JPH09127139A - カンチレバー型微小探針の製造方法およびカンチレバー型微小探針 - Google Patents

カンチレバー型微小探針の製造方法およびカンチレバー型微小探針

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JPH09127139A
JPH09127139A JP28498395A JP28498395A JPH09127139A JP H09127139 A JPH09127139 A JP H09127139A JP 28498395 A JP28498395 A JP 28498395A JP 28498395 A JP28498395 A JP 28498395A JP H09127139 A JPH09127139 A JP H09127139A
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ion beam
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Masahiro Ueda
雅弘 上田
Shinji Nagamachi
信治 長町
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Shimadzu Corp
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Shimadzu Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カンチレバーの自由端近傍に形成される微小
針状突起の材質の選択度が大きく、従来方法に比して材
料の利用効率が高いカンチレバー型微小探針の製造方法
と、それにより得られる、従来実用化されていない材質
の微小針状突起を持つカンチレバー型微小探針を提供す
る。 【解決手段】 一端が基板1に固定された微小なカンチ
レバー2の自由端近傍の一点に、低エネルギ集束イオン
ビームを連続照射することによってそのイオンを直接蒸
着させ、微小針状突起3を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばSTM(走
査型トンネル顕微鏡)、AFM(原子間力顕微鏡)等の
SPM(探針走査型顕微鏡)の用いる探針として、ある
いは磁気ヘッドとして用いることのできるカンチレバー
型微小探針の製造方法と、その製造方法により得ること
のできるカンチレバー型微小探針に関する。
【0002】
【従来の技術】探針と被測定試料との間に流れるトンネ
ル電流を一定に保ちつつ探針を操作することによって試
料の表面状態を測定するSTMや、被測定試料と探針と
の間に作用する力に起因する探針の変位(撓み)を一定
に保ちつつ探針を操作するAFM等をはじめとする、探
針走査型顕微鏡においては、一般に、一端が基板に固定
された微小なカンチレバーの自由端近傍に微小な針状突
起を備えた、いわゆるカンチレバー型微小探針が用いら
れれる。このようなカンチレバー型微小探針を製造する
方法としては、従来、次にような方法が知られている。
【0003】一つは、単結晶を用いて、そのエッチング
異方性を利用する、レプリカ法と称される方法である。
その工程の概略を図1〜図4に模式的に示す。まず、図
1(A)に断面図、(B)に平面図を示すように、Si
単結晶基板10の表面をSiO2 等のマスク11で覆
い、そのマスク11には微小な矩形孔11aを形成す
る。次に、そのマスク11を介して、KOH,TMAH
(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)、ヒ
ドラジン、EDP(エチレンジアミンピロカテコール)
等のエッチャントを用いてSi単結晶基板10をエッチ
ングすることにより、そのエッチング異方性を利用して
図2(A)に断面図、(B)に平面図を示すように四角
錐形の窪み10aを形成する。次に、その窪み10aを
埋め込むようにSi3 4 等の膜を成膜し、その膜をフ
ォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることに
よって、図3(A)断面図、(B)に平面図を示すよう
に、一端部が窪み10a内に入り込んだ短冊状の膜12
を残す。次いでSi単結晶10の裏面側からのエッチン
グにより、窪み10aの形成部分を含めた不要部分を除
去することによって、図4に斜視図を示すように、Si
台座100に一端が固定されたSi3 4 製のカンチレ
バー101の自由端近傍に、微小な四角錐形の針状突起
102を備えた構造のカンチレバー型微小探針を得る。
【0004】従来のカンチレバー型微小探針の製造方法
の他の一つは、サイドエッチングを利用する方法であ
る。この方法は、図5(A),(B)に模式的に示すよ
うに、Si等の基板20をレジスト膜等のマスク21を
介してエッチングによってパターニングしようとする際
に、そのエッチング量が大きいと、マスク21の下部に
もエッチングが進行するサイドエッチングと称される現
象が生じるが、この現象を積極的に利用し、マスク21
の形状、大きさ、エッチング条件等を適当に選ぶこと
で、カンチレバーの自由端近傍に円錐形または角錐形等
の微小探針を形成する方法である。
【0005】また、従来、数keV〜50keV付近の
エネルギを有するイオンビームは物質表面との相互作用
としてのエッチング効果が大きく、イオンビームミリン
グとして応用されており、特に20〜50keVのGa
+ 集束イオンビームは、ビーム径をサブミクロンオーダ
ーまで絞り込むことができ、これを用いた高分解能のミ
リング加工技術が実用化されている。この技術によれ
ば、フォトリソグラフィ技術と比較して格段に高い加工
自由度が得られることから、このイオンビームミリング
技術によって、前記した各製法により得られたカンチレ
バー型微小探針の微小針状突起部分等を追加工する方法
が実用化されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のカン
チレバー型微小探針の製造方法のうち、レプリカ法およ
びサイドエッチングを利用した方法においては、材料化
学的性質を利用した方法であるため、適用できる材料に
制約が多いという欠点がある。そのことを原因として、
従来、例えばAFM等のプローブとして用いられるカン
チレバー型微小探針は、これらの方法により製造可能な
SiおよびSi3 4 以外の材質では実用化されていな
い。
【0007】また、イオンビームミリング技術を利用し
てカンチレバー型微小探針を追加工する方法において
は、微小探針の純度が低下してしまうという欠点があ
る。すなわち、20〜50keVのイオンビームには、
エッチング作用の他にイオン注入作用があるため、ミリ
ング加工に用いられるGaが不純物として探針材料中に
混入してしまうことは避けられない。探針材料の純度が
下がることで、探針材料の物理的あるいは化学的性質を
積極的に利用する場合に、不利を生じる可能性がある。
例えば探針材料に磁性体を用いて磁気力検知型のカンチ
レバー型微小探針を得ようとする場合、その磁性体の純
度が下がることで透磁率、保磁力等が小さくなり、結果
として感度が低下してしまうことになる。
【0008】更に、従来の製造方法においては、そのい
ずれも、バルク状の材料からの削り出しによって所望構
造のカンチレバー型微小探針を得るため、材料の利用効
率が著しく低いという欠点がある。
【0009】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
もので、カンチレバーの自由端近傍に形成される微小針
状突起の材質の選択度が極めて大きく、しかも、従来の
各製法に比して材料の利用効率の大きいカンチレバー型
微小探針の製造方法と、それによって得ることのでき
る、未だ実用化されていない材質の微小針状突起を有す
るカンチレバー型微小探針を提供することを目的として
いる。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のカンチレバー型微小探針の製造方法は、一
端が基板に固定された微小カンチレバーの自由端近傍の
一点に、真空中にて低エネルギの集束イオンビームを連
続照射することによりそのイオンを直接蒸着させて、金
属または半導体の単体もしくは合金または化合物からな
る微小針状突起を形成することによって特徴づけられ
る。
【0011】本発明のカンチレバー型微小探針の製造方
法では、以上のようにして形成された微小針状突起に対
して、当該微小針状突起に含まれる元素をイオン種とす
る集束イオンビームを用いたイオンミリングによって追
加工してもよい。
【0012】更に、本発明のカンチレバー型微小探針
は、一端が基板に固定された微小カンチレバーの自由端
近傍に、Au,Cu,Nb,Ti,Co,Ni,Fe,
Ag,Al,Pd,Pt,またはGeの集束イオンビー
ムを直接蒸着することによって形成された、これらの元
素の単体、もしくはこれらの元素を組み合わせた合金か
らなる微小針状突起が形成されていることによって特徴
づけられる。
【0013】ここで、本発明の製造方法において、微小
針状突起を除くカンチレバー本体の製造方法並びに材質
は任意であり、また、本発明のカンチレバー型微小探針
においても、カンチレバー本体の材質は限定されない。
【0014】
【作用】本発明は、集束イオンビーム直接蒸着法ではタ
ーゲット平面上での蒸着速度がイオンビームのビームプ
ロファイルに反映する事実と、集束イオンビームのビー
ムプロファイルはガウス分布に近似することを利用し
て、真空中で低エネルギ集束イオンビームを微小カンチ
レバーの自由端近傍の一点に照射することにより、そこ
に微小針状突起を形成しようとするものである。
【0015】すなわち、ターゲットの平坦な表面に集束
イオンビームを照射すると、そのイオンのターゲットへ
の蒸着速度はイオンビームのビームプロファイル、すな
わち密度の分布を反映する。この密度分布はガウス分布
に近似しており、従って、このような集束イオンビーム
を低エネルギのもとにターゲットの一点に連続照射する
と、図6(A)に示すように、集束イオンビームBの照
射当初において、ターゲットTの表面に、ビームBの密
度分布に応じて中央部分が盛り上がった薄膜Fが成膜さ
れる(核の成長)。ここで、集束イオンビームを低エネ
ルギでターゲットTに導くためには、ターゲットTの直
前にイオンビームBを減速するための減速用の電場が形
成されるが、上記した中央部分が盛り上がった薄膜F
(核)がターゲットTに形成されることによって、イオ
ンビームBにとって減速場である電界分布が、核の形状
に沿うように歪み、発散場が生成される。その状態を図
6(A)に電気力線fと等電位線pによって示す。
【0016】このような発散場の生成状態で更に集束イ
オンビームの照射を継続すると、中心部と周辺部の蒸着
速度差が助長され、図6(B)に示すように、更に中央
部分が盛り上がり、かつ、電界分布の歪みも増大し、中
央部分と周辺部分の蒸着速度差は更に広がる(核の成
長)。
【0017】そして、最終的には、図6(C)に示すよ
うに、中心の点状領域だけが成長し、先鋭な形状を持つ
微小針状突起Nが得られる。従って本発明の製造方法に
よれば、微小針状突起Nは従来の製法のように削り出す
のではなく、平坦なカンチレバーの表面に蒸着形成する
のであるため、材料の利用効率は著しく向上する。
【0018】また、本発明の製造方法において利用する
集束イオンビーム直接蒸着法によれば、殆どあらゆる金
属および半導体をイオン種として利用することができ、
従って、上述の微小針状突起Nの材質として、集束イオ
ンビーム直接蒸着法で蒸着可能な種々の材質の微小針状
突起を自由端近傍に備えたカンチレバー型微小探針を得
ることができる。また、複数のイオン種を用いることに
より、金属または半導体の合金ないしは化合物からなる
微小探針の形成も可能である。
【0019】ここで、以上の製造方法によって得られた
微小針状突起Nに対し、より先鋭化や柱状化を図るべく
追加工を行うに際しては、その微小針状突起Nに含まれ
る元素をイオン種とする集束イオンビームを用いたイオ
ンミリングを行うことによって、そのイオンミリング用
のイオンが微小針状突起N内に注入されても、これが不
純物となることがない。
【0020】一方、本発明のカンチレバー型微小探針
は、上記の方法によって製造される微小針状突起をカン
チレバーの自由端近傍に備えているものであるが、従来
の製造方法によっては得ることのできない材質、つまり
未だ実用化されていない材質からなる微小針状突起を有
する点を特徴としている。すなわち、微小針状突起とし
て、従来実用化されているSiおよびSi3 4 を除
き、かつ、集束イオンビーム直接蒸着法により蒸着可能
な材料、具体的には、Au,Cu,Nb,Ti,Co,
Ni,Fe,Ag,Al,Pd,Pt,またはGeの元
素のうち、任意のものの単体、またはこれらの合金から
なる微小針状突起がカンチレバーの自由端近傍に形成さ
れた構造を持つカンチレバー型微小探針である。このよ
うな材質からなる微小針状突起を有するカンチレバー型
微小探針を用いることにより、その材料の物性を利用し
た探針とすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】図7は本発明の製造方法の工程説
明図である。まず、図7(A)に示すように、固定基板
1に一端が固定された微小カンチレバー2を作成する。
この固定基板1とカンチレバー2の材質はは特に限定さ
れるものではないが、その一例として、固定基板1をS
i基板とし、カンチレバー2をSi3 4 薄膜とするこ
とができる。また、この図7(A)に示した構造を作成
する方法についても、特に限定されないが、その一例と
して、Si等の基板の表面に一様にSi3 4 薄膜を成
膜した後、これをフォトリソグラフィ技術によって図7
(A)に示されているカンチレバー2の形状にパターニ
ングし、更に、基板の裏面側からのエッチングにより基
板の不要部分を除去し、同図に示されている固定基板1
の形状とする方法を採用することができる。ここで、カ
ンチレバー2の幅寸法は、例えば100μm程度であ
る。
【0022】次に、図7(A)のカンチレバー2の自由
端近傍の一点に、真空中において低エネルギの集束イオ
ンビームを連続照射することにより、同図(B)に示す
ように、カンチレバー2の自由端近傍に微小針状突起3
を形成する。この微小針状突起3の大きさは、例えば底
辺の直径ないしは一辺が20〜30μm程度で、高さも
同様に20〜30μmである。
【0023】図8にこのような低エネルギの集束イオン
ビームを連続照射するのに適した集束イオンビーム装置
の構成例を示す。この例における集束イオンビーム装置
は、ヒータにより加熱される液体金属イオン源81、そ
のイオン取り出し口に近接配置された引き出し電極8
2、イオン源81から引き出されたイオンを集束させる
コンデンサレンズ83、質量分離器としてのE×Bマス
フィルタ84およびビームアパーチャ85、ビームを走
査して照射位置を位置決めするための偏向電極86、タ
ーゲットTの直前でイオンビームを集束させる対物レン
ズ87、ターゲットTを支持するターゲットホルダ8
8、およびそのターゲットホルダ88を碍子Gを介して
支承するステージ89を主要構成要素とし、これらは真
空チャンバ80内に収容されている。
【0024】液体金属イオン源81には加速電極91に
より正の電位が与えられ、この液体金属イオン源81と
引き出し電極82との間には、両者間にイオン源81内
のイオンを引き出すに十分な電位差が与えられる。
【0025】また、碍子Gによって他の構成要素に対し
て電気的にフローティング状態に支持されたターゲット
ホルダ88には減速電源92が接続されており、このタ
ーゲットホルダ88と、3枚電極構造を持つ静電レンズ
である対物レンズ87のターゲットホルダ88側の外部
電極との間に、減速電場が形成されるようになってい
る。なお93は液体金属イオン源81を加熱するための
ヒータ電源であり、94はシリンダ等に装着されて随時
にイオンビーム中に引き出されてイオンビーム電流をモ
ニタするためのファラデーカップである。
【0026】以上の構成により、液体金属イオン源81
から引き出されて加速されたイオンはコンデンサレンズ
83によって集束されるとともに、次段のE×Bマスフ
ィルタ84およびビームアパーチャ85によって所望イ
オンのみが選別され、更にその単一種のイオンからなる
ビームは偏向電極86を経て対物レンズ87によって更
に集束され、微小スポットとなっターゲットホルダ88
上のターゲットTの表面に結像するが、ターゲットTの
直前に形成される減速電場によりイオンは減速され、結
局、ターゲットTに到達するイオンビームは、加速電源
91によるイオン源81の電位と、減速電源92による
ターゲット電位との差分だけの最終エネルギを以てター
ゲットTに到達する。
【0027】このような減速機能を持つ集束イオンビー
ム装置を用いて、図7(A)に示したカンチレバー2の
自由端近傍の一点に、所望のイオン種からなるイオンビ
ームを所定の低エネルギに減速して連続照射することに
より、図7(B)に示した微小針状突起3が得られる。
例えば、集束イオンビームとしてAu+ ビームを用い
て、これを50eVのエネルギでカンチレバー2の自由
端近傍の一点に連続照射することにより、前記した図6
(A)〜(C)に示した過程により、高純度のAuを材
質とする微小針状突起3が形成され、AFM用のカンチ
レバー型微小探針が得られる。
【0028】ここで、AFM用のカンチレバー型微小探
針における微小針状突起をAuとすることは、被測定試
料に対して化学的に不活性であり、被測定試料との間で
一切の化学反応が生じないことを意味し、特に化学的に
活性な試料の測定に際して有効である。また、比較的柔
らかいので、被測定試料を傷つけることがなく、しかも
酸化による導電性の劣化が生じないが故に、STMに用
いた場合、寿命が長くなる、といった利点がある。
【0029】また、低エネルギ集束イオンビームとし
て、Co+ ,Co2+等の磁性体のイオンビームを用いれ
ば、AFM用センサと同様の構造を持つMFM(磁気力
顕微鏡)用のカンチレバー型微小探針が得られる。すな
わち、MFMでは、被測定試料と探針との間に作用する
磁気力を一定量に保ちつつ探針を走査することにより、
被測定試料の磁気分布を測定するが、その探針としては
磁性体である必要があるが、本発明によってこのような
探針としてAFM用センサと同等の構造のものが得られ
る。そして、このような磁性体の微小針状突起を有する
カンチレバー型微小探針は、磁気ヘッドとしても用いる
ことができ、現在知られている構造の磁気ヘッドに比し
て大幅な小型化を達成することができる。
【0030】本発明の製造方法において、微小針状突起
3を構成する材料は以上の例に限られず、イオン化して
集束イオンビームにすることのできる材料であれば任意
の材料を用いることができる。また、複数種のイオン種
からなる低エネルギ集束イオンビームを交互または同時
に照射することにより、これらのイオン種の合金または
化合物からなる微小針状突起3を形成することができ
る。現時点においてこのような集束イオンビーム化が可
能な材料としては、上記のAu,Coのほか、Cu,N
b,Ti,Co,Ni,Fe,Ag,Al,Pd,Pt
の金属、およびSi,Geの半導体が確認されており、
従って本発明の製造方法においては、微小針状突起3の
材質としてこのような元素を単体で、あるいは適宜に組
み合わせた合金または化合物で作成することができる。
【0031】また、本発明のカンチレバー型微小探針
は、その微小針状突起3の材質としては、上記した元素
の単体あるいは合金または化合物のうち、従来実用化さ
れているSiを除く全ての材質とすることができる。
【0032】このように微小針状突起3の材質のバリエ
ーションを大きくすることは、被測定試料との組み合わ
せや測定しようとする物性との関連において、最適な材
質の微小針状突起3を有するカンチレバー型微小探針を
用いることを可能とし、各種SPMによる測定対象(試
料、物性)を広げることができる。
【0033】ここで、上記した実施の形態においては、
カンチレバー2の微小針状突起3の形成箇所を平坦面と
した例を述べたが、カンチレバー2上の微小針状突起3
を形成すべき位置を、あらかじめ盛り上がった形状とし
ておいてもよい。
【0034】すなわち、図9に製造工程の説明図を示す
ように、まず、カンチレバー2の微小針状突起3を形成
する位置に、同図(A)のようにあらかじめ盛り上がり
部2aを形成しておく。これにより、図8に例示した集
束イオンビーム装置のターゲットホルダ88にカンチレ
バー2を支持したとき、図9(A)に等電位線pを示す
ように減速場は当初から歪んだものとなる。この位置に
低エネルギ集束イオンビームを連続的に照射すると、イ
オンの蒸着速度は、そのビームの密度分布と併せて盛り
上がり部2aの中心部が周辺部に比して大きくなり、前
記した図6(B)の状態から集束イオンビームを照射し
た場合と同等の作用が得られ、その結果、図9(B)に
示すように、盛り上がり部2aの上に先鋭な先端を持つ
微小針状突起3′が得られる。
【0035】次に、以上の本発明方法の各実施の形態に
よって得られたカンチレバー型微小探針の微小針状突起
3または3′に対して、追加工する方法について述べ
る。図10(A)に示すようなアスペクト比の大きなラ
インアンドスペース構造を持つ試料、これは光学グレー
ティングの典型的な構造であるが、このような試料をA
FM観察する場合等においては、上記した本発明の製造
方法によって得られた微小針状突起3または3′によっ
ても、あるいは前記した従来の製造方法によって得られ
た微小針状突起によっても、AFM像の忠実度が低下す
る。すなわち、本発明の製造方法および従来の各製造方
法により得られる微小針状突起の形状は、角錐または円
錐に近い形状となる。このような錐形の微小針状突起に
より図10(A)のようなプロフィールを持つ試料を測
定する場合、同図(B)に示すように、微小針状突起N
と試料とが干渉し、AFM像の忠実度が悪化する。この
ような場合、微小針状突起Nの形状をより柱状に近い形
に追加工することで、図10(C)に示すように微小針
状突起Nと試料との干渉を低減させ、AFM像の忠実度
を改善することが可能となる。
【0036】このような追加工に際しては、従来、Ga
イオンを用いたイオンミリング技術が採用され、その結
果としてGaが不純物として微小針状突起に注入されて
しまうことは前記した通りであるが、本発明では、微小
針状突起Nの材質に含まれる元素のイオンを用いた集束
イオンビームによるイオンミリングを行うことで、その
ような不純物の混入を防止する。
【0037】図11にその追加工の例を示す。この例に
おいて、前記した本発明の製造方法によって作成した微
小針状突起3が例えばAuである場合、イオンミリング
用の集束イオンビームとして、エネルギ20keVのA
+ イオンビームを用いる。この場合、図11(A)に
示すように、微小針状突起3を形成したときの集束イオ
ンビームよりもビーム径をより小さくし、図8に例示し
た集束イオンビーム装置の偏向電極86によって、その
ビームを円形に走査する。これにより、微小針状突起3
は同図(B)に示すようによりアスペクト比の高い柱状
に加工され、図10(A)に示したような試料でもその
AFM像の忠実度が改善される。
【0038】この方法において特に注目すべき点は、微
小針状突起3を構成する元素のイオンビームによりイオ
ンミリングする点であり、これにより、イオンミリング
に用いるイオンが微小針状突起3に注入されても不純物
とならなくなり、追加工により微小針状突起3の純度が
低下することがない。
【0039】また、このような微小針状突起の追加工の
他の形態として、前記した本発明方法により得た角錐ま
たは円錐状の微小針状突起3または3′を、上記と同様
に、そこに含まれる元素のイオンからなる集束イオンビ
ームによって、例えばある特定の側面を削り取ることで
非対称な形状に加工することもできる。
【0040】また、本発明の応用として、微小針状突起
に意図的に特定の金属元素を不純物として注入すること
も可能である。すなわち、例えばSi製の微小針状突起
に、AuやAl等の金属を注入し、導電性を高める等の
応用が可能である。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明方法によれば、低
エネルギ集束イオンビームをカンチレバーの自由端近傍
の一点に連続的に照射することによって、そこに微小針
状突起を形成するから、集束イオンビームのイオン種と
して用いることのできる、殆ど全ての金属および半導体
からなる微小針状突起を有するカンチレバー型微小探針
を得ることができる。しかも、その微小針状突起は従来
の方法のように母材から削りだすのではないため、材料
の利用効率を大幅に向上させることができるとともに、
高い純度の微小針状突起を持つカンチレバー型微小探針
を得ることができる。
【0042】また、微小針状突起の材質の選択度が従来
の製造方法に比して大幅に大となる結果、従来実用化さ
れていない材料からなるカンチレバー型微小探針が得ら
れ、例えば磁性体の微小針状突起を形成することによっ
て磁気力顕微鏡用のプローブとして、あるいは磁気ヘッ
ドとして使用可能なカンチレバー型微小探針を得ること
ができ、Auを用いることによって被測定試料に対して
化学的に不活性で、柔らかいために被測定試料を傷つけ
ることなく、しかも酸化による導電性の劣化がないため
STMに用いて寿命の長いカンチレバー型微小探針が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のレプリカ法によるカンチレバー型微小探
針の製造方法の一工程の説明図
【図2】同じく従来のレプリカ法によるカンチレバー型
微小探針の製造方法の一工程の説明図
【図3】同じく従来のレプリカ法によるカンチレバー型
微小探針の製造方法の一工程の説明図
【図4】従来のレプリカ法により得られたカンチレバー
型微小探針の構造を示す斜視図
【図5】サイドエッチングを利用して従来のカンチレバ
ー型微小探針の製造方法の説明図
【図6】本発明の製造方法の実施の形態における微小針
状突起の形成過程の説明図
【図7】本発明の製造方法の実施の形態の工程説明図
【図8】本発明の製造方法に用いるのに適した集束イオ
ンビーム装置の構成図
【図9】本発明の製造方法の他の実施の形態における微
小針状突起の形成過程の説明図
【図10】微小針状突起の追加工の必要性の説明図
【図11】本発明の製造方法における微小針状突起の追
加工を行う際の実施の形態の説明図
【符号の説明】
1 固定基板 2 カンチレバー 3,3′ 微小針状突起

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端が基板に固定された微小カンチレバ
    ーの自由端近傍に、微小な針状突起が形成されてなるカ
    ンチレバー型微小探針を製造する方法であって、上記微
    小カンチレバーの自由端近傍の一点に、真空中にて低エ
    ネルギの集束イオンビームを連続照射することによりそ
    のイオンを直接蒸着させて、金属または半導体の単体も
    しくは合金または化合物からなる微小針状突起を形成す
    ることを特徴とするカンチレバー型微小探針の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 一端が基板に固定された微小カンチレバ
    ーの自由端近傍に、微小な針状突起が形成されてなるカ
    ンチレバー型微小探針であって、その微小な針状突起
    が、微小カンチレバーの自由端近傍に、Au,Cu,N
    b,Ti,Co,Ni,Fe,Ag,Al,Pd,P
    t,またはGeの集束イオンビームを直接蒸着すること
    によって形成された、これらの元素の単体、もしくはこ
    れらの元素を組み合わせた合金であることを特徴とする
    カンチレバー型微小探針。
JP28498395A 1995-11-01 1995-11-01 カンチレバー型微小探針の製造方法およびカンチレバー型微小探針 Pending JPH09127139A (ja)

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