JPH09214070A - 狭帯域自由電子レーザ装置 - Google Patents

狭帯域自由電子レーザ装置

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JPH09214070A
JPH09214070A JP3443696A JP3443696A JPH09214070A JP H09214070 A JPH09214070 A JP H09214070A JP 3443696 A JP3443696 A JP 3443696A JP 3443696 A JP3443696 A JP 3443696A JP H09214070 A JPH09214070 A JP H09214070A
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Masayuki Kawai
正之 河合
Minoru Yokoyama
横山  稔
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自由電子レーザ装置において強度の光エネル
ギが存在する共振器内に光学素子を配置せずに長波長の
自由電子レーザの狭帯域化を達成する。 【解決手段】 所定の周期毎に供給される電子バンチが
通過して光パルスを発生するアンジュレータ2とそのア
ンジュレータを挟んで対向するように配置されて光パル
スを増幅する第1共振器ミラー11と第2共振器ミラー
12からなる主共振器1と、主共振器1内の光の一部を
外に取り出す窓を備えた第1共振器ミラー11と第1共
振器ミラー11から取り出した光を波長により選択する
波長選択素子4と波長選択された光を第1共振器ミラー
11を介して主共振器1内に返す全反射ミラー31とか
ら構成される副共振器1を備え、副共振器3内を往復す
る光の光路長が光パルス周期の整数倍に相当するように
構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、波長の連続可変性
に優れる自由電子レーザ装置の帯域幅を狭くする構成に
関する。特に、10μm以上の波長を有する狭帯域な赤
外線レーザを発生することができる自由電子レーザ装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】自由電子レーザは波長が連続的に選択で
きる特徴を有するため、適当な波長のレーザ光を利用し
て行う大気センシングや精密化学反応・同位体分離など
多方面に応用が期待されている。例えば、分子の振動・
回転準位は一般に赤外領域にあり、強力な赤外レーザ光
を照射すると多光子吸収により高い振動励起状態を経て
解離に至る。したがって、対応する波長を有し単色性に
優れたレーザ光を照射することにより、特定の原子・分
子あるいは特定の同位体のみを特定のエネルギ準位に励
起して目的物を分離できる。このようなレーザの選択励
起をウランやシリコンなどの同位体分離に利用すること
が検討されている。また、単色性に優れたレーザ光で分
子を励起すると特定のエネルギ準位に励起して特定の反
応だけを誘起して特定の物質だけを生成させることによ
り精密な化学反応制御を行うことができる。
【0003】自由電子レーザの適用が期待されているウ
ラン同位体分離は、UF6の分子の最も吸収が強く同位
体シフトの大きい16μm付近のν3振動を利用して選
択励起し、振動励起されたUF6分子を強力な赤外レー
ザで赤外多光子解離に導くことにより、235Uと238Uに
分離するものである。ウラン同位体分離に用いるレーザ
として、スペクトル幅が両者の同位体シフト(0.6c
-1)に比べてかなり狭い狭帯域レーザで、繰り返し速
度が10kHzのオーダーであることが要求される。
【0004】また、シリコン同位体分離では10.5μ
m付近の波長を有する単色性の高い赤外線レーザを照射
する必要がある。あるいは大気センシングでは特定の波
長の光を大気中に投射して反射してくる光が光路中でど
のような変化を受けるかを測定することにより大気中の
成分変化等の状況を推定する。ここに自由電子レーザを
使用する場合にもレーザ波長の選択性を向上する必要が
ある。
【0005】このように、精密な化学反応や同位体分離
など狭帯域の光エネルギを用いる用途への利用を考慮す
ると、スペクトル幅を発振で得られるものより狭くする
必要がある。従来型のレーザ装置では、共振器内にエタ
ロンを挿入したりプリズムやグレーティング等の分散素
子を置いたりして発振線幅を狭帯域化するが、自由電子
レーザでは共振器内の光の強度が非常に高くなる可能性
があることもあって、金属ミラーを組み合わせて干渉計
を構成したり金属グレーティングの使用が試みられてい
る。
【0006】自由電子レーザにおいても、可視から紫外
にかけての短波長レーザでは、ゲインが十分大きければ
エタロンを用いることができる。図3は自由電子レーザ
装置の共振器内にエタロン板を挿入したレーザ波長の狭
帯域化方式を説明するブロック図である。第1の共振器
ミラー111と第2の共振器ミラー112からなるファ
ブリ・ペロー共振器101の内にアンジュレータ102
が据えられている。
【0007】アンジュレータ102は、例えば電子の通
路を挟んで対向する永久磁石列121、122からなる
ハルバッハ(Halbach)型と呼ばれる平板型アンジュレー
タで、電子の進行方向に交番磁場を形成する。アンジュ
レータ102では図外のリニアックから供給される電子
バンチ内の電子が交番磁場により蛇行運動をしてシンク
ロトロン放射光を放射する。光共振器101は電子バン
チが放射するシンクロトロン放射光を共振させる間にリ
ニアックから供給される電子バンチと時間的・空間的に
重畳させ相互作用により光を増幅する。
【0008】光共振器101は電磁波を正帰還して増幅
させるとともに発振周波数を決定する機能を持ってい
る。光共振器内で共振する光の周波数は理論的に無限に
存在するが、これらの内、レーザ利得帯域に含まれる周
波数でレーザ発振が得られる。例えば、共振器長を5
m、レーザの発振線幅を10GHzとすると、レーザは数
1000程度の多縦モードで発振していることになる。
【0009】そこで、レーザ光のモードを選択してレー
ザ波長のスペクトル幅を狭くするため、エタロン板10
3を光共振器101内の光路中に挿入している。エタロ
ン板103は両面が平行な透明板であって、入射した光
の一部が両面間を往復する間に入射する光と相互作用し
て位相を同じくすることによって、同相成分のみを増幅
させてスペクトル幅を狭隘化する効果がある。レーザ共
振器内にエタロンとして1.2mm厚のガラス板を挿入
し、波長625nmにおいて線幅0.0017nm(Δ
λ/λ=2.7×10-6)が達成されている。
【0010】しかし、スペクトル幅についてはフーリエ
限界を考慮しなければならない。すなわち観測しようと
する周波数λの確からしさは観測時間内に波数がいくつ
含まれるかにより決まり、その不確定性関係Δλ/λは
波数nの逆数1/n=λ/tcで与えられる。ここで、
cは3×108m/sである。従って、1μmの波長の
光を1ns観測したとすれば、Δλ/λ=3.3×10
-6となり可用範囲ということができる。
【0011】しかし、上の関係からは、10μmの波長
の光をΔλ/λ=10-7程度のスペクトル幅で観測した
ければ330ns程度の時間がかかることが分かる。電
子バンチのミクロパルスが10psすなわち電子バンチ
長が約3mmのとき、ミクロパルス間で相互干渉させな
がらこの時間観測するとすれば、観測すべき電子バンチ
の個数つまりマクロパルスとしての干渉回数Nrは33
0ns/10ps=3.3×104となる。リニアック
のRF周波数を3GHzとすれば1周期時間Tは330p
sであるから、RF周波数におけるマクロパルスの必要
長さTM=T×Nr=330ps×3.3×104=1
0μsの条件を満たす電源が必要となる。
【0012】所定のマクロパルス周期毎に供給される電
子バンチに基づいて発生する、例えばウランの同位体分
離に用いられる波長16μmの赤外線自由電子レーザに
ついて、上記のような観測時間条件を共振器中にエタロ
ン板3を挿入することにより満たそうとすれば、エタロ
ン板の厚みは10mmから100mmである必要があ
り、実際的でない。
【0013】ところで、高繰り返し率の電子ビームで運
転されている自由電子レーザ装置で、隣接する光パルス
をカップリングすることができるならば、レーザが励起
する縦モードの数を減少することが可能である。
【0014】図4はアンジュレータ102を内蔵するフ
ァブリ・ペロー共振器101に第3のミラー104を追
加したマイケルソン干渉計型ミラー配置により、光の干
渉を利用して発振スペクトルを狭帯域化するものであ
る。光共振器101にビームスプリッタ105を挿入
し、ここで第1共振器ミラー101に進む光の一部を偏
向させて第3のミラー104に向ける。ビームスプリッ
タ105の反射面から第3ミラー104まで往復する光
路長を第1共振器ミラー101までの往復光路長に対し
てはリニアックのRFの1周期に相当する分だけ長くな
るように構成しておく。なお、リニアックのRF周波数
が3GHzのとき、高周波加速器における1周期に相当
するバンチ間隔は約10cmである。
【0015】すると、ビームスプリッタ105で偏向し
て第3ミラー104で反射し再びビームスプリッタ10
5に戻ってくる光は、ビームスプリッタ105を透過し
て第1共振器ミラー101で反射して戻りビームスプリ
ッタ105を透過してくる光に対して、リニアックのR
Fの1周期に相当する分だけ遅延するので、一つ後の電
子バンチで発生した光パルスにカップルする。これによ
り共振器内で独立していた隣り合うパルスの位相がロッ
クされ、従って全ての光パルスがコヒーレントになって
いく。
【0016】これは基本的に共振器内にフリー・スペク
トラル・レンジがリニアックのRF周波数に等しいエタ
ロンを置いたと同等になり、レーザのモードを制限して
発振線幅を小さくできる。このように、図4のマイケル
ソン干渉計型配置では遅延させた光パルスを増幅部に戻
し、次の増幅の種とすることでアクティブに位相のロッ
クを行っている。光共振器内で往復しながら電子バンチ
からの放射光で増幅されている光パルスの一部を出力カ
プラー106により光共振器から取り出してレーザ光と
して使用する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかし、自由電子レー
ザは従来型のレーザ媒質を用いるレーザに比べて極端に
ゲインが小さい。このため出力カップリングは通常極力
小さく設定する。従って十分なレーザ出力を得ようとす
るとき、共振器内の光強度は非常に大きくなる。例え
ば、ウラン同位体分離で要求されるような1kWの出力
を取り出そうとすれば共振器内の光パワーは10MW程
度となる。このように、特に長波長自由電子レーザにお
いては共振器内エネルギが過大であるため共振器内に挿
入できる適当な素子が得られず、素子を収納すると熱に
より直ぐに破損してしまうなどの理由から狭帯域化する
適当な方法は知られていなかった。
【0018】そこで、本発明が解決しようとする課題
は、連続的に波長可変で狭帯域の自由電子レーザを発生
する狭帯域自由電子レーザ装置を提供することである。
また、上記自由電子レーザ装置において強度の光エネル
ギが存在する共振器内に光学素子を配置せずに長波長自
由電子レーザの狭帯域化を達成することができる構成を
提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、所定の周期毎に供給される電子バンチに基づいてレ
ーザ光を発生する本発明の狭帯域自由電子レーザ装置
は、電子バンチが通過して周期毎に光パルスを発生する
アンジュレータとそのアンジュレータを挟んで対向する
ように配置されて光パルスを増幅する第1と第2の共振
器ミラーとを含む主共振器と、主共振器内の光の一部を
主共振器外に取り出す窓を備えた第1共振器ミラーとそ
の第1共振器ミラーから取り出した光を波長により選択
する波長選択素子と波長選択された光を第1共振器ミラ
ーを介して主共振器内に返す全反射ミラーとから構成さ
れる副共振器を備え、副共振器内を往復する光の光路長
が光パルス周期の整数倍に相当するように構成されてい
る。
【0020】本発明の狭帯域自由電子レーザ装置は、波
長選択素子としてプリズムとスリットの組み合わせを用
いて、プリズムで波長分離してスリットで波長選択する
ことが好ましい。また、波長選択素子として回折格子を
用いても良い。さらに、本発明の狭帯域自由電子レーザ
装置は、光パルスが10μm以上の赤外線領域の波長を
有するものとすることができる。なお、本発明の狭帯域
自由電子レーザ装置は、RF電子銃と高周波加速器によ
り周期毎の電子バンチを供給するものであってよい。
【0021】本発明の狭帯域自由電子レーザ装置によれ
ば、アンジュレータで電子バンチから放射される光を主
共振器の第1と第2の共振器ミラーの間で共振しながら
新たに電子バンチから放射される光エネルギを補填して
増幅すると共に、その光の一部を副共振器に取り出して
波長選択し、選択された光を光パルス周期の整数倍に相
当する遅延を与えて再び主共振器に戻すので、主共振器
内で共振している離散的な光の内、リニアックのRFの
整数周期に相当する分だけ後の電子バンチで発生した光
パルスにカップルして位相をロックする。これにより共
振器内で独立していた隣り合うパルスの位相が順次ロッ
クされ、従って全ての光パルスがコヒーレントになっ
て、狭帯域の自由電子レーザ光を得ることができる。
【0022】また、副共振器は主共振器の外に設けるの
で、波長選択素子等は強力な主共振器内の光エネルギに
曝されることはなく、外部に取り出した極く一部の光エ
ネルギに対して耐性を持てばよい。従って、極めて一般
的に用いられ取り扱いも簡単なプリズムやスリットある
いは回折格子等を利用することにより、装置を容易に構
成することができる。特に、狭帯域で大出力の長波長レ
ーザ光を発生させる目的に合致している。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面に表した実施例によっ
て本発明に係る狭帯域自由電子レーザ装置を詳細に説明
する。図1は、本発明に係る狭帯域自由電子レーザ装置
における共振器の構造を示すブロック図である。
【0024】図1において、第1の共振器ミラー11と
第2の共振器ミラー12からなるファブリ・ペロー共振
器1の内にアンジュレータ2が据えられている。アンジ
ュレータ2は、例えばハルバッハ(Halbach)型と呼ばれ
る平板型アンジュレータで電子の通路を挟んで2枚の対
向する永久磁石列21、22からなり、永久磁石列は永
久磁石を90度ずつ回転させながら並べたような構造を
持っていて、電子の進行方向に交番磁場を形成する。
【0025】アンジュレータ2には図外のリニアックか
ら電子バンチが3GHzなど所定のRF周期で供給されて
いて、電子バンチ内の電子はアンジュレータ2の交番磁
場により蛇行運動をして、電子のエネルギとアンジュレ
ータの磁場周期と周期磁場の強さにより決まる特定の波
長のシンクロトロン放射光を放射する。光共振器1の第
1共振器ミラー11と第2共振器ミラー12間の距離L
はリニアックから供給されるミクロパルスの間隔の整数
倍に対応する値にセットされている。光共振器1は電子
バンチが放射するシンクロトロン放射光を第1共振器ミ
ラー11と第2共振器ミラー12間で共振させる間にリ
ニアックから周期的に供給される高速に近い速さで走る
電子と時間的・空間的に重畳させ相互作用により光を増
幅する。
【0026】光共振器1は電磁波を正帰還して増幅させ
るのみならず発振周波数を決定する機能を持っている。
間隔Lで置かれた2枚のミラーからなる共振器で共振す
る光の波長をλとすると光の波数k(=2π/λ)は、
軸方向に対して正方向と負方向に進む波の電場がミラー
の表面において同時にゼロになることからkL=pπ
(pは任意の整数)の関係を有する。媒体中の光速をc
とすると共振周波数νはν=pc/(2L)で与えら
れ、整数pが1異なる間に含まれうる周波数Δνはc/
(2L)となる。従ってこの条件を満たす共振周波数は
無限に存在することになり、これらの内、レーザ利得帯
域に含まれる周波数でレーザ発振が得られることにな
る。例えば、共振器長を5mとし、レーザの発振線幅を
10GHzとすると、レーザは数1000程度の多モー
ドで発振していることになる。
【0027】光共振器1の第1共振器ミラー11と第2
共振器ミラー12は中心に小さなカップリング孔13、
14を開けた金属ミラーで、第2共振器ミラー12のカ
ップリング孔14から光共振器1内に存在する光の一部
をレーザ光として外部に照射する。
【0028】出力カップリングとしては、誘電体多層膜
が共振器構成が単純になり透過率は膜の総数を適当に選
ぶことにより正確に制御できるので多用されるが、誘電
体多層膜は反射特性が波長に対して非常に敏感であるた
め自由電子レーザの広帯域にわたる波長可変性という最
大の特徴を生かそうとすると問題がある。
【0029】これに対して、金属ミラーの一部に小さな
穴を設けて光を取り出すホールカップリングは、誘電体
多層膜ほどの高い反射率は得られず取り出された光が高
次のモードを多く含む問題があるが、非常に広い波長帯
域にわたって使用できまたミラーの冷却も容易であるか
ら、レーザゲインが大きい大出力の長波長域自由電子レ
ーザに適している。このため、本実施例においてもホー
ルカップリング方式を採用したものである。
【0030】第1共振器ミラー11の外には第3のミラ
ー31が設けられていて、第1共振器ミラー11のカッ
プリング孔13から取り出されたレーザ光を反射して主
共振器1に戻す副共振器3を形成する。第1共振器ミラ
ー11と第3ミラー31の間には波長選択素子4の働き
をするプリズム41とスリット42が挿入されている。
【0031】カップリング孔13から取り出された多モ
ードのレーザ光はプリズム41により波長に従って分離
・分散される。スリット42のスリット位置を調整する
ことにより、分散した光の内の所定の波長の光だけが選
択され、波長選択された狭帯域の光が第3ミラー31に
投射し反射して、再びスリット42の開口とプリズム4
1を通る入射と同じ光路を逆進して第1共振器ミラー1
1に戻る。スリット42の幅をはみ出た選択された波長
以外の光成分は第1共振器ミラー11に戻ることができ
ないので、主共振器1に戻る光線の単色性は極めて鋭く
なっている。
【0032】このようにして、主共振器1から一部取り
出して副共振器3で波長選択された光は第1共振器ミラ
ー11と第3ミラー31の間dを往復する付加的な光路
を走行する。この付加的な光路長2dをリニアックから
供給される電子バンチの間隔の整数倍に対応する値にセ
ットすると、狭帯域に選択され主共振器1に戻された光
は自身が分離してきた光ビームと比較して上記整数個だ
け後ろの群の光ビームと合体して、光の位相を同相にロ
ックする。
【0033】同じ現象が次々に繰り返されるため、主共
振器1内で共振する全ての光パルスが波長選択素子8で
選択された波長を有するコヒーレントな光となる。ま
た、同相にロックされるミクロパルスの観測時間も十分
長いから波長選択性が高く、スペクトル幅は十分狭い。
主共振器1内で共振している狭帯域化した光ビームの一
部が自由電子レーザ光として第2共振器ミラー12のカ
ップリング孔14から外部に放射される。
【0034】本実施例の狭帯域自由電子レーザ装置で
は、副共振器3が主共振器1の外に設けられるので、波
長選択素子4等は強力な主共振器1内の光エネルギに曝
されることはなく、副共振器3内に取り出した極く一部
の光エネルギに対して耐性を持てばよい。従って、吸熱
しやすい赤外線領域において使用するにも拘わらず、特
に耐熱性を上げたものでなくて極めて一般的に用いられ
取り扱いも簡単なプリズムやスリットを利用することが
できる。このため、装置全体を経済的な意味においても
容易に構成することができる。
【0035】なお、上記実施例では波長選択素子4にプ
リズムとスリットの組み合わせを採用したが、回折格子
を使用することもできることは特に説明の要はないであ
ろう。例えば適当なグルービング間隔を有する金属グレ
ーティングも使用することができる。また副共振器3内
に波長選択素子を挿入せずに、第3ミラー31をリット
ウ(Littow)マウント・クレーティングに置き換えて、1
次の回折光が入射方向に戻るようにグレーティングをセ
ットすることにより波長選択する方法も選択しうる。さ
らに上記実施例では主共振器1の共振ミラーを小さな穴
を開けた金属ミラーとするホールカップリング方式とし
たが、穴の代わりに小口径のミラーを共振器内に入れて
レーザを取り出すようしてもよく、また誘電体多層膜を
利用することも低出力でよい場合など条件によってはむ
しろ好ましいことがある。
【0036】図2は、上に説明した共振器構造を使用す
る本発明に係る狭帯域自由電子レーザ装置の構成図であ
る。本実施例の狭帯域自由電子レーザ装置は、共振器構
造に係る部分は上記説明の通りで、図2においても図1
と同じ機能を有する部分は同じ参照番号を用いて説明を
簡略した。図中、51はRF電子銃、52は高周波加速
器、53、54、55は偏向器、56は電子ダンパであ
る。
【0037】RF電子銃51の熱陰極型カソードで発生
する熱電子をSバンド(3GHz)のRF加速空洞で数M
eV程度まで初期加速して引き出し、高周波加速器52
で光速近くまで加速する。高周波加速器52は導波管の
中にディスクを周期的に並べた高周波キャビティで、ク
ライストロンで発生させてマイクロ波管により供給され
る高周波エネルギの位相速度を電子の速度とシンクロさ
せると、電子は集群して高周波の波長間隔で並んだ電子
バンチになる。マイクロ波の周波数は約3GHzとす
る。本実施例の高周波加速器52の出力は、3mm持続
する高周波によるミクロパルス列がより長い時間幅で距
離にすると10cmの間隔でマクロパルスとして繰り返
される構造となっている。
【0038】なお、RF周波数の電子バンチを発生する
電子銃や加速器は上記に限られない。例えば、電子銃と
しては光陰極を10psのパルスレーザで照射してバン
チ化した電子ビームを得る方法も使用することができ
る。また、マイクロ波の周波数も上記に限らず10GHz
など適当な値を用いることができる。さらに、加速器も
誘導線形加速器や電子蓄積リングなど各種のものが使用
できる。
【0039】高周波加速器52で光速近くまで加速され
た電子バンチは、永久磁石と調整用の電磁石で構成され
た偏向器53、54によりアンジュレータ2に導かれ
る。RF電子銃51と高周波加速器52をアンジュレー
タ2と平行に配置したため、偏向器54は電子ビームを
偏向器53で偏向した角度と同じ角度だけ戻るように偏
向する。電子ビームは正確にアンジュレータ2の中心軸
上を走行して、交番磁場により蛇行運動しシンクロトロ
ン放射して、偏向器55により軸線から偏向し電子ダン
パ56に排出されてここで水に吸収される。
【0040】アンジュレータ2で発生するシンクロトロ
ン放射光は第1共振器ミラー11と第2共振器ミラー1
2間で共振しながら、高周波加速器52から周期的に供
給される高速に近い速さで走る電子と時間的・空間的に
重畳することにより増幅される。
【0041】第1共振器ミラー11の外に設けられた第
3ミラー31が、第1共振器ミラー11から取り出され
た一部のレーザ光を反射して主共振器1に戻す間に波長
選択素子4により波長分離・選択が行われ鋭い狭帯域幅
の光となる。主共振器1に戻された光は第1共振器ミラ
ー11において整数個だけ後ろの群の光ビームと合体し
て、その光の位相を同相にロックする。同じ現象が次々
に繰り返されて、全ての光パルスが波長選択性が高くス
ペクトル幅が十分狭いコヒーレントな光となる。
【0042】主共振器1内で共振している狭帯域化した
コヒーレントな光ビームの一部が自由電子レーザ光とし
て第2共振器ミラー12から外部に放射される。
【0043】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明により、波長
が可変で極めて狭帯域の長波長レーザを発生する自由電
子レーザ装置を提供することができ、自由電子レーザの
波長が連続的に選択できるという特徴を生かして、大気
センシングや精密化学反応・同位体分離など多方面に使
用することができるようになった。特に、赤外領域にお
ける単色性が他の手段と比較して格段に優れているの
で、分子の振動・回転準位を利用したウランやシリコン
などの同位体分離において、精密な化学反応制御を行う
ことができる。
【0044】また、光エネルギが大きな主共振器内に波
長選択素子を挿入しないで、光エネルギが小さい副共振
器内に光学素子を配置すればよいので、容易に長波長自
由電子レーザの狭帯域化を達成することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る狭帯域自由電子レーザ装置におけ
る共振器の構造を示すブロック図である。
【図2】 図1の共振器を用いたことを特徴とする本
発明に係る狭帯域自由電子レーザ装置の構成図である。
【図3】従来のレーザ装置における狭帯域化構造例を示
すブロック図である。
【図4】従来のレーザ装置における狭帯域化構造の別の
例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 主共振器 11 第1共振器ミラー 12 第2共振器ミラー 13、14 カップリング孔 2 アンジュレータ 21、22 永久磁石列 3 副共振器 31 第3ミラー 4 波長選択素子 41 プリズム 42 スリット 51 RFガン 52 高周波加速器 53、54、55 偏向磁石 56 電子ダンパ 101 ファブリ・ペロー共振器 111 第1共振器ミラー 112 第2共振器ミラー 102 アンジュレータ 121、122 永久磁石列 103 エタロン 104 第3ミラー 105 ビームスプリッタ 106 出力カップラ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の周期毎に供給される電子バンチに
    基づいてレーザ光を発生する自由電子レーザ装置におい
    て、 該電子バンチが通過して周期毎に光パルスを発生するア
    ンジュレータと該アンジュレータを挟み対向して配置さ
    れて光パルスを増幅する第1と第2の共振器ミラーとを
    含む主共振器と、 主共振器内の光の一部を主共振器外に取り出す窓を備え
    た前記第1共振器ミラーと該第1共振器ミラーから取り
    出した光を波長により選択する波長選択素子と波長選択
    された光を前記第1共振器ミラーを介して前記主共振器
    内に返す全反射ミラーとから構成される副共振器を備
    え、 前記副共振器内を往復する光の光路長が前記光パルス周
    期の整数倍に相当することを特徴とする狭帯域自由電子
    レーザ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の狭帯域自由電子レーザ装
    置であって、前記波長選択素子がプリズムとスリットか
    らなり、プリズムで波長分離してスリットで波長選択す
    ることを特徴とする狭帯域自由電子レーザ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の狭帯域自由電子レーザ装
    置であって、前記波長選択素子が回折格子であることを
    特徴とする狭帯域自由電子レーザ装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の狭
    帯域自由電子レーザ装置であって、前記光パルスが10
    μm以上の赤外線領域の波長を有することを特徴とする
    狭帯域自由電子レーザ装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の狭
    帯域自由電子レーザ装置であって、RF電子銃と高周波
    加速器により前記周期毎の電子バンチを供給することを
    特徴とする狭帯域自由電子レーザ装置。
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