JPH0912373A - 界面制御セラミックスの製造方法 - Google Patents

界面制御セラミックスの製造方法

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JPH0912373A
JPH0912373A JP7160285A JP16028595A JPH0912373A JP H0912373 A JPH0912373 A JP H0912373A JP 7160285 A JP7160285 A JP 7160285A JP 16028595 A JP16028595 A JP 16028595A JP H0912373 A JPH0912373 A JP H0912373A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 セラミックスの組成粒子同志の界面に界面制
御のための添加物を局在化させることにより靱制が高く
強度の大きいセラミックスを製造する。 【構成】 本発明の製造方法は核となるセラミック粒子
の表面に焼結助剤を被覆する工程と、焼結助剤を被覆し
た表面に核となるセラミック粒子と同材質のセラミック
原料を被覆する工程と、さらにその表面に界面制御のた
めのセラミック粒子を付着させ、または界面制御のため
のセラミック原料を被覆する工程と、これを成形後焼結
する工程とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は強度が大きく靱性の高い
セラミックスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高温ガスタービン、ロケットをはじめエ
ネルギ関連の機器の分野で高温に曝される部分の材料と
してセラミックスが採用される。しかしセラミックスは
一般に靱性が低く割れやすいので、靱性を高め、かつ強
度を大きくするために結晶粒界面の特性を制御すること
が必要で、こうした界面に異種粒子を分散させる等の手
法が用いられる。従来はかかる界面制御のための添加物
を原料粉体に焼結助剤といった他の成分と同時に混合し
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし原料粉体に焼結
助剤と共に界面制御のための添加成分を混合した場合、
焼成時にそれらの間での反応が起ったり、物質移動が起
ったりして、界面制御のための添加成分を目的とする界
面部分に配置することができないので、界面の特性を十
分制御することができず、セラミックスの性能向上は限
られたものにならざるを得ない。
【0004】本発明は上記問題点に鑑み案出されたもの
で、界面制御のための添加物をセラミックスの結晶の界
面に局在化させることにより確実に界面制御を行い靱性
が高く強度の大きいセラミックスを製造することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の界面制御セラミックスの製造方法は、核となる
セラミック粒子の表面に焼結助剤を被覆する工程と、焼
結助剤を被覆した表面に核となるセラミック粒子と同材
質のセラミック原料を被覆する工程と、さらにその表面
に界面制御のためのセラミック粒子を付着させ、または
界面制御のためのセラミック原料を被覆する工程と、こ
れを成形後焼結する工程とからなる。
【0006】セラミックスを焼結した後固溶または析出
のための熱処理を行うのが好ましい。セラミックスの材
質としては窒化けい素または炭化けい素を採用してもよ
い。焼結助剤、核となるセラミックスと同材質のセラミ
ックス、および界面制御のためのセラミック原料を被覆
する工程はCVD等の気相反応、ゾルゲル法またはセラ
ミック前駆体樹脂等の液相原料を含浸する方法を採用し
てもよい。また界面制御のためのセラミック粒子を付着
させる工程は固体粉末の凝集を利用してもよい。
【0007】以下本発明の製造方法について図面を参照
しつつ詳細に説明する。図1は本発明の各工程を示す説
明図である。
【0008】図1(A)に示すように核となるセラミッ
ク粒子1の表面に焼結助剤2の被覆を行う。核となる耐
熱性のセラミックスとしては炭化けい素や窒化けい素が
対象となり粒子、ウイスカ等の短繊維を核として用い
る。それらの表面に焼結助剤となるセラミックスを被覆
するが、核となるセラミックスが窒化けい素の場合には
アルミナ、イットリアをはじめとする酸化物系セラミッ
クスを用い、核となるセラミックスが炭化けい素の場合
にはアルミナ、イットリア、ボロン、炭素、アルミニウ
ム等を用いる。被覆する方法としてはCVD等の気相反
応を用いてもよいし、ゾルゲル法のように液相反応を利
用してもよい。
【0009】次に図1(B)を示すように原料粒子相3
を焼結助剤2の表面に成形する。原料粒子相3とは核1
と同材質のセラミックスである。原料粒子相3を形成す
る方法としては、ポリカルボシランやポリシラザンのよ
うな炭化けい素、窒化けい素の前駆体樹脂の溶液中に図
1(A)の工程で製造した核1に焼結助剤2を被覆した
粒子を分散させ、これを乾燥、焼成する方法がある。
【0010】原料粒子相3を形成する方法は上記以外の
方法でもよく、例えば図1(A)の工程で製造した核と
なる粒子1に焼成助剤2を被覆した粒子と原料粉粒子を
溶液中に分散させた後PHを制御する等の方法で、被覆
した粒子の表面電荷をコントロールし、被覆粒子の表面
に原料粉粒子を凝集させてもよいし、乾燥時に凝集させ
てもよい。
【0011】次に図1(C)で示すように原料粒子3の
表面に界面制御のための添加成分を付着させるかまたは
被覆する。添加成分が粉体である場合には原料粒子3の
表面に付着させるが、その方法は上記(B)の工程と同
様凝集を利用するのがよい。あるいはCVD等の気相反
応によって行ってもよいし、ゾルゲル法などの液相反応
や前駆体樹脂を利用してもよい。
【0012】次に図1(D)に示すように成形を行う。
工程(D)で得られた粉体を溶液中に投入して混合した
塑性物を通常の方法、例えば押出し成形、CIP等を適
用して成形する。
【0013】次に図1(E)で示すように(D)の工程
で得られた成形体の焼結を行う。材料に応じて通常用い
られる焼結方法を適用する。例えば常圧焼結でもよい
し、ホットプレス、HIPといった加圧焼結を用いるこ
ともできる。図1(E)で示すようにセラミックスの粒
子5の界面に界面制御成分4が配置される。その後界面
相の制御として必要に応じて固溶や析出の制御のための
熱処理を行う。
【0014】
【作用】以上のような製造方法による界面制御セラミッ
クスの製造は次のような作用により行われる。核となる
粒子1の表面に焼結助剤2、原料粉3、界面制御成分4
の順に被覆がなされるため、焼結時に焼結助剤近傍から
順次緻密化が進行し、焼結の終期にそれが界面制御成分
4に達する。このため従来のようにこれらの成分を均一
に混合した際に起こる界面制御成分と焼結助剤との反応
が防止され、界面に確実に界面制御成分4を配置するこ
とができる。これにより目的とする界面制御が的確に行
われ、破壊靱性や強度の向上といった材料の特性の向上
の発現が可能になる。
【0015】
【実施例1】平均径2μmのα型炭化けい素粉末を硝酸
アルミニウムと尿素を含む水溶液に分散させ、これを損
拌しながら90°Cに加熱し、6時間保持することによ
り炭化けい素粉末表面に水酸化アルミニウムを析出させ
て被覆した。この反応は次のように起る。
【0016】これを1300°Cで焼成し水酸化アルミ
ニウムをアルミナ(焼結助剤)とした。
【0017】次にポリカルボシランを溶解させたテトラ
ヒドロフラン溶液にこの粉体を分散させ、炉過後、乾燥
および不融化を行い表面にポリカルボシランの被覆を行
った。これを1300°Cのアルゴンガス中で焼成し、
ポリカルボシランを炭化けい素に転化させた、この処理
を10回繰り返し原料粒子相とした。
【0018】得られた粉末とほう化チタン粉末を水系ス
ラリとした後スプレードライ乾燥を行い原料粒子相粉末
の表面にほう化チタン粉末を付着させた。これをCIP
により成形し、HIP焼結を用い、1900°C、20
0MPa、1時間の焼成を行い焼結体とした。
【0019】得られた焼結体の強度は500MPa(J
IS R1601「ファインセラミックスの曲げ強さ試
験方法」の中の3点曲げ強度)であり、破壊靱性は7M
Pa√m(JIS R1601「ファインセラミックス
の破壊靱性試験方法」の中のSEPB法)であるという
優れた値を示した。
【0020】
【実施例2】平均径2μmのα型炭化けい素粉末と水溶
性フェノール樹脂、ほう酸を含むスラリをスプレードラ
イ処理し、炭化けい素粉末表面にフェノール樹脂とほう
酸の混合物を被覆した。これを1500°Cのアルゴン
ガス中で焼成し、炭化けい素粉末の表面に炭化ほう素
(焼結助剤)の被覆をした。次に炭化けい素原料相の被
覆を行った後、実施例1と同様の方法でアルミナの被覆
を行った。この粉末をピッチのキノリン溶液と混合し、
乾燥後1350°C N2 ガス中で3時間処理しアルミ
ナを窒化アルミ(界面制御のための添加成分)に転化し
た。その後空気中500°Cで3時間焼成し、余剰の炭
素を除去した。
【0021】得られた粉末をCIP成形し、1500°
C真空中で仮焼した後HIP法により1900°C、2
00MPaで1時間焼成した。その後窒化アルミを固溶
させるため2100°Cで5時間熱処理を行い、その後
1750°Cで10時間の熱処理を行った。得られた焼
結体の強度は590MPa、破壊靱性は7.4MPa√
mと優れた値を示した。尚強度、靱性の測定方法は実施
例1と同じである。
【0022】
【比較例1】市販の炭化けい素粉末に焼結助剤のアルミ
ナおよびほう化チタンを添加した成形体を実施例1と同
様の焼成条件で緻密化した結果、強度は450MPa、
破壊靱性は5.5MPa√mであった。
【0023】
【比較例2】市販の炭化けい素粉末に同量の炭化ほう素
および窒化アルミニウムを添加した材料を実施例2と同
様の焼成条件で緻密化した結果、強度は400MPa、
破壊靱性は4.5MPa√mであった。
【0024】以上実施例とそれに対応する比較例を比べ
れば明らかなように本発明の製造方法により得られたセ
ラミックスは高い靱性と大きな強度を有することが明ら
かである。
【0025】
【発明の効果】以上述べたように本発明の製造方法によ
り得られた界面制御セラミックスは核となる原料セラミ
ックス、焼結助剤、核と同質のセラミック原料、界面制
御のための添加成分を順次被覆した粉末を成形し、それ
を焼結して緻密化するようにしたので焼結時に界面制御
成分が、焼結助剤等の他の成分と反応したり、拡散した
りしないでセラミック結晶界面に局在化している。従っ
て目的とする界面制御が確実に行われ破壊靱性や強度な
ど特性の優れたセラミックスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の界面制御セラミックスの製造方法を工
程順に示した説明図である。
【符号の説明】 1 核となるセラミック粒子 2 焼結助剤の被覆 3 核となるセラミック粒子と同材質のセラミックスの
原料粒子相 4 界面制御のための添加成分 5 界面制御セラミックスの組成粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/58 102S

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 核となるセラミック粒子の表面に焼結助
    剤を被覆する工程と、焼結助剤を被覆した表面に核とな
    るセラミック粒子と同材質のセラミック原料を被覆する
    工程と、さらにその表面に界面制御のためのセラミック
    粒子を付着させ、または界面制御のためのセラミック原
    料を被覆する工程と、これを成形後焼結する工程とから
    なることを特徴とする界面制御セラミックスの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 セラミックスを焼結した後固溶または析
    出のための熱処理を行う請求項1記載の界面制御セラミ
    ックスの製造方法。
  3. 【請求項3】 核粒子および原料セラミックスは窒化け
    い素または炭化けい素である請求項1または請求項2記
    載の界面制御セラミックスの製造方法
  4. 【請求項4】 核となるセラミック粒子の表面に焼結助
    剤を被覆する工程、焼結助剤を被覆した表面に核となる
    セラミック粒子と同材質のセラミック原料を被覆する工
    程およびその表面に界面制御のためのセラミック原料を
    被覆する工程がCVD等の気相反応またはゾルゲン法も
    しくはセラミック前駆体樹脂等の液相原料を含浸する方
    法である請求項1ないし請求項3の界面制御セラミック
    スの製造方法。
  5. 【請求項5】 界面制御のためのセラミック粒子を付着
    させる工程が固体粉末の凝集を利用した方法である請求
    項1ないし請求項3記載の界面制御セラミックスの製造
    方法。
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