JPH09197094A - 放射性金属廃棄物の溶融除染方法 - Google Patents

放射性金属廃棄物の溶融除染方法

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JPH09197094A
JPH09197094A JP920396A JP920396A JPH09197094A JP H09197094 A JPH09197094 A JP H09197094A JP 920396 A JP920396 A JP 920396A JP 920396 A JP920396 A JP 920396A JP H09197094 A JPH09197094 A JP H09197094A
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radioactive
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JP920396A
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Hisao Otsuka
久雄 大塚
Tatsuo Izumida
龍男 泉田
Norihisa Fujii
則久 藤井
Hiroyuki Tsuchiya
弘行 土屋
Yasuo Kondo
保夫 近藤
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Hitachi Ltd
Hitachi Nuclear Engineering Co Ltd
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Hitachi Ltd
Hitachi Nuclear Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原子力施設等の解体時に発生する汚染金属廃
棄物から放射性汚染物質(金属元素)を除染する方法を提
供する。 【解決手段】 エレクトロスラグ再溶解法を用い、放射
性物質Co、Ni、Crなどで汚染されたSUS304
ステンレス鋼にスラグ剤を添加して加熱、溶融し、下記
式に示すように、溶融スラグを構成する塩基性スラグと
酸性スラグとの重量比を0.5〜3.0に、最も好ましく
は1.7に調整して、溶融鋼中の放射性物質をスラグ相
へ抽出する。 比=(CaF2+CaO)/(SiO2+Al23+Fe23+M
nO2+CoO)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電プラン
トの放射性金属廃棄物の再利用技術に係り、特に放射性
金属廃棄物からCo等の核種を分離し、放射能を低減し
た金属を再利用するために必要な溶融除染方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】原子力発電プラントの廃止措置時には大
量の金属廃棄物が発生する。この廃棄物は、一次冷却材
中に含まれる腐食生成物により汚染されたクラッドと称
する汚染物と、プラント運転中に中性子照射によって発
生した放射化物の2種類に分類される。汚染物は金属表
面に付着しているため、化学除染、機械除染等の除染方
法で除去可能である。しかし、放射化物は原子炉に近い
程、放射能が高く、かつ金属内部に混在しているため、
放射化物を除去することは非常に難しい。このような観
点から、汚染物と放射化物を同時に除染するための技術
の開発が要求されている。
【0003】従来、上記の鉄系金属を分離する方法は、
FeとCoの物理的、化学的性質が類似しているため、
ステンレス鋼や炭素鋼からCoを分離する有効な方法は
ない。特開昭61-130431号公報(合金からコバルト、ニ
ッケル等を分離する方法)によれば、高温溶媒抽出法に
より、溶融Sn-Pb合金を溶媒とし、Siをストリッ
ピング剤として溶融鉄合金からCoを濃縮分離する方法
が提案されているが分離工程が複雑かつ低レベル廃棄物
が多量に発生し、実用的でない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、スラグ剤添
加による金属溶融除染法により、放射性金属廃棄物から
除去すべき核種がCoのみならず、複数核種を同時に除
染し、操作が単純でかつ除染による二次廃棄物の発生量
が少ない放射性金属廃棄物の溶融除染方法を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】溶融方法として種々の方
法があるが、このうち、スラグ剤制御による除染効果を
有効に引き出し、かつ直接通電方式により、熱効率を高
めた溶融方法としてエレクトロスラグ再溶解法(Electro
Slag Remelting:以下ESRと呼称)が挙げられる。ス
ラグ剤添加による金属溶融除染法は、放射性物質で汚染
した金属と共に金属酸化物よりなる制御されたスラグ剤
を添加し加熱溶融して、放射性物質を溶融スラグ中に抽
出して、汚染金属から分離回収する方法である。このE
SR溶融技術を金属廃棄物に応用し、最適なスラグ剤を
選定することにより、Co等の核種をスラグ中へ効率よ
く移行させる方法を発明した。
【0006】本発明は、放射性物質で汚染された金属に
スラグ剤を添加して加熱、溶融し、溶融したスラグを構
成する塩基性スラグと酸性スラグとの重量比を調整し
て、溶融金属中の放射性物質がスラグ相へ移行するのを
促進することを特徴とする放射性金属廃棄物の溶融除染
方法である。
【0007】汚染された鉄系金属を溶融除染する場合
は、溶融スラグ中の塩基性スラグと酸性スラグとの重量
比を0.5〜3.0に調整して、塩基性スラグ剤はCa
2およびCaOから構成し、また酸性スラグ剤はSi
2、Al23、Fe23、MnO2およびCoOから構
成するのがよく、かくして放射性物質のCo、Ni及び
/又は、Crが除去される。溶融金属の温度はその金属
の融点以上でかつ放射性物質の酸化物の分解温度以下に
制御する。また溶融したスラグ面上に酸素を吹き込むこ
とが好ましい。加熱、溶融するためにエレクトロスラグ
再溶解法を用いるとよい。
【0008】ところで、本発明の溶融除染方法において
は、溶融金属と溶融スラグ中の酸化反応、還元反応、イ
オン反応の複合作用によって放射性物質の除染が進行す
る。鉄系金属の溶融除染においては、塩基性スラグと酸
性スラグとの比が0.5未満であると、酸化反応、還元
反応、イオン反応が不十分となり放射性物質の除去率が
低くなり、また該比が3.0以上では溶融スラグの粘性
が増加し、溶融金属と溶融スラグとの反応が不十分であ
ることと、溶融スラグのイオン解離が少なくなり、イオ
ン反応低下により、放射性物質の除去率が低くなるの
で、塩基性スラグと酸性スラグとの比を0.5〜3.0に
限定した。
【0009】Co等の放射性物質で汚染した金属を溶融
処理する際に、Co化合物が溶融金属からスラグ層へ移
行する機構として次のようなイオン反応が考えられる。
すなわち、生成自由エネルギーからみて、Coの酸化物
はFeの酸化物より生成しやすい。一般に塩基性のスラ
グはイオン解離してO2~ を放出する性質をもっている
ので、このO2~ がCoとイオン結合し、CoOとなり
スラグへ移行すると考えられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕以下の実施の形態により、本発明の放
射性金属廃棄物の溶融除染方法を詳細に説明する。図1
は本発明の除染方法を実施するエレクトロスラグ溶解装
置(ESR装置)の構成図である。このESR装置は、
水冷銅鋳型1内で溶融スラグ層に大電流を流し、その抵
抗熱により放射性金属廃棄物からなる電極棒2(例え
ば、φ20×1500長(mm))を融解し、溶融金属を覆
って生成される溶融スラグ中へ放射性金属廃棄物に含ま
れる放射性のCo等を抽出するものである。電極棒2は
放射性金属廃棄物をプレス等で加工して製作される。そ
してスラグ剤は電極棒2が消耗するにつれて順次に溶融
スラグに補給される。
【0011】図1に示すESR装置は、概して、円筒形
の水冷銅鋳型1、水冷銅鋳型1を載置する水冷定盤3、
電極棒2の上端部を保持する電極ホルダー4、電極ホル
ダー4を上下に摺動自在に支持するスタンド5、電極ホ
ルダー4を上下スライド6を介して昇降させるスクリュ
7、スクリュ7を駆動するギヤユニット8および可変速
のサーボモータ9、及び上記各部品を設置するベース1
1と、さらに電極棒2に電力を供給する電源12を備え
ている。また、この装置には溶融時における電極棒2降
下用の上記の可変速サーボモータ9の他に、段取り用と
して交流モータ10が設けられており、各モータ9、1
0とギヤユニット8の間の接続にはチェーンカップリン
グ、クラッチユニット等が用いられている。さらに、溶
融運転中に冷却水を通水しながら溶融金属の熱除去と水
冷銅鋳型1を冷却するために、水冷配管13が水冷銅鋳
型1及び水冷定盤3に直結している。溶融雰囲気制御用
の酸素、アルゴン等のガス供給を行う場合は、溶解部分
を密閉するために、水冷銅鋳型1上に密閉容器15を設
置する。この密閉容器15にはガス供給源16、排ガス
用のフィルタ17、スラグ供給口18を設けている。溶
融運転及びスラグ溶融温度の調節は水冷銅鋳型1と電極
棒2との間に設置した供給電源12の電流・電圧制御に
より行う。なお、アルゴンは還元反応の調整ガスとして
使用する。
【0012】円筒型水冷銅鋳型1の底部に溶融着火用の
炭素鋼切粉約150gを詰め、その上に所定のスラグ剤
を約350g装填した。このスラグ剤は塩基性スラグと
酸性スラグの重量比が所定値になるよう調整されたもの
である。その状態で供給電源12を介して水冷銅鋳型1
と電極棒2との間に負荷される定常電流によりスラグ剤
が溶融し、溶融スラグで発生するジュ−ル熱が加熱源に
なる。この熱により電極棒2は漸次溶解し、スラグと反
応しながらメタルプ−ルを形成する。この際、酸素、不
活性ガス等の反応促進ガスを吹き込んで溶融状態雰囲気
を変える場合は、ガス供給源16から密閉容器15内に
ガスを供給してメタルースラグ間の反応を促進する。容
器内のオフガスはフィルタ17を介してオフガスダクト
を介して回収する。
【0013】図1に示す放射性金属廃棄物の溶融除染装
置において、上述した操作手順に従って廃棄物汚染金
属、特にCoを対象にして溶融除染処理を行った。本実
施の形態ではCoを1%添加したステンレス鋼SUS3
04相当の電極棒試験片を各種スラグ剤とともに、エレ
クトロスラグ溶解を行い、得られたインゴット中のCo
濃度を測定し、除去分離効果を求めた。
【0014】表1に供試体として用いたSUS304合
金の電極棒試験片の分析値を示し、表2にはこの実験で
使用したスラグ組成等の実験条件を示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】スラグ剤は塩基性スラグのCaF2及びC
aOと酸性スラグのAl23とから構成される標準スラ
グをベースとして、添加スラグ剤としてSiO2、Fe2
3、MnO2及びCoOを選定して使用した。2種類以
上のスラグ剤を使用する理由は、対象とする複数核種
(Co、Ni、Cr等)の汚染金属を同時に除染するため
である。これらのスラグを塩基性スラグ、酸性スラグに
分類し、塩基性スラグと酸性スラグの重量比をスラグ度
と次式のように定義して、整理した。
【0018】
【数1】
【0019】図2に実験結果の一例として、スラグ度と
インゴット中のCo除去率との関係を示す。スラグ度が
0.5〜3.5の範囲でCoが除去されるが、スラグ度が
0.5近辺ではCo除去率は1〜2%、スラグ度が大き
くなるにつれてCo除去率も上昇し、スラグ度が1.7
で14%と最高値を示した。さらにスラグ度が大きくな
ると次第にCo除去率が低下し、スラグ度が3.5近辺
ではCo除去率は1〜2%となった。ここで、インゴッ
ト中のCo除去率とは、溶融前後のインゴット中のCo
濃度差を溶融前のインゴット中のCo濃度で除した値を
%で示す。
【0020】塩基性スラグのCaOは酸素供与性のスラ
グであり、下記の式(1)で示すようにイオン解離反応
によりO2~が放出し、その酸素が式(2)で示すように
金属中のCoとの酸化反応により、CoOの生成が促進
する一方、酸性スラグは酸素イオンを更に取り込む性質
があるためと考えられる。
【0021】
【化1】
【0022】〔実施の形態2〕図3に汚染金属酸化物を
模擬したCoO中のCo除去率に及ぼす溶融温度の影響
を示す。溶融温度はW−Re熱電対をメタルプールに挿
入し、電源12の電流・電圧調整により温度制御を行っ
た。溶融温度が1900℃から低下する程、Co除去率
は上昇し、1600℃で64%であった。CoOの分解
温度が約1900℃であることから、溶融温度をそれ以
下且つ電極棒の試験片の融点(約1500℃)以上で溶
融温度を制御することで、CoOがCoイオンとOイオ
ンに分解せず、CoOの状態を維持したまま、放射性金
属廃棄物から除染分離が可能である事が分かった。この
結果より、溶融温度を1500〜1600℃の範囲で制
御することにより、Co除去率が向上することがわか
る。
【0023】さらに、溶融温度1500〜1600℃、
インゴット1kg当たり酸素吹き込み量3〜5 l/minの溶
融雰囲気でスラグ溶融を行い、放射性金属廃棄物の表面
を強制的に酸化することによりCo除去率を促進するこ
とが可能である。
【0024】〔実施の形態3〕実施の形態1と同一条件
時のCo以外の核種であるNi、Crの除去率の試験結
果を図4及び図5に示す。Coと同様に、スラグ度を大
きくすることでNi、Crを同時に分離除去できること
がわかる。スラグ度1.7でNi、Crの除去率はいず
れも16%であった。この結果から、本実施の形態に用
いた複数のスラグ剤を選定することにより複数核種の除
染も同時に可能であることがわかる。
【0025】
【発明の効果】(再検討する12月29日) 以上のように本発明によれば、放射能で汚染した金属の
溶融除染において、塩基性スラグと酸性スラグの重量比
を調整することにより、特に鉄系金属ではその比を0.
5〜3.0としたスラグを用いることにより、金属表面
の汚染物質および金属内部の放射化物質のスラグ相への
移行を促進させ、除染効果を著しく高めることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】放射性物質であるCo分離用ESR装置の構成
図である。
【図2】インゴット中のCo除去率に及ぼすスラグ度の
影響を示すグラフである。
【図3】Co除去率に及ぼす溶融温度の影響を示すグラ
フである。
【図4】インゴット中のNi除去率に及ぼすスラグ度の
影響を示すグラフである。
【図5】インゴット中のCr除去率に及ぼすスラグ度の
影響を示すグラフである。
【符号の説明】
1 水冷銅鋳型 2 電極棒 3 水冷定盤 4 電極ホルダ− 5 スタンド 6 上下スライド 7 スクリュウ 8 ベベルギャユニット 9 溶解用サ−ボモ−タ 10 段取り用交流モ−タ 11 ベース 12 供給電源 13 水冷配管 15 密閉容器 16 ガス供給源 17 フィルタ 18 スラグ供給口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 泉田 龍男 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 藤井 則久 茨城県日立市幸町三丁目2番2号 日立ニ ュークリアエンジニアリング株式会社内 (72)発明者 土屋 弘行 茨城県日立市幸町三丁目2番2号 日立ニ ュークリアエンジニアリング株式会社内 (72)発明者 近藤 保夫 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射性物質で汚染された金属にスラグ剤
    を添加して加熱、溶融し、溶融したスラグを構成する塩
    基性スラグと酸性スラグとの重量比を調整して、溶融金
    属中の放射性物質がスラグ相へ移行するのを促進するこ
    とを特徴とする放射性金属廃棄物の溶融除染方法。
  2. 【請求項2】 放射性物質で汚染された鉄系金属にスラ
    グ剤を添加して加熱、溶融し、該溶融スラグを構成する
    塩基性スラグと酸性スラグとの重量比を0.5〜3.0
    に調整して、溶融金属中の放射性物質がスラグ相へ移行
    するのを促進することを特徴とする放射性金属廃棄物の
    溶融除染方法。
  3. 【請求項3】 前記塩基性スラグ剤はCaF2及びCa
    Oから構成し、前記酸性スラグ剤はSiO2、Al
    23、Fe23、MnO2及びCoOから構成し、前記
    放射性物質はCo、Ni及びCrの少なくとも1つであ
    ることを特徴とする請求項2記載の放射性金属廃棄物の
    溶融除染方法。
  4. 【請求項4】 前記溶融した金属の温度を該金属の融点
    以上でかつ前記放射性物質の酸化物の分解温度以下に制
    御することを特徴とする請求項1、2または3に記載の
    放射性金属廃棄物の溶融除染方法。
  5. 【請求項5】 前記溶融したスラグ面上に酸素を吹き込
    むことを特徴とする請求項1または2に記載の放射性金
    属廃棄物の溶融除染方法。
  6. 【請求項6】 前記加熱、溶融するためにエレクトロス
    ラグ再溶解法を用いることを特徴とする請求項1ないし
    5のいずれかに記載の放射性金属廃棄物の溶融除染方
    法。
JP920396A 1996-01-23 1996-01-23 放射性金属廃棄物の溶融除染方法 Pending JPH09197094A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115216638A (zh) * 2022-07-25 2022-10-21 上海交通大学 用真空电渣炉生产低放射性本底金属材料的方法及其应用

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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