JPH0917648A - 静止誘導電器 - Google Patents

静止誘導電器

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JPH0917648A
JPH0917648A JP16330095A JP16330095A JPH0917648A JP H0917648 A JPH0917648 A JP H0917648A JP 16330095 A JP16330095 A JP 16330095A JP 16330095 A JP16330095 A JP 16330095A JP H0917648 A JPH0917648 A JP H0917648A
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JP
Japan
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insulator
gas
conductor
disk
coil
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JP16330095A
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English (en)
Inventor
Takashi Iga
尚 伊賀
Takashi Shirane
隆志 白根
Kaoru Endo
馨 遠藤
Hiroyuki Fujita
裕幸 藤田
Yoshihiro Nagao
吉広 長尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は静止誘導電器のコイル間で、発熱体で
ある導体に囲まれ冷却媒体が滞留するくさび状空隙の冷
却媒体の流れを改善して、コイル間の絶縁耐力を向上さ
せることを目的とする。 【構成】本発明では、円板コイル内で隣接する導体11
7と水平絶縁物間隔片121で囲まれるくさび状空隙に
隣接し、少なくとも前記水平絶縁物間隔片121の両端
面で開放された流体通路が形成されるように、円板コイ
ルの円周方向とほぼ平行な溝136を設けた溝付き水平
絶縁物間隔片137を用いた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は静止誘導電器に係り、特
に不燃性の大容量静止誘導電器巻線のコイル間冷却及び
絶縁構造を改良した静止誘導電器に関する。
【0002】
【従来の技術】都市部においてビルの地下等に建設され
る地下変電所では、設備の防災性,安全性が特に重要視
されることから、油入変圧器に代わって不燃性のガス絶
縁変圧器やパーフロロカーボン(PFC)液等の不燃性
液体を用いた不燃性変圧器、または難燃性のモールド変
圧器の設置が増加する傾向にある。これらの不燃性変圧
器や難燃性変圧器は、電圧階級や容量階級に応じて使い
分けられているが、現在は、容量的には数十MVA以下
程度の小・中容量器がほとんどである。
【0003】ガス絶縁変圧器においても、絶縁及び冷却
媒体である六フッ化硫黄(SF6)ガスの絶縁及び冷却性
能が変圧器油に比べて大きく劣ることから、容量階級と
しては数MVAから数十MVA程度までの小・中容量器
の製作にとどまっていた。一般に、このような小・中容
量のガス絶縁変圧器では、SF6 ガスを0.2MPa程
度に加圧してタンクに封入している。これは、運転中の
温度上昇により本体タンク内のガス圧が増加しても、第
2種圧力容器の規制を受けないように設定されているも
のである。また、PFC液を用いた変圧器では高電圧・
大容量化は可能であるが、高価なPFC液の使用量を低
減するために、SF6 ガスを併用した液冷却式ガス絶縁
変圧器も実用化されている。これらは、275kV地下
変電所への設置を目的に開発されたものである。
【0004】ところで、液体または気体を絶縁及び冷却
媒体とする変圧器内部の絶縁構造においては、一般に、
固体絶縁物の接触部に形成されるくさび状の空隙が絶縁
上の弱点となることは良く知られている。これは、くさ
び状の空隙では、固体絶縁物に比べて比誘電率の小さい
液体または気体に電界が集中するためである。特に、S
6 ガスを絶縁及び冷却媒体とするガス絶縁変圧器の場
合には、SF6 ガスの比誘電率が1であるため、固体絶
縁物の比誘電率(約3)との比が大きく、この問題が顕
著になる。
【0005】静止誘導電器における一般の絶縁上の問題
であるくさび状空隙部分での電界集中を緩和して絶縁耐
力を向上させる方法として、絶縁物の一部を弾性体で構
成してくさびを埋め込む方法,絶縁物の間に比誘電率が
小さい材料を介在させる方法、等が従来から知られてい
る。また、ガス絶縁変圧器では、巻線の端部シールドを
固定する支持絶縁物に切欠きを設けて、端部シールドと
支持絶縁物の接触部にガスくさびを形成しない構造にす
ることにより、巻線端部の絶縁耐力を向上させることが
特開昭59−222913号公報に開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年の都市部における
電力需要の増大に伴い、設備の不燃化が要求される地下
変電所において、SF6 ガスを絶縁及び冷却媒体とする
ガス絶縁静止誘導電器で275kV、あるいは500k
V級の超高圧大容量器に対する要求が高まっている。S
6 ガスは変圧器油等に比べて冷却能力と絶縁耐力が低
いために、超高圧大容量器では、従来の小・中容量より
封入ガス圧を上げて冷却性能と絶縁耐力を向上させる必
要がある。SF6 ガスの絶縁耐力は、ガス圧を0.5M
Pa 程度に上げれば平等電界では変圧器油とほぼ同等
になるが、固体絶縁物が接する部分に形成されるガスく
さびが絶縁上の弱点であることはかわらない。
【0007】これに対して、上述のように、巻線端部で
は端部シールドを支持する絶縁物に切欠きを設けて、端
部シールドと支持絶縁物の接触部においてガスくさびを
形成しない構造にすることにより、巻線端部と接地電位
の鉄心やタンクとの間の絶縁距離を縮小することが可能
であった。
【0008】ところで、大容量のガス絶縁静止誘導電器
を実現するためには、巻線導体の電流密度を従来の小・
中容量器に比べて高くする必要があるため、巻線の発熱
が増加することは避けられない。従って、巻線の導体被
覆材や絶縁物の間隔片も従来の小・中容量器に用いられ
たものより耐熱性の高い材料を適用し、B種またはF種
絶縁となる。発明者らは、高耐熱材料を用いた巻線モデ
ルの絶縁性能を検証するために、高温のSF6 ガスを循
環させると共に巻線に通電して加熱することにより実器
の運転状態での絶縁性能を模擬する実規模巻線モデルを
製作し、絶縁試験を行ったところ、以下のような問題点
があることが判明した。
【0009】試験に用いた供試モデルの巻線は、プラス
チックフィルムで被覆した導体を巻回した円板コイルを
構成し、この円板コイルの円周方向に複数個の絶縁物間
隔片を挟んで、円板コイルを複数積層した円板巻線であ
る。また、所定の間隔でガス案内版を挿入することによ
り、円板巻線下部から上部に向かって冷却及び絶縁媒体
であるSF6 ガスがジグザグ状に流れる構成とした。こ
の供試モデルを用いて、実器の運転状態を模擬するよう
に、加熱したSF6 ガスを高速で循環させ、さらに巻線
に通電して巻線温度を高めた状態で絶縁試験を行ったと
ころ、常温のSF6 ガス中で巻線の加熱を行わない場合
に比べて供試モデルの絶縁耐力が低下するという現象が
見られた。
【0010】本発明者らは、種々の条件で実験を行い、
この現象を解析した結果、発熱体である円板コイルの導
体と絶縁物間隔片の間に形成される微小なガスくさび部
分でSF6 ガスが滞留し、局所的に加熱されているため
にその密度が低下し、絶縁耐力が低下したものと推定し
た。すなわち、従来は発熱体である導体と絶縁物によっ
て囲まれる微小なくさび状空隙における、冷却媒体であ
るSF6 ガスの滞留と、それによる微小なガスくさびで
のガスの局所的加熱によるガス圧の低下、さらにはガス
圧の低下による絶縁耐力の低下について十分考慮されて
いなかった。
【0011】また、PFC液を絶縁媒体とする静止誘導
電器においても、同様のくさび状空隙内で絶縁及び冷却
媒体であるPFC液が局所的に加熱されると、PFC液
は変圧器油に比べて沸点が低いために発泡が起こり、絶
縁耐力が低下するという危険性があった。
【0012】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あって、不燃性のSF6 ガスまたはPFC液を絶縁及び
冷却媒体とする大容量静止誘導電器のコイル間で、発熱
体である導体に囲まれ、かつ冷却媒体であるSF6 ガス
またはPFC液が滞留するくさび状空隙のガスまたは液
体の流れを改善してコイル間の絶縁耐力を向上させるこ
とにより、巻線の占積率が高い小型の大容量静止誘導電
器を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、絶縁物で被覆された導体を同心状に巻回してなる円
板コイル間に、該円板コイルの円周方向に複数個の絶縁
物間隔片を挟んで、該円板コイルを軸方向に複数積層し
てなる円板巻線を、鉄心の脚に挿入し、絶縁及び冷却媒
体である気体または液体と共にタンク内に収納した静止
誘導電器において、前記円板コイル内で隣接する前記導
体と、前記絶縁物間隔片とで形成される流体くさびと連
通し、かつ少なくとも前記絶縁物間隔片の両端面で開放
された流体通路を設けたものである。
【0014】
【作用】前記流体くさびと連通し、前記絶縁物間隔片の
両端面で開放されるように設けた流体通路は、発熱体で
ある導体に囲まれ冷却及び絶縁媒体である流体が滞留す
る前記流体くさび内における、流体の流れを改善するよ
うに作用する。その結果、前記流体くさび内での流体の
局所的な温度上昇による密度の低下、または発泡が抑制
され、絶縁耐力を低下させることがない。そのため、静
止誘導電器のコイル間絶縁耐力が向上するので、巻線占
積率を高めた小形の大容量静止誘導電器を提供すること
ができる。
【0015】特に、絶縁及び冷却媒体がSF6 ガスの場
合には、上記手段がより良く作用する。
【0016】
【実施例】以下、本発明の一実施例をガス絶縁変圧器に
適用した場合を例にとり図面を参照しながら説明する。
【0017】図1は本発明のガス絶縁変圧器の概略構造
図である。同図において、101は鉄心、102は巻線
であり、これらは、絶縁及び冷却媒体である六フッ化硫
黄(SF6)ガス103を封入したタンク104に収納さ
れている。タンク104はブロワ105及び冷却器10
6に連通している。107は絶縁物の仕切板であり、ブ
ロワ105によってタンク104に下部から導入された
SF6 ガス103を、鉄心101及び巻線102内の図
示しないガス流路に導くために設置されている。鉄心1
01及び巻線102内の図示しないガス流路を通過して
これらを冷却したSF6 ガス103は、冷却器106で
冷却された後、再びタンク103の下部に導入される。
【0018】図2は、図1のガス絶縁変圧器における巻
線102の結線を示す模式図である。同図において、1
08は鉄心脚であり、低圧巻線109及び高圧巻線11
0が同心状に巻回されている。ここで、111は低圧巻
線109の低圧端子であり、112は高圧巻線110の
線路端である。高圧巻線110は、下部高圧巻線110aと
上部高圧巻線110bが並列に接続されており、他端は
接続線113により中性点端子114に接続されてい
る。
【0019】図3は、図2の高圧巻線110の構造を示
す断面図であり、巻線軸方向に垂直な一断面を示してい
る。同図において、115は所定の軸方向長さを有する
内側絶縁筒、116は内側絶縁筒とほぼ等しい長さを有
し、その円周方向に複数配置された内側垂直間隔片であ
る。内側絶縁物間隔片116の外周に、絶縁物で被覆さ
れた導体117が同心状に所定の回数巻回され、円板コ
イル118が形成される。円板コイル118の外周に
は、内側垂直絶縁物間隔片116に対応する位置に外側
垂直絶縁物間隔片119が配置され、さらにその外周に
は外側絶縁筒120が配置されている。ここで、円板コイ
ル118の円周上で内側及び外側垂直絶縁物間隔片11
6及び119によって保持される位置に、水平絶縁物間
隔片121を挟んで円板コイル118を軸方向に複数積
層することにより、円板巻線が構成されている。円板コ
イル118と内側絶縁筒115及び外側絶縁筒120の
間の空間122及び123は、それぞれ内側垂直ガス流
路及び外側垂直ガス流路となっている。
【0020】図4は、図3のI−I断面の一部を示した
ものであり、巻線軸方向の一断面図である。同図におい
て図3と同一の部分には同じ参照番号を付し、説明は省
略する。図4では、積層した円板コイル118の間に図
示しない水平絶縁物間隔片を挟むことによって、水平ガ
ス流路124が形成されており、円板コイル118の半
径方向に冷媒であるSF6 ガスが流れて円板コイル11
8を冷却する。ここで、軸方向に積層された円板コイル
118の間には、所定の間隔で折流板125が挿入され
ており、SF6 ガスは内側垂直ガス流路122,水平ガ
ス流路124,外側垂直ガス流路123をジグザグ状
に、巻線の下部から上部に流れるようになっている。
【0021】本発明者らは、以上説明したようなガス絶
縁変圧器の運転状態を模擬した場合の絶縁耐力を調べる
ことを目的として、模擬鉄心脚に図3及び図4に示した
構造の円板巻線を挿入して雷インパルス試験を行った結
果、次のような問題点が明らかになった。
【0022】図5は、試験に用いた巻線モデルの軸方向
断面の一部を示しており、図3のII−II断面に相当す
る。同図において、図3または図4と同一の構成要素に
は同じ参照番号を付した。この実験では、9本の平角線
を縒り合わせた銅線126にポリフェニレンサルファイ
ド(PPS)フィルムを巻回した被覆絶縁層127を有
する転移電線を導体117として用いた。ここで、導体
の高さ及び幅はそれぞれ約15mm及び11mmとし、被覆
厚さは約0.6mm とした。内側絶縁筒115の円周方向
に所定の間隔で配置した内側垂直絶縁物間隔片116に
同心状に4回巻回して円板コイルを形成し、厚さ1.5m
m の垂直絶縁物間隔片121を3枚重ねて、円板コイル
間の距離が約4.5mm となるように積層した。
【0023】このように構成した巻線モデルを試験タン
クに収納し、加熱したSF6 ガスを循環させると共に導
体に通電して導体表面が所定の温度になるように加熱し
た後、巻線の一端に標準雷インパルス電圧を印加した。
その結果、この条件では、SF6 ガスと巻線モデルを常
温としてSF6 ガスを静止させた状態での破壊電圧に比
べて、絶縁破壊電圧が低下する現象が見られた。発明者
らは種々の条件で実験を行い、このように運転状態を模
擬した場合に絶縁破壊電圧が低下する原因を以下のよう
に推定するに至った。
【0024】図5に断面を示したモデルでは、隣接する
導体117と水平絶縁物間隔片121で囲まれる部分はく
さび状の空隙128となっている。この部分を拡大した
ものが図6に示した斜視図である。ここで、導体117
の角部の曲率半径は約1.5mmであり、水平絶縁物間隔
片121の両端面間の幅Wは約50mmであるので、隣接
する導体117と水平絶縁物間隔片121とで囲まれる
空隙128はその幅に対して奥行きの比が非常に大きい
形状である。この空隙128には、隣接する導体117
間にターン間くさび129が存在し、導体117と水平
絶縁物間隔片121間にはコイル間くさび130が存在
する。このようなガスくさびは、ガスの比誘電率が固体
絶縁物に比べて小さいために微小なギャップに電界が集
中する。そのため、SF6 ガスが常温であっても絶縁破
壊の弱点になっているが、変圧器の運転状態を模擬した
場合には、このようなガスくさびの絶縁がさらに厳しく
なる。すなわち、運転状態を模擬すると、高温のSF6
ガスが流速数メートル毎秒で水平絶縁物間隔片121の
両端面に沿って流れているだけでなく、導体117が発熱
するために絶縁被覆層127表面はSF6 ガスより高温
となっている。このような条件では、導体117と水平
絶縁物間隔片121で囲まれる空隙128のターン間く
さび129及びコイル間くさび130ではSF6 ガス密
度が低下して滞留する。さらに、滞留したSF6 ガスは
局所的に加熱されるためにさらに密度が低下する。その
結果、運転状態を模擬した状態では微小なガスくさびの
絶縁耐力が低下したものと推定される。
【0025】本発明は上記知見に基づきなされたもので
あって、隣接する導体と水平絶縁物間隔片に囲まれる空
隙に形成されるガスくさびと連通し、かつ前記絶縁物間
隔片の少なくとも両端面で開放されたガス通路を設ける
ことによって前記ガスくさび部のガスの流通を改善し、
局所的な温度上昇と圧力低下によるガス密度低下を抑制
するものである。
【0026】以下、本発明を275kV300MVA級
のガス絶縁変圧器に適用した実施例を図面を参照しなが
ら説明する。
【0027】図7は、本発明のガス絶縁変圧器の高圧巻
線の結線を示す模式図であって、図2の下部高圧巻線1
10aの線路端112側の一部を示している。本実施例
では、高圧巻線は円板コイルの導体間の一部にシールド
導体を巻き込んだ連続円板巻線(以下CCシールド巻
線、CCはCondenser Couplingの略)である。CCシー
ルド巻線は、図6に示した転移電線を図7中の番号に従
って巻き上げて形成した円板コイルを積層して構成し
た。図7では、線路端112に並列接続される下部高圧
巻線110aの円板コイルA1からA6、及び上部高圧
巻線110bの円板コイルA1′のみ示した。CCシー
ルド巻線では、線路端側の円板コイルの外周側に、薄い
平角銅線に導体と同じくPPSフィルムで被覆されたシ
ールド導体131から135が3ターン巻き込まれてい
る。シールド導体132は線路端112に接続されてい
るが、他はフローティング電位となっている。フローテ
ィング電位のシールド導体は4個離れた円板コイル間で
接続されており(4C結線)、円板コイルA1に巻き込ま
れたシールド導体131の一端は、円板コイルA4に巻
き込まれている。このように結線することにより、線路
端112から雷サージのような異常電圧が侵入した場合
の電位振動が抑制されている。図7のCCシールド巻線
では、線路端112から雷インパルス電圧を印加した場
合、電位振動によって円板コイル間で最大の電圧が発生
するのは、円板コイルA2とA3、同じくA4とA5に
巻き込まれたシールド導体間である。例えば、線路端1
12から雷インパルス電圧を印加して、節点n0とn1
1とn2、及びn2とn3の間に電圧Vが発生したとする
と、その幾何学的配置から、シールド導体間には図7に
示したように電圧V,2Vが交互に発生する。この時、
導体間の発生電圧がVを超えることはない。従って、円
板コイル間の絶縁では、円板コイルA2とA3、同じく
A4とA5のように決まった部位でほぼ上下に対向する
シールド導体間が最も厳しくなる。これは同時に、これ
らの部位の絶縁強度を確保すれば他の部位の絶縁強度は
十分であり、合理的な絶縁設計として巻線占積率を向上
させることができる。これは、次のようなコイル間絶縁
構造をとることにより実現される。図8は、図7の結線
を採用したCCシールド巻線の軸方向断面の一部を示し
たものであり、図7と同一の構成要素には同じ参照番号
を付した。同図において、線路端112から雷サージが
侵入したときに円板コイル間で最大の電圧が発生する部
位、すなわち、円板コイルA2とA3、及びA4とA5
の対向するシールド導体131と132、及び131と
133の間には、円板コイルの円周方向にほぼ平行であ
ってくさび状の空隙128と連通したガス通路となる溝
136を設けた溝付き水平絶縁物間隔片137が置かれ
ている。121は溝のない水平絶縁物間隔片であり、こ
れらは同じ1.5mm 厚さのものを用いた。
【0028】本実施例では、溝136の深さは0.8mm
とした。図9は図8のIII−III断面図であり、同一の構
成要素には同じ参照番号を付した。導体9から16、及
びシールド導体131は湾曲しているが、高圧巻線では
曲率半径が1500mm程度と大きいことと、溝付き水平
絶縁物間隔片136の幅が約50mmと小さいことから、
溝136は直線とすることができる。また、ガス通路と
なる溝136は溝付き水平絶縁物間隔片137の両端面
で開放されている。
【0029】図10は図8の溝136を含む一部分を拡
大した斜視図である。本実施例では、シールド導体13
1と導体14,15及び水平絶縁物間隔片で囲まれるく
さび状の空隙128と連通し、水平絶縁物間隔片の両端
面で開放されたガス通路となるように溝136を設けた
ので、この部分でのSF6 ガスの流通が改善される。そ
の結果、運転状態でも、くさび状の空隙128にガスが
滞留して局所的に加熱されて密度が低下する恐れがなく
なる。従って、運転状態での絶縁信頼性が向上する。
【0030】また、本実施例では、巻線の結線によって
決まる絶縁上の最弱点の絶縁強度を向上させることがで
きるので、合理的な絶縁設計が可能となり、巻線の占積
率を向上させることができる。従って、大容量のガス絶
縁変圧器を小形軽量化できるという効果がある。
【0031】なお、溝付き水平絶縁物間隔片137の溝
136の幅Tは、概ね隣接する導体の絶縁被覆厚さの和
t以上であることが望ましい。図10の場合には、シー
ルド導体131と導体14の絶縁被覆厚さの和以上の幅
を有する溝と、シールド導体131と導体15の絶縁被
覆厚さの和以上の幅を有する溝がほとんど接するので、
単一の溝136とした。また、シールド導体131は導
体14と15によって締め付けられているが、巻線の振
動等によってシールド導体の位置ずれが懸念される場合
には、シールド導体131及び隣接する導体14または
15をまとめて円周上の数個所でプラスチックフィルム
等を用いて被覆すれば位置ずれの防止はより確実とな
る。
【0032】また、図11は本実施例で用いた溝付き水
平絶縁物間隔片137の斜視図である。これは、2枚の
プレスボード等を張り合わせて製作することができる。
例えば、全体の厚さ1.6mm で深さ0.8mm の溝を形成
する場合には、2枚の厚さ0.8mm のプレスボードを所
定の幅の溝が形成されるように張り合わせた後に切り出
して製作することができる。水平絶縁物間隔片は図11
に示した形状のものに限らず、図12のようなUダクト
を使用しても良い。これは、折り癖を付けたU字状プレ
スボード138の一方に、溝の深さに対応した厚さの矩
形のプレスボード片139a,139bを張付けて溝1
36を形成することもできる。この場合、U字状プレス
ボード138の他の面には、溝のない矩形のプレスボー
ド140を張付ける。
【0033】なお、水平絶縁物間隔片が配置される円周
方向の位置によって溝136を形成する位置が異なるの
で、溝位置が異なる数種類の水平絶縁物間隔片を製作し
ておく必要がある。しかし、溝付き絶縁物間隔片137
を使用する部位は限定されているので、これを製作する
コストと巻線組立て時の作業時間の増加はほとんど問題
とならない。また、本実施例では、運転状態でのくさび
状空隙の電界を低減するために、水平絶縁物間隔片とし
て機械的強度が不十分でかつ高価な低誘電率材料を使用
する必要がないので、水平絶縁物間隔片の圧縮強度の信
頼性が低下することがなく材料コストも増加しないとい
う利点がある。
【0034】次に、図13及び図14を用いて本発明の
別の実施例を説明する。本実施例は、第1の実施例のC
Cシールド巻線の代わりに、インターリーブ巻線に適用
したものである。図13は、インターリーブ巻線の結線
の一例を示したもので、CCシールド巻線の結線を示す
図7に対応している。インターリーブ巻線では、線路端
112から雷サージ等が侵入して電位振動が発生して図
中の端子間に電圧Vが発生した場合、円板コイル間で巻
回数差が最大となる部位で1.5V の電圧が発生する。
図13の結線では、円板コイルB1とB2、及びB3と
B4の内径側で最大1.5V の電位差が発生し、その近
傍でも他の部位より高い電圧が発生する。従って、運転
状態では、この近傍で隣接する導体と水平絶縁物間隔片
に囲まれるくさび状空隙が絶縁上の最弱点となる。
【0035】図14は図13の結線のインターリーブ巻
線の軸方向断面の位置部を示したものであり、図13と
同一の部分には同じ参照番号を付した。本実施例におい
ても、円板コイル間で最大の電圧が発生して絶縁上の最
弱点となる部位に、円板コイルの円周方向とほぼ平行な
溝136を有する溝付き絶縁物間隔片137を適用し
た。この場合も、隣接する導体と水平絶縁物間隔片で囲
まれるくさび状空隙と連通し、少なくとも水平絶縁物間
隔片の両端面で開放されたガス通路を設けたので、第1
の実施例と同じ効果がある。
【0036】また、上記実施例では絶縁及び冷却媒体と
してSF6 ガスを用いた変圧器について説明したが、本
発明はパーフロロカーボン(PFC)液のような沸点の
低い液体を絶縁及び冷却媒体とする変圧器にも適用でき
る。このような変圧器の構造は上述の実施例とほぼ同一
である。従って、円板コイルの隣接する導体と水平絶縁
物間隔片で囲まれるくさび状空隙で絶縁及び冷却媒体で
あるPFC液が局所的に加熱される危険性がある。一般
にPFC液沸点は変圧器油と比較して低いために、局所
的に発泡すると絶縁耐力が低下するが、本発明によれば
上記くさび状空隙のPFC液の流通が改善されるので、
上記実施例と同様の効果がある。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
発熱体である導体に囲まれ冷却及び絶縁媒体であるSF
6 ガスまたはPFC液のような流体が滞留する流体くさ
び部において、流体くさびと連通し、絶縁物間隔片の両
端面で開放された流体通路を設けることにより、流体の
流れが改善される。その結果、流体くさび部における流
体の滞留と局所的加熱による密度低下あるいは発泡が抑
制されるので、絶縁耐力が低下することがない。従っ
て、コイル間絶縁距離を低減することが可能となり、巻
線占積率を高めた小型の大容量静止誘導電器を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静止誘導電器の一実施例を示す概略構
成図である。
【図2】本発明の一実施例に採用される巻線の結線図で
ある。
【図3】本発明の一実施例に採用される円板巻線の絶縁
及び冷却構造を示す横断面図である。
【図4】本発明の一実施例に採用される円板巻線の絶縁
及び冷却構造を示す縦断面図である。
【図5】従来の円板巻線の構造を示す縦断面図である。
【図6】従来の円板巻線の隣接する導体,水平絶縁物間
隔片、及びそれらに囲まれるくさび状空隙を示す斜視図
である。
【図7】本発明の一実施例に採用される高圧巻線の線路
端側の結線図である。
【図8】本発明の一実施例に採用される高圧巻線の絶縁
及び冷却構造を示す縦断面図である。
【図9】本発明の一実施例に採用される高圧巻線の絶縁
及び冷却構造を示す横断面図である。
【図10】本発明の一実施例に採用される円板巻線の隣
接する導体,水平絶縁物間隔片、及びそれらに囲まれた
くさび状空隙と連通したガス通路を示す斜視図である。
【図11】本発明の一実施例に採用される水平絶縁物間
隔片の構造を示す斜視図である。
【図12】本発明の一実施例に採用される別の水平絶縁
物間隔片の構造を示す斜視図である。
【図13】本発明の他の実施例に採用される高圧巻線の
線路端側の結線図である。
【図14】本発明の他の実施例に採用される高圧巻線の
絶縁及び冷却構造を示す横断面図である。
【符号の説明】
1〜48…導体、112…線路端、115…内側絶縁
筒、116…内側垂直絶縁物間隔片、119…外側垂直
絶縁物間隔片、120…外側絶縁筒、121…水平絶縁
物間隔片、128…くさび状空隙、131〜133…シ
ールド導体、136…溝、137…溝付き水平絶縁物間隔
片。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 裕幸 茨城県日立市国分町一丁目1番1号 株式 会社日立製作所国分工場内 (72)発明者 長尾 吉広 茨城県日立市国分町一丁目1番1号 株式 会社日立製作所国分工場内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁物で被覆された導体を同心状に巻回し
    てなる円板コイル間に、該円板コイルの円周方向に複数
    個の絶縁物間隔片を挟んで、該円板コイルを軸方向に複
    数積層してなる円板巻線を、鉄心の脚に挿入し、絶縁及
    び冷却媒体である気体または液体と共にタンク内に収納
    した静止誘導電器において、 前記円板コイル内で隣接する前記導体と、前記絶縁物間
    隔片とで形成される流体くさびと連通し、かつ、少なく
    とも前記絶縁物間隔片の両端面で開放された流体通路を
    設けたことを特徴とする静止誘導電器。
  2. 【請求項2】絶縁物で被覆された導体を同心状に巻回し
    てなる円板コイル間に、該円板コイルの円周方向に複数
    個の絶縁物間隔片を挟んで、該円板コイルを軸方向に複
    数積層してなる円板巻線を、鉄心の脚に挿入し、絶縁及
    び冷却媒体である気体または液体と共にタンク内に収納
    した静止誘導電器において、 前記円板コイルの導体間の一部には絶縁物で被覆された
    シールド導体が巻き込まれており、該シールド導体,該
    シールド導体と隣接する前記導体、及び前記絶縁物間隔
    片とで形成される流体くさびと連通し、かつ、少なくと
    も前記絶縁物間隔片の両端面で開放された流体通路を設
    けたことを特徴とする静止誘導電器。
  3. 【請求項3】絶縁物で被覆された導体を同心状に巻回し
    てなる円板コイル間に、該円板コイルの円周方向に複数
    個の絶縁物間隔片を挟んで、該円板コイルを軸方向に複
    数積層してなる円板巻線を、鉄心の脚に挿入し、絶縁及
    び冷却媒体である気体または液体と共にタンク内に収納
    した静止誘導電器において、 前記絶縁物間隔片を隔てて上下に配置される前記円板コ
    イル間で少なくとも最大の電位差が発生する一対の前記
    導体,該一対の導体の各々と隣接する前記導体、及び前
    記絶縁物間隔片とで形成される流体くさびと連通し、か
    つ、少なくとも前記絶縁物間隔片の両端面で開放された
    流体通路を設けたことを特徴とする静止誘導電器。
  4. 【請求項4】絶縁物で被覆された導体を同心状に巻回し
    てなる円板コイル間に、該円板コイルの円周方向に複数
    個の絶縁物間隔片を挟んで、該円板コイルを軸方向に複
    数積層してなる円板巻線を、鉄心の脚に挿入し、絶縁及
    び冷却媒体である気体または液体と共にタンク内に収納
    した静止誘導電器において、 前記円板コイルの導体間の一部には絶縁物で被覆された
    シールド導体が巻き込まれており、前記絶縁物間隔片を
    隔てて上下に配置される前記円板コイル間で少なくとも
    最大の電位差が発生する一対の前記シールド導体,該一
    対のシールド導体の各々と隣接する前記導体、及び前記
    絶縁物間隔片とで形成される流体くさびと連通し、か
    つ、少なくとも前記絶縁物間隔片の両端面で開放された
    流体通路を設けたことを特徴とする静止誘導電器。
  5. 【請求項5】絶縁物で被覆された導体を同心状に巻回し
    てなる円板コイル間に、該円板コイルの円周方向に複数
    個の絶縁物間隔片を挟んで、該円板コイルを軸方向に複
    数積層してなる円板巻線を、鉄心の脚に挿入し、絶縁及
    び冷却媒体である気体または液体と共にタンク内に収納
    した静止誘導電器において、 前記円板コイルの外周側の前記導体間の一部には絶縁物
    で被覆されたシールド導体が巻き込まれており、前記シ
    ールド導体と接する部位で、前記絶縁物間隔片に、前記
    円板コイルの円周方向とほぼ平行であって、かつ、両端
    面で開放された流体通路を設け、該流体通路は前記シー
    ルド導体,該シールド導体と隣接する導体、及び前記絶
    縁物間隔片とで形成される流体くさびと連通しているこ
    とを特徴とする静止誘導電器。
  6. 【請求項6】請求項1から5のいずれかに記載の静止誘
    導電器において、前記流体通路は、前記絶縁物間隔片
    に、前記円板コイルの円周方向にほぼ平行な溝部を設け
    て構成したことを特徴とする静止誘導電器。
  7. 【請求項7】請求項1、または3に記載の静止誘導電器
    において、前記流体通路の幅は、隣接する前記導体の絶
    縁被覆厚さの和より大きいことを特徴とする静止誘導電
    器。
  8. 【請求項8】請求項2,4、または5項に記載の静止誘
    導電器において、前記流体通路の幅は、前記導体の絶縁
    被覆厚さと前記シールド導体の絶縁被覆厚さの和より大
    きいことを特徴とする静止誘導電器。
  9. 【請求項9】請求項1から5のいずれかに記載の静止誘
    導電器において、前記気体は六フッ化硫黄ガスであるこ
    とを特徴とする静止誘導電器。
  10. 【請求項10】請求項1から5のいずれかに記載の静止
    誘導電器において、前記液体はパーフロロカーボン液で
    あることを特徴とする静止誘導電器。
JP16330095A 1995-06-29 1995-06-29 静止誘導電器 Pending JPH0917648A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103515054A (zh) * 2013-10-18 2014-01-15 安徽华正电气有限公司 大气道散热式干式空心电抗器
JP2014007298A (ja) * 2012-06-25 2014-01-16 Toshiba Corp 油入静止誘導電器

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014007298A (ja) * 2012-06-25 2014-01-16 Toshiba Corp 油入静止誘導電器
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