JPH09177873A - ローパスフィルターを含む最適・準最適振動制御方法 - Google Patents

ローパスフィルターを含む最適・準最適振動制御方法

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JPH09177873A
JPH09177873A JP34114795A JP34114795A JPH09177873A JP H09177873 A JPH09177873 A JP H09177873A JP 34114795 A JP34114795 A JP 34114795A JP 34114795 A JP34114795 A JP 34114795A JP H09177873 A JPH09177873 A JP H09177873A
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Masujirou Hisatani
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造物の振動検出センサー・振動制御用アクチュエータ
の取付けに不可制御性・不可観測性を適用し、ローパス
フィルター導入による状態フィードバック制御系を構成
する最適又は準最適制御理論を適用した振動制御方法を
提供する。 【解決手段】 図の集中定数型振動モデルにおいて、各
質点に取り付ける前記センサの数に制約があり、この変
位を検出できない質点の状態量を除いた状態ベクトル
を、集中定数型振動モデルの全質点の状態ベクトルから
線型変換し、得られた状態ベクトルを用いた準最適制御
理論を適用した制御量を前記アクチュエータに与えるよ
うにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ローパスフィルタ
ーを含む最適・準最適振動制御方法に関し、更に詳細に
は、構造物に起こる振動のうち、ローパスフィルターの
状態方程式を入力したコンピュータによって振動、特に
低次数振動モードの振動を制御することのできる振動制
御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、内海、海峡、陸地に近接する島、
大型船の通る運河などを連絡する長大吊り橋や長大斜張
橋などを建設する例が多くなった。この長大橋は、周知
のとおり、基礎の上に主塔を建て、この主塔間にケーブ
ルを張り、主塔間に取り付けた橋桁を張力によって支え
ている。前記主塔の高さは、橋の規模により一定しない
が、高いものでは300mに達するものがある。
【0003】建設中の主塔は、高さが高くなるにつれ、
強風などで主塔が揺れるようになり、作業員の安全性を
脅かすおそれが生じる。更に、主塔は、一般に、工場で
輸送可能の大きさに分割して製造し、現地で組み立てる
ものであるが、建設後の長大橋の安全性を保つために、
前記分割製造した塔部材の製作精度及び現地での組立て
精度は共に、極めて高いものが要求され、前記揺れによ
る作業環境の悪化は極めて好ましくなく、主塔の振動制
御技術の確立が要求されるようになった。
【0004】ところで主塔建設中は、クレーンを支持す
るクレーン塔を主塔に隣接して建て、継梁で主塔と連結
するため、主塔の揺れは、クレーン塔の揺れと連動し、
複雑な振動となる。したがって主塔の振動制御には、ア
クティブ振動制御法の適用が必要であり、従来から各種
の提案がなされている。例えば、工事中に危険を招くと
して問題視される1次モードの曲げ振動を制御するもの
として、高橋ら著「吊橋主塔の空力振動に対するアクテ
ィブコントロールの一適用例」日本機械学会講演論文集
(以下機構論)930-42,1993,P.132 、森河ら著「鶴見航
路橋の制振対策:アクティブTMDによる斜張橋タワー
の制振」機構論930-42,1993,P.138 などの報告がある。
【0005】しかしながら主塔の軽量化が進むにつれ、
1次振動モードばかりでなく、高次振動モードが強度面
から問題になることが分かった。また建設中の主塔は、
クレーンと一体となって上方に延びて行く可変構造物で
あり、振動形態が異なるクレーン塔との連成により複雑
な振動を引き起こすため、新たなアクティブ振動制御法
が求められるようになった。
【0006】この問題に対して、H∞制御などのロバス
ト制御理論の応用が試みられるようになった(坂井ら著
「H∞制御理論による橋梁主塔の振動制御−力学的相似
模型を用いた実験的検証、機構論930-42,1993.P144)。
この制御理論は、制御モデルの不確かさの制御特性に与
える影響を排除し、確定された制御モデルの許に、パラ
メータ変動に強い制御系を設計できるという特徴があ
る。しかしながら、このロバスト制御理論による制御方
法は、コントローラが肥大化することを避けることがで
きず、大規模制御モデルとなると、設計パラメータの選
択に思考錯誤的要素が加わり、必ずしも見通しのよい設
計法とはいえない。
【0007】一方、最近の構造物の振動解析ソフトウエ
アは充実してきており、複雑な構造物の振動が高い精度
で解析できるようになっている。この解析結果を基に、
振動制御のための低次元化制御モデルも精度よく作成で
きるようになった。松野らは、背戸らの提案した方法
(背戸ら著「不可制御・不可観測性の活用による弾性構
造物の低次元化物理モデル作成法と振動制御法」日本機
械学会論文集(以下機論)C.57-542.1991,P.3392 社発
行)によって提案した方法を用い、主塔模型構造物の低
次元化物理モデルを作成し、最適制御理論と準最適理論
との比較によって振動制御効果を示している(「長大橋
主塔模型の振動制御(第1報,低次元モデル化法と振動
制御効果)」機構論)。
【0008】この準最適制御理論(Kosut,L.R.,Subopti
mal Control Linear Time-Invariant Systems Subject
to Control Structure Constrains.IEEE Trans.on Auto
matic Control,AC-15-5,1970,P.557)は、使用できる変
位検出センサの数に制限があるなどの構造制約がある場
合に有効であり、吉田らはこれを振動制御に利用して良
い結果を得ている(吉田ら著「スピルオーバを考慮した
弾性構造物の最適制御」機論C,54-497,1988,P.20
1.)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、通常の構造
物の振動は分布定数型振動であり、このままで振動制御
手段を検討することは一般に困難である。したがって振
動解析は、前記分布定数型振動系と同様の振動モードで
振動する集中定数型振動モデル、即ち、同様の振動特性
を有する可及的に少ない数の質点系モデルに置き換えて
行われる。なお、前記質点の数は、制御対象の振動モー
ド次数以上の数とすることが理論的に示されている。
【0010】そして集中定数型振動モデルの作成は、前
記質点位置及びアクチュエータの相対位置と、これらの
変位及び速度状態ベクトル及びアクチュエータから与え
られる制御量を変数とする一次関数として定式化した状
態方程式によって表すことができる。その場合に無視し
た高次振動モードの制御への影響を抑制するために、次
の方法が提案されている。
【0011】1)無視した振動モード、即ち制御対象か
ら外した振動モードの不可制御、不可観測性を利用した
低次元モデル化法 2)H∞制御理論などのロバスト制御による設計法 3)フィルタの導入による高次モードの影響の抑制法 4)無視した高次モードの減衰を付与した低感度化法な
どである。
【0012】前記1)の方法は、不可観測、不可制御振
動モードの節の部分に変位検出センサとアクチュエータ
とを取り付けることによって実現することができる。反
面、変位検出センサとアクチュエータの配置場所に制約
がある場合には適用できないし、無視する全ての振動モ
ードを対象にすることができない。前記2)の方法は、
制御対象の振動モードの次数が増えると、取り扱うパラ
メータの数が増え、制御装置が肥大化し、パソコンなど
小型のコンピュータでは扱うことが困難になり、現在
は、2次,3次振動モードまでについての制御実績が発
表されているのみである。
【0013】前記3)の方法は、経験的に設計したフィ
ルタを挿入し、スピルオーバを防いでいるのが現状であ
り、複雑な構造体に適用する一般的な手法とすることは
困難である前記4)の方法は、別の減衰手法とを組み合
わせることが求められる。以上のとおり、複雑な構造物
の制御の対象となる低次振動モードの振動制御に適用で
きる一般的制御方法は未だ確立されていない。
【0014】本発明は、制御対象外の高次振動モードの
影響の除去又は感度の低減のために不可制御性・不可観
測性を活用したセンサーやアクチュエータの適正配置、
及びローパスフィルターの導入によるロバスト制御法を
検討し本発明を完成させたものであり、前記フィルタを
組み込んだ拡張系の状態方程式を求め、LQ制御則を求
め、状態フィードバック制御系を構成しする最適制御設
計によるローパスフィルターを含んだ構造物の振動制御
方法を提供することを第1の解決課題としている。
【0015】前記のとおり複雑な構造物では、固有振動
数が接近し、振動解析が複雑且つ困難となることが多
く、しかも、センサ取り付けなどに構造的制約がある場
合があり、更に一般化した振動制御方法の確立が必要と
なる。そこで本発明の第2の解決課題は、前記課題に準
最適制御理論を適用したローパスフィルターを含んだ振
動制御方法を提供することを第2の解決課題としてい
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】以上の第1の技術課題を
達成する本発明のローパスフィルターを含む振動制御方
法の手段は、振動を制御する対象の構造物に対し、制御
する振動モードの最高次数を決定し、この制御対象振動
モードの次数より一つ大きい次数の振動モードの節に当
たる部分に前記最高次数に等しい数の質点を置いた集中
定数型振動モデルを作成し、前記質点のいずれか1個以
上の質点に制御装置のアクチュエータを取り付け、この
アクチュエータを加えた力学モデルを作成し、前記質点
の全てに、質点の変位を検出するセンサを取り付け、こ
のセンサの検出信号を制御装置に与えることからなり、
この制御装置は、前記最高次数より高い次数の振動モー
ドに対する感度を低減化するローパスフィルター演算手
段、及びこのローパスフィルター演算手段の演算結果と
前記各質点の変位及び速度信号とから制御対象振動を制
御する制振演算手段を入力したコンピュータからなり、
得られた制御信号を前記アクチュエータに与えることに
より、前記センサの検出した信号をフィードバックする
ことからなるものである。
【0017】制御対象の振動は、低次モードの振動であ
り、その次数には特に限定はなく、実際に則して適宜決
定すればよい。例えば、長大橋の建設時の振動制御の場
合には、通常5次振動モード当たりまでの振動を対象と
するので十分と考えられるが、この次数は、対象構造物
及び振動制御の目的により変更される。前記アクチュエ
ータは、電磁力、油圧などのアクチュエータを使用する
ことができる。
【0018】前記センサには特に限定はなく、一般には
サーボ速度センサなどを用い、速度と変位信号を得るよ
うにするが、これに限定されず、変位信号と速度信号と
を得ることができるセンサならいずれのものも使用する
ことができる。対象構造物の振動モード解析は、一般の
解析ソフトウエア(例えばANSYS)を用いて数値的
に求めることができる。また実験的には、実験モード解
析装置によって行うことができる。
【0019】前記制御対象の振動モードの最高次数を越
える次数の振動モード(以下無視した振動モードとい
う)の感度を低減化するローパスフィルター演算手段
は、電気回路などの物理的手段によりローパスフィルタ
ーを作成するのではなく、パーソナルコンピュータなど
の演算装置をローパスフィルターとして機能させるもの
である。
【0020】前記ローパスフィルターの状態方程式及び
観測方程式は、前記集中定数型振動モデルの状態方程式
及び観測方程式に、ローパスフィルターの出力変数ベク
トルXf と入力変数ベクトルUf を用いた状態方程式に
よって表すことができる。フィルタを取り付け位置一般
に観測スピルオーバよりも制御スピルオーバの方が激し
いことを考慮し、前記制振演算手段の演算結果をローパ
スフィルター演算手段の入力変数ベクトルUf とするこ
とが有利であるが、ローパスフィルター演算手段の演算
結果を制振演算手段の入力変数としてもよい。
【0021】そして、前記拡張系の状態ベクトル及び制
御量のそれぞれに重みを付けた評価関数を最小にする制
御系設計問題の従来の手法(LQ制御則)を適用して前
記制御演算式を求めることができる。前記第2の解決課
題を達成するための本発明の構造物の振動制御方法の手
段は、前記集中定数型振動モデルの各質点に取り付ける
前記センサの数に制約がある場合、この変位を検出でき
ない状態量を除いた状態ベクトルを、集中定数型振動モ
デルの全質点の状態ベクトルから線型変換し、得られた
状態ベクトルを用いた準最適制御理論を適用して得られ
る制御量を前記アクチュエータに与えるようにしたもの
である。
【0022】本発明による振動制御方法は、前記長大橋
の振動制御に適用することの外、一般土木・建築構造物
などの構造物の低次数モードの振動制御に適用すること
ができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下添付の図面を参照し、長大橋
力学模型を対象にして行った実施例により、本発明方法
について具体的に説明する。1.振動モードの解析 図1に示す構造物1は、長大橋の模型であり、土台2の
上に、支柱3a,3b(以下左右の支柱を区別しないと
きは単に3で表す)とクレーン塔4を直立させ、支柱3
a,3bとの間に3本の横桁5を渡し、また支柱3とク
レーン塔4との間にそれぞれ3本づつのつなぎ桁6を渡
し、一つの構造体としたものである。使用材料は、いず
れも鋼材であり、図1に示す寸法は、単位mmによる実
寸を示し、図のX軸は制御対象となる振動方向を示し、
Y軸は支柱3a,3bを植立した方向を、またZ軸は垂
直方向を示し、Fは支柱3及びクレーン塔4を土台2に
固定した支点部分である。
【0024】前記構造物1の低次振動を振動解析ソフト
ウエアANSYSを用い、FEM解析によって得た1次
〜7次までの振動の形及び固有振動数を図2Aのa〜g
に示す。図2Aのaに示す1次振動モードは、支点Fを
振動の節nとし、支柱3及びクレーン塔4の頂部tを振
動の腹hとし、構造物1が全体とし、固有振動数が3.
75ヘルツでX軸方向に揺れる曲げ振動である。
【0025】図2Aのbに示す2次振動モードは、前記
1次振動モードにおいて、支柱3a,3bがそれぞれ反
対方向に曲がる、固有振動数が10.52ヘルツの捩じ
れ振動である。なおクレーン塔4は、支柱3a,3bを
底辺とする2等辺三角形の頂点に位置するため、支柱3
の捩じれ振動に伴い、Y軸方向の振動成分を有する振動
となる。
【0026】図2Aのcに示す3次振動モードは、前記
2次振動モードに酷似した固有振動数が13.08ヘル
ツの振動であり、クレーン塔が僅かに変形する捩じれ振
動である。図2Aのdに示す4次振動モードは、支点F
から1/4近くの高さの所と頂点とに振動の腹hを有
し、支点F及び支点Fから3/4近くの高さの所に振動
の節nを有する、固有振動数が17.10ヘルツの曲げ
振動である。
【0027】図2Aのeに示す5次振動モードは、4次
振動モードにおいて、支柱3a,3bがそれぞれ反対方
向に曲がる、固有振動数が37.39ヘルツの捩じれ振
動であり、クレーン塔4には、2次振動モードと同様
に、Y軸方向の振動成分が発生する。図2Aのfに示す
6次振動モードは、支点Fからの高さが1/5及び3/
5近くに振動の腹hを有し、2/5及び4/5近くに振
動の節nを有し、固有振動数が44.04ヘルツの曲げ
振動である。
【0028】図2Aのfに示す7次振動モードは、5次
振動モードにおいて、支柱3a,3bがそれぞれ反対方
向に曲がる、固有振動数が75.66ヘルツの捩じれ振
動であり、クレーン塔4には、2次振動モードと同様
に、Y軸方向の振動成分が発生する。ところで図2のA
及びBに示すとおり、2次振動モードと3次振動モード
とは酷似しているが、固有振動数が異なる。そこで2次
振動モードを、図3の右側に示すように変更した2次振
動モードに置き換え、3次モードとの区別を容易にし
た。したがって、クレーン塔4の頂部に変位検出センサ
(図示せず)を取り付けた場合には、検出信号と計算結
果とが一致しないおそれがある。
【0029】2.[構造物1(分布定数型振動系)の集中
定数型振動モデルの作成] 本実施例において、集中定数型振動モデル(以下単にモ
デルという)8の作成のための前提条件を以下のとおり
とした。 a)5次振動モードまでの振動を制御し、6次振動モー
ドより高次の振動モードを無視する。即ち振動の低次元
化をする。
【0030】b)6次振動モードを不可制御とするため
に、アクチュエータの取り付け位置を、6次振動モード
の節nの位置の2本の支柱3それぞれに取り付け、クレ
ーン塔4にはアクチュエータを取り付けない態様により
実施した。 c)また7次振動モードを不可観測とするために、変位
検出センサを7次モードの節nの位置に取り付けた。
【0031】d)集中定数型振動モデル作成上の規則か
ら、制御対象の最高振動モード次数以上の点に質点を集
中させる必要がある。本実施例の場合は、質点数を5個
とした5質点モデル8と、これに2個のアクチュエータ
A3,A4(両者を区別しないときには単にAで表す)
を加えた7質点からなる集中定数型振動系に動吸振器を
取り付けた力学モデルを作成した。得られた結果を図4
に示す。
【0032】図4に示す符号Xi (i=1〜5)は質点
i(その質量をMiで表す)のX軸方向変位を表し、d
iは、質点i(i=3,4)に取り付けたアクチュエー
タAi(i=3,4)の質点を表し、npは支柱3及びク
レーン塔4の頂点の中性点を表す。またkij(i,j=
1〜5)は質点iとjとの間のバネ定数であり、kiiは
質点iが中性位置に引き戻す力のバネ定数である。
【0033】更に、kdi(i=3又は4)は、質点iと
質点diとの間のバネ定数であり、ci は、質点iと質
点diとの間のダンパー作用を表す減衰係数であり、fc
i(i=3又は4)はアクチュエータAiの出力端を表
す。図4に示す力学モデルの妥当性を検討するために、
質点1を加振したときの各点の周波数応答を、FFT解
析器により構造物1を実測したものと比較した結果、質
点1〜4については両者の応答はよく一致していた(図
5に質点1についての比較結果を示す)。
【0034】これに対し、質点5は、前記のとおり2次
振動モードを変更2次振動モード(図3及びその説明)
とし、数式的に取り扱い安い疑似振動モードとしたため
に、不一致点が目立つ結果を得た。 3.[動吸振器の状態方程式及び観測方程式] 図4の動吸振器の力学モデルにおいて、質点d3の質点
3に対する相対変位X 6 、及び質点d4の質点4に対す
る相対変位X7 を次のように置き、
【0035】
【数1】 質点i及びdiの変位速度及び位置で表す状態変数ベク
トルを次のように定義する。
【数2】 式中rは動吸振器質量と質点間で相互変位を表す。
【0036】この状態変数ベクトルを用い、従来と同様
の状態方程式を表すと、
【数3】
【0037】が得られる。但し、〔数4〕式中サフィッ
クスCは制御対象振動系を示し、ACは制御対象の係数
行列を、BC は制御量の係数行列を、またUC は図4で
表される5質点モデルに与えられる制御量を表し、AC
及びBC は、以下に示す式によって定義される。前記A
C
【0038】
【数4】 と定義すれば、各項は次のように表される。
【0039】
【数5】
【0040】
【数6】 ここで、
【0041】
【数7】
【0042】
【数8】
【0043】
【数9】
【0044】
【数10】
【0045】
【数11】
【0046】また、他の項については、 A21=I, A22=0 ここでI、0は7×7の単位行列、ゼロ行列をそれぞれ
表す。
【0047】
【数12】 式中KC3は制御力fの力変換係数であり、KC4は制御量
Uの力変換係数である。また、従来と同様に観測方程式
は次のように表される。
【0048】
【数13】
【0049】式中CC は制御対象の係数行列である。即
ちXi( i=1〜7)を観測したければ、CC のi番目
の要素が1で、他の要素をゼロとした行列であり、結果
はyC=Xi 、即ちXi を求めることができる。即ち、
前記〔数3〕式で与えられる状態方程式は、図4で示さ
れる構造物1の5質点系モデルのに、アクチュエータA
から制御量UC が与えられた場合の5質点系の変位速度
ベクトルを表す。
【0050】図7は5質点系モデル8の振動系と〔数
3〕式及び〔数13〕式との関係をブロック図に表したも
のである。図7に示されたブロック図は、1次〜5次の
制御対象振動モード系rについて表したものである。し
かしながら、構造物1の実際の振動は、更に6次から無
限字数のモードを有している。そのために、これらのモ
ードを無視した図7によって、制御径を設計した場合、
無視したモードが不安定振動、いわゆるスピルオーバ不
安定を起こす。
【0051】この問題を解決するために、本実施の態様
で採用した手段をブロック線図で表したのが図8であ
る。図8において、添字rで表したブロック線図が1次
〜5次の制御対象振動モードを、添字nで表したブロッ
ク線図が不可観測対象振動モードを、添字sで表したブ
ロック線図が不可制御対象振動モードを、添字mで表し
たブロック線図が制御対象外の無視した高次振動モード
をそれぞれ表す。
【0052】無視した最小字数の振動モード(本実施の
態様では6次振動モード)を不可制御モードsに選び、
その次の字数の振動モード(本実施の態様では7次振動
モード)を不可観測振動モードに選べば、BonとC
osは、ゼロになり、これらのモードの信号は制御ループ
から遮断され、制御に影響を及ぼさない。しかし、更に
高次の振動モードmは、制御に影響を及ぼすことになる
ので、これをローパスフィルターで遮断することによ
り、完全に無視した高次振動モードのスピルオーバ不安
定を防止できる。
【0053】4.[ローパスフィルターの設計] 前記したとおり、一般に観測スピルオーバよりも制御ス
ピルオーバの方が激しいことを考え、本実施例では、ロ
ーパスフィルターはアクチュエータ側へ入れることに
し、制御量Uf はフィルタを通して出力するものとし
た。即ち、ローパスフィルターの観測量yf を制御量U
f とし、フィルタの状態方程式を〔数14〕式によって表
し、ローパスフィルターの観測方程式を〔数18〕式によ
って表す。
【0054】
【数14】 但し、式中Af,f,f は、それぞれ数15式,数16式,
数17式によって定義される係数行列であり、フィルター
の伝達係数を与えれば、自動的に決まる。
【0055】
【数15】
【0056】
【数16】
【0057】
【数17】
【0058】
【数18】 以上の関係を振動系にローパスフィルターを導入した拡
張系の状態方程式で表すと次のようになる。
【0059】
【数19】
【0060】
【数20】 ここでX、A、B、Cは、それぞれ次の各式によって求
めることができる。
【0061】
【数21】
【0062】
【数22】
【0063】
【数23】
【0064】
【数24】 5.[制御系の設計] このように表された拡張系も次の評価関数を最小にする
制御系設計問題に帰着する。
【0065】
【数25】 これはリカッチ方程式の解Pを解いて、次のような制御
ベクトルUを決定することにより実現される。但し、Q
は拡張系の変数ベクトルに対する重み行列を表し、Rは
制御量の重み行列を表す。
【0066】
【数26】 ここに、Kは状態フィールドバックゲインベクトルであ
り、下記〔数27〕式によって与えられる。
【0067】
【数27】
【0068】以上の〔数3〕式、〔数13〕式、〔数14〕
式、〔数18〕式、〔数19〕式、〔数26〕式、〔数27〕式
の関係をブロック線図によって表すと図8が得られる。
即ち、〔数3〕式によって示される状態方程式、及び
〔数13〕式によって示される観測方程式によって与えら
れる5質点集中定数型モデルの振動は、前記変位検出セ
ンサによって検出される変位Xc と、〔数14〕式の演算
によって得られるXf とを、〔数26〕式、〔数27〕式で
与えられる制振演算式に代入し、得られた制御量Uf
〔数14〕式、〔数18〕式で与えられるローパスフィルタ
ー演算式に代入し、得られた制御量Uf をアクチュエー
タAから質点3,4に与えることにより、振動を制御
(揺れを無くす)ことができる。
【0069】一般的手段として従来のローパスフィルタ
ーを用いたフィードバック系は、抵抗、コンデンサーな
どの電気回路によってローパスフィルターを構成し、フ
ィードバック系に組み入れるものであるが、この場合に
は状態フィードバック係数の算出が難しく、また条件が
変動するたびに新たにローパスフィルター回路を構成す
る必要があり、実際的ではない。
【0070】これに対し、本発明方法は、前記ローパス
フィルターをソフトウエアによって構成し、演算によっ
て制御量を算出するため、振動モデルが得られれば、適
正なローパスフィルターを容易に構築することができ
る。 6.[準最適制御理論の導入]図5に示す力学モデルの場
合、質点5の2次振動モードを図3に示す修正2次振動
モードとしたために、質点5の実際の周波数応答と、計
算から得られる周波数応答との間に図6に示すように乖
離が生じた。したがって本実施例の場合には、質点5に
変位検出センサを取り付けると、ローパスフィルターか
らの出力信号が、質点5の振動を制振するに適したもの
とならず、スピルオーバする可能性がある。
【0071】そこで、本実施例では、構造制約がある場
合の解法として知られる準最適制御理論を適用した請求
項2に記載した手段を適用して実施した。即ち本実施例
では、質点5に取り付ける変位検出センサを取り止め、
質点1,2に取り付けた2個の変位検出センサのみを用
い、準最適制御理論を適用した本発明の前記請求項2に
記載の手段を適用した。
【0072】ところで行列の構造を最小とした解、即ち
最小ノルム解を用いた準最適制御問題は、次のように定
式化される。即ち、測定できない状態量を除いた状態ベ
クトルZを、〔数2〕式で示した状態変数ベクトルを次
式に示す線型変換を行う。
【0073】
【数28】 この状態ベクトルZを準状態フィードバックすると、制
御量Uは次式によって与えられる。
【0074】
【数29】 ここに、Ks は、次のようにして定まる準最適フィード
バックゲインベクトルである。
【0075】
【数30】
【0076】吉田らはこの手法を前記の制御系に含まれ
るフィルタの状態フィードバックの省略に応用している
(前出文献)。これに対し本実施例では、図9に示すロ
ーパスフィルターからの状態フィードバックを完全に行
い、変位検出センサの省略に活用したものである。即
ち、最適制御では、質点1〜5とアクチュエータAの質
点d3,d4を加え、更にアクチュエータAにそれぞれ
2次遅れ系のローパスフィルターが加わるので、状態ベ
クトルXは、18個の状態量によって構成されるが、質
点5のセンサを省略したために、実際に計測できる状態
量は16である。したがって、前記線型変換行列Mは、
次式で与えられる。
【0077】
【数31】 但し、〔数31〕式中の0は8×9のゼロ行列であり、M
s は以下の〔数32〕式に示す行列である。
【0078】
【数32】
【0079】7.[本実施例による制御装置] 図1に示した構造物1に本実施例の制御手段を適用した
場合の制御装置の概要を図10に示す。なお、図において
変位検出センサ(以下単にセンサという)9は、直接構
造物1に取り付けるのではなく、土台2に固定し、観測
点の移動量を検出するようにした。一般的には加速度計
を長大橋主塔に取り付け、加速度から変位及び変位速度
を検出する。
【0080】図10において、既に説明した部材には同じ
符号を付し説明を省略する。制御装置はパソコン10によ
って構成し、センサ9の出力信号をA/D変換器11によ
ってディジタル信号に変換し、パソコン10に与え、また
パソコン10から出力する制御信号は、D/A変換器12に
よってアナログ信号に変換したのち、電力増幅器13を介
してアクチュエータA3,A4に与えるようにした。
【0081】アクチュエータA3,A4は、図11のA,
Bに示す構造のものを使用した。即ち、構造物1に取り
付ける固定部14に取り付けたアルミニウム製ガイド筒15
に駆動コイル16を巻き、断面E状の重錘17(質量mdi:
i=3又は4)の中央のバー17aが前記ガイド筒15に出
没し、両側の腕部17bに永久磁石17cを取り付け、この
重錘17に吊下げ腕17dを取り付け、2枚平行配置した板
バネ18によって、固定部14と一体に形成したブラケット
19に取り付けたものである。
【0082】前記駆動コイル16に電流が流れると、永久
磁石17cに電磁力(吸引力又は反発力)が作用し、図2
のCに示す力学モデルによる制御力fが構造物1に作用
する。 8.[評価] A)以上に述べたローパスフィルター包含LQ制御に準
最適制御の効果を加えた効果をシミュレーション(例え
ばMALLAB Control Tool Bocks を使用)によって検討し
た。シミュレーションを行うに際し、各要素の重み付け
を以下のとおりとした。即ち、拡張系の重み行列Qは、
ローパスフィルターに掛ける重みをゼロとし、質点1〜
4のみ1を掛けた、次のような値として調べた。
【0083】
【数33】
【0084】この重み行列Qは速度項に重みをかけたこ
とに相当する。高次モードを制御するには、変位項に重
みをかけるよりも、速度項の方が好ましいことが分かっ
ているので、ここでは速度項に重みをかけている。ま
た、制御量に掛ける重み行列は、次のとおり2通りの値
によって比較した。
【0085】
【数34】
【0086】
【数35】
【0087】ローパスフィルターは2次遅れのローパス
フィルターとし、カットオフ周波数30ヘルツに定め、
5次振動モードまでの周波数の信号が通過させるように
した。この周波数応答とインパルス応答とを非制御時
(自由振動)と制御時とで比較した結果を、重み行列が
〔数30〕式の場合について図12に、また重み行列が〔数
31〕式の場合について図13にそれぞれ示す。これらの図
からRの重みを小さくするにつれて制御効果が向上して
いることが分かる。
【0088】B)図10に示した制御装置による制御結果 図14に示す周波数応答の結果は、1次から5次までの共
振ピークはそれぞれよく抑制されており、図12のA及び
図13のAに示す結果ともよく一致している。特に、図15
に示すインパルス応答に見る制御効果が、1自由度系の
減衰振動の応答のようになっている。これは、アクチュ
エータの取り付け位置が、構造物1の中央当たりにある
ため、1次モードの振動よりも2次以上の高次モードの
方がより制御されるために、このような結果を得たもの
である。
【0089】周波数応答では100ヘルツまでの測定結
果が示されている。前記のとおりセンサ9を6次モード
の節に取り付けたため、6次振動モードは不可観測であ
り、周波数上には現れていないが、7次、8次モードの
共振ピークが現れている。これらはモデル作成時に無視
したモードであるので、本来ならばスピルオーバが発生
する。しかしながら、本発明方法を適用することにより
ロバスト性が発揮され、太線曲線で示したスピルオーバ
を起こすことなく非制御状態を保っており、本実施例の
制御方法が極めて有効であることを示している。
【0090】なお、前記不可制御及び不可観測とする振
動モードを逆にして実施したり、本実施例に代えて6次
振動モードを不可制御、不可観測として、7次振動モー
ドをローパスフィルターによる制御対象とすることもで
きる。
【0091】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のローパス
フィルターを含む最適制御方法は、最適制御理論に基づ
き振動制御するに際し、不可観測性、不可制御性を導入
した低次元化モデル作成と、無視した振動モードの感度
を低減化するローパスフィルター演算手段を導入し、こ
のローパスフィルター演算手段による演算結果をフィー
ドバックすることにより、高次振動モードの不安定化を
起こすことなく、しかも電子回路によるローパスフィル
ターを設計・制作するなど、ハードウエアの負担を全く
なくして、構造物の制御対象の低次振動モードの制御を
安定して行うことができた。
【0092】また、複雑な構造物は、多くの振動モード
を有し、近接した周波数の振動モードが起こり易く、ま
た構造障害による不可観測性が生じる場合がある。この
ような場合に、前記ローパスフィルターの概念を取り入
れて準最適制御理論を適用したフィードバック制御方法
を用いたローパスフィルターを含む準最適制御方法を適
用することにより、スピルオーバを起こすことなく、振
動制御を行うことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に使用した構造物模型の斜視図
である。
【図2】図1に示す構造物模型の振動モードを斜視図で
表した説明図であり、図2Aのaは1次振動モードを、
bは2次振動モードを、cは3次振動モードを、dは4
次振動モードを、eは5次振動モードを、fは6次振動
モードを、またgは7次振動モードをそれぞれ表し、図
2Bは、前記2次振動モード及び3次振動モードを図1
のX軸方向から見た振動状態を示すものである。
【図3】図3に左側に示す前記2次振動モードを、図2
に示す3次振動モードと区別するために質点5の振動を
変形した2次振動モードとしたことを示す斜視図であ
る。
【図4】図1に示す構造物の5質点力学モデルと、アク
チュエータを取り付けた力学モデル図である。
【図5】図5のAは、図1に示す質点1の周波数応答の
実測結果を示すグラフ図であり、Bは、図4に示す振動
モデルのシミュレーションによる周波数応答を示すグラ
フ図である。
【図6】図6のAは、図1に示す質点5の周波数応答の
実測結果を示すグラフ図であり、Bは、図4に示す振動
モデルのシミュレーションによる周波数応答を示すグラ
フ図である。
【図7】図4に示す力学モデルの状態方程式及び観測方
程式の関係を表したブロック線図である。
【図8】図7に示す制御対象振動モードの状態方程式及
び観測方程式のブロック線図9と、不可観測、不可制御
振動モードの想定状態方程式及び観測方程式のブロック
線図10と、無視した高次振動モードの想定状態方程式及
び観測方程式のブロック線図9とを、制御量及びセンサ
との関係を示したブロック線図である。
【図9】図1の構造模型に適用した前記実施例の振動制
御のフィードバックシステムを示したブロック線図であ
る。
【図10】前記実施例の振動制御装置の全体構成図であ
る。
【図11】図10に示した振動制御装置に使用したアクチュ
エータの説明図であり、図のAは全体構成を示す斜視図
でんあり、Bは要部分解斜視図であり、Cはアクチュエ
ータの力学モデルを示すブロック図である。
【図12】本実施例の力学モデルに対し〔数31〕式による
重み付けを行った際の制御効果のシミュレーション結果
であり、Aは周波数応答の結果を示し、Bは、インパル
ス応答の結果を示したものである。
【図13】本実施例の力学モデルに対し〔数32〕式による
重み付けを行った際の制御効果のシミュレーション結果
であり、Aは周波数応答の結果を示し、Bは、インパル
ス応答の結果を示したものである。
【図14】図10に示す構造物模型に対し〔数32〕式による
重み付けを行った際の周波数応答の結果を、100ヘル
ツまでの周波数について実測した結果を示したものであ
る。
【図15】図10に示す構造物模型に対し〔数32〕式による
重み付けを行った際のインパルス応答について実測した
結果を示したものである。
【符号の説明】
1 構造物 2 土台 3 支柱 3a 支柱 3b 支柱 4 クレーン
塔 5 横桁 6 つなぎ桁 9 センサ(変位検出センサ) 10 パソコン 11 A/D変換器 12 D/A変
換器 13 電力増幅器 14 固定部 15 ガイド筒 16 駆動コイ
ル 17 重錘 17c 永久磁石 18 板バネ A アクチュ
エータ A3 アクチュエータ A4 アクチュ
エータ U 制御量 UC 制御量 Uf 制御量 X 状態ベク
トル Xi 変位(i=1〜5) X6 相対変位 X7 相対変位 Xc 変位 yf 観測量 Z 状態ベク
トル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土井 文夫 横浜市金沢区福浦1丁目7番地2 協和合 金株式会社振動制御研究所内 (72)発明者 井上 浩男 東京都中央区築地5丁目6番4号 三井造 船株式会社内 (72)発明者 大森 龍一郎 東京都中央区築地5丁目6番4号 三井造 船株式会社内 (72)発明者 久谷 益士郎 岡山県玉野市玉3丁目1番1号 三井造船 株式会社玉野事業所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動を制御する対象の構造物に対し、制
    御する振動モードの最高次数を決定し、この制御対象振
    動モードの次数より1大きい次数の振動モードの節に当
    たる部分に、前記最高次数に等しい数の質点を置いた集
    中定数型振動モデルを作成し、前記質点のいずれか1個
    以上の質点に制御装置のアクチュエータを取り付け、こ
    のアクチュエータを加えた力学モデルを作成し、前記質
    点の全てに、質点の変位を検出するセンサを取り付け、
    このセンサの検出信号を制御装置に与えることからな
    り、この制御装置は、前記最高次数より高い次数の振動
    モードに対する感度を低減化するローパスフィルター演
    算手段、及びこのローパスフィルター演算手段の演算結
    果と前記各質点の変位及び速度信号とから制御対象振動
    を制御する制振演算手段を入力したコンピュータからな
    り、得られた制御信号を前記アクチュエータに与えるこ
    とにより、前記センサの検出した信号をフィードバック
    することからなるローパスフィルターを含む最適振動制
    御方法。
  2. 【請求項2】 振動を制御する対象の構造物に対し、制
    御する振動モードの最高次数を決定し、この制御対象振
    動モードの次数より1大きい次数の振動モードの節に当
    たる部分に、前記最高次数に等しい数の質点を置いた集
    中定数型振動モデルを作成し、前記質点のいずれか1個
    以上の質点に制御装置のアクチュエータを取り付け、こ
    のアクチュエータを加えた力学モデルを作成し、前記制
    御対象振動モードの次数より大きい次数の振動モードの
    節に当たる部分に、構造物の変位を検出するセンサを取
    り付け、このセンサの検出信号を制御装置に与えること
    からなり、この制御装置は、前記最高次数より高い次数
    の振動モードに対する感度を低減化するローパスフィル
    ター演算手段、及びこのローパスフィルター演算手段の
    演算結果と前記各質点の変位及び速度信号とから制御対
    象振動を制御する制振演算手段を入力したコンピュータ
    からなり、得られた制御信号を前記アクチュエータに与
    えることにより、前記センサの検出した信号をフィード
    バックすることからなるローパスフィルターを含む最適
    振動制御方法。
  3. 【請求項3】 前記ローパスフィルター演算手段の変数
    に、前記制振演算手段によって得られた値を用いる請求
    項1又は2記載のローパスフィルターを含む最適振動制
    御方法。
  4. 【請求項4】 前記質点集中型振動モデルの各質点に取
    り付ける前記センサを少なくとも1つ減らし、この測定
    できない状態量を除いた状態ベクトルを、質点集中型振
    動モデルの全質点の状態ベクトルから線型変換し、得ら
    れた状態ベクトルを用いた準最適制御理論を適用して得
    られる制御量を前記アクチュエータに与える請求項1、
    2又は3記載のローパスフィルターを含む準最適振動制
    御方法。
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