JPH09127935A - 弦楽器 - Google Patents

弦楽器

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JPH09127935A
JPH09127935A JP30988395A JP30988395A JPH09127935A JP H09127935 A JPH09127935 A JP H09127935A JP 30988395 A JP30988395 A JP 30988395A JP 30988395 A JP30988395 A JP 30988395A JP H09127935 A JPH09127935 A JP H09127935A
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front plate
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plate
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Masayuki Node
正之 野手
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TEGURETSUTO GIJUTSU KAIHATSU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大量生産によりながら、倍音が強く発生する
理想的な弦楽器に匹敵する性能を確実に発揮し得る弦楽
器を提供する。 【解決手段】 表板と、裏板と、表板及び裏板を連結す
る横板とにより形成される胴部を具備する弦楽器におい
て、胴部の内面側にて、表板及び裏板の双方又はいずれ
か一方の上に並設される複数の溝を有する。さらに好適
には、これらの溝が略平行及び略等間隔に配置される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バイオリン等の弦
楽器の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】バイオリン等の弦楽器は、演奏家用の高
級品から一般用の製品までその性能には幅がある。その
性能の違いは、発生される音色や響きにあるが、特に、
共鳴基本音の整数倍の振動数をもつ倍音が強く発生され
ることが、良い音色を生み出すことに多大に寄与すると
いわれている。例えばバイオリンでは、その胴部を構成
する表板及び裏板が共鳴板として働く。そして、木製で
ある表板及び裏板の材質、加工状態、表面の微細な凹
凸、塗装の状態等が理想的条件を満たすとき、倍音が効
果的に発生され、その結果、良い音色として評価される
のである。
【0003】従来、名器とされる弦楽器の多くは、いわ
ゆる名工の手作りによるものでありしかも製作時から非
常に長期間を経たものである。これは、弦楽器の製作時
において優れた技巧が必要とされることに加えて、その
弦楽器が長年にわたって使用され、望ましい経年変化が
その弦楽器に現出した場合にのみ、理想的な弦楽器が得
られることを意味する。周知のように、このような弦楽
器は非常に希少価値があり、極めて高価でもある。一
方、一般用に用いられる製品は、大量生産により製作す
ることが可能であり安価であるが、高級な名器に匹敵す
るような音色を期待することはできない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】弦楽器の製作におい
て、上記のような倍音を強く発生する構造を実現するこ
とは、その製作者の技能や感あるいは弦楽器の胴部とし
て用いる木材の材質や状態等に大きく依存している。そ
れに加えて、非常な長期間、例えば数百年以上もの間理
想的に使用されかつ保存された場合にのみ、弦楽器とし
て理想的な構造が実現されるものとされてきた。従っ
て、大量生産によって確実にこのような構造を具備する
弦楽器を製作することは非常に困難であり、不可能であ
るとされてきた。以上述べた状況に鑑み、本発明の目的
は、大量生産によりながら理想的な弦楽器に匹敵する性
能を確実に発揮し得る弦楽器を提供することである。こ
こで理想的な弦楽器のもつ性能とは、倍音が強く発生
し、音色がよく、かつ強く響く特性等を意味する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するべ
く、本発明は以下の構成を開示する。本発明による弦楽
器の第1の態様は、表板と、裏板と、前記表板及び前記
裏板を連結する横板とにより形成される胴部を具備する
弦楽器において、前記胴部の内面側にて、前記表板及び
前記裏板の双方又はいずれか一方の上に並設される複数
の溝を有する。
【0006】本発明による弦楽器の第2の態様は、表板
と、裏板と、前記表板及び前記裏板を連結する横板とに
より形成される胴部を具備する弦楽器において、前記胴
部の外面側にて、前記表板及び前記裏板の双方又はいず
れか一方の上にそれぞれ並設される複数の溝を有する。
【0007】本発明による弦楽器の第3の態様は、表板
と、裏板と、前記表板及び前記裏板を連結する横板とに
より形成される胴部を具備する弦楽器において、前記胴
部の内面側及び外面側の双方にて、前記表板及び前記裏
板の双方又はいずれか一方の上にそれぞれ並設される複
数の溝を有する。
【0008】本発明による弦楽器の第4の態様は、上記
第1乃至3のいずれかの態様において、前記複数の溝の
各々が、互いに略平行に配置される。
【0009】本発明による弦楽器の第5の態様は、上記
第1乃至4のいずれかの態様において、前記複数の溝の
各々が、互いに略等間隔に配置される。
【0010】本発明による弦楽器の第6の態様は、上記
第5の態様において、前記複数の溝の各々が少なくとも
前記表板に対して設けられる場合、前記胴部の長手方向
に平行な方向に設けられる。
【0011】本発明による弦楽器の第7の態様は、上記
第6又は7のいずれかの態様において、前記複数の溝の
各々が少なくとも前記裏板に対して設けられる場合、前
記胴部の長手方向に略直交する方向に設けられる。
【0012】本発明による弦楽器の第8の態様は、上記
第5乃至7のいずれかの態様において、前記複数の溝の
各々が前記表板及び前記裏板の双方に対して略等間隔に
設けられる場合、前記表板上において配置される間隔
と、前記裏板上において配置される間隔とが異なるよう
に設けられる。
【0013】本発明による弦楽器の第9の態様は、上記
第1乃至3のいずれかの態様において、前記表板上及び
前記裏板上の双方又はいずれか一方を複数の領域に区分
し、前記複数の溝の各々が並設される場合に、該区分さ
れた各領域内において略等間隔に配置され、かつ隣合う
2つの領域の各々における配置間隔が異なるように設け
られる。
【0014】本発明による弦楽器の第10の態様は、上
記第1乃至3のいずれかの態様において、前記表板及び
前記裏板が木材からなる場合に、前記複数の溝の各々
が、該表板及び該裏板のそれぞれの木目に沿った方向に
設けられる。
【0015】本発明による弦楽器の第11の態様は、上
記第10の態様において、前記表板及び前記裏板が木材
からなる場合に、前記複数の溝の各々が、該表板及び該
裏板のそれぞれの節と節との間に設けられる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明を、代表的な弦楽器
であるバイオリンに適用した例を用いて詳細に説明する
が、本発明の適用はバイオリンにのみ限定されるもので
はない。
【0017】最初に、バイオリンの構造の概要を述べ
る。バイオリンの胴部は、独特の曲線形状からなる輪郭
を有し弦が張られる側の表板と、弦のない側の裏板と、
これら2枚の板をその輪郭に沿って連結する横板とから
形成される。表板、裏板、及び横板で形成される胴部の
内部は中空となる。さらに表板には、中央部両側2カ所
にf孔が設けられる。通常、表板にはスプルス材が使用
され、裏板にはカエデ材が使用される。
【0018】図1は、本発明の実施の形態の一例である
バイオリンにおける裏板20の胴部内面側の概略的平面
図である。矢印Cは、裏板20の長手方向を示す。一般
的に、裏板20は、左右対称な2枚の部材20aと20
bとを中央線22上で接合することにより形成される。
さらに、図1の裏板20の断面は図示しないが、部材2
0aと20bとで形成される胴部外面側は、中央線22
を稜線とするアーチ形状の凸曲面であり、また胴部内面
側は、削り込まれた凹曲面となっている。このような裏
板20の全体的な形状は、従来と同様である。また、通
常、バイオリンの胴部は木材を材質としており、部材2
0a及び20bは、それぞれ矢印A及び矢印Bで示す方
向に木目が走っている。図示の通り、通常この木目の方
向は、中央線22に対して正確に直交する方向ではな
く、直交方向からやや傾斜した方向(このような方向を
略直交方向と称する)となっている。
【0019】本発明の特徴は、裏板20のほぼ全面上
に、複数の溝24を刻み並設したことである。この実施
形態では、各溝24が、部材20a及び20bのそれぞ
れの木目方向すなわち中央線22の略直交方向に沿っ
て、中央線22の近傍から裏板20の周縁近傍まで延在
している。さらにこれらの溝は、好適には互いに略平行
でありかつ略等間隔に配置されている。一般に「平行」
であるとは、平面上の複数の直線についての関係を表す
が、本明細書では、裏板20等の曲面上に設けられた複
数の溝であっても、図1のような平面図として見た場合
に、略平行であればよいものとする。ここで、「略」平
行とは、物理的平行はむろんのこと、これに限らず多少
のずれ又は誤差のある平行も含まれる。さらに、「略」
等間隔とした理由は、本発明においては、計測上正確な
等間隔配置よりもむしろわずかずつ誤差を含んだゆらぎ
のある等間隔配置の方が好ましい効果が得られるためで
ある。すなわち、略等間隔とは、物理的等間隔はむろん
のこと、これに限らず多少のずれ又は誤差のある間隔を
指称する。このような複数の溝の加工は、周知の機械的
加工手段により、容易にかつ再現性よく実施することが
可能である。
【0020】バイオリンに限らず弦楽器においては、弦
を擦ることにより発生された音が胴部を構成する部材と
共鳴することが重要である。名器と呼ばれる楽器の場
合、部材表面に形成された微妙な凹凸の間隔が音の波長
と適合し、共鳴することにより、強い倍音を発生するこ
とができるのである。名器においては、材料の材質や木
目等を厳選しかつ巧みな加工を施し、さらに経年変化に
よってこのような微妙な凹凸が現出する。本発明の発明
者は、この微妙な凹凸の形成要因の1つとして、胴部を
構成する木材の木目の節が凸部となりそして節と節との
間が凹部となることにより、ほぼ等間隔の凹凸の筋が木
目に沿って現出することに着目し、これと類似の凹凸を
人工的に胴部部材上に設けたならば、名器と同等の音色
が期待できるのでないかという着想を得たのである。
【0021】実際に、図1に示した複数の溝を設けた裏
板20を具備するバイオリンにおいては、従来の一般用
のバイオリンを遥かに凌ぐ強い倍音が発生され、しかも
その倍音の発生が、製作される個々の楽器について確実
に再現されることが確認された。図1に示した裏板20
に彫られた各溝は、共鳴振動の節となることにより、強
い共鳴の発生を促進するのである。尚、これらの溝の配
置間隔(図中、d1で示す)は、発生する音の波長と密
接に関連する。従って、配置間隔を広くすれば、長波長
すなわち低い振動数の音が発生し、配置間隔を狭くすれ
ば、短波長すなわち高い振動数の音が発生する。このよ
うに容易に所望の共鳴音の形成を実現することができ
る。ここで特に重要な点は、前述の通り、配置間隔が厳
密に等間隔であるよりもむしろ略等間隔である方が好ま
しいことである。これは、音色の感覚的な評価によるも
のであるが、複数の溝を厳密な等間隔とした場合の純粋
な共鳴音よりも、略等間隔とした場合のばらつきのある
共鳴音の方が、幅のある豊かな音色として評価されるた
めである。また、溝の方向を木目方向としたことは、名
器の例に倣ったものであるが、実際にこの方向とするこ
とが倍音の発生に好適であることも判明した。よって、
図1に示した裏板の場合、裏板の長手方向の中央線に対
して略直交方向に溝を設けることが望ましい。このと
き、共鳴音の定在波は、溝の方向に直交する方向に発生
することになる。
【0022】次に、図2は、本発明を表板30に対して
適用した実施形態の例を示す、表板30の胴部内面側の
概略的平面図である。表板30の場合、その中央部両側
に2つのf孔34a及び34bが穿たれている。さら
に、表板30は、図1に示した裏板20と異なり、通常
その木目方向が長手方向(矢印Cで示す方向)に沿って
いる。従って、表板30のほぼ全面上に複数の溝32を
配置する場合、その長手方向に溝が沿うように並設す
る。各溝32は、f孔34a及び34bの周辺を除い
て、表板30の長手方向の一端近傍から他端近傍まで延
在している。これらの溝32もまた、好適には互いに平
行にかつ略等間隔配置されている。その理由は、前述の
裏板の場合と同様である。表板30の胴体内面側には、
従来通り長手方向にバスパー36が取り付けられてお
り、これによって長手方向の音響波の発生が防止され
る。すなわち、表板30においては、各溝を節として、
溝に直交する方向に共鳴音の定在波が発生することにな
る。表板30についても、音の振動数は溝の配置間隔
(図中、d2で示す)と密接に関連しており、従って配
置間隔により所望の音を設定することが可能である。
【0023】さらに、図1に示した裏板20及び図2に
示した表板30の双方を具備するバイオリンは、本発明
の最も好適な実施形態であり、極めて良好な倍音発生特
性を確実に有する。しかもこのようなバイオリンは、従
来の量産品の工程に対して、上記複数の溝を設ける工程
を追加するのみで、容易に製作することができる。
【0024】またさらに、表板及び裏板に対してそれぞ
れ複数の溝を設ける場合の別の実施形態においては、表
板上に設ける複数の溝の配置間隔d2を、裏板上に設け
る複数の溝の配置間隔d1よりも狭くすることが好適で
ある。バイオリンの場合、高音を発生するときには表板
の方がよく振動するので、これをさらに増幅させること
ができる。もちろん、逆に表板上の溝の配置間隔を、裏
板上の溝の配置間隔よりも狭くしてもよい。このよう
に、表板と裏板の共鳴音の振動数が異なることにより、
倍音の範囲が広くなる。その結果、さらに音色が豊かと
なり、また音色の微妙な調整をすることもできる。
【0025】図3は、本発明の別の実施形態を示す、裏
板120の胴部内面側の平面図である。この実施形態で
は、裏板120の面上を2つの領域121と122とに
区分している。図3中、領域121と領域122とを区
分する境界123を破線にて示すが、これは説明のため
の仮想的な線であって実際に設けられるものではない。
この例では、領域121に設けられる複数の溝124の
配置間隔d3と、領域122に設けられる複数の溝12
6の配置間隔d4とが、互いに異なるように設けられ
る。このように裏板120上に複数の溝を設けると、各
々の領域において異なる振動数の共鳴音が発生すること
により倍音の範囲が広がる。図3に示した実施例の区分
領域を2以上としてもよい。その場合、それぞれの領域
における溝の配置間隔は、隣り合う領域の溝の配置間隔
とは異なるように設ける。このような領域区分構成によ
って、さらに音色が豊かとなり、また微妙な調整が可能
となる。
【0026】図3の実施形態の応用例として、図3のよ
うに明確に領域を区分することなく、略平行な複数の溝
を、胴部部材の一端から他端へ向かって漸次間隔が広ま
っていくようにあるいは狭まっていくように配置するこ
とも可能である。この例では、胴部部材全体としてみれ
ば、複数の溝が略等間隔となっていないが、所与の局所
的領域についてみれば、略等間隔の配置が実現されてい
る。従って、上記図3に示したと同様の効果が得られ
る。この実施形態には様々な変形があり得る。例えば、
略平行な複数の溝の間隔を、一端から他端へ向かって一
様に漸増あるいは漸減するのではなく、一端から所与の
位置までは漸増し、そしてその位置から他端までは漸減
するというように、配置間隔の変化の方向が途中で変わ
るように設けることもできる。
【0027】バイオリンの場合、隣り合う溝との間隔は
3〜20ミリ程度、1本の溝の幅は1〜10ミリ程度が
好適であるが、この範囲に限定するものではない。重要
な点の1つは、部材表面からの溝の深さと発生する倍音
の強度との間に相関があることである。このことを利用
して、溝の深さを所定の深さに設定することにより、発
生する倍音の強度も調整することが可能である。また、
溝の断面形状についても自在に設計可能であり、例え
ば、U字状、V字状、またはコの字状等が考えられる
が、微妙な音色の差異を除いて本発明の作用に対する大
きな影響はないと思われる。
【0028】前述のいくつかの実施形態においては、複
数の溝を、表板又は裏板の胴部内面側に設けたが、これ
は外観を考慮して好適としたのであって、もちろん胴部
外面側にこれらの溝を設けても本発明の作用は同様に実
現される。また、胴部内面及び外面の双方の側に複数の
溝を設けてもよい。
【0029】また、複数の溝を部材の木目方向に沿って
設ける場合、その木材本来の節と節との間に、選択的に
溝を設けることは非常に好適である。しかしながら、必
ずしも木目方向と溝の方向とが一致しない場合あるいは
節と節との間に溝が位置しない場合であっても、略平行
かつ略等間隔に溝を設けるのみで十分な効果が認められ
る。特に量産の場合、個体毎に木目方向にばらつきがあ
るために必ずしも木目方向と溝の方向とを完全に一致さ
せられないこともあり得る。このような場合であっても
本発明は十分な効果を保証する。
【0030】尚、記載した実施の態様では、弦楽器胴部
の材料として木材を想定しているが、これに限定される
ものではない。例えば、近年開発されている様々な特徴
を有する多様な合成樹脂の中から適切なものを材料とし
て選択し、本発明を適用して弦楽器を製作することも可
能である。
【0031】以上、本発明をバイオリンを例として説明
したが、本発明は、例えばビオラ、チェロ、ギター等の
他の弦楽器にも同様に適用でき、同様の作用を実現でき
ることは当業者には自明であろう。設けられる複数の溝
の配置間隔は、その楽器の発生する音域を考慮して設定
することができるが、最も大きな楽器の場合であっても
その低音の限界から、溝の間隔は約50ミリ以下となる
であろう。
【0032】
【発明の効果】本発明は、弦楽器の胴部を形成する表板
及び裏板の双方またはいずれか一方の上に、さらに表板
及び/または裏板についてその胴部内面側及び外面側の
双方またはいずれか一方の上に、好適には木目に沿った
略等間隔の複数の溝を設けるように構成したので、表板
及び/または裏板上における溝を節とする共鳴音が容易
に発生する。これによって強い倍音発生特性を備えた弦
楽器が実現される。さらに、表板と裏板の各々の上の複
数の溝の配置間隔を異なるようにしたり、あるいは、各
部材上を複数の領域に区分し各領域に対して隣り合う領
域とは異なる配置間隔にて複数の溝を設けるたりするこ
とによって、異なる振動数の共鳴音が発生し、倍音の範
囲が広がる。しかも本発明によれば、倍音の振動数、強
度、及び音の範囲を容易に設定及び調整することが可能
である。
【0033】本発明の最も有用な効果は、上記のような
優れた倍音発生特性を備えた弦楽器が、特殊な技能や長
期の経年変化を必要とすることもなく、大量生産の手段
を用いて容易にかつ確実に製作されることである。本発
明を適用するために従来の製作工程に対して追加するべ
き工程は、複数の溝の加工工程のみであり、このような
加工工程は周知の技術により容易に実施可能である。
【0033】材料の木材に関しても、本発明を適用した
弦楽器は、同じ材質の従来の弦楽器と比較して性能が格
段に向上すると期待されるので、従来必要であった木材
の厳選が不要となったり、あるいは材質を低下させるこ
とが可能となったりすることでコストが低減される。
【0034】以上、本発明により、名器と称される弦楽
器に匹敵する音色を発生可能な一般使用のための弦楽器
が、安価に提供されることとなり、よって当該音楽部門
の専門家、教師、学生等に対して多大な恩恵をもたらす
こととなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例であるバイオリンに
おける裏板の胴部内面側の平面図である。
【図2】本発明を表板に対して適用した実施形態の例を
示す、表板の胴部内面側の平面図である。
【図3】本発明の別の実施形態を示す、裏板120の胴
部内面側の平面図である。
【符号の説明】
20 裏板 22 中央線 24 溝(裏板上) 30 表板 32 溝(表板上) 34a、34b f孔 36 バスパー d1、d2 溝の配置間隔

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表板と、裏板と、前記表板及び前記裏板
    を連結する横板とにより形成される胴部を具備する弦楽
    器において、 前記胴部の内面側にて、前記表板及び前記裏板の双方又
    はいずれか一方の上に並設される複数の溝を有すること
    を特徴とする弦楽器。
  2. 【請求項2】 表板と、裏板と、前記表板及び前記裏板
    を連結する横板とにより形成される胴部を具備する弦楽
    器において、 前記胴部の外面側にて、前記表板及び前記裏板の双方又
    はいずれか一方の上にそれぞれ並設される複数の溝を有
    することを特徴とする弦楽器。
  3. 【請求項3】 表板と、裏板と、前記表板及び前記裏板
    を連結する横板とにより形成される胴部を具備する弦楽
    器において、 前記胴部の内面側及び外面側の双方にて、前記表板及び
    前記裏板の双方又はいずれか一方の上にそれぞれ並設さ
    れる複数の溝を有することを特徴とする弦楽器。
  4. 【請求項4】 前記複数の溝の各々が、互いに略平行に
    配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか
    記載の弦楽器。
  5. 【請求項5】 前記複数の溝の各々が、互いに略等間隔
    に配置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれ
    か記載の弦楽器。
  6. 【請求項6】 前記複数の溝の各々が少なくとも前記表
    板に対して設けられる場合、前記胴部の長手方向に平行
    な方向に設けられることを特徴とする請求項5記載の弦
    楽器。
  7. 【請求項7】 前記複数の溝の各々が少なくとも前記裏
    板に対して設けられる場合、前記胴部の長手方向に略直
    交する方向に設けられることを特徴とする請求項6又は
    7のいずれか記載の弦楽器。
  8. 【請求項8】 前記複数の溝の各々が前記表板及び前記
    裏板の双方に対して略等間隔に設けられる場合、前記表
    板上において配置される間隔と、前記裏板上において配
    置される間隔とが異なるように設けられることを特徴と
    する請求項5乃至7のいずれか記載の弦楽器。
  9. 【請求項9】 前記表板上及び前記裏板上の双方又はい
    ずれか一方を複数の領域に区分し、前記複数の溝の各々
    が並設される場合に、該区分された各領域内において略
    等間隔に配置され、かつ隣合う2つの領域の各々におけ
    る配置間隔が異なるように設けられることを特徴とする
    請求項1乃至3のいずれか記載の弦楽器。
  10. 【請求項10】 前記表板及び前記裏板が木材からなる
    場合に、前記複数の溝の各々が、該表板及び該裏板のそ
    れぞれの木目に沿った方向に設けられることを特徴とす
    る請求項1乃至3のいずれか記載の弦楽器。
  11. 【請求項11】 前記表板及び前記裏板が木材からなる
    場合に、前記複数の溝の各々が、該表板及び該裏板のそ
    れぞれの節と節との間に設けられることを特徴とする請
    求項10記載の弦楽器。
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