JPH09149938A

JPH09149938A - カテーテル

Info

Publication number: JPH09149938A
Application number: JP7335851A
Authority: JP
Inventors: Tatsuo Kinebuchi; 達夫杵渕; Akira Sekido; 章関戸
Original assignee: Nippon Zeon Co Ltd
Current assignee: Zeon Corp
Priority date: 1995-11-30
Filing date: 1995-11-30
Publication date: 1997-06-10

Abstract

(57)【要約】【課題】優れた柔軟性、プッシャビリティ及びトルク伝
達性を兼ね備え、柔軟なゴム又はプラスチック材料の有
する欠点を改良した、血管内壁を傷つけるおそれのない
カテーテルを提供する。【解決手段】近位端から遠位端まで連通するルーメンを
有し、遠位端部が近位端部より柔軟であるチューブと、
チューブルーメンと連通する中空を有し、チューブ近位
端に連接されている把持部とからなり、チューブ壁に右
巻コイルと左巻コイルが積層されて近位端から遠位端手
前まで埋め込まれていることを特徴とするカテーテル。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、カテーテルに関す
る。さらに詳しくは、本発明は、カテーテル本体の縮み
がなく、低い剛性を維持したまま高いトルク伝達性を有
し、血管内壁を傷つけるおそれのないカテーテルに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、医療技術の進歩に伴い、医療用カ
テーテルが広く利用されるようになってきている。カテ
ーテルは柔軟性のある内腔を有するものであり、例え
ば、内腔より体液や血液を排出し又は治療薬の注入をす
るためのカテーテル、導尿のための膀胱カテーテル、腹
腔、胸腔穿刺用カテーテル、脳室ドレナージカテーテ
ル、心疾患及び血管疾患の診断用のＸ線不透過性の血管
内カテーテル、輸液用及び静脈圧測定用の中心静脈カテ
ーテルなどのほか、先端にバルーンをつけ、血流により
末梢静脈より肺動脈へ進め、心内圧測定及び熱希釈法に
より心拍出量を測定する多孔性カテーテルなど、治療用
及び診断用に多種多様のものが使用されている。例え
ば、経皮経管冠動脈拡張術（ＰＴＣＡ）においては、血
管内の狭窄部を治療するために血管内に挿入して、バル
ーンを膨らませることにより狭窄部を拡張し、狭窄部末
梢側における血流の改善を図るために、バルーンカテー
テルが使用される。バルーンカテーテルの狭窄部への侵
入を案内するために、先にガイディングカテーテルを狭
窄部の手前の冠動脈入口に位置させ、次いでバルーンカ
テーテルを狭窄部まで挿入し、バルーンを膨らませるこ
とにより狭窄部を拡張する。また、頻脈性不整脈の治療
には、電極カテーテルを経皮的に心腔内に挿入し、電極
カテーテルの先端から直流又は高周波電流を通電し、不
整脈の原因となっている組織、例えば、ケント束などを
焼灼（アブレーション）するカテーテルアブレーション
が行われている。カテーテルを体腔内に挿入するために
は、カテーテルが血管や気管などの形状に応じて自由に
屈曲しうる柔軟性を有すると同時に、屈曲した体腔内へ
押し込むことのできる剛性、いわゆるプッシャビリティ
を有することが必要である。また、体外の操作部から先
端を自由に回転させることのできるトルク伝達性も要求
される。比較的屈曲の程度の少ない部位に対しては、金
属製のカテーテルの使用が可能である。しかし、屈曲の
多い部位に対しては柔軟なゴム又はプラスチック製のカ
テーテルの使用が必要であるが、その際にはプッシャビ
リティとトルク伝達性と柔軟性が同時に満足されないこ
とが多く、問題となっている。その他、カテーテル材料
に対しては、血液と接触する用途においては抗血栓性の
高いこと、消化液と接触する用途においては耐加水分解
性が高いこと、栄養剤と接触する用途においてはオイル
分の吸収による強度低下を起こさないこと、さらに永久
伸びが小さいことなど、さまざまな性能が要求される
が、十分な柔軟性とプッシャビリティとトルク伝達性を
兼ね備えた上で、これらの要求に応えうる材料はこれま
で存在しなかった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた柔軟
性、プッシャビリティ及びトルク伝達性を兼ね備え、柔
軟なゴム又はプラスチック材料の有する欠点を改良し
た、血管内壁を傷つけるおそれのないカテーテルを提供
することを目的としてなされたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カテーテルのチ
ューブ壁に右巻コイルと左巻コイルを積層して近位端か
ら遠位端手前まで埋め込むことにより、柔軟性を保った
まま良好なトルク伝達性を与えうることを見いだし、こ
の知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は、（１）近位端から遠位端まで連通するル
ーメンを有し、遠位端部が近位端部より柔軟であるチュ
ーブと、チューブルーメンと連通する中空を有し、チュ
ーブ近位端に連接されている把持部とからなり、チュー
ブ壁に右巻コイルと左巻コイルが積層されて近位端から
遠位端手前まで埋め込まれていることを特徴とするカテ
ーテル、及び、（２）チューブ壁に右巻コイルと左巻コ
イルとが積層して近位端から遠位端手前まで埋め込まれ
ており、遠位端部が近位端部より柔軟であるチューブ、
チューブルーメンの遠位端部に先端が固定され、ルーメ
ン内の遠位端部から近位端まで挿通して近位端から後端
が延出する線状体、及び、線状体の後端と接続されチュ
ーブ近位端に連接された操縦手段とを有し、操縦手段に
より線状体をチューブ軸方向に移動してチューブ遠位端
部の向きを変えることを特徴とするカテーテル、を提供
するものである。

【０００５】

【発明の実施の形態】以下、図面により本発明を詳細に
説明する。図１(ａ)は、本発明のカテーテルの一態様の
平面図であり、図１(ｂ)は、Ａ−Ａ線断面図であり、図
１(ｃ)は、カテーテルに接続するＹコネクターの平面図
である。本発明のカテーテルは、チューブ１及び把持部
２よりなる。チューブは、近位端３から遠位端４まで連
通するルーメンを有し、遠位端部５は近位端部６より柔
軟であり、チューブ壁には右巻コイルと左巻コイルが積
層して近位端から遠位端手前７まで埋め込まれている。
把持部は、チューブルーメンと連通する中空８を有し、
チューブ近位端に連接されている。把持部には、翼状の
滑り止め突起９を設けることが好ましい。把持部には、
コネクター１１によりＹコネクター１２などを接続する
ことができる。Ｙコネクターは、通常ＰＴＣＡバルーン
カテーテルなどの挿入ポート１３と造影剤などの注入ポ
ート１４を有する。本発明のカテーテルは、チューブ壁
に右巻コイルと左巻コイルを積層して近位端から遠位端
手前まで埋め込む。図２は、左巻コイルの斜視図であ
る。本発明に使用する右巻コイル及び左巻コイルは、図
２に示すように全体としてチューブ状の形状を有する。
このようなコイルは、素線を巻くことにより、あるいは
チューブを研削加工することにより得ることができる。
コイルを構成する材料は、ヤング率が５×１０¹⁰〜６０
×１０¹⁰Ｐａであることが好ましく、ヤング率が１０×
１０¹⁰〜５５×１０¹⁰Ｐａであることがより好ましい。
このような材料としては、例えば、亜鉛、チタン、鉄、
銅、ニッケル、白金、コンスタンタン、黄銅、ステンレ
ス鋼などを挙げることができる。

【０００６】本発明に用いるチューブ状のコイルは、通
常は巻径が一定のものであるが、カテーテルの特定の位
置を屈曲しやすくするために、径を途中で変化させたコ
イル、材料のヤング率を途中で変化させたコイル、素線
の太さを途中で変化させたコイルなどを使用することが
できる。コイルを構成する素線は、隣接する線材が面で
接することが好ましい。図３は、本発明に用いるコイル
の断面図である。図３(ａ)に示すコイルは素線の断面が
長方形であり、図３(ｂ)に示すコイルは素線の断面が六
角形であり、図３(ｃ)に示すコイルは素線の断面が山形
であり、図３(ｄ)に示すコイルは素線の断面が凸形であ
り、いずれも隣接する線材が面で接する。カテーテルに
かかる軸方向の圧縮力にコイルが抗して、カテーテルの
遠位端以外の部分の縮みや撓みを抑制することができ
る。素線の断面が円形であると、隣接する線材は線接触
となるので、軸方向の圧縮力がかかると接触部分がずれ
て、カテーテルに望ましくない変形を生ずるおそれがあ
る。本発明のカテーテルは、チューブ壁に右巻コイルと
左巻コイルが積層して近位端から遠位端手前まで埋め込
まれている。図４(ａ)は、本発明のカテーテルの遠位端
近傍の一部破断図であり、図４(ｂ)は、図４(ａ)のＢ−
Ｂ線断面図である。本発明のカテーテルの先端には、軟
質樹脂よりなるソフトチップ１５を設けることが好まし
い。また、ソフトチップの角は、曲面を形成するように
面取りすることが好ましい。このようにカテーテルの先
端にソフトチップを設け、その角を曲面とすることによ
り、カテーテルを血管内へ推し進める際に、血管内壁を
傷つけるおそれがない。本発明のカテーテルのチューブ
は、チューブ外壁１６、外側コイル１７、内側コイル１
８及びチューブ内壁１９が積層され、チューブ内壁の内
側は、近位端から遠位端まで連通するルーメン２０とな
っている。左巻コイルと右巻コイルの積層の順には特に
制限はなく、図４においては、外側コイルが左巻コイル
で内側コイルが右巻コイルである状態が図示されている
が、外側コイルを右巻コイルに内側コイルを左巻コイル
としても全く同じ効果を得ることができる。右巻コイル
と左巻コイルを積層することにより、チューブの右周り
及び左周りの物理的特性の差が全くなくなるので、カテ
ーテルのトルク伝達性が格段に向上し、また、２本のコ
イルを積層することによりカテーテルの縮みを防ぐこと
ができるので、カテーテルの剛性を小さくし、良好な柔
軟性を保ったまま高いトルク伝達性とプッシャビリティ
を発揮することができる。

【０００７】図５は、本発明のカテーテルの遠位端近傍
の軸方向の断面図である。図５(ａ)は、先端にソフトチ
ップを有せず、チューブ壁全体が同質の材料からなるカ
テーテルを示す。図５(ｂ)は、先端にソフトチップ１５
を有し、チューブ外壁１６とチューブ内壁１９が異なる
材料で形成されているカテーテルを示す。このような構
成とする場合は、ソフトチップを軟質樹脂で作製し、チ
ューブ外壁及びチューブ内壁を硬質樹脂で作製し、かつ
チューブ内壁をチューブ外壁より硬度の高いものとする
ことが好ましい。樹脂材料の硬度を、ソフトチップ、チ
ューブ外壁、チューブ内壁の順に高めることにより、カ
テーテルの操作性を向上することができる。本発明のカ
テーテルに用いる樹脂材料としては、形状保持性と弾力
性を有する材料であれば特に制限はなく、例えば、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレ
タン、ポリアミド、ポリイミド、シリコーンなどを使用
することができる。これらの中で、ポリウレタンは、抗
血栓性を有し、原料であるポリオールとポリイソシアネ
ートの選択により軟質より硬質まで硬度を広範囲に調整
することができ、相互の接着性が良好であるので特に好
適に使用することができる。さらに本発明のカテーテル
には、必要に応じて、表面に抗血栓性材料などのコーテ
ィングを施すことができる。図５(ｃ)は、外側コイル１
７が内側コイル１８より短く、遠位端部に存在しないカ
テーテルを示す。このような構造とすることにより、遠
位端部を近位端部より柔軟にすることができる。遠位端
部を近位端部より柔軟にする方法としては、このように
コイルの一部を欠くほかに、遠位端部に相当する部分の
弾性率が低いコイルを用いる方法や、遠位端部において
弾性率の低い樹脂材料を使用する方法などを挙げること
ができる。本発明のカテーテルにおいて、把持部は図１
(ｂ)に示すように、チューブルーメンと連通する中空を
８を有し、チューブ近位端に連接される。把持部には、
医師が握りやすくするため、外径を大きくし、あるい
は、翼状の滑り止め突起を設けることができる。把持部
の近位端には、シリンジ、Ｙコネクターなどを接続する
ためのコネクター１１を設けることができる。

【０００８】本発明のカテーテルには、遠位端部を屈曲
させるための線状体及び操縦手段を設けることができ
る。図６(ａ)は、線状体を設けた本発明の別の態様のカ
テーテルの遠位端近傍の軸方向の断面図であり、図６
(ｂ)は、図６(ａ)のＣ−Ｃ線断面図である。チューブル
ーメン内に長い金属板２１が挿通されていて、遠位端部
５において金属板に線状体１０が固定されている。必要
に応じて、線状体を絶縁性の被覆チューブで覆うことが
できる。線状体を操縦手段により牽引すると、図６(ｂ)
の遠位端部は、図の右方へ移動する。図７は、遠位端部
の屈曲状態の説明図である。金属板２１に固定した線状
体１０を牽引することにより、カテーテルの遠位端部は
屈曲して、ソフトチップ１５は、図７(ａ)の位置から図
７(ｂ)の位置へ移動する。本発明のカテーテルにおいて
は、線状体をチューブ軸方向に移動するための操縦手段
を設ける。操縦手段は、チューブ近位端に連接し、ルー
メン内の遠位端部から近位端まで挿通して、近位端から
延出する線状体の後端と接続する。操縦手段の構造は、
線状体をチューブ軸方向に移動することができるもので
あれば特に制限なく使用することができる。例えば、チ
ューブ軸方向に移動可能なレバーと、これと連動してチ
ューブ軸方向に移動する移動部材を具備するものを使用
することができ、あるいは、回動部材とこの回動部材の
回動に連動してチューブ軸方向に移動する移動部材を具
備するものを使用することができる。図８は、本発明の
カテーテルに用いる操縦手段の一態様の部分破断図であ
る。チューブの近位端から延出した線状体１０をスライ
ダー２２の先端に固定する。スライダーは、円柱形の両
側部と底部を切除したかまぼこ形であり、円弧面に雄ネ
ジ２３が螺刻されている。ハウジング２４には、雌ネジ
２５を螺刻した環状ハンドル２６が設けられている。ス
ライダーは、２個の圧縮ばね２７により上方へ押し上げ
られ、スライダーの雄ネジと環状ハンドルの雌ネジが螺
合している。スライダーは、また、スライダーの後端に
設けた付勢ばね２８により近位端側へ付勢されている。
スライダーの後部には、雄ネジと雌ネジの螺合を解除す
るための押釦２９が設けられている。環状ハンドルの外
径は、操縦手段の操作性を良好にするために、ハウジン
グの外径より大きくすることが好ましい。スライダー
が、ハウジングの中で先端側に位置するときは、線状体
は牽引されず、カテーテルの遠位端部は真っすぐになっ
ている。環状ハンドルを回転し、スライダーを後退させ
ることにより、線状体が牽引されカテーテルの遠位端部
は屈曲する。環状ハンドルの回転により、カテーテルの
遠位端部の屈曲状態を微妙に調整することができる。カ
テーテルの遠位端部を屈曲状態から真っすぐな状態に急
速に戻す場合は、押釦を押して雄ネジと雌ネジの螺合を
解除することにより、スライダーが付勢ばねにより押し
戻され、線状体の牽引を解除する。図９(ａ)は、本発明
のカテーテルの別の態様の遠位端近傍の断面図であり、
図９(ｂ)は、図９(ａ)のＤ−Ｄ線断面図である。この実
施例では、ルーメン２０が２本あり、１本は線状体１０
が挿通できる内径で遠位端手前から近位端まで連通して
いる。もう１本は、近位端から遠位端まで連通してい
る。線状体１０は副ルーメン（細い方）内を挿通し、そ
の先端が内側コイル１８に固定されている。線状体を牽
引すると、カテーテルの先端の向きが図９(ｂ)において
下向きに曲がる。なお、線状体を対角線上に２本以上挿
通配置すれば、カテーテルの向きを自在に向けることが
できる。

【０００９】

【発明の効果】本発明のカテーテルは、チューブに右巻
コイルと左巻コイルを積層して埋め込んでいるので、カ
テーテルの剛性が小さく柔軟性が良好であり、チューブ
の右周りと左周りの物理的特性の差がないので、トルク
伝達性に優れ、血管内壁を傷つけることなく使用するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明のカテーテルの一態様の平面図
及び断面図である。

【図２】図２は、左巻コイルの斜視図である。

【図３】図３は、コイルの断面図である。

【図４】図４は、本発明のカテーテルの遠位端近傍の一
部破断図及び断面図である。

【図５】図５は、本発明のカテーテルの遠位端近傍の断
面図である。

【図６】図６は、本発明のカテーテルの別の態様の遠位
端近傍の断面図である。

【図７】図７は、遠位端部の屈曲状態の説明図である。

【図８】図８は、操縦手段の一態様の部分破断図であ
る。

【図９】図９は、本発明のカテーテルの別の態様の遠位
端近傍の断面図である。

【符号の説明】

１チューブ２把持部３近位端４遠位端５遠位端部６近位端部７遠位端手前８中空９滑り止め突起１０線状体１１コネクター１２Ｙコネクター１３挿入ポート１４注入ポート１５ソフトチップ１６チューブ外壁１７外側コイル１８内側コイル１９チューブ内壁２０ルーメン２１金属板２２スライダー２３雄ネジ２４ハウジング２５雌ネジ２６環状ハンドル２７圧縮ばね２８付勢ばね２９押釦

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】近位端から遠位端まで連通するルーメンを
有し、遠位端部が近位端部より柔軟であるチューブと、
チューブルーメンと連通する中空を有し、チューブ近位
端に連接されている把持部とからなり、チューブ壁に右
巻コイルと左巻コイルが積層されて近位端から遠位端手
前まで埋め込まれていることを特徴とするカテーテル。
【請求項２】チューブ壁に右巻コイルと左巻コイルとが
積層して近位端から遠位端手前まで埋め込まれており、
遠位端部が近位端部より柔軟であるチューブ、チューブ
ルーメンの遠位端部に先端が固定され、ルーメン内の遠
位端部から近位端まで挿通して近位端から後端が延出す
る線状体、及び、線状体の後端と接続されチューブ近位
端に連接された操縦手段とを有し、操縦手段により線状
体をチューブ軸方向に移動してチューブ遠位端部の向き
を変えることを特徴とするカテーテル。