JPH09194852A - コンバインド・サイクル発電用燃料の製造方法 - Google Patents

コンバインド・サイクル発電用燃料の製造方法

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JPH09194852A
JPH09194852A JP854096A JP854096A JPH09194852A JP H09194852 A JPH09194852 A JP H09194852A JP 854096 A JP854096 A JP 854096A JP 854096 A JP854096 A JP 854096A JP H09194852 A JPH09194852 A JP H09194852A
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crude oil
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Masaki Iijima
正樹 飯島
Satoshi Uchida
聡 内田
Osamu Shinada
治 品田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原油の脱塩処理が不要で、運転コストの低減
や設備の簡素化が実現できるコンバインド・サイクル発
電用燃料の製造方法を提供すること。 【解決手段】 原油を所定の蒸留温度で蒸留して低沸点
留分と高沸点留分とに分離し、前記低沸点留分からなる
コンバインド・サイクル発電のガスタービン用燃料と、
前記高沸点留分からなるコンバインド・サイクル発電の
ボイラ用燃料とを製造するコンバインド・サイクル発電
用燃料の製造方法において、前記蒸留温度を、前記低沸
点留分中の塩分及びバナジウム濃度が基準値以下となる
所定温度とすることを特徴とするコンバインド・サイク
ル発電用燃料の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は油焚きガスタービン
コンバインド・サイクル発電のための燃料製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】現在日本における火力発電は、ボイラに
より生じた高温高圧の蒸気で蒸気タービンを回転させて
発電する方式が主なものである。そのボイラ用燃料とし
ては、主に重油や原油が使用されているが、それらの中
で、原油焚きの場合はワックス分が多く、かつSOxの
発生量の少ない低硫黄含有原油、例えばミナス産原油や
大慶産原油が好んで使用されている。そのほか、最近で
は良質燃料であるLNGを用いたコンバインド・サイク
ル発電設備も採用されている。
【0003】前記原油や重油をボイラで焚いて蒸気ター
ビンにより発電する方法では、熱効率が40%前後HH
V基準(HHV:高位発熱量)と比較的低い。これに対
して、LNG焚きで採用されているコンバインド・サイ
クル発電は、ガスタービンにおいて燃料の燃焼により高
温高圧ガスを発生させ、それによりタービンを回転させ
て発電し、その高温排ガスをボイラで再燃させて蒸気タ
ービンを運転し再度発電する方法(いわゆる排気再燃
型)であり、熱効率が48%前後HHV基準と飛躍的に
向上する。
【0004】このため、石油消費量増大抑制の見地か
ら、より熱効率の高い発電方式へと転換を迫られている
近年においては、上記コンバインド・サイクル発電の発
展が強く望まれている。ところが従来のLNGのコンバ
インド・サイクル発電では、LNGが貯蔵にコストがか
かる上、石油火力発電所へLNGを供給する場合、パイ
プライン埋設などに高コストがかかる。
【0005】一方、原油を燃料とするいわゆる油焚きガ
スタービン・コンバインド・サイクル発電については、
欧米で実施された例もあるが、原油に含まれる不純物に
よりトラブルが多く発生し、保守費用が嵩むという問題
があり、この点で実用化に難があった。その理由は、原
油に含まれる塩分、バナジウム及び硫黄分が相互に影響
してガスタービン中で低融点の物質となりブレードに付
着し、ブレードの腐食を起こすためである。このため、
ガスタービン用の燃料としては、塩分及びバナジウム分
の含有濃度をそれぞれ0.5ppm以下とする基準が一
般的に採用されており、また、硫黄分についても0.5
重量%以下程度であるのが好ましいとされているが、前
記ミナス産原油や大慶産原油のような低硫黄含有原油で
もこれら基準の全てをを満足できず、熱効率のよいコン
バインド・サイクル発電のガスタービン燃料としてはそ
のまま利用できなかった。したがって、結果として原油
をガスタービンの燃料とする油焚きガスタービン・コン
バインド・サイクル発電の実用化も困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、原油を
ガスタービン・コンバインド・サイクル発電用燃料とし
て使用する方法について検討を進め、ガスタービンで使
用する燃料としては上記基準のように不純物含有量の少
ない燃料が望ましいものの、ボイラ用燃料としては不純
物含有量の制限が比較的緩やかであることに着目し、上
記不純物の問題を解決するものとして、例えば特願平4
−287504号(特開平6−207180号公報参
照)により、脱塩処理された原油を所定の温度で蒸留し
て低沸点留分と高沸点留分とに分離し、不純物含有量の
少ない低沸点留分をガスタービンの燃料として使用し、
一方不純物含有量の多い高沸点留分を上記タービン用ボ
イラの燃料として使用するという、原油蒸留技術を利用
した油焚きガスタービン・コンバインド・サイクル発電
方法を提案し、実用化を検討中である。ところがこの発
電方法では、原油を予め脱塩処理する方式としているの
で、この分運転コストが余分にかかり、また脱塩処理の
ためのディソルター等の設備が必要となる。
【0007】そこで本発明は、原油蒸留技術を利用した
油焚きガスタービン・コンバインド・サイクル発電のた
めの燃料製造方法であって、原油の脱塩処理が不要で、
運転コストの低減や設備の簡素化が実現できるコンバイ
ンド・サイクル発電用燃料の製造方法を提供することを
目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は次の(1)及び(2)の構成を採るもので
ある。 (1)原油を所定の蒸留温度で蒸留して低沸点留分と高
沸点留分とに分離し、前記低沸点留分からなるコンバイ
ンド・サイクル発電のガスタービン用燃料と、前記高沸
点留分からなるコンバインド・サイクル発電のボイラ用
燃料とを製造するコンバインド・サイクル発電用燃料の
製造方法において、前記蒸留温度を、前記低沸点留分中
の塩分及びバナジウム濃度が基準値以下となる所定温度
とすることを特徴とするコンバインド・サイクル発電用
燃料の製造方法。
【0009】(2)前記蒸留温度を、前記低沸点留分中
の塩分の蒸気分圧が、前記低沸点留分の全圧に対する1
-7倍となる温度以下に設定することを特徴とする前記
(1)のコンバインド・サイクル発電用燃料の製造方
法。
【0010】本発明の方法においては、原油を蒸留して
不純物含有量の少ない低沸点留分と不純物含有量の多い
高沸点留分とに分離するにあたり、低沸点留分中の塩分
及びバナジウム濃度がそれぞれ基準値(例えば0.5p
pm)以下となるよう、所定の温度で蒸留することを特
徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態の1例を
図面に基づいて説明する。図1は、本発明を実施するた
めのコンバインド・サイクル発電設備における燃料供給
系統の構成の1例を示し、図2は同コンバインド・サイ
クル発電設備における発電系統の構成の1例を示してい
る。この発電設備の燃料供給系統は主な構成機器として
図1に示すように原油タンク1、原油供給ポンプ2、原
油予熱器3〜6、原油加熱炉7、蒸留塔8、凝縮器9、
ガスタービン燃料供給ポンプ10、還流ポンプ11、ガ
スタービン燃料タンク12、ボイラ燃料供給ポンプ1
3、ボイラ燃料タンク14、給水予熱器15、16を備
えている。
【0012】原油タンク1は原油を貯留するもので、こ
の原油としては、好ましくは低硫黄原油を使用する。低
硫黄原油としては、排ガスの脱硫工程を簡略化できるこ
とから、できるだけ硫黄含有量の少ないものが好ましい
が、通常硫黄含有量が1重量%以下、さらに好ましくは
0.5重量%以下の原油が用いられる。このような原油
としては、前述のミナス産原油や大慶産原油等を挙げる
ことができる。なお、原油中に含まれる硫黄分のほとん
どは後述する蒸留により分離されるので、本発明におけ
る原油としては必ずしも上記のような低硫黄原油を用い
る必要はない。また、本発明では原油に含まれる塩分
は、蒸留塔8による蒸留により高沸点留分側にほとんど
残留し、これにより低沸点留分の塩分含有量が前述の基
準値(0.5ppm)以下となるので、脱塩処理された
原油を用いる必要もないし、あるいは原油を脱塩処理す
る必要もない。
【0013】原油供給ポンプ2は、原油タンク1内の原
油を送り出し、原油供給ライン21を介して原油加熱炉
7、さらには蒸留塔8へと圧送するものである。原油加
熱炉7は、この場合、原油タンク1内の原油あるいは発
電燃料とは別に用意された原油、軽油、灯油、ナフサ、
LPG等を燃焼させて蒸留塔8に送られる原油を所定の
蒸留温度まで加熱するものである。原油予熱器3、4あ
るいは原油予熱器5、6は、この場合、蒸留塔8の塔頂
から導出されたガス(すなわち低沸点留分)、あるいは
蒸留塔8の塔底から導出された液(すなわち高沸点留
分)からそれぞれ2段階で熱回収し、原油加熱炉7に送
られる前に原油を順次加熱する熱交換器であり、これに
より原油の加熱効率がアップして原油加熱炉7の負担が
軽くなる。
【0014】なお、所定の蒸留温度に昇温するために原
油を加熱する加熱手段としては、上記のような独立の加
熱炉7や原油予熱器5、6を設ける態様に限られず、後
述の図2に示すガスタービン34又はボイラ35におい
て発生した熱エネルギーを回収する熱交換器等を設けて
もよい。例えば、後述の排ガスライン42上に接続され
てガスタービン34の排ガスから熱回収する熱交換器、
後述の排煙導出ライン44上に接続されてボイラ35の
排煙から熱回収する熱交換器と、上記タービン36から
抽出した蒸気から熱回収する熱交換器、ボイラ35内の
対流伝熱部35aから熱回収する熱交換器、あるいは蒸
気タービン36から抽出した蒸気を原油に混入させる混
合加熱器を、上記加熱炉7の代わりに又は上記加熱炉7
とともに設ける構成でもよい。
【0015】なお、蒸留温度(蒸留塔8の入口における
原油温度)は、ガスタービン用燃料となる低沸点留分の
バナジウムや塩分あるいは硫黄分の含有量が所望の値に
なるように、原油の性状等に応じて決定すればよいが、
本例では、特に低沸点留分中の塩分が前述の基準値
(0.5ppm)以下となる温度に設定する。このため
には例えば、塩分の蒸気分圧が低沸点留分の全圧に対す
る10-7倍となる温度以下に設定する。すなわち、原油
中の主な塩分であるNaClやKClの蒸気分圧は、温
度によって図3の如く変化するが、この蒸気分圧が全圧
に対して10-7倍となる温度に設定すれば、低沸点留分
中の塩分濃度が体積割合で0.1ppmとなり、大きな
余裕度をもって塩分濃度の基準値(0.5ppm)以下
を満足できる。なお、通常、このように蒸留温度を設定
すれば、低沸点留分中のバナジウム濃度も基準値(0.
5ppm)以下となり、硫黄分についても0.5重量%
以下の好ましい濃度となる。
【0016】具体的には、例えば常圧蒸留の場合には、
全圧が大気圧(1atm)であるため、塩分の蒸気分圧
が10-7atmになる温度、すなわち図3に示すように
約500℃以下(好ましくは420℃以下)の温度に設
定する。また、減圧蒸留の場合には、その圧力値に応じ
て、図3の関係に基づいてより低い温度に設定すればよ
い。
【0017】蒸留塔8は、この場合、還流ポンプ11及
び還流ライン22により塔頂から導出された低沸点留分
が液として戻されて、原油の発生蒸気と向流的に接触し
て分離度を高める方式の蒸留塔(いわゆる精留塔)であ
り、具体的には例えば泡鐘塔や多孔板塔、あるいは充填
塔が使用できる。凝縮器9は、液ライン23により蒸留
塔8の塔頂から導出されたガス(すなわち低沸点留分)
を最終的に冷却して凝縮させる、例えば多管式熱交換器
であり、この場合凝縮しきれなかったガス(オフガス)
が頂部から排出される。そして、この凝縮器9で凝縮さ
れた原油の低沸点留分は、底部から抜き出されて、一部
が還流ポンプ11及び還流ライン22により蒸留塔8に
戻され、残りがガスタービン燃料としてガスタービン燃
料供給ポンプ10によりガスタービン燃料タンク12に
送られる構成となっている。
【0018】また、ボイラ燃料供給ポンプ13は、蒸留
塔8の塔底から導出された液(すなわち高沸点留分)を
液ライン24によりボイラ燃料タンク14に圧送するも
のである。なお、給水予熱器15、16は蒸留塔8の塔
頂から導出されたガス(すなわち低沸点留分)、あるい
は蒸留塔8の塔底から導出された液(すなわち高沸点留
分)から熱回収し、後述するボイラ35に送られるボイ
ラ給水を加熱する熱交換器である。
【0019】次に、この発電設備の発電系統は、主な構
成機器として、図2に示すように、タービン本体31、
圧縮機32及び燃焼器33からなるガスタービン34、
ボイラ35、蒸気タービン36、復水器37、エコノマ
イザー38を備えている。ここでガスタービン34は、
燃焼器33において、ガスタービン燃料タンク12から
供給ライン41を介して供給されたガスタービン燃料
を、圧縮機32により圧縮された空気と接触させて燃焼
させ、タービン31におけるこの燃焼ガスの膨張により
出力軸を回転させて発電する周知のもので、この場合、
排気再燃型のコンバインド・サイクルを形成すべく、燃
焼後の排ガス(残酸素濃度11〜15%程度、温度58
0℃程度)が排ガスライン42を経由してボイラ35に
供給される構成となっている。
【0020】ボイラ35は、例えばスターリングボイラ
であり、対流伝熱部35aを有する。このボイラ35に
は、燃料として前述のボイラ燃料タンク14内の高沸点
留分が供給ライン43を経由して供給され、またこのボ
イラ35の排煙は排煙導出ライン44を介して、図示省
略した脱硝装置や集塵装置を経由するとともに、エコノ
マイザー38により熱回収されて、図示省略した煙突に
導かれて大気中に放出される。なお、原油の性状によっ
てはこの排煙中から硫黄分(特に亜硫酸ガス)を除去す
る脱硫装置を設けてもよい。
【0021】また、エコノマイザー38は、蒸気サイク
ルの熱効率向上のためにボイラ35の排煙の熱によりボ
イラ給水を加熱する熱交換器である。なお、図2では煩
雑になるので図示省略しているが、蒸気タービン36と
しては、いわゆる再熱サイクルを形成すべく、高圧、中
圧、低圧といった具合に複数段の蒸気タービンを備えた
構成とするとともに、また、いわゆる再生サイクルを形
成すべく、複数の抽気給水加熱器を設けて、熱効率を高
度に確保した構成とするのが当然好ましい。本例の場合
には、図1に示した給水予熱器15、16(図2では図
示省略)も、復水器37からボイラ35に送られる給水
を加熱し、蒸気サイクルの熱効率をさらに高めている。
【0022】以上のようなコンバインド・サイクル発電
設備で実施される燃料製造方法によれば、蒸留温度を適
温に設定することによって、脱塩処理されていない原油
であっても、特に塩分濃度の少ないガスタービン34に
適した燃料(低沸点留分)を連続的に供給し、前述した
ような不純物に起因するガスタービン34のブレード金
属の腐食といった問題点を回避しつつ、コンバインド・
サイクル発電の利点を生かした高効率な発電が、低コス
トかつ簡素な設備で実現可能となる。すなわち、原油タ
ンク1から原油供給ポンプ2により送り出された原油
は、原油予熱器3〜6により例えば270℃程度まで加
熱された後、この場合独立に設けられた原油加熱炉7に
より最終的に所定の蒸留温度(前述したように例えば4
20℃以下の温度)まで加熱される。このため、蒸留塔
8の塔頂から導出される低沸点留分(すなわち、ガスタ
ービン燃料)の塩分の含有濃度、さらにはバナジウムの
含有濃度も、容易に基準値の0.5ppm(wt)以下
に大きな裕度をもって維持できるし、また硫黄分につい
ても0.5〜0.05重量%以下に維持できる。
【0023】すなわち、本例では塩分の蒸気分圧が全圧
に対して10-7倍となる温度以下に設定しているので、
原油中に基準値を超える塩分が含まれていたとしても、
また常圧蒸留の場合でも減圧蒸留の場合でも、低沸点留
分中の塩分濃度が体積割合で0.1ppm以下となり、
大きな余裕度をもって塩分濃度の基準値を満足できる。
特に、蒸留温度を420℃以下に設定した場合には、図
3に示すように、塩分の蒸気分圧は約10-9atmとな
り、常圧蒸留の場合には低沸点留分中の塩分濃度が体積
割合で0.001ppmとなって、基準値に対する余裕
度は特に大きくなる。
【0024】また、重金属は、常圧蒸留の場合、ほとん
どが約900°F(約500℃)以上の高沸点留分に残
留し、結局この場合これらほとんどの不純物が高沸点留
分側に残留し、ボイラ燃料タンク14に送られるボイラ
燃料中に含まれることになる。なお、ボイラ35では、
従来より重油等を燃焼させているので、このような不純
物が含まれた燃料でもなんら問題なく運転可能である。
こうして、上記不純物濃度が十分に低い燃料がガスター
ビン燃料タンク12から連続的にガスタービン34に供
給され、ガスタービン34から排出される高温の排ガス
がボイラ35に導入されて再燃されるようにすること
で、貯蔵が容易な原油を使用した高効率なコンバインド
・サイクル発電が、原油中の不純物に起因するトラブル
を発生させることなく信頼性高く実施できる。
【0025】しかも、原油の脱塩処理が不要になるた
め、運転コストを低減し、設備の簡素化をはかることが
できる。すなわち、従来は脱塩処理した原油を使用して
いたため、例えばこの脱塩処理を同一設備内で実施する
場合には、原油を予め80〜150℃程度に加熱する加
熱手段を設けるとともに、脱塩手段であるディソルター
を必要に応じて複数段設けなければならず、またこのデ
ィソルターは、加熱した原油と淡水を混合し、例えば2
万ボルト程度の静電圧を印加して水滴を凝集させて分離
するものであるので、発電設備の消費電力あるいは消費
燃料を増大させるとともに、設備の大型化を招いてい
た。ところが、本例の燃料製造方法であれば、このよう
な加熱手段やディソルターを設置する必要がなく、脱塩
処理による運転コストの増大を抑制することができる。
【0026】
【発明の効果】前記(1)のコンバインド・サイクル発
電用燃料の製造方法では、原油を所定の蒸留温度で蒸留
して低沸点留分と高沸点留分とに分離し、前記低沸点留
分からなるコンバインド・サイクル発電のガスタービン
用燃料と、前記高沸点留分からなるコンバインド・サイ
クル発電のボイラ用燃料とを製造するコンバインド・サ
イクル発電用燃料の製造方法において、前記蒸留温度を
前記低沸点留分中の塩分及びバナジウムの濃度がいずれ
も基準値(例えば0.5ppm)以下となる所定温度と
した。すなわち、原油中に基準値を超える塩分が含まれ
ていたとしても、蒸留温度の設定により、コンバインド
・サイクル発電のガスタービン用燃料として要求される
塩分濃度の基準値を満足させるようにした。このため、
原油の脱塩処理が不要となり、そのための設備や消費電
力等が不要となって、運転コストの低減及び設備の簡素
化を達成することができる。なお、塩分濃度が基準値以
下となる所定温度に蒸留温度を設定すれば、バナジウム
等の重金属や硫黄分もほとんどが高沸点留分側に分離さ
れ、ガスタービン用燃料として要求される低沸点留分中
のバナジウム濃度や硫黄分濃度の基準値をも高い余裕度
をもって満足させることができる。
【0027】さらに、前記(2)のコンバインド・サイ
クル発電用燃料の製造方法では、前記蒸留温度を、低沸
点留分中の塩分の蒸気分圧が全圧に対して10-7倍とな
る温度以下に設定した。このため、原油中に基準値を超
える塩分が含まれていたとしても、低沸点留分中の塩分
濃度が体積割合で0.1ppm以下となり、大きな余裕
度をもってガスタービン用燃料として要求される塩分濃
度の基準値やさらにはバナジウム濃度の基準値を満足で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するためのコンバインド・サイク
ル発電設備の燃料供給系統の構成例を示す図。
【図2】本発明を実施するためのコンバインド・サイク
ル発電設備の発電系統の構成例を示す図。
【図3】原油中に含まれる主な塩分の蒸気分圧と温度と
の関係を示す図。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原油を所定の蒸留温度で蒸留して低沸点
    留分と高沸点留分とに分離し、前記低沸点留分からなる
    コンバインド・サイクル発電のガスタービン用燃料と、
    前記高沸点留分からなるコンバインド・サイクル発電の
    ボイラ用燃料とを製造するコンバインド・サイクル発電
    用燃料の製造方法において、前記蒸留温度を、前記低沸
    点留分中の塩分及びバナジウム濃度が基準値以下となる
    所定温度とすることを特徴とするコンバインド・サイク
    ル発電用燃料の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記蒸留温度を、前記低沸点留分中の塩
    分の蒸気分圧が、前記低沸点留分の全圧に対する10-7
    倍となる温度以下に設定することを特徴とする請求項1
    に記載のコンバインド・サイクル発電用燃料の製造方
    法。
JP854096A 1996-01-22 1996-01-22 コンバインド・サイクル発電用燃料の製造方法 Pending JPH09194852A (ja)

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