JPH09135513A - 電線作業用防護認識板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】架空高圧配電線の張替え、延線、接続等の電線
作業に際して、防護認識板で作業区域、相別の認識が遠
隔より明確に目視でき、隣接する電線或いは他の構造物
と接触しても一定距離の保持ができて安全、確実な作業
条件とする。 【解決手段】軽量で弾性を有する合成樹脂性で適宜色彩
とした大型の防護認識板１の中心に電線挿通孔２を設
け、該挿通孔２より下端まで電線Ｄの径より若干小幅の
割り溝３を設け、かつ防護認識板１の上部適所に任意の
大きさの１又は複数の切抜き孔４を穿設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は架空高圧配電線の
張替え、延線、接続等の諸作業時に、電線相互及び他物
との直接接触を防護し、作業区間と電線各相の相別認識
を目的とする電線作業用防護認識板に関する。

【０００２】

【従来の技術】既設の架空高圧配電線路の張替え、延
線、接続等の各種作業は作業者の安全確保の必要性から
直接作業を避け間接活線工法に基づき、絶縁操作棒とか
マニピュレーターにより遠隔からの作業が主体となって
いる。このような状況下において、遠隔から作業全体を
安全、確実に遂行するために必要な作業区域の認識、電
線の張替え接続等に伴う相別の認識等の状況認識につい
ては、主に監督者、作業者の目視確認、指示、注意等に
委ねられ人為的であり、人手を要している。

【０００３】また電線相互および他物との接触防護に対
して、防護物に絶縁防護シートとかポリ管と称する電線
保護管等を使用するが、電線相互とか他物に対して一定
の間隔を保持する状態になっていない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】間接活線工法による電
線工事は、ますます高度化、複雑化する現状において、
作業区間の認識とか、接続電線の移動に伴う相別の認識
等は、人為的に安全、確実性を保つには限界があり、危
険を伴い誤作業、能率低下を招く恐れがある。また他の
電線、他物に対して防護具を装着しても、特に電線の移
動を伴った作業では、誤って直接防護具に当たれば電線
に傷が付きやすく、高圧電線では絶縁上危険である。こ
れ等防護具の装着には手間が係り煩雑である。従って、
遠隔の場所から作業区域とか、接続時の相別の認識、輻
湊する新旧電線の相別を目で確実容易に認識でき、かつ
電線相互、他物との直接接触を避け一定間隔が保たれる
ような電気的に安全な防護が必要である。

【０００５】この発明は前記した不都合を解消するもの
で、各相の電線に対応して予め異色の大型の防護認識板
を用意して、その防護認識板の割り溝で簡単に電線に嵌
め付けでき、防護認識板の上部に切抜き孔を設けて重心
を下げ反転落下を防止し、色彩の異なる防護認識板を作
業区間の電線両端の各相に嵌めることにより遠隔の作業
場所で作業区間と相区別を作業者が認識しやすくし、か
つ隣接の電線との接触防止を図った電線作業用防護認識
板を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明は前記目的を達
成するために、軽量で弾性を有する絶縁性合成樹脂製で
青緑等適宜色彩とした大型の円形等防護認識板１の中心
に電線挿通孔２を設け、該挿通孔２より下端まで電線Ｄ
の径より若干小幅の割り溝３を設け、かつ、防護認識板
１の上部適所に任意の大きさの１又は複数の切抜き孔４
を穿設したもので、色彩を異にする防護認識板を活線状
態の電線に割り溝の弾性を利用して嵌合して電線の相を
標示でき、かつ防護認識板の重心を下げて反転落下防止
ができ、かつ又防護認識板の外周で隣接電線の接触を防
止できる。

【０００７】前記防護認識板１の中央部の前後に支承部
５、５を設けてその中心に挿通孔２を設けるとともに挿
通孔２より下端まで割り溝３を設け、電線挿通孔２を長
くして電線と防護認識板の接合面を大きくし、防護認識
板が風圧で僅かに傾いて移動しないようにする。

【０００８】又防護認識板１の上部の切抜き孔４として
中央に大径の切抜き孔４ａ、その両側に若干小径の切抜
き孔４ｂを設け、防護認識板の受ける風圧を軽減し、か
つ重心を下方へ下げて反転落下を防止する。

【０００９】

【発明の実施の形態】この発明の防護認識板１は軽量、
弾性のある絶縁性樹脂製の厚肉大型防護認識板で青、緑
等の適宜色彩とした防護認識板１の前後中央に円柱状支
承部５、５を設けて中心に電線挿通孔２を設け、かつ挿
通孔２より支承部および防護認識板の下端まで電線Ｄの
径より若干小幅の割り溝３を設け、防護認識板１の弾性
を利用して電線Ｄの上部から割り溝３を電線に当てて押
し拡げながら挿通孔２まで嵌めて保持し、かつ防護認識
板の上半分の中央に円形の切抜き孔４ａ、左右に若干小
径の切抜き孔４ｂを穿設して、切抜き孔で風圧と重量を
軽減し、かつ防護認識板の重心を下方として安定させ、
防護認識板１が反転落下しないようにしてある。

【００１０】

【実施例】以下に、この発明の実施例を図面を参照して
説明する。図１乃至図３において、１は材質が軽量で弾
性があり吸湿性のない絶縁性樹脂で着色が容易な例え
ば、エチレン酢酸ビニールアセテートで、地上からでも
容易に認識できる大きさと色彩で、直径約４０cm、厚さ
約４cmの大型厚肉円板とし、高圧３相配電線の場合よく
目立つように、青、赤、緑等の鮮やかな原色とし、その
防護認識板１の上半分の中央に大径の円形切抜き孔４ａ
と左右に若干小径の円形切抜き孔４ｂを穿設し、その切
抜いた左右の円柱を利用して防護認識板１の前後中央に
接着材で固着して支承部５、５を設けてあり、その円柱
の支承部５と防護認識板１の中心に電線とほぼ同径の電
線挿通孔２を設け、かつその挿通孔２より円柱の支承部
５の下端および防護認識板１の下端まで電線Ｄの径より
若干小幅の割り溝３を設けてある。割り溝３の下端はテ
ーパー或いはアールを付けて電線Ｄに挿入しやすくする
のが好ましい。

【００１１】前記実施例で防護認識板１の形状を電線相
互とか他物と一定間隔を保つために円形とするのが好ま
しいが、これに限られるものではなく、三角、四角等の
多角形でも良い。又防護認識板１は実施例では中央の前
後に円柱状支承部を設けて電線挿通孔２の長さを長くし
て電線Ｄとの接合面を長くしてあるが、これに限られる
ものではなく、防護認識板１自体の厚みを支承部の両端
までの長さと同じとして挿通孔を長くしても良い。さら
に防護認識板の上半分に設ける切抜き孔として中央に大
径の円形孔と左右に小径の円形孔を設けたが、これに限
られるものではなく、円形孔を同じ径としてもよく、円
形以外の四角等適宜形状の孔或いは円周に沿って１又は
複数の長孔としても良い。この切抜き孔の形状はバラン
ス、加工上は円形が好ましい。

【００１２】前記した構成によれば、種々の電線作業の
際に電線に防護認識板１を取付ける場合、図４に示すよ
うに防護認識板１の弾性を利用して割り溝３を電線Ｄの
所望個所の上部より溝の長さ方向をほぼ垂直にして押し
込むことにより割り溝３が押し拡げられて挿通孔２に電
線Ｄが入って保持される。防護認識板１は電線挿通孔２
で電線Ｄに嵌合しているが、外形が大径であるために風
で当り面の大きい下部が押されて僅かに傾きを生じて電
線挿通孔２が電線Ｄに対し僅かに傾くことにより、接合
面の抵抗で軸方向への動きを止めて保持するようにして
ある。

【００１３】而して架空高圧配電線の張替え等電線作業
時に作業区間の両端に装着することにより作業区間の認
識ができ第三者に対しても危険標識となる。又色別によ
り電線の相認識が確実となり誤接続がなく、電線の張替
え作業時に混同することなく、防護認識板を張替え電線
に適宜間隔で挿着すれば、接触しても一定間隔が保持さ
れ電気的に極めて安全で、かつ弾力性があるため電線に
傷が付く心配が無い。

【００１４】配電線の張替え等の作業が終了したとき
は、例えば防護認識板１を回して割り溝３を上向きとし
て絶縁操作棒、マニュピュレーター等で防護認識板１を
下方へ引張り、電線Ｄより弾性を利用して簡単に外すこ
とができる。

【００１５】

【発明の効果】この発明によれば架空高圧配電線の新旧
電線との張替え、電柱上の電線引留箇所から通り線へ変
更、またはその逆の作業とか、電柱の建替えに伴う移線
作業、接続工事等の電線諸作業に際して、例えば３相３
線式の場合、明確に色別可能な３色の防護認識板を作業
区域の両端とか、電線の適宜間隔に挿着することにより
作業区域、相別の認識が明確に目視認識できて、新旧電
線の入替えの誤りが無く、誤接続の防止、作業区域の認
識と第三者に対する危険標識となる。

【００１６】又防護認識板は大径厚肉でも弾性を利用し
て割り溝を通じて電線に簡単容易に嵌めることができ、
移動は容易で、かつ絶縁性を有するため扱いは安全で、
大径であるから移線、延線作業において該当区間の適宜
間隔に設置すれば防護認識板の半径分の距離を常に保つ
ことができる。隣接電線は勿論のこと他の構造物とか他
の高圧線、低圧線等との絶縁上の防護は完全に保たれ、
防護シートとか電線保護管等の保護装備の手間が省け能
率的である。

【００１７】さらに防護認識板自体について、上部に切
抜き孔を設けることにより風圧の軽減を図ることがで
き、風圧が下方に偏ることにより傾斜して移動が防止で
き、かつ重心を下方として防護認識板の反転落下を防止
することができる。

【００１８】防護認識板の中央部の支承部に挿通孔と割
り溝を設けることにより電線に的確に嵌め付けでき、し
かも挿通孔と電線との接合面を大きくして電線に安定保
持され、風圧による移動を防止できる。

【００１９】防護認識板の上半分に大径の切抜き孔、左
右対称に若干小径の切抜き孔を設けるので、外形の大き
さは変わらず、切抜き孔の分だけ重量が軽減できる。

【００２０】以上に示すごとく、大型、厚肉板状の単純
な形状でありながら上半部にのみ切抜き孔を設け色別し
た形状は他に見られず、人目につきやすく認識効果に優
れ、単に作業区域、相別認識だけでなく、大型のため電
線間とか他物と一定の絶縁距離を保つことができる両用
の効果を合わせ持ち、かつ防護認識板自体は物理的な種
々の効果を有しており、電線作業に伴う安全性、確実性
を確保する手段としては極めて有用である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の電線作業用防護認識板を示す正面図
である。

【図２】同側面図である。

【図３】同縦断面図である。

【図４】使用状態の斜視図である。

【符号の説明】

１ 防護認識板 ２ 電線挿通孔 ３ 割り溝 ４ 切抜き孔 ４ａ 大径の切抜き孔 ４ｂ 小径の切抜き孔 ５ 支承部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安田 均 愛知県春日井市松河戸町108番地 株式会 社古川電機製作所春日井工場内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】軽量で弾性を有する絶縁性合成樹脂製で
   青、緑等適宜色彩とした大型の円形等防護認識板（１）
   の中心に電線挿通孔（２）を設け、該挿通孔（２）より
   下端まで電線（Ｄ）の径より若干小幅の割り溝（３）を
   設け、かつ防護認識板（１）の上部適所に任意の大きさ
   の１又は複数の切抜き孔（４）を穿設したことを特徴と
   する電線作業用防護認識板。
2. 【請求項２】前記防護認識板（１）の中央部の前後に支
   承部（５）（５）を設けてその中心に挿通孔（２）を設
   けるとともに挿通孔（２）より下端まで割り溝（３）を
   設けた請求項１記載の電線作業用防護認識板。
3. 【請求項３】 前記防護認識板（１）の上部の切抜き孔
   （４）として中央に大径の切抜き孔（４ａ）、その両側
   に若干小径の切抜き孔（４ｂ）を設けた請求項１記載の
   電線作業用防護認識板。