JPH09119565A - 管接続用ねじ継手 - Google Patents

管接続用ねじ継手

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JPH09119565A
JPH09119565A JP27772595A JP27772595A JPH09119565A JP H09119565 A JPH09119565 A JP H09119565A JP 27772595 A JP27772595 A JP 27772595A JP 27772595 A JP27772595 A JP 27772595A JP H09119565 A JPH09119565 A JP H09119565A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 管の内部よりも外部に高い圧力が働く場合で
あっても、気密性に優れたねじ継手を提供する。 【解決手段】ピン部およびボックス部から構成され、こ
れらのピン部およびボックス部のそれぞれにメタルシー
ル部とトルクショルダー部が設けられ、トルクショルダ
ー部のショルダー角度を5〜20°に、かつピン部のメタ
ルシール部のリップ率を52%以上にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油・天然ガスお
よび蒸気や熱水を探査・生産する油井、ガス井、地熱井
および産業廃棄物を地下に圧入廃棄する圧入井あるいは
石油・天然ガス等の二・三次回収用圧入井等を構成する
管接続用のねじ継手に関するものであり、特に深井戸の
場合や腐食性環境が厳しい場合等における使用に適した
管接続用ねじ継手に関するものである。なお、以下の説
明において、管接続用ねじ継手としてはその代表例であ
る油井管用ねじ継手を例にとって本発明を説明する。
【0002】
【従来の技術】油井管用ねじ継手には従来API規格
(米国石油協会規格) のラウンドねじ継手やバットレス
ねじ継手が多用されてきているが、油井・ガス井等の深
井戸化および圧力、温度、腐食環境等の苛酷化に伴い、
管の自重による破断に対し強度の高いかつ、気密性のよ
い継手が求められている。
【0003】図1は、その一例としてカップリング方式
の油井管用ねじ継手を示す断面図である。図1(a) はそ
の全体を一部断面で示す側面図であり、図1(b) はカッ
プリング20のボックス部21の断面を示す拡大図であり、
そして図1(c) は鋼管10のピン部11の拡大断面図であ
る。
【0004】図1(a) に示すように、油井管としての鋼
管10' 、10はカップリング20によってねじ接続されてお
り、カップリング20の両側にはボックス部21が、そして
鋼管10、10' の先端にはピン部11がそれぞれ設けられて
いる。
【0005】図1(b) に示すように、ボックス部21はテ
ーパ状の雌ねじ22を備えており、また図1(c) に示すよ
うに、ピン部11には同じくテーパ状の雄ねじ12が設けら
れている。
【0006】このようにして、カップリング方式のねじ
継手は、鋼管10の端部に設けたテーパ状の雄ねじ12を有
するピン部11と、カップリング20の内部に設けたテーパ
状の雌ねじ22を有するボックス部21とを螺合させること
により、二つの鋼管10、10'を接続するのである。
【0007】しかし、近年の悪化した環境下で用いられ
る油井管ねじ継手では、特に生産用ケーシング (プロダ
クションケーシング) やチュービングパイプ用として
は、単に雄ねじ12と雌ねじ22からなるねじ要素のみで構
成されているものは少なく、図1(b) 、(c) にそれぞれ
示すように、ピン部11とボックス部21のそれぞれにメタ
ルシール部13、23やトルクショルダー部14、24を同時に
備えているものが多い。
【0008】つまり、ねじ継手部のピン部11の先端には
テーパ状のメタルシール部13およびトルクショルダー部
14が設けられ、ボックス部21の内方には上記ピン部のテ
ーパ状メタルシール部13に対応するテーパ状のメタルシ
ール部23および上記ピン部のトルクショルダー部14に対
応するトルクショルダー部24が設けられている。
【0009】このメタルシール部は、径方向の干渉量つ
まりピン部のメタルシール部13の外径がボックス部のメ
タルシール部23の内径より大でありこの差を干渉量と呼
ぶが、これを有しており、継手を螺合すると、この干渉
量により両メタルシール部の接触面に面圧が発生し、こ
の面圧により良好な気密性の保持が期待される。
【0010】トルクショルダー部14、24は、ピン部11お
よびボックス部21のこの部分を互いに突き当てることに
より、過度の塑性変形が生じるような高い接触面圧がメ
タルシール部13、23に発生しないようにして、ねじ継手
の締結を確実なものにするためのものである。このトル
クショルダー部14、24の垂直面に対する角度をショルダ
ー角度といい、従来は0〜3度程度であった。
【0011】図2は、特開昭60−260792号公報に開示さ
れた気密性と外力に対する抵抗性を高めたメタルシール
部13およびトルクショルダー部14を示す模式説明図であ
る。これはメタルシール部13およびトルクショルダー部
14を曲率がR1、R2、R3と異なる曲面で構成し、三軸圧縮
力を作用させる構成とするものである。なお、上記公報
においてショルダー角度については言及していないが、
図面上からは25〜30度程度である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】図1に示したメタルシ
ール部をもつ油井管用ねじ継手は、ピン部11のテーパ状
雄ねじ12の先端側にメタルシール部13を有し、通常この
メタルシール部13の肉厚が管体に比し著しく薄く、径方
向の干渉量が設けられているため内圧に対しては良好な
気密性を有し、管体が破壊するまで内圧を保持すること
もある。しかし、油井は多重の鋼管で構成されており鋼
管と鋼管の間には深さに応じて働く土圧 (地質圧、地層
圧) に対応すべく比重の大きい液体を入れバランスを保
っている。
【0013】しかし時折このバランスがくずれて、外圧
が直接鋼管に作用することがある。この場合にはカップ
リングとピン部の間の噛み合いねじ部の隙間を通って外
圧がメタルシール部13まで達し、ピン部先端のシールリ
ップ部17 (図1(c) のトルクショルダー部14からベベル
部16の付近の部分) を軸の中心へ向かって押し曲げる方
向に作用する。その結果、両メタルシール部23、13は押
し開らかれ、気密が破られることになる。
【0014】一方、特開昭60−260792号公報に開示され
ているように、メタルシール部13およびトルクショルダ
ー部14を曲率の異なる3本の曲線で三軸圧縮力を作用さ
せる構成とする方法は、構造が複雑で、製作が困難であ
り、また、トルクショルダー部14の傾き、つまりショル
ダー角度が大きいためリップ部先端が薄くなり、剛性を
低下させるという欠点がある。
【0015】かくして、本発明の目的は、管の内部より
も外部に高い圧力が働く場合であっても、気密性に優れ
たカップリング方式またはインテグラル方式のねじ継手
を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の問題
を解決するため、外圧によりシール性が破れたものを詳
細に調査した結果、これらはトルクショルダー部に傾
きがないもの、また傾きがあっても大きすぎるもの、
メタルシール部のリップ根元厚さ (図1(c) のS1) が管
肉厚(WT)に比べかなり薄いものであるという知見を得
た。
【0017】これらの知見に基づき、(1) トルクショル
ダー部の傾き、つまりショルダー角度 (θ) を5〜20°
とすることと、(2) メタルシール部のリップシール部の
根元厚さ(S1)と管厚さ(WT)との間の下記式[1] で定義し
たリップ率を0.52以上とする継手により接続された油井
管がAPIの圧縮変形破壊 (コラプス) 圧力までの外圧
に対するシール性を保持できることを確認し、本発明を
完成した。
【0018】ここに、本発明の要旨は、例えば図1(a)
〜(c) に示すごとく、ピン部11とボックス部21とから構
成され、ピン部11およびボックス部21のそれぞれにメタ
ルシール部13, 23とトルクショルダー部14, 24とを有す
る管接続用ねじ継手であって、トルクショルダー部14,
24のショルダー角度 (θ) が5〜20°であり、かつピン
部のメタルシールリップ部17の根元の厚さ(S1)と管厚さ
(WT)との間に下記[1]で定義されるリップ率が52%以上
であることを特徴とする管接続用ねじ継手にある。 (S1/DB) / (WT/OD) ≧ 0.52 ・・・ [1] ただし、DB:シールリップ部の根元の内径、OD:管
外径である。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明にかかるねじ継手の構成を
上記のように規定した理由についてその作用とともに説
明する。
【0020】本発明においてトルクショルダー部に5〜
20度の傾き、つまりショルダー角度を設けるのは、リッ
プ部に外圧が作用したとき半径方向の変形を防止するた
めである。このショルダー角度が5°未満では前記変形
を防止するに十分な支持力が得られないからである。ま
た、20°を越えるとピン部の先端部およびボックス部の
トルクショルダー部の周辺部が鋭角となり、材料体積の
減少により剛性不足となって変形しやすく、十分な支持
力が期待できなくなる。従って、本発明ではこのショル
ダー角度を5〜20°の間に限定した。好ましくは、10〜
15°である。
【0021】次に、本発明においては、ピン部のメタル
シール部におけるシールリップ部の根元厚さS1とシール
リップ部の根元の径DBとの比を、管厚さWTと管本体の外
径ODの比の52%以上とする (式[1] の関係) のは、AP
I規定の最小コラプス圧に対してピン部のシールリップ
部の変形を小さくし、メタルシール部のシール性を保持
するに必要な剛性をシールリップ部にもたせるためであ
り、もちろんショルダー角度が5〜20°であることと共
に所定の耐外圧機能を持たせるもので、リップ厚単独で
はそのようなすぐれたシール性を保持できるとは限らな
い。つまりピン部のシールリップ部がある程度大きく変
形するとメタルシール部のシール機構がこわされて耐外
圧シール性を保持できなくなる。
【0022】このリップ率の上限は特に制限はないが、
好ましくは55〜65%である。なお、シールリップ部17の
根元厚さとは、図1(c) に示すピン部11のメタルシール
部13の側の不完全ねじ部15の切り始め部の厚さ、または
ベベル部16の根元の厚さS1である。
【0023】ここで、上述の[1] の式を満足させるため
の手段としては、シールリップ部17の根元の径DBを管外
径ODに対し、下記の式が成り立つようにすればよい。こ
こに、IDは管内径、WTは管肉厚である。
【0024】 DB≧ (ID+α) OD/ (OD−0.52WT) ・・・(2) ここで、αはシールリップ部17の内径の面取代であり、
外径により多少変えるべきであろうが、一般には、α≒
2.0 mmで通常問題ない。また、場合によってはα=0で
もいい。
【0025】このようにして上記の式(2) を満足するDB
を決め、そのDBの径と管外径との間にねじを配置する。
図3は、このようにしてピン部におけるねじ形状の決定
方法を模式的に説明するものである。図中、DBが決まれ
ば、必要とするねじ長さに基づいて容易にねじ形状を設
計できる。
【0026】次に、このようにしてDBが決まったら、今
度はこのDBに基づいて(1) 式からS1 の範囲を求め、
これを満足するリップシール部17の根元厚さS1、S1' 、
S1"のいずれかを選択すればよい。つまり、図4に示す
ようにリップシール部17の根元厚さS1はシールリップ部
の内面のリセス (面取り) の形に合わせ、A:S1、また
はB:S1' 、またはC:S1" とをそれぞれ変更でき、そ
のうちから式(1) を満足するS1を採用する。
【0027】なお、ねじのベベル部は通常ほぼ一定形状
のため決定する必要はない。また、シールリップ部の長
さは概ね10〜15mm (外径により変わる) の範囲にあるた
め、それを想定し特に規定しない。
【0028】このように、ねじの形状は式(2) によって
DBが決まり必要なねじ長さが決まれば、図3にしたがっ
てねじ山の寸法とねじのテーパを適当に選択することに
よってきまり、次に前述のように図4にしたがってS1
決定される。次に、本発明の効果を実施例に基づいてさ
らに具体的に説明する。
【0029】
【実施例】本例において、ねじ継手は、図1(a) 〜(c)
に示したカップリング方式として、下記の管およびねじ
諸元で、ボックス部およびピン部を成形し、表1に示す
カップリング形状を製作した。なお、ボックス部および
ピン部においてショルダー角度は対称に設けられてい
る。
【0030】 管本体の外径 : 177.8mm (7") 管本体の肉厚 : 14.19mm (0.559") カップリングの外径 : 195.98〜201.68mm 管およびカップリングの材料: 降伏強度70.31 kgf/mm2 の低合金鋼 ねじの形状 : 台形ねじ ねじピッチ : 5.08mm (5山/インチ) ねじテーパ : 1/16 ねじ山高さ : 1.575 mm 表面処理 : リン酸塩被膜処理
【0031】
【表1】
【0032】テストサンプルのシールリップ部の形状は
図4に示すようにシールリップ部の内径側を削正し、削
正後の管体肉厚(WT)とメタルシールリップ部の根元の厚
さ(S1)との関係で求められるリップ率 (λ) が前記の式
(1) で50〜60%となるようにし、かつトルクショルダー
部の傾き角度であるショルーダ角度 (θ) も種々変化さ
せた。
【0033】図5は、この同一素材から種々な「リップ
率 (λ) 」のテストサンプルを造るためにピン部内径を
削正する方法の模式的説明図である。なお、ねじ長さ、
リップ長さ、メタルシール部の寸法等は一定とした。
【0034】図中、各符号の説明およびλ1 、S1、WT1
の求め方は次の通りである。 A:ピンリップ長さ B:ピンシール長さ C:ピン完全ネジ部長さ D:ネジテーパ (歪数) E:ピンリセル加工長さ H:ネジ山高さ (ネジハイト) t1〜t4:ケース1〜4の場合のショルダー幅 WT1 〜WT4 :ケース1〜4の場合の管体肉厚 S1:ケース1の場合のリップ根元厚 リップ率 λ1 ={S1/[170.5+Bx (メタルシール部テーハ゜)]}/{WT1/177.8} S1 =t1+1/2 Bx(メタルシール部テーハ゜) +[A-t1xtan(ショルタ゛ー角:θ1)]tan 6° WT1=1/2[177.8-{170.5-2t1-2(E-t1 tanθ1)tan6°}] ここに、A、B、Eそしてメタルシール部テーパは一定
であるから、リップ率λ1 は、ショルダー角度θ1 およ
びショルダー幅t1により定まる。つまりショルダー角度
を一定とすれば特定のt1を定めることにより目的とする
リップ率λ1 を設定できる。
【0035】このようにして構成した継手のねじ部に潤
滑用グリース (二酸化モリブデン含有) を塗布し、規定
のトルクで連結し、試験体とした。試験体の両端を密閉
した後、筒状圧力容器に装入し、圧力媒体 (水) を介し
て試験体に外圧を負荷した。圧力を30分間保持し異常が
なければ、さらに圧力を段階状(3.43 MPa/1段) に増加
させる試験を行い、管本体が圧縮変形破壊 (コラプス)
するか、継手部のシール性が破れるかのいずれかが起こ
るまで加圧した。得られた結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】これらの結果から、本発明にかかるねじ継
手A〜Gは、いずれもAPIで規定された管体の最小コ
ラプス保証値までシール性を保持し、それ以上の値では
じめてリークするか、あるいは管体が圧縮変形破壊 (コ
ラプス) した。
【0038】比較例のねじ継手HおよびIは、リップ厚
さが5.18mmおよび5.09mm (リップと管体の(T/D) 比が50
%) と相対的に薄いため、54.3および57.1 MPaで継手か
ら漏れが発生した。
【0039】ねじ継手JおよびLは、トククショルダー
角度が3°と小さいため、75.7および78.5 MPaで継手か
ら漏れが発生した。ねじ継手KおよびMは、トルクショ
ルダー角度が25°と大きいため、69.3および80.9 MPaで
継手から漏れが発生した。
【0040】なお、本例の場合、API規定の計算式に
て計算すると各サンプルの管体の最小コラプス保証圧
は、上記表2の[API最小コラプス保証値」の欄の値であ
る。
【0041】また、上述の実施例ではカップリング方式
の場合を説明したが、インテグラル方式の場合 (管体に
直接ピンネジとボックスネジ両方を加工する場合) でも
同様な効果が得られる。
【0042】
【発明の効果】本発明による油井管用ねじ継手は、リッ
プ部の厚さを大きく、トルクショルダーの傾き角度を特
定したので、外圧に対する優れたシール性能をもってお
り、APIの規定する管体の最小コラプス (圧壊) 保証
圧力までの外圧に十分耐え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】カップリング方式の油井管用特殊ねじ継手の一
種の断面図であり、図1(a) はその全体を示す側面図、
図1(b) はボックス部の拡大断面図、そして図1(c) は
ピン部の拡大断面図である。
【図2】先行技術として挙げて気密性と外力に対する抵
抗性に優れた継手のリップ部の一部断面図である。
【図3】ピン部のねじ形状の決定方法の模式的説明図で
ある。
【図4】シールリップ部の根元厚みS1とピン内面リセス
形状との関係を示す模式的説明図である。
【図5】今回のテストに用いたサンプル用に、リップ率
を目的の値にすべくピン部内径を削正する方法の模式的
説明図である。
【符号の説明】
10:鋼管 11:ピン部
12:雄ねじ 20:カップリング 21:ボックス部
22:雌ねじ 13, 23:メタルシール部 14, 24:トルクショルダー
部 15:不完全ねじ部 16:ベベル部
17:シールリップ部 WT:管厚さ S1, S1',S1" :リップ根元厚さ
θ:ショルダー角度 DB:リップ根元径

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピン部およびボックス部から構成され、
    これらのピン部およびボックス部のそれぞれにメタルシ
    ール部とトルクショルダー部とを有する管接続用ネジ継
    手であって、前記トルクショルダー部のショルダー角度
    を5〜20°に、かつ前記ピン部の前記メタルシール部の
    リップ率を52%以上としたことを特徴とする管接続用ね
    じ継手。
JP27772595A 1995-10-25 1995-10-25 管接続用ねじ継手 Expired - Lifetime JP2874615B2 (ja)

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