JPH09236404A - 白色干渉縞の色変化測定による光路差決定方法 - Google Patents

白色干渉縞の色変化測定による光路差決定方法

Info

Publication number
JPH09236404A
JPH09236404A JP7106096A JP7106096A JPH09236404A JP H09236404 A JPH09236404 A JP H09236404A JP 7106096 A JP7106096 A JP 7106096A JP 7106096 A JP7106096 A JP 7106096A JP H09236404 A JPH09236404 A JP H09236404A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical path
path difference
interference
light
white
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP7106096A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoru Toyooka
了 豊岡
Nobuaki Hayasaka
伸明 早坂
Munehide Kataguchi
宗秀 潟口
Fumio Kobayashi
富美男 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujinon Corp
Saitama University NUC
Original Assignee
Fuji Photo Optical Co Ltd
Saitama University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Optical Co Ltd, Saitama University NUC filed Critical Fuji Photo Optical Co Ltd
Priority to JP7106096A priority Critical patent/JPH09236404A/ja
Publication of JPH09236404A publication Critical patent/JPH09236404A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Instruments For Measurement Of Length By Optical Means (AREA)
  • Microscoopes, Condenser (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 2系の白色光の干渉に基づく干渉色から得ら
れたスペクトル分布と該2系の白色光の光路差との関係
から所定の次元の位相空間上にスケール曲線を形成し、
該スケール曲線に基づき、光路差未知の光によって生じ
るスペクトル分布から該2系の光の光路差を求めること
で、干渉色からの光路差の推定を定量的かつ簡易なもの
とする。 【構成】 光路差0から1000nmまでの干渉色を5nm
おきに201枚作成し、それぞれ10nmおきにサンプリ
ングした31次元データベクトルをもとに相関行列の固
有値を計算し、これにより7つの基底ベクトルを求め
る。視覚的に表現可能な空間は3次元までであるので、
ここではこれらのデータを第1、第2および第4基底ベ
クトルが張る3次元空間上に展開した図で表す。このよ
うにして形成されたスケール曲線に基づき、干渉色に応
じたスペクトル分布から光路差を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、白色干渉縞の色変
化測定による光路差決定方法に関し、詳しくは干渉色が
現れるような種々の現象において、この干渉色に基づき
干渉を生じる2系の光の光路差を求める方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】光波の干渉現象は、干渉を生じる2系の
光の光路差の測定に広く用いられている。通常、光源に
は単色光光源が用いられ、特に最近の干渉計においては
レーザを光源とするのが一般的であるが、このような単
色光による干渉縞は位相差2πごとに明暗が周期的に変
化することから、2π以上の位相跳びがある場合は一般
にその間の位相差を判定することは困難である。同様の
理由により、このような単色光による干渉縞では光路差
0の状態を判定することは困難である。
【0003】それに対して、白色光を光源とする干渉計
は光路差0のときに、透過型では白色の明縞に、反射型
では暗縞になり、光路差0以外の着色縞と明確に区別さ
れる。すなわち、光路差0の状態が絶対的に決定され
る。このことは、2光束干渉計の光路長を絶対的に合わ
せる必要があるときにしばしば用いられる。具体的には
干渉計の一方の光路上に位置するミラーを光軸方向に走
査し、干渉縞のコントラストが最大になる点の軌跡を各
走査位置で求め、これに基づいて光路差を得る方法や、
さらに、このようなミラー走査により得られた画像の各
点の強度変化をフーリエ変換することによって光路差を
得る方法がある。
【0004】ところが、このようなミラーを光軸上で精
度良く移動させる操作は必ずしも容易ではなく、特に微
分干渉顕微鏡を用いた場合には、このような操作が基本
的に困難である。そこで、白色光を光源とする干渉計で
は光路差が変化するにつれて干渉色が変化することに着
目し、このことを利用して光路差を得ることが考えられ
る。この現象は、微分干渉顕微鏡等において、ナノメー
タオーダの微小な光路長変化を検出する方法に利用され
ている。さらに、光路差に対する色変化はニュートンの
カラースケール(表1参照)としても知られている。
【0005】
【表1】
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来、
色を正確に定量化することは一般に困難とされていた。
また、光路差がある程度以上大きくなるともはや色変化
は観察されず、光源色と同様の一様な光分布が観察され
るのみである。本発明は、このような事情に鑑みなされ
たもので、分離された2系の光の干渉により生じる白色
干渉縞の干渉色を用い、これら2系の光の光路差が大き
くても、この光路差を定量的に、かつ簡単な操作で得る
ことのできる、白色干渉縞の色変化測定による光路差決
定方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、スペク
トル分布を多次元位相空間上のベクトルと考え、このス
ペクトル分布を所定次元の位相空間に展開し、スペクト
ル分布と光路差との関係を表すスケール曲線をつくるこ
とを特徴とするものである。すなわち、本発明の白色干
渉縞の色変化測定による光路差決定方法は、2系の白色
光の干渉により得られた白色干渉縞の干渉色をスペクト
ル分析し、この分析により得られた、多次元位相空間ベ
クトルとして表されるスペクトル分布を、前記2系の光
の光路差との関係に基づき所定次元の位相空間上に展開
し、これにより該所定次元の位相空間上に干渉色と光路
差との関係を表すスケール曲線を形成しておき、該スケ
ール曲線に基づき、光路差未知の2系の光によって生じ
るスペクトル分布から、該2系の光の光路差を決定する
ことを特徴とするものである。
【0008】また、前記所定次元の次元数を、前記多次
元の次元数よりも小さい値に設定するのが望ましい。さ
らに、前記カラースケールを形成する際に、干渉色と2
系の光の光路差との関係を下式から求めるのが望まし
い。 τ(λ)=τ0{1+cos(2πδ/λ)} ここで、λ:波長 δ:光路差
【0009】さらに、上述した白色干渉縞を微分干渉顕
微鏡により得ることも可能である。なお、この方法にお
ける基本的なアルゴリズムは、例えば多変量解析におけ
る主成分分析、パターン認識におけるKL展開法等とし
て知られている方法で、例えば「パターン認識と部分空
間法(産業図書)」等の文献に示されている。
【0010】
【発明の実施の形態】ここで、本発明の白色干渉縞の色
変化測定による光路差決定方法を発明するに到る本発明
者の考察について述べる。一般に、強度が等しい2光波
の干渉による強度は以下の式によって定まる。
【0011】
【数1】
【0012】ここで、τ0は平均強度、δは光路差、λ
は波長である。ところで、一般に広く用いられている単
色光による干渉計においては、波長λを一定値とし、δ
の変化を干渉縞の明暗の変化から求める。また、干渉分
光法においては、光路差δを直線的に変化させたときの
干渉信号変化をフーリエ変換することによって光源の分
光スペクトル分布を求める。それに対し、本発明方法に
おいては、波長に対する強度分布が光路差δをパラメー
タとして変化することを利用し、逆にスペクトル強度分
布から光路差δを求めようとしている。
【0013】ところで、観測波長域を可視光(400nm〜7
00nm)としたとき、上記(1)式から計算した干渉色の
スペクトル分布は図1(a),(b)に示される。この図1
では、光路差0から1000nm までの100nm おきの各光路
差についてのスペクトル分布が示されており、いずれも
全体の面積が等しくなるように規格化されている。この
図1によれば、光路差0では白色、すなわち一様分布と
なり、光路差が増加するにつれて帯域内でのスペクトル
の変化が激しくなることがわかる。
【0014】図2は、これらのスペクトルによる色をC
IE色度図上に示したものである。図2によれば、この
曲線は光路差0の白色からスタートして楕円状の軌跡を
描きながら1000nm まで連続して変化している。これ
は、光路差の増加とともに色が色度図上で複雑に変化し
ていることに対応している。途中で曲線が交差している
位置(220nmと680nm,327nmと890nm)および2つの曲線が
ほぼ重なっている範囲(255nm〜275nmと750nm〜825nm)で
は各々の光路差間において互いに同じ色として観察さ
れ、少なくとも観察された色からは両者を識別すること
はできない。
【0015】光路差をさらに増加させると、色度図上の
軌跡はスタート点に近い白色の領域で複雑な経路をたど
る。この領域ではもはや色変化は観測されない。これに
対し、スペクトル分布は図1の各図におけるスペクトル
変化がさらに激しくなったものとなる。すなわち、この
ような光を分光器に入れると、波長が長くなるにつれて
間隔が狭くなる明暗交互の縞模様があらわれ、これにつ
いて波長の逆数(波数)を横軸に、強度を縦軸にとって
表すと等間隔の正弦波状の分布となる。これは溝状スペ
クトルとよばれる現象で、白色干渉縞から光路差を求め
る方法として利用される(光学の原理;東海大学出版
会;p433参照)。
【0016】本発明者は、このような事実に基づき、白
色干渉縞の色変化を色度図上で議論する限りは定量的解
析はできないが、スペクトル変化そのものに着目すれ
ば、見掛け上色変化がなくなるほどの大きな光路差にお
いても定量化が可能であるという結論に到達し、本発明
をなすに到った。また、実際には画像上の各点について
スペクトル分布を求めることになるが、これら画像上の
各点のスペクトル分布をすべて調べ上げ、それらがそれ
ぞれ特定の光路差に対応するスペクトル曲線であること
を判断することは大変手間のかかることであり、現実的
でない。
【0017】そこで、本実施形態においては、以下の如
くスペクトル分布を表すベクトルの次元数を圧縮する処
理を施している。すなわち、上述した(1)式で与えら
れる干渉縞の分光強度分布を一定波長間隔λ1、λ2
…、λnでサンプリングしたとすると、それは次のよう
なn次元列ベクトルとして記述することができる。
【0018】
【数2】
【0019】ここで、Tは転置を表している。上記
(2)式で表されるτ(λ)は、n次元空間Rnの直交
基底ベクトル{vi}により、下記(3)式のように展
開することができる。
【0020】
【数3】
【0021】もし、ベクトルτがnより小さいpを次元
とする部分空間の周囲に集中しているとすれば、τをp
次元部分空間上に射影したτ’は、下記(4)式により
近似的に表すことができる。
【0022】
【数4】
【0023】ここで、{ui}はp次元部分空間を張る
直交基底ベクトルで、データ集合の相関行列の上位p個
の固有ベクトルとして与えられる。また、部分空間の次
元pは、固有値の総和に対する上位p個の固有値の和の
比を忠実度と定義するとき、忠実度に所望する値を設定
することによって一義的に特定される。
【0024】
【実施例】以下、本発明方法を実施例によりさらに詳細
に説明する。上述した(1)式に基づき、光路差0から
1000nmまでの干渉色を5nmおきに201枚作成し、そ
れぞれ10nmおきにサンプリングした31次元データ
ベクトルをもとに相関行列の固有値を計算し、これによ
り7つの基底ベクトルを求める。この求めた基底ベクト
ルを図3に示す。この場合、7つの基底ベクトルで展開
するときの忠実度は99.99%である。視覚的に表現
可能な空間は3次元までであるので、ここでは図4に示
す如く、これらのデータを第1、第2および第4基底ベ
クトルが張る3次元空間上に展開した図により表す。図
中のドットは、光路差0から1000nmの範囲で5nmお
きにとられた各データを示す点である。それらを結ぶ曲
線は、光路差をパラメータとする曲線である。以下、位
相空間上の曲線をスケール曲線と称する。
【0025】ところで、光路差が未知の干渉色スペクト
ルを位相空間上に展開した場合に、全てが理想的で誤差
を含まないとすれば、この光路差は曲線上の点として展
開されることになる。しかし、実際のデータは種々の実
験誤差を有しているので、理想的なスケール曲線上にの
るとは限らない。その場合は、展開点Sから曲線上の点
への距離Dを次式(5)より計算し、この距離Dを最小
にする光路差を、求めるべき推定値とすることができ
る。
【0026】
【数5】
【0027】ここで、sは位相空間上のスケール曲線上
の点の座標である。位相空間がこのような光路差の推定
を可能にする条件は、スケール曲線が位相空間上で交差
したり重なったりしないこと、である。また、スケール
曲線の全長は長いほうがよく、曲線上のスケール間隔は
できるだけ等間隔に近いことが望ましい。また、本発明
方法においては、必ずしも元のスペクトルを再現する必
要はなく、これらの条件を満足する最適な位相空間を、
直交基底ベクトルまたはそれを変形したベクトルの最適
な組み合わせによって作成することができればよい。
【0028】次に、本発明の実施例方法を図5に示す微
分干渉顕微鏡10に適用した場合の実施例について示
す。まず、微分干渉顕微鏡10の構成について説明す
る。キセノンランプ11からの白色光はレンズ13、偏
光板15および1/4波長板17を通って紙面に平行
(/)および垂直(・)な2つの直線偏光に分離され、
半透明鏡19で反射した後ノマルスキプリズム21で微
小距離Δxだけシフトした2光束とされ、対物レンズ2
3を経由して被検体25を照射する。被検体25で反射
した光はもときた光路を戻り、半透明鏡19を通過し、
アナライザ27で重ね合わせられ、接眼レンズ(図では
示されていない)を通して観察される。この反射光観察
用の光学系では、光路差は、被検体25上の、常光線お
よび異常光線が照射された2点間の高低差によって定ま
る。すなわち、物体の凹凸の量をw(x,y)とすると、光路
差δは、
【数6】 と表すことができる。
【0029】Δxが十分小さければ、最右辺はwの偏微
分値となる。なお、λ/4波長板17の後段に波長板1
7aを挿入して色バイアスを付加することにより、光路
差0のときに人間の目に敏感に感じる色となるよう調整
することも可能である。この顕微鏡10によれば、ナノ
メータオーダの微小な段差を鮮明な色の違いとして判別
することが可能となる。
【0030】本実施例においては、微小回転台の上に取
付けた平面鏡29を微小角度θだけ回転せしめ、このθ
に対応する色光を、図6に示す如き光学系によりファイ
バ束31を経由してモノクロメータ33に導き、波長走
査してその光強度をフォトマル35で検出するようにし
た。なお、上記平面鏡29の傾き角θは、この傾きを変
化させる度に測定し、この傾き角θと、上記常光線と異
常光線の距離からこれら2光線の光路差δを算出できる
ようにした。
【0031】次に、上記傾き角θを変化させ、上記光路
差δを211nmから932nmまで7通り変化させた
ときの測定結果を図7(a)〜(d)(参考図1(a)
〜(d))および図8(a)〜(c)(参考図2(a)
〜(c))に示す。なお、図7および図8に対応して本
願明細書に添付された参考図1および参考図2には、そ
のときの干渉色も併せて示されている。
【0032】また、本実施例においては、光源のスペク
トル分布の影響および検出器の分光感度の影響を排除す
るために、すべてのデータを光路差0の白色スペクトル
データで除算し、規格化している。この光路差δが21
1nmと630nmの場合には干渉色はいずれも茶黄
色、この光路差δが323nmと846nmの場合には
いずれも藍色と、色調としては類似しているが、スペク
トル形状は全く異なっている。これらのデータを前述し
た7つの基底ベクトルからなる理想的な干渉色で作成し
た位相空間上に展開し、光路差の推定を行った。その結
果を図9および下記表2に示す。図9において、横軸は
上述した回転角θから求めた光路差を示し、縦軸はスケ
ール曲線上の点から推定した光路差を示すものである。
両者の差は標準偏差で11.6nmであった。
【0033】
【表2】
【0034】このように上記実施例により、干渉色の理
想的なスペクトル分布((1)式)をもとにして光路差
が推定可能なスケール曲線をつくることができることが
示された。ところで、上記実施例では、一様な干渉色を
フォトマル35の1つのデータから得ているが、これを
2次元画像用として拡張するためには、すなわち、2次
元画像中の各点のスペクトル情報について光路差を推定
するためには、複数のフィルタを介して得られた複数の
画像をCCDカメラ等の撮像装置で光電変換した後コン
ピュータに取り込み、各点のデータを上述した位相空間
上に展開しスケール曲線上で光路差の推定を行えばよ
い。
【0035】このように2次元画像に拡張するためのフ
ィルタとしては、狭帯域通過フィルタあるいは広帯域分
布フィルタを使用することが可能である。まず、狭帯域
通過フィルタを用いる方法では、キセノンランプから放
射された光は、このフィルタを通過した後微分干渉顕微
鏡に入射する。そして、干渉画像をCCDカメラで撮像
する。ここで、下記(7)式の如く、透過率が、中心波
長をλiとした幅Δλの帯域では1、そのほかでは0と
いう理想的な狭帯域通過フィルタを考える。
【0036】
【数7】
【0037】いま、波長400nmから700nmの間
を等間隔に分割するn枚のフィルタを用意し、それらの
フィルタを通して観察したn枚の画像を得たとする。こ
うすると画像上の各点はn個のデータからなる列ベクト
ルとして次式(8)のように表される。
【0038】
【数8】
【0039】このようにして得られた画像の各点のスペ
クトル分布を上述した位相空間上に展開して、スケール
曲線上で光路差を推定すればよい。実際には上記(7)
式で表されるような理想的なフィルタは実在しない。し
かし、フィルタの帯域幅とピーク透過率がそろっている
ものを用意することができれば、フィルタ関数の影響を
補正したうえで、画像の各点のスペクトル分布を上述し
た位相空間上に展開して、スケール曲線上で光路差を推
定することができる。
【0040】さらに、フィルタの帯域幅も透過率もそろ
っていない場合は上述した位相空間を使うことはできな
い。この場合は、光路差が正確にわかっている干渉色を
狭帯域フィルタを通した微分干渉顕微鏡像とCCDカメ
ラからなる系で観察し、光路差を0nmから順次変化さ
せていったときの分光スペクトルデータを学習データと
して実験的に位相空間上のスケール曲線を作成する方法
が有効である。
【0041】一方、広帯域分布フィルタを用いる方法
は、はじめから位相空間を張る直交基底ベクトルに相当
するフィルタを用意し、このフィルタを通過した画像の
各点の位相空間上の位置を求める、というものである。
こうするとフィルタの枚数は位相空間を張る直交基底ベ
クトルの数そのものであり、もとのベクトルの次元nよ
りもはるかに少なくすることができる。しかし、この場
合の基底ベクトルは図3に示されるように、帯域全体に
広がり正負の値をとる滑らかな関数である。これに対し
て物理的に実現するフィルタの透過率は非負でなければ
ならない。この場合、数学的変換によって、非直交フィ
ルタ関数を基底ベクトルとなる直交関数に変換すること
ができる(早坂伸明、豊岡 了:広帯域フィルタリング
合成分光映像法、第1回画像センシングシンポジウム講
演論文集、pp.131136)。
【0042】フィルタの透過関数は観察帯域全域にわた
って滑らかに分布するもので、位相空間内で互いにでき
るだけ離れている組み合わせが望ましい。このようにし
て、広帯域分布フィルタを通して観察したp枚の画像か
ら位相空間上の座標を求め、スケール曲線上で光路差を
推定することができる。なお、上記実施例では微分干渉
顕微鏡を用いた場合を例にあげてスケール曲線による光
路差の推定を説明したが、本発明方法はこれに限られる
ものではなく、干渉色が得られる種々の測定器(干渉
計)を用いることが可能である。
【0043】また、本発明方法においては、干渉色が現
れるような現象を利用するもの全般に適用することが可
能であり、例えば、以下に示す薄膜の膜厚測定にも適用
することが可能である。すなわち、薄膜の膜厚測定にお
いては、干渉色のスペクトル変化が膜の光学的厚さに対
応しており、本発明方法を適用して、薄膜による干渉色
画像から各点の光学的厚さを推定することができる。な
お、本発明方法においては、スケール曲線を形成する位
相空間の次元として、所望する忠実度に応じて任意の値
を選択することができる。また、スケール曲線を形成す
る際のサンプリング波長間隔としても上記実施例のもの
とは異なる値を選択可能である。
【0044】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の白色干
渉縞の色変化測定による光路差決定方法によれば、2系
の白色光により生じた干渉色により得られたスペクトル
分布と、この2系の白色光の光路差とを所定次元の位相
空間上で1:1に対応させるようにしてスケール曲線を
形成しておき、この後、光路差未知の干渉色に対応する
スペクトル分布が得られたときには、上記スケール曲線
上に該スペクトル分布を位置せしめ、この位置における
光路差を読み取る。これにより、光路差が未知の場合で
も、干渉色のスペクトル分布から該光路差を定量的に、
かつ簡易に特定することが可能となる。また、スペクト
ル分布が当初定義された位相空間の次元に対し、このス
ペクトル分布が最終的に展開される位相空間の次元をよ
り小さい値に圧縮すれば、実際の画像上の各点について
のスペクトル分布を調べる際における手間が大幅に削減
され好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】光路差の変化に伴うスペクトル分布の変化を示
すグラフ
【図2】CIE色度図上における干渉色の分布を示すグ
ラフ
【図3】実施例において求められる7つの基底ベクトル
を示すグラフ
【図4】3次元空間上にスペクトル分布を展開したとき
の例を示すグラフ
【図5】微分干渉顕微鏡の一例を示す概略図
【図6】スペクトル分布を求めるシステムの一例を示す
概略図
【図7】光路差に応じたスペクトル分布を示すグラフ
(参考図1に対応)
【図8】光路差に応じたスペクトル分布を示すグラフ
(参考図2に対応)
【図9】実際に与えた光路差とスケール曲線を用いて推
定された光路差の関係を示すグラフ
【符号の説明】
10 微分干渉顕微鏡 11 キセノンランプ 19 半透明鏡 21 ノマルスキプリズム 25 被検体 27 アナライザ 29 平面鏡 31 ファイバ束 33 モノクロメータ 35 フォトマル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 潟口 宗秀 茨城県筑波郡谷和原村絹の台5−8−9 (72)発明者 小林 富美男 埼玉県大宮市植竹町1丁目324番地 富士 写真光機株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2系の白色光の干渉により得られた白色干
    渉縞の干渉色をスペクトル分析し、 この分析により得られた、多次元位相空間ベクトルとし
    て表されるスペクトル分布を、前記2系の光の光路差と
    の関係に基づき所定次元の位相空間上に展開し、これに
    より該所定次元の位相空間上に干渉色と光路差との関係
    を表すスケール曲線を形成しておき、 該スケール曲線に基づき、光路差未知の2系の光によっ
    て生じるスペクトル分布から、該2系の光の光路差を決
    定することを特徴とする白色干渉縞の色変化測定による
    光路差決定方法。
  2. 【請求項2】前記所定次元の次元数が、前記多次元の次
    元数よりも小さい値に設定されることを特徴とする請求
    項1記載の白色干渉縞の色変化測定による光路差決定方
    法。
  3. 【請求項3】前記スケール曲線を形成する際に、干渉色
    と2系の光の光路差との関係を下式から求めることを特
    徴とする請求項1もしくは2記載の白色干渉縞の色変化
    測定による光路差決定方法。 τ(λ)=τ0{1+cos(2πδ/λ)} ここで、λ:波長 δ:光路差
  4. 【請求項4】前記白色干渉縞を微分干渉顕微鏡を用いて
    得ることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1
    項記載の白色干渉縞の色変化測定による光路差決定方
    法。
JP7106096A 1996-03-01 1996-03-01 白色干渉縞の色変化測定による光路差決定方法 Withdrawn JPH09236404A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7106096A JPH09236404A (ja) 1996-03-01 1996-03-01 白色干渉縞の色変化測定による光路差決定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7106096A JPH09236404A (ja) 1996-03-01 1996-03-01 白色干渉縞の色変化測定による光路差決定方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09236404A true JPH09236404A (ja) 1997-09-09

Family

ID=13449610

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7106096A Withdrawn JPH09236404A (ja) 1996-03-01 1996-03-01 白色干渉縞の色変化測定による光路差決定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09236404A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001001070A1 (fr) * 1999-06-29 2001-01-04 Omron Corporation Dispositif a source lumineuse, spectroscope comportant le dispositif a source lumineuse et capteur d'epaisseur de couche
JP2002369833A (ja) * 2001-06-15 2002-12-24 J Morita Tokyo Mfg Corp 歯の分光学的特性に基づく歯色識別法と歯色判定器
JP2004279297A (ja) * 2003-03-18 2004-10-07 Japan Science & Technology Agency 膜厚取得方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001001070A1 (fr) * 1999-06-29 2001-01-04 Omron Corporation Dispositif a source lumineuse, spectroscope comportant le dispositif a source lumineuse et capteur d'epaisseur de couche
JP2002369833A (ja) * 2001-06-15 2002-12-24 J Morita Tokyo Mfg Corp 歯の分光学的特性に基づく歯色識別法と歯色判定器
JP2004279297A (ja) * 2003-03-18 2004-10-07 Japan Science & Technology Agency 膜厚取得方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7719677B2 (en) Multi-spectral techniques for defocus detection
JP2679876B2 (ja) 干渉図の空間周波数分析によって表面の形状を測定する方法および装置
US8319975B2 (en) Methods and apparatus for wavefront manipulations and improved 3-D measurements
US7061623B2 (en) Interferometric back focal plane scatterometry with Koehler illumination
US9581430B2 (en) Phase characterization of targets
JP4237175B2 (ja) 白色光干渉計を用いた透明薄膜の厚さ及び形状の測定装置及び方法
JP4411441B2 (ja) 三次元形状計測装置
KR101005179B1 (ko) 광학적 간섭을 이용한 ocd 측정 방법 및 장치
US20070008551A1 (en) Measurement of the top surface of an object with/without transparent thin films in white light interferometry
JP7082137B2 (ja) スペクトル制御干渉法による曲率半径測定
US20190187612A1 (en) Ellipsometry Device and Ellipsometry Method
US6486951B2 (en) Method of evaluating an anisotropic thin film and an evaluating apparatus
JP4011902B2 (ja) 波長依存性を考慮した複屈折測定装置及び方法
WO1994000733A1 (en) Method of an apparatus for interferometrically inspecting a surface of an object
US20030234938A1 (en) Low coherent interference fringe analysis method
KR101716452B1 (ko) 디지털 홀로그래피 마이크로스코프를 이용한 고단차 측정 방법
JPH09236404A (ja) 白色干渉縞の色変化測定による光路差決定方法
KR101547459B1 (ko) 위상 축소 이미징 시스템 및 이를 이용한 이미징 방법
US20060023225A1 (en) Microscope and method of measurement of a surface topography
DE10196214B4 (de) Höhenabtast-Interferometer zum Bestimmen der Absolutposition und des Oberflächenprofils eines Objekts im Hinblick auf ein Datum
KR20050044591A (ko) 간섭계를 이용한 배열 방법
JPH05264220A (ja) 距離測定のための光学的方法と光学装置、および部品の相対的位置決めへのその応用
Toyooka et al. Spectral based estimation of optical path difference of interference colors
WO1996000887A1 (en) An improved optical sensor and method
Toyooka Quantitative analysis of white light fringes in differential interference microscope

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20030506