JPH09121812A - カルシウム吸収促進剤並びにこれを含有する飲食品、 飼料又は医薬 - Google Patents

カルシウム吸収促進剤並びにこれを含有する飲食品、 飼料又は医薬

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JPH09121812A
JPH09121812A JP7302247A JP30224795A JPH09121812A JP H09121812 A JPH09121812 A JP H09121812A JP 7302247 A JP7302247 A JP 7302247A JP 30224795 A JP30224795 A JP 30224795A JP H09121812 A JPH09121812 A JP H09121812A
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calcium
peptide
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corn seed
gluten meal
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Katsuyuki Okamoto
勝之 岡本
Tsuneya Yatake
経也 弥武
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Original Assignee
Showa Sangyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 消化管におけるカルシウムの吸収は、リン酸
等のカルシウム吸収阻害因子による阻害を受けるという
問題があるが、本発明は、このような吸収阻害因子が存
在しても影響を受けないカルシウム吸収促進剤、並びに
このようなカルシウム吸収促進効果のある食品、飼料又
は医薬を提供すること。 【解決手段】 リン酸等のカルシウム吸収阻害因子によ
る吸収阻害を受けないところの、とうもろこし種子蛋白
質由来ペプチドからなるカルシウム吸収促進剤、並びに
カルシウム吸収促進作用を有するとうもろこし種子蛋白
質由来ペプチドを含有する飲食品、飼料又は医薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルシウム吸収促
進剤並びにこれを含有する飲食品、飼料、医薬に関す
る。
【0002】
【従来技術】現在、日本では栄養所要量がほぼ充足さ
れ、栄養成分の欠乏症はほとんどないと言われている
が、カルシウムだけが栄養所要量を充足されないでい
る。さらに近年、カルシウムの生体内機能についての研
究が進み、カルシウムの不足が骨粗鬆症を招くこと、血
中カルシウムの不足が癇癪などの症状を引き起こすこ
と、あるいは、アルツハイマ−型痴呆症の発症にもカル
シウム不足が関与していることなどが指摘されている。
【0003】成人のカルシウム栄養所要量は1日に60
0mgとされているが、それすら満たされない状況であ
るにもかかわらず、成長期、妊娠時、授乳時といったラ
イフステ−ジに応じてさらに多くの摂取が推奨されてい
る。
【0004】カルシウム摂取を増やすためには、カルシ
ウム含量の高い食品を積極的に摂取することが指導され
ている(「ミネラル栄養学」、富士経済、1984)。
こうしたことを背景に、魚や動物の骨を粉末とした骨
粉、卵殻や貝殻からなるカルシウム食品や炭酸カルシウ
ムなどを添加したカルシウム強化食品などが市販、利用
されている(月刊フ−ドケミカル10,p.87〜10
6,(1994))。
【0005】しかし、こうしたカルシウム含量の高い食
品は、一般に、異味やざらつき感などの点で嗜好性に劣
る。さらに残念なことに、通常の食品における見掛けの
カルシウム吸収率は30〜50%(厚生省監修、第5次
改訂「日本人の栄養所要量」、第一出版、1994年)
とされ、カルシウムの生体収支は極めて効率が悪い。
【0006】さらに、食物因子、例えば、フィチン酸、
シュウ酸、リン酸等は、カルシウムの吸収を阻害するこ
とが知られている(「ミネラル栄養学」、富士経済、1
984)。従って、カルシウムを多く含む食品を摂取す
ることを心掛けても、食品中におけるカルシウム吸収阻
害因子の存在は、カルシウム不足の根本的解決の妨げと
なっている。
【0007】これまでも、消化管においてカルシウムの
吸収効率を向上させる、更には、カルシウム吸収阻害因
子の共存下においてもカルシウム吸収を良くするため
に、カルシウムの吸収を促進する物質を利用する試みが
なされている。カルシウム吸収促進物質には、非ペプチ
ド性化合物とペプチド性化合物が知られている。
【0008】例えば、非ペプチド性化合物としては、糖
リン酸エステル(特開平2−249468号)、酪酸な
どの短鎖脂肪酸(特開平4−108360号)、オリゴ
糖の一つであるガラクトオリゴ糖(特開平4−1340
31号)、フィチン酸の部分脱リン酸化合物であるイノ
シト−ルフォスフェ−ト(特開平4−287662
号)、糖アルコ−ルの一種であるマルチト−ル(特開平
5−67号)が知られている。
【0009】一方、ペプチド性化合物としては、カゼイ
ンホスホペプチド(特開昭58−170440号)、骨
もしくは骨随に由来するペプチド(平4−16165
号)、大豆タンパク質由来のペプチド(J.Nutr.Sci.
Vitaminol.,40,201−211,1994)、水
産物由来タンパク質のタンパク質分解酵素処理物(特開
平7−194314号)が知られている。
【0010】小腸におけるカルシウム吸収は、小腸上部
においてはビタミンD依存性の能動輸送、小腸下部にお
いては濃度依存の受動輸送によるとされているが、カゼ
インホスホペプタイドのカルシウム吸収促進メカニズム
については、カゼインホスホペプタイドの分子内に特徴
的に存在するホスホセリンに多数のカルシウムが絶えず
弱い結合をするということにより、カゼインホスホペプ
タイドが、カルシウムを可溶化しているためと考えられ
ている(New Food Industry, 35(9)、1−9、
1993)。この他のペプチド性化合物のカルシウム吸
収メカニズムについては、必ずしも明らかにはされてい
ない。
【0011】
【発明が解決しょうとする課題】消化管におけるカルシ
ウムの吸収は、リン酸等のカルシウム吸収阻害因子によ
る阻害を受けるという問題があるが、本発明は、このよ
うな吸収阻害因子が存在しても影響を受けないカルシウ
ム吸収促進剤、並びにこのようなカルシウム吸収促進効
果のある食品、飼料又は医薬を提供すること。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、とうもろこ
し種子蛋白質由来ペプチドが、リン酸等のカルシウム吸
収阻害因子による吸収阻害を受けない、優れた消化管か
らのカルシウム吸収促進作用を有することを見出し、本
発明を完成した。
【0013】すなわち、本発明は、特に、リン酸等のカ
ルシウム吸収阻害因子による吸収阻害を受けないところ
の、とうもろこし種子蛋白質由来ペプチドからなるカル
シウム吸収促進剤、並びに、このようなカルシウム吸収
促進作用を有するとうもろこし種子蛋白質由来ペプチド
を含有する飲食品、飼料又は医薬である。
【0014】とうもろこし種子蛋白質由来ペプチドは、
通常の製造方法で製造することが出来るが、例えば、と
うもろこし種子由来の蛋白質を蛋白質分解酵素で分解す
る方法が用いられる。
【0015】この方法における、とうもろこし種子蛋白
質由来ペプチドの製造原料である蛋白質としては、グル
テンミ−ル、グルテンミ−ルから抽出したツェイン及び
グルテンミ−ルからツェインを抽出した際に生じる残渣
等が挙げられる。
【0016】グルテンミ−ルは、通常、コ−ンスタ−チ
製造工程において、澱粉と胚芽並びに皮を分離する工程
の副産物として分離されるものであり、この副産物とし
て生じるグルテンミ−ルは、約60〜70%の蛋白質を
含有している。
【0017】ツェインは、このグルテンミ−ルに含まれ
る含水アルコ−ル等に可溶性で水に不溶性の疎水性蛋白
質である。ツェインは、グルテンミ−ル中の蛋白質の約
50〜60%を占める。
【0018】このように、本発明は、原料として、コ−
ンスタ−チ製造の副産物が利用できる点で、有利であ
る。
【0019】ペプチドの製造に用いる蛋白質分解酵素と
しては、その種類には特にこだわらず、例えば、サ−モ
ライシン(大和化成製)等を挙げることができる。ま
た、蛋白質分解酵素を2種類以上、同時又は遂次添加し
ても構わず、酵素分解は2段階以上で行っても構わな
い。例えば、プロテア−ゼタイプXXI(シグマ社製)
やアルカラ−ゼ(ノボ・ノルディスク社製)のようなア
ルカリプロテア−ゼで部分分解した後、プロテア−ゼA
(天野製薬製)やニュ−トラ−ゼ(ノボ・ノルディスク
社製)のような中性プロテア−ゼ及びプロテア−ゼM
(天野製薬製)やスミチ−ムAP(新日本化学工業製)
のような酸性プロテア−ゼを組合せて、各酵素の至適条
件で酵素分解を行うことができる。
【0020】この反応は、通常、単に、水中または緩衝
液(例えばトリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝液)中で行
う。基質濃度は反応時に攪拌混合ができる範囲内であれ
ばいずれでもよいが、攪拌が容易な蛋白質濃度である3
0%以下で行うのが好ましい。酵素の添加量は力価によ
り異なるが通常は蛋白質当たり0.01重量%以上、好
ましくは0.1〜10重量%が適当である。反応のp
H、温度は酵素の至適pH、至適温度付近を用いればよ
く、pH6〜10好ましくは7〜8、温度30〜80℃
好ましくは60〜70℃が適当である。反応中のpHの
調整は必要に応じ水酸化ナトリウム水溶液、塩酸等によ
り行う。反応時間は、酵素の添加量、反応温度、反応p
Hによって異なるが、1〜50時間程度である。
【0021】酵素反応の停止は加熱による酵素失活、ク
エン酸やリンゴ酸等の有機酸、塩酸やリン酸等の無機
酸、または水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアル
カリの添加によるpH変化による酵素の失活、又は限外
濾過膜等による酵素の濾別等の既知の方法に従って行
う。さらに、遊離アミノ酸や含有される塩類を除去する
精製工程を組み込んでも構わない。
【0022】とうもろこし種子蛋白質由来ペプチドの平
均分子量は、200〜11000、好ましくは200〜
7000、より好ましくは200〜2000である。平
均分子量は、小さいほど好結果が得られ、11000を
超えると不溶物が出てくるので望ましくない。
【0023】このようなとうもろこし種子蛋白質由来ペ
プチドの平均分子量は、既知の方法によって調整する。
例えば、酵素の種類や酵素分解時間を調整、又は調製し
たペプチドからゲル濾過カラムや膜分離等の方法を用い
て所望の分子量を分画分取することによって行う。
【0024】本発明の飲食品、飼料、また医薬は、とう
もろこし種子蛋白質由来ペプチドを混合させて製造した
ものである。飲食品としては、飲料、菓子類、パン、
麺、ス−プ等があり、飼料としては、従来の飼料原料に
混合し製造したものがあり、また医薬としては、その成
分に添加混合し、錠剤、顆粒剤、液剤の形態としたもの
が挙げられる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に、使用するとうもろこし種
子蛋白質由来ペプチドの製造方法の一例を述べるが、と
うもろこし種子蛋白質由来ペプチドの製造方法を限定す
るものではない。
【0026】まず、グルテンミール、グルテンミールか
ら抽出したツェイン、及びグルテンミールからツェイン
を抽出した際に生じる残渣等のとうもろこし種子蛋白質
の懸濁液を調製し、この懸濁液を、必要に応じて、アン
モニアやドデシル硫酸ナトリウム等の変性剤を用い、ア
ルカリ条件で50℃以上の加熱等で変性させて、攪拌が
可能な範囲である30%以下の濃度になるように懸濁す
る。この懸濁液に、蛋白質分解酵素を、蛋白質100重
量部に対し0.01〜10重量部の割合で添加し、分解
反応を行う。分解反応は、通常、使用した蛋白質分解酵
素の至適条件を用いるが、商品名サモア−ゼ(大和化成
製:サーモライシンの食品工業用グレード)の場合、p
Hは4〜11、温度は20〜80℃である。
【0027】次に、本発明の飲食品、飼料、また医薬の
製造であるが、飲食品には、飲料(清涼飲料、コ−ヒ−
飲料、果汁・野菜ジュ−ス、アルコ−ル飲料等)、乳製
品(チ−ズ、ヨ−グルト等)、ゼリ−、錠剤、パン、
麺、ス−プ等が挙げられるが、これらの原料に、とうも
ろこし種子蛋白質由来ペプチドを適当量添加混合し、製
造したものであればよく、また、飼料、医薬において
も、同様である。
【0028】以下に、本発明の詳細を実施例で説明する
が、実施例1は、抗カルシウム吸収阻害因子能を示すと
ころの「カルシウム可溶化能」について、実施例2にお
いては、とうもろこし種子蛋白質由来ペプチドはカルシ
ウムと強固に結合した状態で可溶化することを示すとこ
ろの「カルシウム電気透析抑制能」について、実施例3
は、カルシウム吸収能の程度を示すところの「カルシウ
ム出納試験」について、実施例4は、とうもろこし種子
蛋白質由来ペプチドを配合したところの「飲食品」につ
いて、それぞれ、行ったものである。
【0029】
【実施例1】 カルシウム可溶化能 ペプチド1又はペプチド2は、以下述べるように、酵素
反応により製造したが、何れの酵素の場合も、基質濃度
は10%、酵素添加量は基質に対して0.1%で行っ
た。
【0030】ペプチド1の場合、グルテンミ−ルをアル
カリプロテア−ゼ(アルカラ−ゼ(ノボ・ノルディスク
社製))により、pH8、温度60℃で、15時間、部
分分解した後、中性プロテア−ゼ(プロテア−ゼA(天
野製薬製))により、pH7、温度60℃で、5時間、
及び酸性プロテア−ゼ(スミチ−ムAP(新日本化学工
業製))により、pH4、温度50℃で、5時間、酵素
分解し、次いで、活性炭や吸着樹脂等の精製工程を組み
合わせて精製を行って、平均分子量約1100(平均ペ
プチド鎖長5.5)のペプチド1を調製した。
【0031】また、ペプチド2の場合、グルテンミ−ル
をサ−モライシン(大和化成製)により、pH8、温度
65℃で、24時間、酵素分解して、平均分子量約80
0(平均ペプチド鎖長4.4)のペプチド2を調製し
た。
【0032】次いで、上記の各ペプチドの溶液(100
mg/ml)2.5mlに塩化カルシウム溶液2.5m
lを混合した後、pH7の10又は20mMリン酸緩衝
液5.0mlを加え、最終カルシウム濃度5mM、最終
リン濃度5又は10mMとした(Ca:P比は、それぞ
れ1:1、1:2)。混合液を37℃で2時間放置した
後、遠心分離し、生じたリン酸カルシウムの沈殿を除去
し、上清を回収した。さらに沈殿が生じるのを防ぐため
に上清に塩酸を加え、上清中のカルシウム濃度を原子吸
光光度計(日立製作所製Z8100)により測定し、残
存しているカルシウムを可溶化カルシウムとして残存率
(可溶性カルシウム率)を求めた。対照として蒸留水を
用い、比較として3種の合成ペプチド(Gly-Gly、Gly-G
ly-Gly、Ala-Ala-Ala)を用いた。その結果を以下の表1
に示した。
【0033】
【表1】 カルシウム可溶化能は、小腸下部においてカルシウム受
動吸収を促進する作用を示唆するものである。表1に示
したように、とうもろこし種子蛋白質由来ペプチドは製
造条件が異なった場合においても、Gly-Gly、Gly-Gly-G
ly、Ala-Ala-Ala等の合成ペプチドに比べ、優れたカル
シウム可溶化能を有していた。特に、カルシウム濃度に
対して共存するリン濃度の比率が高い場合、その違いは
顕著であった。
【0034】
【実施例2】 カルシウム電気透析抑制能 透析膜としては、カチオン交換膜であるセレシオンCM
V(日本練水製)、アニオン交換膜であるセレシオンA
MV(日本練水製)を装着、サンプル原液として、塩化
カルシウムとしてカルシウム(900ppm)を添加し
た20%とうもろこし種子蛋白質由来ペプチド溶液を3
リットル用いた。濃縮液として1%Na2SO4溶液3リット
ル、電極液として3%Na2SO4溶液(H2SO4を用いてpH
3.04に調整)3リットルを用いた。引加電圧4.5V
で約2.5時間脱塩処理した。処理液の温度は、開始時
18.5℃で終了時26.2℃であった。
【0035】グルテンミ−ルをサ−モライシンで24時
間酵素分解した平均分子量約700(平均ペプチド鎖長
3.8)のペプチドを調製した。
【0036】このとうもろこし種子蛋白質由来ペプチド
を用い、ペプチドとカルシウムとの結合性について調べ
た。電気透析には旭硝子製のDU−Ob型電気透析装置
を用い、約2.5時間の脱塩処理を行った。試料は塩化
カルシウムとしてカルシウムを添加した20%とうもろ
こし種子蛋白質由来ペプチド溶液を用いた。脱塩試験の
結果を表2に示した。
【0037】
【表2】 この表2の結果によると、とうもろこし種子蛋白質由来
ペプチドが共存しても、ナトリウム、カリウム、塩素イ
オンは電気透析膜を95%以上透過するが、カルシウム
は61%が残存して、透析膜を透過し難いことが分か
る。このことは、とうもろこし種子蛋白質由来ペプチド
が、カルシウムとある程度強固に結合していることを示
している。この点、カゼインホスホペプチドが、カルシ
ウムと弱く結合することによって可溶化するとされるも
のであることとは異なり、とうもろこし種子蛋白質由来
ペプチドは、カルシウムと強固に結合した状態で可溶化
することを示唆するものであるといえるし、更に、小腸
でオリゴペプチドを能動輸送するとされるペプチドのト
ランスポ−タ−(「消化・吸収」、第一出版、p23
4、1985年)を介してカルシウム吸収される可能性
も考えられる。
【0038】
【実施例3】 カルシウム出納試験 実施例1で調製したペプチド1、2、及び市販のα−ツ
ェインをトリプシン(和光純薬製)で酵素分解した平均
分子量約8000(平均ペプチド鎖長39.6)のペプ
チド3の3種類のペプチドを用いたラットのカルシウム
出納試験を行った。
【0039】カルシウム出納試験には卵巣摘出手術を施
した6週齢のSD系雌ラットを24匹使用した。低カル
シウム食(0.01%Ca、0.3%P)で29日間予
備飼育した後、カゼインのみを窒素源とする対照区(2
0%カゼイン、0.3%Ca、0.3%P)とカゼイン
に各とうもろこし種子蛋白質由来ペプチドを添加した試
験区(10%カゼイン+10%とうもろこし種子蛋白質
由来ペプチド、0.3%Ca、0.3%P)の4群で飼
育した。飼料は蒸留水とともに自由摂取させた。飼育は
室温23±1.5℃、湿度55±7%、7:00〜1
9:00を明期とする12時間毎の明暗サイクルの環境
で行った。
【0040】各々の試験飼料で2週間飼育した後、ラッ
トを5日間個別の代謝ケ−ジにて飼育し、糞を採取し
て、この5日間のカルシウムの出納を測定した。飼料及
び糞中のカルシウムは電気炉内で600℃、24時間の
灰化後、原子吸光光度計(日立製作所製Z8100)で
測定した。カルシウムの吸収率の結果を表3に示した。
【0041】なお、表3中の数値は1区分6匹の平均値
±標準偏差である。飼料摂取量と増体重には対照区と全
試験区との間に有意差は認められなかったが、カルシウ
ム吸収率は全試験区で有意に高かった。
【0042】
【表3】
【実施例4】 食品の製造 以下に、とうもろこし種子蛋白質由来ペプチドを配合し
た食品についての代表例を示す。
【0043】(1)クッキ−の製造法 下記の表4の原材料の配合割合で、クッキ−を製造し
た。
【0044】砂糖、炭酸カルシウム、ペプチドを下記の
混合割合で予備混合したものを、十分に練ったマ−ガリ
ンに徐々に練り合わせる。さらに、卵、牛乳、香料、小
麦粉の順に徐々に混合した。成型した後、180℃で1
3分焼き、クッキ−を製造した。このクッキ−は、性状
・風味・食感は良好であった。
【0045】
【表4】 (2)清涼飲料水の製造法 下記の表5の原材料の配合割合で、清涼飲料水を製造し
た。
【0046】砂糖、乳酸カルシウム、クエン酸、ペプチ
ドを下記の割合で予備混合し、45℃の温湯に分散し
た。濃縮リンゴ果汁及び香料を加え、容器に充填し、加
熱殺菌し、冷却し、清涼飲料を製造した。この清涼飲料
は、透明で濁りがなく、良好な風味であった。
【0047】
【表5】 (3) 打錠菓子の製造法 下記の表6の原材料の配合割合で、打錠菓子を製造し
た。
【0048】グラニュ−糖、濃縮ヨ−グルト、炭酸カル
シウム、ペプチド、ゼラチンを下記の割合で予備混合
し、造粒する。さらに、クエン酸及び香料を混合し、打
錠機で打錠し、打錠菓子を製造した。この打錠菓子は、
成型性も良好であり、良好な風味・食感であった。
【0049】
【表6】 (4) スポンジケ−キの製造法 下記の表7の原材料の配合割合で、スポンジケ−キを製
造した。
【0050】卵、グラニュ−糖、ペプチドを下記の割合
で予備混合し、60℃で5分、室温で10分間泡立て
た。小麦粉を混合した後、溶かした無塩バタ−を混合
し、型に入れ、180℃のオ−プンで30分間焼き、ス
ポンジケ−キを製造した。このスポンジケ−キは、性状
・風味・食感は良好であった。
【0051】
【表7】
【発明の効果】本発明のカルシウム吸収促進剤は、優れ
たカルシウム吸収促進作用を有する(実施例3参照)。
【0052】一般に、カルシウム吸収は、リン酸等のカ
ルシウム吸収阻害因子によって、阻害されると言われて
いるが、ペプチドの場合も例外ではなく、通常のペプチ
ドは、このような吸収阻害を受けるのが実状である。
【0053】しかしながら、本発明のカルシウム吸収促
進剤は、このようなペプチドの一種でありながら、リン
酸等のカルシウム吸収阻害因子による吸収阻害を全く受
けない。
【0054】このようなことは、カルシウム可溶化能
が、通常のペプチドでは、リン酸濃度により大きく影響
受けるのに対し(半減する)、本発明のとうもろこし種
子蛋白質由来ペプチドでは、全くその影響を受けないこ
とからも、窺い知れるところである(実施例1参照)。
【0055】このような本発明のとうもろこし種子蛋白
質由来ペプチドの優れたカルシウム可溶化能は、カルシ
ウムと強固に結合した状態で可溶化していることが、そ
の要因であると考えられる(実施例2参照)。
【0056】以上のように、本発明のカルシウム吸収促
進剤は、リン酸等のカルシウム吸収阻害因子による吸収
阻害を全く受けない、優れたカルシウム吸収促進作用を
有するものである。
【0057】そこで、例えば、この吸収促進剤を含有す
る飲食品を食することによって、飲食品中に含まれると
うもろこし種子蛋白質由来ペプチドが飲食品に含まれる
カルシウム、または、同時に摂取したカルシウムの吸収
を促進し、成長期にある乳幼児、児童のカルシウムの吸
収の補強、促進、また、老齢期における骨粗鬆症等の骨
の疾患に対する治療、予防等の効果が期待できる。
【0058】また、本発明のとうもろこし種子蛋白質由
来ペプチドは、コ−ンスタ−チ製造の副産物であるグル
テンミ−ルを原料とすることが出来るので、本発明は、
資源の有効利用の面においても、優れた発明であるとい
える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 35/78 C12P 21/06 38/00 A23L 2/00 F C12P 21/06 A61K 37/18

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 とうもろこし種子蛋白質由来ペプチドか
    らなるカルシウム吸収促進剤
  2. 【請求項2】 カルシウム吸収促進剤が抗カルシウム吸
    収阻害因子能を有することを特徴とする請求項1記載の
    カルシウム吸収促進剤
  3. 【請求項3】 とうもろこし種子蛋白質由来ペプチドが
    グルテンミ−ル、グルテンミ−ルから抽出したツェイン
    またはグルテンミ−ルからツェインを抽出した際に生じ
    る残渣由来である請求項1又は請求項2記載のカルシウ
    ム吸収促進剤
  4. 【請求項4】 とうもろこし種子蛋白質由来ペプチドの
    平均分子量が200〜11000、好ましくは200〜
    7000、より好ましくは200〜2000である請求
    項1〜3のいずれか1つに記載のカルシウム吸収促進剤
  5. 【請求項5】 カルシウム吸収促進作用を有するとうも
    ろこし種子蛋白質由来ペプチドを含有する飲食品、飼料
    又は医薬
  6. 【請求項6】 カルシウム吸収促進作用が抗カルシウム
    吸収阻害因子能を有することを特徴とする請求項5記載
    の飲食品、飼料又は医薬
  7. 【請求項7】 とうもろこし種子蛋白質由来ペプチドが
    グルテンミ−ル、グルテンミ−ルから抽出したツェイン
    またはグルテンミ−ルからツェインを抽出した際に生じ
    る残渣由来である請求項5又は請求項6記載の飲食品、
    飼料又は医薬
  8. 【請求項8】 とうもろこし種子蛋白質由来ペプチドの
    平均分子量が200〜11000、好ましくは200〜
    7000、より好ましくは200〜2000である請求
    項5〜7のいずれか1つに記載の飲食品、飼料又は医薬
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