JPH09119972A - 相対測位装置および相対測位方法 - Google Patents

相対測位装置および相対測位方法

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JPH09119972A
JPH09119972A JP27868295A JP27868295A JPH09119972A JP H09119972 A JPH09119972 A JP H09119972A JP 27868295 A JP27868295 A JP 27868295A JP 27868295 A JP27868295 A JP 27868295A JP H09119972 A JPH09119972 A JP H09119972A
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JP
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data
point
gps
position data
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JP27868295A
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Tadao Hayashi
忠夫 林
Kenji Itani
健二 井澗
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Furuno Electric Co Ltd
Original Assignee
Furuno Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】整数値バイアスの初期値が間違っていた場合や
途中でサイクルスリップが生じていた場合でも、それま
での計測データを有効に利用することができる移動体の
測位装置および方法を提供する。 【解決手段】既知点に設置される固定局1と未知点を移
動する移動局2とで連続して相対測位を行い、測位演算
に用いた生データ(時刻データ,衛星位置データ,波数
の積算値など)を保存しておく、測位演算の結果、大き
くなってきたとき、整数値バイアスの再設定を行い、そ
のときの測位演算を再実行するとともに、保存しておい
たデータを読み出して過去にさかのぼって測位演算をや
り直す。 【効果】これにより、整数値バイアスの設定が誤ってい
た場合や、サイクルスリップが生じていた場合であって
も、それまでの計測を無駄にすることなく、正確な位置
データを算出しなおすことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、GPS信号を用
いた相対測位において、整数値バイアスの決定ミスやサ
イクルスリップが生じた場合でも、過去の測位値を遡っ
て修正することのできる相対測位装置および相対測位方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】GPS測位は、地球を周回しているGP
S衛星が発信する電波を受信して自己の位置を測位する
測位方法である。原理的には、複数のGPS衛星と自局
との距離を該GPS衛星が発信する電波に基づいて測定
し、正確な時刻に基づいて算出される該複数のGPS衛
星の位置に基づいて各衛星からの前記距離条件を全て満
足する点を求めて、この点を自局の位置とするものであ
る。しかし、GPS受信機に内蔵されている時刻の誤
差,GPS受信機の局部発信器の周波数ゆらぎ,GPS
衛星の送信周波数の周波数ゆらぎ,電離層の影響など測
位精度を低下させる要因が多くあり、これらを除去して
精度の高い測位を行うため、相対測位が行われる。
【0003】以下、図6〜図8を参照して相対測位の概
略について説明する。相対測位は、正確な位置が判って
いる既知点と測位(測量)を行う未知点の両方でGPS
信号を受信し、両地点で受信した信号に基づいて未知点
の正確な位置を測位する方法である。図6において、既
知点(のGPS受信機)をA,測位点(のGPS受信
機)をB,2つのGPS衛星をS1,S2とする。未知
点のGPS受信機BはGPS衛星S1から送信されてく
るGPS信号(殆どの場合、そのGPS信号の搬送波を
用いる)の波数(位相値)をカウントする。このカウン
ト値は、衛星S1と未知点Bとの距離に密接に関係して
いるが以下のような誤差要素が含まれている。
【0004】 カウントスタート時に含まれていた3
60度の整数倍(または整数波長)の下駄ばき分(以下
これを整数値バイアスという。) 受信機の局部発信器の周波数差による位相のゆらぎ 時計の時刻,歩度の誤差 GPS衛星の送信機の位相ゆらぎ このうち、の受信機の局部発振器の位相ゆらぎおよび
時計の誤差は、ともにGPS受信機の水晶発振器の安
定度に起因するものであり、他の誤差要素に比べて非常
に大きいが、未知点Bにおいて2つのGPS衛星S1,
S2の信号を同時に受信すると、これら2つのGPS信
号のカウント値はGPS受信機の局部発信周波数や時計
のゆらぎに同期した同相のゆらぎを持つため、これらカ
ウント値の差をとることによってこの誤差をキャンセル
することができる。
【0005】このように相対測位では、2つのGPS衛
星S1,S2からの信号のカウント値の差を用いて測位
を行う。このため、単独測位ではGPS衛星を中心とす
る等距離球面の交点により測点の位置を求めたのに対し
て、相対測位では、図7に示すように2つのGPS衛星
との距離の差が等しい点の軌跡である回転双曲面の交点
により測点の位置を求めることになる。
【0006】また、のGPS衛星の送信機の位相ゆら
ぎは、既知点AのGPS受信機で同時に2つのGPS衛
星S1,S2の信号を受信し、既知点Aの観測結果を未
知点Bの観測結果から減算することによってキャンセル
することができる。
【0007】このように、GPS信号の位相カウント値
を2衛星間で差をとり、さらに、未知点と既知点とで差
分をとるやり方を二重位相差という。この二重位相差の
演算式においては、既知点Aの位置は正確に判っている
ため、 L2(衛星2と未知点Bとの距離)−L1(衛星1と既
知点Bとの距離) のみが未知数として残り、この演算式を解くことにより
L2−L1を求めることができる。上述したようにL2
−L1は回転双曲面を描くため、図7に示すように最低
4個のGPS衛星S1,S2,S3,S4を同時観測
し、L4−L1、L3−L1、L2−L1の3個の回転
双曲面を描けば、その交点が測点の位置であることが判
明する(ただし、実際には5個以上の衛星を同時観測し
て精度を向上させている。)。
【0008】しかし、上述の二重位相差では、上述した
誤差要素のうち、の整数値バイアスがキャンセルされ
ていないため、L4−L1、L3−L1、L2−L1の
値を一義的に決定することができず、図8に示すよう
に、整数値バイアスを含む整数部が1ずつ異なる複数の
値のそれぞれに可能性があり、整数部が決定されなけれ
ば、格子状に並んだ複数の交点のどれが未知点Bの位置
であるかを決定できない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、整数値バイア
スは、機械的に算出可能なルールがなく、試行錯誤的に
求める必要がある。このため、複数の回転双曲面のなか
から正しいと思われるものを場当たり的に1つ選択す
る。たとえば、単独測位によって1メートル程度の精度
の測位を行い、この1メートルの精度の範囲内にある回
転双曲面のなかから真値を含むと思われるものを1つず
つ選択する。
【0010】L4−L1、L3−L1、L2−L1につ
いて上記選択を行い、選択された3つの回転双曲面の交
点を求めて未知点Bの位置とする。このとき、整数部の
決定すなわち回転双曲面の選択が誤っていてもこれを検
出することができない。しかし、整数部が誤ったまま波
数を積算し、その後測位を行った場合、各GPS衛星が
最初の測位のときの位置から移動しているため、生成さ
れる3つの回転双曲面が一致しなくなり、正確な交点を
求めることができない。
【0011】この整数部の誤りは、最初の整数値バイア
スが誤っていた場合のほか、いずれかの衛星の搬送波波
数の積算値にサイクルスリップが発生した場合にも生じ
る。サイクルスリップとは、GPS電波の中断等によ
り、整数値単位で生じる波数の積算値のカウントエラー
である。
【0012】なお、波数の積算値は、上述した誤差要素
以外にもノイズ等による誤差があるため、正しい回転双
曲面であってもそれらの交点が完全に一致しないため、
整数部が誤っていた場合でも、即座にこれを検出するこ
とができず、誤差が大きくなってはじめて整数部が誤っ
ていることが判明するものである。
【0013】このように、整数値バイアスが誤っていた
ことが判明した場合、従来は、それまでの測位値を捨
て、最初から測位をやりなおしていた。しかし、これで
はそれまでの計測が全く無駄になる欠点があった。
【0014】この発明は、整数値バイアスが間違ってい
た場合や途中でサイクルスリップが生じていた場合で
も、それまでの計測データを有効に利用することができ
る移動体の測位装置および方法を提供することを目的と
する。
【0015】
【課題を解決するための手段】この出願の請求項1の発
明は、既知点に設置される基準局と未知点に設けられる
測位局からなり、前記基準局および測位局の両方に、複
数のGPS衛星からの繰り返し信号を受信する受信手段
と、受信した繰り返し信号の繰り返し回数を積算する積
算手段とを有するGPS受信装置を設け、前記基準局ま
たは測位局に、前記繰り返し回数の整数部の初期値を記
憶する初期値記憶手段と、基準局および測位局で積算さ
れた前記繰り返し信号の繰り返し回数および前記初期値
を用いて測位演算を行い未知点の位置データを繰り返し
算出する算出手段と、算出された位置データおよび少な
くとも前記測位演算に使用される測位演算用データを記
憶する手段と、算出された位置データに基づいて求めら
れた未知点・GPS衛星間の距離と前記繰り返し回数の
積算値に基づいて求められた未知点・GPS衛星間の距
離とを比較する比較手段と、これらの差が一定以上であ
ったとき、前記初期値を再設定するとともに前記記憶し
た位置データおよび測位演算用データを読み出して過去
にさかのぼって測位演算をやりなおす再演算手段とを備
えたことを特徴とする。
【0016】この出願の請求項2の発明は、既知点およ
び未知点でGPS衛星からの繰り返し信号の繰り返し回
数の積算値をそれぞれ求め、これら積算値および該積算
値の初期値に基づいて測位演算を行い、未知点の位置デ
ータを繰り返し算出する相対測位方法において、算出さ
れた位置データおよび少なくとも前記測位演算に使用さ
れる測位演算用データを記憶しておき、算出された位置
データに基づいて求められた未知点・GPS衛星間の距
離と前記繰り返し信号の積算値に基づいて求められた未
知点・GPS衛星間の距離とを比較し、これらの差が一
定以上であったとき、前記初期値を再設定するととも
に、前記記憶した測位演算用データを読み出して過去に
さかのぼって測位演算をやりなおすことを特徴とする。
【0017】この発明では、基準局のGPS受信装置お
よび測位局のGPS受信装置の両方がGPS衛星から送
られてくる繰り返し信号の繰り返し回数を積算する。く
りかし信号としては、Cコード,Pコードやこれらのコ
ードの搬送波(L1波,L2波)などがある。この繰り
返し回数の積算値と該積算値の初期値に基づいて未知点
の位置データを演算することができる。そして、位置デ
ータが算出されたのちも、この位置データ算出に用いた
測位演算用データは保存しておく。この積算値には種々
の誤差が含まれているため、未知点の位置データに基づ
いて求められた未知点・GPS衛星間の距離と積算値
(および整数値バイアス)に基づいて求められた未知点
・GPS衛星間の距離とはある程度の差を有するが、こ
れが一定値以上になった場合には、整数値バイアスが誤
っていたとして、前記初期値を再設定するとともに、保
存されている測位演算用データに基づいて位置データを
再演算する。これにより、整数値バイアスの設定が誤っ
ていた場合にも過去の観測を無駄にすることなく、正し
い位置データを再度算出することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1はこの発明の実施形態である
GPS測位システムの構成図である。正確な位置が判明
している既知点に固定局(基準局)1が設置されてい
る。また、移動局(測位局)2は、複数の未知点3a〜
3fを移動して各未知点毎に測位する。移動局2は単純
に移動しながら測位する局であってもよい。固定局1,
移動局2は、ともにGPS測位装置を備えており、視界
内にあるGPS衛星から条件のよいものを5個以上選択
し、これらのGPS衛星からGPS信号を受信する。固
定局1が受信した内容は移動局2に送信され、移動局2
が測位演算を行って自己の位置を算出する。
【0019】図2は、固定局1のブロック図である。G
PSアンテナ10にはGPS受信機11が接続されてい
る。GPS受信機11は、前記5個以上のGPS衛星か
ら発信される2つの信号電波(L1波,L2波)を並行
して受信し、その搬送波を再生出力する。すなわち、こ
の装置では、GPS信号の搬送波を繰り返し信号として
用いている。したがって、GPS受信機11は5個以上
の衛星のそれぞれ2種類の搬送波を出力するから、合計
10種類以上の搬送波を出力することになる。各搬送波
はそれぞれ別のカウンタ13−1〜13−nに入力され
る。カウンタ13は、GPS受信機11から入力される
搬送波の波数をカウントする。カウント値はデータ送信
機14によって所定タイミング毎に読み出される。デー
タ送信機14は、カウント値とそのときの時刻を移動局
2に向けて送信する。また、観測の最初は移動局2の概
略の位置を測位するためにディファレンシャル測位を行
うが、このときにはGPS受信機11が受信したC/A
コードをそのままデータ送信機14に入力して移動局2
に送信する。
【0020】図3は、前記移動局2のブロック図であ
る。GPSアンテナ20にはGPS受信機21が接続さ
れている。GPS受信機21は、5個以上のGPS衛星
から発信される2つの信号電波(L1波,L2波)を並
行して受信し、その搬送波を再生する。合計10種類以
上の搬送波はそれぞれ別のカウンタ23−1〜23−n
に入力される。カウンタ23は、GPS受信機21から
入力される搬送波の波数をカウントする。カウント値は
データ処理部26によって所定タイミング毎に読み出さ
れる。また、データ処理部26にはデータ受信機25か
ら固定局1のカウント値や時刻などのデータが入力され
る。データ処理部26はこれらのデータに基づいて図4
に示す処理を実行し、この移動局の正確な位置データを
算出する。また、データ処理部26にはメモリ27が接
続されている。このメモリ27には、搬送波の波数のカ
ウントスタート時に含まれていた整数波長の下駄ばき分
である整数値バイアス、各測位タイミングにおける位置
データおよび各測位タイミングにおいて測位演算に用い
られた生データが過去30分のものだけが記憶されてい
る。測位開始時に記憶される整数値バイアス(図4のs
4参照)がこの発明の初期値となる。また、生データ
は、この発明の測位演算用データであり、測位時刻、そ
のときの各GPS衛星の位置データ、測位結果に基づい
て算出された各衛星との距離、各衛星のL1,L2波に
ついての波数積算値、誤差などからなる。前記初期値を
求めるために、観測スタート時にデータ処理部26は、
固定局1から受信したC/AコードおよびGPS受信機
21から出力されたC/Aコードに基づいてディファレ
ンシャル測位を行う。このときは、GPS受信機21か
らデータ処理部26に直接C/Aコードが入力される。
【0021】図4は移動局の測位装置の動作を示すフロ
ーチャートである。まず、既知点に設置された固定局,
未知点を移動する移動局の双方の単独測位結果に基づく
ディファレンシャル測位を行う(s1)。ここで、ディ
ファレンシャル測位とは、固定局の単独測位結果と固定
局の既知の位置データとを比較して測位誤差を算出し、
この測位誤差を移動局の単独測位結果から減算すること
によって誤差をキャンセルする測位手法である。このデ
ィファレンシャル測位によりほぼ1mの精度の測位を行
うことができる。なお、このディファレンシャル測位に
よって求められた位置データを相対測位によって求めら
れた位置データと区別するために測位データという。
【0022】つぎに5個以上のGPS衛星からGPS信
号を受信し、そのL1,L2波の搬送波を再生して搬送
波の波数を積算する(s2)。波数の積算値は、搬送波
の周波数に依存するとともに、衛星の運行によるドップ
ラ効果,測位装置の局部発振周波数のゆらぎ,GPS信
号の周波数ゆらぎ,種々のノイズによるゆらぎなどが含
まれている。1つの衛星から2つの周波数の信号を受信
することによって電離層の影響などを除去し、2つの衛
星から信号を受信しこれらの値を減算することによって
測位装置の局部発信周波数のゆらぎによる誤差をキャン
セルし、固定局と移動局の積算値を減算することによっ
て、GPS信号の周波数ゆらぎをキャンセルする。この
ようにして求められた積算値の残差データ(二重位相差
データ)に基づいて移動局の位置データを求める。
【0023】位置データの算出には衛星と移動局との距
離の絶対値に基づいて波数の積算値の整数部を決定する
ことが必要であるが、前記残差データに基づいて形成さ
れる複数の双曲面と前記ディファレンシャル測位によっ
て求められた測位データに基づき、その測位データの精
度である1mの範囲で試行錯誤的に整数値バイアスを求
める(s3)。この整数値バイアスの決定は、3つの回
転双曲面がほぼ1点で交わっていれば、その回転双曲面
を決定する整数部の値を整数値バイアスをする、など適
当な選択でよい。そしてこの値を記憶する(s4)。こ
の整数値バイアスが間違っていても後にこれが修正され
るからである。
【0024】こののち、移動しながら、または、所定の
位置に停止してGPS衛星の搬送波を受信してその波数
を積算する(s5)。そして、所定の時間毎にその積算
値を読み出して、前記記憶している整数値バイアスを用
いて測位演算を実行する(s6)。整数値バイアスが既
に求められているため、測位演算は容易に行われる。こ
の測位演算によって求められた位置データとそのときの
各衛星の位置データに基づいて各衛星と移動局との距離
を計算し、搬送波の波数の積算値によって求められた各
衛星と移動局との距離とを比較する(s7)。位置デー
タは波数の積算値に基づいて求められるが、各積算値は
計測誤差を含んでおり、全てのデータが1点で交差する
ことはない。したがって、最小二乗法などを用いて最も
誤差の少ない点を求めて、これを測位演算結果とする
が、この演算結果と各衛星毎に積算された波数(距離)
データとを比較するわけである。この比較の結果、両者
の距離の誤差が許容範囲を超えるものがあった場合に
は、全体として整数値バイアスの設定が間違っている可
能性があるため、再設定動作(s20以下)に進む。ど
の衛星に関しても距離の誤差が所定範囲内であれば、s
6で算出された測位結果を出力するとともに(s9)、
この測位結果とこの測位に用いられた生データを記憶す
る(s10)。そして、そのとき記憶されている生デー
タのうち30分以前のものを消去する(s11)。
【0025】一方、s20では全衛星についての距離誤
差が少なくなるように全衛星の整数値バイアスを再設定
する(s20)。この再設定処理も前記s3の整数値バ
イアスを求める処理と同様試行錯誤的に行う。ただし、
ここでは上記s3の場合と異なり、過去の生データも記
憶されているため、ある一定の時間範囲にわたって精度
を維持できるように整数値バイアスを求めることがで
き、精度を向上することができる。この再設定された整
数値バイアスを用い、記憶されている生データを遡って
読み出し、測位演算をやり直す(s21)。再度実行さ
れた測位演算の結果データに基づいて距離誤差を求め、
この誤差と前記先に行われた測位演算の距離誤差とを比
較して、今回のほうが少なければ今回の求めた整数値バ
イアスが正しいとして修正した測位結果を出力するとと
もに(s23)、修正した内容を記憶する(s24)。
生データを読み出して再計算する動作を順次遡って行
い、元の計算結果のほうが正確な部分が出てくれば今回
の測位演算結果を捨ててs5にもどる。すなわち、途中
で元の計算結果のほうが正確な部分が出てきた場合に
は、その部分で波数の積算にサイクルスリップが発生し
ていたことが判明する。もし、最初の計測値まで遡っ
て、再計算のほうが正確であった場合には、最初にs3
で求められた整数値バイアスが不正確であったことが判
明する。
【0026】このように、整数値バイアスがサイクルス
リップや初期設定の誤り等で不正確なことが判明した場
合でも、その時点で整数値バイアスを修正し、遡って測
位演算をやり直すことができるため、整数値バイアスが
不正確であってもそれまでの測位処理が全く無駄になる
ことがない。そして、最初に適当に整数値バイアスを決
定しても、後にこれを修正して精度を向上することがで
きる。
【0027】また、この測位方式はほぼリアルタイムに
測位結果を算出することができるため、移動体の測位や
キネマティック測量に適用することができる。
【0028】なお、上記実施形態では、各GPS衛星か
らL1波,L2波の2波を受信するようにしているが、
各GPS衛星からL1波またはL2波のいずれか一方の
みを受信して測位することも可能である。この構成のG
PS測位システムの例を図5に示しておく。
【0029】また、上記実施態様では固定局1のカウン
ト値を移動局2に送信し、移動局2が自己の位置データ
を求める構成になっているが、これとは逆に、移動局2
のカウント値を固定局1に送信し、固定局1が移動局2
の位置データを求める構成にしてもよい。これは、例え
ば、ブイに移動局2を設けておき、陸上の観測点(固定
局1)で前記ブイの移動を観測する場合などに適用する
ことができる。
【0030】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、計測誤
差が大きくなったときは、遡って計測結果を再計算する
ことができるため、計測値を常時正確に保つことができ
るとともに、リアルタイムの測位において、サイクルス
リップが発生したことがその後判った場合でも、それま
での測位観測を無駄にすることが無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明が適用されるGPS測位システムの
構成図
【図2】 同GPS測位システムの固定局のブロック図
【図3】 同GPS測位システムの移動局のブロック図
【図4】 同GPS測位システムの一方の測位装置の動
作を示すフローチャート
【図5】 この発明のGPS測位システムの他の実施形
態を示す図
【図6】 相対測位の方式を説明する図
【図7】 相対測位の方式を説明する図
【図8】 相対測位における整数値バイアスを説明する
【符号の説明】
1−固定局、2−移動局、3a〜3f−測位地点、1
1,21−GPS受信機、13,23−カウンタ、26
−データ処理部、27−メモリ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既知点に設置される基準局と、未知点に
    設けられる測位局と、からなり、 前記基準局および測位局の両方に、複数のGPS衛星か
    らの繰り返し信号を受信する受信手段と、受信した繰り
    返し信号の繰り返し回数を積算する積算手段とを有する
    GPS受信装置を設け、 前記基準局または測位局に、前記繰り返し回数の整数部
    の初期値を記憶する初期値記憶手段と、基準局および測
    位局で積算された前記繰り返し信号の繰り返し回数およ
    び前記初期値を用いて測位演算を行い未知点の位置デー
    タを繰り返し算出する算出手段と、算出された位置デー
    タおよび少なくとも前記測位演算に使用される測位演算
    用データを記憶する手段と、算出された位置データに基
    づいて求められた未知点・GPS衛星間の距離と前記繰
    り返し回数の積算値に基づいて求められた未知点・GP
    S衛星間の距離とを比較する比較手段と、これらの差が
    一定以上であったとき、前記初期値を再設定するととも
    に前記記憶した位置データおよび測位演算用データを読
    み出して過去にさかのぼって測位演算をやりなおす再演
    算手段とを備えたことを特徴とする相対測位装置。
  2. 【請求項2】 既知点および未知点でGPS衛星からの
    繰り返し信号の繰り返し回数の積算値をそれぞれ求め、
    これら積算値および該積算値の初期値に基づいて測位演
    算を行い、未知点の位置データを繰り返し算出する相対
    測位方法において、 算出された位置データおよび少なくとも前記測位演算に
    使用される測位演算用データを記憶しておき、算出され
    た位置データに基づいて求められた未知点・GPS衛星
    間の距離と前記繰り返し信号の積算値に基づいて求めら
    れた未知点・GPS衛星間の距離とを比較し、これらの
    差が一定以上であったとき、前記初期値を再設定すると
    ともに、前記記憶した測位演算用データを読み出して過
    去にさかのぼって測位演算をやりなおすことを特徴とす
    る相対測位方法。
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Cited By (9)

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