JPH09135844A - 骨固定具および骨固定システム - Google Patents

骨固定具および骨固定システム

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JPH09135844A
JPH09135844A JP7317083A JP31708395A JPH09135844A JP H09135844 A JPH09135844 A JP H09135844A JP 7317083 A JP7317083 A JP 7317083A JP 31708395 A JP31708395 A JP 31708395A JP H09135844 A JPH09135844 A JP H09135844A
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JP
Japan
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thread
screw
bone
bone fixing
fixing device
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JP7317083A
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English (en)
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Yasuyuki Kuroda
康之 黒田
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Publication date
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B17/00Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets
    • A61B17/56Surgical instruments or methods for treatment of bones or joints; Devices specially adapted therefor
    • A61B17/58Surgical instruments or methods for treatment of bones or joints; Devices specially adapted therefor for osteosynthesis, e.g. bone plates, screws, setting implements or the like
    • A61B17/68Internal fixation devices, including fasteners and spinal fixators, even if a part thereof projects from the skin
    • A61B17/84Fasteners therefor or fasteners being internal fixation devices
    • A61B17/86Pins or screws or threaded wires; nuts therefor
    • A61B17/8625Shanks, i.e. parts contacting bone tissue
    • A61B17/863Shanks, i.e. parts contacting bone tissue with thread interrupted or changing its form along shank, other than constant taper

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Abstract

(57)【要約】 【課題】特定のネジ山に応力が集中することを防止し
て、強固な固定を得る。 【解決手段】本発明の骨固定システムは、ネジ切り部材
と、該ネジ切り部材1により形成されたネジ孔8に螺入
される骨固定具4とで構成されている。骨固定具4は、
先端側のネジ部5と、後端側の軸部6と、軸部6の後端
に形成された頭部7とで構成されている。ネジ部5に形
成された雄ネジ51は、先行端から後行端に向かってそ
のネジ山径が漸減しており、また、雌ネジ81との螺合
時に、雄ネジ51のネジ山の後行端側に位置する圧力側
フランク面52と、それに対応する雌ネジ81のネジ谷
の後行端側に位置する圧力側フランク面82との間に形
成される間隙9の間隙距離が先行端側から後行端側へ向
かって漸増するような形状をなしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、骨固定具および骨
固定システム、特に整形外科や口腔外科において、骨折
した骨同士の内固定や、骨切り術での骨片の内固定に用
いられる骨固定具および骨固定システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、整形外科や口腔外科において、骨
折治療や、変形関節の骨切り術の際の骨片固定、さらに
は人工臼蓋や人工関節等の器具を固定する際には、骨ネ
ジやプレート、ワイヤー、髄内釘等の内固定用具が一般
的に用いられている。
【0003】これらの内固定用具としては、通常、金属
製のものが用いらているが、金属製内固定用具の多く
は、一般に、治癒後、体外に除去されるのが好ましい。
すなわち、金属製の内固定用具は、骨組織に比べ極端に
高剛性、高弾性率であるため、骨組織に作用すべき応力
の多くが内固定用具に作用し、内固定用具周辺の骨組織
の脆弱化を引き起こし易くなるからである。また、金属
アレルギーによる炎症反応や、骨組織からの突出による
周辺軟組織の損傷、破壊等のおそれもある。
【0004】一般に、内固定用具を体外に取り出す手術
手技は、抜去術(抜釘術)と呼ばれるが、この抜去術で
は、組織が複雑化した手術部位を再度切開するため、手
術部位によっては、神経束や血管系等を損傷するおそれ
がある。また、2度の手術を行うため、これによる患者
への精神的、肉体的な負担も大きい。
【0005】ところで、内固定用具のうちの骨ネジは、
通常、ステンレス鋼やチタン合金等の金属で構成されて
おり、二骨片の固定、骨プレートや髄内釘等の内固定用
具の固定、さらには、腱、靭帯等の固定を行う器具とし
て使用されている。二骨片の固定は、骨折治療、骨移
植、骨切り術等の際に行われる。
【0006】これらの治療で重要なことは、骨癒合が起
こるまでの間、骨片を宿主の骨に確実に固定することで
ある。骨ネジによる二骨片の固定は、先行端側骨片に螺
入したネジ部と、後行端側骨片の表面に係止したネジ頭
との間に生じる引張力が骨片間に圧縮力として作用し、
二骨片を固定するものである。
【0007】しかし、金属製の骨ネジを用いた場合、骨
との剛性、弾性率の極端な相違により、特に、脆弱な骨
や骨粗鬆症のようにネジ部を支持するのに十分な骨量や
強度がない場合には、骨側に形成されたネジ山の破壊を
招き易く、よって、強固な固定ができない。
【0008】また、金属に比べより剛性(弾性率)が低
い樹脂材料で構成された骨ネジを用いて二骨片を固定し
た場合、金属製骨ネジに比べて、骨の破損、破壊は生じ
難いが、逆に、応力に対するネジ部の変形が大きいため
に、骨折面に最も近い特定のネジ山(後行端側のネジ
山)に応力集中が起こり易く、固定力の低下とともに、
治癒の遅延を生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特定
のネジ山に応力が集中することを防止し、骨への負担を
軽減し、強固な固定が得られる骨固定具および骨固定シ
ステムを提供することにある。さらに、本発明の目的
は、生体吸収性材料を用いることにより、抜去術を不要
とする骨固定具および骨固定システムを提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(9)の本発明により達成される。
【0011】(1) プラスチック材料で構成され、ネ
ジ切り部材により形成された等ピッチの雌ネジに螺合さ
れる螺旋状のネジ山からなる雄ネジを有する骨固定器具
であって、前記雄ネジと前記雌ネジとの螺合時に、前記
雄ネジのネジ山の後行端側に位置する圧力側フランク面
と、それに対応する前記雌ネジのネジ谷の後行端側に位
置する圧力側フランク面との間に間隙が形成され、その
間隙距離が先行端側から後行端側へ向かって漸増する部
分を有するような形状をなしていることを特徴とする骨
固定具。
【0012】(2) 前記雄ネジのネジ山の頂部におけ
る該ネジ山の圧力側フランク面と、これに対応する前記
雌ネジのネジ谷の圧力側フランク面とのネジ軸方向の距
離をaとし、前記雄ネジのネジ山の基部における該ネジ
山の圧力側フランク面と、これに対応する前記雌ネジの
ネジ谷の圧力側フランク面とのネジ軸方向の距離をbと
したとき、a<bの関係を満足する上記(1)に記載の
骨固定具。
【0013】(3) 前記雄ネジのネジ山の圧力側フラ
ンク面と、これに対応する前記雌ネジのネジ谷の圧力側
フランク面との距離が、前記雄ネジのネジ山の頂部付近
において最も小さい上記(2)に記載の骨固定具。
【0014】(4) 前記aが骨固定具の先行端側から
後行端側に向かって漸増する部分を有する上記(2)ま
たは(3)に記載の骨固定具。
【0015】(5) 前記雄ネジのネジ山径が骨固定具
の先行端側から後行端側に向かって漸減する部分を有す
る上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の骨固定
具。
【0016】(6) ネジ軸に対する前記雄ネジのネジ
山の圧力側フランク面の後行端側の角度が90°以下と
なるネジ山を有する上記(1)ないし(5)のいずれか
に記載の骨固定具。
【0017】(7) 前記雄ネジの形成部分の弾性率が
1〜20GPa である上記(1)ないし(6)のいずれか
に記載の骨固定具。
【0018】(8) 前記骨固定具が生体吸収性材料で
構成されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記
載の骨固定具。
【0019】(9) 上記(1)ないし(8)のいずれ
かに記載の骨固定具と、前記骨固定具の雄ネジと同一ピ
ッチの雌ネジを切るためのネジ切り部材とからなること
を特徴とする骨固定システム。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の骨固定具および骨
固定システムを添付図面に示す好適実施例に基づいて詳
細に説明する。
【0021】図1は、本発明の骨固定システムにおける
ネジ切り部材(タップ)の実施例を示す縦断面図、図2
は、本発明の骨固定システムにおける骨固定具の実施例
を示す縦断面図、図3は、図2に示す骨固定具のネジ部
を拡大して示す縦断面図である。以下の説明では、図1
〜図3中の左側を「後端」または「後行端」、右側を
「先端」または「先行端」という。また、その他の図に
おいても同様とする。本発明の骨固定システムは、図1
に示すネジ切り部材1と、図2に示す骨固定具4とで構
成されている。
【0022】ネジ切り部材1は、先端側のネジ部2と、
後端側の軸部3とを有する。ネジ部2の外周には、螺旋
状の雄ネジ21が等ピッチで形成されている。雄ネジ2
1のネジ山の形状は、ネジ部2の各所においてほぼ一定
である。また、軸部3の後端には、ネジ切り部材1を回
転操作するためのハンドル31が形成されている。
【0023】ネジ切り部材1は、例えば、ステンレス
鋼、チタン、チタン合金、アルミニウム合金等の金属材
料で構成されている。このようなネジ切り部材1を用い
て、骨片10、11に対し、骨片10の後行端側からネ
ジ孔8を形成する。ネジ切り部材1により形成されたネ
ジ孔8は、その雌ネジ81のピッチおよびネジ谷の形状
が一定となる(図2参照)。
【0024】図2は、骨片10、11に対しネジ切り部
材1により形成されたネジ孔8に本発明の骨固定具4が
螺入された状態を示している。骨固定具4は、先端側の
ネジ部5と、後端側の軸部6と、軸部6の後端に形成さ
れた頭部7とで構成されている。
【0025】頭部7は、軸部6に対し拡径しており、そ
の外周面は、丸みを帯びた形状をなしている。これによ
り、頭部7が骨片10の表面付近に係合したとき、周辺
の骨組織を損傷、破壊することが防止される。また、頭
部7の後端面には、例えばドライバーにより骨固定具4
を回転するための一文字状または十文字状の溝あるいは
六角の穴(図示せず)が形成されている。
【0026】ネジ部5の外周には、螺旋状の雄ネジ51
が形成されている。この場合、雄ネジ51のピッチは、
それが螺合するネジ孔8の雌ネジ81のピッチ、すなわ
ちネジ切り部材1の雄ネジ21のピッチと同一である。
本発明は、この雄ネジ51の形状等に特徴を有するもの
であり、以下に説明する。
【0027】図2に示すように、雄ネジ51は、先行端
から後行端に向かって、そのネジ山径(ネジ山の高さ)
が漸減(連続的または段階的に減少)している。また、
雄ネジ51は、雌ネジ81との螺合時に、雄ネジ51の
ネジ山の後行端側に位置する圧力側フランク面52と、
それに対応する雌ネジ81のネジ谷の後行端側に位置す
る圧力側フランク面82との間に間隙9が形成され、そ
の間隙距離が先行端側から後行端側へ向かって漸増(連
続的または段階的に増加)するような形状をなしてい
る。
【0028】このように、雄ネジ51のネジ山の高さの
変化と間隙9の間隙距離の変化とにより、雄ネジ51の
ネジ山と雌ネジ81のネジ谷との間に形成される空間
(間隙9を含む空間)の体積が先行端側から後行端側へ
向かって漸増する。
【0029】雄ネジ51の条件についてさらに詳述する
と、図3に示すように、雄ネジ51のネジ山の頂部53
における圧力側フランク面52と、これに対応する雌ネ
ジ81のネジ谷の圧力側フランク面82とのネジ軸10
0方向の距離をaとし、雄ネジ51のネジ山の基部54
における圧力側フランク面52と、これに対応する雌ネ
ジ81のネジ谷の圧力側フランク面82とのネジ軸10
0方向の距離をbとしたとき、a<bの関係が成立して
いる。
【0030】この場合、雄ネジ51の圧力側フランク面
52と、これに対応する雌ネジ81の圧力側フランク面
82との距離は、雄ネジ51のネジ山の頂部53付近に
おいて最も小さい。すなわち、距離aが最も小さい。
【0031】そして、この距離aは、骨固定具4の先行
端側から後行端側に向かって徐々に(ネジ山の1ピッチ
毎に)増加している。なお、ネジ部5の最も先端側のネ
ジ山、さらには、このネジ山から数ピッチ分後行端側の
ネジ山までは、頂部53が圧力側フランク面82に接触
しており(図1参照)、すなわち、距離a=0である。
【0032】また、本実施例では、ネジ軸100に対す
る雄ネジ51の圧力側フランク面52の後行端側の角度
θは、90°以上となっている。なお、上述した雄ネジ
51に関する各条件は、ネジ部5の全体に渡って成立し
ている場合に限らず、ネジ部5の一部分においてのみ成
立していてもよい。
【0033】例えば、雄ネジ51のネジ山の高さに関し
ては、先行端側ネジ山の高さは一定であり、後行端側の
数ピッチ分だけ先行端から後行端に向かって徐々にネジ
山の高さが低くなるような構成でもあってもよい。
【0034】また、間隙9の間隙距離、特に、距離aお
よび/または距離bが、先行端側から後行端側へ向かっ
て連続的に増加する場合に限らず、段階的に増加するよ
うな構成またはそのような部分を有する構成であっても
よい。
【0035】また、角度θは、ネジ部5の全体に渡って
一定であっても、変化していてもよく、特に、先行端側
から後行端側へ向かって角度θが徐々に減少または増加
する構成またはそのような部分を有する構成であっても
よい。
【0036】骨固定具4のネジ部5を以上のような構成
としたことにより、次のような作用、効果が生じる。ネ
ジ部5の先端部を骨片10、11に形成されたネジ孔8
の後端側から挿入し、骨固定具4を所定方向に回転させ
て雄ネジ51を雌ネジ81に螺入していくと、骨固定具
4が先行端側へ進行するとともに、雄ネジ51は、その
先行端側のネジ山から雌ネジ81のネジ谷の圧力側フラ
ンク面82と接触して行く。
【0037】雄ネジ51の先端がネジ孔8の最奥部付近
に到達した後、すなわち、雄ネジ51と雌ネジ81との
螺合がほぼ完了したら、さらに骨固定具4を回転させて
締め付けると、回転トルクの増加に伴い、軸力(ネジ軸
100方向の引張力)が増加し、雌ネジ81の圧力側フ
ランク面82と接触する雄ネジ51のネジ山が、後行端
へも移行して行く。
【0038】すなわち、雄ネジ51の圧力側フランク面
52と雌ネジ81の圧力側フランク面82との接触圧
は、先行端から後行端に向かって徐々に減少するような
分布を持つ。これにより、本来、応力集中が生じ易かっ
た後行端側のネジ山、ネジ谷へ作用する応力が緩和(相
殺)され、応力が均一に分散される。
【0039】頭部7は、骨片10の表面付近に係合して
おり、雌ネジ81の圧力側フランク面82に圧着する雄
ネジ51のネジ山、すなわちネジ部5との間に引張力が
作用している。この引張力が骨片10と骨片11との圧
縮力となり、骨片10と骨片11とがその境界面(骨折
面)12において圧着され、固定される。
【0040】骨固定具4における各部の寸法は、固定す
べき物(例えば二骨片)の大きさや症例等に応じて適宜
設定されるので、特に限定されないが、通常は、以下の
ような寸法であるのが好ましい。
【0041】骨固定具4の全長は、20〜100mm程度
であるのが好ましい。ネジ部5の長さは、5〜90mm程
度であるのが好ましい。雄ネジ51のピッチは、0.3
〜3.5mm程度であるのが好ましい。雄ネジ51のネジ
山の最大山径は、1.5〜6.5mm程度であるのが好ま
しい。
【0042】雄ネジ51のネジ谷の谷径は、1.0〜
4.5mm程度であるのが好ましい。雄ネジ51の圧力側
フランク面52のネジ軸100に対する後行端側の角度
θは、80〜120°程度であるのが好ましい。軸部6
の外径は、1.0〜6.0mm程度であるのが好ましい。
【0043】骨固定具4の構成材料としては、その用途
に応じ、例えば、高密度ポリエチレン、ポリエステル、
ポリテトラフルオロエチレン等の各種樹脂材料等を用い
ることができるが、特に、ポリグリコール酸、ポリ乳
酸、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシ酪酸等の生体吸
収性材料(生分解性ポリマー)で構成されているのが好
ましい。骨固定具4を生体吸収性材料で構成することに
より、骨片の固定後、骨固定具4を抜去する抜去術が不
要となり、患者の負担が軽減される。
【0044】骨固定具4におけるネジ部5の弾性率は、
1〜20GPa 程度であるのが好ましく、2〜8GPa 程度
であるのがより好ましい。このような範囲であれば、骨
の破損、吸収をより有効に防止することができる。
【0045】図4は、本発明の骨固定具の他の実施例を
示す縦断面図である。同図に示す骨固定具40は、前記
角度θが異なる以外は骨固定具4と同様である。すなわ
ち、骨固定具40における角度θは、90°以下であ
り、好ましくは80〜90°程度である。
【0046】このような構成の骨固定具40でも、前述
した骨固定具4と同様の作用、効果を有するとともに、
角度θが90°以下であるため、組織との摩擦力が増え
るので、より強固に固定されるという利点がある。
【0047】
【実施例】以下、本発明を具体的実施例に基づいてさら
に詳細に説明する。
【0048】(実施例1)下記条件のネジ切り部材およ
び骨固定具(骨ネジ)を製造した。
【0049】[ネジ切り部材] 全長:70mm ネジ部長さ:50mm 雄ネジの形状:図1に示す形状 雄ネジのネジ山径:4.0mm 雄ネジのネジ谷径:1.9mm 雄ネジのピッチ:1.75mm 軸部外径:3.5mm 構成材料:ステンレス鋼
【0050】[骨固定具] 種類:海綿骨用骨ネジ 全長:35mm ネジ部長さ:14mm 雄ネジの形状:図2に示す形状 雄ネジのネジ山径(最大値):4.0mm(先行端側) 雄ネジのネジ山径(平均値):0.82mm 雄ネジのネジ谷径:1.9mm 雄ネジのピッチ:1.75mm 角度θ:95° 軸部外径:2.4mm 構成材料:ポリヒドロキシ酪酸(弾性率:3.19GPa
【0051】(実施例2)骨固定具における雄ネジの形
状を図4に示す形状とし、角度θを87°とした(雌ネ
ジもこれに対応する形状とした)以外は、実施例1と同
様のネジ切り部材および骨固定具(骨ネジ)を製造し
た。
【0052】(比較例1)実施例1と同様のネジ切り部
材と、図5に示す形状であり下記条件の骨固定具(骨ネ
ジ)13とを製造した。
【0053】[骨固定具] 種類:海綿骨用骨ネジ 全長:35mm ネジ部長さ:12mm 雄ネジの形状:図5に示す形状(間隙9が存在しない) 雄ネジのネジ山径:4.0mm 雄ネジのネジ谷径:1.9mm 雄ネジのピッチ:1.75mm 角度θ:115° 軸部外径:2.4mm 構成材料:実施例1と同じ
【0054】<実験および評価>実施例1、2および比
較例1において、ネジ切り部材を用いて疑似海綿骨(弾
性率:400MPa )にネジ孔を形成し、該ネジ孔に骨固
定具を螺入した。
【0055】軸力を10kgf に調整し、2次有限要素法
により、疑似海綿骨に作用する応力の分布を解析した。
なお、解析システムは、ANSYS5.1(Swanson An
alysis Systems. Inc.)を用いた。
【0056】解析結果を図6(実施例1)、図7(実施
例2)および図8(比較例1)に示す。これらの図中
で、黒色部分が最も大きい応力が作用しており、これに
続き、濃度が大きい部分程、より大きな応力が作用して
いることを示す(凡例の下段にいくほど濃度が高い)。
濃度が同じ部分は、等応力領域である。図8に示すよう
に、比較例1の骨固定具では、後行端側のネジ山部分に
応力が集中することが確認された。
【0057】これに対し、図6および図7に示すよう
に、実施例1および2の骨固定具では、応力が極端に集
中する部分がなく、応力の集中が解消または緩和され、
均一に分散される傾向にあることが確認された。
【0058】すなわち、実施例1および2の骨固定具で
は、延性材料で作製した雄ネジの応力集中が原因で生じ
るネジ山の変形、損傷、破壊や、応力過多による骨吸収
という問題を解決し、雌ネジ側である骨組織の損傷、破
壊を防止し、骨のより強固な固定を可能にする。
【0059】以上、本発明の骨固定具およびこれを含む
骨固定システムを図示の各実施例に基づいて説明した
が、本発明は、これらに限定されるものではない。ま
た、本発明の骨固定具および骨固定システムは、二骨片
の固定に用いるものに限らず、例えば、人工臼蓋、人工
関節、内副子等の器具の固定や、腱、靭帯等の骨以外の
組織の固定に用いることもできる。
【0060】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明の骨固定具
および骨固定システムによれば、骨固定具に形成された
雄ネジの特定のネジ山に応力が集中することが防止され
るので、応力集中による骨組織の損傷、吸収が防止され
る。その結果、金属に比べて弾性率が低い材料を用いた
場合でも、特定のネジ山が変形、破損等を生じることが
なく、強固な固定が安定的に得られる。また、骨固定具
を生体吸収性材料で構成した場合には、抜去術が不要と
なり、患者の負担が軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の骨固定システムにおけるネジ切り部材
の実施例を示す縦断面図である。
【図2】本発明の骨固定具の実施例を示す縦断面図であ
る。
【図3】図2に示す骨固定具のネジ部を拡大して示す縦
断面図である。
【図4】本発明の骨固定具の他の実施例を示す縦断面図
である。
【図5】比較例1の骨固定具の構造を示す縦断面図であ
る。
【図6】実施例1における疑似海綿骨側の応力分布の解
析結果を示す模式図である。
【図7】実施例2における疑似海綿骨側の応力分布の解
析結果を示す模式図である。
【図8】比較例1における疑似海綿骨側の応力分布の解
析結果を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ネジ切り部材 2 ネジ部 21 雄ネジ 3 軸部 31 ハンドル 4、40 骨固定具 5 ネジ部 51 雄ネジ 52 圧力側フランク面 53 頂部 54 基部 6 軸部 7 頭部 8 ネジ孔 81 雌ネジ 82 圧力側フランク面 9 間隙 10、11 骨片 12 境界面 13 骨固定具(比較例) 100 ネジ軸

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック材料で構成され、ネジ切り
    部材により形成された等ピッチの雌ネジに螺合される螺
    旋状のネジ山からなる雄ネジを有する骨固定器具であっ
    て、 前記雄ネジと前記雌ネジとの螺合時に、前記雄ネジのネ
    ジ山の後行端側に位置する圧力側フランク面と、それに
    対応する前記雌ネジのネジ谷の後行端側に位置する圧力
    側フランク面との間に間隙が形成され、その間隙距離が
    先行端側から後行端側へ向かって漸増する部分を有する
    ような形状をなしていることを特徴とする骨固定具。
  2. 【請求項2】 前記雄ネジのネジ山の頂部における該ネ
    ジ山の圧力側フランク面と、これに対応する前記雌ネジ
    のネジ谷の圧力側フランク面とのネジ軸方向の距離をa
    とし、 前記雄ネジのネジ山の基部における該ネジ山の圧力側フ
    ランク面と、これに対応する前記雌ネジのネジ谷の圧力
    側フランク面とのネジ軸方向の距離をbとしたとき、 a<bの関係を満足する請求項1に記載の骨固定具。
  3. 【請求項3】 前記雄ネジのネジ山の圧力側フランク面
    と、これに対応する前記雌ネジのネジ谷の圧力側フラン
    ク面との距離が、前記雄ネジのネジ山の頂部付近におい
    て最も小さい請求項2に記載の骨固定具。
  4. 【請求項4】 前記aが骨固定具の先行端側から後行端
    側に向かって漸増する部分を有する請求項2または3に
    記載の骨固定具。
  5. 【請求項5】 前記雄ネジのネジ山径が骨固定具の先行
    端側から後行端側に向かって漸減する部分を有する請求
    項1ないし4のいずれかに記載の骨固定具。
  6. 【請求項6】 ネジ軸に対する前記雄ネジのネジ山の圧
    力側フランク面の後行端側の角度が90°以下となるネ
    ジ山を有する請求項1ないし5のいずれかに記載の骨固
    定具。
  7. 【請求項7】 前記雄ネジの形成部分の弾性率が1〜2
    0GPa である請求項1ないし6のいずれかに記載の骨固
    定具。
  8. 【請求項8】 前記骨固定具が生体吸収性材料で構成さ
    れている請求項1ないし7のいずれかに記載の骨固定
    具。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかに記載の骨
    固定具と、 前記骨固定具の雄ネジと同一ピッチの雌ネジを切るため
    のネジ切り部材とからなることを特徴とする骨固定シス
    テム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1911412A1 (en) * 2006-10-11 2008-04-16 Astra Tech AB Implant
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