JPH09190219A - プラント異常診断装置 - Google Patents
プラント異常診断装置Info
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- JPH09190219A JPH09190219A JP337196A JP337196A JPH09190219A JP H09190219 A JPH09190219 A JP H09190219A JP 337196 A JP337196 A JP 337196A JP 337196 A JP337196 A JP 337196A JP H09190219 A JPH09190219 A JP H09190219A
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- Y04—INFORMATION OR COMMUNICATION TECHNOLOGIES HAVING AN IMPACT ON OTHER TECHNOLOGY AREAS
- Y04S—SYSTEMS INTEGRATING TECHNOLOGIES RELATED TO POWER NETWORK OPERATION, COMMUNICATION OR INFORMATION TECHNOLOGIES FOR IMPROVING THE ELECTRICAL POWER GENERATION, TRANSMISSION, DISTRIBUTION, MANAGEMENT OR USAGE, i.e. SMART GRIDS
- Y04S10/00—Systems supporting electrical power generation, transmission or distribution
- Y04S10/50—Systems or methods supporting the power network operation or management, involving a certain degree of interaction with the load-side end user applications
- Y04S10/52—Outage or fault management, e.g. fault detection or location
Landscapes
- Testing And Monitoring For Control Systems (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 予め異常事象の想定を行うことなく、信頼性
の高いプラント異常の診断結果を得る。 【解決手段】 プラント状態量を計測する状態量計測装
置13と、状態量計測装置13からの計測信号に基づい
て異常診断の対象とするプラントモデル15に対応する
状態量を決定し、プラント制御装置17からのプラント
の稼働スケジュールを参照して基準値およびしきい値に
より正常・異常を判定する計測量判定装置19と、計測
量判定装置19の判定結果を入力し、プラントモデル1
5上の異常要素を予め決められた診断手法に従って同定
する診断装置21と、診断装置21の異常診断結果およ
び推論過程を示す情報を表示する表示装置23とを備え
る。
の高いプラント異常の診断結果を得る。 【解決手段】 プラント状態量を計測する状態量計測装
置13と、状態量計測装置13からの計測信号に基づい
て異常診断の対象とするプラントモデル15に対応する
状態量を決定し、プラント制御装置17からのプラント
の稼働スケジュールを参照して基準値およびしきい値に
より正常・異常を判定する計測量判定装置19と、計測
量判定装置19の判定結果を入力し、プラントモデル1
5上の異常要素を予め決められた診断手法に従って同定
する診断装置21と、診断装置21の異常診断結果およ
び推論過程を示す情報を表示する表示装置23とを備え
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は産業プロセスプラン
トの異常診断装置に関する。
トの異常診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電プラントや石油化学プラント
のような大規模で複雑な産業用プロセスプラントの操業
においては、プラントの局部における異常も早期に発見
し、適切な処理を講ずることによって、異常の拡大を防
止し、稼働率を高め、安全を維持することが重要であ
る。このため、プラントの操業状態を把握するための多
数の計測器を設置し、これらの多くに警報発生機能を設
け、異常を早期に検出するようにしている。しかしなが
ら、これら多数の警報に常に迅速・適切に対処すること
は運転員にとって負担の大きい所であり、またプラント
のすべての要素の状態を計測監視することも現実的では
ない。
のような大規模で複雑な産業用プロセスプラントの操業
においては、プラントの局部における異常も早期に発見
し、適切な処理を講ずることによって、異常の拡大を防
止し、稼働率を高め、安全を維持することが重要であ
る。このため、プラントの操業状態を把握するための多
数の計測器を設置し、これらの多くに警報発生機能を設
け、異常を早期に検出するようにしている。しかしなが
ら、これら多数の警報に常に迅速・適切に対処すること
は運転員にとって負担の大きい所であり、またプラント
のすべての要素の状態を計測監視することも現実的では
ない。
【0003】そこで、これらプラントの計測信号に基づ
きプラントの操業状態を診断し、運転員の監視・診断業
務を支援するプラント診断装置が種々開発されてきた。
代表的なものはプラントに発生する可能性のある異常を
想定しその場合の代表的なプラント状態量の過渡的変化
パタ一ンを記憶しておき、、異常発生時にこのパターン
と比較することによって、どのような異常が発生したか
を同定しようとするものである。ニューラル・ネットワ
ークを用いた診断も代表パターンをニューロ・ネットの
結線に記憶させたものと考えることができる。
きプラントの操業状態を診断し、運転員の監視・診断業
務を支援するプラント診断装置が種々開発されてきた。
代表的なものはプラントに発生する可能性のある異常を
想定しその場合の代表的なプラント状態量の過渡的変化
パタ一ンを記憶しておき、、異常発生時にこのパターン
と比較することによって、どのような異常が発生したか
を同定しようとするものである。ニューラル・ネットワ
ークを用いた診断も代表パターンをニューロ・ネットの
結線に記憶させたものと考えることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】大規模で複雑なプラン
トにおいては、発生しうる異常事象も種々あり、これら
の進展パターンを予め用意することは容易ではない上
に、実際に該当する事象が発生した場合も、細部では想
定したものと異なってくるのは当然であり、用意された
パターンと異なってくる事態が発生する可能性がある。
また重要な事故に至るのは往々にして、予期せざる多重
故障であろうことは他産業の例からも想定しておかねば
ならない。
トにおいては、発生しうる異常事象も種々あり、これら
の進展パターンを予め用意することは容易ではない上
に、実際に該当する事象が発生した場合も、細部では想
定したものと異なってくるのは当然であり、用意された
パターンと異なってくる事態が発生する可能性がある。
また重要な事故に至るのは往々にして、予期せざる多重
故障であろうことは他産業の例からも想定しておかねば
ならない。
【0005】さらに異常診断装置の結果を参照して最終
判断をするのは運転スタッフであるから、異常診断装置
の判断プロセスが彼らにとって理解し納得しうるもので
あることが重要であるが、膨大な異常原因とその観測徴
候の組合わせを記憶しておくことは人間にとって困難で
あり、これが異常診断装置の結果の理解を難しくするこ
とが過去における医学分野のエキスパートシステムの例
からも十分予想される。
判断をするのは運転スタッフであるから、異常診断装置
の判断プロセスが彼らにとって理解し納得しうるもので
あることが重要であるが、膨大な異常原因とその観測徴
候の組合わせを記憶しておくことは人間にとって困難で
あり、これが異常診断装置の結果の理解を難しくするこ
とが過去における医学分野のエキスパートシステムの例
からも十分予想される。
【0006】ところで、人が産業プロセスプラントのよ
うな大規模で複雑なシステムについて推論するときは、
対象を種々の抽象レベルでモデル化していることが知ら
れている。最上位はプラントの目的であり、発電プラン
トにあっては電力生産と安全確保である。次のレベルは
抽象機能レベルであり、物質、エネルギー、情報の流れ
などでプラントの機能・構造を表現する。さらに次のレ
ベルは一般機能レベルであり、以下物理機能レベル、物
理形態レベルが考えられている。
うな大規模で複雑なシステムについて推論するときは、
対象を種々の抽象レベルでモデル化していることが知ら
れている。最上位はプラントの目的であり、発電プラン
トにあっては電力生産と安全確保である。次のレベルは
抽象機能レベルであり、物質、エネルギー、情報の流れ
などでプラントの機能・構造を表現する。さらに次のレ
ベルは一般機能レベルであり、以下物理機能レベル、物
理形態レベルが考えられている。
【0007】このような抽象機能階層モデルを用いる根
拠は、有限の資源である頭脳を用いて推論するという制
約から、プラント全体に関する考察を行う場合は、抽象
度の高いレベルにおいて、例えば重要機能の健全性をチ
ェックする等のプロセスを行い、−定時間内における処
理判断の遂行を可能にしなければならないからである。
上位レベルで考察対象の絞り込みが可能となれば、下位
のレベルではより限定された範囲内でのより詳細な機能
レべルにおける推論が可能となる。
拠は、有限の資源である頭脳を用いて推論するという制
約から、プラント全体に関する考察を行う場合は、抽象
度の高いレベルにおいて、例えば重要機能の健全性をチ
ェックする等のプロセスを行い、−定時間内における処
理判断の遂行を可能にしなければならないからである。
上位レベルで考察対象の絞り込みが可能となれば、下位
のレベルではより限定された範囲内でのより詳細な機能
レべルにおける推論が可能となる。
【0008】本発明は、以上の点を考慮して、人間が問
題解決にあたって行う認知プロセスに関する知見を応用
してなされたものであり、上記抽象機能レベルでのプラ
ントモデルに基づいて、予め異常事象の想定を行うこと
なく、人にとって理解しやすい推論プロセスを実現し、
適切な異常診断結果を得ることができるプラント異常診
断装置を提供することを目的とする。
題解決にあたって行う認知プロセスに関する知見を応用
してなされたものであり、上記抽象機能レベルでのプラ
ントモデルに基づいて、予め異常事象の想定を行うこと
なく、人にとって理解しやすい推論プロセスを実現し、
適切な異常診断結果を得ることができるプラント異常診
断装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1の発
明のプラント異常診断装置は、要素間のマス・エネルギ
ーの流れでプラントの機能・構造を表現したプラントモ
デルを格納する手段と、プラントの状態量を計測する状
態量計測装置と、この状態量計測装置の計測信号からプ
ラントモデルに対応する状態量を求め、これらの計測量
に対して設定された基準値およびしきい値と比較して正
常か否かを判定する計測量判定装置と、この計測量判定
装置からの判定結果を入力し、プラントモデルを用いて
このプラントモデル上の異常要素を同定する診断装置
と、この診断装置による異常診断のプロセスおよび結果
を表示する表示装置とを備え、前記診断装置が、プラン
トモデル上において計測量判定装置により異常と判定さ
れた要素およびこれらの要素間を正常と判定された要素
を避けてつなぐ要素を異常と仮定することを特徴とす
る。
明のプラント異常診断装置は、要素間のマス・エネルギ
ーの流れでプラントの機能・構造を表現したプラントモ
デルを格納する手段と、プラントの状態量を計測する状
態量計測装置と、この状態量計測装置の計測信号からプ
ラントモデルに対応する状態量を求め、これらの計測量
に対して設定された基準値およびしきい値と比較して正
常か否かを判定する計測量判定装置と、この計測量判定
装置からの判定結果を入力し、プラントモデルを用いて
このプラントモデル上の異常要素を同定する診断装置
と、この診断装置による異常診断のプロセスおよび結果
を表示する表示装置とを備え、前記診断装置が、プラン
トモデル上において計測量判定装置により異常と判定さ
れた要素およびこれらの要素間を正常と判定された要素
を避けてつなぐ要素を異常と仮定することを特徴とす
る。
【0010】請求項2の発明は、上記診断装置が、異常
と仮定した要素について、個々にその状態量を収集ない
し算出し、マスバランス、エネルギーバランスあるいは
その他の状態量間の制約を用いて正常か否かを評価する
ことを特徴とする。
と仮定した要素について、個々にその状態量を収集ない
し算出し、マスバランス、エネルギーバランスあるいは
その他の状態量間の制約を用いて正常か否かを評価する
ことを特徴とする。
【0011】請求項3の発明は、上記診断装置が、さら
に、状態量を収集ないし算出できず評価不能とした要素
およびマスバランス、エネルギーバランスあるいはその
他の状態量間の制約を用いて異常と評価した要素につい
て、人間の総合判断に対応したルールべース診断により
総合判断を行い、異常要素を決定することを特徴とす
る。
に、状態量を収集ないし算出できず評価不能とした要素
およびマスバランス、エネルギーバランスあるいはその
他の状態量間の制約を用いて異常と評価した要素につい
て、人間の総合判断に対応したルールべース診断により
総合判断を行い、異常要素を決定することを特徴とす
る。
【0012】請求項4の発明は、上記診断装置が、さら
に、ルールべース診断に基づいた総合判断により異常と
すべき要素を決定することができない場合、プラントモ
デル上において計測量判定装置により異常と判定された
要素および該要素に隣接した要素を異常と仮定し、さら
にこれらの異常と仮定された要素間を計測量判定装置に
より正常と判定された要素を避けてつなぐ要素を異常と
仮定することを特徴とする。
に、ルールべース診断に基づいた総合判断により異常と
すべき要素を決定することができない場合、プラントモ
デル上において計測量判定装置により異常と判定された
要素および該要素に隣接した要素を異常と仮定し、さら
にこれらの異常と仮定された要素間を計測量判定装置に
より正常と判定された要素を避けてつなぐ要素を異常と
仮定することを特徴とする。
【0013】請求項5の発明は、上記診断装置が、請求
項4において異常と仮定した要素について、個々にその
状態量を収集ないし算出し、マスバランス、エネルギー
バランスあるいはその他の状態量間の制約を用いて正常
か否かを評価することを特徴とする。
項4において異常と仮定した要素について、個々にその
状態量を収集ないし算出し、マスバランス、エネルギー
バランスあるいはその他の状態量間の制約を用いて正常
か否かを評価することを特徴とする。
【0014】請求項6の発明は、上記診断装置が、請求
項5において状態量を収集ないし算出できず評価不能と
した要素およびマスバランス、エネルギーバランスある
いはその他の状態量間の制約を用いて異常と評価した要
素について、人間の総合判断に対応したルールべース診
断により総合判断を行い、異常要素を決定することを特
徴とする。
項5において状態量を収集ないし算出できず評価不能と
した要素およびマスバランス、エネルギーバランスある
いはその他の状態量間の制約を用いて異常と評価した要
素について、人間の総合判断に対応したルールべース診
断により総合判断を行い、異常要素を決定することを特
徴とする。
【0015】請求項7の発明は、上記診断装置が、請求
項3においてルールべース診断に基づいた総合判断によ
り異常とすべき要素を決定することができない場合、プ
ラントモデル上において計測量判定装置により異常と判
定された要素およびこれらの要素間を正常と判定された
要素を避けてつなぐ要素を異常と仮定したとき、それ以
外の正常と仮定される要素について、個々にその状態量
を収集ないし算出し、マスバランス、エネルギーバラン
スあるいはその他の状態量間の制約を用いて正常か否か
を評価することを特徴とする。
項3においてルールべース診断に基づいた総合判断によ
り異常とすべき要素を決定することができない場合、プ
ラントモデル上において計測量判定装置により異常と判
定された要素およびこれらの要素間を正常と判定された
要素を避けてつなぐ要素を異常と仮定したとき、それ以
外の正常と仮定される要素について、個々にその状態量
を収集ないし算出し、マスバランス、エネルギーバラン
スあるいはその他の状態量間の制約を用いて正常か否か
を評価することを特徴とする。
【0016】請求項8の発明は、上記診断装置が、請求
項7において状態量を収集ないし算出できず評価不能と
した要素およびマスバランス、エネルギーバランスある
いはその他の状態量間の制約を用いて異常と評価した要
素について、人間の総合判断に対応したルールべース診
断により総合判断を行い、異常要素を決定することを特
徴とする。
項7において状態量を収集ないし算出できず評価不能と
した要素およびマスバランス、エネルギーバランスある
いはその他の状態量間の制約を用いて異常と評価した要
素について、人間の総合判断に対応したルールべース診
断により総合判断を行い、異常要素を決定することを特
徴とする。
【0017】請求項9の発明は、上記診断装置が、請求
項3においてルールべース診断に基づいた総合判断によ
り異常とすべき要素を決定することができない場合、プ
ラントモデル上において計測量判定装置により異常と判
定された要素に最も近くかつ計測量判定装置により正常
と判定された要素の計測量を異常と仮定し、この計測量
を異常と仮定された要素と計測量判定装置により異常と
判定された要素、およびこれらの要素間を計測量判定装
置により正常と判定された要素を避けてつなぐ要素を異
常と仮定することを特徴とする。
項3においてルールべース診断に基づいた総合判断によ
り異常とすべき要素を決定することができない場合、プ
ラントモデル上において計測量判定装置により異常と判
定された要素に最も近くかつ計測量判定装置により正常
と判定された要素の計測量を異常と仮定し、この計測量
を異常と仮定された要素と計測量判定装置により異常と
判定された要素、およびこれらの要素間を計測量判定装
置により正常と判定された要素を避けてつなぐ要素を異
常と仮定することを特徴とする。
【0018】請求項10の発明は、上記診断装置が、請
求項9において異常と仮定した要素について、個々にそ
の状態量を収集ないし算出し、マスバランス、エネルギ
ーバランスあるいはその他の状態量間の制約を用いて正
常か否かを評価することを特徴とする。
求項9において異常と仮定した要素について、個々にそ
の状態量を収集ないし算出し、マスバランス、エネルギ
ーバランスあるいはその他の状態量間の制約を用いて正
常か否かを評価することを特徴とする。
【0019】請求項11の発明は、上記診断装置が、請
求項10において状態量を収集ないし算出できず評価不
能とした要素およびマスバランス、エネルギーバランス
あるいはその他の状態量間の制約を用いて異常と評価し
た要素について、人間の総合判断に対応したルールべー
ス診断により総合判断を行い、異常要素を決定すること
を特徴とする。
求項10において状態量を収集ないし算出できず評価不
能とした要素およびマスバランス、エネルギーバランス
あるいはその他の状態量間の制約を用いて異常と評価し
た要素について、人間の総合判断に対応したルールべー
ス診断により総合判断を行い、異常要素を決定すること
を特徴とする。
【0020】請求項12の発明は、上記計測量判定装置
が、プラントの計画された稼働スーケジュールに応じて
判定に用いる状態量のしきい値を変えることを特徴とす
る。
が、プラントの計画された稼働スーケジュールに応じて
判定に用いる状態量のしきい値を変えることを特徴とす
る。
【0021】本発明に用いるプラントモデルは抽象機能
階層モデルにおける抽象機能モデルに相当し、マス・エ
ネルギーの流れを表現するものである。これらは存在す
る物理量の最も抽象度の高いものであるほか、エネルギ
ーは動力プラントにあっては目的とする出力であり、ま
た他のプラントにあってもその蓄積は安全上の考慮の対
象となる。これらの流れはソース(源)、シンク(吸い
込み)、貯槽、輸送、分岐、バリアなどの機能を要素と
して用いて表せる。またマスバランス、エネルギーバラ
ンスはこれらの流れを支配する原則であり、推論におい
て活用される。
階層モデルにおける抽象機能モデルに相当し、マス・エ
ネルギーの流れを表現するものである。これらは存在す
る物理量の最も抽象度の高いものであるほか、エネルギ
ーは動力プラントにあっては目的とする出力であり、ま
た他のプラントにあってもその蓄積は安全上の考慮の対
象となる。これらの流れはソース(源)、シンク(吸い
込み)、貯槽、輸送、分岐、バリアなどの機能を要素と
して用いて表せる。またマスバランス、エネルギーバラ
ンスはこれらの流れを支配する原則であり、推論におい
て活用される。
【0022】さて、これらの要素のネットワークで表現
されたプラントモデルにおいて、すべての要素の状態が
計測可能ではなく、−般に計測可能なものは一部の要素
と考えて良い。したがって、ー般にはこの計測要素の内
の一部が計測量判定装置により異常と判定され、残りを
正常とする入力が診断装置に与えられると考えて良い。
診断装置は、これら入力からプラントモデルの要素の各
々について、その正常/異常を判定することが要求され
る。
されたプラントモデルにおいて、すべての要素の状態が
計測可能ではなく、−般に計測可能なものは一部の要素
と考えて良い。したがって、ー般にはこの計測要素の内
の一部が計測量判定装置により異常と判定され、残りを
正常とする入力が診断装置に与えられると考えて良い。
診断装置は、これら入力からプラントモデルの要素の各
々について、その正常/異常を判定することが要求され
る。
【0023】さて、このような流れのネットワークにお
いて、計測量判定装置により異常と判定された要素につ
ながる非計測要素には流れによって異常が伝播している
と仮定することができる。ただし、このような故障伝播
を行っていって、正常と判定された計測要素に遭遇した
場合にはこの故障伝播の仮説は適当ではなく、妥当な根
拠の存在する要素まで仮説を撤回する必要がある。例え
ば、図1に示すように異常と判定された計測要素1より
故障伝播を要素2、要素3と行い、異常と判定された計
測要素4に達した場合は、要素2、3は異常と仮定しう
るが、要素2より分岐し、要素5を経て正常と判定され
る計測要素6に達した場合には要素5は正常とすべきで
ある。その一つの根拠は、流れに着目した場合は、個々
の要素よりそれらが構成するパス(回路)に全体として
異常が現れると判断されるところにある。
いて、計測量判定装置により異常と判定された要素につ
ながる非計測要素には流れによって異常が伝播している
と仮定することができる。ただし、このような故障伝播
を行っていって、正常と判定された計測要素に遭遇した
場合にはこの故障伝播の仮説は適当ではなく、妥当な根
拠の存在する要素まで仮説を撤回する必要がある。例え
ば、図1に示すように異常と判定された計測要素1より
故障伝播を要素2、要素3と行い、異常と判定された計
測要素4に達した場合は、要素2、3は異常と仮定しう
るが、要素2より分岐し、要素5を経て正常と判定され
る計測要素6に達した場合には要素5は正常とすべきで
ある。その一つの根拠は、流れに着目した場合は、個々
の要素よりそれらが構成するパス(回路)に全体として
異常が現れると判断されるところにある。
【0024】以上より、請求項1においては、診断装置
の機能は、マス・エネルギーの流れ回路としてのプラン
トモデルと、そのなかでの部分的に計測可能な要素群
と、さらにそのなかでの正常・異常群が与えられて、任
意の異常要素間を正常要素を避けて連結する全てのパス
を求めることにより、プラントの異常部位を同定するこ
とにある。このようなパスの探索は、プラントモデルが
与えられるとソフトウエアにより可能である。
の機能は、マス・エネルギーの流れ回路としてのプラン
トモデルと、そのなかでの部分的に計測可能な要素群
と、さらにそのなかでの正常・異常群が与えられて、任
意の異常要素間を正常要素を避けて連結する全てのパス
を求めることにより、プラントの異常部位を同定するこ
とにある。このようなパスの探索は、プラントモデルが
与えられるとソフトウエアにより可能である。
【0025】計測量判定装置の機能は、状態量計測装置
より得られる信号からプラントモデルの要素の状態量
(マス・エネルギーの流れ、蓄積量等)の導出が可能な
ケースについてこれらを求め、診断装置に提供すること
にある。
より得られる信号からプラントモデルの要素の状態量
(マス・エネルギーの流れ、蓄積量等)の導出が可能な
ケースについてこれらを求め、診断装置に提供すること
にある。
【0026】表示装置は、以上の診断結果をプラントモ
デルを表すネットワークとともに表示することにより運
転員にプラントの異常状態の認識、原因要素の推定等の
支援を行う。
デルを表すネットワークとともに表示することにより運
転員にプラントの異常状態の認識、原因要素の推定等の
支援を行う。
【0027】請求項2においては、診断装置は、上記請
求項1において、異常と仮定された要素について、個々
にマス・エネルギーバランスに基づく異常診断を行い、
異常箇所の絞り込み、あるいは同定を行うものである。
すなわち、流れ回路を構成する要素群にあってはその中
の一つの要素の異常が回路全体の流れを乱し、要素群全
体の異常として検知されるからである。
求項1において、異常と仮定された要素について、個々
にマス・エネルギーバランスに基づく異常診断を行い、
異常箇所の絞り込み、あるいは同定を行うものである。
すなわち、流れ回路を構成する要素群にあってはその中
の一つの要素の異常が回路全体の流れを乱し、要素群全
体の異常として検知されるからである。
【0028】このためにはまず個々の要素の状態量を推
定する必要があるが、これにはまず正常と判定された要
素群からの状態量を利用する。すなわち、請求項1の診
断装置においては故障伝播をモデルの要素間で行った
が、同じ操作を状態量の推定についても適用することが
できる。求めたい状態量(例えばある要素Aの入力流
量)について、これに接続される要素の状態量(上例で
はこの要素Aにつながる要素Βの出力流量)を探す。も
し未知であれば、さらにこの要素の先につながる要素に
ついてその状態量を探すことを繰り返す。これらの探索
は正常要素に限定するので、マスバランス、エネルギー
バランスを適用することができる。すなわち、ある要素
の流れ状態量が1つだけ未知の場合は、総和=0からこ
れを求めることができる。
定する必要があるが、これにはまず正常と判定された要
素群からの状態量を利用する。すなわち、請求項1の診
断装置においては故障伝播をモデルの要素間で行った
が、同じ操作を状態量の推定についても適用することが
できる。求めたい状態量(例えばある要素Aの入力流
量)について、これに接続される要素の状態量(上例で
はこの要素Aにつながる要素Βの出力流量)を探す。も
し未知であれば、さらにこの要素の先につながる要素に
ついてその状態量を探すことを繰り返す。これらの探索
は正常要素に限定するので、マスバランス、エネルギー
バランスを適用することができる。すなわち、ある要素
の流れ状態量が1つだけ未知の場合は、総和=0からこ
れを求めることができる。
【0029】次に、異常要素間でもこのような状態量伝
播を行って状態量推定を行うが、この場合には異常が仮
定されているので、マスバランス、エネルギーバランス
の適用をただちに行うことは妥当ではない。したがっ
て、状態量推定のステップが終了した要素についてはこ
れを他の要素の状態量推定に用い得るようにし、状態量
の推定が加速されるようにする。
播を行って状態量推定を行うが、この場合には異常が仮
定されているので、マスバランス、エネルギーバランス
の適用をただちに行うことは妥当ではない。したがっ
て、状態量推定のステップが終了した要素についてはこ
れを他の要素の状態量推定に用い得るようにし、状態量
の推定が加速されるようにする。
【0030】このようにして、できるだけ状態量推定を
進め、状態量の推定できた要素について、個々の要素に
適した異常判定を実施する。すなわち、分岐について
は、図2に示すように、流入、流出の流量アンバランス
についての判定と、流入、流出それぞれにおける分流比
についての判定を行う。
進め、状態量の推定できた要素について、個々の要素に
適した異常判定を実施する。すなわち、分岐について
は、図2に示すように、流入、流出の流量アンバランス
についての判定と、流入、流出それぞれにおける分流比
についての判定を行う。
【0031】貯槽については、図3に示すように、流
入、流出について分岐同様の判定を行うと同時に、貯蔵
量についての判定および貯蔵量の時間変化率と流量アン
バランス間の保存則についての制約を満たすか否かの判
定を行う。
入、流出について分岐同様の判定を行うと同時に、貯蔵
量についての判定および貯蔵量の時間変化率と流量アン
バランス間の保存則についての制約を満たすか否かの判
定を行う。
【0032】輸送は流れの駆動力に関わり、物理的にポ
ンプ等が該当するが、図4に示すように、流入、流出流
量、それらの間の流量アンバランス、および駆動力に関
する計測信号が存在する場合には駆動力と流量間の制約
(ポンプの性能特性等)を満たすか否かの判定を行う。
ンプ等が該当するが、図4に示すように、流入、流出流
量、それらの間の流量アンバランス、および駆動力に関
する計測信号が存在する場合には駆動力と流量間の制約
(ポンプの性能特性等)を満たすか否かの判定を行う。
【0033】また、バリアについては、図5に示すよう
に、逆止弁のような一方向のみの流れを許す場合と、隔
離弁等のように双方向の流量を遮断する場合があるの
で、これらを区別して判定する必要がある。
に、逆止弁のような一方向のみの流れを許す場合と、隔
離弁等のように双方向の流量を遮断する場合があるの
で、これらを区別して判定する必要がある。
【0034】これらの判定結果を表示装置に表示するこ
とにより、運転員の異常診断を支援する。状態量の推定
が不備な要素についてはそのまま異常として表示する。
とにより、運転員の異常診断を支援する。状態量の推定
が不備な要素についてはそのまま異常として表示する。
【0035】請求項3においては、診断装置は、上記請
求項2における各種の判定結果から運転員が行う総合判
断を知識情報処理システム−エキスパートシステム−に
移植して総合判断を行わせ運転員の支援を強化する。こ
こに用いる知識は経験則であって個々の産業プラントに
より異なり得るものであるが、抽象機能レベルの診断に
ついては、例えば輸送については個々の流量の測定値の
異常があっても、駆動力−流量間の制約が満たされてい
れば、その要素は正常と判断する。貯槽についても貯蔵
量の時間変化率と流量アンバランス間の保存則について
の制約が満たされていれば正常と判断する。分岐につい
ては一般にこのような優先的制約を定めることは困難で
あるが、分流比の制約侵害よりも流入・流出流量間のア
ンバランスが重要であろう。しかし、分流比の異常はそ
の要素の効率異常に関わるケースがある。
求項2における各種の判定結果から運転員が行う総合判
断を知識情報処理システム−エキスパートシステム−に
移植して総合判断を行わせ運転員の支援を強化する。こ
こに用いる知識は経験則であって個々の産業プラントに
より異なり得るものであるが、抽象機能レベルの診断に
ついては、例えば輸送については個々の流量の測定値の
異常があっても、駆動力−流量間の制約が満たされてい
れば、その要素は正常と判断する。貯槽についても貯蔵
量の時間変化率と流量アンバランス間の保存則について
の制約が満たされていれば正常と判断する。分岐につい
ては一般にこのような優先的制約を定めることは困難で
あるが、分流比の制約侵害よりも流入・流出流量間のア
ンバランスが重要であろう。しかし、分流比の異常はそ
の要素の効率異常に関わるケースがある。
【0036】以上の知識は、既に述べたように、流れの
異常は流れ回路の一つの構成要素に生じる異常が回路全
体に及ぶことに基づいている。
異常は流れ回路の一つの構成要素に生じる異常が回路全
体に及ぶことに基づいている。
【0037】一方、状態量が収集できず判定不明と判断
された要素が存在するケースでは、計測点に対してモデ
ル要素が細分化されすぎたためとも判断できるので、統
合したケースについて判定を試みるとか、同一タイプの
回路、要素が複数個存在し、個々には詳細な状態量が不
明なケースでは、既知の代表的状態量を比較することに
より、異常回路、要素を同定する等の総合判断ルールを
利用することができる。以上の結果を表示装置により運
転員に提供し、異常診断を支援する。
された要素が存在するケースでは、計測点に対してモデ
ル要素が細分化されすぎたためとも判断できるので、統
合したケースについて判定を試みるとか、同一タイプの
回路、要素が複数個存在し、個々には詳細な状態量が不
明なケースでは、既知の代表的状態量を比較することに
より、異常回路、要素を同定する等の総合判断ルールを
利用することができる。以上の結果を表示装置により運
転員に提供し、異常診断を支援する。
【0038】請求項4においては、診断装置は、上記請
求項3の総合判断結果が、請求項1の計測量判定装置に
よって異常と判定された要素を最終的に異常と判定でき
ず、矛盾した結果が得られた場合への対応を行う。
求項3の総合判断結果が、請求項1の計測量判定装置に
よって異常と判定された要素を最終的に異常と判定でき
ず、矛盾した結果が得られた場合への対応を行う。
【0039】この場合には、いずれかの要素の判定結果
が間違っている可能性が高いと考えられる。その原因と
して、例えば、状態量が測定されていない場合でプラン
トモデルのつなぎの関係から正常と判定されたり、正し
い状態量が計測されていないような状況(計器故障な
ど)が考えられる。
が間違っている可能性が高いと考えられる。その原因と
して、例えば、状態量が測定されていない場合でプラン
トモデルのつなぎの関係から正常と判定されたり、正し
い状態量が計測されていないような状況(計器故障な
ど)が考えられる。
【0040】そこで、診断装置は、計測量判定装置によ
って異常と判定された要素に隣接する要素を一旦異常と
判定する仮説をたて、請求項1と同様に異常と判定され
た要素間を正常と判定された要素を避けてプラントモデ
ル上つなぐ要素を異常と判定することを再度行う。
って異常と判定された要素に隣接する要素を一旦異常と
判定する仮説をたて、請求項1と同様に異常と判定され
た要素間を正常と判定された要素を避けてプラントモデ
ル上つなぐ要素を異常と判定することを再度行う。
【0041】請求項5においては、診断装置は、請求項
4において異常と判定された要素について、請求項2と
同様個々にその状態量を求め、それよりその要素のマス
バランス、エネルギーバランスあるいはその他の状態量
間の制約を用いてその正常/異常を判定する。
4において異常と判定された要素について、請求項2と
同様個々にその状態量を求め、それよりその要素のマス
バランス、エネルギーバランスあるいはその他の状態量
間の制約を用いてその正常/異常を判定する。
【0042】請求項6においては、診断装置は、請求項
5において状態量が収集できず判定不明と判断された要
素および複数の異常判定がなされた要素について、請求
項3と同様人間の総合判断に対応したルールベース診断
により総合判断を行う。
5において状態量が収集できず判定不明と判断された要
素および複数の異常判定がなされた要素について、請求
項3と同様人間の総合判断に対応したルールベース診断
により総合判断を行う。
【0043】請求項7においては、診断装置は、上記請
求項3の総合判断結果が、請求項1の計測量判定装置に
よって異常と判定された要素を最終的に異常と判定でき
ず、矛盾した結果が得られた場合への対応を行う。ここ
では、請求項1において状態量が収集されていない要素
であっても要素間のつなぎの関係によって正常と判定さ
れた要素について、個々にその状態量を求め、それより
その要素のマスバランス、エネルギーバランスあるいは
その他の状態量間の制約を用いてその正常/異常を判定
する。
求項3の総合判断結果が、請求項1の計測量判定装置に
よって異常と判定された要素を最終的に異常と判定でき
ず、矛盾した結果が得られた場合への対応を行う。ここ
では、請求項1において状態量が収集されていない要素
であっても要素間のつなぎの関係によって正常と判定さ
れた要素について、個々にその状態量を求め、それより
その要素のマスバランス、エネルギーバランスあるいは
その他の状態量間の制約を用いてその正常/異常を判定
する。
【0044】請求項8においては、診断装置は、請求項
7において状態量が収集できず判定不明と判断された要
素および複数の異常判定がなされた要素について、人間
の総合判断に対応したルールベース診断により総合判断
を行う。
7において状態量が収集できず判定不明と判断された要
素および複数の異常判定がなされた要素について、人間
の総合判断に対応したルールベース診断により総合判断
を行う。
【0045】請求項9においては、診断装置は、上記請
求項3の総合判断結果が、請求項1の計測量判定装置に
よって異常と判定された要素を最終的に異常と判定でき
ず、矛盾した結果が得られた場合への対応を行う。この
場合には、いずれかの計測要素の判定結果が間違ってい
る可能性が高いと考えられる。その原因として、正しい
計測量が計測されていないような状況(計器故障など)
が考えられる。そこで、計測量判定装置によって異常と
判定された要素に最も近い計測量を異常とする仮説をた
て、すなわちこの計測量は無視し、請求項1と同様に異
常と判定された要素間を正常と判定された要素を避けて
プラントモデル上つなぐ要素を異常と判定することを再
度行う。
求項3の総合判断結果が、請求項1の計測量判定装置に
よって異常と判定された要素を最終的に異常と判定でき
ず、矛盾した結果が得られた場合への対応を行う。この
場合には、いずれかの計測要素の判定結果が間違ってい
る可能性が高いと考えられる。その原因として、正しい
計測量が計測されていないような状況(計器故障など)
が考えられる。そこで、計測量判定装置によって異常と
判定された要素に最も近い計測量を異常とする仮説をた
て、すなわちこの計測量は無視し、請求項1と同様に異
常と判定された要素間を正常と判定された要素を避けて
プラントモデル上つなぐ要素を異常と判定することを再
度行う。
【0046】請求項10においては、診断装置は、請求
項9において異常と判定された要素について、請求項2
と同様個々にその状態量を求め、それよりその要素のマ
スバランス、エネルギーバランスあるいはその他の状態
量間の制約を用いてその正常/異常を判定する。
項9において異常と判定された要素について、請求項2
と同様個々にその状態量を求め、それよりその要素のマ
スバランス、エネルギーバランスあるいはその他の状態
量間の制約を用いてその正常/異常を判定する。
【0047】請求項11においては、診断装置は、請求
項10において状態量が収集できず判定不明と判断され
た要素および複数の異常判定がなされた要素について、
請求項3と同様人間の総合判断に対応したルールベース
診断により総合判断を行う。
項10において状態量が収集できず判定不明と判断され
た要素および複数の異常判定がなされた要素について、
請求項3と同様人間の総合判断に対応したルールベース
診断により総合判断を行う。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。
施の形態を説明する。
【0049】図6は、本発明のプラント異常診断装置の
一実施の形態を示すもので、原子力発電プラント等のプ
ラント11のプラント状態量を計測する状態量計測装置
13と、この状態量計測装置13からの計測信号に基づ
いてプラントモデル15に対応する状態量を決定し、プ
ラント制御装置17からのプラントの稼働スケジュール
を参照して基準値およびしきい値により正常・異常を判
定する計測量判定装置19と、計測量判定装置19の判
定結果を入力し、プラントモデル15上の異常要素を同
定する診断装置21と、診断装置21の異常診断結果お
よび推論過程を示す情報を表示する表示装置23とで構
成される。
一実施の形態を示すもので、原子力発電プラント等のプ
ラント11のプラント状態量を計測する状態量計測装置
13と、この状態量計測装置13からの計測信号に基づ
いてプラントモデル15に対応する状態量を決定し、プ
ラント制御装置17からのプラントの稼働スケジュール
を参照して基準値およびしきい値により正常・異常を判
定する計測量判定装置19と、計測量判定装置19の判
定結果を入力し、プラントモデル15上の異常要素を同
定する診断装置21と、診断装置21の異常診断結果お
よび推論過程を示す情報を表示する表示装置23とで構
成される。
【0050】ここで、プラント11としては、沸騰水型
原子力発電プラント(ΒWR発電プラント)を例にあげ
て、以下ΒWR発電プラントを対象として説明する。
原子力発電プラント(ΒWR発電プラント)を例にあげ
て、以下ΒWR発電プラントを対象として説明する。
【0051】プラント11は、炉心、再循環系、給復水
系、主蒸気系、タービン・発電機系等によって構成され
る。状態量計測装置13ではプラント状態量として、炉
心流量、再循環ポンプ流量、ジェットポンプ流量、給復
水流量、ポンプ吐出圧力、原子炉水位、復水器水位など
を計測している。これらの計測信号は計測量判定装置1
9に送られる。
系、主蒸気系、タービン・発電機系等によって構成され
る。状態量計測装置13ではプラント状態量として、炉
心流量、再循環ポンプ流量、ジェットポンプ流量、給復
水流量、ポンプ吐出圧力、原子炉水位、復水器水位など
を計測している。これらの計測信号は計測量判定装置1
9に送られる。
【0052】−方、プラント制御装置17は、プラント
起動あるいは停止時等に制御棒位置、炉心出力、給復水
流量等を変化させ発電機出力を制御しており、これらの
稼働スケジュール、例えばプラント起動計画やプラン卜
負荷変更のデータが計測量判定装置19に送られてい
る。
起動あるいは停止時等に制御棒位置、炉心出力、給復水
流量等を変化させ発電機出力を制御しており、これらの
稼働スケジュール、例えばプラント起動計画やプラン卜
負荷変更のデータが計測量判定装置19に送られてい
る。
【0053】計測量判定装置19は、状態量計測装置1
3による計測信号からプラントモデル15に対応する状
態量を求め、この計測された状態量すなわち計測量を正
常状態における基準値に基づくしきい値と比較すること
によって異常/正常を判定する。その際、プラント制御
装置17からの稼働スケジュールに基づいて基準値やし
きい値の時間的変化を計算し、異常判定に用いるしきい
値を変化させる。これにより、計画的なプラント状態変
化において誤った異常判定を行うことを避けている。
3による計測信号からプラントモデル15に対応する状
態量を求め、この計測された状態量すなわち計測量を正
常状態における基準値に基づくしきい値と比較すること
によって異常/正常を判定する。その際、プラント制御
装置17からの稼働スケジュールに基づいて基準値やし
きい値の時間的変化を計算し、異常判定に用いるしきい
値を変化させる。これにより、計画的なプラント状態変
化において誤った異常判定を行うことを避けている。
【0054】診断装置21は、プラントモデル15上の
要素にマッピングされた異常/正常の判定結果を基に、
要素間のマス、エネルギーの流れ関係およびバランス計
算を行い異常要素を絞り込む。さらに経験則等を用いた
エキスパートシステムを用いて総合的な判断を行い、運
転員の判断支援を行う。
要素にマッピングされた異常/正常の判定結果を基に、
要素間のマス、エネルギーの流れ関係およびバランス計
算を行い異常要素を絞り込む。さらに経験則等を用いた
エキスパートシステムを用いて総合的な判断を行い、運
転員の判断支援を行う。
【0055】表示装置23は、プラントモデル15上で
の異常判定結果やエキスパートシステムの支援情報を提
供する。
の異常判定結果やエキスパートシステムの支援情報を提
供する。
【0056】通常、計測量判定装置19および診断装置
21は、プロセス計算機あるいはワークステーション・
パソコン上にソフトウエアにより実現される。
21は、プロセス計算機あるいはワークステーション・
パソコン上にソフトウエアにより実現される。
【0057】次に、本実施の形態の作用として図7に示
す原子炉再循環系を中心に構成したプラントモデル15
を使って異常診断例を詳細に説明する。
す原子炉再循環系を中心に構成したプラントモデル15
を使って異常診断例を詳細に説明する。
【0058】図7はプラントモデル15の一例であり、
診断装置21に入力され異常判定に用いられるもので、
データベースとして蓄えられているものの1つである。
このプラントモデル15は、要素E1〜E15によって
構成されている。
診断装置21に入力され異常判定に用いられるもので、
データベースとして蓄えられているものの1つである。
このプラントモデル15は、要素E1〜E15によって
構成されている。
【0059】要素E1は原子炉圧力容器のダウンカマー
部を示しており、大量の冷却水を蓄える貯蔵機能を果た
している。
部を示しており、大量の冷却水を蓄える貯蔵機能を果た
している。
【0060】要素E2は再循環ポンプを表しており、原
子炉圧力容器ダウンカマ−部E1から冷却水R1,2 を引
き出し、ジェットポンプの駆動水R2,3 としてライザー
管へッダー部E3に送り込む。ライザー管へッダー部E
3は、ジェットポンプの数だけ必要な駆動水を分岐させ
る機能を持つ。ここでは実際のプラントを簡略化して、
ジェットポンプの吸込み口を要素E4、要素E6の2つ
で模擬している。ジェットポンプは駆動水に原子炉圧力
容器ダウンカマ−部E1からの吸込み流量R1,6 および
R1,4 をスロート部E5、E7で混合してジェットポン
プ流量R5,8 、R7,8 として炉心下部プレナムE10に
送り込む。なお、要素Ε8は2つのジェットポンプ流量
をまとめて表す仮想的な要素であり、#1再循環系とす
る。
子炉圧力容器ダウンカマ−部E1から冷却水R1,2 を引
き出し、ジェットポンプの駆動水R2,3 としてライザー
管へッダー部E3に送り込む。ライザー管へッダー部E
3は、ジェットポンプの数だけ必要な駆動水を分岐させ
る機能を持つ。ここでは実際のプラントを簡略化して、
ジェットポンプの吸込み口を要素E4、要素E6の2つ
で模擬している。ジェットポンプは駆動水に原子炉圧力
容器ダウンカマ−部E1からの吸込み流量R1,6 および
R1,4 をスロート部E5、E7で混合してジェットポン
プ流量R5,8 、R7,8 として炉心下部プレナムE10に
送り込む。なお、要素Ε8は2つのジェットポンプ流量
をまとめて表す仮想的な要素であり、#1再循環系とす
る。
【0061】再循環系は2系統あるが、説明を簡潔にす
るため、もう一方の#2再循環系を統合してE9で表し
ている。すなわち、R1,2 、R1,6 、R1,4 に相当する
#2再循環系の流量をまとめてR1,9 で表し、R9,10が
R8,10に対応している。
るため、もう一方の#2再循環系を統合してE9で表し
ている。すなわち、R1,2 、R1,6 、R1,4 に相当する
#2再循環系の流量をまとめてR1,9 で表し、R9,10が
R8,10に対応している。
【0062】以上のように、再循環系は再循環ポンプが
輸送機能、ジェットポンプは分岐機能としてモデル化す
ることができる。
輸送機能、ジェットポンプは分岐機能としてモデル化す
ることができる。
【0063】炉心下部プレナムE10に流入した冷却水
は炉心部E11に送られて、炉心を冷却するとともに加
熱されて沸騰する。沸騰により発生した2相流はセパレ
ータE12によって蒸気と飽和水に分離され、蒸気は主
蒸気系E13に主蒸気流量R12,13 として送られる。一
方、飽和水はR12,1として原子炉圧力容器ダウンカマー
部E1に戻される。
は炉心部E11に送られて、炉心を冷却するとともに加
熱されて沸騰する。沸騰により発生した2相流はセパレ
ータE12によって蒸気と飽和水に分離され、蒸気は主
蒸気系E13に主蒸気流量R12,13 として送られる。一
方、飽和水はR12,1として原子炉圧力容器ダウンカマー
部E1に戻される。
【0064】主蒸気はタービン・発電機を駆動して電力
生産した後に、復水器E14に流入する。復水器E14
は大量の冷却水を蓄える貯蔵機能でもある。なお、電力
生産に関するモデルはエネルギーバランスによって表現
する。最後に、復水器E14の冷却水は給復水系E15
によって原子炉給水流量R15,1として原子炉圧力容器ダ
ウンカマー部E1に戻る。
生産した後に、復水器E14に流入する。復水器E14
は大量の冷却水を蓄える貯蔵機能でもある。なお、電力
生産に関するモデルはエネルギーバランスによって表現
する。最後に、復水器E14の冷却水は給復水系E15
によって原子炉給水流量R15,1として原子炉圧力容器ダ
ウンカマー部E1に戻る。
【0065】これらの状態量すなわち流量のうち常時計
測されているのは、再循環ポンプ吸込み流量R1,2 、ジ
ェットポンプ流量R5,8 、R7,8 、R9,10、炉心入口流
量R10,11 、主蒸気流量R12,13 、タービン入口流量R
13,14 、給復水ポンプ吸込み流量R14,15 、原子炉給水
流量R15,1である。
測されているのは、再循環ポンプ吸込み流量R1,2 、ジ
ェットポンプ流量R5,8 、R7,8 、R9,10、炉心入口流
量R10,11 、主蒸気流量R12,13 、タービン入口流量R
13,14 、給復水ポンプ吸込み流量R14,15 、原子炉給水
流量R15,1である。
【0066】また、図示していないが、個別要素の異常
判定には原子炉圧力容器ダウンカマー部E1の水位、再
循環ポンプE2の吐出圧力、復水器E14の水位等の計
測量を使うことができる。
判定には原子炉圧力容器ダウンカマー部E1の水位、再
循環ポンプE2の吐出圧力、復水器E14の水位等の計
測量を使うことができる。
【0067】ここで、正常状態での流量バランスを以下 R1,2 :100 R5,8 :120 R7,8 :120 R8,10 :240 R9,10 :240 R10,11 :480 R12,13 :72 R13,14 :72 R14,15 :72 R15,1 :72 のように設定する。これらの設定値は運転中のプラント
11から、状態量計測装置13によって取り込まれるも
のである。ただし、R8,10は#1再循環系の流量を表す
要素として仮想的に2つのジェットポンプ流量を合計し
たものである。
11から、状態量計測装置13によって取り込まれるも
のである。ただし、R8,10は#1再循環系の流量を表す
要素として仮想的に2つのジェットポンプ流量を合計し
たものである。
【0068】次に、ジェットポンプでなんらの効率が低
下する異常が発生したと想定し、上記の計測量が以下 R1,2 :110 R5,8 :100 R7,8 :120 R8,10 :220 R9,10 :240 R10,11 :460 R12,13 :69 R13,14 :69 R14,15 :69 R15,1 :69 のように変化したとする。
下する異常が発生したと想定し、上記の計測量が以下 R1,2 :110 R5,8 :100 R7,8 :120 R8,10 :220 R9,10 :240 R10,11 :460 R12,13 :69 R13,14 :69 R14,15 :69 R15,1 :69 のように変化したとする。
【0069】これらのデータが示すように、再循環流量
が低下することで主蒸気流量が減少し、プラン卜全体の
マスバランスが変化する。これらの中から異常の発生源
と思われる要素を判定するのが診断機能の目的である。
が低下することで主蒸気流量が減少し、プラン卜全体の
マスバランスが変化する。これらの中から異常の発生源
と思われる要素を判定するのが診断機能の目的である。
【0070】ここで、計測量に基づいて計測量判定装置
9によって正常と判定される要素は以下 E1 :原子炉圧力容器ダウンカマー部 E7 :スロート部 E9 :#2再循環系 E14:復水器 のようになる。判定は原則として、各要素の流入/流出
流量の変化を基に行う。なお、原子炉圧力容器ダウンカ
マ−部E1と復水器E14は貯蔵機能であり、それぞれ
図示されていないが水位が計測されている。ここでは水
位に変化はないため、これらの機能は正常と判定され
る。
9によって正常と判定される要素は以下 E1 :原子炉圧力容器ダウンカマー部 E7 :スロート部 E9 :#2再循環系 E14:復水器 のようになる。判定は原則として、各要素の流入/流出
流量の変化を基に行う。なお、原子炉圧力容器ダウンカ
マ−部E1と復水器E14は貯蔵機能であり、それぞれ
図示されていないが水位が計測されている。ここでは水
位に変化はないため、これらの機能は正常と判定され
る。
【0071】同様に、異常と判定される要素は以下の通
り E2 :再循環ポンプ E5 :スロート部 E8 :#1再循環系 E10:炉心下部プレナム E11:炉心部 E12:セパレータ E13:主蒸気系 E15:給復水系 である。
り E2 :再循環ポンプ E5 :スロート部 E8 :#1再循環系 E10:炉心下部プレナム E11:炉心部 E12:セパレータ E13:主蒸気系 E15:給復水系 である。
【0072】以上の結果に基づき、第1段階として、非
計測要素の正常/異常の判定を次のように行う。まず、
計測量から異常と判定された要素E2、E5の流れに挟
まれたE3、E4は異常と判定される。−方、正常要素
であるE1、E7に挟まれたE6は正常と判定される。
このようにして、全ての要素の正常/異常判定が行われ
る。
計測要素の正常/異常の判定を次のように行う。まず、
計測量から異常と判定された要素E2、E5の流れに挟
まれたE3、E4は異常と判定される。−方、正常要素
であるE1、E7に挟まれたE6は正常と判定される。
このようにして、全ての要素の正常/異常判定が行われ
る。
【0073】次に、第2段階として、異常と判定された
要素について、マスバランス計算による非計測量の推定
およびマスバランス以外の制約条件がある場合にはそれ
らを用いて、再度判定を行う。
要素について、マスバランス計算による非計測量の推定
およびマスバランス以外の制約条件がある場合にはそれ
らを用いて、再度判定を行う。
【0074】要素E2は輸送機能である再循環ポンプを
表しており、吸込み流量の測定の他、吐出圧力の測定を
行っている。このことから、ポンプの特性を表す流量一
圧力の関係からポンプの正常性を確認することができ
る。
表しており、吸込み流量の測定の他、吐出圧力の測定を
行っている。このことから、ポンプの特性を表す流量一
圧力の関係からポンプの正常性を確認することができ
る。
【0075】要素E3への駆動水流量R2,3 は吸込み流
量R1,2 に等しい。ところで、要素E3のような分岐機
能を持つ場合には、正常時における分配係数をあらかじ
め計算しておく。この場合2つのジェットポンプ吸込み
口E4、E6へはほぼ均等に流れるよう設計されている
ので、流量R3,6 、R3,4 への分配比は 0.5となる。こ
こで、異常状態を見ると駆動水流量R2,3 が110に対
し、要素E6が正常であるため、流量R3,6 は正常時と
同じ50と推定することができる。この結果、流量R3,
4 は60と計算され、同時に分配係数は約0.55となり、
異常と判定される。
量R1,2 に等しい。ところで、要素E3のような分岐機
能を持つ場合には、正常時における分配係数をあらかじ
め計算しておく。この場合2つのジェットポンプ吸込み
口E4、E6へはほぼ均等に流れるよう設計されている
ので、流量R3,6 、R3,4 への分配比は 0.5となる。こ
こで、異常状態を見ると駆動水流量R2,3 が110に対
し、要素E6が正常であるため、流量R3,6 は正常時と
同じ50と推定することができる。この結果、流量R3,
4 は60と計算され、同時に分配係数は約0.55となり、
異常と判定される。
【0076】同様に分岐機能を持つ要素E4について
は、正常時流量R3,4 は50、流量R4,5 は120なの
で、要素E4の分配比である駆動水流量R3,4 に対する
ジェットポンプ流量R4,5 の比は 2.4となる。異常状態
においては、駆動水流量R3,4が60に対し、ジェット
ポンプ流量R5,8 (R4,5 )が100のため、分配比は
100/60=1.67となり、異常と判定される。
は、正常時流量R3,4 は50、流量R4,5 は120なの
で、要素E4の分配比である駆動水流量R3,4 に対する
ジェットポンプ流量R4,5 の比は 2.4となる。異常状態
においては、駆動水流量R3,4が60に対し、ジェット
ポンプ流量R5,8 (R4,5 )が100のため、分配比は
100/60=1.67となり、異常と判定される。
【0077】要素E5は流入流量R4,5 がジェットポン
プ流量R5,8 とバランスしていれば、分配比による評価
は不要である。要素E10はR8,10とR9,10の流入量に
対する流出量R10,11 がバランスしていることで正常性
を確認することができる。ただし、流量間の分配係数は
異常となっている。
プ流量R5,8 とバランスしていれば、分配比による評価
は不要である。要素E10はR8,10とR9,10の流入量に
対する流出量R10,11 がバランスしていることで正常性
を確認することができる。ただし、流量間の分配係数は
異常となっている。
【0078】要素E11の判定には流出流量R11,12 の
推定が必要である。要素E12は、正常と判定された要
素E1のマスバランスから流出流量R12,1が推定可能で
ある。すなわち、要素E1のトータルバランスは、流入
流量R15,1=69、流出流量R10,11 =460であり、
流入流量R12,1は391となる。ところで要素E12は
セパレータであり、マスバランスと同時に蒸気と飽和水
の分配比が評価上重要である。正常時の分配比は、炉心
流量R10,11 が480に対し飽和水流量R12,1が408
(= 480−72)であり、 408/ 480=0.85である。異常
時においても分配比は同様に 391/ 460=0.85である。
推定が必要である。要素E12は、正常と判定された要
素E1のマスバランスから流出流量R12,1が推定可能で
ある。すなわち、要素E1のトータルバランスは、流入
流量R15,1=69、流出流量R10,11 =460であり、
流入流量R12,1は391となる。ところで要素E12は
セパレータであり、マスバランスと同時に蒸気と飽和水
の分配比が評価上重要である。正常時の分配比は、炉心
流量R10,11 が480に対し飽和水流量R12,1が408
(= 480−72)であり、 408/ 480=0.85である。異常
時においても分配比は同様に 391/ 460=0.85である。
【0079】要素E11は、前述のように、流量R11,1
2 が主蒸気流量R12,13(=69)と飽和水流量R12,1(=
391)の合計から460と計算できる。この結果、炉心入
口流量R10,11 とバランスしていることが確認できる。
2 が主蒸気流量R12,13(=69)と飽和水流量R12,1(=
391)の合計から460と計算できる。この結果、炉心入
口流量R10,11 とバランスしていることが確認できる。
【0080】要素E13は、流人流量R12,13 と流出流
量R13,14 がバランスしていることで正常性を確認する
ことができる。要素E15は、流人流量R14,15 と流出
流量R15,1の流量バランスがとれていることの確認と、
図示していないポンプ吐出圧力の計測量を使ったポンプ
特性によって輸送機能としての正常性を評価することが
できる。
量R13,14 がバランスしていることで正常性を確認する
ことができる。要素E15は、流人流量R14,15 と流出
流量R15,1の流量バランスがとれていることの確認と、
図示していないポンプ吐出圧力の計測量を使ったポンプ
特性によって輸送機能としての正常性を評価することが
できる。
【0081】以上のようにして評価された異常要素は、
次の第3段階として総合判断にかけられる。まず、要素
E2はポンプの特性を示す制約条件によって正常と判定
される。要素E5は入出流量がバランスしており、正常
と判定される。要素E10は単に混合するだけの機能で
あり、マスバランスが正しければ分配係数は異常になっ
ても正常と判定される。要素E11は入出が1対1の分
岐要素であり、マスバランスが正常ならば要素として正
常と判断する。要素E12はマスバランスに加え、重要
な機能を示す分配比が正常であり要素としても正常と判
定される。要素E13は単なる輸送機能であり、マスバ
ランスの結果正常と判定される。要素E15は輸送機能
であるが、流入および流出流量がバランスしていること
およびポンプ特性が正常なことによって要素自体も正常
と判定される。
次の第3段階として総合判断にかけられる。まず、要素
E2はポンプの特性を示す制約条件によって正常と判定
される。要素E5は入出流量がバランスしており、正常
と判定される。要素E10は単に混合するだけの機能で
あり、マスバランスが正しければ分配係数は異常になっ
ても正常と判定される。要素E11は入出が1対1の分
岐要素であり、マスバランスが正常ならば要素として正
常と判断する。要素E12はマスバランスに加え、重要
な機能を示す分配比が正常であり要素としても正常と判
定される。要素E13は単なる輸送機能であり、マスバ
ランスの結果正常と判定される。要素E15は輸送機能
であるが、流入および流出流量がバランスしていること
およびポンプ特性が正常なことによって要素自体も正常
と判定される。
【0082】この結果、残った異常要素はE3、E4と
なる。またその異常判定理由は、いずれも分岐機能にお
ける分配係数の異常であり、流路に何らかの異常が発生
し、分配係数が異常になったものと考えられる。
なる。またその異常判定理由は、いずれも分岐機能にお
ける分配係数の異常であり、流路に何らかの異常が発生
し、分配係数が異常になったものと考えられる。
【0083】このように異常個所が特定されれば、その
機能に関する異常の原因は経験則や事前の評価によって
いくつかを挙げることができる。
機能に関する異常の原因は経験則や事前の評価によって
いくつかを挙げることができる。
【0084】以上述べたように、上記診断手法によれ
ば、プラント機器に発生した異常によってプロセス量全
体に変化が表れ、かつ非計測量が含まれている場合にお
いても、機器の結合関係、マスバランスおよび設計上の
制約条件のように普遍的な知識によって異常発生個所の
推定が可能となるだけでなく、その推定過程が人間の行
う推定方法に近く、理解しやすいものとなっている。
ば、プラント機器に発生した異常によってプロセス量全
体に変化が表れ、かつ非計測量が含まれている場合にお
いても、機器の結合関係、マスバランスおよび設計上の
制約条件のように普遍的な知識によって異常発生個所の
推定が可能となるだけでなく、その推定過程が人間の行
う推定方法に近く、理解しやすいものとなっている。
【0085】次に、図8に示すプラントモデル15を使
っての異常診断例について詳細に説明する。図8は、図
7で示した復水器E14から原子炉圧力容器ダウンカマ
−部E1までを具体的に示したものであり、給復水ポン
プ回りが診断の主対象となる。
っての異常診断例について詳細に説明する。図8は、図
7で示した復水器E14から原子炉圧力容器ダウンカマ
−部E1までを具体的に示したものであり、給復水ポン
プ回りが診断の主対象となる。
【0086】このように、診断対象によって必要な具体
的レベルを設定できるのも、本プラント異常診断装置に
おける診断手法の特徴の1つである。ただし、図8は診
断手法の説明に影響しない程度に簡略化している。
的レベルを設定できるのも、本プラント異常診断装置に
おける診断手法の特徴の1つである。ただし、図8は診
断手法の説明に影響しない程度に簡略化している。
【0087】図8において、要素E21は復水器であ
り、復水ポンプE22の水源となる。復水ポンプE22
で加圧された給水流量R22,23 はへッダーE23で2つ
に分岐され、通常運転中のポンプE24に送られる。
り、復水ポンプE22の水源となる。復水ポンプE22
で加圧された給水流量R22,23 はへッダーE23で2つ
に分岐され、通常運転中のポンプE24に送られる。
【0088】要素E25はバックアップ用ポンプであ
り、逆流しないように出口には逆止弁E26が設置され
ている。
り、逆流しないように出口には逆止弁E26が設置され
ている。
【0089】給水ポンプを出た給水流量R24,27 は再び
へッダーE27でバックアップ側からの給水流量R26,2
7 (通常は0)とー緒になって,原子炉圧力容器E28
に送られる。原子炉圧力容器E28からの蒸気は、主蒸
気系E29を通して復水器E21に戻り給水として循環
する。
へッダーE27でバックアップ側からの給水流量R26,2
7 (通常は0)とー緒になって,原子炉圧力容器E28
に送られる。原子炉圧力容器E28からの蒸気は、主蒸
気系E29を通して復水器E21に戻り給水として循環
する。
【0090】ここで、計測量は復水ポンプ入口流量R2
1,22 、給水ポンプ入口流量R23,24、R23,25 、給水流
量R27,28 、主蒸気流量R28,29 およびタービン入口流
量R29,21 である。
1,22 、給水ポンプ入口流量R23,24、R23,25 、給水流
量R27,28 、主蒸気流量R28,29 およびタービン入口流
量R29,21 である。
【0091】これらの正常時に流量は、図7の例と合わ
せると以下 R21,22 :72 R23,24 :72 R23,25 :0 R27,28 :72 R28,29 :72 R29,21 :72 のようになる。
せると以下 R21,22 :72 R23,24 :72 R23,25 :0 R27,28 :72 R28,29 :72 R29,21 :72 のようになる。
【0092】ここで、逆止弁E26が異常となり、バッ
クアップポンプE25を給水の一部が逆流することを想
定する。ただし、流量計は逆流は計測できないので、吸
込み流量R23,25 には変化は表れず、運転中の給水ポン
プE24の吸込み流量R23,24 が増加し、閉ループが形
成される。
クアップポンプE25を給水の一部が逆流することを想
定する。ただし、流量計は逆流は計測できないので、吸
込み流量R23,25 には変化は表れず、運転中の給水ポン
プE24の吸込み流量R23,24 が増加し、閉ループが形
成される。
【0093】したがって、異常時に計測量は以下 R21,22 :72 R23,24 :80 R23,25 :0 R27,28 :72 R28,29 :72 R29,21 :72 のようになる。
【0094】このような状況では、変化をするパラメー
タが1つだけであり、前述した第1段階から第3段階に
至る診断手法では、以下に示すように異常を特定できな
いことになる。
タが1つだけであり、前述した第1段階から第3段階に
至る診断手法では、以下に示すように異常を特定できな
いことになる。
【0095】すなわち、第1段階の診断において、給水
ポンプE24だけが異常と判定される。第2段階におい
ては、給水ポンプE24は吐出圧力を計測しており、ポ
ンプの特性を制約条件とすると正常の評価となる。した
がって、第3段階の総合判断において、異常要素の特定
に失敗することになる。
ポンプE24だけが異常と判定される。第2段階におい
ては、給水ポンプE24は吐出圧力を計測しており、ポ
ンプの特性を制約条件とすると正常の評価となる。した
がって、第3段階の総合判断において、異常要素の特定
に失敗することになる。
【0096】このようになるのは、一般的に正常と判定
した要素に関して正しい計測量がされていないことが原
因である可能性が高い。そこで、何らかの仮説をたて推
論を再実行することが必要である。
した要素に関して正しい計測量がされていないことが原
因である可能性が高い。そこで、何らかの仮説をたて推
論を再実行することが必要である。
【0097】ここでは、最初の異常判定の段階で異常が
検知された要素に近接した要素に異常があると考えるこ
ととする。同時に、当該要素に関連する計測量について
も正しくないと仮定して、マスバランスおよび制約条件
によって再評価する。この仮説は、異常が要素間の経路
に沿って伝播するとの前提に基づくものである。
検知された要素に近接した要素に異常があると考えるこ
ととする。同時に、当該要素に関連する計測量について
も正しくないと仮定して、マスバランスおよび制約条件
によって再評価する。この仮説は、異常が要素間の経路
に沿って伝播するとの前提に基づくものである。
【0098】したがって、第4段階として、要素E24
に加え、これに近接する要素E23、E27を異常とし
て推論を進めることになる。ここで、非計測量のバリア
要素であるE26は正常要素であるE25の下流という
ことから正常と判定される。
に加え、これに近接する要素E23、E27を異常とし
て推論を進めることになる。ここで、非計測量のバリア
要素であるE26は正常要素であるE25の下流という
ことから正常と判定される。
【0099】次に第5段階として、第2段階の診断と同
様に、ポンプの吐出圧力と流量の関係を示す制約条件が
ある輸送機能E24については、流量と吐出圧の関係で
妥当性を評価することができる。
様に、ポンプの吐出圧力と流量の関係を示す制約条件が
ある輸送機能E24については、流量と吐出圧の関係で
妥当性を評価することができる。
【0100】要素E23については異常と仮定したの
で、マスバランスを評価することになる。要素E23の
マスバランスでは、流入流量R22,23 を上流側の正常要
素である輸送機能E22の吸込み流量R21,22 と等しい
と考えて、72とする。
で、マスバランスを評価することになる。要素E23の
マスバランスでは、流入流量R22,23 を上流側の正常要
素である輸送機能E22の吸込み流量R21,22 と等しい
と考えて、72とする。
【0101】次に、流量R23,25 は計測量であるが、前
述のように正しく測定されていない可能性があるためマ
スバランスにより再計算すると、 R22,23 −R23,24 =72−80=−8 となる。このとき、吸込み流量R21,22 、R23,24 はポ
ンプの制約条件でも評価することができ、流量R23,25
より信頼性が高いと考える。
述のように正しく測定されていない可能性があるためマ
スバランスにより再計算すると、 R22,23 −R23,24 =72−80=−8 となる。このとき、吸込み流量R21,22 、R23,24 はポ
ンプの制約条件でも評価することができ、流量R23,25
より信頼性が高いと考える。
【0102】同様に、要素E27については、流入流量
R24,27 はR23,24 に等しく、80となる。流出流量R
27,28 については計測されており、72である。したが
って、マスバランスより流量R26,27 は、 R26,27 =R27,28 −R24,27 =72−80=−8 となる。
R24,27 はR23,24 に等しく、80となる。流出流量R
27,28 については計測されており、72である。したが
って、マスバランスより流量R26,27 は、 R26,27 =R27,28 −R24,27 =72−80=−8 となる。
【0103】第6段階として、第5段階で得られた情報
を基に、総合判断を行う。輸送機能E24は、ポンプ特
性によって正常と判定することができる。分岐要素であ
るE23は、流量R23,25 が負の流量となり分配比が異
常であるため、要素として異常と判定される。要素E2
7も同様である。
を基に、総合判断を行う。輸送機能E24は、ポンプ特
性によって正常と判定することができる。分岐要素であ
るE23は、流量R23,25 が負の流量となり分配比が異
常であるため、要素として異常と判定される。要素E2
7も同様である。
【0104】輸送機能E25は計測している流入流量R
23,25 が、マスバランスの結果と不一致であり、この部
分の計測器は逆流を測定できないとの知識により、マス
バランス計算が妥当と判断される。この結果、要素E2
5は輸送機能として流れの方向が正しくなく総合的に異
常と判定される。
23,25 が、マスバランスの結果と不一致であり、この部
分の計測器は逆流を測定できないとの知識により、マス
バランス計算が妥当と判断される。この結果、要素E2
5は輸送機能として流れの方向が正しくなく総合的に異
常と判定される。
【0105】要素E26はバリアの機能であるが、R2
6,27 が逆流を起こしているため、異常と判定される。
6,27 が逆流を起こしているため、異常と判定される。
【0106】これらの結果、異常と判定される要素はE
23、E25、E26、E27となる。これらの要素に
おいて、E23、E25、E27はマスバランスは正常
であり、分配比が異常である。しかし、要素E26はバ
リアとしての基本機能が異常となっており、バリア機能
の異常により逆流したことが、ここでの異常診断におけ
る根本原因であることが判断される。
23、E25、E26、E27となる。これらの要素に
おいて、E23、E25、E27はマスバランスは正常
であり、分配比が異常である。しかし、要素E26はバ
リアとしての基本機能が異常となっており、バリア機能
の異常により逆流したことが、ここでの異常診断におけ
る根本原因であることが判断される。
【0107】また、異常診断において、上記事例のよう
に第3段階までに異常が判定できない場合、上記手法と
は別の診断手法をとることもできる。これは、第1段階
で要素間のつながりの関係から計測量のない要素が正常
と判定されても、マスバランス等を用いて流量推定を行
うことを特徴としている。
に第3段階までに異常が判定できない場合、上記手法と
は別の診断手法をとることもできる。これは、第1段階
で要素間のつながりの関係から計測量のない要素が正常
と判定されても、マスバランス等を用いて流量推定を行
うことを特徴としている。
【0108】例えば、上記事例では、要素E23、E2
6、E27が非計測要素であるので、これらについてマ
スバランスを計算する。要素E23については、流入流
量R22,23 はR21,22 に等しく72、流出流量であるR
23,24 は80、流量R23,25 は0のため、マスバランス
が異常になる。要素E26は、流入出流量R25,26 およ
びR26,27 ともにR23,25 に等しく0となる。要素E2
7では、流入流量R24,27 がR23,24 に等しく80であ
り、R26,27が0であるため、マスバランスが異常とな
る。
6、E27が非計測要素であるので、これらについてマ
スバランスを計算する。要素E23については、流入流
量R22,23 はR21,22 に等しく72、流出流量であるR
23,24 は80、流量R23,25 は0のため、マスバランス
が異常になる。要素E26は、流入出流量R25,26 およ
びR26,27 ともにR23,25 に等しく0となる。要素E2
7では、流入流量R24,27 がR23,24 に等しく80であ
り、R26,27が0であるため、マスバランスが異常とな
る。
【0109】マスバランスの異常は、関連する計測量が
正しく測定されていないとの仮定をたてて判断を行う。
要素E23で使われているR22,23 の上流側流量R21,2
2 は、E22が輸送機能であり、ポンプ吐出圧力との関
係を制約条件として正常性を確認することができる。R
23,24 も同様である。R23,25 は輸送機能E25のポン
プが停止中であるため同様な制約条件は使えないため、
正しく計測できていない可能性が高い。このため、マス
バランス計算からR23,25 は負の流量となる。ついで、
これらの情報から総合判断を行うが、前述の第6段階で
の結果と同じ結果が得られる。
正しく測定されていないとの仮定をたてて判断を行う。
要素E23で使われているR22,23 の上流側流量R21,2
2 は、E22が輸送機能であり、ポンプ吐出圧力との関
係を制約条件として正常性を確認することができる。R
23,24 も同様である。R23,25 は輸送機能E25のポン
プが停止中であるため同様な制約条件は使えないため、
正しく計測できていない可能性が高い。このため、マス
バランス計算からR23,25 は負の流量となる。ついで、
これらの情報から総合判断を行うが、前述の第6段階で
の結果と同じ結果が得られる。
【0110】さらに他の診断手法として、第3段階にお
ける総合判断結果が矛盾した場合、最初から計測量が正
しくないとする仮説に基づく推論を進める方法がある。
この診断手法では、異常を仮定する計測量は、上記第4
段階で述べたと同じように、異常が観測された要素に最
も近いものとする。
ける総合判断結果が矛盾した場合、最初から計測量が正
しくないとする仮説に基づく推論を進める方法がある。
この診断手法では、異常を仮定する計測量は、上記第4
段階で述べたと同じように、異常が観測された要素に最
も近いものとする。
【0111】例えば、図8においては、R23,25 が異常
を示した要素E24の計測量R23,24 に最も近いもので
あるため、R23,25 が異常と仮定される。この状態では
以下の要素が E24、E25:計測量が異常 E23、E26、E27:異常要素であるE23とE2
4に挟まれている 異常を判定される。
を示した要素E24の計測量R23,24 に最も近いもので
あるため、R23,25 が異常と仮定される。この状態では
以下の要素が E24、E25:計測量が異常 E23、E26、E27:異常要素であるE23とE2
4に挟まれている 異常を判定される。
【0112】このように、第1段階ではE24だけが異
常と判定されていたが、ここでは計測量異常の仮説をた
てたため、5つの要素が異常と判定される。
常と判定されていたが、ここでは計測量異常の仮説をた
てたため、5つの要素が異常と判定される。
【0113】ついで、異常とされた5つの要素につい
て、マスバランス、制約条件判定を行う。ポンプの吐出
圧力と流量の関係を示す制約条件がある輸送機能E24
は流量と吐出圧の関係で妥当性を評価することができ
る。
て、マスバランス、制約条件判定を行う。ポンプの吐出
圧力と流量の関係を示す制約条件がある輸送機能E24
は流量と吐出圧の関係で妥当性を評価することができ
る。
【0114】異常と判定されたE23は、マスバランス
を評価する。E23のマスバランスでは、R22,23 を上
流側の正常要素である輸送機能E22の吸込み流量R2
1,22と等しいと考え、72とする。次に、正しく計測さ
れていないとし仮定したR23,25 は、マスバランスによ
り、 R22,23 −R23,24 =72−80=−8 となる。したがって、R25,26 、R26,27 は−8と順次
推定される。
を評価する。E23のマスバランスでは、R22,23 を上
流側の正常要素である輸送機能E22の吸込み流量R2
1,22と等しいと考え、72とする。次に、正しく計測さ
れていないとし仮定したR23,25 は、マスバランスによ
り、 R22,23 −R23,24 =72−80=−8 となる。したがって、R25,26 、R26,27 は−8と順次
推定される。
【0115】E27については、R24,27 がR23,24(=
80)と等しく、R27,28 は計測量(=72)であるから、
マスバランスは R26,27 +R24,27 −R27,28 =−8+80−72=0 となって、マスバランスとして正常となる。
80)と等しく、R27,28 は計測量(=72)であるから、
マスバランスは R26,27 +R24,27 −R27,28 =−8+80−72=0 となって、マスバランスとして正常となる。
【0116】これらの判定結果を基に総合判断すると、
要素E24はポンプ制約条件から正常と判定される。要
素E23、E27はマスバランスとしては正常である
が、逆流があるため分配比は異常である。したがって、
要素として異常ではあるが、図8に示すプラントモデル
における根本原因とは判定されない。
要素E24はポンプ制約条件から正常と判定される。要
素E23、E27はマスバランスとしては正常である
が、逆流があるため分配比は異常である。したがって、
要素として異常ではあるが、図8に示すプラントモデル
における根本原因とは判定されない。
【0117】要素E25についても同様である。要素E
26は一方向のバリア機能(逆止弁)であるため、負の
流量(逆流)は機能喪失を意味し、ここでは最も根本的
な異常源として判断される。
26は一方向のバリア機能(逆止弁)であるため、負の
流量(逆流)は機能喪失を意味し、ここでは最も根本的
な異常源として判断される。
【0118】なお、本実施の形態においては、例えばプ
ラントが起動途中である場合に、図6に示すプラント制
御装置17からの入力である稼働スケジュール信号によ
り、定格出力の50%が目標値であると判断されると、計
測量判定装置19にて例えば図7あるいは図8にある給
水流量の判定値を定格時の半分にするなどして、プラン
ト11の運転状態が変動中でも的確な異常判定を行うこ
とができるようになっている。
ラントが起動途中である場合に、図6に示すプラント制
御装置17からの入力である稼働スケジュール信号によ
り、定格出力の50%が目標値であると判断されると、計
測量判定装置19にて例えば図7あるいは図8にある給
水流量の判定値を定格時の半分にするなどして、プラン
ト11の運転状態が変動中でも的確な異常判定を行うこ
とができるようになっている。
【0119】
【発明の効果】上記したように、本発明によれば、プラ
ントの抽象機能モデルに基づいて異常診断をすることに
より、以下の効果を奏することができる。
ントの抽象機能モデルに基づいて異常診断をすることに
より、以下の効果を奏することができる。
【0120】(1)正常機能のモデルであり、特定の異
常を想定したものでないため、想定外事象で診断不能に
なることはない。
常を想定したものでないため、想定外事象で診断不能に
なることはない。
【0121】(2)人間の認知プロセスの知見に基づく
モデルであるため、大規模複雑プラントであっても人間
の処理し得る程度にモデルを縮約でき、推論結果の理解
・納得が容易になる。
モデルであるため、大規模複雑プラントであっても人間
の処理し得る程度にモデルを縮約でき、推論結果の理解
・納得が容易になる。
【0122】(3)マスバランス、エネルギーバランス
という自然界の不変則に従ったモデルであるため、推論
結果の信頼性が高い。
という自然界の不変則に従ったモデルであるため、推論
結果の信頼性が高い。
【0123】(4)モデルと推論機関との分離がなされ
ているため、モデルの変更で種々のプロセスに対応でき
る。またプラントプロセスの変更に容易に対応すること
ができる。
ているため、モデルの変更で種々のプロセスに対応でき
る。またプラントプロセスの変更に容易に対応すること
ができる。
【0124】(5)推論には仮説検証を用いているの
で、理解しやすい。同時に運転員は異常診断装置の結果
を仮説と考えて彼自身による検証を実施することによ
り、人間一機械協同システムを実現することができる。
で、理解しやすい。同時に運転員は異常診断装置の結果
を仮説と考えて彼自身による検証を実施することによ
り、人間一機械協同システムを実現することができる。
【0125】(6)モデルの対象をプラント内の任意の
部分(系統・機器)に置き、その部分は詳しく他は簡略
化することによって、対象ごとの異常診断を速やかに実
施することができる。
部分(系統・機器)に置き、その部分は詳しく他は簡略
化することによって、対象ごとの異常診断を速やかに実
施することができる。
【図1】本発明にかかるプラント異常診断装置の診断装
置において、プラントモデル要素の正常/異常を判定す
る方法を説明するためのプラントモデル概念図である。
置において、プラントモデル要素の正常/異常を判定す
る方法を説明するためのプラントモデル概念図である。
【図2】本発明にかかるプラント異常診断装置の診断装
置において、プラントモデルの分岐要素についての異常
を判定する方法を説明する図である。
置において、プラントモデルの分岐要素についての異常
を判定する方法を説明する図である。
【図3】本発明にかかるプラント異常診断装置の診断装
置において、プラントモデルの貯蔵要素についての異常
を判定する方法を説明する図である。
置において、プラントモデルの貯蔵要素についての異常
を判定する方法を説明する図である。
【図4】本発明にかかるプラント異常診断装置の診断装
置において、プラントモデルの輸送要素についての異常
を判定する方法を説明する図である。
置において、プラントモデルの輸送要素についての異常
を判定する方法を説明する図である。
【図5】本発明にかかるプラント異常診断装置の診断装
置において、プラントモデルのバリア要素についての異
常を判定する方法を説明する図である。
置において、プラントモデルのバリア要素についての異
常を判定する方法を説明する図である。
【図6】本発明のプラント異常診断装置の一実施の形態
を示すブロック図である。
を示すブロック図である。
【図7】本発明にかかるプラントモデルの構成例を示す
図である。
図である。
【図8】本発明にかかるプラントモデルの他の構成例を
示す図である。
示す図である。
11……プラント 13……状態量計測装置 15……プラントモデル 17……プラント制御装置 19……計測量判定装置 21……診断装置 23……表示装置、
Claims (12)
- 【請求項1】 要素間のマス・エネルギーの流れでプラ
ントの機能・構造を表現したプラントモデルを格納する
手段と、 プラントの状態量を計測する状態量計測装置と、 この状態量計測装置の計測信号から前記プラントモデル
に対応する状態量を求め、これらの計測量に対して設定
された基準値およびしきい値と比較して正常か否かを判
定する計測量判定装置と、 この計測量判定装置からの判定結果を入力し、前記プラ
ントモデルを用いてこのプラントモデル上の異常要素を
同定する診断装置と、 この診断装置による異常診断のプロセスおよび結果を表
示する表示装置とを備え、 前記診断装置が、前記プラントモデル上において前記計
測量判定装置により異常と判定された要素およびこれら
の要素間を正常と判定された要素を避けてつなぐ要素を
異常と仮定することを特徴とするプラント異常診断装
置。 - 【請求項2】 前記診断装置が、異常と仮定した要素に
ついて、個々にその状態量を収集ないし算出し、マスバ
ランス、エネルギーバランスあるいはその他の状態量間
の制約を用いて正常か否かを評価することを特徴とする
請求項1記載のプラント異常診断装置。 - 【請求項3】 前記診断装置が、状態量を収集ないし算
出できず評価不能とした要素およびマスバランス、エネ
ルギーバランスあるいはその他の状態量間の制約を用い
て異常と評価した要素について、人間の総合判断に対応
したルールべース診断により総合判断を行い、異常要素
を決定することを特徴とする請求項2記載のプラント異
常診断装置。 - 【請求項4】 前記診断装置が、ルールべース診断に基
づいた総合判断により異常とすべき要素を決定すること
ができない場合、前記プラントモデル上において前記計
測量判定装置により異常と判定された要素および該要素
に隣接した要素を異常と仮定し、さらにこれらの異常と
仮定された要素間を前記計測量判定装置により正常と判
定された要素を避けてつなぐ要素を異常と仮定すること
を特徴とする請求項3記載のプラント異常診断装置。 - 【請求項5】 前記診断装置が、異常と仮定した要素に
ついて、個々にその状態量を収集ないし算出し、マスバ
ランス、エネルギーバランスあるいはその他の状態量間
の制約を用いて正常か否かを評価することを特徴とする
請求項4記載のプラント異常診断装置。 - 【請求項6】 前記診断装置が、状態量を収集ないし算
出できず評価不能とした要素およびマスバランス、エネ
ルギーバランスあるいはその他の状態量間の制約を用い
て異常と評価した要素について、人間の総合判断に対応
したルールべース診断により総合判断を行い、異常要素
を決定することを特徴とする請求項5記載のプラント異
常診断装置。 - 【請求項7】 前記診断装置が、ルールべース診断に基
づいた総合判断により異常とすべき要素を決定すること
ができない場合、前記プラントモデル上において前記計
測量判定装置により異常と判定された要素およびこれら
の要素間を正常と判定された要素を避けてつなぐ要素を
異常と仮定したとき、それ以外の正常と仮定される要素
について、個々にその状態量を収集ないし算出し、マス
バランス、エネルギーバランスあるいはその他の状態量
間の制約を用いて正常か否かを評価することを特徴とす
る請求項3記載のプラント異常診断装置。 - 【請求項8】 前記診断装置が、状態量を収集ないし算
出できず評価不能とした要素およびマスバランス、エネ
ルギーバランスあるいはその他の状態量間の制約を用い
て異常と評価した要素について、人間の総合判断に対応
したルールべース診断により総合判断を行い、異常要素
を決定することを特徴とする請求項7記載のプラント異
常診断装置。 - 【請求項9】 前記診断装置が、ルールべース診断に基
づいた総合判断により異常とすべき要素を決定すること
ができない場合、前記プラントモデル上において前記計
測量判定装置により異常と判定された要素に最も近くか
つ前記計測量判定装置により正常と判定された要素の計
測量を異常と仮定し、この計測量を異常と仮定された要
素と前記計測量判定装置により異常と判定された要素、
およびこれらの要素間を前記計測量判定装置により正常
と判定された要素を避けてつなぐ要素を異常と仮定する
ことを特徴とする請求項3記載のプラント異常珍断装
置。 - 【請求項10】 前記診断装置が、異常と仮定した要素
について、個々にその状態量を収集ないし算出し、マス
バランス、エネルギーバランスあるいはその他の状態量
間の制約を用いて正常か否かを評価することを特徴とす
る請求項9記載のプラント異常診断装置。 - 【請求項11】 前記診断装置が、状態量を収集ないし
算出できず評価不能とした要素およびマスバランス、エ
ネルギーバランスあるいはその他の状態量間の制約を用
いて異常と評価した要素について、人間の総合判断に対
応したルールべース診断により総合判断を行い、異常要
素を決定することを特徴とする請求項10記載のプラン
ト異常診断装置。 - 【請求項12】 前記計測量判定装置が、プラントの計
画された稼働スーケジュールに応じて判定に用いる状態
量のしきい値を変えることを特徴とする請求項1ないし
11のいずれか1項に記載のプラント異常診断装置。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP337196A JPH09190219A (ja) | 1996-01-11 | 1996-01-11 | プラント異常診断装置 |
FR9700178A FR2743642B1 (fr) | 1996-01-11 | 1997-01-10 | Procede et appareil de diagnostic d'anomalies d'une installation |
CN97101012A CN1105341C (zh) | 1996-01-11 | 1997-01-10 | 一种对设备的异常源进行推断的设备异常诊断方法及装置 |
US08/782,888 US5914875A (en) | 1996-01-11 | 1997-01-10 | Method and apparatus for diagnosing plant anomaly |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP337196A JPH09190219A (ja) | 1996-01-11 | 1996-01-11 | プラント異常診断装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09190219A true JPH09190219A (ja) | 1997-07-22 |
Family
ID=11555499
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP337196A Withdrawn JPH09190219A (ja) | 1996-01-11 | 1996-01-11 | プラント異常診断装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09190219A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010020773A (ja) * | 2008-07-10 | 2010-01-28 | Palo Alto Research Center Inc | 生産計画を構成するための方法およびシステム |
JP2010020772A (ja) * | 2008-07-10 | 2010-01-28 | Palo Alto Research Center Inc | パーベイシブ診断法のための方法およびシステム |
JP2010044751A (ja) * | 2008-07-10 | 2010-02-25 | Palo Alto Research Center Inc | 生産リソースの持続的失敗確率および間欠的失敗確率を継続的に推定するための方法およびシステム |
CN104408904A (zh) * | 2014-11-06 | 2015-03-11 | 深圳市安特讯科技有限公司 | 家电运行数据传输方法、接收方法、装置及系统 |
JP7356773B1 (ja) * | 2023-07-07 | 2023-10-05 | 株式会社Futu-Re | 異常検知システム、および異常検知方法 |
-
1996
- 1996-01-11 JP JP337196A patent/JPH09190219A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010020773A (ja) * | 2008-07-10 | 2010-01-28 | Palo Alto Research Center Inc | 生産計画を構成するための方法およびシステム |
JP2010020772A (ja) * | 2008-07-10 | 2010-01-28 | Palo Alto Research Center Inc | パーベイシブ診断法のための方法およびシステム |
JP2010044751A (ja) * | 2008-07-10 | 2010-02-25 | Palo Alto Research Center Inc | 生産リソースの持続的失敗確率および間欠的失敗確率を継続的に推定するための方法およびシステム |
CN104408904A (zh) * | 2014-11-06 | 2015-03-11 | 深圳市安特讯科技有限公司 | 家电运行数据传输方法、接收方法、装置及系统 |
JP7356773B1 (ja) * | 2023-07-07 | 2023-10-05 | 株式会社Futu-Re | 異常検知システム、および異常検知方法 |
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---|---|---|---|
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