JP2016094746A - 転倒抑制工法および橋脚 - Google Patents
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【解決手段】地盤に直接設けられた既設橋脚10を転倒しにくくする転倒抑制工法であって、既設橋脚10を傾斜させようとするモーメントを発生させる外力が当該既設橋脚10に対して作用したときに当該モーメントを打ち消す方向の抵抗力を生じさせることが可能な抵抗手段Rを、既設橋脚10に取り付けるように構成されている。
【選択図】図2
Description
このような既設橋脚を転倒しにくくする転倒抑制工法としては、例えば、地盤と橋脚とをグラウンドアンカーで一体化させる工法(例えば特許文献1参照)や、地盤と橋脚との接触面積を増加させる工法などが考えられる。
地盤と橋脚との接触面積を増加させる工法の場合、橋脚が河川や海に設置されている際には、接触面積を増加させる部材を設置するために遮水しなければならず、遮水のための大掛かりな設備が必要となるため、費用が嵩む、工期が長くなる等の問題が生じる。また、漏水が発生して、安全に施工できない場合もある。
また、本発明の他の目的は、転倒しにくい橋脚を提供することである。
地盤に直接設けられた既設橋脚を転倒しにくくする転倒抑制工法であって、
前記既設橋脚を傾斜させようとするモーメントを発生させる外力が当該既設橋脚に対して作用したときに当該モーメントを打ち消す方向の抵抗力を生じさせることが可能な抵抗手段を、前記既設橋脚に取り付けるように構成されている。
地盤に直接設けられた橋脚であって、
橋脚本体と、
前記橋脚本体を傾斜させようとするモーメントを発生させる外力が当該橋脚本体に対して作用したときに当該モーメントを打ち消す方向の抵抗力を生じさせることが可能な抵抗手段と、を備えるように構成されている。
前記抵抗手段は、
前記橋脚本体に取り付けられたアームと、
前記アームの先端部から垂下する索状材と、
前記索状材の下端に取り付けられた重錘と、を備え、
前記アームの先端部が前記地盤から遠ざかり、当該先端部から垂下する前記索状材が弛んだ状態から張った状態になることで、前記抵抗力を生じさせるように構成することが可能である。
前記抵抗手段は、
前記橋脚本体に取り付けられ、先端部に略上下方向に沿って形成された孔部を有するアームと、
前記孔部をスライド自在に貫通する棒状材と、
前記棒状材の下端に取り付けられた重錘と、を備え、
前記棒状材は、当該棒状材の前記アームからの抜け落ちを防止するため、上端にストッパを備えており、
前記アームの先端部が前記地盤から遠ざかり、当該先端部に形成された前記孔部を貫通する前記棒状材の前記ストッパと当該アームとが離間した状態から接触した状態になることで、前記抵抗力を生じさせるように構成することが可能である。
前記抵抗手段は、
前記橋脚本体に取り付けられたアームと、
開口部を有する遊嵌材と、
前記遊嵌材の下端に取り付けられた重錘と、を備え、
前記アームの先端部は、前記開口部に遊嵌されており、
前記アームの先端部が前記地盤から遠ざかり、当該先端部を遊嵌する前記開口部の縁と当該アームとが離間した状態から接触した状態になることで、前記抵抗力を生じさせるように構成することが可能である。
前記橋脚本体には、複数の前記アームが取り付けられており、
前記複数のアームは、前記橋脚本体を上方から見て放射状に延出しているように構成することが可能である。
前記重錘は、水を収容可能な器を有し、当該器の中に水が収容されることで錘として機能するものであるように構成することが可能である。
また、転倒しにくい橋脚を提供することができる。
図1は、既設橋脚10の構成の一例を示す図である。
既設橋脚10は、無筋コンクリート製の鉄道用橋脚であり、図1に示すように、四角柱状をなし、その上端部に軌道を敷設可能な床版1が橋桁2を介して架設されている。
以下、橋桁2の延在方向を前後方向、橋桁2の延在方向に直交する水平方向を左右方向と言う。
索状材22の長さは、当該索状材22が垂下するアーム21の先端部が地盤から遠ざかって、当該アーム21の先端部と地盤との距離が所定長さに達した際に、張った状態になる長さに設定されている。
したがって、アーム21の先端部と地盤との距離が所定長さ未満である場合には、当該アーム21の先端部から垂下する索状材22は弛んだ状態であるが、アーム21の先端部と地盤との距離が所定長さ以上である場合には、当該アーム21の先端部から垂下する索状材22は張った状態になる。
具体的には、例えば図3(b)に示すように、既設橋脚10に、当該既設橋脚10を左右方向に貫通する棒状部材Aを固定し、棒状部材Aのうち、既設橋脚10の左側面よりも突出する部分を左側のアーム21として機能させ、既設橋脚10の右側面よりも突出する部分を右側のアーム21として機能させるように構成することも可能である。
また、例えば図3(c)に示すように、既設橋脚10に、当該既設橋脚10の前側面に沿う第1棒状部材A1と当該既設橋脚10の後側面に沿う第2棒状部材A2とのそれぞれを、あと施工アンカー等(図示省略)を用いて固定し、第1棒状部材A1および第2棒状部材A2のうち、既設橋脚10の左側面よりも突出する部分を、左側のアーム21として機能させ、第1棒状部材A1および第2棒状部材A2のうち、既設橋脚10の右側面よりも突出する部分を、右側のアーム21として機能させるように構成することも可能である。
例えば、アーム21は、既設橋脚10の前側面および後側面よりも突出するものであってもよい。この場合、抵抗手段Rを取り付けた既設橋脚10(すなわち、耐転倒性橋脚20)は、左右方向の成分よりも前後方向の成分が大きい方向に地盤が揺れた場合に、抵抗手段Rを取り付ける前の既設橋脚10よりも転倒しにくくなる。
また、アーム21は、例えば図3(d),(e)に示すように、既設橋脚10の左側面、右側面、前側面、および後側面よりも突出するものであってもよい。図3(d)に示す耐転倒性橋脚20のように、複数のアーム21が既設橋脚10を上方から見て放射状に延出している場合や、図3(e)に示す耐転倒性橋脚20のように、複数のアーム21が既設橋脚10を上方から見て四方に延出している場合には、抵抗手段Rを取り付けた既設橋脚10(すなわち、耐転倒性橋脚20)は、地盤の揺れ方向にかかわらず、抵抗手段Rを取り付ける前の既設橋脚10よりも転倒しにくくなる。
次いで、アーム21の先端部の下方に、重錘23を設置し、アーム21の先端部と重錘23とを索状材22で接続する。このようにして、既設橋脚10を耐転倒性橋脚20に変えることができる。
具体的には、既設橋脚10に抵抗手段Rを取り付けるだけなので、施工時の補強が不要あるいは小規模な補強で足りる。よって、地盤と橋脚とをグラウンドアンカーで一体化させる工法等の従来の転倒抑制工法と比較して、安価な施工が可能となる。
また、既設橋脚10に抵抗手段Rを取り付けるだけなので、既設橋脚10が河川や海に設置されている場合であっても、抵抗手段Rの取り付け位置(具体的には、アーム21の取り付け位置)を水面上にすれば、水面上で作業できる。よって、遮水のための大掛かりな設備が不要であり、また、漏水に対する安全性の考慮も不要であるので、地盤と橋脚との接触面積を増加させる工法等の従来の転倒抑制工法と比較して、安価で安全な施工が可能となり、かつ、工期の短縮が可能となる。
さらに、地盤と橋脚との接触面積を増加させる工法であって、橋脚が鉄道用橋脚の場合、線路付近の狭隘な空間では、施工が煩雑になる、接触面積を増加させる部材を設置する箇所を確保できない等の問題が生じるが、既設橋脚10に抵抗手段Rを取り付けるだけなので、線路(軌道)に影響されない施工が可能となる。
なお、橋脚本体は、既設橋脚10に限定されるものではなく、新設された橋脚であってもよい。
抵抗手段Rは、例えば図4(a)に示すように、既設橋脚10に取り付けられ、先端部に略上下方向に沿って形成された孔部31aを有するアーム31と、孔部31aをスライド自在に貫通する棒状材32と、棒状材32の下端に取り付けられた重錘33と、を備えて構成されるものであってもよい。棒状材32としては、例えば、鋼や繊維補強プラスチックなどの公知の材料からなる自立可能な部材を用いることができる。
棒状材32の長さ(具体的には、重錘33とストッパ32aとの間隔)は、当該棒状材32が貫通するアーム31の先端部が地盤から遠ざかって、当該アーム31の先端部と地盤との距離が所定長さに達した際に、当該棒状材32の上端に設けられたストッパ32aと当該アーム31とが接触した状態になる長さに設定されている。
したがって、アーム31の先端部と地盤との距離が所定長さ未満である場合には、当該アーム31を貫通する棒状材32のストッパ32aと当該アーム31とは離間した状態であるが、アーム31の先端部と地盤との距離が所定長さ以上である場合には、当該アーム31を貫通する棒状材32のストッパ32aと当該アーム31とは接触した状態になる。
抵抗手段Rは、例えば図5(a)に示すように、既設橋脚10に取り付けられたアーム41と、開口部42aを有する遊嵌材42と、遊嵌材42の下端に取り付けられた重錘43と、を備えて構成され、アーム41の先端部が、開口部42aに遊嵌されているものであってもよい。遊嵌材42としては、例えば、鋼や繊維補強プラスチックなどの公知の材料からなる自立可能な部材を用いることができる。
開口部42aの上下方向の長さは、当該開口部42aに遊嵌されているアーム41の先端部が地盤から遠ざかって(すなわち、当該開口部42a内でアーム41の先端部が略上方向に移動して)、当該アーム41の先端部と地盤との距離が所定長さに達した際に、当該アーム41と当該開口部42aの縁(具体的には、上縁)とが接触した状態になる長さに設定されている。
したがって、アーム41の先端部と地盤との距離が所定長さ未満である場合には、当該アーム41と当該アーム41の先端部を遊嵌する開口部42aの縁とは離間した状態であるが、アーム41の先端部と地盤との距離が所定長さ以上である場合には、当該アーム41と当該アーム41の先端部を遊嵌する開口部42aの縁とは接触した状態になる。
また、既設橋脚10は、鉄道用橋脚に限定されるものではなく、その他の橋脚であってもよい。
また、既設橋脚10の形状に制限はなく、多角柱状であってもよいし、円柱状であってもよいし、裾広がり形状(多角錐台や円錐台など)であってもよい。また、既設橋脚10の側面には、凹凸があってもよい。また、既設橋脚10は、鉛直方向に立設されたものでも、鉛直方向に対して斜めに立設されたものでもよい。
例えば、図6に示すように、既設橋脚10が水中(河川や海など)に設置されている場合には、重錘23に代えて重錘53を用いてもよい。重錘53は、水を収容可能な器53aを有し、当該器53aの中に水(川の水や海水など)が収容されることで錘として機能する。このように構成することによって、重錘の準備や設置をより容易に行うことができる。無論、重錘53は、変形例1の耐転倒性橋脚30にも、変形例2の耐転倒性橋脚40にも適用可能である。
20 耐転倒性橋脚(橋脚)
21 アーム
22 索状材
23 重錘
30 耐転倒性橋脚(橋脚)
31 アーム
31a 孔部
32 棒状材
32a ストッパ
33 重錘
40 耐転倒性橋脚(橋脚)
41 アーム
42 遊嵌材
42a 開口部
43 重錘
53 重錘
53a 器
R 抵抗手段
Claims (7)
- 地盤に直接設けられた既設橋脚を転倒しにくくする転倒抑制工法であって、
前記既設橋脚を傾斜させようとするモーメントを発生させる外力が当該既設橋脚に対して作用したときに当該モーメントを打ち消す方向の抵抗力を生じさせることが可能な抵抗手段を、前記既設橋脚に取り付けることを特徴とする転倒抑制工法。 - 地盤に直接設けられた橋脚であって、
橋脚本体と、
前記橋脚本体を傾斜させようとするモーメントを発生させる外力が当該橋脚本体に対して作用したときに当該モーメントを打ち消す方向の抵抗力を生じさせることが可能な抵抗手段と、を備えることを特徴とする橋脚。 - 前記抵抗手段は、
前記橋脚本体に取り付けられたアームと、
前記アームの先端部から垂下する索状材と、
前記索状材の下端に取り付けられた重錘と、を備え、
前記アームの先端部が前記地盤から遠ざかり、当該先端部から垂下する前記索状材が弛んだ状態から張った状態になることで、前記抵抗力を生じさせることを特徴とする請求項2に記載の橋脚。 - 前記抵抗手段は、
前記橋脚本体に取り付けられ、先端部に略上下方向に沿って形成された孔部を有するアームと、
前記孔部をスライド自在に貫通する棒状材と、
前記棒状材の下端に取り付けられた重錘と、を備え、
前記棒状材は、当該棒状材の前記アームからの抜け落ちを防止するため、上端にストッパを備えており、
前記アームの先端部が前記地盤から遠ざかり、当該先端部に形成された前記孔部を貫通する前記棒状材の前記ストッパと当該アームとが離間した状態から接触した状態になることで、前記抵抗力を生じさせることを特徴とする請求項2に記載の橋脚。 - 前記抵抗手段は、
前記橋脚本体に取り付けられたアームと、
開口部を有する遊嵌材と、
前記遊嵌材の下端に取り付けられた重錘と、を備え、
前記アームの先端部は、前記開口部に遊嵌されており、
前記アームの先端部が前記地盤から遠ざかり、当該先端部を遊嵌する前記開口部の縁と当該アームとが離間した状態から接触した状態になることで、前記抵抗力を生じさせることを特徴とする請求項2に記載の橋脚。 - 前記橋脚本体には、複数の前記アームが取り付けられており、
前記複数のアームは、前記橋脚本体を上方から見て放射状に延出していることを特徴とする請求項3から5の何れか一項に記載の橋脚。 - 前記重錘は、水を収容可能な器を有し、当該器の中に水が収容されることで錘として機能するものであることを特徴とする請求項2から6の何れか一項に記載の橋脚。
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