JPH0911993A

JPH0911993A - ヘリコプタロータ

Info

Publication number: JPH0911993A
Application number: JP16865095A
Authority: JP
Inventors: Keizo Tokunaga; 啓三徳永
Original assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Current assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date: 1995-07-04
Filing date: 1995-07-04
Publication date: 1997-01-14

Abstract

(57)【要約】【課題】ロータの翼端渦が誘導抵抗を生じ、回転トル
クが増大する従来の不具合を解消したヘリコプタロータ
を提供することを課題とする。【解決手段】本発明はロータの先端にほぼ翼弦方向に
沿って先方が大径側となる向きに設けられた涙滴形のだ
円体と、同だ円体の後部の左右に突設された小翼とを具
備してなることを特徴とするヘリコプタロータ、を解決
手段とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はヘリコプタロータ
（回転翼）、詳しくはその先端部の形状に関する。

【０００２】

【従来の技術】ヘリコプタロータが揚力を発生する場
合、ロータ先端より翼端渦が発生する。この翼端渦は、
ロータ回転時のトルク増大及び揚力の低下を招いてい
た。ヘリコプタロータの翼端形状には図９に示す矩形
翼、図１０に示すテーパ翼、図１１に示す後退角付翼、
図１２に示すＢＥＲＰ翼、図１３に示す下反角付翼、図
１４に示すウイングレット付翼がある。なお、これらの
図において１はヘリコプタロータ、２はロータの先端部
である。

【０００３】矩形翼に対して、テーパ翼、後退角付翼、
ＢＥＲＰ翼はいずれもトルク増大、揚力低下の防止を図
ったものであるが、翼端渦のエネルギを積極的に回収す
るものではない。また、下反角付翼は、先行する翼から
発生する翼端渦と、後続の翼との干渉を避け、空力性能
悪化を防いでいる。ウイングレット付翼は、翼端渦のエ
ネルギを回収するを目的としている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記の従来のヘリコプ
タロータには、解決すべき次の（１）〜（３）の問題点
がある。

【０００５】（１）翼端渦の発生に伴って、ロータに誘
導抵抗が作用し、ロータの回転トルクが増大する。

【０００６】（２）先行して回転するロータからの翼端
渦が後続のロータの流場を乱し（空力干渉が生じ）、即
ち、局所的に迎角変化が発生し、空力性能が悪化する。

【０００７】（３）下反角付翼、ウイングレット付翼
は、ホバリング時には有効に作用するが前進飛行時に
は、余計な抵抗として作用する。

【０００８】本発明は上記課題を解決したヘリコプタロ
ータを提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題の解
決手段として、次の（１），（２）の構成と作用を備え
る。

【００１０】（１）．ロータの先端にほぼ翼弦方向に沿
って先方が大径側となる向きに設けられた涙滴形のだ円
体と、同だ円体の後部の左右に突設された小翼とを具備
してなることを特徴とするヘリコプタロータ、を構成と
するので、ホバリング時にはだ円体より左右に突出した
小翼にロータ先端より発生する翼端渦（旋回流）が当た
ることにより、小翼に推力即ちロータの回転と同一方向
の力を発生させ、ロータ回転に要するトルクを軽減させ
る。

【００１１】また、先行して回転するロータの翼端渦が
上述の通り、小翼によって実質的に消失するため、後続
のロータがその影響を受けることがなく、飛行性能低下
を生じない。

【００１２】（２）．上記（１）記載の構成のヘリコプ
タロータにおいて、だ円体の後部に上下に突出、引込み
可能に設けられた小翼を具備してなることを特徴とする
ヘリコプタロータ、を構成とするので、小翼が上下に突
設されている場合は、合計４枚の小翼が左、右、上、下
に突出していることとなり、上記（１）の作用が一層顕
著に奏せられる。

【００１３】また、上下に突出した小翼を引込めた場合
は前進飛行時の抵抗が軽減される。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明の実施の第１、第２形態を
図１〜図８により説明する。なお、従来例または先の実
施の形態と同一または同機能部材には対比を容易にする
ため同符号を付し、必要ある場合を除き、説明を省略す
る。

【００１５】（第１形態）第１形態を図１〜図４により
説明する。

【００１６】図１は本形態に係るヘリコプタロータ１の
先端部２の平面図、図２は図１のII−II矢視拡大図（時
計回りに９０°回転示）、図３は図１に対応して示した
本形態の作用の説明図、図４は図３のIV−IV矢視拡大図
（時計回りに９０°回転示）である。

【００１７】図１，２に示すように、ヘリコプタロータ
１の先端部２に、涙滴形のだ円体３が後方細りに、即
ち、大径側を先方にして取付けられている。このだ円体
３の後端部４の近傍に２枚の小翼５ａ，５ｂが左右に突
設されている。

【００１８】次に、上記構成の作用について図３，４に
より説明する。

【００１９】図３，４に模式的に螺線矢印等で示すよう
にヘリコプタロータ１の先端部２で発生する翼端渦６
ａ，６ｂの下流側に小翼５ａ，５ｂが位置する。

【００２０】翼端渦６ａ，６ｂの存在により、図４に示
すように、小翼５ａに、斜め下方からの局所流７が当た
り、小翼５ａに揚力８、抵抗９が発生する。

【００２１】揚力８は抵抗９に対して大であるため、こ
れらの力のヘリコプタロータ１の回転方向１０への成分
としては、ヘリコプタロータ１の回転を助ける方向の
力、即ち推力となり、その分、ヘリコプタロータ１の回
転トルクが低減する。

【００２２】小翼５ｂにおいても、小翼５ａと同様の空
気力が作用し、ヘリコプタロータ１の回転トルクが低減
する。また、翼端渦６ａ，６ｂが上述の通り、変化して
実質的に消失するので、後続ロータに悪影響を及ぼさな
い。従って飛行性能が低下しない。

【００２３】（第２形態）次に、第２形態を図５〜図８
を参照しながら説明する。図５は、本形態のヘリコプタ
ロータ１の先端部２の平面図、図６は図５のVI−VI矢視
拡大図（時計回りに９０°回転示）、図７は図５のVII
−VII 矢視断面拡大図（時計回りに９０°回転示）、図
８は図６に対応して示した本形態の作用の説明図であ
る。本形態では、小翼５ａ，５ｂの他に、更に２枚の小
翼５ｃ，５ｄが上下に突設されている。この２枚の小翼
５ｃ，５ｄは図７に示すようにだ円体３に内蔵の駆動装
置１１ａ，１１ｂにより、ヒンジ１２ａ，１２ｂ周りに
矢印１３ａ，１３ｂの方向に回転するようにしてある。

【００２４】次に、上記構成の作用について図８により
説明する。

【００２５】図８は、小翼５ａ〜５ｄ周りの流れ、即
ち、翼端渦６ａ，６ｂの状況を示したものでしる。第１
形態の場合と全く同様に翼端渦６ａ，６ｂにより、ヘリ
コプタロータ１の回転を助ける方向に空気力が作用し、
ヘリコプタロータ１の回転トルクが低減し、かつ、後続
ロータへの空力的悪影響が回避される。

【００２６】なお、小翼５ｃ，５ｄは、ヘリコプタが前
進飛行する場合には前進飛行を阻止する抵抗として作用
するため、駆動装置１１ａ，１１ｂを遠隔で作動させ、
小翼５ｃ，５ｄをだ円体３内に収納し、余分の抵抗発生
がないようにする。

【００２７】駆動装置１１ａ，１１ｂはたとえば、それ
ぞれ歯車をなし、各小翼５ｃ，５ｄの基端を歯車状に加
工された歯と噛み合っていて、駆動装置１１ａ，１１ｂ
が油圧モータ等で回転駆動されてもよく、更には各小翼
５ｃ，５ｄの歯同志が噛み合っていて、一方を起せば自
動的に他方も起きる構成とし、一方の軸（ヒンジ１２ａ
または１２ｂ）のみを油圧、電動モータ、ピストン（但
し、軸にレバーを別置）等で約９０°回転（往復）させ
るよう構成すれば図７に示す２個の歯車も不要となる。

【００２８】以上の通り、第１形態によれば、だ円体３
の後部の左右に突設された小翼５ａ，５ｂにより翼端渦
６ａ，６ｂをヘリコプタロータ１の回転方向の成分を大
きく持った揚力に変えるのでヘリコプタロータ１の回転
トルクが軽減するという利点がある。

【００２９】また、第２形態によれば、だ円体３の後部
に更に上下に小翼５ｃ，５ｄを突出、引込み可能に設け
るので、突出している場合は第１形態に説明したヘリコ
プタロータ１の回転トルクが一層、能率的に軽減する。
また、前進飛行時はこれを引込めることにより、第１形
態以上の抵抗が加わることはないという利点がある。

【００３０】また、第１、第２形態によれば、ヘリコプ
タロータ１の回転時、先行のヘリコプタロータ１の翼端
渦６ａ，６ｂが揚力８等を生じる流れに変えられ、実質
的に消失するので、従来のように後続のヘリコプタロー
タ１が空力的影響を受けて飛行性能を低下するといった
不具合が生じないという利点がある。

【００３１】

【発明の効果】本発明は、前記のように構成されている
ため、次の（１）〜（３）の効果を有する。

【００３２】（１）．ホバリングにおいて、翼端渦を利
用して、即ち、渦のエネルギを吸収してロータの回転ト
ルクの軽減（推進効率の向上）を図ることが出来る。

【００３３】（２）．前進飛行においても、前進飛行に
有害な抵抗を発生させることなく、（１）と同様ロータ
の推進効率を向上させることができる。

【００３４】（３）．ロータ回転における先行ロータと
後続ロータとの翼端渦に伴なう空力的影響がなくなるの
で、従来例に比し飛行性能が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の第１形態に係るヘリコプタロー
タの平面図、

【図２】図１のII−II矢視拡大（時計回りに９０°回転
示）図、

【図３】図１に対応する作用の説明図、

【図４】図３のIV−IV矢視拡大（時計回りに９０°回転
示）図、

【図５】本発明の実施の第２形態に係るヘリコプタロー
タの平面図、

【図６】図５のVI−VI矢視拡大（時計回りに９０°回転
示）図、

【図７】図５のVII −VII 矢視断面（時計回りに９０°
回転示）図、

【図８】図６に対応する作用の説明図、

【図９】従来の矩形翼ロータの図で、（ａ）は平面図、
（ｂ）は正面図、

【図１０】従来のテーパ翼ロータの図で、（ａ）は平面
図、（ｂ）は正面図、

【図１１】従来の後退角付翼ロータの図で、（ａ）は平
面図、（ｂ）は正面図、

【図１２】従来のＢＥＲＰ翼ロータの図で、（ａ）は平
面図、（ｂ）は正面図、

【図１３】従来の下反角付翼ロータの図で、（ａ）は平
面図、（ｂ）は正面図、

【図１４】従来のウイングレット付翼ロータの図で、
（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図である。

【符号の説明】

１ヘリコプタロータ２先端部３だ円体４後端部５ａ〜５ｄ小翼６ａ，６ｂ翼端渦７局所流８揚力９抵抗１０回転方向１１ａ，１１ｂ駆動装置１２ａ，１２ｂヒンジ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ロータの先端にほぼ翼弦方向に沿って先
方が大径側となる向きに設けられた涙滴形のだ円体と、
同だ円体の後部の左右に突設された小翼とを具備してな
ることを特徴とするヘリコプタロータ。
【請求項２】請求項１記載のヘリコプタロータにおい
て、だ円体の後部に上下に突出、引込み可能に設けられ
た小翼を具備してなることを特徴とするヘリコプタロー
タ。