JPH09108483A - 動的平衡装置を改良して備えた洗濯機 - Google Patents

動的平衡装置を改良して備えた洗濯機

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JPH09108483A
JPH09108483A JP8270525A JP27052596A JPH09108483A JP H09108483 A JPH09108483 A JP H09108483A JP 8270525 A JP8270525 A JP 8270525A JP 27052596 A JP27052596 A JP 27052596A JP H09108483 A JPH09108483 A JP H09108483A
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JP
Japan
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drum
roller
hollow body
viscosity
washing machine
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JP8270525A
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English (en)
Inventor
Paolo Crosina
クロシーナ パオロ
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EREKUTORORAKUSU ZANUTSUSHI ERETSUTORODOMESUTEICHI SpA
Electrolux Zanussi Elettrodomestici SpA
Original Assignee
EREKUTORORAKUSU ZANUTSUSHI ERETSUTORODOMESUTEICHI SpA
Electrolux Zanussi Elettrodomestici SpA
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Publication date
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    • DTEXTILES; PAPER
    • D06TREATMENT OF TEXTILES OR THE LIKE; LAUNDERING; FLEXIBLE MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • D06FLAUNDERING, DRYING, IRONING, PRESSING OR FOLDING TEXTILE ARTICLES
    • D06F37/00Details specific to washing machines covered by groups D06F21/00 - D06F25/00
    • D06F37/20Mountings, e.g. resilient mountings, for the rotary receptacle, motor, tub or casing; Preventing or damping vibrations
    • D06F37/22Mountings, e.g. resilient mountings, for the rotary receptacle, motor, tub or casing; Preventing or damping vibrations in machines with a receptacle rotating or oscillating about a horizontal axis
    • D06F37/225Damping vibrations by displacing, supplying or ejecting a material, e.g. liquid, into or from counterbalancing pockets

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  • Textile Engineering (AREA)
  • Lubricants (AREA)
  • Centrifugal Separators (AREA)
  • Main Body Construction Of Washing Machines And Laundry Dryers (AREA)
  • Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 既存の不釣合い状態が所定の値を下回ってい
る間は質量体を所定の位置に保持し、前記限度値を上回
る不釣合い状態に呼応して質量体を自由に位置決めさせ
る働きをする要素を設けることにより、洗濯機ドラムの
構造を改良する。 【解決手段】 ドラムが、閉鎖された矩形状の断面を有
するとともに自身の軸が該ドラムの回転軸と一致する状
態で前記ドラムに固定的に接続される複数個の環状中空
体と、自身のそれぞれの軸がドラムの回転軸に対して平
行となる状態で中空体内に変位自在に配置される複数個
のローラと、潤滑特性を有しており中空体内に内蔵され
るとともに中空体の周沿いおよび筒状体間に分布するよ
うにしてある40〜130mPa.sの粘度を有する流
体、特に油とを備える。ローラは、10〜18mmの直
径を有し、その長さは中空体の内部の幅より1〜2mm
だけ小さく、その外径が中空体の内部の高さより0.7
5mm以下の量だけ小さい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はドラムの動的平衡装
置を改良して備えた洗濯機、特に家庭用洗濯機に関す
る。
【0002】
【従来の技術およびその課題】本発明は、特に前から洗
濯物を入れるタイプの洗濯機を対象としており、簡単の
ために、以下の説明ではこうしたタイプの洗濯機を取り
上げるが、本発明は、これ以外のタイプの洗濯機、たと
えば上から洗濯物を入れるタイプの洗濯機またはドラム
が垂直軸のまわりにおいて回転可能に取り付けられた洗
濯機にも有利に適用されうる。
【0003】洗濯機、特に家庭用洗濯機において設計者
が直面する主要な問題の1つが、すすぎ水を急速に抽出
する回転脱水段階において、洗濯物が入れられたドラム
を釣り合わせることに関することは周知である。この問
題は、洗濯物が不釣合いな状態にあり、その結果として
ドラムの望ましくない、往々にして許容不能なまでの振
動が生じて、この振動が洗濯槽に伝達されるとともに洗
濯槽から洗濯機の全ての部分に伝達される場合に特に顕
著となる。
【0004】この問題は一般に周知であり、したがって
これ以上説明されないこととする。この問題に対するさ
まざまな解決策の中には、不釣合い状態の洗濯物の遠心
力に対して、同じ大きさではあるが逆のベクトルの不釣
合いな力を対抗させることからなる動的なタイプの解決
策も提案された。この種の解決策は、たとえば仏国特許
第1,213,067号(スイス国優先書類8.11.
1957)および伊国特許第1,108,367号(日
本国優先書類12.1.1978)に説明されている。
これらの書類には、洗濯機、特に家庭用洗濯機のドラム
に適用可能な動的平衡装置において、ドラムに接続され
る環状中空体であって、洗濯物の不釣合い状態によって
引き起こされるドラムの不釣合い状態に対抗する位置を
とるように該中空体内で自由に変位可能な平衡質量体を
内蔵する環状中空体により構成される動的平衡装置が説
明されている。この解決策は、基本的に有効ではある
が、さまざまな理由により一般的に受け入れられなかっ
た。こうした理由として、特に次のようなものがあげら
れる。
【0005】a)それ自体がひとりでに十分に釣合いの
とれる洗濯物の場合、中空体が平衡質量体を連行または
制動する作用を有した液体をさらに内蔵していないと
き、すなわち平衡質量体の変位が抑制されないときは、
平衡質量体は環状中空体の周に沿って互いに対向しては
いるが実質的に無関係な位置に分布して、以て装置全体
の平衡を保つ傾向にある。特にこれらの位置が実質的に
無関係であるために、質量体は、不規則な動きと質量体
を内蔵した環状体の取付け公差と環状体の変形およびご
くわずかな不釣合い状態によっても引き起こされる振動
とに即座に反応して釣合いをとろうとして、新たな平衡
位置にまで移動することになる。この平衡過程の進行中
に、質量体は互いに非常に激しく衝突し合うことがあ
り、そのために大きな騒音が発生する。一旦新たな平衡
状態が確立されても、洗濯物が少しでも新たに不釣合い
状態となると、前記不釣合い/平衡サイクルが再び開始
されることになるため、この平衡状態が長時間持続する
ことはない。
【0006】b)ドラムの構造を改良してその強度を高
めて、ドラムが平衡質量体の重さによって生じる多大な
遠心力によりドラムの壁に押し付けられる環状中空体を
担持しうるようにしなければならない。
【0007】c)現在用いられている環状中空体はどち
らかと言えば軽量の材料で作られており、そのために平
衡質量体が発揮する遠心力の下ではある程度まで変形し
うる。中空体がこのように変形するために、平衡質量体
は洗濯物の不釣合い状態を相殺する最適な位置につくこ
とができなくなり、最終的に平衡効果が不完全または不
十分となる。
【0008】BALANCE TECHNOLOGY LIMITED PARTNERSHIP
LA PLAIDERIE TRUST CO., LTD. の国際特許第93/2
3687号から、軸のまわりを回転する密封閉鎖形洗濯
槽に付随する複数個の中空体を備えた洗濯機であって、
該中空体が自身内で変位可能な複数個の平衡質量体を内
蔵しており、該質量体がさまざまな中空体の寸法に応じ
て異なる寸法を有する洗濯機も周知である。この解決策
が全く注目されないのは、異なる寸法の浮遊平衡質量体
を用いても平衡過程において顕著な利点が何も得られな
いことがわかったためであるが、何よりも、従来の家庭
用洗濯機の場合には、洗濯槽は回転式ではなしに固定式
であるので、補正の対象となる不釣合い状態は穴開きド
ラムの不釣合い状態であって洗濯槽の不釣合い状態では
ないからである。
【0009】本出願人の伊国特許出願第PN94A00
0005号から、自身内に平衡質量体を内蔵した中空体
からなる平衡装置において、該中空体が質量体を最適な
平衡状態に適した位置に集結させやすくするのに効果的
な突出ローブを有する平衡装置が周知である。しかし、
この解決策は、いかなる洗濯機を組み立てる際にも特定
の仕様で非常に手間をかけて製作しなければならず、そ
のために一定の改良にはなるが決定的な解決策とはなら
ない。
【0010】また、Whirlpool Corporation の欧州特許
出願第0,607,678号から、それぞれの液状平衡
質量体によって満たされた複数個の環状中空体によって
実質的に構成される平衡装置も周知である。実験を重ね
るうちに、この解決策では、平衡質量体が流体であるた
めに中空体の全周に沿って分布する傾向にあり、その結
果として平衡効果が減少することから、既存の不釣合い
状態を緩和する効果がほとんどないことがわかった。
【0011】これ以外にも、固体の浮遊平衡質量体を用
いた全ての解決策には、浮遊質量体を自身中に浸漬させ
て過剰な騒音の発生を防ぐとともに自身の抗力作用によ
り質量体の変位を促す液体が通常的にオイル系またはシ
リコーン系の液体であり、そのために該液体の粘度が温
度の関数として著しく変動するという共通の欠点があ
る。
【0012】洗濯機の温度は、始動時には摂氏5度もの
低温となり得、かつ運転中に摂氏85度もの高温にまで
上昇しうるために、この著しい温度変化に対応してこれ
らの液体の粘度特性が変化する傾向にあり、そのために
浮遊質量体に対する該液体の適正な抗力と、ドラムの始
動段階と特に減速および停止段階とにおいて質量体同士
が繰り返し衝突することにより発生する騒音に対する該
液体の減衰力とが低下することは自明である。
【0013】いずれの場合も、全般的な性能および騒音
の発生に影響を及ぼす要因は液体の特性だけではなく、
浮遊質量体の個数と、該質量体を内蔵する環状中空体の
個数と、それぞれの浮遊質量体により占められる環状中
空体の周角度と、浮遊質量体の変位方向に対して直交す
る2つの方向における浮遊質量体とそれぞれの中空体と
の寸法的な遊びもまた根本的な影響要素であり、したが
って慎重に決定されなければならない。
【0014】よって、本発明の目的は、既存の不釣合い
状態が所定の値を下回っている間は質量体を所定の位置
に保持するとともに、前記限度値を上回る不釣合い状態
に呼応して質量体を自由に位置決めさせる働きをする要
素を設けることにより、洗濯機ドラムの構造を改良する
ことにある。本発明のもう1つの目的は、液体の粘度や
環状中空体の構成および個数、該環状中空体同士の相対
的な配置、浮遊平衡質量体の形状、該質量体が変位可能
に保持される中空体の内腔に対する該質量体の相対的な
寸法等の最も重要な変数がとる値の1つ以上の組合せを
定義することにある。本発明の装置は、添付の特許請求
の範囲に記載されている特徴を有するとともに、重要な
構造上の変更および洗濯機の基本構造の変更を必要とす
ることなしに前記欠点を解消するのに効果的である。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明のうち請求項1
に記載の発明は、外側ハウジングと、洗濯槽と、前記洗
濯槽に取り付けられて洗濯段階および回転脱水段階にお
いて自身の軸のまわりを回転する円筒状穴あきドラムと
からなり、前記ドラムが、閉鎖された矩形状の断面を有
するとともに自身の軸が前記ドラムの回転軸と一致する
状態で前記ドラムに固定的に接続される複数個の環状中
空体と、自身のそれぞれの軸が前記ドラムの前記回転軸
に対して平行となる状態で前記中空体内に変位自在に配
置される複数個の筒形可動体と、潤滑特性を有してお
り、前記中空体内に内蔵されるとともに前記中空体の周
沿いおよび前記筒状体間に分布するようにしてある流
体、特に油とを備える特に家庭用洗濯機において、前記
潤滑性流体が40〜130mPa.sの粘度を有し、前
記筒形体、すなわちローラが10〜18mmの直径を有
し、前記ローラの長さが前記中空体の内部の幅より1〜
2mmだけ小さく、前記ローラの外径が前記中空体の内
部の高さより0.75mm以下の量だけ小さいことを特
徴とするものである。
【0016】請求項2に記載の発明は、前記環状中空体
が10〜18mmの直径を有することを特徴とする。
【0017】請求項3に記載の発明は、前記ローラの長
さが6〜12mmであることを特徴とする。
【0018】請求項4に記載の発明は、4つの前記環状
中空体が前記ドラムの各端面に配置されることを特徴と
する。
【0019】請求項5に記載の発明は、互いに隣接する
各1対の中空体において、内側の中空体の円筒状外面が
外側の中空体の円筒状内面と完全に接触することを特徴
とする。
【0020】請求項6に記載の発明は、前記環状中空体
が前記ドラムのそれぞれの端部壁上において前記ドラム
の回転軸と直交する平面に対して対称な構成に配設され
ることを特徴とする。
【0021】請求項7に記載の発明は、前記各環状中空
体において、前記中空体に内蔵される前記筒形体である
ローラが、160度以下の角度にわたって配置されると
ともに、前記ドラムの回転軸と実質的にそれぞれの中空
体により形成される平面との交点を中心とすることを特
徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明は、例をあげて示す以下の
説明からより明白に理解されよう。ただし、以下の例は
本発明を制限するものではない。以下の説明において、
「リング」という用語は「環状中空体」という用語と等
価なものとして、「ローラ」という用語は「筒」という
用語と等価なものとして用いられることとし、当業者に
は直ちに自明となるように、これらの用語が用いられて
いる文脈を見れば、いずれの用語を用いても開示の明確
さが犠牲になることはない。
【0023】上述したように、本発明は、動的平衡装置
の性能を決定する多数の根本的な変数の最適値を定義す
るものである。これらの値を求めるために膨大な試験計
画を立案および実行し、それと同時にまず前記試験の立
案および実行に伴って数学モデルを作成して、次にこの
数学モデルを用いてさまざまな結果を解釈した。
【0024】本発明の趣旨を完全に説明するという観点
から、以下の説明に、考察と評価と詳細および数学モデ
ルと実験と結果とその解釈とを全て実質的に原因と効果
と最終的な意義との間の論理的な因果関係の形で示し
て、当業者が本発明の完成とその適用範囲の決定とがな
された作業環境を難なく理解しうるようにしている。
【0025】振動装置の挙動 振動装置を周期的な力によって励振すると、該装置は加
えられた力の周波数で振動する。振動の振幅および位相
角(加えられた力に対する)は、図1(A)および
(B)の線図に例示するように周波数に依存する。共振
周波数を超えると振動装置は抑制されて励振力と逆の位
相で振動することが特に注目される。中空リングを用い
た平衡装置の原理は共振装置の原理に基づいている。す
なわち、不釣合い力(洗濯機のドラムの内部の)に呼応
して、単一のリング内で自由変位可能ないかなる質量
も、振動の共振周波数の値を超えるやいなや該不釣合い
力に対抗する位置をとる。この原理に基づいて、浮遊的
に変位可能な物体を内蔵した同心リングが利用される。
【0026】平衡質量体の占有角 質量および回転速度が一定の場合、リング内に内蔵され
る物体がリング内で占める周角度が大きくなるにつれ
て、該物体の組み合わさったものが生ぜしめる遠心力は
ますます小さくなっていくため、リング内に内蔵される
物体の個数は、その物体の寸法および重さに依存する。
そして、こうして生じる遠心力の合力が小さいほど、平
衡されうる集中質量の大きさは小さくなる。図2の線図
を参照すると、質量の成分「dm」によって合力の方向
に生じる遠心力は、下記の式で与えられる。
【0027】
【数1】
【0028】ここで、wは角速度であり、rはリングの
半径である。
【0029】このことから、半径「r」および角速度
「w」が一定の場合、角度「a/2−b」が小さくなる
ほど遠心力は大きくなることがわかる。質量成分は、そ
の「占有角」の観点から、次のように表されうる。
【0030】
【数2】
【0031】この式を前の式に代入して整理すると、次
のような合力が得られる。
【0032】
【数3】
【0033】m=1と仮定すると、質量によって占めら
れる角度が大きくなるにつれて、その「有効性」、すな
わち生じる遠心力は、図3の線図に示すように1から0
(リング全体を占める場合)へと低下することがわか
る。
【0034】しかしながら、次の2つの主要な理由のた
めに、単一の平衡体のみの使用は考えられない。単一の
平衡体をリングの全周にわたって移動させることは極め
て困難であること。補償対象の不釣合い状態を引き起こ
している質量が平衡体の質量より小さい場合は、平衡体
がリングに沿って自身の質量を分布させることができな
いために平衡体の有効性が激減すること。
【0035】一方、浮遊体によって占められる角度を小
さくすることは、図4に線図で示すように対向面が互い
に接触する状態で同心的配置に設けられる多数のリング
内に浮遊体を配することによって達成されうる。
【0036】粘性流体 リングは、平衡体を内蔵するだけでなく、固有の粘度値
を特徴とする流体によって満たされる。環状平衡装置に
流体を取り入れることは、主として以下の考察による。
流体を用いなければ、ドラムの回転速度が低いときに、
平衡体が自身の重さによりリングの最下部分に沿って転
動して、その結果として過剰な騒音が発生する。ドラム
の回転速度が増すと、平衡体を摩擦により加速して、該
平衡体が正位置につきうるようにしなければならない。
そのため、流体は十分な粘度を有することが必要にな
る。回転脱水段階の最後の減速段階において、または洗
濯動作中にドラムの回転が反転するときに、リングの最
下部分に向かう平衡体の落下を緩慢にして、以て平衡体
が互いに衝突するために生じる金属的な騒音を効果的に
減衰させるべきである。
【0037】温度の関数としての粘度 流体の粘度「η」は、その内部摩擦の尺度となる。この
粘度は、次のように表される指数関数にしたがって温度
の値に依存する(図5)。
【0038】
【数4】
【0039】ここで、Tは温度値であり、AおよびBは
主として液体の種類に依存する2つのパラメータであ
る。したがって、温度の上昇は流体の固有粘度の低下を
引き起こす。粘性摩擦力「Fη」は下記の法則にしたが
って流体の粘度に依存するため、流体の粘度は重要であ
る。
【0040】
【数5】
【0041】ここで、ηは前記の液体の動的粘性係数で
あり、Sは浮遊体と液体との接触表面積であり、dv/
dzはリング壁と浮遊体の接触面との距離における液体
の速度勾配である。
【0042】この法則に鑑みると、流体に対する浮遊体
の速度勾配が一定の場合、摩擦力Fηは浮遊体の接触面
の寸法「S」または液体の粘性係数「η」のいずれかを
変化させることによって調節可能であることがわかる。
粘性係数は温度値に依存するので、そのために粘性摩擦
力も温度に依存することになる。
【0043】リングは洗液と直接接触する状態で洗濯機
のドラムに取り付けられるため、約摂氏+5度と摂氏+
80度との間で温度変化にさらされる。このため、これ
らの動作温度において、騒音発生の減少およびリング全
周に沿って浮遊体を引きづる能力といった特定の要件が
満たされる粘度範囲を有する流体が求められる。
【0044】これらの論拠を考察すると、高粘度の液体
を選択しがちになるかもしれない。しかし、この選択は
次のような観点から疑問視される。粘度が高すぎると、
浮遊体は洗濯段階の回転速度でそのまま引きづられて、
効果的に単一の浮遊体として機能することになる。この
ため、浮遊体を上方向に移動させるために出力需要が増
大するためにモータの過熱が起こりうる。
【0045】粘度が高すぎると、浮遊体が不釣合い状態
にある洗濯物と対向する位置につくことが著しく緩慢に
行なわれ、不釣合い力がさらに増大する危険性がある。
【0046】高粘度の液体の場合、温度変化に応じて粘
度が過度に変化することは周知である。摂氏5度と摂氏
85度との間では、たとえば水の粘度は係数3だけ変化
する一方で、一般的な潤滑油は係数50だけ変化しう
る。この温度範囲内において装置の挙動があまり大きく
変動するべきではないという要件に鑑みると、より低粘
度の流体に注目することが必要になる。
【0047】これらの理由から、異なる粘度の多数の液
体が一連の実験において作られた。これは、周知の粘度
のさまざまな液体を混合することによって達成された。
混合液の粘度は次のような態様で推定されうる。
【0048】混合液の粘度 単一の液体の場合、その粘度の効果は下記のモデルを利
用して描写される。
【0049】液体を2枚の壁の間に封入する。これらの
壁の1枚を固定する一方で、固定壁から距離「d」の位
置に配置されるもう1枚を速度「v」で移動させる。壁
に近接して配置される液体は、移動壁に隣接する部分で
は速度「v」を、固定壁に隣接する部分では「0」をと
るという具合に、それぞれの壁の速度をとる(図6)。
この図において、水平方向の矢印は固定壁から異なる距
離にある液体の速度ベクトルを示す。このモデルの場
合、表面積が1に等しいと仮定される可動壁を移動させ
るために必要な力は次のような式で表される。
【0050】
【数6】
【0051】類推において、第1の近似計算では、それ
ぞれ量m1およびm2の2つの液体の混合液(m1+m
2)は、これら2つの液体が互いに混合されたものでは
なく重畳されたものと考えられうる(図7)。2つの液
体間の界面で液体1は液体2により引きづられると仮定
される。これらの液体と表面、すなわち界面とはそれぞ
れ連行的な抗力または制動的な抗力の作用を受ける(図
8(A))。全ての液体層は基本的に均一な速度で、す
なわち少しも加速されずに移動するため、力F1と力F
2とは必ず等しくなる。 F1=F2 液体1の場合は次の式が当てはまる。
【0052】
【数7】
【0053】これらの関係を数学的に合成して、これら
を2つの同時的に用いられる液体の場合まで展開するこ
とにより、「平均」粘度に関する下記の式が得られる。
【0054】
【数8】
【0055】このモデルの目的から、層の厚さ(d1、
d2)を2つの液体の量(m1、m2)に置き換えるこ
とができる。
【0056】合力理論により、2つの重畳層を有する混
合液を表す式の普遍的な適用が正当化される。したがっ
て、2つの層の代わりに、図8(B)に示すように、た
とえば4層モデルを描写することも可能である。
【0057】2つの層に関する公式化と同様に4つの層
に対するそれぞれの式を公式化することにより、結果と
して最終的に2層の場合に有効な式と同じ式が得られ
る。このことは、全体としての速度形状が液体1および
2によって構成される2層モデルの速度形状と同様であ
り、どの2つの液体についても界面における流動速度が
同じである図8からも明らかである。
【0058】この細分化の上限は、実質的に均質な混合
液に対応する無限個の層である。◎例として、400c
Pの液体x%と100cPの液体100−x%とによっ
て構成される混合液の粘度を図9の線図に示す。
【0059】平衡リング内のローラに作用する力の計算 平衡質量がローラまたは筒の形をとる固体によって構成
される場合には、その質量がその移動方向に対して直角
な方向に最大となるため、最適な結果が得られると判断
された。環状の空洞内に配置されるローラは、図10に
線図で示すように、次の3つの力を受ける。 重力: fg 流体の推力: fp 流体の粘性抗力: fa これらの力は、以下に示すように計算される。
【0060】重 力 この力は下記の成分のみでローラを変位させる作用をす
る。
【0061】
【数9】
【0062】ここで、rはローラの半径であり、xはロ
ーラの長さであり、prはローラの密度であり、pfは
流体の密度であり、gは重力加速度であり、wはローラ
と垂線との間の角度である。
【0063】流体が発揮する推力 リングが部分的に液体により満たされており、かつ1つ
の方向に均一に回転する場合、リングの壁と液体との間
の摩擦によって液体は一緒に引きづられ、その結果とし
て、図11(A)に線図で示すように、液体の2つの端
面において液面の偏位が生じる。
【0064】回転リングから見た場合、液体は自身内で
圧力差「dp」に呼応して流動するように見える。液体
のこの流量「V」は次のように計算される:円形管内に
おける液体の流量を表す式は関連文献において「ハーゲ
ン−ポアズイユの公式」として示されている。
【0065】しかし、断面矩形のリングの場合には、こ
の公式をそのまま適用することはできない。しかしなが
ら、等価半径の概念を利用することにより、矩形の断面
を円形の断面と略同じ態様で扱うことができる。 等価半径=2* 断面積/周 すなわち、
【数10】
【0066】ここで、aはリングの断面の幅であり、b
はリングの断面の高さである。
【0067】この等価半径をハーゲン−ポアズイユの公
式に代入する。
【0068】
【数11】
【0069】ここで、「V」は立法メートル毎秒を単位
とする液体の流量であって、リングの回転速度「v」と
その断面積とから次のように計算される。
【0070】
【数12】
【0071】このように、「dp」は、液体の回転を妨
げるようにリング内に挿入される仕切りに対して液体が
作用させる圧力である(図11(B))。自身内に1つ
のローラを内蔵する平衡リングの場合には、圧力「d
p」は下記の力でローラに作用する。
【0072】
【数13】 ここで、xはローラの長さであり、yはローラの直径で
ある。
【0073】前記式に流量「V」を代入するときは、こ
の場合には流れの小部分が常にローラとリングの壁との
間の隙間を通り抜けるためにローラはリング内でオイル
の流れを完全に妨害するわけではないという事実を考慮
に入れなければならない。
【0074】
【数14】
【0075】ここで、Vaはローラの側面「a」と側面
「x」との間の隙間を介した流れであり、Vbはローラ
の側面「b」と側面「y」との2側面間の隙間を介した
流れである。これで、VaおよびVbを計算する式を得
ればよいことになる。
【0076】ローラとリングとの間の隙間における摩擦
図12を参照すると、次のような周知の摩擦の法則が当
てはまる。
【0077】
【数15】 この場合は、ローラの側方の隙間に関する摩擦力「f
a」は次のように表される。
【0078】
【数16】 側方の隙間を介した流量は、次の式で表される。
【0079】
【数17】
【0080】これは、対称であるために液体がローラに
対して速度(u/2)で流動するからである。上方の隙
間の場合には、ローラに対する液体の流速が約「u」で
あるために、リングの壁が発揮する抗力は優勢となる。
【0081】
【数18】 「Va」および「Vb」を用いて推力計算における流量
「V」を補正し、補正済みの値「V」を用いて「dp」
を、以て「fp」を計算する。
【0082】変位角の計算 図10を参照すると、平衡状態では次のようになる。 fga=fp+fa したがって、リングを回転させたとき、単一のローラは
次の角度に応じた位置につく。
【0083】
【数19】
【0084】形状係数 単一のローラに関する上述の理論的考察から、該ローラ
に作用する合力は次のように表されうることがわかる。
【0085】
【数20】
【0086】この係数は温度に依存しないため、十分な
大きさが得られるものを選択して、低粘度の液体の摩擦
力に対応する摩擦力が得られるようにするのに都合がよ
い。このタイプの流体の場合には粘度がそれほど温度に
依存しないという事実に鑑みると、摩擦力もそれほど温
度に依存しないであろう。
【0087】形状係数は、特にリングの厚さと浮遊体の
寸法とに関する製造公差が許容されうる場合に部分的に
影響を受けうる。個別の浮遊体の形状については、リン
グ内を転動していく能力を有する円形状の浮遊体を選択
することが好ましい。具体的な選択は、球体と円筒体と
の間で行なわれることとする。
【0088】再び粘性摩擦力「F」と接触表面積「S」
との関係を参照すると、接触面があらゆる地点でリング
の壁から等距離にある円筒状の浮遊体を選択することが
好ましい。このことは、この場合には(上述の分析です
でに仮定されたような)断面矩形のリング内を移動する
ローラを示唆している。形状係数は、ローラとリングの
壁との間の隙間の幅が小さくなるほどますます重要にな
る。
【0089】動作条件の概要と定義 上述の考察および初期試験により、装置の動作条件を次
のように限定することができた。洗濯速度では、ローラ
は均一または無作為な態様で分布して、リングの下側部
分において転動または摺動することにより騒音が発生す
るという問題またはローラという「塊体」を上方に移動
させようとするためにモータに不均一な負荷が加わると
いう問題が起こらないようにすること。回転脱水速度で
は、ローラは迅速に配置され、回転脱水段階の終了時に
騒音が発生しないこと。
【0090】図13(A),(B)および図14に、そ
れぞれ洗濯速度および回転脱水速度におけるローラの挙
動(転動、分布、固定)とローラに作用する総摩擦との
関係と、それぞれのローラ配置とが線図で示されてい
る。前記考察から、「摩擦」は下記の要素によって決ま
ることがわかる。 ・流体の粘度 ・一般的形状係数(ローラとリング壁との間の距離の関
数) ・ローラの寸法実 験 試験リングにおいて流体の種類と形状係数とローラの寸
法とを変化させることにより、所望の機能的挙動を得る
上で最適な組合せを見出す努力をした。これらの実験
は、考えられうる動作温度の全範囲にわたって実施され
なければならなかった。上記の公式化された理論的およ
び数学的仮定を検証することを目的として、実際の挙動
を研究するための一連の実験を立案しかつ実行して、最
適な解決策を達成した。
【0091】試作装置 上述の実験のために、堅固な試験フレームに取り付けら
れて該試験フレーム内で2つのバネにより上から懸垂さ
れるとともに2つの摩擦式緩衝器により下から支持され
た従来式洗濯機からなる2つの異なる各試作装置を使用
した。各々の洗濯機は、モータとドラム・プーリとの間
にMEGADYNE EL1200 J6として商業的に公知のタイプの動
力伝達ベルトを使用することによって1:10の伝達比
で動作する電動式ACコレクタ・モータを有していた。
【0092】各ドラムの前部および後部には、流体と回
転脱水段階で発生するあらゆる不釣合い状態を釣り合わ
せるために工夫された多数のローラとを内蔵するそれぞ
れの個数の同心リングが固定的に取り付けられた。
【0093】これらのリングは、ベース部とこのベース
部にねじにより固定されるカバー部とからなる2分割構
造を有する。カバー部はポリメタクリル酸メチルで作ら
れており、ベース部は炭酸カルシウムを充填剤として用
いたポリカーボネートで作られている。
【0094】第1の試作装置は4つの同心リング(図1
5(A)参照)を、もう1つの試作装置は3つの同心リ
ング(図15(B)参照)を各側面に備え、それぞれの
組のリングは互いに厳密に隣接して配置された。
【0095】各リング内に内蔵されるローラは、鉄含有
材料で作られた。一連の実験の第1の実験は、次のよう
な構成で実施された。
【0096】試作装置1 いずれの組のリング内にも同じタイプの132個のロー
ラが配置された。各ローラは13mmの直径と9mmの
長さと10gの重さとを有していた。各ローラとそれぞ
れのリングの壁との間の隙間は、ローラ直径の平面上で
0.5mm、ローラ長さの平面上で0.75mmとされ
た。
【0097】試作装置2 前側および後側の組のリング内に57個の同一のローラ
が配置された。各ローラは17mmの直径と10mmの
長さと17.5gの重さとを有していた。各ローラとリ
ングの壁との間の隙間は、直径および長さの各平面上で
0.5mmとされた。
【0098】流 体 流体が洗濯機の動作サイクル中にさらされる温度の範囲
は、すでに指摘したように、約摂氏+5度〜摂氏+80
度にわたるため、この温度範囲内における粘度の観点か
ら適切な流体の特性を研究することが必要である。それ
ぞれの値は、まず第1にBROOKFIELD RVT粘度計を用いて
測定された。
【0099】流体を摂氏+5度〜摂氏+80度の異なっ
た温度にすることは、それぞれの流体をそれぞれ冷蔵庫
および電子レンジ内に入れることによって達成された。
【0100】このようにして分析された流体は、次のよ
うな名称で商業的に公知である。すなわち、 SPINESSO
10 、SPINESSO 22 、MASCHERPA 1579A 、K (Produkt
derFirma Henkel Chimica S.p.A. )、KLUEBER FLUID 9
R 100、STRUCTOVIS FHD、H(Produktder Firma Henkel
Chimica S.p.A.)である。
【0101】流体「H」および「K」は産業用洗剤であ
り、その他のものは油である。各々の流体について、図
16〜22に示ように一定の温度範囲にわたる流体の粘
度を示す線図が作成された。これらの線図からわかるよ
うに、粘度の変動範囲は流体ごとに異なり、温度範囲と
粘度範囲との間には重大な関係がある。分析された流体
の中でも特にSTRUCTOVIS FHDという名称のものは摂氏+
5度で1600mPa.sという最も高い粘度から摂氏
+80度で62.4mPa.sに低下する一方で、SPIN
ESSO 10 という名称の流体は、摂氏+5度で74mP
a.sというこの温度範囲内では最も低い粘度から摂氏
80度で22mPa.sに低下する(mPa.s=ミリ
パスカル秒)。
【0102】得られた値を互いに比較可能にするため
に、これらの値を最低および最高動作温度と摂氏20度
という仮定周囲温度とを示す表1にまとめる。
【0103】
【表1】
【0104】得られたデータの第1の分析から、ある結
論が得られる。温度が変化しても一定の粘度を有する流
体(「ニュートン」流体)を考慮しないかぎり、選択の
基準となるパラメータは、所定の温度範囲内において粘
度の変動が最も小さいこととされるべきである。こうし
た観点に基づくと、粘度の変動範囲が74〜20、すな
わち54であるSPINESSO 10 という液体が選択されるこ
とになろう。
【0105】それぞれの粘度値が浮遊体であるローラに
適正な位置をとらせるのに適しているか否かが判断され
ていないかぎり、この特性だけでは、当然ながら、この
流体の選択を十分に正当化することはできない。適切な
液体を選択する上での第2の重要なパラメータは、最高
粘度値と最低粘度値との間の関係である。この関係が小
さいほど、それぞれの流体が適切と見なされる確率が高
くなることは自明である。
【0106】しかしながら、最高粘度値と最低粘度値と
の間の関係では、絶対粘度値が反映されないために、相
対的な評価しか行なうことができない。しかし、いずれ
の場合も、この関係は、特定の混合液の研究において考
慮に入れなければならない品質指標となる。
【0107】こうして分析された流体の中で、この関係
が最も優れていたものは、77.6:22、すなわち約
3.5という値を有するMASCHERPA 1579A という名称の
流体であった。考察対象の温度範囲内で適度な最高−最
低粘度比を有する流体の1つが所定の温度範囲内で約1
6mPa.s〜7mPa.sの粘度変動範囲を有する蒸
留水であることは周知である。
【0108】低費用であるという観点から、考察中の平
衡装置内にそのまま使用するには絶対粘度値が低すぎる
という事実にもかかわらず、蒸留水は上記の一部の流体
の粘度を調節する上で依然として重要な役割を果たしう
る。水は油との混合にはあまり適さない反面で、洗剤と
の混合には非常に有用である。
【0109】試 験 個別の変数を選択的に変更しながら前記試作装置を用い
て一連の試験を実施した。第1組の試験は、約摂氏25
度の周囲温度で、ドラムを55rpmの洗濯速度とし、
かつリング内に入れられた流体を異なる粘度値にして異
なる動作温度をシミュレートしたときのローラの分布を
観察することを意図していた。これらの試験に用いられ
た流体は、DASHという商標で市販されている洗剤と蒸留
水との混合液であった。
【0110】第1組の試験に用いられたいずれの試作装
置においても、リングには鋸壁状内壁面が形成されてお
り、試験の結果、リングの内壁は好ましくは平滑とする
べきであることがわかった。各壁上に3つの同心リング
を有する試作装置の場合は、これらの条件下で液体の粘
度値が70mPa.s〜200mPa.sのときに浮遊
体であるローラの良好な分布が観察された。ローラは、
ドラムの回転速度が低いときにリングの下側部分に集ま
っているかぎり、互いに妨害し合って、リングに沿って
転動するのではなしにリングの壁面上において摺動する
ようになり、その結果として騒音が生じたという点に目
を向けることが重要である。しかしながら、騒音が最高
レベルに達したのは、ドラムの回転停止時および流体の
粘度が約70〜150mPa.sのときであり、この騒
音は主としてローラが互いに衝突することによって引き
起こされた。
【0111】各側面上に4つのリングを有する試作装置
の場合は、浮遊体であるローラは、約20mPa.sと
いうどちらかと言えば低い粘度値のときに早くも小さな
まとまりとなって引きずられ、モータ側で一定の回転速
度を維持することが明らかに困難となるとともに、ドラ
ム−洗濯槽組立体の過剰な振動が起こることが観察され
た。
【0112】図23の線図に示すように、実際に生産さ
れているタイプの電子制御式洗濯機の洗濯速度は、約2
3秒という短時間の間に55rpmという値に達してか
らこの値が40rpmまで低下する。このように周期的
に速度が変動する条件の下で上述の基準を観察したとこ
ろ、望ましくない騒音発生効果がより一層著しくなるこ
とが注目された。このため、使用された構成のローラが
ローラ支持面に可塑的変形を引き起こしうる過剰な遠心
力にさらされるという事実の点からも、より小寸法のロ
ーラを用いた4重リング形装置において形状係数を変え
てさらなる試験を行なった。
【0113】したがって、本来のローラは13.5mm
の直径を有する同様の形状のローラに置き換えられ、そ
の結果として、図24に線図で示すように、ローラとリ
ング壁との間の隙間はローラ長さ(=9mm)の平面上
で0.75mm、ローラの直径に対応する平面上で1.
0mmとなった。
【0114】各組のローラは、それぞれのリングの周方
向に約140度の角度にわたって延在するとともに約8
30gの質量を表しており、その結果として総質量は
1,660gとなった。このような条件下では、重力が
増大するという観点から、ローラは以前に確立された粘
度よりも高粘度の流体の存在下で小さなまとまりとなっ
て各リングのまわりを移動するであろうと予想された。
【0115】この構成で異なる粘度の流体を用いて行な
われた一連の試験において、ローラの最良の分布は、約
30mPa.sと200mPa.sをいくらか上回る値
との間のの粘度を有する流体の存在下で得られることが
わかった。
【0116】同時に、騒音の発生は3重リング形装置に
比べて大幅に減少することがわかったが、40mPa.
s未満の粘度を有する流体の場合には依然として過剰で
あると考えられた。この一連の試験の終了後にさらなる
研究を行なって、ドラム内に集中的な不釣合い質量が配
置された状態で高速回転時の装置の挙動を判断した。
【0117】この後の一連の試験は、13.5mmの直
径を有するローラを用いた4重リング形試作装置の40
0rpm〜700rpmの回転速度での動作に関するも
のであった。これらの速度は、55rpmで始動させた
後に約14秒という短時間にわたって85rpmとする
ことにより達成された。85rpmで動作させること
は、ドラムの回転速度から導出される数学的関数から得
られる係数である「釣合い質量」を判断する上でも役立
った。ドラムの中央に配置された1.5kgという不釣
合い質量の場合、この係数は結果的に4680という最
大値になった。このように実施された試験から、流体の
粘度が約120〜130mPa.sを超えないかぎり、
ローラは不釣合い質量に対抗する位置に迅速に配置され
て、申し分のない挙動が得られることがわかった。これ
より高い粘度値では、流体がローラに対して過剰な抗力
を作用させて、ローラがそれぞれのリングのまわりにお
いて離間位置に維持される。
【0118】これらの試験の結果を表2に示す。
【0119】
【表2】
【0120】不釣合い質量の大きさに呼応してローラが
異なった構成をとることが重要である。ドラム内におい
て中央に配置された1.5kgの質量の場合は、全部の
ローラが対向位置につく傾向にある一方で、1kgの質
量の場合は、一部のローラは、補償対象の質量を超えな
いように該質量と同じ側に位置する。
【0121】85rpmの速度で得られた釣合い係数に
ついては、最大値は3000をわずかに下回る。比較の
ために、同じ洗濯槽−ドラム組立体と同じモータと同じ
ベルト駆動伝達比とを有する量産型洗濯機について釣合
い係数を判断した。こうして確認された値は常に約46
80であった。
【0122】表3に、図24に線図で示すローラ構成に
関する最も代表的な結果が得られた試験結果を示す。
【0123】
【表3】
【0124】このように行なわれた全ての試験におい
て、次のような特徴を有する平衡装置を用いた場合に最
良の結果が得られた。
【0125】リングおよびローラ 4つのリングからなる2枚の各円盤をドラムの前部と後
部とに配置し、リングの壁を寸法10.5×14.5m
m、半径r1 =210mm、r2 =194mm、r3 =
177mm、r4 =166mmの平滑壁とし、各円盤に
つき132個のローラを約145度未満の角度を占有す
るように個別のリング内に配置し、ローラの直径を1
3.5mm、長さを9mm、重さを約10gとする。
【0126】流体の粘度(図25) ローラの寸法、ローラとそれぞれのリングとの間の隙
間、ローラの角配置、流体の粘度を添付の特許請求の範
囲に記載の所定の公差内としたときに、申し分のない全
体としての結果と従来技術を上回る改良とが実現され
た。
【0127】好適な実施例を例として参照しながら周知
の用語で本発明を説明したが、本発明は前記実施例に制
限されるわけではなく、むしろ当業者に予測可能なさま
ざまな改変を包含するものである。したがって、当業者
に予測可能なこれらの自明の改変は、添付の特許請求の
範囲に記載されている本発明の精神および範囲に含まれ
るものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は振幅と周波数との関係、(B)は位相
角(ラジアン)と周波数との関係を示すグラフである。
【図2】質量の成分dmによる合力の方向を示す図であ
る。
【図3】占有角(ラジアン)と質量の有効度との関係を
示すグラフである。
【図4】3個のリング内に浮遊体を配した場合の合力の
方向を示す図である。
【図5】合力と粘度との関係を示すグラフである。
【図6】単一の液体における粘度の効果を示すモデル図
である。
【図7】2つの液体の混合液における粘度の効果を示す
モデル図である。
【図8】(A)は2つの液体の界面において液体1が液
体2により引きづられる効果を示すモデル図、(B)は
4層モデルを示す図である。
【図9】400cPおよび100cPの2つの液体から
なる混合液のcP粘度を示すグラフである。
【図10】環状の空洞内に配置されるローラが受ける3
つの力を示す図である。
【図11】(A)は液体の2つの端面において液面の変
位が生じることを示す図、(B)はリング内に仕切を設
けた場合を示す図である。
【図12】ローラとリングとの間の隙間における摩擦力
を示す図である。
【図13】(A)は洗濯速度におけるローラの挙動とロ
ーラに作用する総摩擦との関係を示す図、(B)は回転
脱水段階におけるローラの挙動とローラに作用する総摩
擦との関係を示す図である。
【図14】ローラの配置を示す図である。
【図15】(A)は第1の試作装置を示す図、(B)は
第2の試作装置を示す図である。
【図16】Spinesso 10 についての温度と粘度との関係
を示すグラフである。
【図17】Spinesso 22 についての温度と粘度との関係
を示すグラフである。
【図18】Mascherpa 1579 Aについての温度と粘度との
関係を示すグラフである。
【図19】Kについての温度と粘度との関係を示すグラ
フである。
【図20】Klueber 9 R 100 についての温度と粘度との
関係を示すグラフである。
【図21】Structovis FHDについての温度と粘度との関
係を示すグラフである。
【図22】Hについての温度と粘度との関係を示すグラ
フである。
【図23】時間と回転速度との関係を示すグラフであ
る。
【図24】本発明にかかるローラを示すモデル図であ
る。
【図25】本発明にかかる流体の温度と粘度との関係を
示すグラフである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外側ハウジングと、洗濯槽と、前記洗濯
    槽に取り付けられて洗濯段階および回転脱水段階におい
    て自身の軸のまわりを回転する円筒状穴あきドラムとか
    らなり、前記ドラムが、閉鎖された矩形状の断面を有す
    るとともに自身の軸が前記ドラムの回転軸と一致する状
    態で前記ドラムに固定的に接続される複数個の環状中空
    体と、自身のそれぞれの軸が前記ドラムの前記回転軸に
    対して平行となる状態で前記中空体内に変位自在に配置
    される複数個の筒形可動体と、潤滑特性を有しており、
    前記中空体内に内蔵されるとともに前記中空体の周沿い
    および前記筒状体間に分布するようにしてある流体、特
    に油とを備える特に家庭用洗濯機において、 前記潤滑性流体が40〜130mPa.sの粘度を有
    し、 前記筒形体、すなわちローラが10〜18mmの直径を
    有し、 前記ローラの長さが前記中空体の内部の幅より1〜2m
    mだけ小さく、 前記ローラの外径が前記中空体の内部の高さより0.7
    5mm以下の量だけ小さいことを特徴とする特に家庭用
    洗濯機。
  2. 【請求項2】 前記環状中空体が10〜18mmの直径
    を有することを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
  3. 【請求項3】 前記ローラの長さが6〜12mmである
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の洗濯機。
  4. 【請求項4】 4つの前記環状中空体が前記ドラムの各
    端面に配置されることを特徴とする前記請求項のいずれ
    かに記載の洗濯機。
  5. 【請求項5】 互いに隣接する各1対の中空体におい
    て、内側の中空体の円筒状外面が外側の中空体の円筒状
    内面と完全に接触することを特徴とする請求項4に記載
    の洗濯機。
  6. 【請求項6】 前記環状中空体が前記ドラムのそれぞれ
    の端部壁上において前記ドラムの回転軸と直交する平面
    に対して対称な構成に配設されることを特徴とする請求
    項5に記載の洗濯機。
  7. 【請求項7】 前記各環状中空体において、前記中空体
    に内蔵される前記筒形体であるローラが、160度以下
    の角度にわたって配置されるとともに、前記ドラムの回
    転軸と実質的にそれぞれの中空体により形成される平面
    との交点を中心とすることを特徴とする前記請求項のい
    ずれかに記載の洗濯機。
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