JPH09206607A - チップフィルタ及びピペット装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピペット装置に装着してフィルタで流体の吸
入排出に用いる空気を洗浄しながら、あるいは、それを
外してフィルタで洗浄することなしに流体を吸入排出す
ることができるようにしたチップフィルタを提供する。 【解決手段】 ピペットボディ４０内に形成されたシリ
ンダ室４５内を往復運動するプランジャー４２により試
験液等の流体を、ピペットボディ４０の下端部４０ｂに
着脱可能に装着されるチップ５０を介して吸入排出する
ピペット装置において使用されるチップフィルタ１０で
あって、ピペットボディ４０の下端部４０ｂに装着可能
な上方部分１２とチップ５０を装着可能な下方部分１４
とを有し、その内部の上下方向に貫通する空間部１６に
フィルタ素材２０を備えて構成されてなることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、シリンダ室内を往復運
動するプランジャーにより試験液等の流体を吸入排出す
るピペット装置のうち、特に、フィルタによって流体の
吸入排出に用いる空気を洗浄するタイプのピペット装置
に使用されるチップフィルタ及びそのようなチップフィ
ルタが装着されたピペット装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より医薬、化学用の試験液の注入の
為にピペット装置が用いられている。このピペット装置
には、フィルタによって流体の吸入排出に用いる空気を
洗浄するタイプのものとして、従来、ピペットボディの
内部にフィルタ素材を組み込んであるものと、チップの
内部にボール状のフィルタ素材を詰め込んだものとの２
種類があった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ピペットボディの内部
にフィルタ素材を組み込んだタイプのピペット装置は、
一般に高価であるため、吸入排出する流体を洗浄する必
要のある場合のみそのようなピペット装置を使用し、通
常は、フィルタのないタイプのピペット装置を使用して
いた。従って、使用者は、常に２種類のピペット装置を
持っていなければならず不便であった。また、フィルタ
素材を組み込んだタイプのピペット装置も、一定の期間
使用した後は内部に組み込んだフィルタ素材を新しいも
のと交換しなければならない。この際、フィルタ素材に
雑菌などの汚染物質が混入する可能性がある為、専門業
者が回収してその作業に当たらなければならなかった。

【０００４】また、チップの内部にボール状のフィルタ
素材を詰め込んだものは、必要のある場合にのみそのよ
うなチップを使用すれば良いから簡便で好ましい方法で
あった。しかしながら、この方式は、フィルタ素材がチ
ップ内周面から浮き上がり流体の吸入排出に用いる空気
がフィルタ素材内を通らない場合がある、大きなフィル
タ素材を装着できないからフィルタ能力を大きくできな
いなどの欠点があった。

【０００５】本発明の第一の態様は、上述の従来技術の
課題を解決し、ピペット装置に装着して流体の吸入排出
に用いる空気をフィルタで洗浄しながら、あるいは、そ
れを外してフィルタで洗浄することなしに使用すること
ができるようにしたチップフィルタを提供することを目
的とする。

【０００６】本発明の第二の態様は、また、そのような
チップフィルタを装着したピペット装置を提供すること
を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の第一の態様は、
ピペットボディ内に形成されたシリンダ室内を往復運動
するプランジャーにより試験液等の流体を、ピペットボ
ディの下端部に着脱可能に装着されるチップを介して吸
入排出するピペット装置において使用されるチップフィ
ルタであって、ピペットボディの下端部に装着可能な上
方部分とチップを装着可能な下方部分とを有し、その内
部の上下方向に貫通する空間部にフィルタ素材を備えて
構成されてなることを特徴とする。

【０００８】この態様の好ましい実施例においては、前
記空間部の上側部分を画成する前記上方部分の内周壁
は、ピペットボディの下端部の外形と補合する形状を有
し、一方、前記下方部分の外形は着脱可能に装着される
チップの内周壁と補合する形状を有してなる。

【０００９】この態様の他の好ましい実施例において
は、前記チップフィルタの外周面であって前記上方部分
と前記下方部分との境界に放射方向外側に向って延びる
フランジが設けられてなる。

【００１０】この態様のさらに他の好ましい実施例にお
いては、前記下方部分の下端は複数の貫通孔を有する底
部分とされており、前記フィルタ素材は、前記下方部分
の内周壁が画成する前記空間部の下側部分内に配置さ
れ、前記ピペットボディの下端面と前記底部分の内面と
によって上下方向に移動しないように保持される。

【００１１】本発明の第二の態様に係るピペット装置
は、ピペットボディ内に形成されたシリンダ室内を往復
運動するプランジャーを備えたピペットボディと、前記
ピペットボディの下端部に着脱可能に装着された上記の
チップフィルタと、そして、前記チップフィルタの下方
部分に着脱可能に装着されたチップとを備えて構成され
てなる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明に係
るチップフィルタ及びそれを装着したピペット装置を図
示された好ましい実施例を参照して説明する。

【００１３】図１は、本発明に係るチップフィルタの一
実施例の縦断面図であり、図２は、図１に示されたチッ
プフィルタを装着したピペット装置の一実施例の概略縦
断面図である。図示されているように、本発明に係るチ
ップフィルタ１０は、ピペットボディ４０の下端部に着
脱可能に装着し、さらに、その下端部に着脱可能に従来
周知のチップ５０を装着して使用するものである。

【００１４】ピペットボディ４０は、シリンダ室４５内
を往復運動するプランジャー４２を有しており、このプ
ランジャー４２は連結ロッド４３を介してピペットボデ
ィ４０の上方部に往復運動可能に装着されたプッシュボ
タン４４に連結されている。プッシュボタン４４とピペ
ットボディ４０の中間支持部材４０ａとの間には、圧縮
スプリング４１が間挿されており、従って、プッシュボ
タン４４は上方に向って付勢されている。

【００１５】図１に示された本発明に係るチップフィル
タ１０は、プラスチック、ガラスなどの耐薬品性を有す
る素材から作られる概略植木鉢のような形状の物品であ
る。チップフィルタ１０は、ピペットボディ４０の下端
部に装着可能な上方部分１２とチップ５０を装着可能な
下方部分１４とを有し、その内部に上下方向に貫通する
空間部１６が形成されている。流体の吸入排出に用いる
空気を洗浄するフィルタ素材２０は、空間部１６の下側
半分に配置されている。そして、下方部分１４の下端
は、複数の貫通孔１４ｂを有する底部分１４ｃとされて
おり、フィルタ素材２０は、ピペットボディ４０の下端
面４０ｃと底部分１４ｃの内面１４ｄとによって上下方
向に動かないようにしっかりと保持される。従って、流
体の吸入排出のため空気を吸入排出してもフィルタ素材
２０が下方部分１４の内周壁１４ｅから離れることを防
止することができる。すなわち、空気が、フィルタ素材
２０により洗浄されないで吸入排出されることを防止
し、これによりピペットボディを雑菌などから保護し、
逆にピペットボディが雑菌に汚染されている場合にも、
吸入排出する流体を雑菌から保護することができる効果
がある。

【００１６】上方部分１２の内周壁１２ａは、ピペット
ボディ４０の下端部４０ｂの外形と補合する形状を有
し、一方、下方部分１４の外周壁１４ａはチップ５０の
内周壁５０ａと補合する形状を有している。従って、チ
ップフィルタ１０は、チップ５０を着脱可能に装着でき
るピペット装置であれば、どのようなものであっても装
着可能であり、さらに、このチップフィルタ１０の下方
部分１４にチップ５０を着脱可能に装着できる。従っ
て、既に使用しているピペット装置にも、本発明に係る
チップフィルタ１０を用いれば流体の吸入排出に用いる
空気を洗浄しつつ流体を吸入排出させることができる効
果がある。

【００１７】図２に示されているように、本発明の第二
の態様に係るピペット装置は、従って、上述したような
ピペットボディ４０と、ピペットボディ４０の下端部４
０ｂに着脱可能に装着されたチップフィルタ１０と、そ
して、チップフィルタ１０の下方部分１４に着脱可能に
装着されたチップ５０とを備えて構成されている。

【００１８】チップフィルタ１０の外周面であって上方
部分１２と下方部分１４との境界には、また、放射方向
外側に向って延びるフランジ１８が設けられている。図
示されていない押し棒部材をピペットボディ４０に上下
方向に往復移動可能に取り付け、その下端によりフラン
ジ１８を押し下げることができるように構成すれば、チ
ップフィルタ１０に手を触れること無くチップフィルタ
１０をピペットボディ４０から取り外すことができる効
果を有する。

【００１９】図３は、図２のピペット装置から本発明に
係るチップフィルタ１０を取り外して使用する場合、す
なわち、流体の吸入排出に用いる空気を洗浄しないで流
体の吸入排出する場合の使用態様を示す概略縦断面図で
ある。

【００２０】上述のように図示されていない押し棒部材
を押し下げることにより、チップフィルタ１０をピペッ
トボディ４０から取り外し、ピペットボディ４０の下端
部にチップ５０を装着するだけで、従来と同様の吸入排
出操作を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係るチップフィルタの一実施例の縦
断面図である。

【図２】 図１に示されたチップフィルタを装着したピ
ペット装置の一実施例の概略縦断面図である。

【図３】 図２のピペット装置からチップフィルタを外
して使用する状態を示す要部概略縦断面図である。

【符号の説明】 １０ チップフィルタ １２ 上方部分、１２ａ 内周壁 １４ 下方部分、１４ａ 外周壁、１４ｂ 貫通孔、１
４ｃ 底部分、 １４ｄ 内面、１４ｅ 内周壁 １６ 空間部 １８ フランジ ２０ フィルタ素材 ４０ ピペットボディ、４０ｂ 下端部、４０ｃ 下端
面 ４１ 圧縮スプリング ４２ プランジャー ４３ 連結ロッド ４４ プッシュボタン ４５ シリンダ室 ５０ チップ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ピペットボディ内に形成されたシリンダ室
   内を往復運動するプランジャーにより試験液等の流体
   を、ピペットボディの下端部に着脱可能に装着されるチ
   ップを介して吸入排出するピペット装置において使用さ
   れるチップフィルタであって、 ピペットボディの下端部に装着可能な上方部分とチップ
   を装着可能な下方部分とを有し、その内部の上下方向に
   貫通する空間部にフィルタ素材を備えて構成されてなる
   チップフィルタ。
2. 【請求項２】請求項１に記載のチップフィルタにおい
   て、前記空間部の上側部分を画成する前記上方部分の内
   周壁は、ピペットボディの下端部の外形と補合する形状
   を有し、一方、前記下方部分の外形は着脱可能に装着さ
   れるチップの内周壁と補合する形状を有してなることを
   特徴とするチップフィルタ。
3. 【請求項３】請求項１又は請求項２に記載のチップフィ
   ルタにおいて、前記チップフィルタの外周面であって前
   記上方部分と前記下方部分との境界に放射方向外側に向
   って延びるフランジが設けられてなることを特徴とする
   チップフィルタ。
4. 【請求項４】請求項１〜３のいずれか１項に記載のチッ
   プフィルタにおいて、前記下方部分の下端は複数の貫通
   孔を有する底部分とされており、前記フィルタ素材は、
   前記下方部分の内周壁が画成する前記空間部の下側部分
   内に配置され、前記ピペットボディの下端面と前記底部
   分の内面とによって上下方向に移動しないように保持さ
   れることを特徴とするチップフィルタ。
5. 【請求項５】ピペットボディ内に形成されたシリンダ室
   内を往復運動するプランジャーを備えたピペットボディ
   と、 前記ピペットボディの下端部に着脱可能に装着された請
   求項１〜４のいずれか１項に記載のチップフィルタと、
   そして、 前記チップフィルタの下方部分に着脱可能に装着された
   チップと、 を備えて構成されてなるピペット装置。