JPH09133001A - ガスタービン空冷翼 - Google Patents

ガスタービン空冷翼

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JPH09133001A
JPH09133001A JP29127695A JP29127695A JPH09133001A JP H09133001 A JPH09133001 A JP H09133001A JP 29127695 A JP29127695 A JP 29127695A JP 29127695 A JP29127695 A JP 29127695A JP H09133001 A JPH09133001 A JP H09133001A
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JP
Japan
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cooling
blade
air
passage
gas turbine
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JP29127695A
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Yoshio Hashidate
立 良 夫 橋
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスタービン空冷翼の冷却空気による冷却効
率を向上させる。 【解決手段】 ガスタービン空冷翼1は、冷却空気Aを
流す3つの冷却通路2A,2B,2Cを内部に備えてい
る。冷却通路2Bは、翼中央部1gにおいて根元方向通
路13と先端方向通路10との間を繋ぐ翼中央リターン
4を有し、冷却通路2Cは、翼中央部1gにおいて先端
方向通路11と根元方向通路14との間を繋ぐ翼中央リ
ターン4を有している。各冷却通路2B,2Cの翼中央
リターン4は、翼中央部1gにおいて冷却空気Aの流れ
方向を翼先端部1f方向と翼根元部1e方向との間で反
転させるようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷却空気を流す冷
却通路を内部に備えたガスタービン空冷翼に係り、とり
わけ、冷却通路の冷却空気による冷却効率を向上させる
ようにしたガスタービン空冷翼に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自力駆動方式のガスタービンの
出力効率を高める最も有効な方法は、ガスタービン入口
部での燃焼ガス温度を高めることである。しかし、この
ガス温度は、ガスタービンのタービン翼材料の耐熱応力
性、高温下での耐酸化・耐腐食性によって制限される。
このため近年、タービン翼用の耐熱合金や耐熱コーティ
ング等の材料の改良が行われるとともに、タービン翼自
体を空気冷却するようにしたガスタービン空冷翼が採用
されている。
【0003】このような従来のガスタービン空冷翼の例
として、図4及び図5にリターンフロー方式の超耐熱合
金製ガスタービン空冷翼(動翼)が示されている。図4
及び図5において、ガスタービン空冷翼20は内部に冷
却空気Aを流すための、前縁部1c側の冷却通路22A
と後縁部1d側の冷却通路22Bとを備えている。図4
に示すように、各冷却通路22A,22Bは、その翼根
元部1e側の入口部23A,23Bから冷却空気(圧縮
機(図示せず)からの抽気空気)Aが流入し、先端方向
通路24を通って翼先端部(チップ部)1f側に流れる
ようになっている。
【0004】各冷却通路22A,22Bの先端方向通路
24内を翼先端部1f側に流れた冷却空気Aは、翼先端
リターン16で折り返し、根元方向通路27を通って翼
根元部1e側に流れ、翼根元リターン15で再び折り返
すようになっている。このうち、冷却通路22Aの翼根
元リターン15で折り返した冷却空気Aは、先端方向通
路25を通って翼先端部1f側まで流れ、翼先端部1f
に形成された流出孔17から外部に流出する。一方、冷
却通路2Bの翼根元リターン15で折り返した冷却空気
Aは、後縁部1dに形成されたピンフィン冷却通路18
を通って外部に流出するとともに、その一部は先端方向
通路26を通って翼先端部1fの流出孔17から外部に
流出する。また、図5に示すように、ガスタービン空冷
翼20の腹側面1aおよび背側面1bの外面熱伝達率の
高い箇所には、フィルム孔8が形成されており、このフ
ィルム孔8から冷却通路22A,22B内の冷却空気の
一部(フィルム冷却用空気)8Aが外部に流出するよう
になっている。
【0005】また、各冷却通路22A,22Bは略矩形
状の断面を有している。すなわち、各冷却通路22A,
22Bは、ガスタービン空冷翼20の腹側面1a、背側
面1b、前縁部1cおよび後縁部1dにそれぞれ対応す
る、腹側壁面2a、背側壁面2b、前縁側壁面2cおよ
び後縁側壁面2dによって囲まれている。このうち、各
冷却通路22A,22Bの腹側壁面2aおよび背側壁面
2bには、各々複数のリブ状のタービュランス・プロモ
ータ5が所定間隔を置いて突設されている(図4および
図5参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、ガス
タービン空冷翼20は冷却空気Aとして圧縮機からの抽
気空気を用いているため、冷却空気Aの流量の増加はガ
スタービン空冷翼20を備えたガスタービンの出力効率
の低下につながる。このため、ガスタービン入口部の燃
焼ガス温度を高めて出力効率の改善を図っても、それに
伴ってガスタービン空冷翼20の温度上昇を防ぐために
冷却空気Aの流量を大幅に増加させる必要があれば、ガ
スタービンの出力効率の改善効果は小さくなってしま
う。従って、冷却通路22A,22Bの冷却空気Aによ
る冷却効率を向上させ、より少ない冷却空気Aの量でガ
スタービン空冷翼20の温度上昇を押さえるようにする
必要がある。
【0007】ところで、ガスタービンの入口部の燃焼ガ
スはガスタービン空冷翼20の回転半径(高さ)方向に
変化する温度分布を有し、翼中央部(翼の高さ方向中央
部)1gにおける燃焼ガス温度が最も高く、翼先端部1
fと翼根元部1eにおける燃焼ガス温度はそれより低く
なっている。このため、ガスタービン空冷翼20におい
ては熱的条件の厳しい翼中央部1gの冷却効率を特に向
上させる必要がある。しかし、上述した従来のガスター
ビン空冷翼20では、翼先端部1fや翼根元部1eに対
して翼中央部1gの冷却効率を特に向上させるようには
なっていない。
【0008】また、冷却通路22A,22B内に流入し
た冷却空気Aは、下流に行くに従って壁面2a〜2dに
沿う境界層が発達するため、冷却空気Aの温度は冷却通
路22A,22Bの断面中央部に比べ壁面2a〜2d付
近の方が高温になる。このため、特に冷却の必要性の高
い腹側壁面2aおよび背側壁面2bにおいては、上記タ
ービュランス・プロモータ5により壁面2a,2b近傍
の冷却空気Aの流れを乱し、境界層の発達を抑制するよ
うにしている。しかし、壁面2a,2bにタービュラン
ス・プロモータ5が設けられた冷却通路22A,22B
であっても、下流側へ行くに従ってその壁面2a〜2d
に沿う境界層が発達し、冷却空気Aによる冷却効率が次
第に低下して行くことは避けられない。また、タービュ
ランス・プロモータ5の後流部においては、境界層再付
着点までの循環流領域の存在により、熱伝達率の低下が
起きている。このため、翼20のタービュランス・プロ
モータ5の後流部に対応する部分の冷却効率が低下する
が、このことは、ガスタービン空冷翼20の冷却効率の
低下と、翼メタル温度分布の不均一化に繋がる。
【0009】また、図6に模式的に示すように、冷却通
路22A,22Bの各通路24〜27内の冷却空気Aに
は、ガスタービン空冷翼20の回転半径R方向(翼の高
さ方向)への冷却空気Aの流れと翼20の回転Tとによ
って、遠心力Fとコリオリの力Cとが作用するため、こ
れらの力F,Cの相互作用によって各通路24〜27の
横断面において冷却空気Aの2次流れSが誘起される。
この2次流れSの通路24〜27の横断面中央部におけ
る流れ方向(以下、単に「2次流れ方向」という。)
は、上記コリオリの力Cの作用方向と一致する。そし
て、この2次流れSのために、冷却通路22A,22B
の各壁面2a〜2dのうち、2次流れ方向とは反対側の
壁面における熱伝達率は、2次流れ方向側の壁面におけ
る熱伝達率よりも低くなる。
【0010】ここで、冷却通路22A,22Bの各通路
24〜27のうち冷却空気Aを翼先端部1f方向に流す
先端方向通路24〜26と、冷却空気Aを翼根元部1e
方向に流す根元方向通路27とでは、通路内の冷却空気
Aに作用するコリオリの力Cの作用方向は反対向きとな
る。すなわち、冷却空気Aは先端方向通路24〜26内
を翼の回転半径R外側方向へ流れ、根元方向通路27内
を翼の回転半径R内側方向(回転軸O方向)へ流れる。
このため、コリオリの力Cは、根元方向通路27内の冷
却空気Aには翼の回転Tの接線方向(背側壁面2b側方
向)に作用し、先端方向通路24〜26内の冷却空気A
にはその反対方向(腹側壁面2a側方向)に作用する。
【0011】そして、上述したように、通路24〜27
内の2次流れ方向はコリオリの力Cの作用方向と一致
し、また2次流れ方向とは反対側の壁面における熱伝達
率は、2次流れ方向側の壁面における熱伝達率よりも低
くなるから、先端方向通路24〜26では背側壁面2b
における熱伝達率が、また根元方向通路27では腹側壁
面2aにおける熱伝達率が、それぞれ他側の壁面におけ
る熱伝達率よりも低くなる。このため、翼20の腹側面
1aおよび背側面1bの各部における冷却効率が、その
部分に対応する冷却通路が先端方向通路24〜26であ
るか根元方向通路27であるかによって異なることとな
り、このことは翼メタル温度分布の不均一化に繋がる。
【0012】本発明は以上のような点を考慮してなされ
たものであり、冷却通路の冷却空気による冷却効率を向
上させることができ、また、翼メタル温度分布の均一化
を図ることのできるガスタービン空冷翼を提供すること
を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】第1の手段は、冷却空気
を流す冷却通路を内部に備えたガスタービン空冷翼にお
いて、前記冷却通路は、翼の高さ方向中央部において冷
却空気の流れ方向を翼先端部方向と翼根元部方向との間
で反転させる翼中央リターンを有することを特徴とす
る。
【0014】この第1の手段によれば、冷却通路の翼中
央リターンにおいて、冷却通路内の高温の冷却空気と低
温の冷却空気との混合が行われるとともに、冷却通路内
の境界層が乱される。このことにより、翼中央リターン
およびその後流域における熱伝達率が高くなるので、翼
の高さ方向中央部の冷却効率を向上させることができ
る。
【0015】第2の手段は、冷却空気を流す冷却通路を
内部に備えたガスタービン空冷翼において、前記冷却通
路は、翼の略回転半径方向へ前記冷却空気を流すととも
に、それぞれ翼の回転方向の前方側と後方側とに配置さ
れ各々タービュランス・プロモータが突設された一対の
壁面を有し、この一対の壁面のうち、翼の略回転半径方
向への前記冷却空気の流れと翼の回転とによって前記冷
却空気に作用するコリオリの力の作用方向とは反対の側
となる一側の壁面のタービュランス・プロモータの高さ
が、他側の壁面のタービュランス・プロモータの高さよ
り高くなっていることを特徴とする。
【0016】この第2の手段によれば、冷却空気に作用
するコリオリの力の作用方向とは反対の側となる一側の
壁面のタービュランス・プロモータの高さが、他側の壁
面のタービュランス・プロモータの高さより高くなって
いるので、一側の壁面のタービュランス・プロモータに
よる冷却効率の向上効果は、他側の壁面に比べて大きく
なる。このことにより、冷却通路内にコリオリの力の影
響で誘起される冷却空気の2次流れのために低下する一
側の壁面の冷却効率を、タービュランス・プロモータに
よる冷却効率の向上で補うことができる。
【0017】第3の手段は、冷却空気を流す冷却通路を
内部に備え、この冷却通路の壁面にタービュランス・プ
ロモータが突設されたガスタービン空冷翼において、前
記タービュランス・プロモータの後流部に対応する翼表
面部分に沿ってフィルム冷却空気を流すためのフィルム
孔を更に備えたことを特徴とする。
【0018】この第3の手段によれば、フィルム孔から
タービュランス・プロモータの後流部に対応する翼表面
部分に沿ってフィルム冷却空気を流すことにより、冷却
通路内の熱伝達率が低下するタービュランス・プロモー
タの後流部の冷却を補うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図1乃至図3は本発明の実
施形態を示す図である。なお、図1乃至図3に示す本発
明の実施形態において、図4乃至図6に示す従来のガス
タービン空冷翼20と同一の構成部分には同一符号を付
して説明する。
【0020】第1の実施形態 まず、図1により本発明の第1の実施形態について説明
する。図1において、ガスタービン空冷翼(動翼)1
は、冷却空気Aを流す3つの独立した冷却通路2A,2
B,2Cを内部に備えている。このうち、冷却通路2A
は冷却通路2A翼1の前縁部1e側に、冷却通路2Cは
翼1の後縁部1d側に、冷却通路2Bは冷却通路2Aと
冷却通路2Cとの間にそれぞれ形成されている。
【0021】各冷却通路2A〜2Cは、それぞれ翼根元
部1e側に形成された冷却空気入口部3A〜3Cと、翼
先端部1fに形成された流出孔17とを有している。ま
た、冷却通路2Bは、冷却空気Aを翼先端部1f方向に
流す先端方向通路9,10と、冷却空気Aを翼根元部1
e方向に流す根元方向通路13と、翼先端部1fにおい
て先端方向通路9と根元方向通路13との間を繋ぐ翼先
端リターン16と、翼中央部1gにおいて根元方向通路
13と先端方向通路10との間を繋ぐ翼中央リターンと
を有している。また、冷却通路2Cは、先端方向通路1
1,12と、根元方向通路14と、翼中央部1gにおい
て先端方向通路11と根元方向通路14との間を繋ぐ翼
中央リターン4と、翼根元部1e側において根元方向通
路14と先端方向通路12との間を繋ぐ翼根元リターン
15と、先端方向通路12から後縁部1d側に延びるピ
ンフィン冷却通路18とを有している。
【0022】そして、冷却通路2Bは、その入口部3B
から冷却空気(圧縮機からの抽気空気)Aが流入し、先
端方向通路9を通って翼先端部1f側に流れ、翼先端リ
ターン16で折り返し、根元方向通路13を通って翼中
央部1gまで流れ、翼中央リターン4で再び折り返すよ
うになっている。そして、翼中央リターン4で折り返し
た冷却空気Aは、先端方向通路10を通って流出孔17
から外部に流出するようになっている。
【0023】また、冷却通路2Cは、その入口部3Cか
ら冷却空気Aが流入し、先端方向通路11を通って翼中
央部1gまで流れ、翼中央リターン4で折り返し、根元
方向通路14を通って翼根元部1e側に流れ、翼根元リ
ターン15で再び折り返すようになっている。そして、
翼根元リターン15で折り返した冷却空気Aは、ピンフ
ィン冷却通路18を通って後縁部1dから外部に流出す
るとともに、その一部は先端方向通路12を通って流出
孔17から外部に流出するようになっている。
【0024】このように、上記冷却通路2B,2Cの翼
中央リターン4は、翼中央部1gにおいて冷却空気Aの
流れ方向を翼先端部1f方向と翼根元部1e方向との間
で反転させるようになっている。なお、ガスタービン空
冷翼1の各冷却通路2A〜2Cは、図4および図5に示
す従来のガスタービン空冷翼20の冷却通路22A,2
2Bと同様、壁面2a〜2dを有している。
【0025】次に、このような構成よりなる本実施形態
の作用について説明する。本実施形態によれば、冷却通
路2B,2Cの翼中央リターン4において、通路の壁面
2a〜2d近房の高温の冷却空気Aと通路中央寄りの低
温の冷却空気Aとの混合が行われるとともに、冷却通路
2B,2C内の境界層が乱される。このことにより、翼
中央リターン4およびその後流域における熱伝達率が高
くなるので、翼中央部1gの冷却効率を向上させること
ができる。
【0026】また、ガスタービン空冷翼1の冷却通路2
Bの翼先端リターン16から翼中央リターン4までの距
離と、冷却通路2Cの翼中央リターン4から翼根元リタ
ーン15までの距離は、図4に示す従来のガスタービン
空冷翼20の冷却通路22A,22Bの翼先端リターン
16から翼根元リターン15までの距離より短くなって
いる。このため、冷却通路2B,2Cのリターン4,1
5,16同士の間での境界層の発達が押さえられる(一
旦、リターン16,4で乱された境界層が再び発達しよ
うとしても、すぐに再びリターン4,15で乱される)
ので、冷却通路2B,2Cの冷却空気Aによる冷却効率
を向上させることができる。
【0027】なお、図1に示す本実施形態のガスタービ
ン空冷翼1においては、冷却通路2A〜2Cの壁面にタ
ービュランス・プロモータは図示されていないが、もち
ろん、図4および図5に示す従来のガスタービン空冷翼
20と同様、各冷却通路の壁面2a,2bにリブ状のタ
ービュランス・プロモータ5を突設してもよい。
【0028】第2の実施形態 次に、図2により本発明の第2の実施形態について説明
する。図2には、図4および図5に示す冷却通路22
A,22Bの各通路24〜27のうち冷却空気Aを翼先
端部1f方向に流す先端方向通路24〜26の一部が示
されている。この先端方向通路24〜26は、翼の回転
T方向の前方側に配置された背側壁面2bと、この背側
壁面2bに向い合って、翼の回転T方向の後方側に配置
された腹側壁面2aとを有している。また、先端方向通
路24〜26の腹側壁面2aには複数のリブ状のタービ
ュランス・プロモータ5aが、背側壁面2bには複数の
リブ状のタービュランス・プロモータ5bが突設されて
いる。そして、背側壁面2b側のタービュランス・プロ
モータ5bの高さh2 は、腹側壁面2a側のタービュラ
ンス・プロモータ5aの高さh1 より高くなっている。
【0029】次に、図2および図6により、このような
構成よりなる本実施形態の作用について説明する。本実
施形態において、冷却空気Aは先端方向通路24〜26
内を翼の回転半径R外側方向へ流れるので、コリオリの
力Cは翼の回転Tの接線方向とは反対方向(腹側壁面2
a側方向)に作用する。そして、このコリオリの力Cの
影響で通路24〜26の横断面方向に2次流れSが誘起
されるが、その2次流れ方向はコリオリの力Cの作用方
向と一致する。また、この2次流れSのために、2次流
れ方向とは反対側の壁面における熱伝達率が、2次流れ
方向側の壁面における熱伝達率よりも低くなるから、背
側壁面2bにおける熱伝達率が腹側壁面2aにおける熱
伝達率よりも低くなることになる。
【0030】ところが、背側壁面2b側のタービュラン
ス・プロモータ5bの高さh2 は、腹側壁面2a側のタ
ービュランス・プロモータ5aの高さh1 より高くなっ
ているので、タービュランス・プロモータ5a,5bで
冷却空気Aの流れを乱すことよる冷却効率の向上効果
は、背側壁面2b側の方が腹側壁面2a側より大きくな
る。このことにより、上記冷却空気Aの2次流れSのた
めに低下する背側壁面2b側の冷却効率を、タービュラ
ンス・プロモータ5bによる冷却効率の向上で補うこと
ができる。
【0031】以上、図2において、先端方向通路24〜
26の場合について説明したが、冷却空気Aを翼根元部
1e方向に流す根元方向通路27(図4および図5参
照)の場合は、図2に示す先端方向通路24〜26の場
合とは逆に、腹側壁面2a側のタービュランス・プロモ
ータ5aの高さh1 の方を、背側壁面2b側のタービュ
ランス・プロモータ5bの高さh2 より高くする。すな
わち、根元方向通路27においては、通路内の冷却空気
Aに作用するコリオリの力Cの作用方向は、図2に示す
方向とは逆に、翼の回転Tの接線方向(背側壁面2b側
方向)となり、2次流れ方向も背側壁面2b側方向とな
る。従って、この2次流れによって熱伝達率が低くなる
腹側壁面2a側のタービュランス・プロモータ5aの高
さh1 を、背側壁面2b側のタービュランス・プロモー
タ5bの高さh2 より高くすることで、腹側壁面2a側
の冷却効率の低下を補うことができる。このように、先
端方向通路24〜26と根元方向通路27との両者にお
いて、2次流れSによる腹側壁面2aと背側壁面2bと
の冷却効率の差を少なくすることにより、翼の腹側面1
aおよび背側面1b(図5参照)の各部における冷却効
率の均一化を図り、ひいては翼メタル温度分布の均一化
を図ることができる。
【0032】なお、図2において、タービュランス・プ
ロモータ5a,5bが冷却通路22A,22Bの腹側壁
面2aと背側壁面2bとで交互に位置がずれるように設
けられた、いわゆる食い違い配置になっている場合を示
したが、タービュランス・プロモータ5a,5bが腹側
壁面2aと背側壁面2bとに互いに対向して設けられ
た、いわゆる正則配置となっていてもよい。
【0033】第3の実施形態 次に、図3により本発明の第3の実施形態について説明
する。図3には、ガスタービン空冷翼の一部が、図4お
よび図5に示す冷却通路22A,22Bの先端方向通路
24〜26に対応して示されている(通路が先端方向通
路24〜26ではなく根元方向通路27である場合は、
図3に示すのとは異なり、手前側の壁面が背側壁面2
b、奥側の壁面が腹側壁面2aとなる。)。図3におい
て、通路24〜26の腹側壁面2aおよび背側壁面2b
には、各々リブ状のタービュランス・プロモータ5が突
設されている。なお、このタービュランス・プロモータ
5は、その長手方向が通路24〜26の冷却空気A流れ
方向に対して斜め方向となるように配置されている。そ
して、翼1の腹側面1aおよび背側面1bには、通路の
前側壁面2c側においてタービュランス・プロモータの
後流部6に対応する位置に、フィルム孔7が形成されて
いる(図3には、便宜上、腹側面1aのフィルム孔7の
みが示されている。)。このフィルム孔7は、タービュ
ランス・プロモータ5の長手方向に略平行な方向にフィ
ルム冷却用空気7Aを流出させることにより、フィルム
冷却用空気7Aをタービュランス・プロモータの後流部
6に対応する翼の表面(腹側面1aおよび背側面1b)
部分に沿って流すようになっている。
【0034】なお、タービュランス・プロモータ5が、
その長手方向が冷却空気Aの流れ方向に対して斜め方向
となるよう配置された場合について説明したが、図4に
示すタービュランス・プロモータ5と同様、タービュラ
ンス・プロモータ5はその長手方向が冷却空気Aの流れ
方向と直交するよう配置されていてもよい。
【0035】次に、このような構成よりなる本実施形態
の作用について説明する。本実施形態によれば、フィル
ム孔7からタービュランス・プロモータの後流部6に対
応する翼表面(腹側面1aおよび背側面1b)部分へフ
ィルム冷却空気7Aを流すことにより、冷却通路22
A,22B内の熱伝達率が低下するタービュランス・プ
ロモータの後流部6の冷却を補うことができる。
【0036】以上、本発明の第1乃至第3の実施形態に
ついて説明したが、これらの実施形態のうちいずれか2
つの実施形態同士を組合わせてもよく、3つの実施形態
を全て組合わせてもよい。その場合、ガスタービン空冷
翼の翼メタル温度分布の均一化を図りつつ、冷却空気に
よる冷却効率をより一層向上させることができる。
【0037】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、翼中央リ
ターンおよびその後流域における熱伝達率が高くなるの
で、翼の高さ方向中央部の冷却効率を向上させることが
できる。このように、熱的条件の厳しい翼の高さ方向中
央部の冷却効率を向上させることで、ガスタービン空冷
翼全体の冷却空気による冷却効率を効果的に向上させ、
より少ない冷却空気の量でガスタービン空冷翼の温度上
昇を押さえることができる。
【0038】請求項2記載の発明によれば、冷却通路内
にコリオリの力の影響で誘起される冷却空気の2次流れ
のために低下する一側の壁面の冷却効率を、タービュラ
ンス・プロモータによる冷却効率の向上で補うことがで
きる。このため、ガスタービン空冷翼の冷却通路の一側
の壁面に対応する部分と、他側の壁面に対応する部分の
冷却効率を均一化し、翼メタル温度分布の均一化を図る
ことができる。
【0039】請求項3記載の発明によれば、フィルム孔
からタービュランス・プロモータの後流部に対応する翼
表面部分に沿ってフィルム冷却空気を流すことにより、
冷却通路内の熱伝達率が低下するタービュランス・プロ
モータの後流部の冷却を補うことができる。このため、
ガスタービン空冷翼の冷却空気による冷却効率を向上さ
せ、より少ない冷却空気の量でガスタービン空冷翼の温
度上昇を押さえることができる。また、タービュランス
・プロモータの後流部に対応する翼表面部の冷却性能と
それ以外の部分の冷却性能とを均一化し、分翼メタル温
度分布の均一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるガスタービン空冷翼の第1の実施
形態を翼の反り線に沿う断面で示す図。
【図2】(a)は、本発明によるガスタービン空冷翼の
第2の実施形態の要部を拡大して示す縦断面図。(b)
は、同じく横断面図。
【図3】本発明によるガスタービン空冷翼の第3の実施
形態の要部を拡大して示す図。
【図4】従来のガスタービン空冷翼を、翼の反り線に沿
う断面で示す図。
【図5】図4のV‐V線方向断面図。
【図6】ガスタービン空冷翼の冷却通路内において冷却
空気に作用するコリオリの力の影響を模式的に示す斜視
図。
【符号の説明】
1,20 ガスタービン空冷翼 1e 翼先端部(チップ部) 1f 翼根元部 1g 翼中央部(翼の高さ方向中央部) 2A,2B,2C,22A,22B 冷却通路 2a〜2d 冷却通路の壁面 4 翼中央リターン 5,5a,5b タービュランス・プロモータ 6 タービュランス・プロモータの後流部 7 フィルム孔 7A フィルム冷却空気 A 冷却空気 C コリオリの力 R 翼の回転半径 T 翼の回転

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷却空気を流す冷却通路を内部に備えたガ
    スタービン空冷翼において、 前記冷却通路は、翼の高さ方向中央部において冷却空気
    の流れ方向を翼先端部方向と翼根元部方向との間で反転
    させる翼中央リターンを有することを特徴とするガスタ
    ービン空冷翼。
  2. 【請求項2】冷却空気を流す冷却通路を内部に備えたガ
    スタービン空冷翼において、 前記冷却通路は、翼の略回転半径方向へ前記冷却空気を
    流すとともに、それぞれ翼の回転方向の前方側と後方側
    とに配置され各々タービュランス・プロモータが突設さ
    れた一対の壁面を有し、 この一対の壁面のうち、翼の略回転半径方向への前記冷
    却空気の流れと翼の回転とによって前記冷却空気に作用
    するコリオリの力の作用方向とは反対の側となる一側の
    壁面のタービュランス・プロモータの高さが、他側の壁
    面のタービュランス・プロモータの高さより高くなって
    いることを特徴とするガスタービン空冷翼。
  3. 【請求項3】冷却空気を流す冷却通路を内部に備え、こ
    の冷却通路の壁面にタービュランス・プロモータが突設
    されたガスタービン空冷翼において、 前記タービュランス・プロモータの後流部に対応する翼
    表面部分に沿ってフィルム冷却空気を流すためのフィル
    ム孔を更に備えたことを特徴とするガスタービン空冷
    翼。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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