JPH09165231A - 反射防止膜 - Google Patents

反射防止膜

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JPH09165231A
JPH09165231A JP7330498A JP33049895A JPH09165231A JP H09165231 A JPH09165231 A JP H09165231A JP 7330498 A JP7330498 A JP 7330498A JP 33049895 A JP33049895 A JP 33049895A JP H09165231 A JPH09165231 A JP H09165231A
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JP
Japan
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layer
antireflection film
wavelength
refractive index
film according
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JP7330498A
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English (en)
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Ritsupii Baretsuto
リッピー バレット
Hiroichi Ishikawa
博一 石川
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication of JPH09165231A publication Critical patent/JPH09165231A/ja
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/34Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions
    • C03C17/3411Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials
    • C03C17/3429Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials at least one of the coatings being a non-oxide coating
    • C03C17/3435Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials at least one of the coatings being a non-oxide coating comprising a nitride, oxynitride, boronitride or carbonitride

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電性が高く、広い周波数帯域においても反
射防止率が高い反射防止膜を提供する。 【解決手段】 支持層11に被着される反射防止膜にお
いて、支持層11に近い方から第1の層1と第2の層2
の2つの隣り合う層から構成され、第1の層1は光を吸
収する材料から成り、第2の層2は例えばSiO2 から
成るとともに、任意に選出した2つの波長の短波長側を
波長λv 、長波長側を波長λr とし、第1の層1の波長
λv における屈折率をnv 、消衰係数をkv とし、上記
波長λr での屈折率を屈折率nr 、消衰係数をkr
し、λr /λv をrとするとき、nr及びkr は、nrc
−1<nr <nrc+1あるいはkrc−1<kr <krc
1を満たす。但し、nrc及びkrcは、nrc=f(nv,kv,r)あ
るいはkrc=g(nv,kv,r)の関係を近似して得られる値であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、支持層に被着さ
れ、静電気や電磁波等の反射を防止する反射防止膜に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、反射防止膜は、例えば空気とガラ
スとの光学的境界面における屈折率を減少させることが
好ましかったり、また、その必要がある光学や電気光学
の分野で広く使われている。これらの応用分野として
は、カメラのレンズ、コピー機械のプラテン(原稿
台)、機器用のカバーガラス、陰極線管いわゆるCRT
(cathode-ray tube)用パネル、その他の表示装置等が
ある。
【0003】各種の応用分野で使われる光学的な薄膜コ
ーティングには、マグネシウムフッ化物から成る膜等の
単一層コーティングや、1つの波長領域における屈折率
を最小にする2層のコーティングや、比較的広い波長領
域例えば可視光領域の範囲にわたって低い屈折率を生じ
る多層の広帯域コーティング等がある。ここで、上記2
層のコーティングについて説明する。
【0004】先ず、米国特許第4422721号に開示
された2層膜で構成される反射防止膜(以下、反射防止
膜A)は、少なくとも1つの低屈折率の材料から成る層
例えばマグネシウムフッ化物から成る層と、薄い透明な
高屈折率で導電性を有する材料から成る層、例えばイン
ディウム錫酸化物(ITO:indium tin oxide)、カド
ミウム錫酸塩、あるいは錫アンチモン酸化物から成る層
とから構成され、光学基材の表面から順に低屈折率の材
料から成る層、薄い透明な高屈折率で導電性を有する材
料から成る層が被着されて成るものである。また、上記
導電性材料から成る層は、1.0nmから30.0nm
の光学厚さを有しており、また、上記低屈折率材料から
成る層は、上記導電性材料から成る層が劣化しないよう
に、導電性材料から成る層の厚さに応じた厚さを有す
る。
【0005】上記反射防止膜Aは、一方が低い屈折率で
もう一方が高い屈折率である2層膜にて、電気的に直接
接続できCRTやコピー機械等に最適な導電性のある反
射防止膜を提供する。
【0006】また、米国特許第4732454号に開示
された2層膜で構成される反射防止膜(以下、反射防止
膜B)は、透明なプラスティックから成る基板と、堅く
てかつ引っかき傷に耐性であって上記基板に被着される
第1の層と、上記第1の層に密着するとともに酸素原子
存在下及び150℃以下における高周波放電によるスパ
ッタ法あるいは真空蒸着法で構成される導電性材料から
成る第2の層と、上記第2の層に密着するとともに上記
第2の層の屈折率より低い屈折率を有する第3の層とか
ら成り、上記第2の層はITOを含むものである。
【0007】上記反射防止膜Bは、光を伝搬できるとと
もに、プラスティックの保護層に被着させてCRTのフ
ィルタからの電磁波のフィルタとして最適な反射防止膜
を提供する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記反射防
止膜Aは、導電性が低いこと及び広い周波数帯域にわた
り低い反射防止率が問題となり、この点の改善が望まれ
ている。
【0009】また、前記反射防止膜Bにおいても、上記
反射防止膜と同様に、広い周波数帯域にわたり低い反射
防止率が問題となり、この点の改善が望まれている。
【0010】ここで、導電性が低いと、例えば反射防止
膜をCRT用パネル上に装着した場合には静電気の防止
やCRTパネルからの電磁波の出力防止に対する効力が
少ない。
【0011】そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて
なされたものであり、導電性が高く、広い周波数帯域に
おいても反射防止率が高い反射防止膜を提供することを
目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る反射防止膜
は、支持層に被着される反射防止膜において、上記支持
層に近い方から第1の層と第2の層の2つの隣り合う層
から構成され、上記第1の層は光を吸収する材料から成
り、上記第2の層は屈折率が1.4乃至1.5である材
料から成るとともに、任意に選出した2つの波長の短波
長側を波長λv、長波長側を波長λr とし、上記第1の
層の波長λv における屈折率をnv 、消衰係数をkv
し、上記波長λr における屈折率を屈折率nr 、消衰係
数をkrとし、上記波長λv に対する上記波長λr の比
をrとするとき、nr 及びkr は、以下の関係を満たす
ことを特徴とする反射防止膜。
【0013】nrc−1<nr <nrc+1 krc−1<kr <krc+1 但し、nrc及びkrcは、上記rの値に依存するととも
に、nrc=f(nv,kv,r)あるいはkrc=g(nv,kv,r)の関係を近
似して得られる値である。
【0014】上記反射防止膜の特徴は、消衰係数kが0
でなく光を吸収する材料を用いて反射防止特性を有して
いることと、これにより波長領域における光学特性が広
がることが挙げられる。
【0015】また、本発明に係る反射防止膜は、支持層
に被着される反射防止膜において、偶数の層から成り、
上記支持層に近い方から第1の層、第2の層…とする
と、奇数番目の層は、光を吸収する材料から構成され、
偶数番目の層は、屈折率が1.4乃至1.5である材料
から構成されるとともに、任意に選出した2つの波長の
短波長側を波長λv 、長波長側を波長λr とし、上記奇
数番目の層の波長λv における屈折率をnv 、消衰係数
をkv とし、上記波長λr における屈折率を屈折率n
r 、消衰係数をkr とし、上記波長λv に対する上記波
長λr の比をrとするとき、nr 及びkr は、以下の関
係を満たすことを特徴とする反射防止膜。
【0016】nrc−1<nr <nrc+1 krc−1<kr <krc+1 但し、nrc及びkrcは、上記rの値に依存するととも
に、nrc=f(nv,kv,r)あるいはkrc=g(nv,kv,r)の関係を近
似して得られる値である。
【0017】上記反射防止膜の特徴は、消衰係数kが0
でなく光を吸収する材料を用いて反射防止特性を有して
いることと、これにより波長領域における光学特性が広
がることが挙げられる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る反射防止膜が
適用されて好ましい具体例について、図面を参照しなが
ら説明する。
【0019】上記反射防止膜は、図1に示すように、支
持層11に被着される反射防止膜において、支持層11
に近い方から第1の層1と第2の層2の2つの隣り合う
層から構成され、第1の層1は光を吸収する材料から成
り、第2の層2は屈折率が1.4乃至1.5である材料
から成るとともに、任意に選出した2つの波長の短波長
側を波長λv 、長波長側を波長λr とし、第1の層1の
波長λv における屈折率をnv 、消衰係数をkv とし、
上記波長λr における屈折率を屈折率nr 、消衰係数を
r とし、上記波長λv に対する上記波長λr の比λr
/λv をrとするとき、nr 及びkr は、以下の(1)
式及び(2)式を満たすものである。
【0020】 nrc−1<nr <nrc+1 ・・・(1) krc−1<kr <krc+1 ・・・(2) 但し、nrc及びkrcは、上記rの値に依存するととも
に、nrc=f(nv,kv,r)あるいはkrc=g(nv,kv,r)の関係を近
似して得られる値である。
【0021】上記nrc=f(nv,kv,r)あるいはkrc=g(nv,kv,
r)の関係を近似する近似式は、以下の(3)式、(4)
式で示される。
【0022】 nrc=-0.00642nv 2+1.66878nv+0.02786kv 2+0.83206kv+0.15426r2-0.85276 r-0.01964nvv-0.58109nvr-0.93386kvr+0.66289 ・・・(3) krc=0.0496972nv 2-2.07664nv+0.00896kv 2+1.3025kv-3.44187r2+7.11118 r-0.03678nvv+1.95241nvr-0.22876kvr-3.69482 ・・・(4) 上記反射防止膜は、光学基材表面に直接被着して当該光
学基材表面からの反射光量を低減するとともに、上記光
学基材表面上で導電性を有するものである。また、例え
ばポリエチレンテレフタレラート(polyethylene terep
hthalate:PET)で構成される可撓性を有する支持層
に被着させて、この支持層を陰極線管いわゆるCRT
(cathode-ray tube)を用いた表示装置の画面表面に被
着させる、あるいは直接上記表示装置の画面表面に被着
させて、上記画面表面からの眩しい光を抑えたり、電磁
波の放出や静電気を最小に抑えるものである。また、2
つの薄膜層で済むため、容積もとらず低価格で供給する
ことが可能になる。
【0023】また、本発明は2つの特徴を有しており、
消衰係数kが0でなく光を吸収する材料を用いて反射防
止特性を有していることと、これにより波長領域におけ
る光学特性が広がり、従来の多層膜と比較してより少な
い層の膜構成で広い波長領域の反射防止膜の実現が可能
となることが挙げられる。
【0024】ここで、図1に示すように、例えば上記可
撓性を有する支持層を支持層11とし、上記反射防止膜
を構成する層で上記支持層11より近い方から第1の層
1、第2の層2とする。
【0025】上記第1の層1を選択する条件として、安
価であること、光学基材表面に対して密着性が高いこ
と、耐久性が高いこと、ストレスが低いこと、最適な屈
折率nや消衰係数kといった光学特性が得られるように
調整可能であることが挙げられる。また、上記第2の層
2を選択する条件として、安価であること、屈折率が低
いこと、ストレスが低いこと、堅いこと、耐久性が高い
ことが挙げられる。
【0026】そこで、本実施形態の原理として、最適な
光学特性について、アドミッタンスダイアグラム(admi
ttance diagram)の原理を用いて説明する。
【0027】光学アドミッタンスは、一般に複素数で与
えられる。また、単位を工夫することで、実部は光を通
過させる空間あるいは物質の屈折率nと等しく、虚部は
上記空間あるいは物質の消衰係数と等しい値となる。
【0028】また、各アドミッタンスを表す点は、後述
するアドミッタンスダイアグラムに従い、用いる物質に
特徴的であるとともに光を通過させる際の物質の厚さに
依存する。
【0029】例えば、後述するTiNx 及びSiO2
アドミッタンスダイアグラムを図2に示す。なお、Ti
Nx の波長λ=450nmのときの屈折率をn1 、消衰
係数をk1 とし、波長λ=650nmのときの屈折率を
2 、消衰係数をk2 としており、C(1.52,0)
は、ガラスの光学アドミッタンス(屈折率)を、(1,
0)は空気の光学アドミッタンス(屈折率)を表してい
る。また、曲線23と曲線21との交点を点A、曲線2
3と曲線22との交点を点Bとしている。
【0030】上記TiNx のアドミッタンスダイアグラ
ムにおいて、波長λ=450nmの場合、点(−n1
1 )と点(n1 ,−k1 )と上記所定の点C(1.5
2,0)とを通過する略円弧状の曲線21が上記アドミ
ッタンスダイアグラムである。また、同様に波長λ=6
50nmの場合、点(−n2 ,k2 )と点(n2 ,−k
2 )と上記所定の点C(1.52,0)とを通過する略
円弧状の曲線22が上記アドミッタンスダイアグラムで
ある。
【0031】また、SiO2 のアドミッタンスダイアグ
ラムは、曲線23として得られる。この曲線23は、
((1.462+1)/2,0)=(1.56,0)を
中心とする円である。
【0032】図2によれば、2層膜を形成する場合のア
ドミッタンスの軌跡は、曲線21、22、23を組み合
わせて作成することができ、例えばTiNx 及びSiO
2 から成る2層膜の合成アドミッタンスの軌跡は、実軸
上の所定の点C(1.52,0)を出発し、λ=450
nmでは点A、λ=650nmでは点Bを経由して、曲
線23すなわちSiO2 の光学アドミッタンスの軌跡に
沿って(1,0)の近傍まで近づく。
【0033】ここで、従来において用いられている多層
の反射防止膜の一例として、ガラス基板/TiO2/S
iO2/TiO2/SiO2/空気の4層から成るものに
ついて、上記アドミッタンスダイアグラムを用いて説明
する。
【0034】ここで、上記4層の反射防止膜の設計波長
λ0 におけるアドミッタンスダイアグラムを図3に示
す。
【0035】ガラス基板から近い方から第1の層、第2
の層…とすると、第1の層のTiO2 が寄与する曲線は
ガラス基板の屈折率である(1.52,0)から立ち上
がり設計波長λ0 が感じる膜厚に至る点sまでの軌跡1
11で表され、第2の層のSiO2 が寄与する曲線は上
記点sから上記曲線23に沿って進みk=0のところま
での軌跡112で表され、第3の層のTiO2 が寄与す
る曲線は上記点tから点tまで戻る円を描く軌跡113
で表され、第4の層のSiO2 が寄与する曲線は上記点
tから上記曲線23に沿って空気の屈折率である(1,
0)までの点uまでの軌跡114で表される。
【0036】従って、上記4層の反射防止膜のアドミッ
タンスダイアグラムは、軌跡111、112、113、
114を繋げた曲線となる。また、各軌跡長は、入射光
が感じる膜厚いわゆる光学膜厚が大きい程と大きくなる
値である。
【0037】また、図3によれば、上記4層で構成され
る反射防止膜に設計波長λ0 の光が入射すると、この4
層膜の合成アドミッタンスすなわち見かけ上の屈折率は
1となる。これは、空気の屈折率に相当し、反射率が理
論上0になることになる。
【0038】また、入射光の波長が上記設計波長λ0
はない場合を図4に示す。
【0039】図4において、入射光の波長が上記設計波
長λ0 よりも長い波長λである場合のアドミッタンスダ
イアグラムが示されている。
【0040】図4によれば、各層の膜で上記入射光の光
学膜厚が上記設計波長λ0 に比べて小さくなるため、各
軌跡121乃至124の軌跡長は、対応する上記各軌跡
111乃至114の軌跡長に比べて小さくなる。
【0041】しかし、4層重ねて膜を形成させる効果と
して、各層に対する光学膜厚の変化が相殺されて、図3
と同様に、4番目の軌跡である軌跡124の終点は
(1,0)である。すなわち、上記波長λ(但しλ>λ
0 )における上記4層膜の合成アドミッタンスは1とな
る。
【0042】また、入射光の波長λが上記設計波長λ0
よりも短い場合も同様に、上記4層膜のこの波長に対す
る合成アドミッタンスは1となる。
【0043】以上のことから、設計波長λで合成アドミ
ッタンスが1となるように設計された4層膜は、広い波
長で高い反射防止率を示す。
【0044】また、ここで、一般的な2層膜の合成アド
ミッタンスについて説明する。
【0045】図5に、従来において用いられている反射
防止膜として、第1の層がTiO2第2の層がSiO2
である2層膜(以下(TiO2 −SiO2 )膜という)
のアドミッタンスダイアグラムを示す。
【0046】図5において、外側から順に入射する可視
光の波長λが450nm、550nm、650nmのと
きのダイアグラムが示されている。
【0047】また、例えば波長λ=450nmのとき、
(1.52,0)付近から始まり、1時の方向にある点
aまでは光がTiO2 を通過する際のアドミッタンスの
軌跡を示し、点aから4時の方向にある点a´までの略
円弧状の軌跡についてはSiO2 を通過する際のアドミ
ッタンスの軌跡を示している。また、波長λ=550n
mの場合は、同様に出発から点bまではTiO2 を、点
bから点b´まではSiO2 を通過する際のアドミッタ
ンスの軌跡であり、さらに、波長λ=650の場合は、
出発から点cまではTiO2 を、点cから点c´までは
SiO2 を通過する際のアドミッタンスの軌跡を示して
いる。
【0048】図5によれば、第1の膜と第2の膜とを通
過する際のアドミッタンスの軌跡の軌跡長が入射する光
の波長λに応じて異なるため、各軌跡の終点である点a
´、点b´、点c´のアドミッタンスダイアグラム上の
座標が一定でないことがわかる。
【0049】このことは、入射させる光の波長が変化す
ると、(TiO2 −SiO2 )膜の合成屈折率は変化す
ると言える。すなわち、450nmから650nmまで
の可視領域の波長を有する光を入射すると、波長に応じ
て反射光が存在するとともに、その光量が変化すると予
測される。
【0050】そこで、この入射光の波長λと上記(Ti
2 −SiO2 )膜の反射率との関係を図6に示す。
【0051】図6において、上記波長λと反射率との関
係は曲線110で示される。この曲線110は、設計波
長λ0 のとき反射率が0となる下に凸の放物線の形状を
有する曲線である。また、入射光の波長λと反射率との
関係が上記曲線110に示すような軌跡を描く反射防止
膜は、この曲線の形状から一般にVコートと呼ばれる。
【0052】図6によれば、設計波長λ0 が上記(Ti
2 −SiO2 )膜に入射すると、反射率が0となる
が、任意の波長λ(λがλ0 でない)が入射すると、反
射率が0ではなくなる。
【0053】すなわち、従来の2層膜で形成される反射
防止膜では、広い範囲の波長の光の反射を防止すること
が困難であり、改善が望まれる。
【0054】そこで、本発明の反射防止膜として、上記
第1の層に光を吸収する薄膜を用い、第2の膜がSiO
2 から構成される例を挙げ、この2層膜で構成される反
射防止膜のアドミッタンスダイアグラムを図7に示す。
【0055】上記第1の層は、入射する光の波長λに応
じて異なる吸光度を示し、図4に示すように、波長λ=
450nmのときは点dまで、波長λ=550nmのと
きは点eまで、波長λ=650nmのときは点fまでそ
れぞれアドミッタンスは異なる軌跡を描く。なお、点
d、点e、点fはそれぞれ異なる位置に存在するととも
に、第1の層に用いる物質、第1の層の厚さ等の第1の
層の物性や第1の層に入射する光の波長に応じて変化す
る点である。
【0056】また、点d、点e、点fの各点から点gま
では、SiO2 層のアドミッタンスの軌跡を示す。な
お、点gは(1,0)であり、このことは、上記(IT
O/Au−SiO2 )反射防止膜は、少なくとも可視光
領域の範囲のどの波長を有する光が入射されても、合成
屈折率が1すなわち反射を完全に防止していることがわ
かる。
【0057】このように、第1の層を光を吸収する層と
して、この第1の層の物性を第2の層のアドミッタンス
ダイアグラムに基づいて決定することで、第1の層と第
2の層の2層のみで形成され、可視光領域の光の反射を
完全に防止する反射防止膜が実現される。
【0058】ここで、上記第1の層は導電性の材料例え
ばITO(インディウム錫酸化物:indium tin oxide)
が60%、金(Au)が40%から構成される薄膜が挙
げられる。
【0059】また、上記第1の層は、チタンの窒化物
(TiNx )、ジルコニウムの窒化物(ZrNx )、チ
タンの窒化物とジルコニウムの窒化物との混合物の少な
くとも1つで構成されることが挙げられる。
【0060】また、第1の層は、チタンの酸窒化物(T
iNxOy)、ジルコニウムの酸窒化物(ZrNxOy)、
チタンの酸窒化物及びジルコニウムの酸窒化物の混合物
の少なくとも1つから構成されてもよい。
【0061】ここで、図7に示したようなアドミッタン
スダイアグラムを形成するすなわち広域において反射防
止特性を示す材料の条件として、第1の層の光学特性が
以下の式を満たすものであることが挙げられる。なお、
第2の層として、SiO2 層が用いられ、また、基板に
はガラスが用いられている。
【0062】nr=nv−α、但しα>0 kr=kv+β、但しβ>0 ここで、nvは任意に選出したある範囲の短波長側の光
に対する第1の層の屈折率であり、nrは長波長側に対
する屈折率である。また、kvは上記短波長側に光に対
する上記第1の層の消衰係数であり、krは上記長波長
側に対する消衰係数である。
【0063】なお、コンピュータシュミレーションを用
いたランダムな計算によると、短波長側の波長λv が4
05nm、長波長側の波長λr が633波長の視野域に
おいて、α、βともに0.4以上であることがわかる。
【0064】ここで、上記アドミッタンスダイアグラム
を求める方法について説明する。
【0065】先ず、多層膜において、各層の効果は以下
の(5)式で表される。
【0066】
【数1】
【0067】(5)式において、Nは各層の複素屈折率
であり、この各層の屈折率をn、消衰係数をkとする
と、N=n−ikと表される。すなわち、光学アドミッ
タンスyに相当する値である。また、θは入射角であ
り、例えば垂直入射の場合θ=0となる。また、dは膜
厚を表す。
【0068】ここで、(5)式を用いて多層膜全体の合
成アドミッタンスを得るために、以下の(6)式で示さ
れる計算がなされる。
【0069】
【数2】
【0070】(6)式において、ym は基板のアドミッ
タンスである。また、合成光学アドミッタンス、または
合成アドミッタンスYは、Y=C/Bで求められる。
【0071】以上のことを考慮して、2層膜の合成アド
ミッタンスを求める。
【0072】先ず、ベクトル(B,C)を求める式は、
以下の(7)式に示される。
【0073】
【数3】
【0074】(7)式において、θ=0としている。ま
た、第2の層の複素屈折率N2 は、n2 =1.46であ
り、これはy2 に相当する。また、第1の層の複素屈折
率N1 は、n1 −ik1 で表され、これはy1 に相当す
る。また、ym は1.52である。
【0075】ここで、(7)式において、短波長側の入
射波長λv において反射率が0となる膜厚を誘導する。
図1において、各層の膜厚は、d1 、d2 と定義され
る。
【0076】反射率が0となる条件は、(8)式で示さ
れる。
【0077】 Y(d1 ,d2 )=C2/B2=1 ・・・(8) ここで、d1 、d2 が第1の層及び第2の層の膜厚であ
り、(C2 ,B2 )はC=C2 、B=B2 を(7)式に
代入して成立する値である。また、第1の層のδ1 及び
第2の層のδ2 は、以下の(9)式及び(10)式にて
表される。
【0078】 δ1 =2πy11/λ ・・・(9) δ2 =2πy22/λ ・・・(10) また、ここで、短波長例えばλv =450nmに対して
第1の層及び第2の層の光学アドミッタンスy1 、y2
が与えられると、d1 、d2 は一義的に決まる。
【0079】この一義的に決められたd1 、d2 を用い
て、波長λとして例えば633nmとして、上記(7)
式と、(8)式とを満足するように解くと、波長λ=6
33nmに対する第1の層のnとkとが求められる。
【0080】以上ような計算をnv が1〜3、kv が0
〜4、λv が546nmとして、λr が633、86
3.44、955.5nmのときのnr 、kr について
求めたのが以下の表である。短波長側の波長λv に対す
る長波長側の波長λr の比r(=λr /λv )は、それ
ぞれ1.159、1.581、1.75である。
【0081】
【表1】
【0082】また、nr 、kr の各値は、波長λr では
なく、rの値で決まる。例えば、r=1.75として、
上記表では、波長λv =546nm、波長λr =95
5.5nmである例が示されているが、波長λv =40
0nm、波長λr =700nmであっても(nr 、k
r )の値は同じである。但し、膜厚d1 、d2 は波長λ
に比例する。
【0083】また、λ/λv=633nm/546n
m=1.159でのnr の変化を図8に、また、kr
変化を図9にそれぞれ示す。
【0084】図8及び図9によれば、(nv 、kv 、n
r )の関係及び(nv 、kv 、kr)の関係は略平面で
あることが分かる。
【0085】そこで、上述の煩雑な計算をしなくてもこ
の平面を2次の近似で求めることで(nv 、kv 、n
r )及び(nv 、kv 、kr )が得られると演算量の削
減化を図ることが可能になる。
【0086】ここで、3次、4次と近似は高次である程
正確な平面が求められるのであるが、演算量を削減する
目的とは離れてしまうため、2次の近似を行う。
【0087】ここで、求めるnr 及びkr を以下の式で
表す。
【0088】 nr=f(nv 、kv 、r) ・・・(11)式 kr=g(nv 、kv 、r) ・・・(12)式 但し、r=λr/λv また、(11)式及び(12)式の2次のオーダーでの
近似式は(13)式及び(14)式で与えられる。
【0089】 nr=m1v 2+m2v+m3v 2+m4v+m5r2+m6r+m7vv+m8vr+m9vr +m10 ・・・(13) kr=p1v 2+p2v+p3v 2+p4v+p5r2+p6r+p7vv+p8vr+p9vr +p10 ・・・(14) (13)式及び(14)式のパラメータm1 〜m10及び
1 〜p10を上記表のデータを用いて最小2乗法で得ら
れた式が、(3)式及び(4)式である。
【0090】 nrc=-0.00642nv 2+1.66878nv+0.02786kv 2+0.83206kv+0.15426r2-0.85276 r-0.01964nvv-0.58109nvr-0.93386kvr+0.66289 ・・・(3) krc=0.0496972nv 2-2.07664nv+0.00896kv 2+1.3025kv-3.44187r2+7.11118 r-0.03678nvv+1.95241nvr-0.22876kvr-3.69482 ・・・(4) この近似解の誤差は、nv =1〜3、kv =0〜4、r
=1〜1.75の範囲でnr に対して0.3以下、kr
に対して0.4以下である。
【0091】ここで、以下の(15)式及び(16)式
を満たしている値が真のnr 及びkr になるとして、
(15)式及び(16)式にて示される偏差分のaの最
適値を見積もる。
【0092】 nrc−a<nr <nrc+a ・・・(15) krc−a<kr <krc+a ・・・(16) ここで、吸収膜として典型的な短波長側(450nm)
におけるnv とkv との組合せを(nv,kv)=(1,
0)、(2,0)、(2,1)、(3,0)、(3,
1)、(3,2)の6通りについて、これらの組合せ毎
に膜厚を最適化し、長波長(650nm)側でのnr
r との値を(3)式及び(4)式より得られる値から
aだけ変化させたときの平均反射率を450nmから6
50nmの範囲で計算した。この計算結果より、6組の
組合せの平均反射率の平均を求めた。
【0093】この結果、a=0.5のとき平均反射率は
0.14%、a=1のとき平均反射率は0.26%が得
られた。一般に反射率0.14%は大変に優れた反射防
止膜であり、反射率0.26%は優れた反射防止膜であ
ると考えられている。
【0094】また、図10に(3)式、(4)式を用い
て求めたnr 及びkr の近似解とr値との関係を示す近
似曲線と、(7)式、(8)式、(9)式及び(10)
式を用いて求めたnr 及びkr の精密解とr値とをプロ
ットしたものの一例を示す。
【0095】図10において、近似曲線104は長波長
側での消衰係数kr と短波長に対する長波長比rとの関
係を示す。また、この近似曲線104は、略精密解のプ
ロットに沿っていることが分かる。
【0096】また、近似曲線105は、長波長側での屈
折率nr と上記比rとの関係を示す。また、この近似曲
線105は、近似曲線104と同様に、略精密解のプロ
ットに沿っていることが分かる。
【0097】従って、図10によれば、(3)式、
(4)式を用いて近似曲線を求めて、この近似曲線を用
いて得られた任意のrに対するnr 及びkr と、(7)
式、(8)式、(9)式及び(10)式を用いて求めた
任意のrに対するnr 及びkr とは略等しいことが分か
り、上記近似曲線は第1の層の光学特性を見積もるのに
充分なものであることが分かる。また、充分に演算量の
削減化を図ることが可能である。
【0098】光学特性が(3)式及び(4)式を満足す
る材料として、導電性の材料例えばITO(インディウ
ム錫酸化物:indium tin oxide)が60%、金(Au)
が40%から構成される薄膜や、TiNx 、ZrNx 、
(TiNx )と(ZrNx )との混合物、TiNxOy、
ZrNxOy、(TiNxOy)と(ZrNxOy)との混合
物等が挙げられる。
【0099】特に、ジルコニウム(Zr)を用いた材料
は高い導電性を示し、また、耐久性が高い。
【0100】また、TiNx 、ZrNx 、(TiNx )
と(ZrNx )との混合物、TiNxOy、ZrNxOy及
び(TiNxOy)と(ZrNxOy)との混合物に、不純
物例えばタングステンをドーピングさせると、光学特性
がさらに(3)式及び(4)式に近づく。
【0101】ここで、図11にTiNx にタングステン
をドーピングした2層膜の反射防止特性すなわち波長に
対する反射率を示す。また、上記2層膜の基板としてP
ETフィルムを用いている。
【0102】図11によれば、上記TiNx にタングス
テンをドーピングした2層膜は、略480nmから60
0nmまでの広域に亘る波長の光の反射を防止すること
が分かる。
【0103】すなわち、反射光は青が強調され、赤が減
衰されることになる。このことは、この2層膜をCRT
の反射防止膜として用いたとき、CRTディスプレイの
反射光は、青あるいは紫を帯びた白になることが分か
る。
【0104】図12に、上記TiNx にタングステンを
ドーピングした薄膜をPETフィルム上に形成する方法
を模式化した図を示す。
【0105】ドーピング処理は、従来においてはターゲ
ット材料とドーパント材料とを均一に混合して、この混
合物をスパッタ処理することで行われていた。
【0106】そこで、本発明ではターゲット31と、基
板フィルム33との間に例えば純粋な金属であるドーパ
ント32を配置してロール34で基板フィルム33を巻
き取りながらスパッタ処理することで、上記上記TiN
x にタングステンをドーピングした薄膜をPETフィル
ム上に形成させている。
【0107】なお、ドーパント32はターゲット31に
は接していない。こうすることで、ドーパント32に電
気的にバイアスを掛けたり、ドーパント32を接地電位
にしたり、ドーパント32を電気的に移動させたりする
ことが可能になる。
【0108】さらに、ドーパントとして針金状やリボン
状のものを用いることで高いボリュームの薄膜の形成が
可能になる。
【0109】続いて、タングステンをドーピングする比
率について説明する。
【0110】図13に、タングステン含有率(原子パー
セント)と電気抵抗率(以下単に抵抗率という)及び後
述するメリット因子との関係を示す。
【0111】図13において、抵抗率(mΩ×cm)と
タングステン含有率との関係は曲線102に示される。
この曲線102は、タングステン含有率が0原子パーセ
ントのとき最大をとり、タングステン含有率が0.5原
子パーセントぐらいまで減少し、0.5から1.5原子
パーセントまで略一定の値をとる。
【0112】この曲線102によれば、タングステンを
全く含有しないよりは、タングステンを混合させた方が
抵抗率が低い、すなわち導電性が高くなり、よい好まし
い反射防止膜を形成することが分かる。
【0113】また、メリット因子Mは、以下の(17)
式にて定義される。
【0114】 M=(nv−nr)×(kr−kv) ・・・(17) ここで、メリット因子Mとタングステン含有率との関係
は曲線101で表される。この曲線101はタングステ
ン含有率が0.5原子パーセントから0.8原子パーセ
ントぐらいまで極大を示している。
【0115】一般に、このメリット因子Mが高いほど広
域における反射特性が高い。従って、曲線101によれ
ば、タングステン含有率が0.1から1.1原子パーセ
ントとなるようにドーピング処理を行うと、このドーピ
ング処理による効果が大きいことが分かる。タングステ
ン含有率が、0.4から0.8原子パーセントとなるよ
うにドーピング処理を施すことがより好ましい。
【0116】以上のように2層膜を構成することで、簡
単な構成で広い周波数帯域において反射防止率が高い反
射防止膜を示すため、装着する光学基材、例えばCRT
の表面からの静電気の防止や電磁波出力防止に対する効
力が向上する。
【0117】また、本発明に係る反射防止膜は、図14
において、支持層41に被着される反射防止膜におい
て、偶数の層から成り、支持層41に近い方から第1の
層42、第2の層43…とすると、奇数番目の層は、光
を吸収する材料から構成され、偶数番目の層は、屈折率
が1.4乃至1.5である材料から構成されるととも
に、任意に選出した2つの波長の短波長側を波長λv
長波長側を波長λr とし、上記奇数番目の層の波長λv
における屈折率をnv 、消衰係数をkv とし、上記波長
λr における屈折率を屈折率nr 、消衰係数をkr
し、上記波長λv に対する上記波長λr の比λr /λv
をrとするとき、nr 及びkr は、以下の(1)式及び
(2)式の関係を満たすことを特徴としている。
【0118】 nrc−1<nr <nrc+1 ・・・(1) krc−1<kr <krc+1 ・・・(2) 上記nrc=f(nv,kv,r)あるいはkrc=g(nv,kv,r)の関係を近
似する近似式は、以下の(3)式、(4)式で示され
る。
【0119】 nrc=-0.00642nv 2+1.66878nv+0.02786kv 2+0.83206kv+0.15426r2-0.85276 r-0.01964nvv-0.58109nvr-0.93386kvr+0.66289 ・・・(3) krc=0.0496972nv 2-2.07664nv+0.00896kv 2+1.3025kv-3.44187r2+7.11118 r-0.03678nvv+1.95241nvr-0.22876kvr-3.69482 ・・・(4) なお、(3)式及び(4)式の導入は上述した通りであ
る。
【0120】また、偶数番目の層すなわち第2の層4
3、第4の層45までは、SiO2 薄膜で構成される。
【0121】また、奇数番目の層すなわち第1の層42
及び第3の層44の光学特性は上述した方法にて求めら
れる。
【0122】ここで、上記第1の層42及び第3の層4
4は導電性の材料例えばITO(インディウム錫酸化
物:indium tin oxide)が60%、金(Au)が40%
から構成される薄膜が挙げられる。
【0123】また、第1の層42及び第3の層44は、
チタンの窒化物(TiNx )、ジルコニウムの窒化物
(ZrNx )、チタンの窒化物とジルコニウムの窒化物
との混合物の少なくとも1つで構成されることが挙げら
れる。
【0124】また、第1の層42及び第3の層44は、
チタンの酸窒化物(TiNxOy)、ジルコニウムの酸窒
化物(ZrNxOy)、チタンの酸窒化物及びジルコニウ
ムの酸窒化物の混合物の少なくとも1つから構成されて
もよい。
【0125】また、上記奇数番目の層は、不純物含有の
TiNx 、不純物含有のTiNxOy、不純物含有のZr
Nx 、不純物含有のZrNxOy、これら材料の混合物の
少なくとも1つで構成されてもよい。
【0126】ここで、図15に従来において用いられて
いる4層膜(ガラス基板/TiO2/SiO2 /TiO2
/SiO2 、以下従来の4層膜という)及び本発明の
具体例としての4層膜(上記従来の4層膜の2つのTi
2 に0.5原子パーセントのタングステンを含有させ
た4層膜、以下本具体例の4層膜という)の入射光の波
長λと反射率との関係を示す。
【0127】図15において、上記従来の4層膜におけ
る入射光の波長λと反射率との関係は曲線51に示さ
れ、上記本具体例の4層膜における入射光の波長λと反
射率との関係は曲線52に示される。
【0128】また、上記本具体例の4層膜における入射
光の波長λと反射率との関係を理論的に求めたものを曲
線53に示す。
【0129】図15によれば、従来の4層膜の吸収層に
タングステンを含有させるだけで、従来の4層膜に比べ
て、広範囲の波長の光の反射率を抑えることが可能にな
る。
【0130】以上本発明に係る反射防止膜が適用される
具体例について説明したが、これに限定されることはな
く、種々の変更が可能である。
【0131】例えば、2層膜においては第2の層、ある
いは4層膜においては偶数番目の層にSiO2 層を用い
た例を示したが、屈折率が1.4乃至1.5である材料
を用いる範囲では本発明の効果を得ることができる。
【0132】また、CRTの表面の反射防止膜に本発明
を用いた例を示したが、こちらもこれに限定されること
はなく、カメラのレンズ。コピー機械のプラテン(原稿
台)、機器用のカバーガラス等の光学基材表面に用いて
もよい。
【0133】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る反射
防止膜によれば、2層という簡単な構成で、抵抗率が低
いすなわち導電性が高く、広い周波数帯域において反射
防止率が高い反射防止膜を提供することができ、装着す
る光学基材からの静電気の防止や電磁波出力防止に対す
る効力が向上する。
【0134】また、本発明に係る反射防止膜によれば、
従来の4層で構成される反射防止膜よりも、抵抗率が低
いすなわち導電性が高く、広い周波数帯域において反射
防止率が高い反射防止膜を提供することができ、装着す
る光学基材からの静電気の防止や電磁波出力防止に対す
る効力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る反射防止膜の2層膜の具体例の構
成を示す図である。
【図2】上記反射防止膜の第1の層の選出原理を説明す
るアドミッタンスダイアグラムの一例を示すグラフであ
る。
【図3】多層膜の一例として4層膜の設計波長における
アドミッタンスダイアグラムの一例を示すグラフであ
る。
【図4】上記4層膜の設計波長以外の波長におけるアド
ミッタンスダイアグラムの一例を示すグラフである。
【図5】従来の(TiO2 −SiO2 )反射防止膜のア
ドミッタンスダイアグラムを示すグラフである。
【図6】上記(TiO2 −SiO2 )反射防止膜の入射
光の波長と反射率との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の一例としての2層で構成される(IT
O/Au−SiO2 )反射防止膜のアドミッタンスダイ
アグラムを示すグラフである。
【図8】上記2層で構成される反射防止膜における短波
長側のnv 及びkv に対する長波長側のnr の値を示す
グラフである。
【図9】上記2層で構成される反射防止膜における短波
長側のnv 及びkv に対する長波長側のkr の値を示す
グラフである。
【図10】本発明の反射防止膜の第1の層に適用される
材料が有するnr 及びkr と入射光の短波長側に対する
長波長側の比rとの関係を示すグラフである。
【図11】上記反射防止膜の第1の層としてのTiNx
にタングステンを含有させた際に得られる入射光の波長
と反射率との関係を示すグラフである。
【図12】上記TiNx にタングステンを含有される一
具体的な方法を示す模式図である。
【図13】上記TiNx に含有されるタングステンの比
率と、メリット因子及び抵抗率との関係を示すグラフで
ある。
【図14】本発明に係る反射防止膜の4層膜の具体例を
示す図である。
【図15】4層膜の具体例、4層膜の理論値、従来の4
層膜における入射光の波長と反射率との関係を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 第1の層 2 第2の層 11 支持層 31 ターゲット 32 ドーパント 33 基板フィルム 41 支持層 42 第1の層 43 第2の層 44 第3の層 45 第4の層

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持層に被着される反射防止膜におい
    て、 上記支持層に近い方から第1の層と第2の層の2つの隣
    り合う層から構成され、上記第1の層は光を吸収する材
    料から成り、上記第2の層は屈折率が1.4乃至1.5
    である材料から成るとともに、 任意に選出した2つの波長の短波長側を波長λv 、長波
    長側を波長λr とし、 上記第1の層の波長λv における屈折率をnv 、消衰係
    数をkv とし、上記波長λr における屈折率を屈折率n
    r 、消衰係数をkr とし、上記波長λv に対する上記波
    長λr の比をrとするとき、 nr 及びkr は、以下の関係を満たすことを特徴とする
    反射防止膜。 nrc−1<nr <nrc+1 krc−1<kr <krc+1 但し、nrc及びkrcは、上記rの値に依存するととも
    に、nrc=f(nv,kv,r)あるいはkrc=g(nv,kv,r)の関係を近
    似して得られる値である。
  2. 【請求項2】 上記nrc及びkrcの値を求める近似式
    は、以下の式であることを特徴とする請求項1記載の反
    射防止膜。 nrc=-0.00642nv 2+1.66878nv+0.02786kv 2+0.83206k
    v+0.15426r2-0.85276r-0.01964nvv-0.58109nvr-
    0.93386kvr+0.66289 krc=0.0496972nv 2-2.07664nv+0.00896kv 2+1.3025k
    v-3.44187r2+7.11118r-0.03678nvv+1.95241nvr-
    0.22876kvr-3.69482
  3. 【請求項3】 上記nr 及びkr は、以下の関係を満た
    すことを特徴とする請求項1記載の反射防止膜。 nrc−0.5<nr <nrc+0.5 krc−0.5<kr <krc+0.5
  4. 【請求項4】 上記第2の層は、二酸化硅素から成るこ
    とを特徴とする請求項1記載の反射防止膜。
  5. 【請求項5】 上記第1の層は、プラスティック性の支
    持層に被着されることを特徴とする請求項1記載の反射
    防止膜。
  6. 【請求項6】 上記第1の層は、ガラスで構成される支
    持層に被着されることを特徴とする請求項1記載の反射
    防止膜。
  7. 【請求項7】 上記第1の層は、導電性の材料から成る
    ことを特徴とする請求項1記載の反射防止膜。
  8. 【請求項8】 上記第1の層は、チタンの窒化物、ジル
    コニウムの窒化物、チタンの窒化物とジルコニウムの窒
    化物との混合物の少なくとも1つで構成されることを特
    徴とする請求項1記載の反射防止膜。
  9. 【請求項9】 上記第1の層は、チタンの酸窒化物、ジ
    ルコニウムの酸窒化物、チタンの酸窒化物及びジルコニ
    ウムの酸窒化物の混合物の少なくとも1つで構成される
    ことを特徴とする請求項1記載の反射防止膜。
  10. 【請求項10】 上記第1の層は、不純物含有のチタン
    の窒化物、不純物含有のチタンの酸窒化物、不純物含有
    のジルコニウムの窒化物、不純物含有のジルコニウムの
    酸窒化物、これら材料の混合物の少なくとも1つで構成
    されることを特徴とする請求項1記載の反射防止膜。
  11. 【請求項11】 上記第1の層は、上記不純物としてタ
    ングステンが混合されたチタンの窒化物から成ることを
    特徴とする請求項10記載の反射防止膜。
  12. 【請求項12】 上記第1の層は、上記不純物として
    0.1乃至1.1原子パーセントのタングステンが混合
    されたチタンの窒化物から成ることを特徴とする請求項
    11記載の反射防止膜。
  13. 【請求項13】 上記第1の層は、純粋な金属片を用い
    てドーパントにするとともに、このドーパントをターゲ
    ットより離してプラズマ中に配置するスパッタ法により
    蒸着されることを特徴とする請求項10記載の反射防止
    膜。
  14. 【請求項14】 支持層に被着される反射防止膜におい
    て、 偶数の層から成り、上記支持層に近い方から第1の層、
    第2の層…とすると、 奇数番目の層は、光を吸収する材料から構成され、 偶数番目の層は、屈折率が1.4乃至1.5である材料
    から構成されるとともに、 任意に選出した2つの波長の短波長側を波長λv 、長波
    長側を波長λr とし、 上記奇数番目の層の波長λv における屈折率をnv 、消
    衰係数をkv とし、上記波長λr における屈折率を屈折
    率nr 、消衰係数をkr とし、上記波長λv に対する上
    記波長λr の比をrとするとき、 nr 及びkr は、以下の関係を満たすことを特徴とする
    反射防止膜。 nrc−1<nr <nrc+1 krc−1<kr <krc+1 但し、nrc及びkrcは、上記rの値に依存するととも
    に、nrc=f(nv,kv,r)あるいはkrc=g(nv,kv,r)の関係を近
    似して得られる値である。
  15. 【請求項15】 上記nrc及びkrcの値を求める近似式
    は、以下の式であることを特徴とする請求項14記載の
    反射防止膜。 nrc=-0.00642nv 2+1.66878nv+0.02786kv 2+0.83206k
    v+0.15426r2-0.85276r-0.01964nvv-0.58109nvr-
    0.93386kvr+0.66289 krc=0.0496972nv 2-2.07664nv+0.00896kv 2+1.3025k
    v-3.44187r2+7.11118r-0.03678nvv+1.95241nvr-
    0.22876kvr-3.69482
  16. 【請求項16】 4つの層から構成されることを特徴と
    する請求項14記載の反射防止膜。
  17. 【請求項17】 上記偶数番目の層は、二酸化硅素から
    構成されることを特徴とする請求項14記載の反射防止
    膜。
  18. 【請求項18】 上記奇数番目の層は、導電性の材料か
    ら構成されることを特徴とする請求項14記載の反射防
    止膜。
  19. 【請求項19】 上記奇数番目の層は、チタンの窒化
    物、ジルコニウムの窒化物、チタンの窒化物とジルコニ
    ウムの窒化物との混合物の少なくとも1つで構成される
    ことを特徴とする請求項14記載の反射防止膜。
  20. 【請求項20】 上記奇数番目の層は、チタンの酸窒化
    物、ジルコニウムの酸窒化物、チタンの酸窒化物及びジ
    ルコニウムの酸窒化物の混合物の少なくとも1つで構成
    されることを特徴とする請求項14記載の反射防止膜。
  21. 【請求項21】 上記奇数番目の層は、不純物含有のチ
    タンの窒化物、不純物含有のチタンの酸窒化物、不純物
    含有のジルコニウムの窒化物、不純物含有のジルコニウ
    ムの酸窒化物、これら材料の混合物の少なくとも1つで
    構成されることを特徴とする請求項14記載の反射防止
    膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7351447B2 (en) 2001-10-12 2008-04-01 Bridgestone Corporation Method of producing anti-reflection film

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