JPH09159604A - 一重項酸素測定装置 - Google Patents

一重項酸素測定装置

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JPH09159604A
JPH09159604A JP31765095A JP31765095A JPH09159604A JP H09159604 A JPH09159604 A JP H09159604A JP 31765095 A JP31765095 A JP 31765095A JP 31765095 A JP31765095 A JP 31765095A JP H09159604 A JPH09159604 A JP H09159604A
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singlet oxygen
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infrared
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Eiichi Nishizawa
栄一 西澤
Masakazu Yamaguchi
真主 山口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外域から可視域の任意の波長に光吸収特性
をもつ光増感物質を含む試料や、光に対して直接的及び
間接的に不安定で、少量しか入手出来ない試料でも測定
可能な一重項酸素測定装置の提供。 【解決手段】 本発明の一重項酸素測定装置は、紫外域
から可視域の一部又は全部に連続した発光スペクトルを
有する光源と、近赤外光をカットするフィルター群から
構成される分光装置とを備えた光源部1、上記光源から
の光に強度変調を加える変調部2、強度変調された光が
照射されるセルを備えた試料部3、上記試料部からの発
光のうち一重項酸素に由来する近赤外発光を選別するフ
ィルター群から構成される分光装置と、近赤外検出器と
を備えた検出部4、及び上記検出部からの信号を処理す
る信号処理部5を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外から可視域の
光を利用した光増感反応により生成した一重項酸素に由
来する近赤外発光を検出することにより、一重項酸素を
測定する装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一重項
酸素は、脂質の過酸化、タンパク質の変性、核酸の変性
等に関与しており、生体の光傷害や光老化などの発現機
構において重要な役割を果たしていることが明らかにな
っている。そこで、一重項酸素の存在を検出する方法が
種々提案されている。
【0003】これまで、生体系や溶液系で光増感反応に
より生成した一重項酸素を検出する方法としては、化学
反応を利用した化学的検出法と輻射遷移に伴う発光を検
出する分光学的検出法とが用いられてきた。
【0004】前者の化学的検出方法としては、例えば測
定しようとする系に一重項酸素と反応するジフェニルイ
ソベンゾフラン、2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン又はコレステロールなどの化学物質を添加して、反
応生成物の量を測定する方法がある。しかし、上記化学
物質の添加が系自体に影響を及ぼす可能性があること、
また上記化学物質は一般には一重項酸素との特異性が低
いことから、信頼性の低いデータしか得られない。
【0005】一方、後者の分光学的検出方法としては、
例えば一重項酸素が基底状態酸素に失活する際、輻射遷
移の過程で発する光を観測する方法がある。この方法に
は、二分子対遷移による可視域の発光を観測する方法
と、一分子遷移による近赤外域の発光を観測する方法と
がある。この二つの方法のうち、生体試料には可視域で
発光する蛋白、例えば酸化されたトリプトファンやチロ
シンが存在する点から、後者の近赤外発光を観測する方
法が最も信頼性が高い方法と考えられる。しかし、この
近赤外発光は非常に微弱であるため、近赤外検出器の感
度の問題からこれまで実用化が遅れていた。最近、高感
度近赤外検出器が開発されてきており、これを用いた検
出例も報告されてきているが、その感度は満足すべきも
のとはいえなかった。
【0006】また、近赤外発光を利用した一重項酸素測
定装置としては特開平7−159325号公報記載のも
のなどが知られている。この公報においては、励起光源
としてレーザを用いた光増感反応により一重項酸素を発
生させ、試料の発光から一重項酸素に由来した近赤外発
光を分光器により選別し、これを検出する装置を提案し
ている。また、試料の分解が測定に及ぼす影響を排除す
るためにフローセルを用いて試料を循環させることを提
案している。しかし、この装置には下記のような欠点が
ある。
【0007】即ち、光増感物質を励起させるための光源
としては、原理的に光増感物質が吸収可能な光を発する
すべての光源が使用できるが、近赤外域にも同時に発光
する光源は一重項酸素由来の近赤外発光検出の障害とな
るため現実的には使用できない。そこで、上記公報にお
いては単色性を有するレーザを光源として採用すること
が提案されている。しかし、レーザからは特定の波長の
光しか得られないため、この波長に一致した光吸収特性
を持つ光増感物質を含む試料しか測定できなかった。更
に、レーザは非常に高価であり、装置コストの面でも問
題があった。
【0008】また、一重項酸素の測定に際しては、励起
光照射による直接的及び間接的な試料の分解が及ぼす測
定への影響を排除する方策を講じることも重要である。
この方策としては大量の試料を用い試料の分解の影響を
緩和する方法と、励起光出力を低くして試料の分解量自
体を減らす方法とがある。前者の方法としては、上記公
報記載のようにフローセルを用いることが提案されてい
るが、少量しか入手出来ない試料の場合は測定できない
という問題点があった。このような試料では、後者の方
法が唯一の有効な手段となるが、励起光出力の低下に伴
い一重項酸素の近赤外発光も弱まるため、従来の装置で
は検出感度が足らず実用的な装置を具体化できなかっ
た。
【0009】このように、従来の一重項酸素測定装置
は、測定可能な試料が限定されていたために、紫外域か
ら近赤外域に分布する太陽光が生体へ及ぼす影響や、近
年注目されている太陽光と一重項酸素との関連性の研究
に広く応用することができなかった。
【0010】従って、本発明の目的は、紫外域から可視
域の任意の波長に光吸収特性をもつ光増感物質を含む試
料や、光に対して直接的及び間接的に不安定で、少量し
か入手出来ない試料でも測定可能な一重項酸素測定装置
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような
現状に鑑み鋭意検討したところ、紫外域から可視域の一
部又は全部に連続した発光スペクトルを有する光源と近
赤外光をカットするフィルター群から構成され、フィル
ター群の組み合わせを変えることにより、任意の波長域
の光を得ることが可能な光源部と、従来の一重項酸素測
定装置で用いられていた分光器の代わりに一重項酸素の
近赤外発光の極大波長及び半値幅を考慮した透過率の高
いフィルター群からなる分光装置による検出部とを採用
することにより、測定試料の光吸収特性による制約と、
光照射に対する直接的及び間接的な不安定性による制約
とが除かれ、上記目的が達成され得ることを知見した。
【0012】本発明は上記知見に基づきなされたもので
あり、紫外域から可視域の一部又は全部に連続した発光
スペクトルを有する光源と、近赤外光をカットするフィ
ルター群から構成される分光装置とを備えた光源部、上
記光源からの光に強度変調を加える変調部、強度変調さ
れた光が照射されるセルを備えた試料部、上記試料部か
らの発光のうち一重項酸素に由来する近赤外発光を選別
するフィルター群から構成される分光装置と、近赤外検
出器とを備えた検出部、及び上記検出部からの信号を処
理する信号処理部を有することを特徴とする一重項酸素
測定装置を提供することにより上記目的を達成したもの
である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一重項酸素測定装
置の好ましい一実施形態を図面を参照して説明する。こ
こで、図1は、本発明の一重項酸素測定装置の好ましい
一実施形態の構成を示すブロック図である。
【0014】図1に示す実施形態の一重項酸素測定装置
は、光源部1、変調部2、試料部3、検出部4、及び信
号処理部5を具備している。以下、これら各部について
詳述する。
【0015】まず、上記光源部1について説明すると、
該光源部1は、光源6と、フィルター群から構成される
分光装置7とを備えている。上記光源6としては、紫外
域から可視域の一部又は全部に連続した発光スペクトル
を有するものであれば特に制限無く用いることができ、
例えば、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、タング
ステンランプ、水銀ランプ、及びD2 ランプなどが挙げ
られる。フィルター群から構成される上記分光装置7
は、近赤外光をカットするものである。好ましくは、上
記分光装置7は、一重項酸素に由来する近赤外発光が現
れる波長域と同じ領域の近赤外光をカットし且つ紫外域
から可視域の光の一部又は全部が透過可能なフィルター
群から構成されている。特に好ましくは、上記分光装置
7は、一重項酸素に由来する近赤外発光が現れる110
0〜1400nmの波長域の光をカットし且つ250〜
1000nmの波長域の光の一部又は全部が透過可能な
フィルター群から構成されている。
【0016】次に、上記変調部2について説明すると、
該変調部2は、上記光源6からの光に強度変調を加える
ものであり、変調器8を備えている。該変調器8として
は、例えば、光チョッパーなどを用いることができる
が、これに限られるものではない。
【0017】次に、上記試料部3について説明すると、
該試料部3は、上記変調部2によって強度変調された光
を集光するレンズ9と、該レンズ9によって集光された
光が照射されるセル10とを備えている。該セル10中
には試料が充填されている。該試料中には、所定の溶媒
に所定濃度で溶解した光増感物質が含まれている。該試
料中の光増感物質は光の照射によって励起され、そのエ
ネルギーが溶存酸素に移動する結果、一重項酸素が生成
する。上記セル10に特に制限はないが、少量しか入手
できない試料にも対応できる石英製の固定セルを用いる
ことが好ましい。しかしながら、フローセル等の他のセ
ルを用いることもできる。また、上記光増感物質から溶
存酸素へのエネルギー移動の効率を高めるために、上記
セル10は、図1に示すように、空気又は酸素ガスをバ
ブリングするための吹き込み口12を備えている。ま
た、上記セル10と上記吹き込み口12との間には、空
気又は酸素ガスを溶媒で飽和させるための前処理装置1
1、例えば洗気ビンなどが設けられている。
【0018】次に、上記検出部4について説明すると、
該検出部4は、上記試料部3からの発光のうち一重項酸
素に由来する近赤外発光を選別するフィルター群から構
成される分光装置18と、近赤外検出器17とを備えて
いる。上記分光装置18は、上記試料部3のセル10か
らの発光を平行光にするレンズ15、該平行光から紫外
及び可視光をカットし、近赤外光を透過させる単独又は
複数のフィルター群13及び近赤外干渉フィルター1
4、並びに該フィルター群13及び該近赤外干渉フィル
ター14によって選別された、一重項酸素に由来する近
赤外発光を集光するレンズ16を備えている。上記近赤
外干渉フィルター14は、1150〜1350nmの範
囲に透過極大波長を一つだけ有し且つ半値幅が100n
m以下であることが好ましく、また、上記フィルター群
13は、1150〜1350nm以外の400〜200
0nmの波長域の光をカットするカットフィルター群で
あることが好ましい。このような近赤外干渉フィルター
及びカットフィルター群を用いることにより、一重項酸
素に由来する近赤外発光を弱めることなく選択的に取り
出すことができ、一層検出感度の高い一重項酸素測定装
置とすることができるという効果が奏されるので好まし
い。特に、上記近赤外干渉フィルター14として、透過
率及び半値幅が等しく且つ透過極大波長が異なる複数の
近赤外干渉フィルターのそれぞれを上記カットフィルタ
ー群と組み合わせて用いて、それぞれの組み合わせから
得られる信号強度を比較することにより、一重項酸素の
発光スペクトルを得ることが可能であり、一重項酸素の
発生の有無を確認することができる。また、近赤外検出
器17は、上記レンズ16で集光された近赤外光を電気
信号に変換するものである。該近赤外検出器17として
は、例えば液体窒素冷却型ゲルマニウム検出器などが挙
げられるが、これに限定されるものではない。
【0019】次に、上記信号処理部5について説明する
と、該信号処理部5は、上記検出部4からの電気信号を
処理するものであり、上記検出部4からの電気信号を増
幅する増幅機能、該増幅機能により増幅された信号から
上記変調部2の変調周波数と同一の周波数成分を選別す
るフィルター機能、該フィルター機能からの出力信号を
積算する積算機能、及び該積算機能での結果を表示・記
録する表示記録機能を備えている。上記増幅機能、上記
フィルター機能及び上記積算機能としては、例えばプリ
アンプ、ロックインアンプ、ボックスカー積分器、周波
数フィルター、及びオシロスコープなどを単独で又は複
数組み合わせたものを用いることができるが、これらに
限られない。また、上記表示記録機能としては、例えば
コンピュータ、プロッター、及びプリンターなどを単独
で又は複数組み合わせたものを用いることができるが、
これらに限られない。
【0020】次に、上記測定装置を用いた本発明の一重
項酸素の測定方法について説明する。本発明の一重項酸
素の測定方法は、紫外域から可視域の一部又は全部にお
いて連続しており且つ近赤外域の光を含まない光に強度
変調を加え、該強度変調を加えた光を光増感物質を含有
する試料に照射して該光増感物質を励起させることによ
り一重項酸素を生成させ、該試料からの発光のうち生成
した一重項酸素に由来する近赤外発光のみを選別し、選
別された近赤外発光を検出することを特徴とする。
【0021】上記方法について詳述すると、上記光源部
1における光源6及び分光装置7により、紫外域から可
視域の一部又は全部において連続しており且つ近赤外域
の光を含まない光を発生させる。発生した光には上記変
調部2において所定の強度変調が加えられる。この強度
変調が加えられた光を、後述する実施例において説明す
るような光増感物質を含有する試料に照射する。照射に
よって、該光増感物質は励起し、そのエネルギーが溶存
酸素に移動して一重項酸素が生成する。該試料からの発
光のうち生成した一重項酸素に由来する近赤外発光は、
上記検出部4における分光装置18によって選別され
る。そして、選別された近赤外発光は、上記検出部4に
おける近赤外検出器17によって電気信号に変換され、
かかる電気信号は上記信号処理部5によって処理され、
測定結果が得られる。
【0022】
【実施例】本発明の一重項酸素測定装置の測定感度等を
実証するために下記の実施例により一重項酸素の測定を
行った。なお、本発明はこれら実施例になんら制約され
るものではない。
【0023】〔実施例1〕一重項酸素の検出 <(1)測定装置> 一重項酸素の測定装置を次のように構成した。 (1)光源部の光源及び分光装置: ・愛宕物産社製、キセノンランプ(100W) ・水フィルター(光路長50mm) ・ホヤ(HOYA)社製、色ガラスフィルター群A(H
A−15、HA−30、G−533)又はB(HA−1
5、HA−30、U−360、B−390) (2)変調部: ・NF回路ブロック社製、ライトチョッパ(5584
A) (3)試料部: ・石英製四面透明角型セル(セル長2×10mm、高さ
50mm) (4)検出部の分光装置及び近赤外検出器: ・ホヤ(HOYA)社製、色ガラスフィルター(IR−
85) ・日本真空光学社製、近赤外透過干渉フィルター(透過
極大波長1237nm、1267nm、1299nm、
極大波長における透過率は約80%、半値幅は約40n
m、また各フィルターの透過率と半値幅は±6%で一致
する) ・ノースコースト(North Coast Scie
ntic Corporation)社製、ゲルマニウ
ム検出器(EO−817L、液体窒素冷却型) (5)信号処理部: ・NF回路ブロック社製、超低雑音増幅器(SA−20
0F) ・NF回路ブロック社製 周波数フィルター(E−32
01B) ・テクトロニクス(Tektronix)社製、デジタ
ルストレージオシロスコープ(2431L) ・ NEC社製、パーソナルコンピュータ(PC−98
01BA)及びGP−IBインターフェース
【0024】<(2)測定方法>まず、光増感物質とし
て代表的な物質であるローズベンガルの50μMエタノ
ール溶液について測定を行った。ローズベンガルは、可
視域(560nmと520nm)に吸収極大をもつ。光
源部の分光装置の色ガラスフィルター群としてフィルタ
ー群Aを使いキセノンランプの発光から500〜580
nmの励起光を得て、セルに照射した。このとき、セル
から生じた近赤外発光を検出し、その信号強度を測定し
た。検出部の分光装置においては、色ガラスフィルター
と透過極大波長の異なる三種類の干渉フィルター(12
37、1267、1299nm)のいずれか一つとを組
み合わせたものを使い、それぞれの信号強度を測定し
た。
【0025】図2に、信号強度を干渉フィルターの極大
波長に対してプロットした結果を示す。図2から明らか
なように、1267nmの干渉フィルターの使用におい
て信号強度が最大となる発光スペクトルが得られた。一
重項酸素の近赤外発光は1270nm付近に発光極大を
持つことが知られており、これは本発明の測定装置で得
られた発光スペクトルの極大波長と一致している。次
に、上記ローズベンガルの50μMエタノール溶液に一
重項酸素消去剤として代表的なトリエチルアミン50μ
Mを添加した後、上記と同様の測定を行った結果を図2
に示す。図2から明らかなように、一重項酸素に由来す
る近赤外発光がほぼ消失していることが分かる。以上の
結果から、本発明の装置により可視域に吸収をもつ光増
感物質を含む試料に対して一重項酸素を検出できること
が確認された。
【0026】〔比較例1〕一重項酸素の検出感度 本発明の測定装置の検出感度を検討するために、実施例
1の測定装置における検出部の分光装置の代わりに、従
来用いられている分光器を用い実施例1と同様の測定を
行った。その結果を図2に示す。図2から明らかなよう
に、1270nmに発光極大をもつ一重項酸素由来の発
光スペクトルが得られた。しかし、その信号強度は実施
例1で得られた信号強度の約200分の1に減衰してい
た。以上の結果から、フィルター群からなる分光装置を
用いた本発明の測定装置の方が検出感度が向上している
ことが確認された。なお、本比較例において用いた分光
器は、ジョバンエボン(Jovin Yvon)社製
HR−320(ブレーズ波長1000nm、刻線数60
0gr/mm、スペクトル分解能5nm)である。
【0027】〔実施例2〕E.Olivers et.
al.,Helv. Chem. Acta 74巻、
79頁(1991)に記載の紫外域に吸収極大(吸収極
大波長382nmと360nm)をもつ光増感剤である
フェナレノンの500μMエタノール溶液について実施
例1と同様の測定を行った。本実施例では、紫外域の励
起光を得るために、光源部の分光装置の色ガラスフィル
ター群としてフィルター群Bを用い、キセノンランプの
発光から340〜380nmの励起光を得た。図3に示
す測定結果から明らかなように、図2と同様の発光スペ
クトルが得られた。このことから、本発明の測定装置
は、紫外域に吸収をもつ光増感物質を含む試料に対して
も、可視域に吸収をもつ光増感物質を含む試料と同様に
適用出来ることが確認された。
【0028】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明の一重項酸
素測定装置によれば、励起光の波長及び光照射に対する
試料の安定性に起因して、測定対象となる試料に制約が
課せられていた従来の一重項酸素測定装置とは異なり、
励起光として紫外域から可視域の任意の波長域の光を利
用することが可能になり、この範囲に光吸収特性をもつ
光増感物質を含む試料の測定が可能となった。また、フ
ィルター群からなる透過率の高い分光装置を用いた検出
部を用いることにより、検出感度が向上し、光に対して
不安定で、かつ少量しか入手出来ない貴重な試料の測定
も可能になった。従って、本発明の一重項酸素測定装置
を、紫外域から可視域まで幅広いスペクトル特性を有す
る太陽光の生体に及ぼす影響と一重項酸素との関連性を
知る手段として幅広く応用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一重項酸素測定装置の好ましい一実施
形態の構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1及び比較例1で測定された一重項酸素
の発光スペクトルを示す図である。
【図3】実施例2で測定された一重項酸素の発光スペク
トルを示す図である。
【符号の説明】
1 光源部 2 変調部 3 試料部 4 検出部 5 信号処理部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紫外域から可視域の一部又は全部に連続
    した発光スペクトルを有する光源と、近赤外光をカット
    するフィルター群から構成される分光装置とを備えた光
    源部、 上記光源からの光に強度変調を加える変調部、 強度変調された光が照射されるセルを備えた試料部、 上記試料部からの発光のうち一重項酸素に由来する近赤
    外発光を選別するフィルター群から構成される分光装置
    と、近赤外検出器とを備えた検出部、及び上記検出部か
    らの信号を処理する信号処理部を有することを特徴とす
    る一重項酸素測定装置。
  2. 【請求項2】 上記光源部の分光装置が、一重項酸素に
    由来する近赤外発光が現れる1100〜1400nmの
    波長域の光をカットし且つ250〜1000nmの波長
    域の光の一部又は全部が透過可能なフィルター群から構
    成される分光装置である、請求項1記載の一重項酸素測
    定装置。
  3. 【請求項3】 上記検出部の分光装置が、1150〜1
    350nmの範囲に透過極大波長を一つだけ有し且つ半
    値幅が100nm以下である近赤外干渉フィルターと、
    1150〜1350nm以外の400〜2000nmの
    波長域の光をカットするカットフィルター群とを備えた
    分光装置である、請求項1又は2記載の一重項酸素測定
    装置。
  4. 【請求項4】 上記試料部のセルが、石英製の固定セル
    である請求項1〜3の何れかに記載の一重項酸素測定装
    置。
  5. 【請求項5】 上記試料部のセルが、空気又は酸素ガス
    の吹き込み口を備えたセルである、請求項1〜4の何れ
    かに記載の一重項酸素測定装置。
  6. 【請求項6】 上記信号処理部が、上記検出部からの信
    号を増幅する増幅機能、該増幅機能により増幅された信
    号から上記変調部の変調周波数と同一の周波数成分を選
    別するフィルター機能、該フィルター機能からの出力信
    号を積算する積算機能、及び該積算機能での結果を表示
    ・記録する表示記録機能を備えた信号処理部である、請
    求項1〜5の何れかに記載の一重項酸素測定装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106338469A (zh) * 2015-07-07 2017-01-18 大塚电子株式会社 光学特性测定系统以及光学特性测定系统的校正方法

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