JPH09210959A - キャピラリ電気泳動装置 - Google Patents

キャピラリ電気泳動装置

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JPH09210959A
JPH09210959A JP9008405A JP840597A JPH09210959A JP H09210959 A JPH09210959 A JP H09210959A JP 9008405 A JP9008405 A JP 9008405A JP 840597 A JP840597 A JP 840597A JP H09210959 A JPH09210959 A JP H09210959A
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capillary
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wide
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JP9008405A
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Hongfeng Yin
ホンフェン・イン
Douglass Mcmanigill
ダグラス・マックマニジル
Catherine A Keely-Templin
キャサリン・エイ・ケリー−テンプリン
Robert R Holloway
ロバート・アール・ハロウェイ
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    • G01N27/26Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating electrochemical variables; by using electrolysis or electrophoresis
    • G01N27/416Systems
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Abstract

(57)【要約】 【課題】分離効率の劣化のない広口径キャピラリを備え
る電気泳動装置。 【解決手段】本発明の広口径キャピラリの構造は制限ゾ
ーンが設けらるれ、キャピラリ端の開口と流体連結す
る。制限ゾーンは開口より伸びる狭口径部分から徐々に
広がり、広口径部分になるように設けられる。これによ
り、分離能を劣化させるサイフォン作用を低減すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、キャピラリ電気泳動
法に関し、特に、広口径(wide-bore)キャピラリを用い
るキャピラリ電気泳動法に関する。
【0002】
【発明の背景】キャピラリ電気泳動法(CE)は、分析化学
において広く容認されており、製薬の分析及びバイオサ
イエンスの研究を含む広範な分野で応用されている。し
ばしば、CEは、マイクロシーケンシング(microseqencin
g)又は質量分析(MS)などの後続の分析に対する準分取量
(semi-preparative quantities)を提供する際に求めら
れていた。束ねられたキャピラリとフラクションコレク
ションと組み合わされる複数の注入器及び大きいキャピ
ラリは、全て、ナノモル量の分析物を供給するために用
いられ、ある程度成功を収めたが、これらのアプローチ
は、大部分、CEシステムの性能低下に終わった。キャピ
ラリが組み合わされる諸分析技術の入力充填要件にさら
に密接に調和するキャピラリ分離法の必要が明らかにあ
るのである。
【0003】CEにおける高い充填性(loadability)に適
合するアプローチによって、注入容量が増大しつつあ
る。次の2つの方法を用いることができる。(A)標準
(例えば、75μm 内径(i.d.))カラム(即ち、キャピラ
リ)で、カラム中に注入される量を増やし、それによ
り、注入プラグの長さを増やす方法。(B)プラグの長さ
を一定に維持して試料の充填を増やすためにカラムの内
径(i.d.)を(例えば、150〜200μmに)大きくする方
法。しかし、いくつかの研究によれば、これら2つのア
プローチの何れかが試みられる時、分離効率が急速に低
下することが示された。
【0004】
【発明の目的】本発明の目的は、上述の問題点を解消
し、分離効率の良好な、口径の大きいキャピラリを備え
るキャピラリ電気泳動装置を提供することにある。
【0005】
【発明の概要】本願出願人は、広口径キャピラリの口径
(即ち、ルーメン)の(複数の)端部を制限することに
よって、サイフォン作用(siphoning)を実質的に避ける
ことができ、それによって、広口径キャピラリ、即ち、
CE分析用の約75μmの標準口径より大きい口径を有する
キャピラリの応用が可能になることを見出した。
【0006】広口径キャピラリにおいてバンドブロード
ニング作用がそれによって急速に増加することもあるい
くつかのメカニズムが検討された。(1)電極容器間のサ
イフォン作用、(2)半径方向の温度プロファイル及び平
均緩衝液温度の両方を含むジュール熱による温度の影響
及び(3)広口径における高い電流に起因する緩衝液容器
内のpHの変化。本願明細書では、これらのメカニズムを
広口径キャピラリで個別的に配慮し、その上で、該キャ
ピラリに関しての分析物の分離を成功裏に達成し得る実
用的な解決策を提供するものである。本願発明によって
導き出される結果は、(図1に示すように)これらの因
子に適切に注意を払えば、優れたシステム性能を得るこ
とができることとフラクションコレクションが要求され
るとき、広口径キャピラリの高い充填性によって、さら
に大きい実用的な注入容量が可能となることを立証する
ものである。
【0007】図1において、下の曲線1Bは、標準の内径
(i.d.)75μm のキャピラリを使ったCEの結果を示し、上
の曲線1Aは、本願発明による広口径(180μm 内径(i.
d.))キャピラリを使ったCEの結果を示すものである。
各キャピラリの有効長は41.5cmであり、各キャピラリの
全長は50cmである。広口径キャピラリにおいて、各端部
は、50μm内径( i.d.)のリストリクタを使って制限され
ている。2つの曲線は、匹敵し得る分離効率を示してい
る。このことは、リストリクタがあれば、広口径キャピ
ラリが用いられるときでも、優れたCE性能が得られるこ
とを示すものである。実行パラメータを以下に説明す
る。 緩衝液:100 mM リン酸塩、pH 2.0 注入:加圧 検出:UV 200 nm 高電圧:一定電流モード 75μm i.d.キャピラリーでは、52μA 及び7.0 kV 180μm i.d.キャピラリーでは、300μA 及び 7.4 kV CE装置: HP1601A ヒューレット・パッカード・カンパニー製キャピラリ電
気泳動システム
【0008】大試料容量に対する分離効率 試料充填を増やすために、標準直径(例えば、75μm i.
d.)のCEキャピラリに比較的大きい容量を注入すること
は可能であるが、これは極めて限定的に用いられるに過
ぎない。注入容量の増加は、注入プラグの大きい変化と
なり、これが、やがては支配的な段高さ(即ち、一理論
段 (theoretical plate height)の高さ、以後、「段高
さ(plate height)」と呼ぶ)の一因となるはずのもので
ある。注入容量の増加につれ、キャピラリシステムの制
限効率はそのシステムの分析容量に対する注入容量の比
で決まるという理由から、分離効率が悪化する。図2Aか
ら図2Dは、CE分離効率に影響を及ぼす有効プラグの長さ
とキャピラリの内径i.d.を示す。図2A、図2Bは、内径の
増加の問題を図解するものである。75μm 内径(i.d.)の
キャピラリにおいて、13 nlの注入容量が許容できる結
果(図2A)を与えるが、46 nlの注入容量(10 mmの注入
プラグの長さ)は、事実上、分離を劣化している(図2
B)。しかし、本願発明の制限型キャピラリを使えば、
キャピラリの内径(i.d.)の増加によって良好なCE分離
をもたらすことができる。何故なら、注入容量は直径の
2乗に比例して増え、従って、その増加した注入容量
は、注入プラグの長さを増やさないで収容できるからで
ある。例えば、75から180μmへの、キャピラリの直径の
増加で、注入容量は、注入プラグの長さを変えないで、
従って分離効率を変えないで約6倍まで増える(図2A
を、69 nlの注入容量をもつ内径(i.d.)180μmキャピラ
リに関連する図2Cと比較)。本願発明の制限型180μm内
径(i.d.)キャピラリで、138 nl(5.4mmのプラグの長
さ)未満の注入容量を用いて、その分離効率の低下は僅
少であった(図2D)。
【0009】1. 広口径キャピラリのサイフォン作用の
防止 広口径キャピラリを使用する時、その比較的広い口径、
即ち、比較的大きい口径のため、流体抵抗が減少し、結
果として、サイフォン作用によりキャピラリ中を流れる
流れはかなりなものになるはずである。流れは加圧推進
されるので、サイフォン作用は、大きい速度変化を引き
起こし且つバンドブロードニング作用を強める。この効
果を理論的並びに実験的に検討した。キャピラリを流量
リストリクタを使って改良することにより、サイフォン
作用が大幅に軽減されることが見出された。
【0010】標準キャピラリ、即ち、当分野で通常用い
られる非制限キャピラリでは、速度変化は、圧力ヘッド
につれ、その直径の2乗に比例して、直線的に変化す
る。(例えば、Keely, C.A; van de Goor, T.A. and Mc
Manigill, D.,Anal.Chem.(1994),66, pp. 4236 - 4242,
Aris, R., Proc. R. Soc. London, A235 (1956), pp. 6
6-77; Datta, R. and Kotamarthi, V.R., AICHE J., 3
6(1990), pp. 916 - 926を参照されたい)。
【0011】
【数1】
【0012】段高さの作用はもっと複雑であるが、広口
径キャピラリでは、段高さは、圧力ともに、そしてその
直径の2乗に比例して直線的に変化する。
【0013】
【数2】 本願明細書に記される式中の変数は以下のとおりであ
る。 D = 拡散係数 H = 段高さ J0, J1 = 第一種(オーダー0及び1)のベッセル関数 Kd = 全分散 k1, k2 = 緩衝液及び融解石英の熱伝導度 L = キャピラリー全長 p = 圧力 r = 正規化半径変数 r’, r”= rを表す統合変数 ri, ro = キャピラリ半径、内側及び外側 To = キャピラリ外部の温度 △T = 中心から壁における温度差 u = バルク平均速度 △v = 速度関数の変化 w0 = 消散パワー α = 固有抵抗の温度係数 η = 緩衝液の粘度 μ = -α このように、サイフォン作用は、広口径キャピラリの分
離効率に深刻に影響することがある。
【0014】図3は、拡散及びその圧力流プロファイル
のみがプレート高に寄与すると仮定して、50 cm直線長1
80μm i.d.のキャピラリに関する速度の関数として段高
さが与えられる。3つの曲線は、圧力ヘッド(出口上方
入口)による種々のサイフォン作用量を表す:0 mm(下
の曲線3Aで表示)、2 mm(0.2 mbar、真ん中の曲線3
B)、4 mm(0.4 mbar、上の曲線3Cで表示)。推測され
るように、小さい圧力ヘッドでさえ、このカラム中の圧
力ヘッドを大きく増やすほどのサイフォン作用を生ず
る。比較により、0.2 mbarの曲線(真ん中の曲線3B)で
与えられる段高さを生ずるには、75μm内径( i.d.)キャ
ピラリで30 mm(3 mbar)が必要である。データ点a、b及
びcは、3つのサイフォン作用の圧力に対応する本願発
明のキャピラリに関するもので、これについては以下に
説明する。
【0015】本願発明に従い、サイフォン作用がほとん
どない(即ち、同一のキャピラリの内径(i.d.)を有する
キャピラリに比較してサイフォン作用が低い)キャピラ
リを作るために、広口径キャピラリの両端部を(例え
ば、炎で)熱してキャピラリを柔らかくし、その両端部
が徐々につぶれて、キャピラリの末端ぎりぎりに接近し
て細長い口径をもつ(即ち、制限された)所望の形状寸
法に口径が小さくなるようにする。制限処理で、口径は
(移行部分を通り抜けるにつれ)徐々に直径が増大して
キャピラリの完全な広口径サイズになる。この加熱及び
口径制限処理をここでは「フレーム制限処理(flame res
tricting)」と呼ぶ。典型的に、キャピラリの端部は、
ほぼ直線の中心線(軸)を有し、円形の断面をもつ制限
部が形成できるよう、相対的に均一になるようにして加
熱する。例えば、フレーム制限処理中、キャピラリの末
端部は、フレームの中で加熱、回転させることができる
と同時にその形状を顕微鏡で連続的にモニタする。その
末端部を保持して延伸することによって細い口径の形成
を助長する。自動化装置を用いて、キャピラリの両端に
前述の制限処理を施してもよい。
【0016】本願発明によるキャピラリの実施例を図4
に示す。キャピラリは広口径102をもつ。キャピラリ100
はまたCE中のサイフォン作用を減ずるための制限部106
を有する少なくとも1つの端部を有する。制限部106
は、好ましくは、移行ゾーン110を有し、それは徐々に
狭くなり、外部と流体連絡する開口118まで長さが伸び
る細長い口径114となる。好ましくは、キャピラリは、
キャピラリの両端で制限する。キャピラリは、広口径
(即ち、75μmと等しいか又はそれより大きい内径(i.
d.))をもち、それは、好ましくは、約100〜500μmの、
より好ましくは、約100〜250μmの、さらにより好まし
くは、約180〜200μmの内径(i.d.)をもつ。
【0017】制限部のサイズは、サイフォン作用を許容
レベルまで軽減できるように選択する。一例として、約
50 cmの全長、約40 cmの有効的長さ及び約7 kVのCE電圧
を有するキャピラリでは、形成された短い制限部は、約
10〜1000μmの長さと約20〜75μmの内径( i.d.)、好ま
しくは、約250〜750μmの長さと約20〜50μmの内径( i.
d.)、より好ましくは、約0.5 mm長と50μm の内径(i.
d.)をもつ。制限部の長さと内径(i.d.)の選択は、CE用
の印加電圧同様、キャピラリの長さと内径(i.d.)のよう
な因子によって左右される。当業者は、本願明細書に基
づくこれらのパラメータを選択することができる。制限
部は、好ましくは、(フレーム制限処理の広口径キャピ
ラリのように)キャピラリの広口径部分に一体形成して
連結されるが、制限部は、プラグのように取り付け、接
着及び類似の手段によって、広口径部分に連結される個
別部品であってもよいと理解される。本願発明の制限キ
ャピラリは、CEキャピラリを作るのに用いられる標準材
料、例えば、非金属無機物質(例えば、フューズドシリ
カ)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテ
ルエーテルケトン(PEEK)のような高分子材料及びこれら
の類似するものを使って作ってよい。
【0018】上述のサイズと形状をもつキャピラリは、
サイフォン作用の影響を許容量まで減ずることができ
る。例えば、0.5 mmの長さと50μm の内径(i.d.)の端部
制限部をもつ180μm 内径(i.d.)のキャピラリは、分離
効率上、135μm i.d.のキャピラリに匹敵する。サイフ
ォン作用を減ずるさらに別の技法は、その中に電極が配
置されている緩衝液容器のレベルをバランスさせること
である。ヒューレット・パッカード・カンパニー製のキ
ャピラリ電気泳動システムの緩衝液補充方式によって、
前述の緩衝液の容器のレベリングが可能となり、このこ
とは、改良型のキャピラリとともに、移動時間とピーク
領域の高い再現性、そして、圧力注入及びフラクション
コレクションのより優れた制御を実現することになる。
【0019】図5は、0 mm(ピークa)、2 mm(ピーク
b)及び4 mm(ピークc)の圧力ヘッドが印加された(50
μm の内径(i.d.)で0.5 mmの長さの制限部をもつ)180
μmの制限キャピラリでの分析物の分離を示す。示され
たピークから計算した速度とプレート高を図3にプロッ
トする。図3より、図5の制限キャピラリのピークa、
b、cに対応する理論的データ点a、b、cは、実際、非制
限キャピラリに関する理論的曲線、即ち、曲線3A、3B、
3Cにおけるそれらよりはるかに低い。事実、図5の実行
に用いられたパラメータでのCE分析は、サイフォン作用
の影響並びに移動時間の大きい変化のため、真っ直ぐな
口径のキャピラリーを使ったのでは実行できない。
【0020】2. 温度効果 広口径キャピラリを用いるCE分析の問題点は、キャピラ
リ中の不均一な温度によって起こされる分離上の有害効
果(バンドブロードニング)である。ある与えられたCE
電圧に関して、キャピラリ中の電流は、その直径の2乗
の割で増え、従って、CEにおいて(従来の小口径キャピ
ラリ等の)平均長さをもつ広口径キャピラリは、より大
きい電流を要し、これはキャピラリでの大きい電力消費
となる。この電力はジュール熱として消費され、半径方
向の温度勾配と平均温度の上昇を来す。ペプチドの大き
さの分子を分析するのに本願発明の制限型広口径キャピ
ラリを使えば、段高さの実際的増加は無視できることを
本願出願人は見出している。
【0021】(a) 半径方向の温度分布 半径方向の温度勾配は、消費電力、キャピラリの寸法、
緩衝液とキャピラリの熱特性及び外部温度の関数であ
る。この半径方向の温度勾配は、次のように計算できる
(ここに参考として引用している:Brown,J.F.and Hinc
kley, J.O.N., J.Chromatogr., 109 (1975) , pp.2 18-
224参照)。
【0022】
【数3】
【0023】図6は、外部温度45℃での、180μmの内径
( i.d.)(曲線6A)と75μm の内径(i.d.)(曲線6B)の
キャピラリについて計算した熱分布を示す。180μmの勾
配は、75μmのそれよりはるかに大きいとはいえ、外壁
の温度と中心のそれとの間の差は、それでも1.2℃に過
ぎない。得られる段高さは、温度分布が粘性の分布を生
じ、それが今度は放物線状の速度分布(式2、4)を生
ずると仮定することにより、計算することができる。
【0024】
【数4】
【0025】図7は、速度が2% /℃で変化すると仮定
し、ペプチドを表す拡散係数を仮定して、理論段の高さ
を壁と中心間の温度差の関数として示す。図7に示すよ
うに、段高さに及ぼす効果は、180μmキャピラリの方
(曲線7A)が75μmキャピラリの方(曲線7B)より大き
いが、それは、1.2℃という予測温度差に関しては、い
ぜんとして0.1μmである。この効果(即ち、温度差によ
ってプレート高を増加させる寄与度)は、特に、最終注
入容量によるプレート高に対する寄与を考慮する時は、
無視することができる。
【0026】温度分布に加えてサイフォン作用を有する
システムでは、プレート高の増加は、2つの段高さの効
果の和より、それらの分布は互いに相互作用するという
理由から、大きくなる。これは、サイフォン作用を減ら
すことがバンドブロードニングを減らす上で非常に重要
であるという理由である。
【0027】(b) 平均緩衝液温度 CEは、キャピラリの2つの端部に印加される電位の差に
よって実施されるので、キャピラリでは熱が消費され
る。例えば、375μm外径(o.d.)、 180μm 内径(i.d.)の
キャピラリで消費される3ワットのエネルギは、強制空
冷が行われる時、制御温度を越えて約20℃までキャピラ
リ内部の平均温度を上昇させる。さらに、冷却し難い取
付け及び密封箇所は、ホットスポット(加熱点)を形成
することもあり、そこで緩衝液が沸騰することもある。
適切な冷却を可能にする取付け部品の設計によりホット
スポットを最小にすることができる。本願発明のキャピ
ラリでは、その平均温度は、CE分離に顕著に影響しない
ことを見出している。
【0028】図8は、25℃に保持された制御温度で、制
限された180μmの内径( i.d.)のキャピラリを使って、
また、25℃、35℃及び45℃の制御温度で、75μm の内径
(i.d.)のキャピラリにおいて実行した分析物の分離の結
果を示す。速度と効率の比較から、180μm、25℃のキャ
ピラリの内部は、75μm、45℃のキャピラリとほぼ同一
の温度であることが分かる。4つの実行の間でバンドブ
ロードニングには顕著な差はなく、この分離では平均温
度の上昇は問題にならないことを示している。この図は
また、温度勾配が段高さに影響を及ぼすという理論的予
測は無視できるということを支持するものでもある。
【0029】3. クーロン滴定による緩衝液の消耗 広口径キャピラリ電気泳動には300μA未満の電流がしば
しば加えられるため、クーロン滴定による緩衝液の消耗
は、標準キャピラリにおけるより前述の広口径キャピラ
リでははるかに早く起こる。例えば、表1は、与えられ
た緩衝液容量に対する電気泳動中、300μAの電流が加え
られる時の100 mM pH 2.5のリン酸塩の緩衝液のpH変化
を示すものである。緩衝液の消耗を軽減させるため、4
〜5 mlの3倍のバイヤル(即ち、通常びんの3倍のサイ
ズのバイヤル)を用いた。これらのバイヤルを使って、
300μAで2時間の実行では、緩衝液のpH変化が0.1 pH単
位未満となった。
【0030】
【表1】
【0031】適用例 本願発明のキャピラリとCE装置は、従来のCE装置を用い
る際のように、分析物を分析するのに用いることができ
る。試料の大容量注入によって、分離能を犠牲にするこ
となく、複雑な試料が、その後の分析を可能にするべく
様々なピークの十分な材料について分析できる。一例と
して、rtPAのトリプシンに関する消化物を改良型の180
μm の内径(i.d.)のキャピラリを使って分析した(図
9)。9Aのようにマークした(斜線)部分は、ピーク検
出直後、12秒間、25 mbarの圧力を使ってキャピラリか
ら捕集した。マトリックス支援レーザ脱離イオン化飛行
時間型質量分析(MALDI-TOF-MS)を使って、捕集したフラ
クションを分析することができる。前述の分析でこのフ
ラクションをrtPA消化物のグリコペプチド・フラグメン
ト(T45)と同定した(図10)。CEカラム(即ち、本願
発明のキャピラリ)は、その高い充填性の故に、標準の
キャピラリーより適しており、接続装置の技術と、準分
取試料の生成をインタフェースして、CEと出現している
マイクロLCシステム間の賞賛すべき調和を可能にするも
のである。そして、これは、高感度と分離効率のマイク
ロ分離作業に使える統合化装置の構築を助長することに
なる。
【0032】本願発明の制限型キャピラリを用いるため
に、CE用の標準機器を広口径の用途に使えるよう改造し
てよい。前述のCE装置及び方法は、当該分野で周知のも
のである。本願発明の広口径キャピラリを利用するCEと
して改造し得るCE装置の例は、HP1601A キャピラリ電
気泳動システム(ヒューレット・パッカード・カンパニ
ー、Palo Alto, CA)である。本願発明によるCE装置を
図11に図解する。図11に示したCE装置において、広
口径キャピラリ204は、その1つの端部(例えば、注入
端部)208が第一容器(例えば、緩衝液供給源)212の緩
衝液中に浸され、別の端部(例えば、出口端)216が第
二容器(例えば、フラクションバイヤル)220の緩衝液
中に浸される。第一電極224が第一容器212の緩衝液中に
浸され、第二電極228が第二容器220の緩衝液中に浸され
て、CEを駆動するための電圧差を生成する。第一電極22
4と第二電極228は、CE駆動用電力を供給する電源232に
電気的に接続する。
【0033】以上、本発明の実施例について詳述した
が、以下、本発明の各実施態様の例を示す。 (実施態様1)分析物イオンの分析のための広口径のキ
ャピラリを備えるキャピラリ電気泳動装置において、注
入端部と出口端部と前記端部間に広口径を有する広口径
ゾーンと前記各端部における開口を有する広口径キャピ
ラリを備え、前記広口径キャピラリは、前記端部の少な
くとも1つが広口径と前記端部の開口との間で流体連絡
を実施できる制限ゾーンを有し、前記制限ゾーンは開口
へ伸びる狭口径を含み、さらに、広口径から狭口径まで
口径の直径を徐々に変化させる移行ゾーンより成るもの
であり、前記キャピラリの注入端部に緩衝液を供給する
緩衝液源と、前記注入端部と出口端部と電気的に連絡状
態にある電極を含み、キャピラリを通して緩衝液と被検
体イオンを推進させるための電力を供給する電源とを含
むことを特徴とするキャピラリ電気泳動装置。 (実施態様2)前記広口径キャピラリは一体形成される
ものであることを特徴とする前項(1)記載の装置。 (実施態様3)前記広口径キャピラリの両端部の各々が
制限ゾーンを有する前項(1)及び(2)に記載の装置。 (実施態様4)前記広口径キャピラリは75μm以上の内
径を有する前項(1)から(3)に記載の装置。 (実施態様5)前記広口径キャピラリは100μmから500
μmの内径を有する前項(1)から(4)に記載の装置。 (実施態様6)前記狭口径は20μmから75μmの内径を有
する前項(1)から(5)に記載の装置。 (実施態様7)前記狭口径が20μmから50μmの内径を有
する前項(1)から(6)に記載の装置。 (実施態様8)前記狭口径が10μmから1000μmの長さを
有する前項(1)から(7)に記載の装置。 (実施態様9)キャピラリ電気泳動分析の方法であっ
て、キャピラリを通して緩衝液と分析物イオンを推進さ
せるため注入端部と出口端部との間に電圧差を印加し、
広口径キャピラリが前記各端部にある開口と広口径とを
有し、前記端部の少なくとも1つが広口径と前記端部の
開口との間で流体連絡を実施できる制限ゾーンを有し、
前記制限ゾーンが、開口へ伸びる狭口径を含み、さら
に、広口径から狭口径まで口径の直径を徐々に変える移
行ゾーンを含み、その制限ゾーンによって実質的にサイ
フォン作用が防止されることを特徴とする方法。 (実施態様10)次の(イ)から(ハ)の工程よりなる
キャピラリ電気泳動分析に用いられる広口径のキャピラ
リを製造する方法。 (イ)広口径と前記端部の開口との間で流体連絡を実施
できる制限ゾーンを形成するために、広口径及び注入端
部と出口端部を有するキャピラリの少なくとも1つの端
端の口径を狭くすることによって限定型の広口径キャピ
ラリを提供し、前記制限ゾーンが開口へ伸びる狭口径と
広口径から狭口径まで口径の直径を徐々に変える移行ゾ
ーンを含むものであり、(ロ)キャピラリ電気泳動のあ
いだ、キャピラリの注入端部へ緩衝液を供給できるよう
に緩衝液を入れる容器を設け、(ハ)キャピラリ電気泳
動のあいだ、キャピラリを通して緩衝液と分析物イオン
を推進させる電力を供給するため電源に電極を接続する
工程と、前記電極の1つが、前記容器に配置されて、キ
ャピラリ電気泳動のあいだ、緩衝液を介してキャピラリ
の注入端部と電気的連絡を設定し、1つの電極がキャピ
ラリの前記出口端部に近接して配置されて、キャピラリ
電気泳動のあいだ、そこへの電気的連絡を設定し、その
結果、電圧差がキャピラリの前記端部間に印加される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る内径180μmの.キャピラリにと
内径75μmの標準キャピラリによるrhGHトリプシン消化
物の電気泳動(CE)分離の結果を示す図。
【図2A】13 nlの注入容積を備える標準キャピラリ(内
径75μm)によるrhGHトリプシン消化物のCE分離の結果を
示す図。
【図2B】46 nlの注入容積を備える標準キャピラリによ
るrhGHトリプシン消化物のCE分離の結果を示す図。
【図2C】69 nlの注入容積を備える本願発明に係るキャ
ピラリ(内径180μm)によるrhGHトリプシン消化物のCE
分離の結果を示す図。
【図2D】138 nlの注入容積を備える本願発明に係るキ
ャピラリ(内径180μm)によるrhGHトリプシン消化物のC
E分離の結果を示す図。
【図3】内径180μm の非制限型キャピラリについて理
論的に求めた異なる大きさのサイフォン圧力を備える速
度の関数としての理論段高さを示し、さらに、内径18
0μmの制限型キャピラリのデータ点a、b、cを示す
図。
【図4】本願発明の一実施例である制限型キャピラリの
断面図。
【図5】異なる圧力ヘッドにおける本願発明に係るキャ
ピラリ(内径180μm)を用いたrhGHトリプシン消化物のC
E分離の結果を示す図。
【図6】内径180μmのキャピラリの内側温度分布と内径
75μmのキャピラリの内側温度分布の比較を示す図。
【図7】内径75μmのキャピラリと内径180μm.キャピラ
リの半径方向の(軸から壁への)温度差の関数としての
理論段高さを表す図。
【図8】25℃の本願発明の内径180μmのキャピラリと25
℃の標準の内径75μmのキャピラリによるrhGHトリプシ
ン消化物のCE分離の結果を示す図。
【図9】本願発明の内径180μm キャピラリによるrhGH
トリプシン消化物と留分捕取のCE分離の結果を示す図。
【図10】図9の捕取留分についてのMALDI-TOF質量分
析の質量スペクトルを示す図。
【図11】本願発明の一実施例であるキャピラリ電気泳
動装置の概略図。
【符号の説明】
200:キャピラリ電気泳動装置 204:広口径キャピラリ 212,220:容器 224,228:電極 232:電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 キャサリン・エイ・ケリー−テンプリン アメリカ合衆国カリフォルニア州ルス・ア ルトス、パーム・アベニュー676 (72)発明者 ロバート・アール・ハロウェイ アメリカ合衆国カリフォルニア州モンタ ナ、アカシア 1047

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分析物イオンの分析のための広口径のキャ
    ピラリを備えるキャピラリ電気泳動装置において、 注入端部と出口端部と前記端部間に広口径を有する広口
    径ゾーンと前記各端部における開口を有する広口径キャ
    ピラリを備え、前記広口径キャピラリは、前記端部の少
    なくとも1つが広口径と前記端部の開口との間で流体連
    絡を実施できる制限ゾーンを有し、前記制限ゾーンは開
    口へ伸びる狭口径を含み、さらに、広口径から狭口径ま
    で口径の直径を徐々に変化させる移行ゾーンより成るも
    のであり、 前記キャピラリの注入端部に緩衝液を供給する緩衝液源
    と、 前記注入端部と出口端部と電気的に連絡状態にある電極
    を含み、キャピラリを通して緩衝液と被検体イオンを推
    進させるための電力を供給する電源とを含むことを特徴
    とするキャピラリ電気泳動装置。
JP9008405A 1996-01-22 1997-01-21 キャピラリ電気泳動装置 Pending JPH09210959A (ja)

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US010,396 1996-07-30
US688,351 1996-07-30

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