JPH09145008A - 圧力容器のヘッダ強度の算出方法及び判定方法 - Google Patents

圧力容器のヘッダ強度の算出方法及び判定方法

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JPH09145008A
JPH09145008A JP32404295A JP32404295A JPH09145008A JP H09145008 A JPH09145008 A JP H09145008A JP 32404295 A JP32404295 A JP 32404295A JP 32404295 A JP32404295 A JP 32404295A JP H09145008 A JPH09145008 A JP H09145008A
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pressure vessel
heat transfer
plate
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JP32404295A
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Masahiro Murata
正廣 村田
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MIURA KENKYUSHO KK
Miura Co Ltd
Original Assignee
MIURA KENKYUSHO KK
Miura Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短時間で精度の良く圧力容器のヘッダ強度の
解析を行える算出方法を提供することであり、かつ、こ
の強度の算出の結果に基づいて、設計が適切かどうかを
即時に判定可能な方法を提供することである。 【解決手段】 複数の伝熱管(1)(1)…を列状に配置した
状態で接続したヘッダ(2)(2)を有する圧力容器におい
て、前記伝熱管(1)(1)…の各列を平板(O),(A),(B)とみ
なして、ヘッダ強度の算出を行う圧力容器のヘッダ強度
の算出方法であり、この圧力容器のヘッダ強度の算出方
法による結果を、予め設定してある応力値と比較するよ
うにした圧力容器のヘッダ強度の判定方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、圧力容器等にお
ける伝熱管を接続するヘッダ部において、その強度を求
める方法、及び求められた強度に基づいて強度設計の適
否を判定する方法に関するものであり、前記圧力容器と
しては、多管式の水管ボイラのみならず、矩形のシェル
アンドチューブ式の熱交換器等にも適用できる圧力容器
のヘッダ強度の算出方法及び判定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、複雑な形状の構造物における応力
解析は、3次元有限要素法による解析が一般的に行なわ
れているが、この解析方法によると、解析モデルの設定
や、解析要素の設定、データの入力等に手間もかかる
他、実際の計算においても膨大な時間が必要であった。
例えば、圧力容器について応力解析を行う場合、円柱形
状等の2次元的に解析可能な単純な形状のものについて
は、前述のような3次元有限要素法による解析によらず
とも容易に結果の出力が得られるが、ヘッダ部等のよう
に平板(ヘッダの管板)に複数の円柱(伝熱管)を接続
したような構造物では応力解析に長時間を要するため
に、設計を一旦中断せざるを得ない状況もある。しか
し、従来このような応力解析の理論は、伝熱管を接続し
ていない単なる半円筒容器に関する研究が発表されてい
るのみであった(野原、宮田、「ボイラ研究」第84巻
(1964年4月)p.6−21)。従って、現状にお
ける強度設計は、実機そのものの歪み測定か、破壊テス
トに基づかざるを得ないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、この発明が解
決しようとする課題は、短時間で精度の良く圧力容器の
ヘッダ強度の解析を行える算出方法を提供することであ
り、かつ、この強度の算出の結果に基づいて、設計が適
切かどうかを即時に判定可能な方法を提供することであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、前記の課題
に鑑みてなされたもので、先ず、圧力容器のヘッダ強度
の算出方法については、複数の伝熱管を列状に配置した
状態で接続したヘッダを有する圧力容器において、前記
伝熱管の各列を平板とみなして、ヘッダ強度の算出を行
うことを第1の特徴とし、前記各平板における前記ヘッ
ダの単位長さ当りの断面2次モーメントを、前記各列に
おける伝熱管前記単位長さ当りの断面2次モーメントと
一致させたことを第2の特徴とし、前記ヘッダを構成す
るとともに前記複数の伝熱管を接続する管板について、
前記各平板と管板との各接続部におけるモーメントと力
を、各平板の厚み方向に亘って分布させた分布荷重とす
ることにより、ヘッダ強度の算出を行うことを第3の特
徴とし、更に、前記ヘッダが、その板厚の数倍程度の曲
率を持った湾曲部を有する場合には、この部分を厚板の
曲り梁に置換して圧力容器のヘッダ強度の算出を行うこ
とを第4の特徴とするものである。この発明に係る圧力
容器のヘッダ強度の判定方法については、前記の圧力容
器のヘッダ強度の算出方法による結果を、予め設定して
ある応力値と比較するようにしたことを特徴とするもの
である。
【0005】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態としては、
多管式の水管ボイラのヘッダ部の他、矩形のシェルアン
ドチューブ式の熱交換器等におけるヘッダ部についての
強度の判定に利用することができる。特に、この発明に
おいては、ヘッダに複数の伝熱管を接続した構造のもの
において適用でき、特に整列配置された複数列の伝熱管
を有する構造への適用が好ましい。尚、通常このような
ヘッダは、平板状の管板と胴板を接続して密閉状態の容
器として構成されており、前記伝熱管は管板に接続され
ている。この発明に係る圧力容器のヘッダ強度の算出方
法は、具体的には、前記伝熱管の各列を平板とみなすこ
とにより、複雑な3次元構造をより簡単な2次元構造と
して捉えられることができるため、ヘッダ強度の算出が
容易になり、短時間で行えることになる。そして、前記
各平板における前記ヘッダの単位長さ当りの断面2次モ
ーメントを、前記各列における伝熱管の前記単位長さ当
りの断面2次モーメントと一致させて前記ヘッダの強度
の算出を行うことにより、実際の応力値に近づけること
ができる。更に、前記各平板と管板との各接続部におけ
るモーメントと力を、各平板の厚み方向に亘って分布さ
せた分布荷重とすることにより、圧力容器のヘッダ強度
の算出を行うことで、前記管板の応力分布を実測値に近
づけることができる。特に、ヘッダが略蒲鉾形断面状等
であり、その板厚の数倍程度の曲率を持った湾曲部を有
する場合には、この部分を厚板の曲り梁に置換して圧力
容器のヘッダ強度の算出を行うことにより、更に実測値
に近づけることができ、精度の高い値を求めることがで
きる。更に、この発明に係る圧力容器のヘッダ強度の判
定方法については、前記の圧力容器のヘッダ強度の算出
方法による結果を、予め設定してある応力値と比較する
ことにより、圧力容器のヘッダ強度の判定が即座に行
え、更に前記管板の応力分布も実測値に近いものを得る
ことができるから、ヘッダ各部の強度を必要以上に高く
(即ち、各部の寸法を必要以上に大きく)設計するとい
った問題も解消でき、精度の高い強度設計が行える。
【0006】
【実施例】以下、この発明の具体的な実施例を、複数の
伝熱管を複数列配置してなる多管式の水管ボイラに適用
した場合について説明する。尚、図1は、この発明を適
用する水管ボイラの缶体の断面形状の説明図で、図1
(a) は管板及び伝熱管の配置を示す平面図、図1(b) は
側面図、図1(c) は図1(b) のY−Y線断面におけるヘ
ッダ部分周辺の拡大図である。図2は、図1に示す水管
ボイラの缶体のヘッダの主要部の応力を算出するための
解析モデルの説明図で、図2(a) は解析モデルの縦断面
図、図2(b) は図1に示すボイラの伝熱管の配置を示す
平面図、図2(c) は図2(a) の解析モデルの平面図であ
る。図3は、図2に示す解析モデルのヘッダの縦断面形
状の詳細説明図である。
【0007】先ず、図1に示す缶体構造について説明す
る。この缶体構造は、複数の伝熱管(1)(1)…を複数列配
置し、それらの上下端のそれぞれを略蒲鉾形断面形状の
上下ヘッダ(2)(2)に接続してある。前記複数の伝熱管
(1)(1)…は、互いに千鳥状配列となるように配置してあ
る。尚、5列の伝熱管(1)(1)…のうち、最外列について
は隣合う伝熱管間にフィン状部材(3)(3)…を固定するこ
とによって、前記隣合う伝熱管(1)(1)…間に形成される
隙間を閉塞している。このような缶体構造については、
伝熱管(1)(1)…が存在する箇所と存在しない箇所とで断
面形状が異なっており、前述したように従来の応力解析
には、3次元構造のモデルを設定し、3次元有限要素法
に基づく解析により強度設計を行っていた。この発明に
おいては、前記伝熱管(1)(1)…の各列を、それぞれ、平
板とみなすことにより、複雑な3次元構造のモデルをよ
り簡単な2次元構造のモデルとして捉えて、強度の算出
を行う。
【0008】以下、具体的に説明すると、先ず、前記伝
熱管(1)(1)…の各列を平板(O),(A),(B) とみなして、前
記ヘッダ(2)(2)の単位長さ当りにおける各平板(O),(A),
(B)の断面2次モーメントを、前記各列の伝熱管(1)(1)
…の前記単位長さ当りにおける断面2次モーメントと一
致させる。前記のヘッダ(2)(2)の単位長さは、ヘッダ
(2)(2)の長手方向、即ち、図1(a) における図面の左右
方向にとっている。この際、前記伝熱管(1)(1)…の単位
長さ当りの断面2次モーメントを算出するにあたって
は、5列配置の伝熱管(1)(1)…の両外側の列の1ピッチ
分S(図2(b) における斜線を附した範囲)について、
各列の伝熱管(1)(1)…の断面2次モーメントを求め、こ
の1ピッチ分Sの長さ当りの断面2次モーメントを前記
の単位長さ当りの断面2次モーメントとする。尚、図1
に示す缶体構造では、両側の伝熱管列には、伝熱管(1)
(1)…の間にフィン状部材(3)(3)…を介在させてあるた
め、このフィン状部材(3)(3)…を含めた状態で、曲げに
対して等価な断面2次モーメントを持つ板で置き換え
る。ここで、前記伝熱管(1)(1)…のうち、中央の列をO
列とし、外側の列の順に、A列、B列とすると、各列の
伝熱管(1)(1)…は、それぞれ、平板(O),(A),(B) に置換
される。また、前記のヘッダ(2)(2)については、その断
面形状に応じて単純な形状の複数の部分に分解する。即
ち、ヘッダ(2)(2)を構成する部材を、伝熱管(1)(1)…を
接続する管板(4) と、この管板(4) に固定する胴板(5)
とに分割する。更に、この管板(4) を要素I とし、前記
胴板(5) を、両側の管板(4) と垂直をなす平板状の部分
(側板部)を要素II,この要素II(側板部)に連なる曲
率半径の小さな部分(肩部)を要素III ,この要素III
(肩部)に連なる曲率半径の大きな部分(頂部)を要素
IVとする。また、管板(4) と各平板(O),(A),(B) との接
続部分をそれぞれO点,A点,B点とし、管板(4) と要
素IIとの接続部を点C、要素IIと要素III との境界部を
D点、要素III と要素IVとの境界部をE点、要素IVの中
央部をF点とする。尚、前記缶体構造の縦断面の中心
は、前記O列の伝熱管(1)(1)…の長手方向の中心部に設
定した。
【0009】ここで、 t1 : 管板(4) の板厚 t2 : 胴部(5) の板厚 θ1 : 要素IVの円弧の角度 θ2 : 要素IIの円弧の角度 AO : O列の伝熱管の単位長さ当りの断面積 AA : A列の伝熱管の単位長さ当りの断面積 AB : B列の伝熱管の単位長さ当りの断面積 r1 : 要素IVの曲率半径 r2 : 要素III の曲率半径 LS : 伝熱管長さの1/2 L1 : 要素IIの長さ L2 : O列の伝熱管中心からA列の伝熱管中心までの距離 L3 : O列の伝熱管中心からB列の伝熱管中心までの距離 d : 管板(4) の幅 I1 : 管板(4) の単位長さ当りの断面2次モーメント I2 : 胴板(5) の単位長さ当りの断面2次モーメント I3 : 平板(A) の単位長さ当りの断面2次モーメント I4 : 平板(B) の単位長さ当りの断面2次モーメント E : ヤング率 δ : 加圧後の管板の中心部を固定(座標軸原点)として考えたときの 加圧前後のたわみ量 ΣyA : A列の平板(A) に及ぼす力、モーメント、圧力によるたわみ量 ΣyB : B列の平板(B) に及ぼす力、モーメント、圧力によるたわみ量 である。 未知数としては、前記たわみ量δの他に、O点,A点,
B点,C点,D点,E点,F点の各点における反力,モ
ーメント,垂直力,剪断力があり、これらについては次
の表1に示す。
【0010】
【表1】
【0011】加圧後の管板(4) と伝熱管(1)(1)…の垂直
方向変位の連続性から、O列における撓みは、 δ=(RO S )/(EAO ) ・・・・式1 A列における撓みは、 δ=ΣyA +(RA S )/(EAA ) ・・・・式2 B列における撓みは、 ΣyB =δ+(RB S )/(EAB ) ・・・・式3 となる。
【0012】加圧後も管板(4) と、伝熱管(1)(1)…の端
部、及び要素IIの端部は直交すると仮定すると、A列に
おいては、 ΣθA =−(MA S )/(EI3 ) ・・・・式4 B列においては、 ΣθB =−(MB S )/(EI4 ) ・・・・式5 胴板(5) の要素IIにおいては、 ΣθC =θIIC ・・・・式6 となる。
【0013】胴板(5) の力とモーメントの釣り合いにお
いて、胴板(5) の各要素II,III ,IVの各部について、
垂直方向、水平方向の力の釣合い及びモーメントの釣合
いよりそれぞれ3つの式が成立する。先ず、要素IIにお
いては、 QC =QD ・・・・式7 pL3 +PD −PC =0 ・・・・式8 −MC +pL3 2/2+PD 3 +MD =0 ・・・・式9 要素III においては、 PEsinθ2 +QEcosθ2 −QD −pr2 (1− cosθ2 )=0 ・・・・式10 PEcosθ2 −QEsinθ2 −PD +pr2sinθ2 =0 ・・・・式11 −MD +PE 2cosθ2 −QE ・r2 (1− cosθ2 )+ME +pr2 2(1 − cosθ2 )=0 ・・・・式12 要素IVにおいては、 −PE cos θ1 −QE sin θ1 +pr1sinθ1 =0 ・・・式13 −PE sin θ1 +QE cos θ1 +pr1 (1− cosθ1 )−QF =0 ・・・・式14 −ME −QF 1 (1− cosθ1 )+MF +pr1 2(1− cosθ1 )=0 ・・・・式15 である。
【0014】また、伝熱管(1)(1)…における力の釣合い
より RO /2+RA −RB =0 ・・・・式16 管板(4) と胴板(5) の水平方向の変位の連続性より δCX−(PCD/2Et1)=0 ・・・・式17 が成り立つ。
【0015】以上の17元連立1次方程式を解くことに
より、前述の17個の各未知数、即ち、δ,RO
A ,RB ,MA ,MB ,MC ,MD ,ME ,MF ,Q
C ,QD,QE ,QF ,PC ,PD ,PE を求めること
ができる。
【0016】以上の解析手法を、前記図1,2に示すヘ
ッダ(2)(2)及び伝熱管(1)(1)…の諸寸法,材料定数,圧
力条件を、表2〜4に示す値としたものに適用して行っ
た結果と、前記の3次元有限要素法による解析結果、及
び実測値との比較を図4,5に示す。尚、図4は、胴板
部分における応力分布の比較図であり、図5は、管板部
分における応力分布の比較図である。また、各図中の実
線はこの発明における解析手法によって得られた応力σ
t ,σx を、破線は3次元有限要素法による得られた応
力値を示す。ここで、前記応力σt は、胴板(5) の外側
表面における応力値であり、前記応力σx は、管板(4)
の外側表面における応力値であって、各図における原点
は、管板(4) と胴板(5) の接続部としている。図4,5
中の●印は、ヘッダ(2)(2)の外表面に歪みゲージを張付
けて求めた応力の実測値である。また、図4中のC点〜
D点は要素IVの部分,D点〜E点は要素III の部分、E
点〜F点は要素IIの部分に該当する。また、図5中の記
号AはA列の伝熱管(1)(1)…の中心、BはB列の伝熱管
(1)(1)…の中心を示す。図5において、3次元有限要素
法による解析結果の示す応力値は、伝熱管(1)(1)…同士
の隙間中央部の値である。ここで、以上の解析結果は、
より精密な解析を行うために、前記管板(3) に平板(A),
(B) によって加わるモーメントMA ,MB と反力RA
B とを各平板(A),(B) の厚み方向に亘って分布させた
分布荷重によるモーメントとして解析しており、更に、
その板厚の数倍程度の曲率を持った湾曲部を有する要素
IIを厚板の曲り梁に置換することにより解析を行った結
果を示している。
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】
【表4】
【0020】図示するように、この発明における解析結
果は、実測値、或は3次元有限要素法による解析結果と
比べて、部分的に差異(胴板(5) においては要素III と
要素IVとの接続部、管板(4) においてはX方向中心部近
傍)はあるものの、各部材の最少板厚を決定する最大応
力に着目すると、よく一致している。更に、この発明に
係る圧力容器のヘッダ強度の判定方法については、前記
の圧力容器のヘッダ強度の算出方法による結果を、予め
設定してある応力値と比較することにより、ヘッダの強
度設計が適切であるかどうか、また、過剰設計に鳴って
いないかどうかの判断、即ち、各部の寸法や、選択した
材料の引張り強さが適切なものであるかどうかの判定を
行うことができる。しかも、この判定方法においては、
前記の算出方法によりヘッダ強度が即時に求まるため、
ヘッダ各部の強度を必要以上に高く(即ち、各部の寸法
を必要以上に大きく)設計するといった問題も解消で
き、精度の高い強度設計の判定が行える。しかも、前記
図4、5に示す解析結果によると、実測値、或は3次元
有限要素法による解析結果と比べて、部分的に差異が生
じているが、この差異は、実測値よりも若干大きい値を
とるため、予め選択した材料の許容応力値や、設計基準
に基づく許容応力値等から最少板厚を決定する場合にお
いて、安全側となるため、この発明によるヘッダ強度の
判定方法は、同様なヘッダの強度設計に適用可能と言え
る。
【0021】上述の算出方法及び判定方法は、図6に示
すマイクロコンピュータのソフトウェアで実行され、算
出装置及び判定装置(共に図示省略)として構成され
る。以下、図6に基づいて、処理手順を説明する。先
ず、ステップ1において、ヘッダ(2)(2)周辺の各部の設
計値(寸法、引張り強さ等)を入力し、ステップ2にお
いて、予め選択した材料の許容応力値や、設計基準に基
づく許容応力値等を基準値として入力する。次のステッ
プ3では、伝熱管(1)(1)…の各列を断面2次モーメント
の等価な平板(O),(A),(B) に置き換えて、この各平板
(O),(A),(B) の寸法を求める。次のステップ4では、前
記ヘッダ(2)(2)が、その板厚の数倍程度の曲率を持った
湾曲部を有するかどうかを前記設計値から判断し、その
ような湾曲部を有する場合には、ステップ5において、
この部分を厚板の曲り梁に置換し、無い場合にはステッ
プ5を実行せず、ステップ6に移る。ステップ6では、
前述の17元連立1次方程式の解に基づいて各部に働く
力、モーメントを算出する。ステップ7では、ステップ
6の算出結果のうち、前記管板(3) に平板(A),(B)によ
って加わるモーメントMA ,MB 、及び反力RA ,RB
を各平板(A),(B) の厚み方向に亘って分布させた分布荷
重に変換し、次のステップ8で、この分布荷重によるモ
ーメントに基づいて管板(3) の応力分布を求める。そし
て、ステップ9では、以上の算出の結果を出力する。こ
の際の出力先は、通常、適宜の表示装置や印刷装置等に
行われるが、最終的な判定結果のみの出力でよい場合に
は、この装置のメモリに対して出力してもよい。次のス
テップ10においては、ステップ9までで求めた算出結
果と前述の基準値とを比較し、強度設計の適否を判断
し、ステップ11においてその結果を、適宜の表示装置
や印刷装置等に出力する。以上のような各処理ステップ
をソフトウェアとして、パーソナルコンピューターやポ
ケットサイズのコンピュータ等に組み込んで、算出装置
及び判定装置として実施することにより、圧力容器のヘ
ッダの設計時において、机上で即座に精度の高い強度設
計の判定が行える。
【0022】
【発明の効果】この発明に係る圧力容器のヘッダ強度の
算出方法によれば、伝熱管の各列を平板とみなすことに
より、複雑な3次元構造をより簡単な2次元構造として
捉えて強度の算出を行うようにしたので、歪みゲージに
よる実測を行ったり、或は3次元の有限要素法による解
析装置を用いること無く、容易にヘッダ強度の算出を行
うことができ、しかも、前述の測定のための実験や、解
析装置による解析のためのデータ入力時間や算出時間が
不要なものとなり、圧力容器のヘッダ強度の算出が即座
に行える。更に、各平板におけるヘッダの単位長さ当り
の断面2次モーメントを、各列における伝熱管の前記単
位長さ当りの断面2次モーメントと一致させて前記ヘッ
ダの強度の算出を行うことにより、実際の応力値に近づ
けることができる。更に、前記各平板と管板との各接続
部におけるモーメントと力を、各平板の厚み方向に亘っ
て分布させた分布荷重として、圧力容器のヘッダ強度の
算出を行うことにより、前記管板の応力分布を実測値に
近づけることができる。特に、ヘッダが略蒲鉾形断面状
等であり、その板厚の数倍程度の曲率を持った湾曲部を
有する場合には、この部分を厚板の曲り梁に置換して圧
力容器のヘッダ強度の算出を行うことにより、更に実測
値に近づけることができ、精度の高い強度計算が行え
る。更に、この発明に係る圧力容器のヘッダ強度の判定
方法については、前記の圧力容器のヘッダ強度の算出方
法による結果を、予め設定してある応力値と比較するこ
とにより、強度設計上必要な最大応力に耐え得るかどう
かを即座に判定できることになる。更に前記管板の応力
分布も実測値に近いものを得ることができるから、ヘッ
ダ各部の寸法を必要以上に大きく設計するといった問題
も解消でき、精度の高い強度設計が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用する水管ボイラの缶体の断面形
状の説明図で、図1(a) は管板及び伝熱管の配置を示す
平面図、図1(b) は側面図、図1(c) は図1(b) のY−
Y線断面におけるヘッダ部分周辺の拡大図である。
【図2】図1に示す水管ボイラの缶体のヘッダの主要部
の応力を算出するための解析モデルの説明図で、図2
(a) は解析モデルの縦断面図、図2(b) は図1に示すボ
イラの伝熱管の配置を示す平面図、図2(c) は図2(a)
の解析モデルの平面図である。
【図3】図2に示す解析モデルのヘッダの縦断面形状の
詳細説明図である。
【図4】ヘッダを構成する胴板部分の縦断面におけるこ
の発明による解析結果と3次元有限要素法による解析結
果及び実測値との比較図である。
【図5】ヘッダを構成する管板部分の縦断面におけるこ
の発明による解析結果と3次元有限要素法による解析結
果及び実測値との比較図である。
【図6】この発明の一実施例の判定処理手順を示すフロ
ーチャート図である。
【符号の説明】
(1) 伝熱管 (2) ヘッダ (3) フィン状部材 (4) 管板 (5) 胴板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の伝熱管(1)(1)…を列状に配置した
    状態で接続したヘッダ(2)(2)を有する圧力容器におい
    て、前記伝熱管(1)(1)…の各列を平板(O),(A),(B) とみ
    なして、ヘッダ強度の算出を行うことを特徴とする圧力
    容器のヘッダ強度の算出方法。
  2. 【請求項2】 前記各平板(O),(A),(B) における前記ヘ
    ッダ(2)(2)の単位長さ当りの断面2次モーメントを、前
    記各列における伝熱管(1)(1)…の前記単位長さ当りの断
    面2次モーメントと一致させたことを特徴とする請求項
    1記載の圧力容器のヘッダ強度の算出方法。
  3. 【請求項3】 前記ヘッダ(2) を構成するとともに前記
    複数の伝熱管(1)(1)…を接続する管板(4) について、前
    記各平板(O),(A),(B) と管板(4) との各接続部における
    モーメントと力を、各平板(O),(A),(B) の厚み方向に亘
    って分布させた分布荷重とすることにより、ヘッダ強度
    の算出を行うことを特徴とする請求項1、又は請求項2
    記載の圧力容器のヘッダ強度の算出方法。
  4. 【請求項4】 前記ヘッダ(2)(2)が、その板厚の数倍程
    度の曲率を持った湾曲部を有する場合には、この部分を
    厚板の曲り梁に置換して圧力容器のヘッダ強度の算出を
    行うことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項
    3記載の圧力容器のヘッダ強度の算出方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4の何れかに記載の
    圧力容器のヘッダ強度の算出方法による結果を、予め設
    定してある応力値と比較するようにしたことを特徴とす
    る圧力容器のヘッダ強度の判定方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017015446A (ja) * 2015-06-29 2017-01-19 株式会社Ihi 強度確認方法

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