JPH09224695A - アルカリプロテアーゼを用いた毛髪構成成分の採取法 - Google Patents

アルカリプロテアーゼを用いた毛髪構成成分の採取法

Info

Publication number
JPH09224695A
JPH09224695A JP8058555A JP5855596A JPH09224695A JP H09224695 A JPH09224695 A JP H09224695A JP 8058555 A JP8058555 A JP 8058555A JP 5855596 A JP5855596 A JP 5855596A JP H09224695 A JPH09224695 A JP H09224695A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hair
cortex
cuticle
alkaline protease
bacillus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8058555A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Nakamura
晶 中村
Akira Kon
亮 近
Keiji Takeuchi
啓二 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lion Corp
Original Assignee
Lion Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Lion Corp filed Critical Lion Corp
Priority to JP8058555A priority Critical patent/JPH09224695A/ja
Publication of JPH09224695A publication Critical patent/JPH09224695A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 毛髪のコルテックス部位を構成するマトリッ
クス及びミクロフィブリルのケラチン蛋白種を優先的に
分解し、コルテックス起源の分解ペプチド、アミノ酸及
びメラニンと形状を維持したキューティクル部位あるい
は断片を効率良く採取する。 【解決手段】 毛髪に還元剤共存下、好アルカリ性のバ
チルス属細菌から産生されるアルカリプロテアーゼBY
AをpH10以上のアルカリ性条件下で作用させ、毛髪
のコルテックス部位を構成するマトリックス及びミクロ
フィブリルのケラチン蛋白種を優先的に分解してコルテ
ックス起源の分解ペプチド、アミノ酸及びメラニンと形
状を維持したキューティクル部位又はキューティクル断
片を採取する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、毛髪のコルテック
ス部位を構成するマトリックス並びにミクロフィブリル
のケラチン蛋白種を優先的に分解し、コルテックス起源
の分解ペプチド、アミノ酸及びメラニンと形状を維持し
たキューティクル部位あるいは断片を採取する方法であ
り、得られた分解ペプチド、アミノ酸及びメラニンの解
析から毛髪物性や機能の解明、損傷モデル毛髪試料の調
製並びに白髪の診断など、学問上等の有益な手法となり
得るほか、得られた分解ペプチド、アミノ酸及びメラニ
ンは、香粧品原料、洗浄剤原料並びに医薬、化学原料、
生化学試薬などとして利用できるものである。なお、本
発明において、「毛髪」は人の毛髪以外に羊毛などの哺
乳動物の毛を含む意味で用いる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】毛髪の
70〜80%は蛋白質からなる。毛髪中の蛋白質は、構
造や特性の異なる数種類のものが複雑に絡み合い不溶性
のケラチンを形成し、強固な繊維状態で存在している。
そのため、毛髪中の蛋白質の分解法については数多くの
提案がなされているが、完全なものはない。
【0003】即ち、これまでに報告されている毛髪中の
蛋白質の分解法としては、単純に毛髪をアルカリ剤で分
解する方法(Wertz,P.W.,Downing,
D.T.,LIPIDS 23,878−881(19
88))、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド
(四級アミン)及び塩酸による分解とメラニン顆粒の採
取(日本化粧品技術者会会誌、12,39−45(19
78))が提案されているが、これら方法では、毛髪の
特定の部位のみを壊すことは不可能であり、また、酵素
法(特開昭56−73095号公報、特開昭61−18
3298号公報)も提案されているが、この方法でも特
定部位のみを分解採取することはできないものであっ
た。
【0004】毛髪のコルテックス部位又はキューティク
ル部位を構成する蛋白種の分解ペプチド、アミノ酸及び
コルテックス部位に局在するメラニン顆粒を得るには、
予めそれらの部位を分画後、処理して得る方法が第一に
考えられる。前者のコルテックス部位を得る方法は、い
くつか提案されており、毛髪や羊毛を過蟻酸や過酢酸水
溶液で処理することでS−S結合を酸化切断し、スルホ
ン酸基として分離する方法(Corfield,M.
C.,Robson.A.,Tex.Res.J.6
8,348(1958))、尿素水溶液で解きほぐしな
がら、2−メルカプトエタノールやチオグリコール酸に
よりS−S結合を切断し、採取する方法(Maclar
en,J.A. & Kilpatrick,D.
J.,Aust.J.Biol.Sci.21,805
−813(1968))、チオ硫酸ナトリウムでS−S
結合をS−SO3Naに変化させ抽出する方法(Tho
mas,H.,Conrads,A.,Phan,K.
H.,Locht,M.,Zahn.H.,Int.
J.Biol.Macromol.,8,258−26
4(1986))などがある。
【0005】しかし、これら方法は、抽出効率が悪かっ
たり、ありのままの姿のケラチン蛋白種が得られない等
の課題がある。なお、抽出効率については、羊毛を尿
素、還元剤、SDSなどの界面活性剤との三者混合物で
処理した報告があるが、その収率については未だ満足で
きるものではない(高分子加工、43巻1号14−19
(1994))。
【0006】一方、キューティクル部位を採取する方法
についても、機械的な破壊などでキューティクル部位の
みを剥離する方法があるものの、この方法でもキューテ
ィクル部位を定量的に分取することは難しい(Swif
t,J.A. & Bews,B.,J.Soc.Co
smet.Chem.25,13−22(197
4))。
【0007】また、予め採取したキューティクル部位を
パパイン、プロナーゼ、トリプシン等のプロテアーゼで
段階的に分解する方法も報告されている(Swift,
J.A.Cosmet.Toiletries.91,
46−48(1976))が、この方法は、毛髪全体に
適用した場合、特異性の点で特定部分のみを分解、採取
することはできない。
【0008】このように、毛髪のコルテックス部位及び
キューティクル部位をあらかじめ採取する方法には、上
記課題のほか長時間を要するという問題もあり、効率的
ではない。
【0009】以上のように、毛髪を構成する部位を直
接、特異的に分解し、高収率かつ迅速に採取する方法は
提案されておらず、その開発が強く要望されていた。
【0010】本発明は、上記要望に応えるためになされ
たもので、毛髪のコルテックス部位を構成するマトリッ
クス及びミクロフィブリルのケラチン蛋白種を優先的に
分解し、コルテックス起源の分解ペプチド、アミノ酸及
びメラニンと形状を維持したキューティクル部位あるい
は断片を効率良く採取することができる毛髪構成成分の
採取法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた
結果、毛髪に還元剤共存下、毛髪コルテックス部位を構
成するケラチン蛋白種に特異的に作用するアルカリプロ
テアーゼである好アルカリ性のバチルス属細菌から産生
されるアルカリプロテアーゼBYAをpH10以上のア
ルカリ性条件下で作用させることにより、コルテックス
部位を優先的に分解させ、マトリックス及びミクロフィ
ブリル起源の分解ペプチド、アミノ酸及びメラニンと形
状を維持したキューティクル部位あるいは断片を効率良
く採取できることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0012】本発明の還元剤共存下、上記特定のアルカ
リプロテアーゼBYAを高pH条件下で作用させて毛髪
のコルテックス部位を構成するマトリックス及びミクロ
フィブリルのケラチン蛋白種を優先的に分解し、コルテ
ックス起源の分解ペプチド、アミノ酸及びメラニンと形
状を維持したキューティクル部位あるいは断片が採取で
きる理由としては、まずキューティクル部位を構成する
蛋白種とコルテックス部位を構成するマトリックス及び
ミクロフィブリルの蛋白種の組成及び結合様式の違いに
よるプロテアーゼ耐性差、また、処理pHが高く毛髪が
膨潤する環境下にあるので、コルテックス部位が反応し
易くなったためと考えられる。更に、アルカリプロテア
ーゼBYAが、耐アルカリ性(pH13でも活性保
持)、耐熱性(70℃まで安定)、酸化剤及び還元剤耐
性に優れる特徴を有し、反応中での酵素失活がないこ
と、また、アルカリプロテアーゼBYAは、構造中に疎
水領域が多く、皮膚角質ケラチンなど不溶性ケラチンに
対する基質特異性が高いこと、更に、pH10以上の条
件下で高次構造の変化からキューティクル部位のケラチ
ン蛋白種に対する作用が低下する等の特性を有し、毛髪
の膨潤も幸いし、コルテックス部位での分解反応がキュ
ーティクル部位より早いため、コルテックス起源の蛋白
種を優先的に分解するためであると考えられる。
【0013】従って、本発明は、毛髪に還元剤共存下、
好アルカリ性のバチルス属細菌から産生されるアルカリ
プロテアーゼBYAをpH10以上のアルカリ性条件下
で作用させ、毛髪のコルテックス部位を構成するマトリ
ックス及びミクロフィブリルのケラチン蛋白種を優先的
に分解してコルテックス起源の分解ペプチド、アミノ酸
及びメラニンと形状を維持したキューティクル部位又は
キューティクル断片を採取することを特徴とする毛髪構
成成分の採取法を提供する。
【0014】以下、本発明を更に詳しく説明すると、本
発明の毛髪(人の毛髪及び羊毛などの哺乳動物の毛)構
成成分の採取法は、毛髪に還元剤共存下、特定のアルカ
リプロテアーゼBYAを作用させるものである。
【0015】ここで、本発明で用いられる還元剤として
は、例えばチオグリコール酸、2−メルカプトエタノー
ル、ジチオスレイトールなどが好適に使用され、これら
の還元剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いること
ができる。
【0016】処理溶液中の還元剤の含有量は、0.01
〜40%(重量%、以下同様)、好ましくは0.05〜
30%、より好ましくは0.05〜15%の範囲であ
り、特にチオグリコール酸の場合は0.5〜10%、特
に0.5〜3%、2−メルカプトエタノールの場合は
0.5〜10%、特に0.5〜8%、ジチオスレイトー
ルの場合は0.05〜15%、特に0.2〜15%が好
適であり、その範囲内で組み合わせて使用することが好
ましい。これら還元剤の含有量が上記範囲より少ない
と、毛髪ケラチン蛋白種のS−S結合の還元切断が不十
分で所期の目的を達成することが難しくなる場合があ
り、他方その含有量が上記範囲を超えると、酵素活性へ
の影響並びに分解ペプチドの精製過程での負担などが懸
念され好ましくない場合がある。
【0017】次に、本発明で用いられるアルカリプロテ
アーゼとしては、好アルカリ性のバチルス属細菌から産
生されるアルカリプロテアーゼBYAが使用されるもの
である。
【0018】具体的には、特開昭61−280278号
公報に開示されたアルカリプロテアーゼBYAが好適
で、好アルカリ性のバチルス属細菌であるバチルスs
p.Y(微工研菌寄第1029号)、バチルスsp.P
(微工研菌寄第1030号)、バチルスsp.K(微工
研菌寄第1031号)、バチルスsp.X(微工研菌寄
第1032号)から産生されるものである。
【0019】上記プロテアーゼの一次構造は、N末端側
配列がNDVARGIVKADVAQNNYGLYGQ
GQLVAVADTG−−で、活性中心Ser以降の配
列がSMATPIVAGNVAQLREHFIK−−で
ある。
【0020】上記アルカリプロテアーゼの処理溶液への
含有量は、カゼイン基質での活性が50〜100,00
0APU/ml、特に100〜10,000APU/m
lの範囲が好適である。アルカリプロテアーゼの含有量
が50APU/mlより少ないと、分解反応が遅く、特
異性も低下するため所期の目的を達成することが難しく
なる場合があり、他方その含有量が100,000AP
U/mlを超えると、分解ペプチドの精製過程での負担
など経済的に好ましくなくなる場合がある。
【0021】本発明の方法でアルカリプロテアーゼを作
用させるpHについては、毛髪への浸透及びプロテアー
ゼの特異性を発揮させるため、また反応を効率的に進め
るためにpH10以上とすることが必要であり、好まし
くはpH10〜13、より好ましくは10.5〜12.
0の範囲とする。pHが10未満では、毛髪を構成する
コルテックス部位及びキューティクル部位のケラチン蛋
白種への特異性が低下し、キューティクル部位も分解し
てしまう。また、pHが13より大きいと、酵素の失活
と強アルカリ下でのペプチド結合の切断や置換基変換、
架橋生成などを伴う場合がある。なお、処理液のpH調
整には、通常用いられている0.1MKCl−NaOH
などの緩衝剤が利用できる。
【0022】しかして、本発明では、上記方法で毛髪構
成成分を採取し得るものであるが、使用する毛髪は、予
め脱脂しておいたものを5mm以下に裁断したものが好
ましく使用される。毛髪の脱脂は、クロロホルム−メタ
ノール溶媒で処理することにより行うことができるが、
その他の慣用の方法で処理してもよい。なお、脱脂及び
裁断をしない毛髪を用いた場合、処理に時間がかかるな
どの支障が生じる場合がある。
【0023】本発明において、毛髪の処理時間は4〜8
時間が望ましい。また、処理温度は30〜70℃が好ま
しく、30℃未満の温度では反応が遅く、処理時間が長
くかかる場合があり、70℃より高い温度でも前記同
様、酵素の失活及びペプチド結合の切断や置換基変換、
架橋などを伴い好ましくない場合がある。
【0024】また、本発明の採取法において、脱脂毛髪
と処理溶液の浴比については、酵素反応を行うため酵素
量、還元剤の量及び反応pHに左右されるが、通常1〜
50mg脱脂毛髪/ml処理溶液の範囲が好ましい。
【0025】更に、本発明で分解採取するコルテックス
起源の分解ペプチドは、反応処理に任意の分子ふるいを
セットした限外濾過器を取り付けて行うことにより、任
意の分子量分布のものを分取することができ、更には酵
素や還元剤を除去した分解ペプチドとしても得ることが
できる。
【0026】なお、採取された分解ペプチド溶液は、利
用目的に応じて、そのまま用いるか、アルキル化、イオ
ン化などの修飾や慣用される添加剤、例えば粉体、油
分、界面活性剤、溶剤、殺菌剤、包接化合物、ビタミン
類、抗炎症剤、冷温感付与剤、紫外線吸収剤、酸化剤、
還元剤、酸化防止剤、生薬、香料、液化噴射剤などを添
加して利用することができる。更に、慣用の加工処理、
例えば乾燥処理などを行い、粉体化して利用することも
できる。
【0027】本発明の分解溶液からメラニンを採取する
には、塩酸酸性にして沈殿させ、通常の方法、例えば遠
心分離で得ることができる。
【0028】
【発明の効果】本発明の毛髪構成成分の採取法によれ
ば、毛髪のコルテックス部位を構成するマトリックス及
びミクロフィブリルのケラチン蛋白種を優先的に分解
し、コルテックス起源の分解ペプチド、アミノ酸及びメ
ラニンと形状を維持したキューティクル部位あるいは断
片を効率良く採取することができる。
【0029】更に、本発明の方法は、傷んだ毛髪にも広
く適用することが可能であり、ヒト毛髪と構造及び成分
が類似している羊毛など哺乳動物の毛の処理にも利用す
ることができる。
【0030】また、本発明の方法で処理して得られたケ
ラチン蛋白種の分解ペプチド、アミノ酸及びメラニン
は、毛髪構成成分の分析やそれに基づいた物性、機能及
び代謝系の解明など、学問上等の有益な材料となり得る
ほか、得られたケラチン蛋白種の分解ペプチド、アミノ
酸及びメラニンは、香粧品原料、洗浄剤原料並びに医
薬、化学品原料、生化学試薬等として利用できる。
【0031】
【実施例】以下、実験例及び実施例を挙げて本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限される
ものではない。なお、下記の例で用いたアルカリプロテ
アーゼBYAは、バチルスsp.Yから産生されたもの
を用いた。
【0032】〔実験例1〕毛髪が不溶性ケラチン蛋白で
構成されていること、また処理pHがアルカリ側で行う
ことを前提に好アルカリ性細菌が産生する代表的なアル
カリプロテアーゼの基質特異性を下記方法で調べ、スク
リーニングした。結果を表1に示す。
【0033】基質特異性の評価方法:表1に示すように
アルカリプロテアーゼBYAの各基質に対する特異性を
ズブチリシンカルスベルグタイプのアルカリプロテアー
ゼとの対比で示した。各基質に対する分解力指数(力
価)は、プロテアーゼ蛋白の1mg当たりの分解量を萩
原変法に準じて測定し、ズブチリシンカルスベルグタイ
プのアルカリプロテアーゼを100として換算した。
【0034】
【表1】
【0035】表1の結果より、アルカリプロテアーゼB
YAは、ズブチリシンカルスベルグタイプのアルカリプ
ロテアーゼに比べ、相対的に比活性が高く、特に不溶性
でシスチン含量の多い獣毛ケラチンに対する分解力が強
いプロテアーゼであることがわかった。
【0036】〔実験例2〕キューティクル部位を構成す
る蛋白種とコルテックス部位を構成するマトリックス並
びにミクロフィブリル蛋白種に対するアルカリプロテア
ーゼBYAの特異性を羊毛モスリン布を用いて下記方法
で調べた。結果を表2に示す。
【0037】評価方法:10mlのプラスチック試験管
に羊毛モスリン布(染色試剤(株)谷頭商品)を約80
mg入れ、pH9から13の各所定pHに調整した50
mM緩衝液を8ml加え、更に、アルカリプロテアーゼ
BYAをカゼイン基質での力価で800APUになるよ
うに添加し、37℃で16時間インキュベートした。処
理後、水洗し、乾燥後の重量減少を求め、緩衝液のみで
行ったものとの差し引きで示した。なお、緩衝液はpH
9〜11については四硼酸系を使用し、pH9は塩酸
で、pH10〜11は水酸化ナトリウムで調整した。ま
た、pH12〜13はリン酸二ナトリウム−水酸化ナト
リウムで調整し使用した。
【0038】
【表2】
【0039】表2の結果より、羊毛モスリン布を用いて
のアルカリプロテアーゼBYAの特異性を評価した結
果、pH10以上では酵素活性が残存しているにもかか
わらず、羊毛モスリン布の分解力が急激に低下すること
が確認され、基質特異性が変わることがわかった。
【0040】上記pHでの高次構造特異性の変化は、C
Dスペクトルでも確認された。更に、走査型電子顕微鏡
(日立製S−520型)で観察したところ、pH10未
満ではキューティクル部位の破壊がみられたが、それ以
上では破壊が観察されず、コントロールの緩衝剤溶液で
処理したものとほとんど差がなかった。
【0041】〔実験例3〕還元剤共存下でのアルカリプ
ロテアーゼBYAによる毛髪コルテックス部位の蛋白種
の特異的分解性を確認するため、走査型電子顕微鏡(日
立製S−520型)で観察評価した。毛髪は30才男性
のノーマル毛髪を用い、クロロホルム−メタノール溶媒
で16時間脱脂処理後、5mm以下に裁断したものを使
用した。処理条件はスクリュー管(13m/m×40m
/m)に毛髪2.5mgを入れ、pH9から13の各所
定pHに調整した50mM緩衝液を250μl加え、更
に最終濃度が1%になるようにチオグリコール酸を加
え、またアルカリプロテアーゼBYAを最終量で500
APU(カゼイン基質での活性)を加え、34℃で4時
間まで処理し、走査型電子顕微鏡で破壊部位を経時的に
観察した。結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】表3の結果より、アルカリプロテアーゼB
YAは、還元剤共存下、pH10以上でコルテックス部
位を構成する蛋白種を特異的に分解することが確認され
た。
【0044】〔実験例4〕30才男性のノーマル毛髪を
あらかじめクロロホルム−メタノール溶媒で16時間脱
脂処理後、5mm以下に裁断した毛髪10mgをスクリ
ュー管(13m/m×40m/m)に入れ、続いてpH
12に調整した100mM KCl−NaOH緩衝液1
mlを加え、更に最終濃度が所定濃度になるように還元
剤を加えた後、アルカリプロテアーゼBYAを最終量で
1,000APU(カゼイン基質での活性)加え、34
℃で6時間処理し、コルテックス蛋白の分解量から還元
剤の最適含有量を調べた。コルテックス蛋白の分解量に
ついては、コルテックス中のメラニンに起因するOD4
00nmの濁度で相対的に評価し、酵素抜きのものの溶
出量を差し引いた値を示した。結果を表4に示す。
【0045】
【表4】
【0046】表4の結果より、コルテックス蛋白種を酵
素で分解する際の還元剤の最適含有量は、チオグリコー
ル酸と2−メルカプトエタノールの場合、溶液中に0.
5〜10重量%、ジチオスレイトールの場合、0.05
〜15重量%であることがわかった。
【0047】〔実験例5〕アルカリプロテアーゼBYA
の処理溶液中の最適含有量を調べるため、還元剤をチオ
グリコール酸1%と一定にし、24才女性のノーマル脱
脂裁断毛髪を用い、上記実施例4記載の条件に準じて処
理を行い、プロテアーゼを所定濃度添加したものの処理
後のOD400の濁度上昇を測定した。結果を表5に示
す。
【0048】表5に示した結果から、プロテアーゼの含
有量は、カゼイン基質での活性が50〜100,000
APU/ml処理液であることがわかった。
【0049】
【表5】
【0050】〔実施例1〕脱脂、裁断したノーマル毛髪
からコルテックスを構成する蛋白種の分解ペプチド、ア
ミノ酸及びメラニンと形状を維持したキューティクル部
位、断片を下記方法で採取した。
【0051】採取方法:20mlのスクリュー管に毛髪
を200mg入れ、pH12に調整した50mM塩化カ
リウム−水酸化ナトリウム緩衝液を10ml加え、次
に、チオグリコール酸を最終濃度1%になるように加
え、更にアルカリプロテアーゼBYAをカゼイン基質で
の力価で10,000APUになるように添加し、40
℃で2時間インキュベートした。処理後、8,000回
転、15分遠心分離を行い、コルテックス部位由来の分
解ペプチド及びアミノ酸を含む溶液と残渣を得た。上清
溶液はアミコン社のダイヤフローメンブレンYC05
(分子量500)で洗浄、濃縮を行い、凍結乾燥後、8
5mg得た。
【0052】一方、残渣は、pH8.3の25mMトリ
ス−192mMグリシン緩衝液10mlに懸濁して静置
後、デカンテーションでメラニンを含む懸濁液と毛髪形
状を維持したキューティクル部位及び断片に分けた。メ
ラニンを含む懸濁液は、塩酸でpH2以下にして沈殿さ
せ、1.2mg採取した。毛髪形状を維持したキューテ
ィクル部位及び断片については、水洗後、凍結乾燥を行
い、32mg採取した。
【0053】得られたコルテックス部位由来の分解ペプ
チドと残渣のキューティクル部位及び断片のアミノ酸組
成を測定したところ、表6に示すように、システインの
分解がみられるものの、その他のアミノ酸は既知情報と
よく類似した値を示した。
【0054】
【表6】
【0055】〔実施例2〜4〕白髪発生度評価への利用
の可能性を判断するため、水浸ストレス負荷法で白毛を
意図的に作製したマウス毛を用いて、官能評価法と本発
明の分解法でのメラニン量測定との関連性を評価した。
【0056】官能評価は4名で行い、白毛発生の1ポイ
ントは約2%の白毛発生率に対応する。また、酵素分解
法による方法は、マウス毛50mgをpH12に調整し
た50mM塩化カリウム−水酸化ナトリウム緩衝液5m
lに加え、次にチオグリコール酸を最終濃度で1%にな
るように加え、更にアルカリプロテアーゼBYAをカゼ
イン基質での力価で5,000APUになるように添加
し、40℃で4時間インキュベートした。処理後、吸光
光度計でOD400の濁度を測定した。結果を表7に示
す。
【0057】表7の結果より、酵素法でコルテックス部
位の蛋白種を分解し、メラニン顆粒が遊離した懸濁液を
直接吸光度で測定した値は、官能評価の評点とよく一致
しており、白髪発生頻度の評価系に利用できることがわ
かった。
【0058】
【表7】
【手続補正書】
【提出日】平成8年4月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:07)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 毛髪に還元剤共存下、好アルカリ性のバ
    チルス属細菌から産生されるアルカリプロテアーゼBY
    AをpH10以上のアルカリ性条件下で作用させ、毛髪
    のコルテックス部位を構成するマトリックス及びミクロ
    フィブリルのケラチン蛋白種を優先的に分解してコルテ
    ックス起源の分解ペプチド、アミノ酸及びメラニンと形
    状を維持したキューティクル部位又はキューティクル断
    片を採取することを特徴とする毛髪構成成分の採取法。
  2. 【請求項2】 還元剤がチオグリコール酸、2−メルカ
    プトエタノール及びジチオスレイトールから選ばれる1
    種又は2種以上であり、また、好アルカリ性のバチルス
    属細菌から産生されるプロテアーゼBYAがバチルスs
    p.Y(微工研菌寄第1029号)、バチルスsp.P
    (微工研菌寄第1030号)、バチルスsp.K(微工
    研菌寄第1031号)又はバチルスsp.X(微工研菌
    寄第1032号)から産生されるアルカリプロテアーゼ
    BYAである請求項1記載の毛髪構成成分の採取法。
JP8058555A 1996-02-21 1996-02-21 アルカリプロテアーゼを用いた毛髪構成成分の採取法 Pending JPH09224695A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8058555A JPH09224695A (ja) 1996-02-21 1996-02-21 アルカリプロテアーゼを用いた毛髪構成成分の採取法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8058555A JPH09224695A (ja) 1996-02-21 1996-02-21 アルカリプロテアーゼを用いた毛髪構成成分の採取法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09224695A true JPH09224695A (ja) 1997-09-02

Family

ID=13087711

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8058555A Pending JPH09224695A (ja) 1996-02-21 1996-02-21 アルカリプロテアーゼを用いた毛髪構成成分の採取法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09224695A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014013082A1 (en) * 2012-07-20 2014-01-23 Dupont Nutrition Biosciences Aps Method for the degradation of keratin and use of the keratin hydrolysate produced

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014013082A1 (en) * 2012-07-20 2014-01-23 Dupont Nutrition Biosciences Aps Method for the degradation of keratin and use of the keratin hydrolysate produced

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zhang et al. Highly efficient and eco-friendly wool degradation by L-cysteine-assisted esperase
EP1509546B1 (en) Method for producing collagen
Hattori et al. Alkali-treated collagen retained the triple helical conformation and the ligand activity for the cell adhesion via α2β1 integrin
CA2655116C (en) Peptide fragments for inducing synthesis of extracellular matrix proteins
EP0871763B1 (en) Method for preparation of type ii collagen
Koch et al. Spinalin, a new glycine-and histidine-rich protein in spines of Hydra nematocysts
JPWO2005095439A1 (ja) 可溶化ケラチンの製造方法
JPS62111933A (ja) 骨形態形成剤
JP2004196763A (ja) 水系媒質に不溶性の酵素を含む化粧用または皮膚薬用組成物およびその使用
WO2009000057A2 (en) Keratin hydrolysates, process for their production
DE10260930A1 (de) Neue Cholinoxidasen
JP2000309521A (ja) 皮膚外用剤
Chesters et al. The decomposition of wool keratin by Keratinomyces ajelloi
JP2903182B2 (ja) コラーゲン類、その製造方法及び化粧品
JP3906927B2 (ja) 絹タンパク由来機能性ポリペプチドの製造と利用
Trevisol et al. In vitro effect on the proteolytic activity of papain with proteins of the skin as substrate
JPH09224695A (ja) アルカリプロテアーゼを用いた毛髪構成成分の採取法
Smale et al. Comparison of age-associated degeneration of articular cartilage in Wistar and Fischer 344 rats
TW202346319A (zh) 用於增進蛋白質之表現、溶解度及純化之組合物及方法
Tzaphlidou Diameter distributions of collagenous tissues in relation to sex. A quantitative ultrastructural study
JPH09224696A (ja) アルカリプロテアーゼを用いた毛髪構成成分の採取法
JP2002114798A (ja) 毛髪診断及び医薬・化学原料のための毛髪蛋白質の採取法
GB1581472A (en) Compounds of the plasminogen type processes for their production and pharmaceutical compositions containing them
Kaminishi et al. Degradation of bovine achilles tendon collagen by Candida albicans proteinase
JP2004300077A (ja) コラーゲンタンパク質からのエンドトキシン除去方法