JPH09186394A - 分布帰還型半導体レーザ装置 - Google Patents

分布帰還型半導体レーザ装置

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JPH09186394A
JPH09186394A JP34422495A JP34422495A JPH09186394A JP H09186394 A JPH09186394 A JP H09186394A JP 34422495 A JP34422495 A JP 34422495A JP 34422495 A JP34422495 A JP 34422495A JP H09186394 A JPH09186394 A JP H09186394A
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元隆 種谷
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幸司 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発振閾値が低く、単一軸モードに優れたDF
Bレーザを歩留り良く作製する。 【解決手段】 光導波層15の、光吸収層17と接する
表面部分に、断面台形形状を有する線状凸部16aを誘
導放出光の伝播方向Ldに一定の繰返し周期でもって複
数配置して、つまり線状凸凹形状を上記繰返し周期でも
って形成して、回折格子16を形成し、該回折格子16
上に形成される光吸収層17を、隣接する線状凸部間の
領域(線状凸凹形状の底部)上及び該線状凸部の頂面部
分(線状凸凹形状の頂部)上での層厚と、該光吸収層1
7の、該線状凸部の斜面部分(線状凸凹形状の斜面部)
での層厚とが異なったものとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信や光情報処
理用の光源として用いられる、内部に回折格子を含む単
一軸モードで発振する分布帰還型半導体レーザ装置に関
し、特に、誘導放出光の伝播方向における周期的な光吸
収により、活性層の利得に周期的な変化を持たせて発振
波長を安定化させた利得結合型の分布帰還型半導体レー
ザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光通信や光情報処理分野における
半導体レーザ装置に対する要求は多用化してきている。
特に、ヘテロダイン検波方式を用いたコヒーレント通信
や波長多重通信を実用化するために、単一軸モードで発
振可能な波長安定化半導体レーザ装置や、波長を任意に
変化させることができる波長可変半導体レーザ装置が要
求されている。更に、光情報処理や光計測、レーザビー
ムプリンタ等においても、波長安定化半導体レーザ装置
や波長可変半導体レーザ装置を用いることにより、新規
の機能を持たせた特徴的なシステム構築ができるものと
期待されている。
【0003】このような要求を満たす波長安定化半導体
レーザ装置としては、従来、分布帰還型(Distri
buted Feedback)半導体レーザ装置(以
下、DFBレーザともいう。)や分布反射型(Dist
ributed BraggReflector)半導
体レーザ装置(以下DBRレーザともいう。)等が知ら
れている。このDFBレーザは、長距離、大容量光伝送
(幹線)系においてはすでに実用化されている。
【0004】このようなDFBレーザは、屈折率結合型
DFBレーザと呼ばれるものであり、活性層とその上下
のクラッド層のいずれか一方との間に光導波層を設け、
さらにこの光導波層の活性層とは反対側に、レーザ光の
伝播方向に沿って一定の周期で形状が変化した回折格子
を形成し、レーザ光の波長と同程度の周期で屈折率を変
化させて、光を分布帰還させるようにしたものである。
【0005】しかしながら、上記屈折率結合型DFBレ
ーザは、J.APPL.PHYS.43,2327(1
972)に記載されているように、最低の閾値利得を有
する縦モードが2つ存在し、理論的にも2つのモードで
発振してしまう。このため、このタイプのDFBレーザ
において単一軸モードの発振を確保するには、回折格子
にシフト構造を導入する等、複雑なプロセスが必要であ
った。
【0006】これに対して、活性層の利得に直接的また
は間接的に周期的な変化を持たせた利得結合型DFBレ
ーザがあり、このDFBレーザは理論的に単一軸モード
のみで発振する(J.APPL.PHYS.43,23
27(1972)参照)。特に最近では、吸収層を周期
的に設けた吸収性回折格子による利得結合型DFBレー
ザでは、完全単一軸モード特性(Extended A
bstructs of the 20th Conf
erence on the Solid State
Devices and Materials.To
kyo,pp.327参照)や戻り光雑音特性(199
4年秋期応用物理学会学術講演会、22a−S−7参
照)等、様々な優れた特性を有することが実験的にも証
明されている。
【0007】上記吸収性回折格子を有する利得結合型D
FBレーザの従来例としては、その基本的な構造が特公
平6−7624号公報に開示されており、図9は該公報
記載のDFBレーザの構造を示す斜視図である。
【0008】図において、90は上記公報記載のDFB
レーザで、このDFBレーザ90では、p−GaAs基
板91上に、電流狭窄溝91aを有するn−GaAs電
流狭窄層92、p−AlGaAsクラッド層93、Al
GaAs活性層94、n−AlGaAs光導波層95お
よびn−GaAs吸収層96が順次形成されており、こ
のn−GaAs吸収層96の表面には、凹凸状の回折格
子が形成されている。そして、該n−GaAs吸収層9
6上には、n−AlGaAsクラッド層97及びn−G
aAsコンタクト層98が形成されている。なお、90
a,90bはそれぞれ該DFBレーザの表面側電極及び
裏面側電極である。
【0009】このような構造のDFBレーザ90では、
吸収層96の厚みが、誘導放出光の伝播方向に沿って一
定の周期で変化させてあり、誘導放出光の利得または吸
収係数がそれと同じ周期で変化する構造となっている。
このため、このDFBレーザ90では、最低の閾値利得
を有する縦モードが唯一しか存在せず、高速変調時のよ
うな非定常状態でも完全な単一軸モードでの発振を実現
することができる。
【0010】また、上記のような吸収性回折格子を有す
る利得結合型DFBレーザの他の従来例としては、特開
平4−326788号公報にその素子構造が開示されて
いる。図10はこの公報記載の素子構造を採用したDF
Bレーザを説明するための図であり、図10(a)は該
DFBレーザの斜視図、図10(b)はその要部の断面
図である。
【0011】図において、100は上記公報記載の素子
構造を有するDFBレーザで、このDFBレーザ100
では、n−GaAs基板101上にn−AlGaAsク
ラッド層102、GaAs活性層103、p−AlGa
As光ガイド層104が順次積層されており、このAl
GaAs光ガイド層104の表面には、鋸歯状の回折格
子110が形成されている。そして、該光ガイド層10
4上には、量子効果が生じるような厚さであって約15
nm以下の平均厚さで、AlGaAs等からなる光吸収
層105が形成され、さらにその上にAlGaAsクラ
ッド層106が形成されている。なお、図示していない
が、該クラッド層106上にはn−GaAsコンタクト
層が形成されている。また、Ldは誘導放出光の伝播方
向である。
【0012】図10(b)に示すように、誘導放出光の
伝播方向Ldに沿って一定の周期を有する鋸歯状の回折
格子110が形成された光ガイド層104上に、例えば
MOCVD(有機金属気相成長)法により約15nm以
下の平均層厚で光吸収層105を結晶成長させた場合、
該光吸収層の、光ガイド層の谷に相当する部分105a
の層厚t2は、該光吸収層の、光ガイド層の山に相当す
る部分105bの層厚t1に比べて厚くなる。このた
め、光吸収層の谷の部分105aのバンドギャップEg
2は、その山の部分105bのバンドギャップEg1に
比べて小さくなる。
【0013】このように光吸収層の谷の部分105aの
バンドギャップEg2とその山の部分105bのバンド
ギャップEg1とを異ならせ、さらに、半導体層中のA
lの含有量を変化させて活性層103のバンドギャップ
Eg3および光ガイド層104のバンドギャップEg4
と、上記谷の部分及び山の部分のバンドギャップとの大
小関係を調節することにより、活性層103で発生する
誘導放出光が光吸収層の谷の部分105aのみで吸収さ
れるようにすることができる。これにより、誘導放出光
の利得結合をその伝播方向において周期的に行うことが
できるDFBレーザが得られる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、回折格子の
形状変化の繰り返しピッチの最適値は、レーザの発振波
長(誘導放出光の波長)から決められる一定の条件(ブ
ラッグ条件)を満たす値に設定される。ところが、その
最適値は非常に小さい値(約120nm)であるため、
実際には回折格子は、該最適値のm倍(mは2以上の自
然数)のピッチでつくられる。また、多くの場合、上記
ピッチは最適値の2倍にしている。
【0015】このようなことから、上記図9および図1
0に示したDFBレーザにおいても、回折格子が誘導放
出光に対する2次の周期,つまり上記最適値の2倍のピ
ッチで作製されており、一定以上の利得結合定数κg
確保するためには、導波光の吸収も大きくさせなければ
ならず、発振閾値が増加してしまうという問題があっ
た。また、吸収性回折格子そのものを誘導放出光に対す
る1次の周期,つまり最適ピッチで作製する場合、約1
00nmの精度で回折格子を形成しなければならず、こ
れは、プロセス上大変困難なことであり、素子の良品歩
留まりが上がらないという問題があった。
【0016】本発明は上記のような従来の問題を解決す
るためになされたものであり、発振閾値が低く、単一軸
モードに優れ、しかも歩留り良く作製することができる
分布帰還型半導体レーザ装置を提供することを目的とす
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】この発明(請求項1)に
係る分布帰還型半導体レーザ装置は、誘導放出光を発生
する活性層と、該活性層の上下にこれを挟持するよう配
置されたクラッド層と、該クラッド層の一方と該活性層
との間に配置された光吸収層と、該光吸収層と該活性層
との間に形成された光導波層とを備えている。
【0018】この半導体レーザ装置では、該光導波層
の、該光吸収層と接する表面部分は、線状凸凹形状が誘
導放出光の伝播方向に一定の繰返し周期でもって形成さ
れて回折格子が形成された構造となっており、該光吸収
層の、該線状凸凹形状の底部上及び頂部上での層厚と、
該光吸収層の、該底部と該頂部の間の斜面部上での層厚
とは異なっており、該光吸収層の層厚が厚く該誘導放出
光に対する光吸収が生じる部分と、該光吸収層の層厚が
薄く該誘導放出光に対する光吸収が生じない部分とは、
該線状凸凹形状の繰り返し周期の半分の周期でもって、
該誘導放出光の伝播方向に並んでおり、該光吸収層での
伝播する誘導放出光に対する周期的な光吸収により、該
誘導放出光に対する光分布帰還が生ずるようになってい
る。そのことにより上記目的が達成される。
【0019】この発明(請求項2)は、上記請求項1記
載の分布帰還型半導体レーザ装置において、前記光吸収
層を、前記線状凸凹形状の底部上及び頂部上ではその層
厚が前記誘導放出光に対する光吸収が生じる程度に厚
く、該線状凸凹形状の斜面部上ではその層厚が該誘導放
出光に対する光吸収が生じない程度に薄くなっている構
造としたものである。
【0020】この発明(請求項3)は、上記請求項2記
載の分布帰還型半導体レーザ装置において、前記光吸収
層を、前記線状凸凹形状の頂部上での層厚が、該線状凸
凹形状の底部上での層厚より厚い構造としたものであ
る。
【0021】この発明(請求項4)は、上記請求項1記
載の分布帰還型半導体レーザ装置において、前記光吸収
層を、前記線状凸凹形状の斜面部上ではその層厚が前記
誘導放出光に対する光吸収が生じる程度に厚く、該線状
凸凹形状の底部上及び頂部上ではその層厚が該誘導放出
光に対する光吸収が生じない程度に薄くなっている構造
としたものである。
【0022】この発明(請求項5)は、上記請求項4記
載の分布帰還型半導体レーザ装置において、前記光導波
層の表面部分の回折格子を、前記線状凸凹形状の頂部の
光伝播方向における寸法と、該線状凸凹形状の底部の光
伝播方向における寸法とが等しく、該線状凸凹形状の頂
部あるいは底部の両側の斜面部分の光伝播方向における
寸法が等しい構造とし、該線状凸凹形状の1つの斜面部
の光伝播方向における寸法と、この寸法と該線状凸凹形
状の頂部あるいは底部の光伝播方向における寸法の合計
値との比の値(デューティ比)を、0.25〜0.45
の範囲に設定したものである。
【0023】以下、本発明の作用について説明する。
【0024】この発明(請求項1,2,4)において
は、光導波層の、光吸収層と接する表面部分を、線状凸
凹形状が誘導放出光の伝播方向に一定の繰返し周期でも
って形成されて回折格子が形成された構造とし、該光吸
収層を、その線状凸凹形状の底部上及び頂部上での層厚
と、該底部と該頂部の間の斜面部上での層厚とが異なっ
たものとしたから、回折格子における線状凸凹形状の繰
り返し周期を、該光吸収層の層厚が厚く該誘導放出光に
対する光吸収が生じる部分と、該光吸収層の層厚の薄く
該誘導放出光に対する光吸収が生じない部分とが誘導放
出光の伝播方向に繰り返し配置される周期の倍の周期と
することができる。
【0025】つまり、回折格子における凸凹形状の1つ
の繰り返し周期内には、光吸収層の光吸収部と光非吸収
部とが2周期分配列されることとなる。このため、回折
格子の形状変化の繰り返し周期を、レーザの発振波長か
ら決められる最適値の倍の周期にして形成しても、該回
折格子上に形成される光吸収層の光吸収部と光非吸収部
とはセルフアライン的に回折格子の半分の周期で形成さ
れることとなり、プロセス上、回折格子の作製が容易と
なる。
【0026】また、光吸収層における光吸収部と光非吸
収部との配列周期が、誘導放出光の波長から決まる最適
値(1次の周期)である場合には、図8に示すようにデ
ューティー比が多少ばらついても単一軸モードを達成す
るために必要な利得結合定数κgはあまり変化せず、素
子の良品歩留りも十分確保される。
【0027】この結果、導波路での光吸収を最小に止
め、かつ利得結合係数を十分確保できることから、発振
閾値の低い単一モード特性に優れた分布帰還型半導体レ
ーザを提供できる。
【0028】この発明(請求項3)においては、前記光
吸収層を、前記線状凸凹形状の頂部上での層厚が、該線
状凸凹形状の底部上での層厚より厚い構造としたので、
光吸収層の、線状凸凹形状の頂部上部分での光閉じ込め
係数と、光吸収層の、線状凸凹形状の底部上部分での光
閉じ込め係数とを等しくすることが可能となる。
【0029】この発明(請求項5)においては、上記デ
ューティ比を、0.25〜0.45の範囲に設定したの
で、安定な単一軸モード特性を得るために必要な利得結
合係数κgとして0.5程度の値を得ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明する。
【0031】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
1による分布帰還型半導体レーザ装置(DFBレーザ)
の構造を示す断面図であり、図2は、その回折格子近傍
の構造を拡大して示す断面図である。
【0032】図において、10は本実施形態1のDFB
レーザで、このレーザ10では、そのn−GaAs基板
11上に、n−AlGaAsクラッド層12、AlGa
As活性層13、p−AlGaAsキャリアバリア層1
4、およびp−AlGaAs光導波層15が順次積層さ
れている。この光導波層15の表面部分には、誘導放出
光の伝播方向(以下、光伝播方向という。)Ldに、こ
れと垂直なストライプ状の凸部16aが一定のピッチ間
隔で形成されている。該各凸部16aは断面台形状を有
しており、これらの凸部16aは回折格子16を構成し
ている。そして、該回折格子16の上には、p−GaA
s光吸収層17、p−AlGaAsクラッド層18およ
びp−GaAsコンタクト層19が順次積層されてい
る。つまり、上記光導波層15の、光吸収層17と接す
る表面部分は、線状凸凹形状が誘導放出光の伝播方向L
dに一定の繰返し周期でもって形成されて回折格子16
が形成された構造となっている。
【0033】ここで、上記凸部の配置の繰り返し周期
(線状凸凹形状の繰返し周期)は、誘導放出光の波長に
対して2次の周期Λ(該波長から決まる最適周期の2
倍)となっている。上記光吸収層17は、平均層厚が約
20nm以下であり、上記台形凸部16aの上面(線状
凸凹形状の頂部上)での層厚df1、および該隣接する
台形凸部16aの間の部分上(線状凸凹形状の底部上)
での層厚df2がそれぞれ15〜50nmの範囲に設定
されている。また、上記光吸収層17の該台形凸部16
aの斜面部分(線状凸凹形状の底部と頂部との間の斜面
部)上での厚みdrが5nm以下となっている。つまり
上記光吸収層17の厚みの変化は、誘導放出光の波長に
対して1次の周期(該波長から決まる最適周期)で生じ
ている。この光吸収層17は、台形凸部の上面部分(線
状凸凹形状の頂部)および台形凸部間の部分(線状凸凹
形状の底部)で光吸収が生じ、台形凸部の斜面部分(線
状凸凹形状の斜面部)では量子効果により光吸収が生じ
ないため、上記光導波層15の表面の凸凹部分上には、
上記光吸収層17による1次の周期を有する吸収性回折
格子が形成されている。
【0034】次にこのDFBレーザの製造方法について
説明する。
【0035】まず、n−GaAs基板11上に、MOC
VD法等により、n−Al0.75Ga0.25Asクラッド層
12、Al0.14Ga0.86As活性層13、p−Al0.5
Ga0.5Asキャリアバリア層14およびp−Al0.25
Ga0.75As光導波層15を順次成長させる。
【0036】次に、この光導波層15の表面部分に、ホ
ログラフィック露光法およびH2SO4系エッチャントを
用いたウェットエッチング等による処理を施して、高さ
dが50nmであり断面台形状を有する線状の凸部16
aを複数その長手方向が光伝播方向Ldと直交するよう
形成する。これにより上記光導波層15の表面部分は、
線状凸凹形状が誘導放出光の伝播方向Ldに一定の繰返
し周期でもって形成されて回折格子16が形成されたも
のとなる。
【0037】続いて、減圧MOCVD法により、p−G
aAs等からなる光吸収層17、p−Al0.75Ga0.25
Asクラッド層18およびp−GaAsコンタクト層1
9を順次成長させる。
【0038】回折格子16上に光吸収層17を形成する
場合、適当な成長条件、例えば基板温度750℃、成長
圧力50torr、成長速度10〜30nm/min.
という条件を設定することにより、台形凸部16aの上
面部分((100)面)、および該台形凸部間の領域
((100)面)上での成長速度が、それ以外の台形凸
部斜面(高次の面)上での成長速度よりも速くなる。こ
のため、台形凸部の上面部分および隣接する台形凸部の
間の部分のみで光吸収層の厚さを選択的に厚くして該光
吸収層を光吸収が生じる程度の厚さに形成し、台形凸部
の斜面部分では、光吸収層の厚さを光吸収が生じない位
に薄くすることができる。
【0039】このような成長面方位依存性を利用するこ
とにより、図2に示したような回折格子状の光吸収層の
構造、つまり一次の周期で光吸収層の厚みが光伝播方向
Ldにおいて変化した構造が得られる。
【0040】例えば、平坦な基板上では約10nm程度
の平均層厚となるようGaAsを上記回折格子16上に
成長させた場合、台形凸部16aの斜面上でのGaAs
層の層厚drは4nm以下になり、量子効果によって光
吸収が生じなくなる。一方、台形凸部16aの上面部分
と台形凸部間の部分とでは、その上のGaAs層の層厚
df1,df2は、約15nmとなって、GaAs層での
光吸収が生じる。
【0041】このような構成のGaAs層では、誘導放
出光に対する吸収係数、即ち利得係数の変化は、誘導放
出光の伝播方向に沿って一次の周期で生じることとな
り、一次の周期の吸収性回折格子を有する利得結合型D
FBレーザを容易に作製することができる。
【0042】このようにして得られるDFBレーザは、
1次の周期の吸収性回折格子を有しているので、導波路
での光吸収を最小限に止めても利得係数κgを十分確保
でき、低閾値電流で単一軸モードの発振が可能である。
また、2次の周期を有する回折格子上に、一次の周期を
有する吸収性回折格子をセルフアライン的に形成できる
ので、DFBレーザを歩留り良く作製することができ
る。
【0043】ところで、この実施形態1のDFBレーザ
10では、光吸収層の凸部上面部に成長した部分と、凸
部間領域に成長した部分とでは、活性層13からの距離
が異なっているため、これらの部分では、誘導放出光の
吸収係数または利得係数も異なったものとなる。
【0044】図3(a)〜図3(e)は、本実施形態1
のDFBレーザについて補足説明するための図である。
【0045】ここで、図3(a)は上記DFBレーザの
回折格子及びその近傍部分を示しており、層厚100n
mのAl0.25Ga0.75As光導波層15の表面に、高さ
50nmの複数の断面台形状凸部16aによる表面の形
状変化が2次の周期を有する回折格子16が形成され、
凸部16aの上面上,および隣接する凸部16a間の領
域上に層厚15nmのGaAs吸収層17c,17aが
形成されている。上記凸部16の斜面上には層厚5nm
以下の吸収層17bが形成されている。そして、上記光
吸収層上には表面全体が埋め込まれるようp−Al0.75
Ga0.25Asクラッド層18が形成され、さらにその上
にGaAs層19が形成されている。
【0046】次にこのような実施形態1の構成における
特性評価の結果について示す。ここでは、特性評価のた
めの計算を容易に行うために、図3(a)に示すDFB
レーザの素子構造を、図3(b)に示すようにモデル化
し、該レーザを構成する各半導体層に図3(c)に示す
パラメータを設定して、光モード計算を行った。
【0047】なお、図3(b)において、層1aは上記
GaAs基板11、層2aは上記AlGaAsクラッド
層12、層3aは上記AlGaAs活性層13、層4a
は上記AlGaAsキャリアバリア層14に対応してい
る。また、層5aは、上記AlGaAs光導波層15
の、凸部16aを除く部分に対応し、層6aは、隣接す
る凸部16a間に位置するGaAs吸収層17aと、そ
の両側のAl0.25Ga0.75部分とを含む層に対応する。
また層7aは、該層6aの上側に位置する、凸部16a
を構成するAl0.25Ga0.75As部分と、該凸部間の領
域を埋め込むAl0.75Ga0.25As部分とを含む層に対
応する。層8aは、該層7aの上側に位置する、光吸収
層17cとその両側のAl0.75Ga0.25As層部分とか
らなる層に相当する。層9aは該層8a上側のAl0.75
Ga0.25Asクラッド層部分、層10aはその上のGa
As層部分に対応する。また、ここでは、上記吸収層1
7bは光吸収が起こらない程度に十分薄いので、該吸収
層はないものとしている。
【0048】また、図3(c)には、各半導体層につい
てのAl混晶比X、屈折率n、層厚d、吸収係数αを示
している。但し、回折格子16を構成する半導体層6a
〜8aの屈折率n及び吸収係数αについては、平均値を
示している。
【0049】このモデルに基づいて計算を行ったとこ
ろ、図3(d)に示すように、凸部上側の層8aの光閉
じ込め係数Γ8aと、凸部下端部分の層6aの光閉じ込
め係数Γ6aとは異なったものとなる。ここでΓ7a
は、上記層6aと層8aとの間に位置する層7aでの光
閉じ込め係数、Γactは活性層の光閉じ込め係数、neff
は、本DFBレーザを構成する半導体層全体としての実
効的な屈折率、αeffは、本DFBレーザを構成する半
導体層全体としての実効的な吸収係数である。また、図
3(e)に示すように、光吸収によるロス、即ち利得係
数も、上記層8aと層6aとで異なるものとなる。な
お、図3(e)では、誘導放出光のその伝播方向におけ
るロスの周期的分布を示しており、a2=3/(2π)
は理想的な波形を仮定して、図3(e)の矩形波をフー
リエ展開したときの2次分布、すなわち理想的な波の振
幅を示している。さらに換言すれば、上記値a2=3/
(2π)は、吸収係数の大きさ、利得結合係数(κg
の大きさを示すものである。
【0050】図4(a)〜図4(d)は、上記実施形態
1の変形例について説明するための図である。
【0051】この変形例では、図4(a)に示すよう
に、光吸収層の凸部上面部分(線状凸凹形状の頂部上部
分)の層厚を、光吸収層の凸部間部分(線状凸凹形状の
底部上部分)での層厚より厚くしている。その他の構成
は図1に示す実施形態1の素子構造と同一である。
【0052】つまり、ここでは、その表面に予め層厚1
0nmの第1のGaAs吸収層27を形成した層厚10
0nmのAl0.25Ga0.75As光導波層15に対して、
選択的なエッチング処理を施して、深さ50nm程度の
台形状凸部26aを複数形成して、回折格子26を形成
している。つまり、上記光導波層15の、光吸収層と接
する表面部分は、線状凸凹形状が誘導放出光の伝播方向
Ldに一定の繰返し周期でもって形成されて回折格子2
6が形成された構造となっている。また、該凸部上面上
(線状凸凹形状の頂部上)及び凸部間領域(線状凸凹形
状の底部上)には、層厚10nmの第2のGaAs吸収
層17c,17aが形成され、その上には全体を埋め込
むようp−Al0.75Ga0.25Asクラッド層18が形成
されている。また、該凸部26aの斜面部分上(線状凸
凹形状の底部と頂部との間の斜面部上)には第2のGa
As層17bが5nm以下の厚さに形成されている。
【0053】この素子構造では、凸部26aの上部に
は、光吸収層として第1のGaAs吸収層27と第2の
GaAs吸収層17cとが形成されており、凸部26a
の上部の光吸収層の厚さは20nmとなっており、凸部
26a間領域での光吸収層17aの厚さは10nmとな
っている。
【0054】ここでは、特性評価のための計算を容易に
行うために、図4(a)に示すDFBレーザの素子構造
を、図4(b)に示すようにモデル化し、該レーザを構
成する各半導体層に図4(c)に示すパラメータを設定
して、光モード計算を行った。これにより、図4(d)
に示すような結果が得られた。
【0055】なお、図4(b)では、層1bは上記Ga
As基板11、層2bは上記AlGaAsクラッド層1
2、層3bは上記AlGaAs活性層13、層4bは上
記AlGaAsキャリアバリア層14に対応している。
また、層5bは、上記AlGaAs光導波層15の、凸
部26aを除く部分に対応し、層6bは、隣接する凸部
26a間に位置するGaAs吸収層17aと、その両側
のAl0.25Ga0.75As部分とを含む層に対応する。ま
た層7bは、該層6bの上側に位置する、凸部26aを
構成するAl0.25Ga0.75As部分と、該凸部間の領域
を埋め込むAl0.75Ga0.25As部分とを含む層に対応
する。層8bは、該層7bの上側に位置するGaAs吸
収層27及び17cと、これらの両側のAl0.75Ga
0.25As層部分とからなる層に相当する。
【0056】なお、ここでは、上記吸収層17bは光吸
収が起こらない程度に十分薄いので、該吸収層はないも
のとしている。
【0057】また、図4(c)には、各半導体層につい
てのAl混晶比X、屈折率n、層厚d、吸収係数αを示
している。但し、回折格子26を構成する半導体層6b
〜8bの屈折率n及び吸収係数αについては、平均値を
示している。
【0058】この場合、図4(d)から分かるように、
層8bでの光閉じ込め係数Γ8bと、層6bでの光閉じ
込め係数Γ6bとがほぼ等しくなる。なお、Γ7bは、
上記層7bでの光閉じ込め係数、Γactは活性層の光閉
じ込め係数、neffは実効的な屈折率、αeffは実効的な
吸収係数である。
【0059】また、この変形例では、図4(e)に示す
ように、光吸収によるロス、即ち利得係数も光の伝播方
向に沿って1次の周期でバランス良く変化している。な
お、図4(e)では、誘導放出光のその伝播方向におけ
るロスの周期的分布を示しており、b2=2/πは理想
的な波形を仮定したときの波の振幅、すなわち吸収係数
の大きさ、利得結合係数の(κg)の大きさを示すもの
である。図3で示した実施形態1と比較して利得結合係
数が大きくとれ、しかも素子全体としての実効的な吸収
係数(αeff)も小さくできることがわかる。
【0060】このような構成のDFBレーザは、低電流
動作が可能であり、さらに単一軸モード特性や製造歩留
まりに優れたものとなる。
【0061】(実施形態2)図5は、本発明の実施形態
2による分布帰還型半導体レーザ装置の構造を示す断面
図であり、図6はその回折格子近傍の構造を拡大して示
す断面図である。
【0062】図において、50は本実施形態2の分布帰
還型半導体レーザ装置で、この半導体レーザ装置では、
n−GaAs基板51上に、n−AlGaAsクラッド
層52、AlGaAs活性層53、p−AlGaAsキ
ャリアバリア層54およびp−AlGaAs光導波層5
5が順次積層されている。そして、この光導波層55の
表面部分には、断面台形形状の複数の線状凸部(以下台
形凸部という。)56aが誘導放出光の伝播方向に沿っ
て一定のピッチ間隔で形成されており、これにより回折
格子56が形成されている。つまり、上記光導波層55
の、光吸収層57と接する表面部分は、線状凸凹形状が
誘導放出光の伝播方向Ldに一定の繰返し周期でもって
形成されて回折格子56が形成された構造となってい
る。
【0063】該回折格子56が形成された光導波層55
の上には、p−GaAs等からなる光吸収層57、p−
AlGaAsクラッド層58およびp−GaAsコンタ
クト層59が順次積層されている。
【0064】ここで、上記光導波層55の表面部分の台
形凸部56aは、誘導放出光の波長に対して2次の周期
Λでもって光伝播方向Ldに配置されている。また、該
光吸収層57は、台形凸部56aの上面上(線状凸凹形
状の頂部上)、及び台形凸部56a間の領域上(線状凸
凹形状の底部上)では、その厚さdfが5nm以下とな
っており、また台形凸部56aの斜面上(線状凸凹形状
の斜面部上)ではその厚さdrが15nm〜50nm程
度となっている。
【0065】従って、上記光吸収層57の層厚は、光伝
播方向Ldにおいて誘導放出光に対して1次の周期で厚
みの変化が生じている。従って、この光吸収層57は、
上記凸部上面部分及び凸部間部分では量子効果により光
吸収が生じず、凸部斜面部では光吸収が生じる構成とな
っている。このため、本DFBレーザの回折格子は、誘
導放出光に対して1次の周期を有する吸収性回折格子と
なっている。
【0066】次に、DFBレーザの製造方法について説
明する。
【0067】まず、n−GaAs基板51上に、MOC
VD法により、n−Al0.75Ga0.25Asクラッド層5
2、Al0.14Ga0.86As活性層53、p−Al0.5
0.5Asキャリアバリア層54およびp−Al0.25
0.75As光導波層55を順次成長させる。
【0068】次に、この光導波層55の表面に、ホログ
ラフィック露光法およびH2SO4系エッチャントを用い
たウェットエッチング等による処理を施して、高さdが
50nmの断面台形形状を有する線状凸部56aを複数
形成して、該光導波層55の表面部分に回折格子56を
形成する。このとき台形凸部56aの斜面が、(11
1)A面となるようエッチングによる加工を行う。
【0069】その後、該光吸収層55上にMOCVD法
により、20nm以下の平均層厚でp−GaAs等から
なる光吸収層57を形成し、続いて、その上にp−Al
0.75Ga0.25Asクラッド層58およびp−GaAsコ
ンタクト層59を順次成長させる。
【0070】ここで、回折格子56上に光吸収層57を
形成する際、基板温度を650〜750℃と低く設定
し、台形凸部の斜面である(111)A面での成長速度
が台形凸部の上面部および台形凸部間の部分の(10
0)面の成長速度よりも速くなるような成長条件を設定
することにより、該台形凸部の斜面((111)A面)
上には厚い光吸収層を選択的に形成することができる。
【0071】例えば、平坦部で約10nm程度の平均層
厚となるようGaAsを回折格子56上に成長させた場
合、台形凸部の上面部及び台形凸部間の領域上でのGa
As層の層厚は3nm以下になり、これらの部分のGa
As層では量子効果によって光吸収が生じなくなる。一
方、台形凸部の斜面上でのGaAs層の層厚は、約10
nmとなって、この部分のGaAs層では光吸収が生じ
る。
【0072】これによって、光吸収層は、光伝播方向L
dに沿って誘導放出光に対して一次の周期で吸収係数
(利得係数)が変化する構造となり、一次の周期の吸収
性回折格子を有する利得結合型DFBレーザを容易に作
製することができる。
【0073】このようにして得られるDFBレーザは、
1次の周期の吸収性回折格子を有しているので、導波光
の吸収を最小限に止めても利得係数κgを十分確保で
き、低閾値電流で単一軸モードの発振が可能である。ま
た、誘導放出光の波長に対して2次の周期となっている
回折格子上に、一次の周期を有する吸収性回折格子をセ
ルフアライン的に形成できるので、素子を歩留り良く作
製することができる。
【0074】図7(a)〜図7(d)は上記実施形態2
のDFBレーザを補足説明するための図である。
【0075】ここで、図7(a)は、該DFBレーザの
回折格子及びその近傍部分を示しており、層厚100n
mのAl0.25Ga0.75As光導波層55の表面部分に
は、高さ50nmの断面台形状の凸部56aが誘導放出
光の波長に対して2次の周期で配置されており、該複数
の凸部56aにより回折格子56が形成されている。
【0076】上記台形凸部56aの斜面上には層厚10
nmのGaAs吸収層57bが形成されている。また、
該凸部56aの上面上、及び該凸部間の領域上には、層
厚5nm以下のGaAs吸収層57c,57aが形成さ
れている。また、上記回折格子56上には、各凸部56
aを埋め込むようp−Al0.75Ga0.25Asクラッド層
58が形成されており、その上にはp−GaAsコンタ
クト層59が形成されている。
【0077】このような具体的な構造のレーザにおける
特性の評価のための条件及びその結果について以下に示
す。
【0078】ここで、特性評価のための計算を容易に行
うために、図7(a)に示す素子構造を図7(b)に示
すようにモデル化し、図7(c)に示すパラメータを設
定して、特性評価のための計算を行った。
【0079】なお、図7(b)において、層1cは上記
GaAs基板51、層2cは上記AlGaAsクラッド
層52、層3cは上記AlGaAs活性層53、層4c
は上記AlGaAsキャリアバリア層54に対応してい
る。また、層5cは、上記AlGaAs光導波層55
の、凸部56aを除く部分に対応し、層6cは、該凸部
56aを構成するAl0.25Ga0.75As部分、該凸部5
6aの斜面上のGaAs部分57b、及び該凸部間の領
域を埋め込むAl0.75Ga0.25As部分からなる層に対
応する。また、層7cは、上記層6cの上側に位置す
る、クラッド層を構成するAl0.75Ga0.25As部分に
対応し、層8cは、該層7c上側のGaAs層部分に対
応する。また、ここでは、上記吸収層57a,57cは
光吸収が起こらない程度に十分薄いので、該吸収層はな
いものとしている。
【0080】また、図7(c)には、上記各半導体層1
c〜10cについてのAl混晶比X、屈折率n、層厚
d、吸収係数αを示している。但し、回折格子56を構
成する半導体層6cの屈折率n及び吸収係数αについて
は、平均値を示している。
【0081】図7(b)に示すモデルについて特性評価
のための計算を行ったところ、図7(d)に示すよう
に、上記層6cの光閉じ込め係数Γ6cは0.0164
となり、この結果から、導波路損失が低く、かつ、光の
伝播方向に沿って1次の周期で吸収係数が変調された吸
収性回折格子を有する利得結合型DFBレーザが実現で
きることが分かる。なお、図7(d)中、Γactは活性
層53の光閉じ込め係数、neff及びαeffはそれぞれ、
本実施形態2のDFBレーザを構成する半導体層全体と
しての実効的な屈折率及び吸収係数である。
【0082】ところで、この実施形態2のように、光吸
収層の層厚を、断面台形状の凸部の斜面上でのみ光吸収
が生じるよう調節した分布帰還型半導体レーザ装置で
は、回折格子のデューティ比が、単一軸モード特性を確
保するために必要な利得結合定数κgに影響する。ここ
でデューティ比は、図6に示すように、台形凸部の斜面
部分の光伝播方向における寸法Aと、台形凸部の斜面の
最上位置からこの斜面に面する隣の台形凸部の斜面の最
下位置までの光伝播方向Ldにおける寸法Bとの比の値
である。
【0083】図8(a)および(b)に、共振器長で規
格化した利得結合定数κgLと、光吸収層が接する回折
格子のデューティー比との関係を示す。図8(a)で
は、吸収層の厚さを一定(15nm)とし、回折格子の
深さ(台形凸部の高さ)をパラメータとしたもの、図8
(b)では、回折格子の深さ(台形凸部の高さ)を一定
(50nm)とし、吸収層の厚さをパラメータとしたも
のを示している。また、図8(a),(b)ではいずれ
も回折格子の周期Λを240nmとしている。
【0084】図8(a)および(b)から理解されるよ
うに、利得結合定数κgLは回折格子の深さや光吸収層
の厚みによって変化する。しかし、光導波層の表面部分
に形成された回折格子のデューティー比A/Bが0.2
5〜0.45の範囲であれば、安定な単一軸モード特性
を得るために必要な利得結合定数κgとして概ね0.5
を確保することができる。
【0085】このようにしてレーザ素子をその構造パラ
メータを限定して作製することにより、低電流動作が可
能であり、さらに単一軸モード特性やその製造歩留まり
に優れた分布帰還型半導体レーザ装置を得ることが可能
となる。
【0086】なお、上記各実施形態では、光導波層の表
面部分に誘導放出光に対して2次の周期を持つ回折格子
を形成して、1次の周期の回折格子構造を有する光吸収
層を成長させたが、光導波層上面の回折格子を2m次
(mは1以上の整数)の周期で形成してもよい。その場
合には、m次の周期の吸収性回折格子が得られる。
【0087】また、上記実施形態では、活性層とその上
側に形成されたクラッド層との間に光導波層および吸収
層を形成したが、活性層の下側に形成されたクラッド層
と活性層との間に形成してもよい。
【0088】また、GaAs基板上のAlGaAs系材
料を用いたが、これに限るものではない。
【0089】また、レーザを構成する半導体層に成長方
法は、MOCVD法に限るものではない。
【0090】
【発明の効果】以上のように本発明に係る分布帰還型半
導体レーザ装置によれば、光導波層の、光吸収層と接す
る表面部分に、線状凸凹形状を、誘導放出光の伝播方向
に沿って、誘導放出光の波長に対して2m(mは自然
数)次の周期でもって形成して回折格子を形成し、該回
折格子が形成された光導波層の表面上に光吸収層を成長
させることにより、m次の周期を有する吸収性回折格子
をセルフアライン的に形成することができる。
【0091】このため、製造プロセスを非常に簡単にす
ることができ、DFBレーザの良品歩留りを十分高くす
ることができる。
【0092】また、吸収性回折格子の周期を、パターニ
ングにより光導波層表面に形成される回折格子の周期よ
り小さくできるので、導波路における吸収を最小限に止
めると共に、単一軸モード特性を得るために必要十分な
利得結合定数κgを確保することができる。従って、発
振閾値が低く、単一軸モード特性に優れたDFBレーザ
を提供することができる。
【0093】このように優れた素子特性を有する本発明
のDFBレーザは、製造プロセスが簡単で量産性にも優
れているので、ヘテロダイン検波方式を用いたコヒーレ
ント通信や波長多重通信用、光情報処理や光計測用、あ
るいはレーザビームプリンタ用の光源として、極めて有
用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1による分布帰還型半導体レ
ーザ装置(DFBレーザ)の構造を示す断面図である。
【図2】上記DFBレーザにおける、回折格子近傍の構
造を拡大して示す断面図である。
【図3】上記実施形態1のDFBレーザについて、その
特性評価のための条件及びその結果の補足説明をするた
めの図である。
【図4】上記実施形態1のDFBレーザの変形例につい
て、その特性評価のための条件及びその結果を含めて説
明するための図である。
【図5】本発明の実施形態2による分布帰還型半導体レ
ーザ装置(DFBレーザ)の構造を示す断面図である。
【図6】上記実施形態2のDFBレーザについて、回折
格子近傍の構造を拡大して示す断面図である。
【図7】上記実施形態2のDFBレーザについて、その
特性評価のための条件及びその結果の補足説明をするた
めの図である。
【図8】上記実施形態2のDFBレーザについて、光導
波層からなる回折格子のデューティー比と、共振器長で
規格化した利得結合定数κgLとの関係を示すグラフで
示す図である。
【図9】従来の利得結合型DFBレーザの構造を示す斜
視図である。
【図10】従来の他の利得結合型DFBレーザの構造を
説明するための図である。
【符号の説明】
10,50 DFBレーザ 11、51 GaAs基板 12、52 n−AlGaAsクラッド層 13、53 AlGaAs活性層 14、54 p−AlGaAsキャリアバリア層 15、55 p−AlGaAs光導波層 16、26、56 回折格子 16a、26a、56a 台形凸部 17、57 p−GaAs等からなる光吸収層 18、58 p−AlGaAsクラッド層 19、59 p−GaAsコンタクト層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 圭 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘導放出光を発生する活性層と、 該活性層の上下にこれを挟持するよう配置されたクラッ
    ド層と、 該クラッド層の一方と該活性層との間に配置された光吸
    収層と、 該光吸収層と該活性層との間に形成された光導波層とを
    備え、 該光導波層の、該光吸収層と接する表面部分は、線状凸
    凹形状が誘導放出光の伝播方向に一定の繰返し周期でも
    って形成されて回折格子が形成された構造となってお
    り、 該光吸収層の、該線状凸凹形状の底部上及び頂部上での
    層厚と、該光吸収層の、該底部と該頂部の間の斜面部上
    での層厚とは異なっており、 該光吸収層の層厚が厚く該誘導放出光に対する光吸収が
    生じる部分と、該光吸収層の層厚が薄く該誘導放出光に
    対する光吸収が生じない部分とは、該線状凸凹形状の繰
    り返し周期の半分の周期でもって、該誘導放出光の伝播
    方向に並んでおり、 該光吸収層での伝播する誘導放出光に対する周期的な光
    吸収により、該誘導放出光に対する光分布帰還が生ずる
    ようになっている分布帰還型半導体レーザ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の分布帰還型半導体レーザ
    装置において、 前記光吸収層は、前記線状凸凹形状の底部上及び頂部上
    ではその層厚が前記誘導放出光に対する光吸収が生じる
    程度に厚く、該線状凸凹形状の斜面部上ではその層厚が
    該誘導放出光に対する光吸収が生じない程度に薄くなっ
    ているものである分布帰還型半導体レーザ装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の分布帰還型半導体レーザ
    装置において、 前記光吸収層は、前記線状凸凹形状の頂部上での層厚
    が、該線状凸凹形状の底部上での層厚より厚い構造とな
    っている分布帰還型半導体レーザ装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の分布帰還型半導体レーザ
    装置において、 前記光吸収層は、前記線状凸凹形状の斜面部上ではその
    層厚が前記誘導放出光に対する光吸収が生じる程度に厚
    く、該線状凸凹形状の底部上及び頂部上ではその層厚が
    該誘導放出光に対する光吸収が生じない程度に薄くなっ
    ているものである分布帰還型半導体レーザ装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の分布帰還型半導体レーザ
    装置において、 前記光導波層の表面部分の回折格子は、前記線状凸凹形
    状の頂部の光伝播方向における寸法と、該線状凸凹形状
    の底部の光伝播方向における寸法とが等しく、該線状凸
    凹形状の頂部あるいは底部の両側の斜面部分の光伝播方
    向における寸法が等しいものであり、 該線状凸凹形状の1つの斜面部の光伝播方向における寸
    法と、この寸法と該線状凸凹形状の頂部あるいは底部の
    光伝播方向における寸法の合計値との比の値は、0.2
    5〜0.45の範囲に設定されている分布帰還型半導体
    レーザ装置。
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