨのスタンドＳ間に架設された２本の
   アンダーバーＵ・Ｕに引っ掛けるべき欠込部12を有する
   請求項１〜３の何れか一つに記載の、移動柵のベースウ
   ェイト。
5. 【請求項５】 ヒンジ連結された中空ブロック片１の股
   間上部に、移動柵ＨのスタンドＳ間に架設された一本の
   アンダーバーＵを挟着すべき挟込み凹部11、前記中空ブ
   ロック片１の内股下部には、移動柵ＨのスタンドＳ間に
   架設された２本のアンダーバーＵ・Ｕに引っ掛けるべき
   欠込部12、および前記挟込み凹部11と欠込部12との間に
   は工事用スタンドＳの裾部を挟着すべきジョウ部13を有
   する請求項１〜４の何れか一つに記載の、移動柵のベー
   スウェイト。
6. 【請求項６】 一対の中空ブロック片１・１の股開き角
   度が、両中空ブロック片１上端のヒンジ板２の摺合面23
   に形成された凹凸に噛み合わせによって所要角度に設定
   可能である請求項１〜５の何れか一つに記載の、移動柵
   のベースウェイト。
7. 【請求項７】 中空ブロック片１の各々にキャップ付の
   出入口14が設けられており、其処から加重液体Ｗｆまた
   は加重粉粒体Ｗｓが充填・排出可能である請求項１〜６
   の何れか一つに記載の、移動柵のベースウェイト。