JPH09113894A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JPH09113894A
JPH09113894A JP7269698A JP26969895A JPH09113894A JP H09113894 A JPH09113894 A JP H09113894A JP 7269698 A JP7269698 A JP 7269698A JP 26969895 A JP26969895 A JP 26969895A JP H09113894 A JPH09113894 A JP H09113894A
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JP
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liquid crystal
display device
crystal display
crystal layer
display
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Application number
JP7269698A
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English (en)
Inventor
Osamu Ito
理 伊東
Katsumi Kondo
克己 近藤
Junichi Hirakata
純一 平方
Ikuo Hiyama
郁夫 檜山
Tatsuhisa Fujii
達久 藤井
Naoki Kikuchi
直樹 菊地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】マルチカラー表示が可能でかつ消費電力が少な
い液晶表示装置を提供する。 【解決手段】アクティブ素子を備えてかつ1画素に電界
を印加する電極の機能を兼ねる鏡面反射板を液晶セルの
内側に内蔵し、上側透明基板の上側に置かれた偏光板は
その透過軸が液晶層の近接する配向方向と0°または9
0°をなさない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低消費電力でかつカ
ラー表示が可能な液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年ポケットベル,携帯電話,電子手
帳,サブノートパソコン等の持ち運び可能な情報機器が
急速に普及しつつあるが、これらの情報機器はより高機
能化,多機能化しながら発展し、社会の情報化が高度に
進展すると各人が一台所有するまでに普及すると予測さ
れている。高度情報化社会における情報機器の仕様は必
ずしも明確ではないが、少なくとも今日のパソコン以上
の情報処理機能と、マルチメディア対応のホストコンピ
ュータとの交信機能と、電池による長時間駆動を兼ね備
えると思われる。従って、これに搭載する表示装置には
大容量カラー表示と動画対応が可能でかつ薄型軽量,低
消費電力であることが要求される。反射型液晶表示装置
は薄型軽量でかつ大容量表示が可能である。消費電力も
長時間の電池駆動が可能な程、携帯型情報機器用の表示
装置に最も近い性能を有する。現在そのカラー化の研究
が進められている。
【0003】例えば、日経マイクロデバイス1994年
1月号99頁〜103頁に、カラー表示に複屈折干渉色
を利用した方式が記載されている。液晶層にはスーパー
ツイステッドネマチック液晶を、駆動には単純マトリク
ス駆動方式を用い、1画素で赤,青,緑,白の4色を表
示する。低コストで反射カラー表示ができるという長所
を有するが、単純マトリクス駆動方式は駆動電圧の設定
が制約されるため十分な色純度のカラー表示が得られな
い。また、同様の理由から黒表示ができず、表示内容は
限定される。複屈折干渉色とスーパーツイステッドネマ
チック液晶を組み合わせたため充分な視角依存性が得ら
れず、表示ムラも発生しやすい。
【0004】また、日経マイクロデバイス1994年6
月号48頁〜50頁に、カラー表示に補色カラーフィル
タを利用した方式が記載されている。液晶層には2色性
色素を含んだコレステリック−ネマチック相転移型液晶
を、駆動にはTFTによるアクティブマトリクス駆動方
式を用い、2画素の組み合わせで緑,マゼンタ,黒,白
の4色を表示する。視角特性が良好でかつムラの少ない
表示が得られるが、ゲスト−ホスト方式のため低コント
ラストであり、コレステリック−ネマチック相転移型液
晶を用いているため駆動電圧が高い。
【0005】以上の様に、従来の反射型液晶表示装置で
はカラー表示は得られるものの表示色の数に制限があ
り、8色表示のマルチカラーも実現できていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の様な
従来の反射型液晶表示装置の有する表示色数の制限,低
表示品質の課題を解決し、少なくとも白黒表示を含む8
色以上のマルチカラー表示が可能な反射型液晶表示装置
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では従来の反射型
液晶表示装置の課題を解決するため以下の様な手段を用
いる。
【0008】金属からなり、かつアクティブ駆動素子を
備えた電極を1画素に対応する様に下側基板上に形成す
る。偏光板の透過軸が上側基板近傍における液晶配向方
向と平行にならず、また直交しない様に設定する。更に
好ましくは、偏光板の透過軸が上側基板近傍における液
晶配向方向と45°をなす様に設定する。更に液晶層を
ホモジニアス配向とし、上側基板と該偏光板の間に位相
板を備える。また、複屈折波長分散が位相板のそれより
も急峻な液晶を液晶層に用い、かつ液晶層の波長550
nmにおける複屈折と厚さの積を位相板のそれよりも小
さく設定する。上側基板からの距離と下側基板からの距
離が等しくなる液晶層内の面内における液晶分子配向方
向に着目する。電圧印加時に液晶分子配向方向は基板平
面に対して傾き、かつその傾き方向は基板に固定して定
義された方位角で表すと200°以上,340°以下の
範囲になる様に上下基板の配向処理方向を設定する。更
に、液晶層厚と液晶層の複屈折の積を0.65μm 以上
とする。
【0009】アクティブ駆動素子のチャネル部の上面に
は電極を形成しない。アクティブ駆動素子の上面には電
極を形成しない。液晶層厚を10μm以上とする。
【0010】液晶層厚と液晶層の複屈折の積を0.85
μm以上でかつ該位相板のリタデーションとの差を0.
20μm 以上とし、位相板に近接する液晶層の配向方
向が位相板の遅相軸となす角を70°以上,110°以
下とする。
【0011】液晶層厚と液晶層の複屈折の積を0.85
μm 以上とし、該上側基板と該偏光板の間に位相板を
備え、印加電圧が10V以下において該液晶層と該位相
板のリタデーションの和が0μmとする。
【0012】これまで検討されてきたカラー液晶表示装
置の発色の原理を分類すると、以下の(i)〜(iii)の様
になる。
【0013】(i) カラーフィルタによる光吸収。
【0014】(ii) コレステリック液晶相の特性反射。
【0015】(iii) 複屈折干渉色。
【0016】上記(i)は光吸収による明るさの低下を招
く。反射型の場合には表示の明るさが重要であるため、
カラーフィルタと偏光板の併用はできない。ゲスト−ホ
スト方式とカラーフィルタとの併用は可能であり表示の
明るさは確保されるが、2色性色素の混入は液晶層の特
性を劣化させる。単純マトリクス駆動の場合にはしきい
値特性の急峻性が、アクティブマトリクス駆動の場合に
は保持特性が悪化する。また、ゲスト−ホスト方式は2
色比が不十分であるためコントラスト比が3程度と低く
階調は表示できない。また、この場合透過型液晶表示装
置で用いられている高色純度のR,G,B3原色のカラ
ーフィルタは表示の明るさが低下するため適用できな
い。従来の技術でも述べた様にR,G,Bの内のいずれ
かとその補色を組み合わせた2色のカラーフィルタは適
用可能であるが、その場合の表示色は白と黒を含めた4
色にしかならない。また、シアン,イエロー,マゼンタ
3色のカラーフィルタは適用可能であるが、その場合の
表示色は色純度が低い。
【0017】次に上記(ii)については、具体的な実施方
法として例えばR,G,B3原色の反射色を示す高分子
コレステリック液晶(環状ポリシロキサン系高分子等)
をカラーフィルタと同様に画素に対応する様に(ストラ
イプ状等)基板上に配置することが考えられる。色純度
の高い反射色を均一に出すためにはコレステリック液晶
相を均一に配向制御しなければならないが、画素に対応
する様に微細に配置したコレステリック液晶相を均一に
配向制御することは困難である。また、コレステリック
液晶相に電界を印加して駆動し、特性反射の波長域を変
えて色表示を行う方法も考えられるが、可視波長域に特
性反射を示すコレステリック液晶はいずれも駆動電圧が
高く、かつ高粘度であるため応答速度も遅い。以上より
上記(i),(ii)は反射型液晶表示装置のカラー化には適
しないと結論される。
【0018】次に上記(iii)について改めて説明する
と、2枚の偏光板で挟まれた光学異方性媒体を透過する
光の透過率は光の波長λと波長λにおける位相差δによ
って決定される。透過率は波長依存性を示すため、入射
光が白色光の場合透過光は着色する。2枚の偏光板が完
全偏光板でかつ直交ニコルに配置されており、光学異方
性媒体が複屈折性である場合の透過率T(λ)は次式
(1)で表される。
【0019】
【数1】 T(λ)=0.5sin2(2θ)sin2(πΔnd/λ) …(1) ここで、θは偏光板の透過軸と複屈折性媒体の遅相軸の
なす角、Δnは複屈折、dは光路長である。δは光学異
方性媒体を液晶層とし、電界を印加してその配向を変
え、液晶層のδを制御することにより1画素で多数の色
を表示することが可能であり、表示も明るいという特徴
を有する。しかし、従来の技術でも述べた様に複屈折干
渉色を利用したカラー表示には以下の様な欠点がある。
【0020】(I) 駆動電圧域が広い。
【0021】(II) 色純度が低い。
【0022】(III) 視角特性が悪い。
【0023】(IV) 白表示が無彩色にならない。
【0024】本発明の液晶表示装置では液晶層の上側に
偏光板を設置し、その透過軸を上側基板近傍の液晶配向
方向と平行にならず、また直交しない角度に設定するこ
とにより、複屈折干渉色を表示に利用する。上記(I)に
関してはアクティブ素子を用いて駆動し、駆動装置の駆
動電圧域を広げることにより解決できる。TFTを用い
た本発明の液晶表示装置の下側基板の構成の一例を図1
に示す。図1は本発明の液晶表示素子のTFTを含む部
分における断面図である。電極が反射板を兼用し、液晶
層に反射板が接している。反射面の光散乱性を低くした
ため、反射面での光反射の後にも反射光の偏光度は充分
に保持される。この場合、光路長dは液晶層厚lの2倍
になり、液晶層のリタデーションは2・Δn・lにな
る。この様な構成の液晶表示装置の透過率T(λ)は、反
射板の反射率を100%と仮定すれば次式(2)で表され
る。
【0025】
【数2】 T(λ)=0.5{1−sin2(2θ)sin2(πΔnd/λ)} …(2) (2)式より明らかな様に、液晶層のリタデーションが0
nmの時には透過率T(λ)=0.5 となる。この時T
(λ)は波長に依存せず全波長において透過率は最大にな
り、明るくかつ完全に無彩色な白表示が得られ、上記(I
V)の欠点が解決する。また、アクティブ素子の使用によ
り駆動電圧域が広がり各表示色の色純度が最大になる電
圧で表示できるため上記(II)の欠点が改善される。以上
の様に、完全に無彩色な白表示を背景として色表示がで
きるため、視認性に優れたカラー表示が実現できる。
【0026】本発明の液晶表示装置では液晶層のリタデ
ーションが0nmでない場合に透過率T(λ)は波長依存
性を有し、着色した表示が得られる。(2)式より明らか
な様に、θを45°とすることによりT(λ)=0.5cos
2(πΔnd/λ)となり、T(λ)が波長に依存する項の
みになる。即ちこの場合にカラー表示の色純度は最大に
なり、最も色鮮やかなカラー表示が実現できる。液晶層
は例えばホモジニアス配向のネマチック液晶であっても
良い。この場合液晶層のリタデーションは印加電圧の増
大に伴い減少し、表示色が変化する。例えば、液晶層の
リタデーションが640nmの時には赤、530nmの
時には緑、470nmの時にはシアン、420nmの時
にはマゼンタ、320nmの時には黄、200nmの時
には青、130nmの時には黒、0nmの時には白が表
示される。ホモジニアス配向のネマチック液晶層に電圧
を印加すると液晶層のリタデーションは印加電圧値の増
大と共に減少するが、この時印加電圧値の増大と共に
赤,緑,シアン,マゼンタ,黄,青,黒,白の各色が順
次表示される。例えばOPTRONICS 誌1991年8号57
頁から60頁に記載されている様に、複屈折性媒体のリ
タデーションには加成性がある。複屈折性媒体A,Bの
波長λにおけるリタデーションをそれぞれΔnd
A(λ),ΔndB(λ)とすると、複屈折性媒体A,位相板
Bを遅相軸が平行になる様に積層した場合のリタデーシ
ョンの合成値はΔndA(λ)+ΔndB(λ)になる。ま
た、遅相軸が直交する様に積層した場合のリタデーショ
ンの合成値はΔndA(λ)−ΔndB(λ)になる(ΔndA
(λ)>ΔndB(λ))。液晶層も位相板も複屈折性媒体の
一種である。従って、例えば上側基板と該偏光板の間に
位相板を備えて、その遅相軸が近接する液晶層の遅相軸
(配向処理方向)と直交させることにより、液晶層のリ
タデーションを見かけ上シフトすることができる。これ
を利用すれば、以下に示す様に駆動電圧を低くすること
が可能になる。
【0027】配向膜近傍の液晶層では界面アンカリング
が液晶配向に対して支配的であるため、印加電場による
配向変化が生じにくい。そのため、図5に示した様に、
充分に無彩色な白表示が得られる程度に液晶層のリタデ
ーションを減少する(0nmに近付ける)ためには10
V以上の印加電圧が必要になる。前記の様な条件で位相
板を用いれば、図5に示した様に各印加電圧における液
晶層と位相板のリタデーションの和が減少する。そのた
め10V以上の高電圧を印加しなくても液晶層と位相板
のリタデーションの和が0nmになり、コスト的に有利
な低耐圧の駆動回路を用いて色純度の高い白表示が可能
になる。
【0028】更に、図6に示した様に印加電圧が0Vの
時の液晶層のリタデーションを赤表示に必要な値(65
0nm)よりも大きくし、かつ位相板を用いてリタデー
ションを減少すれば、図6に示した様に赤表示(リタデ
ーション650nm)から白表示(リタデーション0n
m)までの各色表示に対応するリタデーション値が狭い
印加電圧域において得られる。この様な液晶層と位相板
の組み合わせにコモン電極交流駆動を併用すれば、駆動
電圧を更に低減することができる。
【0029】液晶層をホモジニアス配向のネマチック液
晶とし、複屈折干渉色を利用して色表示を行った場合、
赤の色純度が低下する。これは、以下に説明する様に液
晶層の複屈折が短波長から長波長にかけて単調減少する
正の波長分散を示すことに起因している。色純度は透過
スペクトルのピーク形状が急峻なほど向上し、緩やかな
ほど低下する。また、透過スペクトルのピーク形状は複
屈折が大きい波長域ほど急峻になる。従って、複屈折が
正の波長分散を示す場合には短波長域での透過スペクト
ルのピーク形状は急峻になり、青,シアン等の色純度は
高くなる。その反面長波長域での透過スペクトルのピー
ク形状は緩やかになり、赤の色純度は低下して褐色に近
い色になる。液晶層のリタデーションを変えて長波長域
での透過スペクトルのピーク形状を急峻にすると、短波
長側に別のピークが表れ、やはり赤の色純度は低下して
マゼンタに近い色になる。赤の色純度を高めるためには
液晶層の複屈折波長分散を見かけ上負の波長分散(短波
長から長波長にかけて単調増加)にすれば良い。可視波
長にて透明な位相板や液晶層の複屈折波長分散はいずれ
も正であるが、例えばOPTRONICS 誌1991年8号57
頁から60頁に記載されている様に、従来より複屈折波
長分散が正の位相板2枚を用いた複屈折波長分散の制御
方法が知られている。位相板A,位相板Bの波長λにお
けるリタデーションをそれぞれΔndA(λ),Δnd
B(λ)とすると、位相板A,位相板Bを遅相軸が直交す
る様に積層した場合のリタデーションの合成値はΔnd
A(λ)−ΔndB(λ)になる(ΔndA(λ)>Δnd
B(λ))。この関係が各波長で成り立つため、位相板
A,位相板Bをお互いに異なる複屈折波長分散とし、位
相板Bの複屈折波長分散を位相板Aよりも急峻にすれば
合成された2枚の位相板の複屈折波長分散を負にするこ
とができる。液晶層がホモジニアス配向である場合、そ
の光学特性は位相板と等しい。通常液晶層の複屈折波長
分散は位相板のそれよりも急峻であるため、液晶層より
もリタデーションの大きい位相板を遅相軸が液晶層の配
向方向と直交する様に配置することにより液晶層の複屈
折波長分散を見かけ上負にすることができる。
【0030】視角に依らず表示色が変化しなければ理想
的であるが、実際の液晶表示素子では視角変化に伴い表
示色が変化する。視角変化に伴う表示色の変化は、液晶
層のリタデーションの視角依存性に起因する。リタデー
ションの視角依存性が急峻なほど視角変化に伴う表示色
の変化が激しくなり、視角特性が悪化する。図11に示
した様に、液晶表示素子の方位角を水平方向を0°とし
て反時計回りに定義し、仰角を基板平面方線方向を0°
として定義する。仰角を変えて観察した場合の表示色の
変化は、方位角によって異なる。表示色の変化が急峻な
方位角が使用時に下方を向く様にすれば、その方向は使
用者によって観測されず、視角特性が改善される。そこ
で、ホモジニアス配向液晶層の視角特性について考察す
る。液晶層中央部(上下基板からの距離が等しい)の液
晶分子は電界により最も大きく配向変化するので、この
部分の光学特性に着目する。電圧印加時には、液晶層中
央部の液晶分子平均配向方向は基板平面に対して傾いて
いる。従って、その屈折率楕円体も図7に示した様に長
軸が基板平面に対して傾いている。ある視角方向のリタ
デーションは、図7に示した屈折率楕円体に対して次の
様な幾何学的操作を加えることにより求められる。屈折
率楕円体を視角方向に対して垂直に切断すると、その断
面(楕円)の短軸と長軸の差がその視角方向の複屈折に
なる。これに光路長を掛けるとその視角方向のリタデー
ションになるが、簡単のため光路長の方位角依存性は無
視し、複屈折の方位角依存性に着目する。屈折率楕円体
の長軸を含む方位角において仰角を変え、屈折率楕円体
の断面形状の変化に着目する。図8に示した様に仰角0
°において断面は楕円であるが、仰角の増大と共に円に
近づき、視角方向が長軸と一致すると断面は円になる。
この様に屈折率楕円体の長軸を含む方位角では屈折率楕
円体の断面形状は仰角の増大と共に急激に変化し、リタ
デーションの視角依存性も急峻であることが予想され
る。それに対して、図9に示した様に屈折率楕円体の短
軸を含む方位角では屈折率楕円体の断面形状の変化は少
なく、リタデーションの視角依存性は緩やかであること
が予想される。以上より、屈折率楕円体の長軸を含む方
位角方向が使用時に下方になる様に、液晶層の配向方向
を設定すれば視角特性を改善できる。液晶表示装置使用
時の水平方向を0°として反時計回りに方位角を定義す
ると、具体的には液晶配向方向の方位角を90°(30
0°)とし、かつプレチルト角の立上り方向を300°
とすれば良い。
【0031】液晶層をホモジニアス配向のネマチック液
晶とした場合、液晶層のリタデーションを0.65μm
以上とすることにより1画素で白,黒,赤,緑,青,
黄,マゼンタ,シアンの8色を表示できる。
【0032】アクティブ駆動素子、中でもTFTはチャ
ネル部が外部電場の影響で電位が変化するとTFTの特
性(例えば、ゲート電圧−ソース電流特性等)が変化
し、表示の不均一化等の障害が生じる。図1に示した本
発明の液晶表示素子の場合、チャネル部に影響を及ぼす
外部電場源は電極である。従って、例えば図3に示した
様に少なくともチャネル部の上面には電極を形成せず、
チャネル部と電極の距離を増大することにより外部電場
の影響を低減し、表示を画面全体にわたって均一にでき
る。
【0033】図1に示した本発明の液晶表示素子の場合
チャネル部の上部に反射面があり、チャネル部に外光が
到達しない。ところがチャネル部上部の反射面を除くと
チャネル部は外光にさらされることになる。チャネル部
に外光が入射すると光電流が生じてTFTの特性が変化
し、表示に障害が生じる。従って、例えば図3に示した
様にチャネル部の上部にブラックマトリクスを形成して
チャネル部への外光入射を遮断すれば光電流による表示
の劣化も防ぐことができる。
【0034】液晶セルの内部に凹凸があれば液晶層のリ
タデーションが変化し、凹凸の分布に応じて表示色が変
化する。特に、アクティブ駆動素子部は多数の層が積層
されているため凸となっており、この部位での液晶層の
リタデーションは他の電極部よりも小さくなっている。
従って、アクティブ駆動素子の上面には電極を形成せ
ず、凹凸の少ない部位でのみ表示を行う。1画素内での
表示の不均一化による表示色の色純度低下が低減し、色
純度の高い表示色が得られる。
【0035】液晶セル内部の凹凸が表示の均一性に及ぼ
す影響は、液晶層の厚さが増大するほど軽減される。凹
凸により液晶層厚が変動するが、液晶層厚の絶対値が大
きいほどその変動の割合が減少するからである。例え
ば、液晶層のリタデーションが1画素で8色を表示する
のに必要な0.65μm であり、液晶セル内部の凹凸が
現状のTFTを備えた液晶セルと同程度の0.5μm で
あるとする。液晶層の厚さ(最も厚い部分)が6μmの
場合、凹凸によるリタデーションの変動は0.05μm
になる。しかし、液晶層の厚さが10μmの場合には、
同じ凹凸によるリタデーションの変動は0.03μmに
なる。リタデーションの変動が0.03μmであれば、
最も印加電圧の変化に伴う色変化が急峻な場合でも表示
面の均一性が保たれる。
【0036】駆動電圧範囲を低くするためには位相板を
用いて液晶層の見かけのリタデーションが0nmになる
印加電圧値を低くすれば良い。具体的には、液晶層の層
厚と複屈折の積を0.85μm 以上でかつ位相板のリタ
デーションの差を200nm以上とすればよい。
【0037】駆動電圧範囲を低くするためには位相板を
用いて液晶層の見かけのリタデーションが0nmになる
印加電圧値を低くすれば良い。また、液晶層の見かけの
リタデーションが0nmになる印加電圧値が10V以下
であれば、コモン交流等の技術を組み合わせることによ
りコスト的に有利な低耐圧の駆動回路を用いることがで
きる。
【0038】以上の様に、本発明の液晶表示装置は1画
素で赤,緑,青,黄,マゼンタ,シアンの色表示の他に
白表示と黒表示もできる。このことを利用して以下に示
す様な階調表示が可能になる。従来の透過型カラー液晶
表示装置では赤,緑,青の3画素を一組にして表示を行
っている。同様にして本発明の液晶表示装置において3
画素を一組にして表示を行う場合、1つの色表示と白表
示または黒表示との組み合わせで7階調を表示できる。
赤表示と白表示,黒表示との組み合わせの例を図10に
示す。同様にして4画素を一組にして表示を行う場合に
は1つの色表示につき9階調を表示できる。あるいはま
た、ディサ法,濃度パターン法を用いても階調を表示で
きる。
【0039】
【発明の実施の形態】本発明の内容と効果を具体例を用
いて以下に説明する。
【0040】(実施例1)図2は本発明の液晶表示装置
の1画素とその周辺を示す平面図であり、図1は図2の
1−1切断線における断面図である。
【0041】図2に示す様に、アクティブ素子には薄膜
トランジスタTFTが使われており、各TFTは隣接す
る2本の走査信号線(ゲート信号線または水平信号線)
GLと、隣接する2本の映像信号線(ドレイン信号線ま
たは垂直信号線)DLとの交差領域内に存在する。各画
素は薄膜トランジスタTFTとスルーホールを通じて連
結されており、この他に保持容量素子Caddも含む。
【0042】図1に示す様に、液晶層LCを基準にして
下部透明ガラス基板SUB1側には薄膜トランジスタT
FTおよび画素電極ERが形成されている。透明ガラス
基板SUB1,SUB2の両面にはディップ処理等によ
って形成された酸化シリコン膜SIOが設けられてい
る。上部透明ガラス基板SUB2の液晶LC側の表面に
は共通透明画素電極ITO,上部配向膜ORI2が順次
積層して形成されている。
【0043】薄膜トランジスタTFTは、ゲート電極G
Tに正のバイアスを印加すると、ソース−ドレイン間の
チャネル抵抗が小さくなり、バイアスをゼロにするとチ
ャネル抵抗が大きくなる様に動作する。薄膜トランジス
タTFTはゲート電極GT,ゲート絶縁膜GI,i型
(真性,intrinsic ,導電型決定不純物がドープされて
いない)非晶質シリコン(Si)からなるi型半導体層
AS,一対のソース電極SD1,ドレイン電極SD2を
有する。これらの薄膜トランジスタTFTを構成する各
層及び各電極について、その材質,構成並びに機能を説
明する。
【0044】ゲート電極GTは走査信号線GLから垂直
方向に突出し、かつ薄膜トランジスタTFTの能動領域
を超える様に形成されている。本例では、ゲート電極G
Tは単層の第二導電膜g2で形成されている。第二導電
膜g2としては例えばスパッタで形成されたアルミニウ
ム(Al)膜が用いられ、その上にはAlの陽極酸化膜
AOFが形成されている。走査信号線GLは第二導電膜
g2で形成されており、その上にはAlの陽極酸化膜A
OFが形成されている。
【0045】ゲート絶縁膜GIは、薄膜トランジスタT
FTにおいてゲート電極GTと共に半導体層ASに電界
を与えるために使用され、ゲート電極GTと走査信号線
GLの上層に形成されている。絶縁膜GIとしては例え
ばプラズマCVDで形成された窒化シリコン膜が用いら
れ、1200から2700Åの厚さに(本実施例では2
000Å)形成される。ゲート絶縁膜GIは液晶表示装
置の表示部全体を囲み、かつ周辺部において外部接続端
子を露出する様に形成される。また、ゲート絶縁膜は走
査信号線GLと映像信号線DLの電気的絶縁にも寄与し
ている。
【0046】i型半導体層ASは非晶質シリコンであ
り、200から2200Åの厚さに(本実施例では20
00Å)形成される。層d0はオーミックコンタクト用
のリンをドープしたN(+)型非晶質シリコン半導体層
であり、下側にi型半導体層ASが存在し、上側に導電
層d2(d3)が存在するところのみに残されている。
これに加えてi型半導体層ASは走査信号線GLと映像
信号線DLの交差部において両者の間に設けられ、両者
の短絡を低減する。
【0047】ソース電極SD1,ドレイン電極SD2の
それぞれは、N(+)型非晶質シリコン半導体層d0に接
触する第二導電膜d2とその上に形成された第三導電膜
d3とから構成されている。第二導電膜d2はスパッタ
で形成したクロム(Cr)膜を用い、500から100
0Åの厚さに(本実施例では600Å)形成される。こ
の他に、高融点金属(Mo,Ti,Ta,W)膜,高融
点金属シリサイド(MoSi2,TiSi2,TaS
2,WSi2)膜を用いても良い。
【0048】また、ソース電極SD1,ドレイン電極S
D2及び映像信号線DLを構成する第3導電膜d3はA
lのスパッタリングで3000から5000Åの厚さに
(本実施例では4000Å)形成され、これら各電極の
抵抗を低減する作用がある。第二導電膜d2,第3導電
膜d3を同じマスクパターンでパターンニングした後、
同じマスクを用いて、あるいは第二導電膜d2,第3導
電膜d3をマスクとしてN(+)型非晶質シリコン半導体
層d0が除去される。映像信号線DLはソース電極SD
1,ドレイン電極SD2と同層の第二導電膜d2,第3
導電膜d3で構成されている。
【0049】次に、薄膜トランジスタTFT以外の各層
について説明する。薄膜トランジスタTFT上には保護
膜PSV1が形成されており、薄膜トランジスタTFT
を湿気等から保護する。例えばプラズマCVD装置で形
成した酸化シリコン膜や窒化シリコン膜で形成されてお
り、膜厚は1μm程度である。保護膜PSV1の上には
画素電極ERがあり、スパッタリングで形成されたAl
からなり、膜厚は200から500Å(本実施例では30
0Å)である。ソース電極SD1と重なり合う保護膜P
SV1にはスルーホールTHが形成されており、材質は
画素電極ERと同じAlである。スルーホールはソース
電極SD1と画素電極ERとを結び、画素電極ERに電
位を供給する。上部透明ガラス基板SUB2上の共通透
明画素電極ITOはスパッタリングで形成されたIndium
-Tin-Oxide(ITO)膜からなり、膜厚は1000から
2000Å(本実施例では1400Å)である。上側有
機配向膜層ORI2と下側有機配向膜層ORI1は日産
化学製のポリイミド系有機高分子(RN718)であ
る。上側有機配向膜層ORI2と下側有機配向膜層OR
I1の配向処理方向は互いに反平行であり、プレチルト
角は5°である。液晶層LCにはカイラル剤を含まない
ネマチック液晶を用い、電圧無印加時における液晶層L
Cのリタデーションは0.86μm 、画素電極ERにお
ける液晶層LCの厚さの最大値は6.2μm とした。上
側有機配向膜層ORI2と下側有機配向膜層ORI1の
配向処理方向の方位角は90°とし、液晶分子の立上り
方向の方位角が90°となる様にした。配向処理方向と
位相板POLの透過軸のなす角度を35°とした。
【0050】以上の様な構成の表示パネルに駆動装置を
組み合わせて各表示色を表示し、その色度を測定した。
色度の測定にはオリンパス光学製顕微測光システムAH
2−SRK/STKを用い、複数画素を含む範囲で測定
した。得られた反射スペクトルは照射光のスペクトルで
割算して照射光の着色による影響を補正した。更に、各
表示色の色純度をUCS(Unifom Chromaticity Sys
tem)表色系の色度座標(u,v)におけるC光源から
の距離Wを用いて次式の様に定量化した。
【0051】
【数3】
【0052】赤,緑,シアン,マゼンタ,黄,青等の色
表示の場合には、Wの値が大きければ表示色は鮮やかで
あり、より好ましい。これとは逆に黒表示と白表示の場
合にはWの値が小さければ表示色はより無彩色であり好
ましい。
【0053】各表示色を与える映像信号線DLの印加電
圧と、各表示色の色純度を表1にまとめて示した。3.
0Vから10.5Vまでの各印加電圧において、赤,
緑,シアン,マゼンタ,黄,青,黒,白の8色を識別す
ることができた。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】(実施例2)実施例1の液晶表示装置にお
いて、上下側有機配向膜層ORI2,ORI1の配向処
理方向と位相板POLの透過軸のなす角度を45°に変
えた。
【0057】表1に示した様に、実施例1に比べて各色
表示のW値が増大した。配向処理方向と偏光板POLの
透過軸のなす角度を最適値である45°とすることによ
り、より鮮やかな色表示を得ることができた。
【0058】尚、本実施例の液晶表示素子の各表示色を
基板平面法線方向から観測した。各表示色の色相をCI
E表色系の(X,Y)色度座標系上にプロットすると、
図12の中の白丸の様になった。また、視角特性を評価
するため方位角0°,仰角30°の方向,方位角90
°,仰角30°の方向から観測した場合の各表示色の色
相を測定したところ、それぞれ図13,図14の中の黒
丸の様になった。後者は前者に比べて色相の変化が激し
く、方位角90°で視角特性が悪化することがわかっ
た。
【0059】(実施例3)実施例2の液晶表示装置にお
いて、上側有機配向膜層ORI2と下側有機配向膜層O
RI1の配向処理方向の方位角を270°に変え、液晶
分子の立上り方向の方位角が270°となる様にした。
【0060】本実施例の液晶表示素子の各表示色を基板
平面法線方向から観測したところ、各表示色の色相は実
施例2とほぼ同様であった。方位角0°,仰角30°の
方向から観測した各表示色の色相もまた実施例2とほぼ
同様であった。方位角90°,仰角30°の方向から観
測した場合の各表示色の色相の変化は図15中の黒丸の
様になり、実施例2に比べて色相の変化が穏やかになっ
た。
【0061】以上の様に、液晶分子の立上り方向の方位
角が270°となる様に上側有機配向膜層ORI2と下
側有機配向膜層ORI1の配向処理方向の方位角を設定
することにより、方位角90°における視角特性を向上
することができた。
【0062】(実施例4)実施例3の液晶表示装置にお
いて、偏光板POLと上側透明ガラス基板SUB2の間に位
相板を新たに加えた。位相板はポリカーボネート製であ
り、平面方線方向の透過光に対する波長550nmにお
けるリタデーションは200nmである。位相板の遅相
軸の方位角は0°とし、液晶層の配向処理方向と直交す
る様にした。
【0063】表1に示した様に各表示色のW値は実施例
2および3とほとんど変わらないが、各表示色を与える
印加電圧の値が大幅に低下した。特に白表示は実施例2
および3の10.5Vから6.0Vとなった。位相板を加
えて液晶層の見かけのリタデーション値を低減すること
により、駆動電圧範囲を低電圧化できた。
【0064】(実施例5)実施例3の液晶表示装置にお
いて、画素電極ER内の液晶層厚の分布を測定した。薄
膜トランジスタTFTと重なっていない部分では液晶層
厚は6.2μm であるのに対し、薄膜トランジスタTF
Tと重なっている部分では5.7μm であった。画素電
極ER内には0.5μm の液晶層厚の変動があり、これ
は電圧無印加時のリタデーションに換算すると70nm
に相当する。画素電極ER内で表示色のムラが生じ、表
示色の色純度低下の一因になっていることが明らかにな
った。そこで、実施例3の液晶表示装置の画素電極ER
をTFT部の上部に分布しないような形状に変えた。更
に、上側透明ガラス基板SUB2上の上側有機配向膜層
ORI2と共通透明画素電極ITOの間にブラックマト
リクスBMを追加しブラックマトリクスBMがTFT部
の上部にのみ分布するようにした。
【0065】表1に示した様に赤,緑,シアン,マゼン
タ,黄,青の色表示では実施例3に比べてW値が増大
し、黒表示と白表示ではW値が減少した。画素電極ER
の形状を最適化して液晶層厚の均一な部分でのみ選択的
に表示を行うことにより、より鮮明な色表示とより無彩
色な白黒表示を得ることができた。
【0066】(実施例6)実施例3の液晶表示装置にお
いて、スペーサビーズの直径を12μmに変えた。ま
た、液晶材料も実施例3で用いた液晶材料に比べて複屈
折値が約半分のものに変え、電圧無印加時における液晶
層のリタデーションは実施例3とほぼ等しくした。実施
例5で述べた様に画素電極ER内には0.5μm の液晶
層厚の変動があるが、これによる電圧無印加時のリタデ
ーションの変動は35nmと半分に減少する。
【0067】表1に示した様に赤,緑,シアン,マゼン
タ,黄,青の色表示では実施例3に比べてW値が増大
し、黒表示と白表示ではW値が減少した。各表示色を与
える印加電圧も若干増大したが、これは液晶材料と液晶
層厚の変化による。液晶層厚を増大して画素電極ER内
の凹凸が液晶層のリタデーションに与える変動幅を減少
することにより、液晶表示装置の構成を変更せずにより
鮮明な色表示とより無彩色な白黒表示を得ることができ
た。
【0068】(実施例7)実施例4の液晶表示装置にお
いて、液晶材料を変えて電圧無印加時の液晶層のリタデ
ーションを0.96μm に増大した。更に、波長550
nmにおける位相板のリタデーションも増大して300
nmとした。
【0069】表1に示した様に各表示色のW値は実施例
4とほぼ同じであるが、駆動電圧範囲が狭くなった。実
施例4では駆動電圧範囲は1.2V(赤)から6.0V(白)
までの約4.8V であったが、本実施例では3.4V
(赤)から7.0V(白)までの約3.6V となった。
【0070】液晶層と位相板のリタデーションを最適化
して駆動電圧範囲を狭め、更にコスト的に有利な低耐圧
の駆動回路を用いてマルチカラー表示が可能になった。
【0071】(実施例8)実施例4の液晶表示装置にお
いて位相板をポリビニルアルコール製に変え、かつその
波長550nmにおけるリタデーションを電圧無印加時
の液晶層と同じ860nmにした。ポリビニルアルコー
ル製位相板は液晶層に比べて複屈折波長分散が小さく、
実施例4で用いたポリカーボネート製位相板に比べても
なお小さい。電圧印加時には液晶層のリタデーションは
位相板よりも小さくなるため、上述の条件を満足し、位
相板と液晶層の合成された複屈折は逆分散になる。
【0072】これまでの実施例では各表示色のうち赤の
印加電圧値が最低であり、白が最高であった。これに対
して本実施例では位相板のリタデーションを電圧無印加
時の液晶層と同じにしたため、白の印加電圧値が最低で
赤が最高になり、印加電圧値の増大に伴う表示色の出現
の順序が逆になった。また、実施例4に比べて赤のW値
が僅かではあるが増大した。位相板と液晶層のリタデー
ションと複屈折波長分散の組み合わせを最適化すること
により赤の色純度を向上することができた。
【0073】(比較例1)実施例1の液晶表示装置にお
いて、上下側有機配向膜層ORI2,ORI1の配向処
理方向と位相板POLの透過軸のなす角度を0°に変え
た。印加電圧を変えても表示は白表示のまま変わらず、
表示色の変化は識別できなかった。実施例1の液晶表示
装置において各表示色が得られた電圧値を印加して表示
色の測定を行ったが、表1に示した様にいずれもほぼ無
彩色であった。
【0074】以上の様に、上下側有機配向膜層ORI
2,ORI1の配向処理方向と位相板POLの透過軸の
なす角度を最適化しなければ表示色の変化が全く見えな
いまでに表示特性が悪化する。
【0075】(比較例2)実施例1の液晶表示装置にお
いて、上下側有機配向膜層ORI2,ORI1の配向処
理方向と位相板POLの透過軸のなす角度を90°に変
えた。比較例1と同様、表示色の変化は識別できなかっ
た。
【0076】(比較例3)実施例1の液晶表示装置にお
いて、保護膜PSV1の表面にフォトリソグラフにより
微小な凹凸を多数形成した。その上にスパッタリングに
よりAlを100Åの膜厚で形成し、画素電極ERとし
た。画素電極ERは光散乱性になり、光反射後に反射光
は偏光解消する様になった。これを組立て液晶表示装置
とした。印加電圧を様々に変えたが、表示は白表示のま
まで表示色の変化は識別できなかった。実施例1の液晶
表示装置において各表示色が得られた電圧値を印加して
表示色の測定を行ったが、表1に示した様にいずれもほ
ぼ無彩色であった。
【0077】光反射時に反射光の偏光状態が保持される
様に反射面の反射特性を最適化しなければ、表示色の変
化が全く見えないまでに表示特性が悪化する。
【0078】
【発明の効果】本発明により1画素でマルチカラー表示
が可能で、かつバックライトを用いないため消費電力が
極めて低く、携帯型の情報機器にも搭載可能な表示装置
が得られる。
【0079】尚、本発明の液晶表示装置の上側基板を透
明樹脂とすると、更に薄型軽量な液晶表示素子が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置の構成の一例を示す断面
図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の構成の一例を示す透視
図である。
【図3】本発明の液晶表示装置のブラックマトリクスを
用いた構成の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の液晶表示装置のブラックマトリクスを
用いた構成の一例を示す透視図である。
【図5】ホモジニアス配向の液晶層のリタデーションと
印加電圧の関係と、これに位相板をその遅相軸が液晶層
の配向と直交する様に配置した場合の前記関係の変化の
一例を示す図である。
【図6】ホモジニアス配向の液晶層のリタデーションと
印加電圧の関係と、これに位相板をその遅相軸が液晶層
の配向と直交する様に配置した場合の前記関係の変化の
一例を示す図である。
【図7】ホモジニアス配向の液晶層の視角依存性を示す
図の1つであり、ホモジニアス配向の液晶層に電圧を印
加した場合の、液晶層中央部分の屈折率楕円体の形状を
示す図である。
【図8】ホモジニアス配向の液晶層の視角依存性を示す
図の1つであり、長軸を含む方位角方向で視角を変えた
場合の屈折率楕円体断面形状の変化を示す図である。
【図9】ホモジニアス配向の液晶層の視角依存性を示す
図の1つであり、短軸を含む方位角方向で視角を変えた
場合の屈折率楕円体断面形状の変化を示す図である。
【図10】3つの画素の表示色の1連の組み合わせを示
す図であり、本発明の液晶表示装置における階調表示方
法の一例を示す。
【図11】本発明における方位角と仰角の定義を示す図
である。
【図12】実施例2の液晶表示装置を基板平面法線方向
から観測した場合の、各表示色の色度を示す図である。
【図13】実施例2の液晶表示装置を方位角0°,仰角
30°の方向から観測した場合の、各表示色の色度を示
す図である。
【図14】実施例2の液晶表示装置を方位角90°,仰
角30°の方向から観測した場合の、各表示色の色度を
示す図である。
【図15】実施例3の液晶表示装置を方位角90°,仰
角30°の方向から観測した場合の、各表示色の色度を
示す図である。
【符号の説明】
1…上側有機配向膜層ORI2、2…下側有機配向膜層
ORI1、3…位相板POL、4…保護膜PSV1、5
…薄膜トランジスタTFT、6…画素電極ER、7…走
査信号線GL、8…映像信号線DL、9…保持容量素子
Cadd 、10…液晶層LC、11…下側透明ガラス基板
SUB1、12…上側透明ガラス基板SUB2、13…
酸化シリコン膜SIO、14…ゲート絶縁膜GI、15
…i型半導体層AS、16…ソース電極SD1、17…
ドレイン電極SD2、18…陽極酸化膜AOF、19…
スルーホールTH。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G09F 9/35 321 G09F 9/35 321 (72)発明者 檜山 郁夫 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 藤井 達久 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日立 製作所電子デバイス事業部内 (72)発明者 菊地 直樹 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日立 製作所電子デバイス事業部内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上側基板と、下側基板と、液晶層と、駆動
    装置と、1枚の偏光板から構成され、該基板は該液晶層
    を挾持しながら対向して配置され、該偏光板は上側基板
    の上方に配置され、該基板は液晶層に面する側に電極と
    配向膜を備えている液晶表示装置であって、 下側基板上の電極は1画素に対応し、金属からなり、か
    つアクティブ駆動素子を備え、偏光板の透過軸は上側基
    板近傍における液晶配向方向と平行ではなく、また直交
    しないことを特徴とする液晶表示装置。
  2. 【請求項2】請求項1の液晶表示装置において、偏光板
    の透過軸は上側基板近傍における液晶配向方向と45°
    をなすことを特徴とする液晶表示装置。
  3. 【請求項3】請求項1及び2の液晶表示装置において、
    液晶層がホモジニアス配向であることを特徴とする液晶
    表示装置。
  4. 【請求項4】請求項1及び2の液晶表示装置において、
    該上側基板と該偏光板の間に位相板を備えていることを
    特徴とする液晶表示装置。
  5. 【請求項5】請求項4の液晶表示装置において、該液晶
    層の複屈折波長分散は該位相板のそれよりも急峻であ
    り、かつ該液晶層の波長550nmにおけるリタデーシ
    ョンは該位相板のそれよりも小さいことを特徴とする液
    晶表示装置。
  6. 【請求項6】請求項1及び2の液晶表示装置において、
    上側基板からの距離と下側基板からの距離が等しくなる
    液晶層内の面内における液晶分子配向方向に着目する
    と、電圧印加時に液晶分子配向方向は基板平面に対して
    傾いており、その傾き方向を基板に固定して定義された
    方位角で表すと200°以上,340°以下の範囲にあ
    ることを特徴とする液晶表示装置。
  7. 【請求項7】請求項1及び2の液晶表示装置において、
    液晶層厚と液晶層の複屈折の積が0.65μm 以上であ
    ることを特徴とする液晶表示装置。
  8. 【請求項8】請求項1及び2の液晶表示装置において、
    アクティブ駆動素子のチャネル部の上面に電極が存在し
    ないことを特徴とする液晶表示装置。
  9. 【請求項9】請求項1及び2の液晶表示装置において、
    アクティブ駆動素子の上面に電極が存在しないことを特
    徴とする液晶表示装置。
  10. 【請求項10】請求項1及び2の液晶表示装置におい
    て、液晶層厚が10μm以上であることを特徴とする液
    晶表示装置。
  11. 【請求項11】請求項1及び2の液晶表示装置におい
    て、液晶層厚と液晶層の複屈折の積が0.85μm以上
    でかつ該位相板のリタデーションとの差を0.20μm
    以上であり、位相板に近接する液晶層の配向方向が位相
    板の遅相軸となす角が70°以上,110°以下である
    ことを特徴とする液晶表示装置。
  12. 【請求項12】請求項1の液晶表示装置において、液晶
    層厚と液晶層の複屈折の積が0.85μm以上であり、
    該上側基板と該偏光板の間に位相板を備え、印加電圧が
    10V以下において該液晶層と該位相板のリタデーショ
    ンの和が0μmになることを特徴とする液晶表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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