JPH09118624A - 真性糖尿病の経口処置用タングステン(vi)組成物 - Google Patents

真性糖尿病の経口処置用タングステン(vi)組成物

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JPH09118624A
JPH09118624A JP19733096A JP19733096A JPH09118624A JP H09118624 A JPH09118624 A JP H09118624A JP 19733096 A JP19733096 A JP 19733096A JP 19733096 A JP19733096 A JP 19733096A JP H09118624 A JPH09118624 A JP H09118624A
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tungsten
tungstate
compound
insulin
diabetes
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JP19733096A
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English (en)
Inventor
Cirera Joan Josep Guinovart
ホアン・ホセ・ジョノバルト・シレラ
Lluis Albert Barbera
アルベルト・バルベラ・ルイス
Gil Joan Enric Rodriguez
ホアン・エンリク・ロドリゲス・ヒル
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bayer Pharma AG
Bayer Hispania SL
Original Assignee
Bayer Pharma AG
Quimica Farmaceutica Bayer SA
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インシュリンのような、過剰投与による低血
糖症に伴う重大な副作用を起こさない、しかも真性糖尿
病の経口投薬治療可能なインシュリン代替物を提供する
こと。 【解決手段】 タングステン(VI)と医薬的に許容し得
る化学的部分とで形成される化合物、その溶媒化物また
は付加塩、例えば、タングステン酸ナトリウムを有効成
分として有する医薬組成物、ならびにその使用。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、インシュリン擬薬(mimicker)
として用いるタングステン(VI)化合物を含んでなる組
成物、並びに同化合物を用いる経口医薬の調製に関す
る。
【発明の属する技術分野】
【0002】真性糖尿病は、全世界的に主要な健康上の
課題となっており、流行病の比率に達しつつあると世界
保険機構(WHO)では認識している。それは今や先進
諸国では死因の第4位となっており、工業化途上国でも
急速に増加しつつある病気である。全世界的な糖尿病の
流行は、1985年の3000万人から1994年には
1億人に達すると予測されている。真性糖尿病は、不完
全な炭水化物代謝により起こる病気であり、血液および
尿中の異常に大量の糖グルコースにより特徴づけられ
る。真性糖尿病は、究極的には目、腎臓、心臓、および
手足を損傷し、かつ妊娠を危険にする。
【0003】真性糖尿病は、通常二つのタイプに分けら
れる。1型もしくはインシュリン−依存型真性糖尿病群
(IDDM)、これまで若年発症型糖尿病群と呼ばれて
いたものは、子供および若い成人にみられるものである
が、自己免疫症候群のひとつに含められていた。発症お
よび進行が速やかであり、全症例の約10から15パー
セントを占める。2型もしくはインシュリン−非依存型
真性糖尿病群(NIDDM)、これまで成人発症型糖尿
病と呼ばれていたものは、通常、40歳を超える人達に
みられ、進行も遅い。しばしばそれは初期段階には臨床
的症状を伴わないので、血液および尿中のグルコースレ
ベルによって検出される。
【0004】糖尿病は、どちらかといえば、単一の症状
というよりは、複数の原因を有する一群の症状と考えら
れている。ヒトの膵臓はインシュリンと呼ばれるホルモ
ンを分泌するが、インシュリンは糖グルコースの体組織
内への取り込みおよび利用を促進し、かくして生体活性
のためのエネルギーを供給する。しかしながら、糖尿病
の人では、インシュリン量の不足かまたは目標細胞の変
更かいずれかの結果として、グルコースの取り込みが損
なわれている。このため、糖は血液中に蓄積し、さらに
は尿中に排泄される。1型糖尿病での問題は、ほぼ例外
なく、厳しいもしくは完全なインシュリン生産の衰退で
ある。2型糖尿病では、しばしば膵臓がかなりの量のイ
ンシュリンを生産するが、このホルモンは組織によるグ
ルコースの利用を促進することができない。
【0005】適当に処置すると、多くの糖尿病患者では
血液中の糖レベルを正常値または正常域に近く維持され
る。これは、彼らの平常生活を可能とし、病気の長期的
影響の幾つかを排除する。インシュリンを少量生産す
る、または全く生産しない、1型糖尿病患者では、治療
法としてインシュリンの注射が行われる。2型糖尿病患
者では、彼らの多くは少なくともやや肥満体であり、治
療の基本線はダイエットコントロール、減量、および運
動である。減量は、組織内のインシュリン抵抗の条件を
一部逆転するようである。もし患者の血液中の糖レベル
がまだかなり高いようなら、医師はインシュリン注射を
採用できる。
【0006】注射投与に伴う不快以外に、インシュリン
の用量コントロールの問題も存在する。インシュリンの
過剰投与により起こる低血糖症は、その重要性に応じ
て、錯乱、幻覚、奇妙行動(bizzare behavior)、そして
ついには、痙攣と昏睡を伴う、振せん、冷汗、立毛、体
温異常降下および頭痛を引き起こす。それ故、過剰投与
事故の場合に低血糖症を引き起こさない、インシュリン
代替物をもつことは、極めて有益なことである。
【0007】インシュリンは注射投与したときだけ活性
であること、また投与用量はコントロールされねばなら
ないことから、経口インシュリン−代替物、ことにもし
それが過投与しても低血糖症を引き起こさないものなら
ば、糖尿病患者の不快と危険を大幅に減少するであろ
う。
【0008】
【従来技術】残念ながら、これまでは、真性糖尿病の適
切な経口投薬治療という治療上の課題は未解決である。
近年、効果がインシュリンに似た数種の無機化合物の報
文がある。これらは幾つかのバナジウム化合物(Heylig
er et al.,“Effect of vanadate on elevated blood g
lucose and depressed cardiac performance of diabet
ic rats",Sience 1985,vol.227,pp.1474-7参照);
セレン酸塩類(McNeillet al.,“Insulinlike effects
of sodium selenate in streptozotrocin-induced diab
etic rats",Diabetes 1991,vol.40,pp.1675-8参
照);タングステン酸塩(tungstate)類(Barbera et
al.,“Insulin-like actions of tungstatein diabetic
rats",J.Biol.Chem. 1994,vol.269,pp.20047-53参
照);およびリチウム塩類(Rodriguez-Gil et al.,“L
ithium restores glycogen synthesisfrom glucose in
hepatocytes from diabetic rats",Arch.Biochem.Biop
hys.1993,vol.301,pp.411-5参照)である。
【0009】既知の全てのインシュリン−擬薬無機化合
物のうち、これまでは、バナジウム化合物だけが、実際
に、糖尿病の投薬治療用薬剤として提案された(Schech
teret al.,“Vanadium salts and the future treatmen
t of diabetes",Endeavour1993,vol.17,pp.27-31参
照)。これらの薬剤として提案されたバナジウム誘導体
は、バナジウム酸アルカリ土類金属塩またはアルカリ金
属塩(バナジウムがその+5酸化状態で酸素と結合して
おり、特にオルソバナジウム酸VO4 3-)、バナジルV
2+塩、およびペルオキソバナジウム錯体(米国特許第
4882171号参照)を含む。
【0010】実際、近時、欧州とアメリカで、バナジウ
ム化合物の臨床試験が行われている。然し、バナジウム
化合物の経口投与は、その有効用量で毒性を示す障害が
ある。もし、動物にインシュリン様効果を達成させよう
とすれば、投与濃度は毒性レベルに近くならざるを得な
い。バナジウム−治療は、使用したバナジウム化合物の
化学的形態とは無関係に、常に著しい副作用を伴う(Do
mingo et al.,“Oralvanadium administration to stre
ptozocin-diabetic rats has marked negative side-ef
fects which are independent of the form of vanadiu
m used",Toxicology 1991,vol.66,pp.279-87参照)。
バナジウム化合物の毒性の顕著な徴候は、血液中のグル
コースを低下させ得る全用量で、かなりの死亡率ととも
に、観察される。要するに、バナジウム化合物の臨床試
験は、治療用量における高毒性を理由として種々批判さ
れてきており、バナジウムはヒトの糖尿病の治療には選
択し得ないものとまで極言する著者がいるほどであっ
た。Diabetes(1994,vol.43,p.1270)に掲載の最近の
レターには、“細胞毒性薬剤を出来るだけ除けば、この
ような罹患率および死亡率の印象深い記録をもつ薬剤が
ヒトにおいて試験される段階に達したという前例はほと
んどないに違いない。”と記載されている。
【0011】このように、毒性のために、これまで、真
性糖尿病の経口治療に許容できるインシュリン−擬薬の
もつ問題点に対し十分満足のいく解決は得られていな
い。治療的に有用であるためには、かかる薬剤は、有効
用量で低い経口毒性を有しなければならない。加えて、
真性糖尿病は慢性疾患であるため、低毒性は短期間だけ
でなく長期間維持されなければならない。注射によるイ
ンシュリン投与の問題点である事故的過剰投与の場合に
該薬剤が低血糖を生じないこともまた非常に有利であ
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】バナジウム化合物につ
いて知られていることおよびタングステン化合物に期待
されたこととは反対に、本発明のインシュリン−擬薬タ
ングステン(VI)化合物は、驚くべきことに、短期間お
よび長期間共に有効用量で無害であり、過剰投与しても
低血糖を生じないことを見い出した。これら新規かつ驚
くべき発見により、IDDM(1型糖尿病)およびNI
DDM(2型糖尿病)の処置用経口医薬の調製に該化合
物を使用することが、初めて実質的に提案可能となる。
【0013】タングステン(VI)化合物の多くの実用的
用途は、製造工業において既に知られていた:抗凍結溶
液、レーザーの製造等における、触媒、試薬、顔料、腐
食抑制剤、火炎抑制剤。しかしながら、タングステン
(VI)化合物が、治療、外科手術または診断に使用され
ることは今までなかった。IDDMの動物モデル(NI
DDMではない)においてタングステンの活性が見いだ
されたという先行結果はいくつかある(Barbera等参
照)が、タングステン(VI)化合物の治療的使用は、一
般に、可溶性タングステン化合物が、注射および経口投
与のいずれにおいても毒性物質であると考えられいたこ
とから、好ましくないものとされていた。従って、例え
ば、ラットに皮下注射した場合のタングステン酸ナトリ
ウム、Na2WO4・2H2OのLD50は、140−160
mg/kgと見積もられていた。タングステン酸ナトリウム
で経口投与または静脈内投与処理したモルモットが、食
欲不振、仙痛、共調運動不能、震え、および呼吸困難を
罹患したことも知られていた。加えて、ラットに経口投
与した場合、タングステン酸ナトリウムの毒性は、他の
試験タングステン(VI)化合物に対応する毒性よりも高
かった(Kirk-Othmer,“Encyclopedia of Chemical Te
chnology”,1983,第3版,23巻,435頁、および
その引用文献参照)。
【0014】
【課題を解決するための手段】従って、本発明を為した
とき、タングステン(VI)化合物について入手可能であ
った毒物学的情報からは、これら化合物の、特に真性糖
尿病などのヒト慢性疾患における治療的用途を予想する
ことなどほとんどあり得なかった。しかしながら、驚く
べきことに、本発明者らは、以下のことを見い出したの
である。
【0015】i)ウィスターラットに経口投与した場
合、タングステン酸ナトリウムのLD50は、3922mg
/kgである。同じプロトコールを使用してバナジウム酸
ナトリウム、NaVO3を経口投与した場合に得られた値
は、98mg/kgである。このことは、経口投与した場
合、タングステン酸塩(tungstate)の方がバナジウム
酸塩よりも40倍毒性が低いこと、さらに、タングステ
ン酸塩は注射するよりも経口投与する方が約30倍毒性
が低いことを意味している。
【0016】ii)高用量でバナジウム酸塩処理すると、
下痢、痙攣、および血便を引き起こす。しかしながら、
実験で使用した用量(8000mg/kgまで)で動物をタ
ングステン酸塩処理した場合、これらの症状はなんら観
察されない。
【0017】iii)タングステン酸塩実験をバナジウム
酸塩と平行して実施する場合、バナジウム酸塩で処理し
たラットの死亡率は、死亡率が非処理糖尿病対照と類似
する(約10%)タングステン酸塩処理ラットに比べ
て、非常に高い(約60%)。 iv)治療的用量のタングステン酸ナトリウムを8カ月処
理した健全ラットにおいて毒物学的作用はなんら観察さ
れない。
【0018】v)インビトロ培養したヒト細胞を用いる
毒物学的研究から、処理した動物の血中タングステン酸
塩レベルは、培養したヒト筋細胞または肝細胞にとって
毒性であると言われる濃度よりも十分に低いとの結論が
出されている。この驚くべき結果は、タングステン酸塩
が、肝臓または筋組織になんら損傷を与える危険を伴わ
ずに、薬学的に有効量でヒトに使用できることを示すも
のである。
【0019】要するに、本発明は、医薬としての使用の
ために、医薬的に許容され得る化学部分を有するタング
ステン(VI)の化合物または該化合物の水和物の有効量
を医薬的に許容され得るキャリアーと組み合わせて含む
組成物を提供することにより、真性糖尿病の経口処置に
適切なインシュリン擬薬のもつ上記問題点を解決するも
のである。
【0020】本発明の文脈において、用語“タングステ
ン(VI)により形成される化合物および医薬的に許容さ
れ得る化学部分”は、それ自身が医薬的に許容され得る
化学構造に結合した、その6+の酸化状態の1または数
個のタングステン原子(本発明において治療的用量で毒
性でないことが見い出された)により形成されるあらゆ
る化学品を含むことを意図する。カチオンW6+は、これ
まで単離状態で観察されたことがなく、常に、W(VI)
原子の周囲の配位軌道(coordination sphere)により
部分的に形成される化学部分に付随している。この配位
軌道は、例えば、タングステン酸塩アニオン(4つの酸
化物イオンにより形成される配位軌道)の場合、または
ペルオキシタングステン酸塩(酸化物および過酸化物イ
オンの混合物により形成される配位軌道)の場合、無機
配位子(酸化物、水酸化物、過酸化物等)により形成さ
れ得る。配位軌道は、異なる医薬的に許容され得る有機
化合物(例えば、医薬的に許容され得るアルコール、チ
オール、カルボン酸、アミン、アミノ酸、N−含有複素
環等)に属する、O、S、またはN原子を介してW(V
I)原子に結合した分子またはイオンである有機配位子
によっても形成され得る。
【0021】混成無機/有機配位軌道もまた可能であ
る。W(VI)原子により形成された構造およびその配位
軌道が中性でないとき、用語“化学部分”は、タングス
テン(VI)化合物全体を中性にする医薬的に許容され得
るイオン性種も含む。例えば、タングステン酸塩アニオ
ンは、常に、中性タングステン酸塩を形成するためにカ
チオン(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウ
ム、カルシウム)を伴う。タングステン酸イオンは、凝
固度が異なる一連のイソポリタングステン酸塩(パラタ
ングステン酸塩、メタタングステン酸塩、等)を生じさ
せるものであり、それらの用途もまた本発明に包含され
る。タングステン(VI)化合物の水和物が一般的であり
(例えば、タングステン酸ナトリウムの2水和物)、そ
れらの用途も本発明の一部に包含される。
【0022】好ましい実施態様では、本発明の医薬組成
物におけるタングステン(VI)化合物は、タングステン
酸塩およびイソポリタングステン酸塩からなる群から選
択される。タングステン酸の塩が特に好ましい。カチオ
ン:ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカル
シウムの群から選択されるカチオン部分もまた好まし
い。最も好ましいタングステン(VI)化合物は、タング
ステン酸ナトリウムであり、特に2水和物の形態であ
る。後者は市販されている。
【0023】本発明の一部は、また哺乳類において血糖
を下げる経口医薬調製のためのタングステン(VI)化合
物の使用である。好ましい実施態様では、タングステン
(VI)化合物は、タングステン酸ナトリウム2水和物で
ある。0.5から500mg/kgの毎日経口用量が特に好
ましく、50から500mg/kgならば更に好ましい。
【0024】本発明の特定の実施態様では、タングステ
ン(VI)化合物を用いて、インシュリン依存型真性糖尿
病(IDDM)または1型糖尿病を罹患しているヒトの
処置用経口医薬を調製する。その他の実施態様では、該
ヒトは、非インシュリン依存型真性糖尿病(NIDD
M)、または2型糖尿病を罹患している。実施例1に付
随して例示説明したように、タングステン酸塩は、ヒト
NIDDMの動物モデル、即ち、低用量のストレプトゾ
シンで処理した新生児期のラットにおいて有効用量で効
果的かつ非毒性である。
【0025】図1において、健全ラットのタングステン
酸塩処理が、グルコースレベルにおいて微細な影響しか
与えない、即ち、低血糖を生じないことが観察される。
更に、タングステン酸塩処理した糖尿病ラットにおい
て、なんら低血糖症状の発現も観察されなかった。この
ことは、非糖尿病に対するタングステン酸塩の不慮の投
与または糖尿病に対するタングステン酸塩の過剰投与に
よって、インシュリンに関連する低血糖の問題が起こら
ないことを意味しており、タングステン酸塩処理の格別
な利点を提供するものである。
【0026】要するに、本発明は、真性糖尿病の経口処
置用インシュリン擬薬の有する治療的問題を十分に解決
するものである。バナジウム化合物の使用を開示してい
る最も近しい従来技術と比較すると、タングステン酸塩
の使用は、有効用量でより十分に低い経口毒性を伴いな
がら、類似の高い糖低下活性の利点を包含する。加え
て、タングステン酸塩の長期間毒性は、慢性疾患真性糖
尿病、1型および2型の双方の長期処置に必要とされる
程度に低い。最後に、タングステン酸塩の過剰投与は、
低血糖という逆作用を与えない。結果は、一部、図面を
利用して記載する。
【0027】
【発明の実施の形態】以下の実施例は本発明を例示説明
するものである。 実施例1:ヒトNIDDM(2型糖尿病)のモデルにお
けるタングステン酸塩の作用 タングステン酸塩の作用が一般的応用可能であるかどう
かを測定するために、ヒトNIDDMの動物モデルを用
いて実験を行った。このモデルは、低用量のストレプト
ゾシンで処理した新生児ラットであり、3〜4カ月で弱
い低血糖を発症する。毎日300〜350mg/kgで処理
した10匹の動物について図1に示すとおり、タングス
テン酸ナトリウム処理がこれらの動物において血糖症を
正常化することも分かった。ラットは全てこの処置に応
答し、肉眼的な負の作用はなんら観察されなかった。更
に、これらの動物は全て、15日間の処置中生存した。
【0028】実施例2:インビトロにおけるタングステ
ン酸塩の他のインシュリン様作用 タングステン酸塩が培養した健全なラット肝細胞におい
てインシュリンを模擬できることを確認した。タングス
テン酸塩濃度1mM、100μM、および10μMで2
時間、インシュリンの場合に見られる値と類似の値まで
グリコーゲン含量を増大できた。
【0029】実施例3:短期間経口毒性の不在 インビボ実験では、体重200gの雄ウィスターラット
を用いた。様々な濃度のタングステン酸ナトリウムを、
LD50値、即ち、10日目に半分数の動物を致死可能な
タングステン酸ナトリウム濃度を計算するために、胃腸
内投与した。タングステン酸塩は水に溶かし、塩酸でp
Hを7.4に調製した。単一用量を午前10時〜12時
の間に投与し、ラットに無制限に食餌および飲水させ
た。使用した様々な用量は下記のとおりであった: −5匹に464mg/kg;死亡せず −9匹に1000mg/kg;内2匹のみが処置により死亡 −10匹に2150mg/kg;1匹のみ死亡 −5匹に2500mg/kg;死亡せず −10匹に4640mg/kg;内6匹が投与後死亡 −5匹に6500mg/kg;内3匹が死亡 −5匹に8000mg/kg;全匹死亡。
【0030】Horn,H.J.(Biometrics 1956,vol.12,
pp.311〜322)の方法によりLD50を計算した。得られ
た値は、3922mg/kg体重であり、これは、糖尿病ラ
ットの処置に使用した用量(400mg/kg)よりも十分
に小量であり、毒性範囲とははるかに離れた用量で薬学
的効果がもたらされたことを指摘している。
【0031】実施例4:長期間経口毒性の不在 糖尿病のインビボ処置において可能なタングステン酸塩
の役割を評価するために、長期実験を行った。ラット1
6匹にストレプトゾシン(70mg/kg体重)を腹腔内投
与することにより、糖尿病を発症させた。2週間、飲水
としてタングステン酸ナトリウム0.7mg/mlの溶液を
動物に与えた。この期間後、用量を2mg/mlの治療用量
に変えた。8カ月間動物を処置したが、タングステン酸
塩で処理した健全な動物にはなんら毒物学的作用は観察
されなかった。糖尿病動物では、タングステン酸塩投与
の2週間後、血糖の正常化が多かれ少なかれ観察され、
この正常化は、全処置中維持された。処置は、糖尿病動
物における糖尿病合併症、即ち白内症の発症を予防し
た。図2は、代表の処理済ラット1匹における体重
(W)と血糖(G)の変化を示すものである。黒塗りの
三角記号は、治療処置の開始点を示す。
【0032】実施例5:動物細胞における毒性の不在 タングステン酸塩の細胞毒性作用を一次培養ラット肝細
胞で確認した。肝細胞は、コラゲナーゼ消化により単離
した。ラット4匹を用いてこれらの実験を実施した。肝
細胞をコラーゲン被覆皿に付着させ、分化させた後、細
胞を様々な用量のタングステン酸塩(0.01、0.1、
および1mM)と共に24時間インキュベートした。細
胞が死ぬとそれらの細胞内内容物が放出されることか
ら、タングステン酸塩の毒性を、細胞外媒質へのサイト
ソル酵素の放出によって評価した。測定したサイトソル
酵素活性は、酪酸デヒドロゲナーゼ(LDH)であっ
た。この酵素の活性は、Cobas-Bio自動分析機において
市販のキット(Boehringher Mannheim)を用いて分光測
光アッセイにより測定した。LDH活性の1単位は、3
0℃で1分当たり1μモルのNADHの形成を触媒する
酵素の量である。LDHにより触媒される反応は:
【化1】 酪酸 + NAD+ = ピルビン酸 + NADH +H+ である。
【0033】様々な用量のタングステン酸塩と共にイン
キュベーションした後、LDH放出の増大は、24時間
のインキュベーション後、1mM用量でのみ観察され
た。ミトコンドリア機能をラットの肝細胞で分析した
が、この試験は、ミトコンドリア酵素、コハク酸デヒド
ロゲナーゼの活性により黄色テトラゾリム塩が不溶性青
色化合物へと還元されることに基づくものである。タン
グステン酸ナトリウムと共に24時間インキュベーショ
ンした後、試験を行った。細胞毒性指標、IC10および
IC50は、用量−応答曲線から数学的に計算した。これ
らの指標は、10または50%の細胞それぞれにおいて
毒性作用を引き起こすタングステン酸塩の理論濃度を示
している。ラット肝細胞の場合、ラット4匹を用い、細
胞を0.26〜2.0mMの間の様々な濃度のタングステ
ン酸ナトリウムと共にインキュベートして、IC値を計
算した。IC10=0.6mMおよびIC50=1.2mMであ
った。
【0034】実施例6:ヒト細胞における毒性の不在 ヒト筋肉培養は、2人の患者の筋肉生検材料の衛星細胞
から始めた。神経欠乏(Aneural)筋肉培養は、外植片
−前外植技術により、単層で確立された。一次培養した
ヒト筋肉細胞において、タングステン酸塩の毒性は、細
胞が死ぬとそれらの細胞内内容物が放出されることか
ら、細胞外媒質へのサイトソル酵素放出により評価し
た。2つのサイトソル酵素活性を測定した:酪酸デヒド
ロゲナーゼ(LDH)およびクレアチンキナーゼ(C
K)。クレアチンキナーゼ(CK)および酪酸デヒドロ
ゲナーゼ活性は、Cobas-Bio自動分析機において市販の
キット(Boehringher Mannheim)を用いて分光測光アッ
セイにより測定した。LDH活性の1単位は、30℃で
1分当たり1μモルのNADHの形成を触媒する酵素の
量である。LDHにより触媒される反応は:
【化2】 酪酸 + NAD+ = ピルビン酸 + NADH +H+ である。
【0035】CK活性の1単位は、25℃で1分当たり
1μモルのATPの形成を触媒する酵素の量である。C
Kにより触媒される反応は:
【化3】 クレアチンリン酸 + ADP = クレアチン + ATP である。培地に、様々な濃度のタングステン酸ナトリウ
ム(0.01、0.1、0.5、および1.0mM)を追加
したが、インキュベーション2日後、最高用量(1.0m
M)においてのみ、LDHおよびCK放出の増大が観察
された。より低い用量では、細胞を15日間タングステ
ン酸ナトリウムと共に維持した場合でさえも、これらの
酵素の放出増大は、観察されなかった。従って、0.5m
Mまたはそれ以下の用量のタングステン酸塩は、ヒト筋
肉細胞に対して毒性でない。
【0036】ミトコンドリア機能をヒトの肝細胞で分析
した。この試験は、ミトコンドリア酵素、コハク酸デヒ
ドロゲナーゼの活性によりテトラゾリム(MTT)の黄
色塩が不溶性青色化合物へと還元されることに基づくも
のである。タングステン酸ナトリウムと共に24時間イ
ンキュベーションした後、試験を行った。細胞毒性指
標、IC10およびIC50は、上記のように計算した。2
つのヒト生検材料を0.26〜6.0mMの間のタングス
テン酸塩の用量で分析し、IC10=1mMおよびIC50
=3mMという値を得た。従って、ヒト肝細胞において
ラット肝細胞におけるのと同じ作用を生じるためには、
より高濃度のタングステン酸塩を必要とする。従って、
タングステン酸塩は、ヒト肝臓細胞において、ラット肝
臓細胞におけるよりも低毒性である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒトNIDDM動物モデルにおけるタングス
テン酸ナトリウムでの処置に伴う血糖(G、mg/dl)の
経時(t、日)変化を示すグラフである。HU:健康な
未処理の動物;HT:健康な処理した動物;DU:糖尿
病の未処理の動物;DT:糖尿病の処理した動物。
【図2】 ラットにおけるタングステン酸塩の長期毒物
学研究において、代表的な場合の、体重(W)および血
糖(G)の経時(t、日)変化を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アルベルト・バルベラ・ルイス スペイン08014バルセロナ、モイアネス16 −18番 アティク・3デ (72)発明者 ホアン・エンリク・ロドリゲス・ヒル スペイン08279アビンヨ、サン・ハウメ4 番

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タングステン(VI)と医薬的に許容し得
    る化学的部分とで形成される化合物、または当該化合物
    の溶媒化物または付加塩を、有効成分として有すること
    を特徴とする、温血動物の血糖を低下させるための低毒
    性医薬組成物。
  2. 【請求項2】 タングステン(VI)化合物が、医薬的に
    許容され得るカチオン性部分と、タングステン酸塩およ
    びイソポリタングステン酸塩からなる群から選ばれるア
    ニオンとを含んでなる塩である、特許請求の範囲第1項
    に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 当該アニオンが当該タングステン酸塩で
    ある、特許請求の範囲第2項に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 カチオン性部分が、ナトリウム、カリウ
    ム、マグネシウムおよびカルシウムからなるカチオン群
    から選ばれる、特許請求の範囲第2項に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 タングステン(VI)の化合物が、タング
    ステン酸ナトリウムであり、当該溶媒化物がタングステ
    ン酸ナトリウム2水和物である、特許請求の範囲第1項
    に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 経口投与用に用いる、特許請求の範囲第
    1項から第5項までのいずれか1項に記載の組成物。
  7. 【請求項7】 インシュリン−依存型真性糖尿病の治療
    用に用いる、特許請求の範囲第1項から第6項までのい
    ずれか1項に記載の組成物。
  8. 【請求項8】 インシュリン−非依存型真性糖尿病の治
    療用に用いる、特許請求の範囲第1項から第6項までの
    いずれか1項に記載の組成物。
JP19733096A 1995-07-26 1996-07-26 真性糖尿病の経口処置用タングステン(vi)組成物 Pending JPH09118624A (ja)

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