JPH09209259A - 模様織物および帯状物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、立体的で審美性に優れた人工的な模
様を有する織物およびシートベルトを提供せんとするも
のである。 【解決手段】本発明の模様織物は、表面に模様を有する
織物であって、該模様が、該織物を構成する繊維が切断
されて形成された毛羽群および／または立毛群と織糸繊
維とにより構成されていることを特徴とするものであ
る。また、本発明の帯状物は、かかる模様織物で、か
つ、該織物が細幅の織物で構成されていることを特徴と
するものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、立体的で審美性に
優れた模様を有する織物およびそれからなる帯状物に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来から織物への模様付けは、プリント
染色による色模様付けをする方法や、着色樹脂の熱融着
によるプリント模様付けをする方法、数種の色糸を用い
織り、編み時糸を使い分け、色、柄模様を付ける方法、
さらに、織り、編みの組織を意図的に変更して柄模様を
付ける方法、織物へ手書きでペイントする方法、熱と圧
力により型押しする方法等があるが、いずれも手間やコ
ストがかかり、立体的な審美性に優れた人工的な模様付
けとはほど遠いものであった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる技術
的背景に鑑み、手間もコストもかからず、それでいて立
体的で審美性に優れた人工的な模様を有する織物および
帯状物を提供せんとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
達成するために、次のような手段を採用する。すなわ
ち、本発明の模様織物は、表面に模様を有する織物であ
って、該模様が、該織物を構成する繊維が切断されて形
成された毛羽群および／または立毛群と織糸繊維とによ
り構成されていることを特徴とするものである。また、
本発明の帯状物は、かかる模様織物で、かつ、該織物が
細幅の織物で構成されていることを特徴とするものであ
る。

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明は、織物に立体的で審美性
に優れた模様を付与するために鋭意検討したところ、バ
フマシンを用いて巧みにバフィングすることにより、見
事に立体的模様付けを達成することができることを究明
したものである。しかも、かかる模様織物は、帯状物の
ような摩擦抵抗を要求される用途には、好適な表面特性
を有することを究明したものである。

【０００６】すなわち、バフにより従来になかった斬新
な模様付けと、短時間でまた小ロット加工することもで
き、コスト的にも廉価であり、操作的にも簡単であり、
また模様付けをコンピューター制御方式で行うと複雑な
柄も簡単、容易に形成することができる利点もある。

【０００７】本発明において用いられる織物としては、
有機繊維や無機繊維からなる織物で、有機繊維としては
綿、麻、羊毛、絹、皮革などの天然繊維、セルロース系
から成る再生繊維、半合成繊維、ポリエステル系、ポリ
アミド系、ポリアクリロニトリル系、ポリエチレン系、
ポリ塩化ビニル系、アラミド系、ポリフェニレンサルフ
ァド系などから成る合成繊維などを使用することができ
る。また、無機繊維としてはガラス繊維、金属繊維、炭
素繊維、アスベストなどを使用することができる。これ
らの繊維は、単独または混用して使用することができ
る。織糸を構成する繊維としては、繊維長の比較的長
い、たとえば５０mm以上のステープルを含むものでは織
物表面に毛羽が少ないので、充分に本発明の織物に好ま
しく使用することができる。要するに毛羽が少ない織物
であれば、ステープル使いの織物でも絵際の優れた模様
織物を提供することができてよいが、好ましくはフィラ
メント使いの織物が模様の絵際が鮮明であり、本発明の
織物としては好適である。かかる織物の形態としては、
各種組織の織物が用いられ、偏平なベルト状のものから
広幅のシート状のものまで含まれる。

【０００８】本発明による模様織物は、たとえば、衣服
用布帛から帯状物、たとえば和装用帯、ふんどしや化粧
まわし、自動車等のシートベルト、カバン地やそのベル
ト、バンド、衣服のベルトや装飾性テープ、紐状付属品
等まで、さらに産業資材用として動力伝達用平ベルト、
電気絶縁テープ、スピンドルテープ、防食テープまで各
種の用途に使用できる。特に摩擦抵抗や結束性（結び目
の解けにくさ）が要求される、たとえば和装用帯やシー
トベルトには好適な素材である。

【０００９】上述のバフマシンとは、研磨材で研削する
機械で、一般に紙ヤスリと言われているサンドペーパー
を用いるのが主体で、サンドペーパーを一定方向に動か
すか、往復させるかして、織物をサンドペーパーに接触
させて研削する。一般的なバフマシンは、織物とサンド
ペーパーの接触をベッドと呼ばれる幅方向の線条支持体
を介しバフィングする構造になっている。研磨の程度は
サンドペーパーのサンド粒径、サンドペーパーと織物の
相対速度、接触圧、接触時間などにより決まる。模様付
けは、織物を部分的または全面に接触させて織物の表面
繊維が毛羽立ち、削除、切断により非接触部分または接
触条件の差により表面形態に差ができることにより模様
付けされる。模様付けする方法としてサンドペーパーへ
の部分接触および接触条件をコントロールする必要があ
る。コンピューター制御で行う場合、サンドペーパーへ
押圧するベッドが、数ミリ単位で幅方向に分割されてい
て、コンピューター指示で各エレメントが単独に上下に
移動する機構となっている。上下の移動距離もコンピュ
ーターで制御でき、研削の程度を調整することができ
る。コンピューター制御以外の模様付け方法として、凹
凸模様の柔軟な支持体と織物を貼り合わせた状態でバフ
マシンに通し、凹凸模様の逆の凸凹柄模様付与する方法
や、ベッドのエッジ先端部を凹凸に加工し布帛物を通す
ことによりタテ筋状の模様や、機械的にベッドを上下さ
せて不連続な線状模様、また左右に往復させてタテ波状
の模様を付与させる方法を採用することができる。

【００１０】本発明で言う模様とは図柄、記号、文字等
を言う。模様付けすることにより審美性、意匠性の付与
や識別、情報伝達、接着強度や摩擦抵抗の部分的調整、
さらに立体的模様であるから、目で見ることなく手で触
れることにより識別を行うこともできる。

【００１１】本発明によれば、バフマシンを用いるの
で、研削された織物の表面の繊維が毛羽立っているの
で、研削してない部分に比べ摩擦抵抗が高く、バック類
の肩ひもの滑り防止や、シートベルトの滑脱のコントロ
ール、接着剤を介し他の物との接着する場合の毛羽のア
ンカー効果による接着強度アップ等の効果を有する利点
がある。

【００１２】以下、図面に基づき、さらに詳しく本発明
について説明する。本発明にかかる模様織物を図により
説明すると、図１の１は、本発明により得られたポリエ
ステル系連続フィラメント糸からなる模様織物で、２の
部分はバフィングされてないため、連続フィラメント糸
が切断されることなく連続な糸状となっている。３の部
分はバフィングにより織物の表面繊維が一部切断され毛
羽立ちした部分で、切断や毛羽立ちにより光の乱反射や
吸収によりはっきりと模様が現れる。

【００１３】次に本発明に用いるバフマシンについて説
明する、図２はバフマシンの概略側面図、図３はバフマ
シンの概略正面図で模様織物１がかかかっていない状態
を示した。エンドレス状になったサンドペーパー４が一
定速度で回転し、数ミリ単位で幅方向に分割されたエレ
メントからなるベッド５を介し模様織物１を研削する機
構になっている。エレメントの操作は前もって模様をイ
ンプットさせたコンピューターの指示で単独にエアーシ
リンダーを介し各々のエレメントを上下に作動させる。
作動させる距離も調整することができ、これにより強く
押さえられた部分は研削量も多くなりはっきりと変化が
判り、また弱く押さえた部分は研削量も少ないのでボケ
た状態となる。このことにより、より写実的な図柄を描
くことができる。またその他に研削量、毛羽立ち状態の
調整は、サンドペーパーのサンドの粒径、材質、サンド
ペーパーの速度と織物の相対速度、サンドペーパーの回
転方向などでも行うことができる。

【００１４】

【実施例】以下、実施例に基づいて、より具体的に本発
明を説明する。 実施例１ タテ糸に１２６０デニールのポリエステル製マルチフィ
ラメント糸、ヨコ糸に６３０デニールのポリエステル製
マルチフィラメント糸を用いて、タテ糸５０本／cm、ヨ
コ糸８本／cmの織り密度で２／２のツイル織によりベル
ト幅５cmのシートベルト用ウェビングを得た。

【００１５】次にこのウェビングを用いシートベルトの
表側になる面に、自動車メーカーのロゴ模様とカットす
る場所を事前にインプットした、コンピューター制御の
バフマシンでバフィングを行い模様付けを行った。この
時のバフマシンのベッド先端部の厚みは２．５mmで、幅
方向に２．５mmに分割されたエレメント約５００本から
なっている。加工条件としてはサンドペーパー１８０番
を用い、回転速度４００ｍ／分でシートベルトと同じ方
向（ダウンカット）とした、シートベルトの送り込み速
度は８ｍ／分で行った。

【００１６】得られたものは、従来シートベルトになか
った自動車メーカーの斬新なロゴ模様が付与され宣伝効
果が十分であった。またややもすると捩じれて着用する
ことがあるが、これはシートベルトの本来の性能が十分
に発揮できなく危険の要素であったが、研磨による模様
付けのため目で確認することなく手で触れただけで表面
が判るので捩じれ着用の可能性が少なくなる。またカッ
ト部分にバフィングのマークがあるため改めて長さを測
定することなくカットが可能であった。またカットマー
ク部分を光学読取り装置で感知しカットすることも可能
である。

【００１７】実施例２ タテ糸に８４０デニールのナイロン製マルチフィラメン
ト糸、ヨコ糸に８４０デニールのナイロン製マルチフィ
ラメント糸を用いて、タテ糸９５本／cm、ヨコ糸６本／
cmの織り密度で二重平織りによりベルト幅４cmのバック
用ベルトを得た。

【００１８】次にこのベルトを用いバック用ベルトの表
側になる面に、実施例１で用いたバフマシンでスポーツ
バックメーカーのロゴ模様を付与し、次に裏側になる面
に全幅で全長にわたりバフィングを行った。この時のバ
フマシンの条件は、サンドペーパー２４０番を用い、回
転速度４００ｍ／分でシートベルトと同じ方向（ダウン
カット）とし、シートベルトの送り込み速度を５ｍ／分
で行った。

【００１９】得られたものは、従来のバック用ベルトに
なかったスポーツバックメーカーの斬新なロゴ模様が付
与され宣伝効果が十分であった。また肩ひもとしてベル
トを用いた場合従来は、滑り易いため滑り止めとしてゴ
ム製の肩当てが必要であったが、本製品は裏側に全面バ
フィングされ繊維が毛羽立っているので摩擦抵抗が高く
滑り落ちにくいため、ゴム製の肩当てが不要であった。

【００２０】実施例３ 直径１２μのステンレス製フィラメント糸を用い牽切式
紡績法にて紡績糸を得た、この時の平均単繊維長さは５
０mmで、ヨリ係数３００コ／ｍ、紡績糸の太さは１８番
手であった。この紡績糸をタテ糸、ヨコ糸共に用いて、
タテ糸１３０本／cm、ヨコ糸１３本／cmの織り密度で平
織りによるベルト幅１２cmのステンレス製ベルトを得
た。

【００２１】次に，このベルトを表側になる面に実施例
１で用いたバフマシンで「マエ」、「ウシロ」の記載、
合わせマーク、カットマークを各々１ｍ間隔でバフィン
グを行った。この時のバフマシンの条件は、サンドペー
パー１２０番を用い、回転速度３００ｍ／分でシートベ
ルトと同じ方向（ダウンカット）とし、シートベルトの
送り込み速度を５ｍ／分で行った。得られたベルトをカ
ットマークの箇所で裁断することでその都度測定する必
要がなく手間が省けた。固定用ベルトとしてステンレス
製袋状バグフィルターの口部分に金属繊維で縫い付け
た、燃焼排ガス用バグフィルターを固定する時本体の合
わせマークに合わせることができまた「マエ」、「ウシ
ロ」の表示により間違えることなく作業が短時間で効率
よく行うことができた。

【００２２】

【発明の効果】本発明によれば、織物へのバフによる模
様付けは、従来にない斬新な模様を付与することがで
き、審美性、意匠性を向上させ、また識別、情報伝達、
接着強度や摩擦抵抗の部分的調整を行うことができる。
さらに本発明にれば、短時間で加工することができると
ともに、小ロット加工することもできるので、コスト的
にも廉価に仕上げることができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この図は、本発明の模様織物の概略モデル平
面図である。

【図２】 この図は、本発明の模様織物の製造方法を説
明する概略モデル側面図である。

【図３】 この図は、本発明の模様織物の製造方法を説
明する概略モデル正面図である。

【符号の説明】

１：模様織物 ２：バフィングされていない生地部分 ３：毛羽群および／または立毛群 ４：サンドペーパー ５：ベッド

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 表面に模様を有する織物であって、該模
   様が、該織物を構成する繊維が切断されて形成された毛
   羽群および／または立毛群と織糸繊維とにより構成され
   ていることを特徴とする模様織物。
2. 【請求項２】 切断されて形成された毛羽群および／ま
   たは立毛群が、フィブリル化された繊維を含むものであ
   る請求項１記載の模様織物。
3. 【請求項３】 該模様織物を構成する繊維が、繊維長５
   ０mm以上のステープルを含む請求項１記載の模様織物。
4. 【請求項４】 該模様織物を構成する繊維が、フィラメ
   ントである請求項１記載の模様織物。
5. 【請求項５】 請求項１〜４のいずれかに記載の模様織
   物で、かつ、該織物が細幅の織物で構成されていること
   を特徴とする帯状物。
6. 【請求項６】 該帯状物が、和装用帯、バンドおよびシ
   ートベルトから選ばれた１種である請求項５記載の帯状
   物。