JPH09116476A - 構内無線装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 通信品質の低い受信を行なうアンテナ素子の
選択を回避できない。 【解決手段】 複数のアンテナ素子からの入力電界強度
を測定し、その値を一定時間の間で平均をとり、各アン
テナ素子ごとの受信電界レベルの平均値を記憶する。そ
して、その記憶に基づいて受信電界レベルが一定値以下
であるアンテナ素子については、以後のダイバーシティ
の選択肢から外す。すなわち、複数のアンテナ素子の各
々の入力レベルの高さに応じて、最始にダイバーシティ
コントロールに用いるアンテナ素子を限定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、無線を用いて通信
を行なう構内無線装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、ネットワーク環境の発達に伴い、
オフィス内のコンピュータ、プリンタ、ファクシミリ装
置等の各装置間の配線作業の煩雑さが問題となり、無線
プリンタバッファ、無線ＬＡＮ等のような、各装置間の
無線化が進んでいる。これらの無線装置（構内無線装
置）の大半において、各無線機がダイポール等、水平面
内で無指向性のアンテナや、パッチアンテナのような、
ほぼ無指向のアンテナを用いており、また、複数のアン
テナ素子を用いてダイバーシティ制御を行なうものにつ
いても、その方式は、偏波ダイバーシティやスペースダ
イバーシティ方式等を使用している。

【０００３】このように、コンピュータやプリンタ等の
機器として、無線機器を使用する目的は、オフィスの移
転や再配置等の際における機器の再配線作業を軽減する
こと等にあり、実際に無線通信を行なう場合、各無線機
器は特定の位置で、固定された状態で運用されるのが普
通である。

【０００４】これは、携帯型パソコン等についても同様
で、端末の移動の頻度は上がるにしても、実際の通信時
には特定の場所に設置され、使用されることが多い。そ
のため、これらの機器に対しては、携帯電話や自動車電
話、ＧＰＳナビゲーションシステム等のように、通信中
の機器の移動にともなう電波環境の変化は、ほとんど存
在しない。

【０００５】また、構内無線通信は、屋外での通信に比
べて外乱要素も少ないため、電波環境の経時変化も、バ
ースト的に起こるもの以外は比較的緩やかな変化とな
る。

【０００６】上記のような構内無線装置の使用環境にお
いて、実際の装置の運用に際しては、携帯電話のように
整備された基地局が存在し、各基地局の管理するセル範
囲が特定されているわけではなく、使用者が各自の好み
に合わせた運用形態を取ることになる。そのため、オフ
ィス内等での実際の運用セル形態は、必ずしもアンテナ
にとって理想的な設置環境になっているとは限らず、例
えば、装置が壁際に置かれる等、特定方向に対しては明
らかに無線の送受信の必要がないという状況が存在する
ことがある。

【０００７】このような構内無線装置におけるアンテナ
にとって、上記のような無線装置の運用環境に関する問
題に対して、装置の設置環境にかかわらず、所望の信号
に対して最低限の通信品質を確立することで対応してお
り、その結果、必要のない方向に対する電波の送受信が
存在しても止むを得ないこととしている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際の
無線装置の使用環境下において、不要な方向への電波の
放射に関しては、それと隣接する領域内の他の無線装置
に対して干渉が起こったり、妨害源となったり、あるい
は、その装置自身の通信に対するマルチパスフェージン
グの要因としてのみ働き、不要な方向からの電波の受信
は、Ｓ／Ｎ比の悪化による通信品質の低下につながると
いう問題がある。

【０００９】本発明は、上述の課題に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、バースト的に起こる受
信レベルの低下が原因となる通信品質の低い受信を行な
うアンテナ素子の選択を回避し、常に一定レベルの通信
品質を保つことができる構内無線装置を提供することで
ある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、電波を送受信する複数のアンテナ素子を
設け、該複数のアンテナ素子各々の受信信号レベルの比
較結果に基づいて、該複数のアンテナ素子からアンテナ
素子を選択して無線通信を行なう構内無線装置におい
て、前記複数のアンテナ素子の内、その受信信号レベル
が所定のしきい値以下のアンテナ素子を特定する手段
と、前記特定されたアンテナ素子を前記アンテナ素子の
選択から除外する手段とを備える。

【００１１】また、他の発明は、電波を送受信する複数
のアンテナ素子を設け、該複数のアンテナ素子各々の受
信信号レベルの比較結果に基づいて、該複数のアンテナ
素子からアンテナ素子を選択して無線通信を行なう構内
無線装置において、前記アンテナ素子の選択の選択頻度
を記憶する手段と、前記選択頻度の低いアンテナ素子を
前記アンテナ素子の選択から除外する手段とを備える。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明に係る実施の形態を詳細に説明する。 ＜第１の実施の形態＞図１は、本発明の第１の実施の形
態に係る構内無線装置の構成を示すブロック図である。
同図に示す装置では、受信に際して、アンテナ素子１〜
５からの入力信号は、選択素子限定装置６を通り、次
に、アンテナ素子切り替え装置７によリ、アンテナ素子
１〜５の内、任意の１素子からの信号に限定された後、
２方向に分配される。その１つは無線装置１１に入力さ
れ、もう１つは受信レベル記憶部８に入力される。

【００１３】受信レベル記憶部８では、受信信号レベル
を一定時間で平均化し、その結果を受信レベル判定回路
９とアンテナ制御回路１０に送る。受信レベル判定回路
９では、入力された受信レベル平均値とあらかじめ設定
されたしきい値との比較を行ない、比較結果をアンテナ
制御回路１０に送る。

【００１４】また、アンテナ制御回路１０では、受信レ
ベル記憶部８からの入力を、上記の各アンテナ素子ごと
に記憶、比較し、最も受信信号レベルの高いアンテナ素
子を選択するように、アンテナ素子切り替え装置７に命
令を送る。アンテナ制御回路１０は、さらに、受信レベ
ル判定回路９からの入力に基づき、受信信号レベルがし
きい値以下のアンテナ素子については、信号の入力を遮
断するように選択素子限定装置６に命令を送る。

【００１５】このようにして信号の入力が遮断された素
子については、その後のダイバーシティコントロール
（後述する）の選択肢からは除外して、残りの素子につ
いて、上述のように受信信号レベルの比較、素子選択を
行なう。

【００１６】なお、送信に際しては、上記の手順により
選択された素子を用いて、所定の送信処理を行なう。

【００１７】図２は、本実施の形態に係る構内無線装置
における、アンテナ制御回路でのダイバーシティコント
ロール用アンテナ素子の選択動作手順を示すフローチャ
ートである。なお、本装置では、この選択動作をダイバ
ーシティコントロールの最初に行なうことで、受信信号
レベルの低い素子については、以後の制御において選択
肢から外される。

【００１８】図２のステップＳ１３では、リセットをか
けることにより受信レベル記憶部８を初期化し、ステッ
プＳ１４で、すべてのアンテナ素子１〜５からの入力信
号の受信信号レベルを見る。そして、すべてのアンテナ
についてのレベルを検出したならば、ステップＳ１９
で、アンテナ制御回路でのダイバーシティコントロール
用アンテナ素子の選択動作が完成する。

【００１９】しかし、ステップＳ１４ですべてのアンテ
ナについてのレベルを検出していない場合には、ステッ
プＳ１５で、上述のように受信レベルの記録を行なう。
そして、ステップＳ１６で、その記録の結果得られた受
信レベルが、しきい値以上であるか否かを判定する。

【００２０】このステップＳ１６で、受信レベルがしき
い値以上であると判断されれば、ステップＳ１８に進
み、アンテナ素子切り替え装置７によリ、次のレベル記
録の対象となるアンテナ素子に切り替えを行ない、再
度、ステップＳ１４での判断処理を行なう。しかし、受
信レベルがしきい値より小さい場合は、ステップＳ１７
で、受信信号レベルの記録の選択肢から除外する。

【００２１】以上説明したように、本実施の形態によれ
ば、複数のアンテナ素子からの入力電界強度を一定時間
の間で平均をとり、各アンテナ素子ごとの受信電界レベ
ルの平均値を記憶して、その記憶に基づいて受信電界レ
ベルが一定値以下であるアンテナ素子については、以後
のダイバーシティの選択肢から外しておく、つまり、複
数のアンテナ素子の各々の入力レベルの高さに応じて、
最始にダイバーシティコントロールに用いるアンテナ素
子を限定しておくことで、例えば、バースト的に受信レ
ベルが低下したとき等に受信品質の低下や他の無線機へ
の干渉等を軽減することができる。

【００２２】なお、アンテナ制御回路１０にて特定のア
ンテナ素子を選択する際、各アンテナ素子の選択回数を
記憶し、この記憶内容に基づいて、選択頻度の低い素子
を選択肢の中から除くようにしてもよい。 ＜第２の実施の形態＞図４は、本発明の第２の実施の形
態に係る構内無線装置のセル構成を示す図である。ここ
では、各無線装置は、図３に示すような５つのアンテナ
パターン２２〜２６を持つアンテナ素子を備えている。

【００２３】本実施の形態に係る構内無線装置では、上
記第１の実施の形態に係る構内無線装置に加えて、選択
素子限定装置６内に、各アンテナ素子がダイバーシティ
選択肢から手動で除外できるように、不図示の切り替え
スイッチを設けることで、使用者が装置の設置環境に応
じて、使用するアンテナの指向性を選択できるようにし
ている。

【００２４】本実施の形態では、図４に示すように、５
台の無線装置を１つの部屋の中で固定して用いることで
ネットワークを構成しており、初めに各無線装置を設置
する段階で、設置環境に応じて各無線装置ごとに使用す
るアンテナ素子を限定する。

【００２５】例えば、無線装置２７は、部屋５０の隅に
近い位置に置かれており、これより壁側には、同一ネッ
トワーク上の他の無線装置は存在しないので、壁側に向
かう指向性を持ったアンテナ素子を除外した、パターン
３２，３３の２つのアンテナ素子を用いるように設定す
る。また、無線装置２８は壁際に置れているため、壁側
を向いた指向性を持ったアンテナ素子を除外して、パタ
ーン３４，３５，３６の３つのアンテナ素子を用いるよ
うに設定する。

【００２６】さらに、無線装置２９は、部屋５０の中央
部に設置され、明らかに使用に適さない指向性を持った
素子は存在しないので、パターン３７〜４１のすべての
指向性のアンテナ素子を用いる。なお、他の無線装置３
０，３１についても、上記の無線装置と同様、設置環境
に応じて使用するアンテナ素子を限定するように設定す
る。

【００２７】なお、本実施の形態では、アンテナ素子の
選択を容易に行なえるよう、各アンテナ素子を、例え
ば、コネクタ接続等により交換可能な構造として、装置
の設置環境から判断して、適当な方向に指向性をもつア
ンテナ素子に交換する。

【００２８】以上説明したように、本実施の形態によれ
ば、あらかじめ使用者が装置の設置環境に応じて、ダイ
バーシティコントロールに用いるアンテナ素子を限定し
ておくことで、バースト的に受信レベルが低下したとき
等に、受信品質の悪いアンテナ素子が使用されることを
防ぐことができ、マルチパスによる通信品質の低下や他
の無線機への干渉等を軽減することができる。

【００２９】また、装置の設置環境に応じて、複数のア
ンテナ素子の中から不要な方向の指向性を持った素子を
選択しないようにすることで、近隣の無線装置との干渉
問題を軽減できる。

【００３０】なお、本発明は、上記の実施の形態に限定
されず、以下のような種々の変形が可能である。

【００３１】上記各実施の形態においては、使用するア
ンテナ素子の数を５つとしたが、これに限定されず、例
えば、ビームの半値幅が６０度の指向性アンテナ素子を
均等に６つ並べるような構成としても、上記実施の形態
と同様の効果が得られる。また、アンテナ素子数は、上
記以外の数でも同様である。

【００３２】また、上記各実施の形態においては、使用
するアンテナを指向性アンテナと水平面内無指向性アン
テナとしたが、これに限定されるものではない。すなわ
ち、互いに相関の少ない、複数のアンテナを用いたダイ
バーシティコントロールが実現できれば、上記各実施の
形態と同様の効果が得られる。

【００３３】さらに、上記各実施の形態においては、ア
ンテナ切り替えの判断基準として受信信号レベル（電界
レベル）を用いているが、他の判断基準を用いることも
可能である。例えば、入力信号を構内無線装置内で復調
した際のデータの誤り率（エラーレート）を判断基準と
して用いることでも、同様の効果が得られる。また、上
記各実施の形態においては、ダイバーシティコントロー
ルの選択肢の限定に関して、ダイバーシティコントロー
ルの初期の制御についてのみ言及しているが、装置の使
用状況に応じて、選択肢を任意に限定し直すことで、よ
りきめ細かな制御が可能となる。

【００３４】すなわち、設置環境内での器物の移動など
による、電波環境の経時変化が比較的頻繁に起こると思
われる環境では、短い間隔で定期的に限定をやり直し、
ほとんど経時変化が起こらないと思われる環境では、選
択肢について、電源投入時のみ限定を行なう等の対応を
行なうようにしてもよい。

【００３５】本発明は、複数の機器から構成されるシス
テムに適用しても、１つの機器からなる装置に適用して
も良い。また、本発明はシステムあるいは装置にプログ
ラムを供給することによって実施される場合にも適用で
きることは言うまでもない。この場合、本発明に係るプ
ログラムを格納した記憶媒体が本発明を構成することに
なる。そして、該記憶媒体からそのプログラムをシステ
ムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステム
あるいは装置が、あらかじめ定められた仕方で動作す
る。

【００３６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
複数のアンテナ素子の内、受信レベルの低いアンテナ素
子を除外して通信用のアンテナ素子の選択を行なうこと
で、受信品質の悪いアンテナ素子が実際の通信に使用さ
れることを防ぐことができ、マルチパスによる通信品質
の低下や他の無線機への干渉等を回避できる。

【００３７】また、他の発明によれば、装置の設置環境
に応じて、選択対象となるアンテナ素子を限定し、複数
のアンテナ素子の中から不要な素子を選択しないように
することで、近隣の無線装置との干渉問題を軽減でき
る。

【００３８】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態に係る構内無線装置
の構成を示すブロック図である。

【図２】第１の実施の形態に係る構内無線装置における
動作手順を示すフローチャートである。

【図３】第２の実施の形態に係る構内無線装置における
各アンテナ素子の指向性パターンを示す図である。

【図４】第２の実施の形態に係る各無線機ごとのアンテ
ナパターンの様子を示す図である。

【符号の説明】

１〜５ アンテナ素子 ６ 選択素子限定装置 ７ アンテナ素子切り替え装置 ８ 受信レベル記憶部 ９ 受信レベル判定回路 １０ アンテナ制御回路 １１，２１，２７〜３１ 無線装置 ２２〜２６，３２〜４６ アンテナパターン

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電波を送受信する複数のアンテナ素子を
   設け、該複数のアンテナ素子各々の受信信号レベルの比
   較結果に基づいて、該複数のアンテナ素子からアンテナ
   素子を選択して無線通信を行なう構内無線装置におい
   て、 前記複数のアンテナ素子の内、その受信信号レベルが所
   定のしきい値以下のアンテナ素子を特定する手段と、 前記特定されたアンテナ素子を前記アンテナ素子の選択
   から除外する手段とを備えることを特徴とする構内無線
   装置。
2. 【請求項２】 電波を送受信する複数のアンテナ素子を
   設け、該複数のアンテナ素子各々の受信信号レベルの比
   較結果に基づいて、該複数のアンテナ素子からアンテナ
   素子を選択して無線通信を行なう構内無線装置におい
   て、 前記アンテナ素子の選択の選択頻度を記憶する手段と、 前記選択頻度の低いアンテナ素子を前記アンテナ素子の
   選択から除外する手段とを備えることを特徴とする構内
   無線装置。
3. 【請求項３】 さらに、前記複数のアンテナ素子の指向
   性を判断する手段と、 前記指向性と当該構内無線装置の設置環境とから、前記
   複数のアンテナ素子の適用性を判定する手段とを備え、 前記適用性を有さないアンテナ素子を前記除外の前に前
   記選択の対象外とすることを特徴とする請求項１あるい
   は請求項２に記載の構内無線装置。
4. 【請求項４】 前記適用性を有さないアンテナ素子を、
   あらかじめ物理的に当該構内無線装置から取り外すこと
   を特徴とする請求項３に記載の構内無線装置。
5. 【請求項５】 前記指向性には異なる複数のパターンが
   あり、前記設置環境に応じて、該複数のパターンの内、
   任意のパターンの組み合わせを選択し、該選択に対応す
   るアンテナ素子を当該構内無線装置に取り付けることを
   特徴とする請求項３に記載の構内無線装置。
6. 【請求項６】 前記パターンには、少なくとも水平面内
   無指向性、特定方向の指向性が含まれることを特徴とす
   る請求項３に記載の構内無線装置。