JPH09113349A - 三次元振動計 - Google Patents

三次元振動計

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JPH09113349A
JPH09113349A JP26722595A JP26722595A JPH09113349A JP H09113349 A JPH09113349 A JP H09113349A JP 26722595 A JP26722595 A JP 26722595A JP 26722595 A JP26722595 A JP 26722595A JP H09113349 A JPH09113349 A JP H09113349A
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vibration
displacement
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Masayuki Kosugi
昌幸 小杉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 三次元的に振動する質量体の振動ベクトルの
方向、振幅、加速度を三次元的に的確に評価可能にした
三次元振動計を提供する。 【解決手段】 質量体15を計測軸方向にガイドするロ
ッド14、及びその質量体を計測軸方向に振動させるば
ね16及びダンパ17を、基礎枠11に対して計測軸方
向と直交する平面内で摺動自在とした動枠12上に設け
る。さらに、質量体15を計測軸方向と直交し且つ互い
に直交する他の二つの計測軸方向にガイドするロッド1
4、及びそれらの二つの計測軸方向に振動させるばね1
6及びダンパ17を、基礎枠に対してそれらの計測軸方
向と直交する平面内で摺動自在とした動枠12上にそれ
ぞれ設け、質量体15の動枠12に対する変位を検出す
る変位変換器18を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、三次元振動の測
定、地盤の振動の三次元的計測、地震動における水平動
の二次元的観測等に利用するのに適し、振動ベクトルの
方向、振幅、加速度等を三次元的に的確に評価可能にす
る三次元振動計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の振動計では、原理的に一つの質量
体がばねやダンパを介して1軸方向に振動する構造を有
し、振動計内の質量体の振動変位(または圧力)を計測
している。図7(a)は、その振動計についての説明図
で、基礎枠1と、これに弾性要素、例えばばね2を介し
て取り付けられた一つの質量体3を備え、通常は減衰要
素、例えばダンパ4が含まれる。基礎枠1に設けた変位
変換器5は、質量体3と基礎枠1との間の相対変位量を
検出するものである。なお、以下の説明における上記振
動計の計測軸とは、基礎枠1におけるばね2の連結点2
aとダンバ4の連結点4aとを結ぶ軸線を意味してい
る。
【0003】図7(b)は図7(a)の等価系を示すも
のであり、x1 は基礎枠1の振動の変位、x2 は質量体
3の振動の変位、m0 は質量体3の質量、k0 はばね2
のばね定数、c0 はダンパ4の減衰係数である。この振
動系の運動方程式は、下記の(1)式のように書くこと
ができる。 m0・(d2x2/dt2) +c0・(dx2/dt) +k0・x2 =c0・(dx1/dt) +k0・x1 ・・(1) なお、k0,c0 は、振動中において一定である。
【0004】しかるに、地震動その他の一般的な振動
は、振動計の計測軸に沿ったベクトル成分だけとは限ら
ず、三次元あるいは二次元的な振動に含まれる計測軸方
向以外のベクトル成分の方向に質量体が振動しようとす
る(図8参照)。このような計測軸方向以外の振動は、
計測変位の精度に影響を及ぼし、その精度を高めるため
には、図9に示すように、質量体3が計測軸方向以外に
振動しないように摺動板7を設けて拘束する方法や、計
測軸以外の方向の振動を検出して補正する対策が考えら
れる。
【0005】前者の対策は、質量体3の計測軸方向以外
の変位を機械的に拘束するもので、質量体自体が一対の
摺動板7間を摺動する構造になる。計測軸以外の方向の
振動は、質量体にずれ変位を生じさせて摺動板7との間
に動的応力を発生させ、この応力に摺動面の摩擦係数を
乗じた分の摩擦抵抗(摩擦角:φm )が生じる。この摩
擦抵抗は動的応力に依存するために変動し、それが質量
体3の計測軸方向の振動に対して作用するため、計測振
動変位は変動する誤差要因を含み、前記(1)式のk0,
0 は、振動のずれ角をθm とすると、変動するばね定
数km は、 km =k0 ・cosθm となり、変動する減衰係数cm は、 cm =c0 ・cosθm となる。しかも、計測軸以外の方向の振動に対しては検
出特性が低下しており、このような3軸計測を組み合わ
せた三次元的評価では的確な振動を再現するのが困難に
なる。
【0006】また、後者の対策は、質量体の軸方向以外
の変位を拘束しない構造であり、図8のように、質量体
3のずれ振動成分に依存してばね2やダンパ4の軸にず
れ角を生じ、ばね定数や制御係数が変化する。しかし、
ずれ角を動的に検出する補正は非実用的であり、そのた
め、多くの1軸振動計は、ずれ振動を無視するか機械的
に計測軸以外の変位を拘束する構造を用いており、ずれ
や摩擦抵抗による変動誤差を含んだ振動変位または加速
度を計測している。
【0007】本来、計測対象となる振動は三次元的に自
在な方向に変位を生じているが、実際の振動変位や加速
度は、質量体の計測変位から1軸の理論式を用いて導か
れており、1軸の振動計の理論上の条件では、ばね定数
と減衰係数が定数であることが前提になっている。三次
元的な振動を機械的に1軸方向に拘束する場合、質量体
の摺動に含まれる摩擦抵抗は、理論式上で係数化される
ような一定条件が必要になる。振動計において振動変位
を感度良く高精度で計測するには、計測軸以外の振動成
分による摩擦抵抗の変化を排除できる構造が望まれる。
【0008】他方、従来の地震計では、二つの1軸振動
計を組み合わせて水平方向の直交する二成分を観測する
ことにより横波を評価し、一つの上下動の振動計によっ
て縦波を評価している。地表で計測する震動の特性は、
震源から放射状に伝わる際の岩盤内の伝播条件に依存し
ており、地震計の設置位置における地表形状や伝播する
地層構造、あるいは震源と地震計設置位置との三次元的
な位置関係などの影響を被る。そのため、地震動は三次
元的に自在な方向の成分を含み、地表に設置した地震計
の平面内の2軸とその面に垂直な軸に沿う方向の成分で
表わされるとは限らず、軸方向以外の質量体の振動を拘
束する構造による誤差は否めない。さらに、1軸ずつ計
測した三方向成分を複合して地震動を三次元的に評価す
る場合、各軸の検出特性や計測誤差の差を補完する計測
法が必要になる。
【0009】また、従来の振動計は、振動の強さを検知
して各種装置を緊急停止させる制御システムとしても用
いられている。実用に供されている検知装置の大部分
は、震動で鋼球が落下するものや、倒立振り子の振動を
利用するものなど、特定の方向について加速度が一定値
を越えると制御信号を出すようになっている。しかし、
最近の地震動の経験によると、急激な縦波に横波が重複
して生じた干渉波や、構造物での反射による増幅波な
ど、複雑な方向の震動によって大きな被害がもたらされ
ている。このため、震動の検知装置では、任意方向の震
動をベクトル評価する必要があるとともに、振動の継続
時間を考慮したスペクトラム強度やエネルギなどの定量
的評価の必要性も増している。
【0010】このように、本来、三次元的に任意の方向
の振動から1軸方向の成分を機械的に抽出して計測する
構造の振動計では、計測軸方向以外の質量体の変位を直
接拘束するために、摩擦抵抗が変動し、これに起因する
変動誤差を含む振動変位が計測される。また、このよう
に拘束した1軸振動の計測結果を組み合わせて三次元的
な振動を評価する場合、各計測軸の検出特性や計測誤差
が偏るためにそれらが増幅され、的確な評価は困難にな
る。これらの問題点を改善するには、振動変位の計測軸
において質量体、ばね、ダンパが計測軸上から反れない
構造、特に、質量体が機械的に計測軸方向に振動する際
に、摩擦抵抗が一定に保たれる構造が必要になり、ある
いは一つの質量体が実際の振動に対応して三次元的に自
在に振動する構造が望まれる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のよう
な問題を解消するためになされたもので、その目的とす
るところは、振動ベクトルの方向、振幅、加速度等を三
次元的に的確に評価可能にした三次元振動計を提供する
ことにある。更に具体的には、本発明の目的とするとこ
ろは、振動計における質量体が機械的に計測軸方向に振
動する際に、実際の振動に対応して一つの質量体が三次
元的に自在に振動し、それによって前記摩擦抵抗が一定
になるようにした手段を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の振動計は、基本的には、質量体を計測軸方向
にガイドするガイド手段、及びその質量体を上記計測軸
方向に振動させる弾性要素及び減衰要素を、基礎枠に対
して上記計測軸方向と直交する平面内で摺動自在とした
動枠上に設け、上記質量体の動枠に対する変位を検出す
る変位変換器を設けたことを特徴とするものである。
【0013】さらに具体的には、本発明の三次元振動計
は、上記質量体のガイド手段、弾性要素及び減衰要素
を、計測軸方向と直交する平面内で摺動自在とした動枠
上に設けると共に、質量体を上記計測軸方向と直交し且
つ互いに直交する他の二つの計測軸方向にガイドするガ
イド手段、及びそれらの二つの計測軸方向に振動させる
弾性要素及び減衰要素を、基礎枠に対してそれらの計測
軸方向と直交する平面内で摺動自在とした動枠上にそれ
ぞれ設け、上記質量体の各動枠に対する変位を検出する
変位変換器を設けることにより構成することができる。
【0014】また、上記三次元振動計は、質量体のガイ
ド手段及びその質量体を振動させる弾性要素を、基礎枠
に対して摺動自在とした動枠上に設けると共に、その基
礎枠を液密な六面体容器により形成し、その六面体容器
の内部に、減衰要素としての制動流体を封入したものと
することもできる。更に、上記三次元振動計は、振動の
加速度を測定するために、質量体のガイド手段及びその
質量体を振動させる弾性要素を、基礎枠に対して摺動自
在とした動枠上に設け、上記質量体の計測軸方向の加速
度をその加圧力により検出する圧電変換器を動枠に設け
たものとすることができる。上記質量体を計測軸方向に
ガイドするガイド手段としては、動枠に質量体の一部に
挿通または当接して質量体の摺動をガイドするロッドを
設けるのが有効である。
【0015】上記構成を有する本発明の振動計によれ
ば、三次元的振動の1軸方向の振動成分によって質量体
が計測軸方向に摺動し、この軸から反れる振動成分は他
の2軸に沿った摺動によって吸収される。そのため、各
計測軸の振動の測定において、その計測軸に垂直な方向
の動的応力は発生せず、三次元的な振動は一定の摩擦抵
抗の条件下において3軸方向の摺動に変換される。すな
わち、質量体は、いかなる三次元振動に対しても一定の
ばね常数と減衰係数を保ちながら各軸の振動に対応し、
1軸方向の振動と計測変位との関係を表す理論式の条件
を満たすことになる。また、一箇所に設置した一つの質
量体を有する振動計において3軸方向の振動変位や加速
度を検出し、三次元的な最大振動ベクトルを評価できる
ため、質量体の個体差や1軸振動計を組み合わせた際の
設置条件の差に関連する誤差要因を除くことができ、高
感度で効率的な三次元振動計とすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の振動計は、三次元的に自
在な振動をする測定対象に固定するための基礎枠内に、
互いに直交する3軸方向に質量体の摺動をガイドするガ
イド手段とそれを保持する一対の摺動板を備えた動枠
を、それらの摺動板によりそれぞれの計測軸の方向と直
交する平面に沿って摺動自在として収容し、質量体を上
記計測軸方向に振動させる弾性要素及び減衰要素、並び
に質量体の動枠に対する変位、加速度を検出する変換器
を動枠上に設けることにより構成される。
【0017】上記三次元振動計において、基礎枠は、そ
の内面に動枠の摺動板が摺動する互いに直交する摺動面
を備えるものであり、基礎枠の内部に減衰要素としての
制動流体を封入する場合には液密の六面体容器とする必
要があるが、一般的には必ずしも密封容器である必要は
ない。質量体を計測軸方向にガイドするガイド手段とし
ては、質量体の一部に挿通または当接して質量体の摺動
をガイドするロッドを用いることができる。また、上記
弾性要素としては、各種ばね作用を有するものを用いる
ことができ、さらに、上記減衰要素としては、独立のダ
ンパの使用ばかりでなく、ダンパとして機能するものに
よってそれに代えることができる。三次元振動の測定
は、変換器の選択により、振動ベクトルの方向、振幅、
加速度の測定を三次元的に行うことができる。
【0018】振動の検知による制御システムでは複雑な
振動現象を三次元的に評価する必要性が生じている。上
記三次元振動計は、三次元的に自在に振動する一つの質
量体の振動変位(または圧力)の計測において、変位拘
束とずれ振動を排除しているため、いかなる方向の振動
に対しても高い検出特性を保つことができる。このた
め、上記三次元振動計による計測は、最大振動変位(ま
たは加速度)とその方向の的確な評価に有効であり、計
測システムと組み合わせることによって、制御システム
としても利用できる。また、このような制御では、単に
最大振幅(または加速度)だけではなく、その継続時間
を考慮したエネルギ的な定量評価が有効になり、三次元
振動計による的確な三次元振動評価と定量解析を組み合
わせて、高感度で効率的な振動検知・制御システムを実
現することもできる。
【0019】
【実施例】図1〜図3は、本発明の振動計を三次元振動
の変位を測定できる三次元振動計とした第1実施例を示
している。図1は、その要部の構成を示すもので、三次
元的に自在な振動をする測定対象に固定する六面体容器
状の基礎枠11内に、計測軸方向と直交する平面内で摺
動自在とした動枠12を設けている。この動枠12は、
基礎枠11の相対する内面上を摺動する一対の摺動板1
3と、両摺動板を連結する複数のロッド14とにより構
成されている。これらのロッド14は、振動質量体15
の計測軸方向の摺動をガイドするガイド手段を構成する
もので、質量体15の一部にその摺動をガイドするよう
に挿通または当接している。また、上記動枠12上に
は、質量体15を上記計測軸方向に振動させる弾性要素
としてのばね16及び減衰要素としてのダンパ17を設
け、更に質量体15の動枠に対する相対的な振動変位を
検出する変位変換器18を摺動板13と質量体15との
間に設けている。
【0020】図1では、図示を明確化するために、質量
体15の互いに直交する三つの計測軸方向の中の1軸方
向の振動を計測する構成のみについて示しているが、一
対の摺動板13及びそれらの間に複数のロッド14を取
り付けた動枠12は、図2及び図3からわかるように、
一つの質量体15に対して互いに直交する3軸方向に組
み合わせている。
【0021】すなわち、一つの質量体15に対して、互
いに直交するX,Y,Zの3軸方向の各複数のロッド1
4x,14y,14zを、それぞれ摺動自在に挿通また
は当接させ、それらのロッドの両端を、基礎枠内面に対
して各計測軸方向と直交する平面内で摺動自在の摺動板
13x,13y,13zに取付けている。また、これら
のロッド14x,14y,14z及び摺動板13x,1
3y,13zからなる動枠12x,12y,12zは、
同じ構造のものを組み合わせることにより構成され、図
1の場合と同様に、質量体15をそれぞれの計測軸方向
に振動させる弾性要素及び減衰要素が設けられる。質量
体15の相対的な振動変位を検出する変位変換器18
は、それぞれの動枠に設けることもできるが、特定の計
測軸方向のみの振動計測を行う場合には、計測軸がその
方向に向いている動枠のみに変位変換器を設ければよ
い。
【0022】上記第1実施例の三次元振動計において
は、一般的には、一つの振動体15において、三次元的
に自在な振動が直交3軸方向の摺動の組み合わせによっ
て再現される。更に具体的に説明すると、例えば、図1
の1軸方向に振動している質量体15に同時にその軸に
垂直な方向に振動させようとする力が働いた場合、その
方向のロッドに沿って質量体15が振動し、このとき、
図1に示した1軸上の質量体15、ばね16、ダンパ1
7、動枠12が、その振動軸を保持したまま摺動板13
により基礎枠11の内面を摺動する。その振動軸から反
れる方向の振動が振動体15に作用することによって生
じる動的な応力は、このように動枠12の摺動板13と
基礎枠11の内面間に生じることになり、直接的に質量
体15には作用せず、そのため質量体15が一定の摩擦
抵抗条件下でロッド14に沿って摺動する。したがっ
て、振動軸から反れてばね定数や減衰係数が動的に変動
するという誤差要因を回避できる。
【0023】そして、摺動板13x,13y,13zと
質量体15の間の相対的な振動変位は、動枠に設けた変
位変換器18において、振動軸にずれが生じたり変動す
る摩擦抵抗の影響を被らずに検出される。また、一定の
摩擦条件下で一つの質量体が摺動するため、実用の一軸
理論式を満たした検出条件が得られ、装置固有の係数を
用いると、構造的誤差を排除して、簡単に振動変位から
振幅を導くことができる。さらに、一つの振動質量体が
本来の振動を再現して三次元的に振動する際の振動変位
を3軸方向で検出できるため、三次元的に広範な方向に
対して高い検出特性が得られ、効率的で高精度の振動計
測を実現できる。上記振動変位は、任意の計測軸方向の
変位変換器により計測することができ、例えば、水平2
軸方向の振動変位を計測して地震動の横波を計測する二
次元地震計として実用することもできる。
【0024】なお、上記実施例及び以下に説明する実施
例の三次元振動を測定する振動計では、1軸方向の振幅
や加速度を質量体の振動変位や加圧力の計測から求める
場合に、質量体の質量は他の2軸のばね、ダンパ、摺動
板、変位変換器また圧電変換器を含んだ質量になる。ま
た、ロッドに沿った質量体の摺動における一定の摩擦係
数は、物理的にダンパによる制動にに置き換えることが
でき、しかもダンパの減衰係数よりかなり小さくなるた
め、計算上において摩擦係数を無視できるような摺動構
造を構成できる。
【0025】図4は、減衰要素として制動流体を用いた
第2実施例の三次元振動計の2軸断面を示すものであ
る。この実施例における基礎枠21は、液密な六面体容
器を構成し、その六面体容器の内部には、互いに直交す
る3軸方向に、相対する内面上を摺動する一対の摺動板
23と、この両摺動板23を連結して質量体25の摺動
をガイドする複数の平行なロッド24を配設し、それら
の一対の摺動板23と複数のロッド24により基礎枠2
1の内面を計測軸に直交する平面内で摺動する動枠22
を構成させている。
【0026】そして、上記質量体25は、弾性要素であ
る同一特性の一対のばね26を介して、各動枠22のロ
ッド24に摺動自在に保持され、六面体容器を形成する
基礎枠21の中には、減衰要素として制動流体27が封
入されている。また、質量体25と各動枠22の一つの
摺動板23との間には、質量体25の変位を検出する変
位変換器28を設けている。これらの変位変換器28
は、検出した信号を適宜信号線を通して、あるいは無線
で外部に導出するものである。なお、この実施例におけ
る質量体25と各動枠の一対の摺動板23及び複数のロ
ッド24の配設態様は、図2及び図3に示したものと実
質的に同一である。
【0027】図5は、本発明の振動計を三次元振動につ
いての加速度振動計として構成した第3実施例を示して
いる。この実施例は、加速度振動計として用いるため、
図2及び図3と同様の各動枠32、すなわち、基礎枠3
1内において互いに直交する平面内で摺動する一対の摺
動板33をそれぞれ連結して質量体35のガイド手段を
構成する複数のロッド34により構成された動枠32
に、に、質量体35における計測軸方向の加速度を加圧
力により検出する圧電変換器(圧電素子)38を設けて
いる。上記動枠32上には、質量体35を上記計測軸方
向に振動させる弾性要素としてのばね36を設けている
が、この圧電変換器38を用いるときは一般に減衰要素
を備える必要はない。この第3実施例の加速度振動計で
は、振動により圧電変換器38に対して計測軸方向以外
の方向の機械的ひずみが付与されることがなく、計測軸
方向の圧縮を生じ、その加圧力に応じた電圧が発生し、
それが信号線を通して測定回路に印加される。
【0028】図6は、本発明の三次元振動計(加速度計
を含む)をボアホール用の岩盤振動計として、岩盤内に
穿設したボアホールBH内に固定設置し、それを地盤の
振動の検知に用いる場合を例示するものである。この岩
盤振動計においては、先に説明した各種実施例の三次元
振動計40を、外形が円柱形状をなす固定ガイド41内
においてプローブ本体42内に組み込んで利用してい
る。この岩盤振動計は、固定ガイド41の長さ方向のほ
ぼ中央部に固定したプローブ本体42の両端側に、その
固定ガイド41をボアホールBH内に固定設置するため
の一対の固定装置44を備えたものである。これらの固
定装置44は、ガイド筒45内にスプリング47で突出
方向に付勢された固定ピン46を備え、その基端に連結
したピストン49をシリンダ48内に嵌挿し、図示を省
略した圧力源から圧力ライン50を通して導入した圧力
流体を二つの固定装置44のシリンダ48内に給排でき
るようにしている。また、三次元振動計には、地表にあ
る測定器に結線するための信号ライン51を接続してい
る。
【0029】上記岩盤振動計は、それをボアホールBH
内の所定位置まで移動して固定装置44により固定設置
するが、その際には、圧力ライン50を通して一対のシ
リンダ48に供給した圧力流体によりピストン49を駆
動し、スプリング47の付勢力に抗して固定ピン46を
固定ガイド41内に没入させる。その結果、固定ガイド
41をボアホールBH内の所定位置まで移動させること
ができ、その所定位置まで移動した段階で、圧力ライン
50を通してシリンダ48に供給していた圧力流体を排
出することにより、スプリング47の付勢力で固定ピン
46が固定ガイド41から突出し、ボアホールBHの内
壁面を押圧する。これにより、地盤振動計は固定ガイド
41と二つの固定装置44により、ボアホールBH内の
所定位置に固定される。なお、この場合には、固定装置
44の固有振動数や固定法に伴うばね定数、減衰係数な
どを評価しておく必要がある。
【0030】以上に説明したところから明らかなよう
に、本発明の振動計は以下に示す態様で実施あるいは利
用することができる。 (1) 一つの質量体の3軸方向の振動変位や振動圧力
から最大振動ベクトルの方向、振幅、加速度を三次元的
に評価する解析手段を組み合わせた振動計測システムを
構成する。 (2) 上記三次元振動計に振動エネルギやスペクトラ
ム強度などの解析手段を組み合わせて、地震などの振動
規模を検知し、制御信号を出す振動計測制御システムを
構成する。 (3) 上記三次元振動計を固定装置付きの円筒形状プ
ローブ内に組み込んで岩盤のボアホール内に設置できる
構造とした岩盤内振動計を構成する。
【0031】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の三次元
振動計によれば、ある1軸方向の振動計測に際し、その
計測軸方向から反れる振動成分は、基礎枠に対する動枠
の摺動と他の2軸方向への質量体の振動変位によって吸
収され、そのため、計測軸に垂直な方向の動的応力は発
生せず、三次元振動は、摩擦抵抗一定の条件下において
3軸方向の摺動に変換され、質量体は一定のばね定数と
減衰係数を保ちながら各軸の振動に対応し、振動ベクト
ルの方向、振幅、加速度等を三次元的に的確に評価する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の三次元振動計の第1実施例の要部正面
図である。
【図2】上記第1実施例の動枠の構成を示す要部側断面
図である。
【図3】上記第1実施例の動枠の構成を示す斜視図であ
る。
【図4】本発明の三次元振動計の第2実施例の縦断正面
図である。
【図5】本発明の三次元振動計の第3実施例の縦断正面
図である。
【図6】本発明の三次元振動計を地盤振動の測定装置と
して用いる状態を示す断面図である。
【図7】(a)は従来の振動計についての原理説明図、
(b)はその等価系の説明図である。
【図8】振動計での自在振動による振動軸ずれについて
の説明図である。
【図9】質量体の変位拘束による摩擦抵抗の変動につい
ての説明図である。
【符号の説明】
11,21,31 基礎枠 12,22,32 動枠 13,23,33 摺動板 14,24,34 ロッド 15,25,35 質量体 16,26,36 ばね 17 ダンパ 18,28 変位変換器 27 制動流体 38 圧電変換器

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量体を計測軸方向にガイドするガイド手
    段、及びその質量体を上記計測軸方向に振動させる弾性
    要素及び減衰要素を、基礎枠に対して上記計測軸方向と
    直交する平面内で摺動自在とした動枠上に設け、 上記質量体の動枠に対する変位を検出する変位変換器を
    設けた、ことを特徴とする三次元振動計。
  2. 【請求項2】質量体を計測軸方向にガイドするガイド手
    段、及びその質量体を上記計測軸方向に振動させる弾性
    要素及び減衰要素を、基礎枠に対して上記計測軸方向と
    直交する平面内で摺動自在とした動枠上に設けると共
    に、 上記質量体を上記計測軸方向と直交し且つ互いに直交す
    る他の二つの計測軸方向にガイドするガイド手段、及び
    それらの二つの計測軸方向に振動させる弾性要素及び減
    衰要素を、基礎枠に対してそれらの計測軸方向と直交す
    る平面内で摺動自在とした動枠上にそれぞれ設け、 上記質量体の各動枠に対する変位を検出する変位変換器
    を設けた、ことを特徴とする三次元振動計。
  3. 【請求項3】質量体を計測軸方向にガイドするガイド手
    段、及びその質量体を上記計測軸方向に振動させる弾性
    要素を、基礎枠に対して上記計測軸方向と直交する平面
    内で摺動自在とした動枠上に設けると共に、 上記基礎枠を液密な六面体容器により形成し、その六面
    体容器の内部に、減衰要素としての制動流体を封入し、 上記質量体の動枠に対する変位を検出する変位変換器を
    設けた、ことを特徴とする三次元振動計。
  4. 【請求項4】質量体を計測軸方向にガイドするガイド手
    段、及びその質量体を上記計測軸方向に振動させる弾性
    要素を、基礎枠に対して上記計測軸方向と直交する平面
    内で摺動自在とした動枠上に設け、 上記質量体の計測軸方向の加速度をその加圧力により検
    出する圧電変換器を動枠に設けた、ことを特徴とする三
    次元振動計。
  5. 【請求項5】質量体を計測軸方向にガイドするガイド手
    段として、動枠に質量体の一部に挿通または当接して質
    量体の摺動をガイドするロッドを設けたことを特徴とす
    る請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の三次元振
    動計。
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