JPH09122644A - 波浪エネルギを利用した海水淡水化装置 - Google Patents

波浪エネルギを利用した海水淡水化装置

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JPH09122644A
JPH09122644A JP7284905A JP28490595A JPH09122644A JP H09122644 A JPH09122644 A JP H09122644A JP 7284905 A JP7284905 A JP 7284905A JP 28490595 A JP28490595 A JP 28490595A JP H09122644 A JPH09122644 A JP H09122644A
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Masaharu Narita
正春 成田
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勝博 清野
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英一 赤間
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 波浪エネルギを利用することにより、海水圧
送ポンプの動力費を著しく低減させ、かつ容易に実用化
できるようにした海水淡水化装置を提供する。 【解決手段】 波浪による振子3揺動により作動させら
れる振子式波力ポンプ装置Aと、このポンプ5により圧
送される作動流体を、シリンダ23、24内のピストン
25、26の両側の圧力室23a、23b、24a、2
4bに交互に供給するようになっている流体圧シリンダ
装置Bと、前記ピストン25、26の往復運動により作
動させられて、海水を圧送する海水ポンプCと、海水中
の清水のみを通過させる浸透膜46により区画された海
水室47と清水室48とを備え、前記海水室47を海水
ポンプCの吐出口に接続し、かつ清水室48を清水取出
し管50に接続してなる浸透膜装置Dとを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、波浪エネルギを利
用して、海水を淡水化する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、海水を淡水化するには、蒸発法、
逆浸透法、電気透析法等が実用化されている。この中
で、最も有望視されているのが、逆浸透法である。
【0003】この逆浸透法は、半透膜の一方より60kgf
/cm2以上の圧力で海水を圧送すると、海水のみが半透膜
を通って流出するという原理を利用したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の逆浸透法を用い
た海水淡水化装置は、海水圧送ポンプの動力費が高くつ
くという問題点がある。因みに、逆浸透法により1m3
清水を製造するのに要する理論造水単価は、180円と
された例がある。
【0005】本発明は、従来の技術が有する上記のよう
な問題点に鑑み、波浪エネルギを利用することにより、
海水圧送ポンプの動力費を著しく低減できるとともに、
構造が簡単で、容易に実用化できるようにした、波浪エ
ネルギを利用した海水淡水化装置を提供することを目的
としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課
題は、次のようにして解決される。 (1) 波浪による振子の揺動によりポンプを作動させ、
このポンプの吸込口より吸込んだ作動流体を、吐出口よ
り圧送するようにした振子式波力ポンプ装置と、前記ポ
ンプにより圧送される作動流体を、送液管を介して、シ
リンダ内のピストンの両側の圧力室に交互に供給するよ
うになっている流体圧シリンダ装置と、前記流体圧シリ
ンダ装置のピストンの往復運動により作動させられ、海
水を圧送する海水ポンプと、海水中の清水のみが通過し
うる浸透膜により区画された海水室と清水室とを備え、
前記海水室が前記海水ポンプの吐出口に送液管を介して
接続され、かつ前記清水室が清水取出し管に接続された
浸透膜装置とを備えること。
【0007】(2) 上記(1)項において、ポンプが、円
筒形のケーシングと、該ケーシング内に回動自在に配設
され、かつ振子の回転軸に接続されたロータと、該ロー
タの外周面に突設され、ケーシングの内面に設けられた
シールブロックと協働して、ケーシング内を複数の圧力
室に区画するベーンとを備え、各圧力室の容積変動によ
り、吸込口より吸込んだ作動流体を送液管により圧送す
るようにした揺動型ベーンポンプとする。
【0008】(3) 上記(2)項において、ポンプが、最
大容積が異なる複数の圧力室を備え、かつ各圧力室に接
続された複数の上流側送液管と単一の下流側送液管との
間に、各上流側送液管を下流側送液管に選択的に、及び
互いに合流するように接続する切換手段を設ける。
【0009】(4) 上記(3)項において、下流側送液管
に蓄圧器を接続し、該蓄圧器内の圧力の上昇に伴って、
切換手段の出口側吐出量が小となるように切換手段を制
御する制御装置を設ける。
【0010】(5) 上記(1)〜(4)項のいずれかにおい
て、流体圧シリンダ装置及び海水ポンプをそれぞれ2個
ずつ並設し、それらを交互に作動させるようにする。
【0011】(6) 上記(1)〜(5)項のいずれかにおい
て、海水室に接続した排水管を、切換弁を介して、海水
ポンプのピストンの押出し用圧力室に接続し、流体圧シ
リンダ装置の作動による海水ポンプのピストンの押出し
時に、海水室の海水圧力をピストンの押出し用圧力室に
導入するようにする。
【0012】(7) 上記(1)〜(6)項のいずれかにおい
て、ポンプの吐出口より圧送される作動流体の少なくと
も一部を、送液管より分流して取出し、その流体圧によ
り発電機を作動させるようにする。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例を、添付図面を
参照して説明する。図1は、本発明の装置の一実施例の
概要を模式的に示すもので、この装置は、大まかに言う
と、振子式波力ポンプ装置(A)と、流体圧シリンダ装置
(B)と、海水ポンプ(C)と、浸透膜装置(D)とからなっ
ている。
【0014】振子式波力ポンプ装置(A)は、図1及び図
2に示すように、海岸近くの海底に設置されたコンクリ
ート製のケーソン(1)と、このケーソン(1)の内部の空
所(2)内に設置され、波力により揺動する振子(3)と、
この振子(3)に一体的に固定された回転軸(6)と、この
回転軸(6)を軸支する軸受(4)と、回転軸(6)に連結さ
れたポンプ(5)とを備え、ケーソン(1)の空所(2)に進
入した海水の波浪により振子(3)が揺動させられ、その
ときの振子(3)と回転軸(6)との往復回転運動により、
ポンプ(5)が作動させられるようになっている。
【0015】ポンプ(5)は、円筒形のケーシング(7)
と、ケーシング(7)内に所要角度だけ回転可能に設けら
れ、かつ振子(3)の回転軸と一体となって往復回転する
ロータ(8)とを備えている。
【0016】ケーシング(7)は、その内面に突設された
1対のシールブロック(9)と、ロータ(8)の外周面に突
設された1対のベーン(10)とにより区画された4つの圧
力室(11)(12)(13)(14)を備えている。
【0017】2個の圧力室(11)(12)の最大容積は、他の
2個の圧力室(13)(14)の最大容積より大としてある。最
大容積が同じの2個の圧力室(11)と(12)と、(13)と(14)
同士は、それぞれ分岐管(15a)(15a)、(16a)(16a)を介し
て、共通の送液管(15)(16)に合流するように接続されて
いる。各分岐管(15a)(16a)には、一端を圧油源(17)に接
続した吸液管(15b)(16b)の他端が分岐接続されている。
各分岐管(15a)(16a)及び吸液管(15b)(16b)には、各圧力
室(11)〜(14)の容積増大時に、作動流体である圧油が吸
液管(15b)(16b)を通って圧力室に吸込まれ、圧力室(11)
〜(14)の容積減少時には、圧油が分岐管(15a)(16a)を通
って送液管(15)(16)に圧送されるのを許容し、かつその
逆流を防止するようにした逆止弁(図1に記号のみで略
示)が設けられている。
【0018】このポンプ(5)においては、吸液管(15b)
(16b)における逆止弁の外側端部(圧油源(17)側)が吸込
口となり、また送液管(15)(16)の基端部(合流部分)が吐
出口となっている。
【0019】各送液管(15)(16)は、切換手段である電磁
切換弁(18)により、流体圧シリンダ装置(B)への送液管
(19)と、発電機(20)への送液管(21)とに選択的に接続さ
れるようになっている。
【0020】電磁切換弁(18)は、この実施例において
は、4つの態様に切換え可能としている。すなわち、両
送液管(15)(16)をともに発電機(20)側の送液管(21)のみ
に接続し、すべての圧油を発電機(20)へ送給する第1の
態様と、大容量の圧力室(11)(12)に接続された送液管(1
5)を発電機(20)側の送液管(21)に接続し、また小容量の
圧力室(13)(14)に接続された送液管(16)を流体圧シリン
ダ装置(B)側に送液管(19)に接続する第2の態様(図1
の状態)と、それとは逆に、送液管(15)を送液管(19)
に、また送液管(16)を送液管(21)にそれぞれ接続する第
3の態様と、両送液管(15)(16)をともに流体圧シリンダ
装置(B)側に送液管(19)のみに接続し、すべての圧油を
流体圧シリンダ装置へ送給する第4の態様とである。
【0021】発電機(20)に送られた圧油は、タービン
(図示省略)を回転させて発電し、その後圧油源(17)に
戻される。発電機(20)は公知のものでよく、また本発明
には直接関係しないので、詳細な説明は省略する。な
お、この発電機(20)により発電された電力は、電磁切換
弁(18)及びその他の電動機の作動用に用いるのがよい。
【0022】流体圧シリンダ装置(B)側の送液管(19)に
は、畜圧器(22)が接続されており、この畜圧器(22)内の
圧力が大となると、電磁切換弁(18)の送液管(19)側の吐
出量が漸次小となるように、すなわち上記の4つの態様
が、第4の態様→第3の態様→第2の態様→第1の態様
となるように、制御装置(図示略)により自動的に制御
される。
【0023】流体圧シリンダ装置(B)は、本実施例で
は、それぞれ2個ずつのシリンダ(23)(24)、ピストン(2
5)(26)及びピストンロッド(27)(28)と、送液管(19)より
送られてきた圧油を、各シリンダ(23)(24)のピストン(2
5)(26)を境とする両圧力室(23a)(23b)(24a)(24b)に交互
に供給する電磁切換弁(29)と、各シリンダ(23)(24)より
延出するピストンロッド(27)(28)の進退位置を検出し
て、電磁切換弁(29)の切換えを制御する位置検出手段(3
0)とからなっている。
【0024】電磁切換弁(29)は、送液管(19)より送られ
てきた圧油を、シリンダ(23)のピストン押出し用の圧力
室(23a)と、シリンダ(24)のピストン復帰用の圧力室(24
b)とに同時に供給し、かつシリンダ(23)のピストン復帰
用の圧力室(23b)と、シリンダ(24)のピストン押出し用
の圧力室(24a)とを、圧油源(17)に接続した戻し管(31)
に接続する第1の態様と、送液管(19)より送られてきた
圧油を、シリンダ(23)の圧力室(23b)とシリンダ(24)の
圧力室(24a)とに同時に供給し、かつシリンダ(23)の圧
力室(23a)とシリンダ(24)の圧力室(24b)とを戻し管(31)
に接続する第2の態様(図2の状態)とに切換え可能であ
る。
【0025】位置検出手段(30)は、各ピストン(27)(28)
に設けた作動片(32)(33)と、各ピストン(27)(28)が前限
及び後限に達したとき、作動片(32)(33)により作動させ
られるようにした第1センサ(34)(35)及び第2センサ(3
6)(37)とからなり、第1センサ(34)と第2センサ(37)と
がともに作動させられたとき、電磁切換弁(29)を第2の
態様に切換えて、ピストンロッド(27)を後退させるとと
もに、ピストンロッド(28)を前進させ、第2センサ(36)
と第1センサ(35)とがともに作動させられたとき、電磁
切換弁(29)を第1の態様に切換えて、ピストンロッド(2
7)を前進させるとともにピストンロッド(28)を後退させ
るようになっている。
【0026】第1センサ(34)(35)及び第2センサ(36)(3
7)は、具体的には公知の近接センサ、またはリミットス
イッチ等とすることができる。近接センサとしたとき
は、作動片(32)(33)は鉄板等の磁性体により形成し、リ
ミットスイッチとしたときは、作動片(32)(33)が直接リ
ミットスイッチの突子に当接するようにする。
【0027】各ピストンロッド(27)(28)の先端は、海水
ポンプ(C)を構成する2個のシリンダ(38)(39)より延出
するピストンロッド(42)(43)に連結され、シリンダ(38)
(39)内のピストン(40)(41)を進退させるようになってい
る。
【0028】シリンダ(38)(39)内のピストン(40)(41)の
前方の圧力室(38a)(39a)には、海水吸入管(44)及び送液
管(45)が接続され、それらの各管には、ピストン(40)(4
1)の往復運動により、海水が海水吸入管(44)から圧力室
(38a)(39a)に吸入され、かつそこから送液管(45)に吐出
されるのを許容し、その逆方向の流れを阻止する逆止弁
(記号のみで略示)が設けられている。
【0029】浸透膜装置(D)は、海水中の清水分のみを
通過しうるようにした浸透膜(46)により、海水室(47)と
清水室(48)とに区画された圧力室(49)を備えている。海
水室(47)には、一端が海水ポンプ(C)の各シリンダ(38)
(39)の吐出口に接続された送液管(45)が接続されてい
る。
【0030】海水室(47)の上下端には、それぞれ排水管
(51)が接続されている。各排水管(51)は、電磁切換弁(5
2)を介して、海水ポンプ(C)の各シリンダ(38)(39)のピ
ストン押出し用の圧力室(38b)(39b)に接続されている。
清水室(48)には、清水タンク(図示略)等に接続された
清水取出し管(50)が接続されている。
【0031】電磁切換弁(52)は、海水室(47)と各シリン
ダ(38)(39)の圧力室(38b)(39b)とを連通させる第1の態
様と、排水管(51)の海水室(47)側の部分を閉塞し、同じ
く圧力室(38b)(39b)側の部分を、第2の排水管(51)に接
続する第2の態様とに切換え可能である。
【0032】電磁切換弁(52)は、上述の位置検出手段(3
0)の第2センサ(36)(37)が作動したときは、第1の態様
に切換えられ、海水室(47)内の圧力をシリンダ(38)(39)
の圧力室(38b)(39b)に導入して、シリンダ(23)(24)によ
る海水ポンプ(C)の作動力を補助し、海水室(47)からの
排水の圧力の有効利用を図り、また位置検出手段(30)の
第1センサ(36)(37)が作動したときは、第2の態様に切
換えられ、圧力室(38b)(39b)に導入された高濃度の海水
を、シリンダ(23)の復帰作動を利用して、バッチ方式で
強制的に排水管(53)より排水し、海水室(47)内の塩分濃
度の上昇を押さえるようになっている。
【0033】この実施例によると、海水の波浪により振
子(3)が揺動させられて、ポンプ(5)が作動させられ、
作動油が送液管(15)(16)に間欠的に圧送され、電磁切換
弁(18)の作動により、作動油の一部又は全部が発電機(2
0)に送られて発電し、また作動油の他部又は全部が、電
磁切換弁(29)を介して、両シリンダ(23)(24)の圧力室(2
3a)(23b)(24a)(24b)に交互に送られて、両ピストンロッ
ド(27)(28)を交互に進退させ、それにより、海水ポンプ
(38)(39)が交互に作動させられて、海水を浸透膜装置
(D)の海水室(47)に交互に圧送する。
【0034】海水室(47)に順次圧送されている海水の圧
力が所定値に達すると、それ以後、海水中の清水分のみ
が、浸透膜(46)を通って清水室(48)に流入し、清水は、
そこから清水取出し管(50)を通って、清水タンク等に貯
溜される。
【0035】海水室(47)内の海水の一部は、電磁切換弁
(52)の作動により、排水管(51)を通して、海水ポンプ
(C)の圧力室(38b)(39b)に適時に送られ、シリンダ(23)
(24)の作動力を補助し、その後の電磁切換弁(52)の切換
えにより、排水管(53)を介して、海に戻される。したが
って、海水室(47)内の塩分濃度が異常に上昇することは
ない。
【0036】なお、シリンダ(38)(39)の圧力室(38b)(39
b)の容積は、圧力室(38a)(39a)の容積により、ピストン
ロッド(42)(43)が貫通する部分の体積分だけ小さいの
で、圧力室(38b)(39b)内の海水をバッチ方式で常時排水
しても、海水室(47)内の圧力が低下することはない。
【0037】また、ポンプ(5)は振子(3)により駆動さ
れるので、その吐出量は波浪の入射波エネルギの増減に
より変化し、その変化は、流体圧シリンダ装置(B)の駆
動力及び海水ポンプ(C)の性能に大きな影響を及ぼす。
【0038】本実施例では、ポンプ(5)を、最大容積が
異なる複数の圧力室(11)(12)、(13)(14)を備えるもの
と、それらから吐出される作動流体を、蓄圧器(22)の圧
力に応じて、その圧力が大となるほど、流体圧シリンダ
装置(B)に供給される供給量が小となるように、電磁切
換弁(18)により自動的に制御するようにしたので、波浪
の大小に拘りなく、流体圧シリンダ装置(B)を、常時ほ
ぼ一定の駆動力により駆動し、常に安定して作動するこ
とができる。
【0039】しかも、波浪が大きい場合の余剰の入射波
エネルギは、作動流体の残部を電磁切換弁(18)により発
電機(20)に導くことにより、発電力として用いることが
できるので、無駄がない。
【0040】さらに、海水淡水化装置を休止させておく
際には、電磁弁(29)を第1の態様に切換えておくことに
より、入射波エネルギの全てを発電に使用することがで
きる。
【0041】
【発明の効果】本発明によると、次のような効果を奏す
ることができる。 (a) 波浪の圧力をエネルギを利用して高圧水をつくる
ので、エネルギ変換が単純であり、また、波力以外の駆
動力をほとんど用いることなく、海水を淡水化すること
ができるので、造水単価を従来方式のものに比して著し
く低減できる。試算によると、理論造水単価を100円/m
3以下にすることが可能である。
【0042】(b) 構造が簡単であり、既存の浸透膜装
置等を利用することができるので、容易に実用化でき
る。
【0043】(c) 請求項2記載の発明のように、ポン
プとしてベーンポンプを用いると、波浪によって揺動さ
れる振子の回転軸と、ロータとを直接接続して使用する
ことができ、構造を簡素化できるとともに、ロータを振
子と同期して円滑に作動させることができる。
【0044】(d) 請求項3記載の発明のようにすれ
ば、波浪の大小に応じて、流体圧シリンダ装置に供給す
る作動流体の供給量を段階的に切換え、海水ポンプを常
に安定した駆動力で駆動させることができる。
【0045】(e) 請求項4記載の発明のようにすれ
ば、切換手段の制御を、蓄圧器内の圧力に応じて自動的
に行うことができ、無人化を可能とすることができる。
【0046】(f) 請求項5記載の発明のようにすれ
ば、2個の海水ポンプを交互に作動させることにより、
ピストンの復帰に要する海水の供給停止状態を互いに補
完し合って、海水をほぼ連続的に浸透膜装置に供給する
ことができる。
【0047】(g) 請求項6記載の発明のようにすれ
ば、海水室より排出される排水の圧力を、海水ポンプの
補助駆動力として用いて、有効利用を図ることができる
とともに、流体圧シリンダ装置の復帰作動を利用して、
高濃度となった海水室内の海水を少しずつ排出し、海水
室内の海水の塩分濃度の上昇を制御することができる。
【0048】(h) 請求項7記載の発明のようにすれ
ば、海水の淡水化に用いる入射波エネルギの余剰分を、
発電に利用することができ、それによって得られた電力
を、電磁弁の作動等に用いることによって、波力以外の
駆動力を全く用いないで、装置を作動させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を模式的に示す概略説
明である。
【図2】同じく振子式波力ポンプ装置の一部切欠斜視図
である。
【符号の説明】
(A)振子式波力ポンプ装置 (B)流体圧シリンダ装置 (C)海水ポンプ (D)浸透膜装置 (1)ケーソン (2)空所 (3)振子 (4)軸受 (5)ポンプ (6)回転軸 (7)ケーシング (8)ロータ (9)シールブロック (10)ベーン (11)(12)(13)(14)圧力室 (15)(16)送液管 (15a)(16a)分岐管 (15b)(16b)吸液管 (17)圧油源 (18)電磁切換弁(切換手段) (19)(21)送液管 (20)発電機 (22)蓄圧器 (23)(24)シリンダ (23a)(24a)圧力室 (25)(26)ピストン (27)(28)ピストンロッド (29)電磁切換弁 (30)位置検出手段 (31)戻し管 (32)(33)作動片 (34)(35)第1センサ (36)(37)第2センサ (38)(39)シリンダ (38a)(38b)(39a)(39b)圧力室 (40)(41)ピストン (42)(43)ピストンロッド (44)海水吸入管 (45)送液管 (46)浸透膜 (47)海水室 (48)清水室 (49)圧力室 (50)清水取出し管 (51)(53)排水管 (52)電磁切換弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 成田 正春 北海道札幌市北区北7条西2丁目8 社団 法人寒地港湾技術研究センター内 (72)発明者 清野 勝博 北海道室蘭市崎守町385 株式会社楢崎製 作所内 (72)発明者 赤間 英一 北海道室蘭市崎守町385 株式会社楢崎製 作所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波浪による振子の揺動によりポンプを作
    動させ、このポンプの吸込口より吸込んだ作動流体を、
    吐出口より圧送するようにした振子式波力ポンプ装置
    と、 前記ポンプにより圧送される作動流体を、送液管を介し
    て、シリンダ内のピストンの両側の圧力室に交互に供給
    するようになっている流体圧シリンダ装置と、 前記流体圧シリンダ装置のピストンの往復運動により作
    動させられ、海水を圧送する海水ポンプと、 海水中の清水のみが通過しうる浸透膜により区画された
    海水室と清水室とを備え、前記海水室が前記海水ポンプ
    の吐出口に送液管を介して接続され、かつ前記清水室が
    清水取出し管に接続された浸透膜装置とを備えることを
    特徴とする波浪エネルギを利用した海水淡水化装置。
  2. 【請求項2】 ポンプが、円筒形のケーシングと、該ケ
    ーシング内に回動自在に配設され、かつ振子の回転軸に
    接続されたロータと、該ロータの外周面に突設され、ケ
    ーシングの内面に設けられたシールブロックと協働し
    て、ケーシング内を複数の圧力室に区画するベーンとを
    備え、各圧力室の容積変動により、吸込口より吸込んだ
    作動流体を送液管により圧送するようにした揺動型ベー
    ンポンプである請求項1記載の波浪エネルギを利用した
    海水淡水化装置。
  3. 【請求項3】 ポンプが、最大容積が異なる複数の圧力
    室を備え、かつ各圧力室に接続された複数の上流側送液
    管と単一の下流側送液管との間に、各上流側送液管を下
    流側送液管に選択的に、及び互いに合流するように接続
    する切換手段を設けたことを特徴とする請求項2記載の
    波浪エネルギを利用した海水淡水化装置。
  4. 【請求項4】 下流側送液管に蓄圧器を接続し、該蓄圧
    器内の圧力の上昇に伴って、切換手段の出口側吐出量が
    小となるように切換手段を制御する制御装置を設けたこ
    とを特徴とする請求項3記載の波浪エネルギを利用した
    海水淡水化装置。
  5. 【請求項5】 流体圧シリンダ装置及び海水ポンプをそ
    れぞれ2個ずつ並設し、それらを交互に作動させるよう
    にした請求項1〜4のいずれかに記載の波浪エネルギを
    利用した海水淡水化装置。
  6. 【請求項6】 海水室に接続した排水管を、切換弁を介
    して、海水ポンプのピストンの押出し用圧力室に接続
    し、流体圧シリンダ装置の作動による海水ポンプのピス
    トンの押出し時に、海水室の海水圧力をピストンの押出
    し用圧力室に導入するようにしたことを特徴とする請求
    項1〜5のいずれかに記載の波浪エネルギを利用した海
    水淡水化装置。
  7. 【請求項7】 ポンプの吐出口より圧送される作動流体
    の少なくとも一部を、送液管より分流して取出し、その
    流体圧により発電機を作動させるようにした請求項1〜
    6のいずれかに記載の波浪エネルギを利用した海水淡水
    化装置。
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